JP3751365B2 - 可倒式ヘッドレストのインサートおよび可倒式ヘッドレスト - Google Patents

可倒式ヘッドレストのインサートおよび可倒式ヘッドレスト Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、枕部を前後に回動させることのできる可倒式ヘッドレストのインサートと、そのインサートを用いる可倒式ヘッドレストに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の座席には、衝突時における乗員の頭部保護を目的としてヘッドレストが設けられている。このヘッドレストは、通常、枕部と、その枕部内に上部が埋設されて下部の脚部が枕部底面から突出したインサートとで構成される。
【0003】
また、前記ヘッドレストには、枕部を前後に回動できる可倒式ヘッドレストがある。
図9は、従来の可倒式ヘッドレスト40の断面図、図10はそのインサート51を示す斜視図である。このヘッドレスト40において、枕部41は発泡体42の表面がファブリック等の表皮43で覆われた構成からなる。一方、インサート51は、断面略円形の金属製中実棒または中空パイプを略コの字形に屈曲させることにより、2本の脚部52の上端間に水平部53を形成したスティ54と、そのスティの水平部53に前後回動可能に取り付けられた芯体55とより構成される。
【0004】
前記芯体55は、所定幅の金属板を屈曲させて両側面56と上面57とよりなる正面視略コの字形とし、その両側面の下部内面に前後回動可能な回動体58を軸着したものである。その回動体58の軸着は、回動体58と側面56間に回動体58の位置を固定する摩擦抵抗が働くようになされる。この回動体58の下端にはスティの水平部53が溶接されて、スティ54に対する芯体55の前後回動が可能とされる。また、前記芯体55の両側面56は、その間の距離がスティの水平部53の長さより短くされるとともに、下端の前後に2つの凹部59a, 59bが形成される。
【0005】
そして、ヘッドレストの枕部41をその内部の芯体55とともにスティ54に対して前後に回動させることにより、枕部41の傾斜角度の調節が行われる。その際の最大傾斜角度の規制は、前記芯体55が所定角度回動した時に芯体55下端の凹部59a, 59bとスティの水平部53両端付近が衝突して芯体55の回動が阻止されることによりなされる。
【0006】
しかし、前記構造にあっては、枕部41の傾斜角度範囲(芯体の最大回動角度)を大きく設定しようとすると、芯体55下端の前後に形成された凹部59a,59bの間隔を大にせねばならず、そのために芯体55の前後幅(厚み)aが大になって、芯体55の重さ、すなわちヘッドレスト全体が重くなる問題がある。しかも、芯体55の前後幅(厚み)が大になると、枕部41の発泡体42内において芯体55の占める割合が大になるとともに、発泡体42の前面(枕部の頭部当接側の面)と芯体55間の間隔が小となるため、発泡体42の弾性変形が損なわれるおそれがある。したがって、芯体55と発泡体42前面間の距離を充分確保するため、発泡体42の厚み(前後幅)を大にしなければならず、ヘッドレストが重くなるばかりか、発泡体や表皮の使用量が増してヘッドレストの価格が上昇する問題があった。
【0007】
特に、後部座席に取り付けられるヘッドレストについては、運転時に後方視界の妨げとなり易いため、後部座席に乗員が居ない場合には枕部を大きく倒せるのが望ましい。しかし、前記のように、枕部の回動角度を大きくするには重さや価格上の問題があった。さらに、ワゴン車のように後部座席を後方へ倒して略水平にして使用することの多い車種においては、後部座席を倒す際にヘッドレストが邪魔となるため、ヘッドレストを後部座席から外さねばならず煩わしかった。
【0008】
