JP3751325B2 - 電子部品の樹脂封止成形方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、例えば、リードフレームに装着したIC、LSI、ダイオード、コンデンサー等の電子部品を樹脂材料によって封止するための樹脂封止成形方法の改良に係り、特に、電子部品の樹脂封止成形体(モールドパッケージ)の内外にボイド(気泡)が形成されるのを防止するものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、トランスファモールド法によって電子部品を樹脂封止成形することが行われているが、この方法は、例えば、樹脂封止成形装置を用いて、通常、次のように行われている。
【0003】
即ち、予め、樹脂封止成形装置における上型(固定型)及び下型(可動型)を加熱手段にて樹脂成形温度にまで加熱すると共に、該上下両型を型開きする。
次に、電子部品を装着したリードフレームを上記下型の型面における所定位置に供給セットすると共に、樹脂タブレットを下型ポット内に供給する。
次に、上記下型を上動して、該上下両型を型締めする。このとき、電子部品とその周辺のリードフレームは、該上下両型の型面に対設した上下両キャビティ内に嵌装セットされることになり、また、上記ポット内の樹脂タブレットは加熱されて順次に溶融化されることになる。
次に、上記ポット内の樹脂タブレットをプランジャにより加圧して溶融化された樹脂材料を樹脂通路部を通して上記上下両キャビティに注入充填させると、該両キャビティ内の電子部品とその周辺のリードフレームは、該両キャビティの形状に対応して成形される樹脂封止成形体内に封止されることになる。
従って、上記溶融樹脂材料の硬化に必要な所要時間の経過後に、該上下両型を型開きすると共に、該上下両キャビティ内の樹脂封止成形体とリードフレーム及び樹脂通路部内の硬化樹脂を夫々離型させればよい。
【0004】
また、上記上下両型の型締時において、該両型面に構成される空間部、即ち、上記したポット部と樹脂通路部及び上下両キャビティ部等から構成される金型の型内空間部には水分(例えば、大気中の湿気等)を含んだ空気が残溜しているため、この残溜空気が溶融樹脂材料中に混入して樹脂封止成形体の内部及び外部にボイドが形成されると云った樹脂成形上の問題がある。
また、樹脂封止成形体にボイドが形成されるのは、樹脂タブレットの内部に含まれている空気や水分と、樹脂タブレットの加熱時に発生する燃焼ガス等のガス類の存在が上記ボイド形成の大きな要因であると考えられる。
即ち、樹脂タブレットは樹脂パウダーを単に所定形状に押し固めたものであるから、その内部には大気中の湿気を含む空気が多量に含まれており、その空気や水分は樹脂タブレットが樹脂成形温度(例えば、 175℃以上)にまで加熱されたときに水蒸気となるため、この水蒸気が上記した燃焼ガス類と共に溶融樹脂材料中に混入し、その状態でキャビティ内に注入充填されることになるからである。
樹脂封止成形体の内部にボイドが形成されると、リードフレームと樹脂との接着性が悪くなり、また、樹脂とリードフレームとの間隙から水分が浸入し易くなって製品の耐湿性を損ない、更に、アウターリードの基部に加えられる折曲加工力によって樹脂封止成形体にクラックが入り易く、従って、この種製品に強く要請されている高品質性・高信頼性を得ることができないと云う問題がある。
このような問題を解消するために、従来より、上記キャビティ部と金型外部とをエアベントにて連通接続させることにより、上下両キャビティ内への溶融樹脂材料の注入充填作用を利用して、上記残溜空気を該エアベントを通して外部に自然に排気する手段が採用されているが、この自然排気手段では残溜空気の外部排出作用が不充分であって確実な効果を得ることが難しいために、ボイドの発生を有効に阻止することができない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このため、上記自然排気手段に代えて、或は、これに加えて、上記型内空間部と真空機構(減圧機構)とを連通接続させることにより、該残溜空気を真空引きしてこれを外部へ効率良く排出すると云う試みがなされている(例えば、特開平5−318528号公報、特開昭62−273742号公報等)。
この真空引き手段は、上記した自然排気手段に較べて、より効率良く残溜空気の外部排出作用を行うことができると云った利点があるが、ボイドの発生をなお充分に且つ有効に阻止することができないのが実情である。
【0006】