また、前記構造にあっては、枕部(芯体)の位置固定が、回動体58と芯体側面56間に働く摩擦抵抗によってなされるため、枕部の位置固定を確実にする目的で回動体58と芯体側面56との圧着を大にすると、前記摩擦抵抗が大きくなりすぎて枕部の回動が重くなり、逆にその回動を軽くすると、枕部の角度が容易に変わり易くなり、適度な操作性を得るのが容易ではなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、前記の点に鑑みなされたもので、枕部の傾斜角度を大きく設定して、枕部不使用時に枕部を脚部前方へ倒せるようにしても、インサートおよびヘッドレストが重くならず、その成形も容易で、枕部の緩衝性も損なわれず、加えて枕部の回動操作性に優れ、さらに枕部の使用状態での位置固定性も高い可倒式ヘッドレストのインサートおよび可倒式ヘッドレストを提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載された可倒式ヘッドレストのインサートに関する発明は、2本の脚部の上端間に断面略円形の水平部が形成された略コの字形のスティと、前記水平部に所定角度範囲で前後回動可能に取り付けられた芯体とよりなる可倒式ヘッドレストのインサートにおいて、前記スティは水平部にその外周面の一部が窪んであるいは切り欠かれてなる最大回動規制面と回動開始規制凹部が形成され、一方、前記芯体は、金属板からなる本体部の下部に、前記スティの水平部を巻き込んで回動可能に保持する筒部が形成されるとともに、該筒部における前記回動規制面と対向する部位に、当該芯体の最大回動時に前記最大回動規制面と当たって芯体の回動を規制する最大回動規制突部が設けられ、また、前記芯体には、前記スティの水平部の外周面にバネ弾性により当接して、該芯体の最大回動時に前記回動開始規制凹部にはまり、該芯体の最大回動位置からの回動により前記回動開始規制凹部の側壁を乗り越えることのできる係合突部を備える有するバネ片が設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に記載された可倒式ヘッドレストのインサートは、芯体がスティの脚部の略延長上方の位置と、前記脚部の前方位置間で回動し、該芯体が脚部の略延長上方の位置となった時点でスティの回動開始規制凹部にバネ片の係合突部がはまることを特徴とする。
【0012】
一方、請求項3に記載された可倒式ヘッドレストは、請求項1に記載された可倒式ヘッドレストのインサートの芯体およびスティの水平部がヘッドレストの枕部内に埋設されたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項4に記載された可倒式ヘッドレストは、請求項2に記載された可倒式ヘッドレストのインサートの芯体およびスティの水平部がヘッドレストの枕部内に埋設されたことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下添付の図面に従ってこの発明を詳細に説明する。
図1はこの発明の可倒式ヘッドレストのインサートの一実施例を示す斜視図、図2は図1の2−2断面図、図3は図1の3−3断面図、図4は同実施例の可倒式ヘッドレストインサートにおけるスティの斜視図である。また、図5は図1のインサートを用いた可倒式ヘッドレストについて図1の2ー2位置と同位置で切断した断面図、図6は同可倒式ヘッドレストについて図1の3−3位置と同位置で切断した断面図、図7は同可倒式ヘッドレストについて枕部を倒した状態を示す図5と同様の断面図、図8は同可倒式ヘッドレストについて枕部を倒した状態を示す図6と同様の断面図である。
【0015】
図1ないし図3に示すこの発明の一実施例の可倒式ヘッドレストのインサート1は、後部座席のヘッドレスト用のもので、スティ5、芯体15およびバネ片25よりなって、芯体15がスティ5に対して前後に90度の範囲で回動するようになっている。
【0016】
スティ5は、図4からよりよく理解されるように、断面略円形の金属製中実棒(この実施例の場合)あるいは金属製中空パイプが略コの字形に曲げられて、2本の脚部6,6の上端間に水平部7が形成されてなる。
【0017】
前記脚部6は、後部座席の背もたれへの取り付け部となる部分で、その下部の側面には座席背もたれに設けられるクリップと係合してスティ5の水平部7(すなわち後記するヘッドレストの枕部)を所望高さに固定するための切り欠き8が、上下所定間隔で複数形成されている。
【0018】
前記水平部7は芯体15を前後回動可能に保持する部分で、その両縁に最大回動規制面9, 9、中央部に回動開始規制凹部12が形成されている。
前記最大回動規制面9は、芯体15の最大回動角度を規制するためのもので、水平部7の外周面の一部を切り欠いて形成した平面からなる。この実施例では、水平部7の横断面形状が半円となるように切り欠かれている。
【0019】
また、前記回動開始規制凹部12は、芯体15が最大回動位置から自由に回動するのを規制するもので、水平部7の外周面の一部を切り欠いて形成した断面略V形の窪みからなる。さらに、前記回動開始規制凹部12は、この実施例では水平部7の後面側に形成されているが、その位置に限るものではない。
【0020】
なお、前記最大回動規制面9および回動開始規制凹部12は、前記スティ5が中空パイプからなる場合には、中空パイプの外周面の一側を押しつぶして形成してもよい。
【0021】
芯体15は、後記するヘッドレストの枕部を補強するとともに、その枕部をスティ5に前後回動可能に保持するものである。この芯体15は、本体部16とその下部の筒部17とで構成され、所定寸法の鉄板等からなる金属板を曲げ加工等により所定形状にしたものである。
【0022】
前記本体部16は、ヘッドレストの枕部内に埋設可能な板状からなり、その周縁18が一側へ屈曲して本体部16の剛性を増すように構成されるとともに、所定位置に貫通穴19が形成されて枕部の発泡体と強固に結合するようにされている。また、この本体部16の略中央部にはバネ片固定用穴20が形成されている。
【0023】
前記筒部17は、この芯体15をスティ5の水平部7に前後回動可能に保持するためのもので、前記本体部16の下部からスティの水平部7の幅(長さ)よりわずかに狭い幅で伸びる片21によって、スティの水平部7を巻き込んで筒状に形成されている。前記片21は、筒部17を除く他部で前記本体部16にスポット溶接され、筒部17が開かないようにされている。
【0024】
また、前記筒部17は、前記スティ5の水平部7の最大回動規制面9と対向する部位に、筒部17内に突出する最大回動規制突部22が形成されている。この最大回動規制突部22は、芯体15(枕部)がスティ5に対してあらかじめ設定された最大角度回動した時点で、前記スティ5の水平部7の最大回動規制面9と当たり、芯体15(枕部)のそれ以上の回動を阻止するものである。
【0025】
この実施例の最大回動規制突部22は、前記最大回動規制面9と対向する部位の筒部17の周壁23を筒部17内へ屈曲させて、筒部17の長手方向と直交する周壁23の断面形状が断面略V字形となるようにし、その略V字形を構成する周壁内面23a,23bと前記最大回動規制面9が当たることにより芯体15(枕部)の回動を規制している。この略V字形を構成する周壁内面23a,23b間の角度bにより芯体15(枕部)の回動範囲が定まる。
【0026】
さらに、この実施例の最大回動規制突部22は、前記断面略V字形を構成する周壁内面23a,23b間の角度bが直角とされ、かつ芯体15の回動を前記スティ5の脚部6略延長上方の位置と、該脚部6の前方位置の間で行えるように設けられている。これにより、芯体15(枕部)が後方へ回動してスティ5の脚部6の略延長上方位置に到達した時点、すなわち枕部使用時の状態となった時点で、前記最大回動規制突部22の一方の周壁内面23aがスティ5の水平部7の最大回動規制面9と当たり、芯体15(枕部)のそれ以上の後方回動が阻止される。また、芯体15(枕部)が前方へ回動して、前記の後方最大回動位置から脚部6前方へ90度の位置まで倒れると、前記最大回動規制突部22の他方の周壁内面23bがスティ5の水平部7の最大回動規制面9と当たり、芯体15(枕部)がそれ以上前方へ回動するのが阻止される。
【0027】
このように、前記芯体15(枕部)の最大回動角度の規制が、前記スティ5の水平部7と、その水平部7を巻き込む芯体15の筒部17間で行われるため、芯体15(枕部)の最大回動角度をこの実施例のように大きくしても、芯体15の厚みや大きさが増すことがなく、重くなったり、枕部の緩衝性を低減させるおそれがない。
【0028】
また、前記筒部17は、前記回動開始規制凹部12と対向する部分に開口24が形成されている。そして、その開口24位置に合わせてバネ片25が、前記芯体15の本体部16に、バネ片固定用穴20を利用してリベット26やネジ等で固定されている。