例えば、金型キャビティ内への樹脂注入工程において、図5に概略図示するように、ポット部にて加熱溶融化された溶融樹脂材料18を樹脂通路部19を通して上下両キャビティ側に加圧移送する場合、該樹脂通路部19の内面に接触しながら流動する溶融樹脂材料18の内部から表面部へ流出したガス類20は、これを比較的容易に外部へ吸引排出することができる。
しかしながら、該溶融樹脂材料18の内部のガス類21の全てがその表面部へ流出することはなく、特に、その中心部を流動するガス類21は該溶融樹脂材料18中に混入した状態で上下両キャビティ内に注入充填されることになる。
従って、上下両キャビティ内に注入充填された上記ガス類21が樹脂封止成形体(図1の符号16参照)の内部ボイドとして形成され、或は、その外部欠損部として形成されることになるのである。
【0007】
そこで、本発明は、型内空間部に残溜する空気・水分、熱硬化性樹脂材料(樹脂タブレット)自体に含まれている空気・水分、及び、熱硬化性樹脂材料を加熱したときに発生するガス類を型内空間部の外部へ効率良く且つ確実に排出することにより、これらのものが溶融樹脂材料中に混入することに起因して樹脂封止成形体にボイドが形成されるのを防止して、高品質性及び高信頼性を備えた製品を成形することができる電子部品の樹脂封止成形方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る電子部品の樹脂封止成形方法は、金型キャビティ部の所定位置にリードフレームに装着した電子部品を供給セットすると共に、金型ポット内に供給した樹脂材料を加熱溶融化し且つ該溶融樹脂材料を上記金型キャビティ内に注入充填させることによって、該金型キャビティ内に嵌装した上記電子部品を樹脂封止する電子部品の樹脂封止成形方法であって、少なくとも、上記金型の型締時において構成される上記金型ポットと、上記金型キャビティ、及び、該金型ポットと該金型キャビティとを連通接続させた樹脂通路部等から成る型内空間部を、外部と遮断する外気遮断工程を行うと共に、上記外気遮断工程時において、上記型内空間部の真空度を1Torr以下に設定した状態で該型内空間部に残溜する空気・水分と樹脂材料自体に含まれている空気・水分及び樹脂材料を加熱したときに発生するガス類を該型内空間部の外部へ強制的に排出する真空引き工程と、上記金型キャビティ内への樹脂注入充填工程とを同時に行うと共に、該樹脂注入充填工程時に、上記溶融樹脂材料中に混入した残存空気・水分・ガス類を少なくとも金型ポットと金型キャビティとの間及び該金型キャビティの各部位において該溶融樹脂材料の内部から流出させる工程を行い、且つ、この工程が金型ポットと金型キャビティとの間に狭幅状に絞られた樹脂通路とゲートとを連通して接続させると共に、該樹脂通路とゲートとの間に広幅状の樹脂通路を介在配置させることにより、上記金型ポットから金型キャビティ内に移送注入される溶融樹脂材料が上記狭幅樹脂通路から広幅樹脂通路内に注入される際に該溶融樹脂材料に対する圧縮応力を減少させて、該溶融樹脂材料中に混入する空気・水分・ガス類を該広幅樹脂通路内に流出・放出させる作用を行うことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明に係る電子部品の樹脂封止成形方法は、上記した金型ポットと金型キャビティとの間に複数個の広幅樹脂通路を介在配置させることにより、該金型ポットから金型キャビティ内に移送注入される溶融樹脂材料に対して、複数回の空気・水分・ガス類の流出・放出作用を行うことを特徴とするものである。
【0010】
なお、上記真空引き工程時において上記型内空間部の真空度を1Torr以下に設定したのは、次の理由による。
【0011】
即ち、実験により、上記型内空間部を1Torrに満たない真空度に設定した場合においては、該型内空間部の真空引き作用を得ることはできるが、電子部品の樹脂封止成形体にボイドが形成されるのを確実に且つ完全には阻止できないことが判明した。
従って、ボイドの形成を確実に防止するためには、該型内空間部の真空度を1Torr以下に設定する必要があるからである。
【0012】
また、実験により、上記した型内空間部の真空度を1Torr以下に設定した減圧状態下においては、樹脂材料の加熱を迅速に行うことができ、且つ、溶融樹脂材料からのガス発生効率が向上することを確認した。
従って、溶融樹脂材料からのガス発生を促進すると共に、発生したガス類を外部へ効率良く且つ確実に排出するためには、該型内空間部の真空度を1Torr以下に設定する必要があるからである。
【0013】
【作用】