【0029】
前記バネ片25は、前記芯体15(枕部)の最大回動時に前記回動開始規制凹部12とバネ弾性により係合して、その状態から芯体15(枕部)が自由に回動するのを阻止するとともに、芯体15(枕部)の上部(スティの水平部7から離れた側)に幾分大なる押す力あるいは引く力を加えた際に、バネ弾性により前記回動開始規制凹部12から外れて、芯体15(枕部)の回動を可能にするものである。この実施例におけるバネ片25は、前記芯体15(枕部)が後方へ最大に回動して枕部使用位置となった時点で、前記回動開始規制凹部12にはまって係合し、芯体15(枕部)が車の振動等により前方へ回動して自然に倒れるのを防ぐように設けられている。
【0030】
また、この実施例のバネ片25は、前記回動開始規制凹部12の幅(スティ水平部7の長さ方向に沿う幅)よりわずかに狭い幅の板バネからなって、その先端部分に、前記芯体15の後方最大回動時に、回動開始規制凹部12にはまる係合突部26が断面略V字形に屈曲形成されている。そして、前記係合突部26が筒部17開口24内のスティ水平部7の外周面にバネ弾性で当接するようにして、バネ片25の基部が前記芯体15の本体部16に固定されている。この係合突部26は、前記後方最大回動位置にある芯体15の(枕部)の上部を、幾分強引に前方へ引くまたは押すと、バネ弾性によって前記回動開始規制凹部12の側壁12aを乗り越え、回動開始規制凹部12との係合が解除される。
【0031】
したがって、前記スティ5の水平部7外周面と芯体15の筒部17内周面との摩擦抵抗によることなく、前記芯体15を枕部使用時の後方最大回動位置(スティ5の脚部6の略延長上方位置)に固定でき、その固定のために前記摩擦抵抗を大にする必要がないので、芯体15(枕部)の回動操作をスムーズに行える。しかも、前記摩擦抵抗によって芯体15を後方最大回動位置に固定する場合には、前記摩擦抵抗が筒部17の水平部7外周に対する巻き込み具合によって変わるため、得られる摩擦抵抗がバラツキ易く、芯体15(枕部)の回動がしずらくなったり、逆に車体の振動で自然に芯体15(枕部)が回動する等の不具合を生じ易いが、この発明のインサートではその不具合がない。
【0032】
次に、前記インサート1を用いる可倒式ヘッドレストの一例について説明する。
図5はその一例の可倒式ヘッドレスト30を図1の2−2線と同一位置で切断した断面図、図6は図1の3−3線と同一位置で切断した断面図、図7および図8はその枕部の最大回動状態を示す断面図である。このヘッドレスト30は、前記構造のインサート1が、前記芯体15およびスティ5の水平部7部分で枕部31内に埋設されて、その枕部31の前後回動が可能にされたものである。
【0033】
枕部31は、ヘッドレスト31の枕部形状をした発泡体32と、その表面を覆う表皮33とより構成される。
【0034】
前記発泡体32は、ポリウレタン発泡体のように、弾性を有する発泡体からなる。この発泡体32の内部に前記インサート1の芯体15およびスティ5の水平部7が埋設されて発泡体32と芯体15が固着し、発泡体32の底面からスティ5の脚部6が突出している。その発泡体32の底面は、スティ5の脚部6が突出する部分に凹部34が形成され、枕部31の回動時にインサート1の芯体15に対する脚部6の相対的回動を妨げないようにしている。
【0035】
また、前記表皮33は、ファブリックあるいはプラスチック等からなる袋状のもので、裁断あるいはスラッシュ成形等により形成されたものである。この表皮33は、前記スティ5の脚部6が突出する部分に前後方向に沿ってスリットまたは長穴35が形成され、前記インサート1の芯体15に対する脚部6の相対的回動を妨げないようにしている。
【0036】
なお、前記枕部31の成形は、枕部成形用の発泡成形型(図示せず)内に前記表皮33を配置し、その表皮33内に前記インサート1の芯体15を挿入配置して、発泡原料を表皮33内に注入し、前記発泡体32を形成する一体発泡成形によって容易に行うことができる。また、前記表皮33を発泡成形型内に配置しないで発泡原料を発泡成形型内に注入して、いわゆる裸ヘッドレストを成形した後、前記表皮33を発泡体32に被せてもよい。
【0037】
このようにしてなる可倒式ヘッドレスト30は、前記スティ5の脚部6が座席の背もたれ上部に挿入されることにより自動車の後部座席に取り付けられる。
そして、ヘッドレストの枕部31を使用する際には、枕部31を後方へ回動させる。すると、その後方最大回動位置、すなわち図5および図6に示すように、枕部31がスティ5の脚部6の略延長上方位置となった時点で、前記スティ5の水平部7の最大回動規制面9に、芯体15の最大回動規制突部22が当たって枕部31のそれ以上の後方回動が阻止され、それと同時に前記スティ5の水平部7の回動開始規制凹部12に、バネ片25の係合突部26がバネ弾性によりはまって、枕部31の位置が固定される。それにより、その後、乗員頭部が枕部31から離れた際にも、車体の振動等で枕部31が自然に前方へ回動して倒れるのが防止される。
【0038】
また、前記枕部31を使用しないとき、例えばこのヘッドレスト30の取り付けられている後部座席に乗員が居ないとき、あるいはこのヘッドレスト30がワゴン車の後部座席に取り付けられてその後部座席が後方へ略水平に倒されるときなどには、前記枕部31の上部が車体前方へ幾分強く引かれ、あるいは押される。それによって、前記バネ片25の係合突部26が、バネ弾性により前記回動開始規制凹部12の側壁12aを乗り越え、枕部31の前方への回動が可能になる。その後枕部31はスムーズに回動し、図7および図8に示すように、前記後方最大回動位置から90度前方へ回動した最大回動位置で、前記スティ5の水平部7の最大回動規制面9に、芯体15の最大回動規制突部22が当たって枕部31がそれ以上前方へ回動するのが阻止される。それによって、枕部31がスティ5の脚部6前方へ倒れた状態となり、後方視界を良好とし、また、ワゴン車の後部座席を倒す際に邪魔になるのを防ぐ。
【0039】
なお、前記可倒式ヘッドレストのインサートおよび可倒式ヘッドレストの実施例においては、回動開始規制凹部とバネ片を各1つ設けて、芯体(枕部)の後方最大回動時にのみ回動開始規制凹部にバネ片の係合突部がはまるようにしたが、前記回動開始規制凹部とバネ片を複数設ける等して、芯体(枕部)の前方および後方の両最大回動時に、前記バネ片の係合突部が回動開始規制凹部にはまるようにしてもよい。
【0040】
【発明の効果】
以上図示し説明したように、この発明の可倒式ヘッドレストのインサートおよびそのインサートを用いる可倒式ヘッドレストにあっては、金属製インサートのスティの水平部外周面を窪ませあるいは切り欠いてなる最大回動規制面と、スティの水平部を巻き込む筒部に形成した回動規制突部とが、芯体(枕部)の前後最大回動時に当たってそれ以上の回動を阻止する構造のため、枕部の回動範囲を大きく設定しても、芯体の厚み(前後幅)が大きくなることがない。したがって、芯体(枕部)を枕部使用時の位置であるスティの脚部の略延長上方位置から、該脚部前方へ略90度回動させるようにして、枕部不使用時に枕部を後方視界等の邪魔にならないように脚部前方へ大きく倒せるようにしても、インサートおよびヘッドレストが重くならず、自動車の軽量化を妨げるおそれがない。しかも厚みの大なる芯体に起因する枕部の緩衝性低下もないので、その緩衝性を確保するために枕部の厚みを大に設計する必要がない。よって、枕部のデザイン自由度が高くなり、また、枕部内の発泡体の使用量を増大させる必要もないため、ヘッドレストを安価にできる。
【0041】
さらに、この発明によれば、前記インサートのスティの水平部には前記最大回動規制面の他に回動開始規制凹部を設け、一方、芯体にはバネ片を設けて、芯体(枕部)の最大回動時に該回動開始規制凹部にバネ片の係合突部がバネ弾性によりはまって芯体(枕部)の位置を固定するようになっている。したがって、芯体(枕部)を最大回動位置に確実に固定でき、車体の振動等により自然に芯体(枕部)が倒れることがない。しかも、芯体(枕部)を最大回動位置に固定するために、芯体の筒部とスティの水平部間の摩擦抵抗を大にする必要がない。よって、前記芯体(枕部)を最大回動位置から回動させる際に幾分大なる力が必要となるのみで、回動開始後は極めてスムーズな回動を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の可倒式ヘッドレストのインサートの実施例を示す斜視図である。
【図2】図1の2−2断面図である。
【図3】図1の3−3断面図である。
【図4】同実施例の可倒式ヘッドレストインサートにおけるスティの斜視図である。
【図5】図1のインサートを用いた可倒式ヘッドレストについて図1の2ー2位置と同位置で切断した断面図である。
【図6】同可倒式ヘッドレストについて図1の3−3位置と同位置で切断した断面図である。
【図7】同可倒式ヘッドレストについて枕部を倒した状態を示す図5と同様の断面図である。
【図8】同可倒式ヘッドレストについて枕部を倒した状態を示す図6と同様の断面図である。
【図9】従来の可倒式ヘッドレストの断面図である。
【図10】そのインサートを示す斜視図である。
【符号の説明】
1:可倒式ヘッドレストのインサート
5:スティ
6:脚部
7:水平部
9:最大回動規制面
12:回動開始規制凹部
15:芯体
16:本体部
17:筒部
22:最大回動規制突部
25:バネ片
30:ヘッドレスト
31:枕部
32:発泡体
33:表皮

Claims (4)

  1. 2本の脚部の上端間に断面略円形の水平部が形成された略コの字形のスティと、前記水平部に所定角度範囲で前後回動可能に取り付けられた芯体とよりなる可倒式ヘッドレストのインサートにおいて、
    前記スティは水平部にその外周面の一部が窪んであるいは切り欠かれてなる最大回動規制面と回動開始規制凹部が形成され、
    一方、前記芯体は、金属板からなる本体部の下部に、前記スティの水平部を巻き込んで回動可能に保持する筒部が形成されるとともに、該筒部における前記回動規制面と対向する部位に、当該芯体の最大回動時に前記最大回動規制面と当たって芯体の回動を規制する最大回動規制突部が設けられ、
    また、前記芯体には、前記スティの水平部の外周面にバネ弾性により当接して、該芯体の最大回動時に前記回動開始規制凹部にはまり、該芯体の最大回動位置からの回動により前記回動開始規制凹部の側壁を乗り越えることのできる係合突部を備えるバネ片が設けられていることを特徴とする可倒式ヘッドレストのインサート。
  2. 請求項1において、芯体がスティの脚部の略延長上方の位置と前記脚部の前方位置間で回動し、該芯体が脚部の略延長上方の位置となった時点でスティの回動開始規制凹部にバネ片の係合突部がはまることを特徴とする可倒式ヘッドレストのインサート。
  3. 2本の脚部の上端間に断面略円形の水平部が形成された略コの字形のスティと、前記水平部に所定角度範囲で前後回動可能に取り付けられた芯体とよりなる可倒式ヘッドレストのインサートが、前記芯体およびスティの水平部でヘッドレストの枕部内に埋設されて該枕部が可倒にされたヘッドレストにおいて、
    前記スティは水平部にその外周面の一部が窪んであるいは切り欠かれてなる最大回動規制面と回動開始規制凹部が形成され、
    一方、前記芯体は、金属板からなる本体部の下部に、前記スティの水平部を巻き込んで回動可能に保持する筒部が形成されるとともに、該筒部における前記回動規制面と対向する部位に、当該芯体の最大回動時に前記最大回動規制面と当たって芯体の回動を規制する最大回動規制突部が設けられ、
    また、前記芯体には、前記スティの水平部の外周面にバネ弾性により当接して、該芯体の最大回動時に前記回動開始規制凹部にはまり、該芯体の最大回動位置からの回動により前記回動開始規制凹部の側壁を乗り越えることのできる係合突部を備えるバネ片が設けられていることを特徴とする可倒式ヘッドレスト。
  4. 請求項3において、芯体がスティの脚部の略延長上方の位置と前記脚部の前方位置間で回動し、該芯体が脚部の略延長上方の位置となった時点でスティの回動開始規制凹部にバネ片の係合突部がはまることを特徴とする可倒式ヘッドレストのインサート。
JP15910796A 1996-05-29 1996-05-29 可倒式ヘッドレストのインサートおよび可倒式ヘッドレスト Expired - Lifetime JP3751365B2 (ja)

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