本発明によれば、真空引き工程によって、少なくとも型内空間部を外部と遮断した状態で、該型内空間部に残溜する空気・水分と樹脂材料自体に含まれている空気・水分及び樹脂材料を加熱したときに発生するガス類を該型内空間部の外部へ強制的に排出することができる。
また、上記型内空間部の真空度を1Torr以下に設定した状態で金型キャビティ内への樹脂注入充填工程を行うことができる。
また、上記外気遮断工程時に、上記型内空間部の真空度を1Torr以下に設定した状態で該型内空間部に残溜する空気・水分と樹脂材料自体に含まれている空気・水分及び樹脂材料を加熱したときに発生するガス類を該型内空間部の外部へ強制的に排出する真空引き工程と、上記金型キャビティ内への樹脂注入充填工程とを同時に行うと共に、該樹脂注入充填工程時に、上記溶融樹脂材料中に混入した残存空気・水分・ガス類を少なくとも金型ポットと金型キャビティとの間及び該金型キャビティの各部位において該溶融樹脂材料の内部から流出させる工程を行うことにより、上記した型内空間部の残存空気・水分・ガス類のみならず、溶融樹脂材料中に混入した残存空気・水分・ガス類をも該型内空間部の外部へ効率良く且つ確実に排出することができるため、これらの存在に起因したボイドの形成を確実に防止することができる。
特に、溶融樹脂材料中に混入した残存空気・水分・ガス類を該溶融樹脂材料の内部から流出させるこの工程によって、金型ポットと金型キャビティとの間に狭幅状に絞られた樹脂通路とゲートとを連通して接続させると共に、該樹脂通路とゲートとの間に広幅状の樹脂通路を介在配置させることにより、上記金型ポットから金型キャビティ内に移送注入される溶融樹脂材料が上記狭幅樹脂通路から広幅樹脂通路内に注入される際に該溶融樹脂材料に対する圧縮応力を減少させて、該溶融樹脂材料中に混入する空気・水分・ガス類を該広幅樹脂通路内に流出・放出させる作用を相乗的に向上させることができる。
【0014】
【実施例】
次に、本発明を実施例図に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明方法を実施するための樹脂封止成形装置の要部を示す概略縦断面図であって、該装置における両型の型開状態(若しくは、中間的な型締状態)を示している。
図2は、図1に対応する樹脂封止成形装置の概略縦断面図であって、該装置における両型の完全型締状態を示している。
図3〜5は、溶融樹脂材料中に混入した残存空気・水分・ガス類を該溶融樹脂材料の内部から流出させる工程の説明図である。
【0015】
この樹脂封止成形装置には、上部固定盤に装設される上型1(固定型)と下部可動盤に装設される下型2(可動型)とが対設されている。なお、該上下両型、或は、それらの金型ベースには、ヒータ等の加熱手段(図示なし)が夫々備えられている。
また、上記下型2には、所要複数個のポット3が配設されており、更に、該各ポットの側方位置には所要数の樹脂成形用キャビティ4が配設されている。
また、上記下型ポット3と対応する上型1の位置にはカル部5が対設されると共に、上記下型キャビティ4と対応する上型1の位置には上型キャビティ4が夫々対設されており、更に、該カル部5と上型キャビティ4とはゲート6を介して連通接続されている。
従って、この場合、上下両型(1・2)を図2に示すように型締めすると、ポット3と両キャビティ4とは、カル部5とゲート6から成る短い樹脂通路部を介して、連通接続されるように設けられている。
また、上記ポット3には、該ポット内に供給されるエポキシレジン等の熱硬化性樹脂材料7(樹脂タブレット)を加圧するためのプランジャ8が嵌装されており、更に、該プランジャは、油圧・空圧或は電動モータ等の適宜な駆動機構(図示なし)によって、上下駆動されるように設けられている。
従って、プランジャ8にてポット3内の熱硬化性樹脂材料7を加圧すると、該熱硬化性樹脂材料の加熱溶融化を促進させることができると共に、該ポット部における溶融樹脂材料を上記樹脂通路部(5・6)を通して上下両キャビティ4内に注入することができる。
また、上記上型キャビティ4には、両型の型締時において該両キャビティと金型外部とを連通接続させるためのエアベント9が設けられている。
また、上記ポット3・樹脂通路部(カル部5及びゲート6)・両キャビティ4・エアベント9等の必要最少限の範囲から成る型内空間部内と外気とは、適宜なシール機構10を介して遮断できるように設けられている。
なお、上記したシール機構10による外気遮断範囲は、例えば、樹脂封止成形装置の全体であってもよく、また、上下両型(1・2)の全体のみであっても差し支えなく、従って、その外気遮断範囲は適宜に設定することができるものである。
また、上記シール機構10と真空ポンプ等から成る真空機構11とは、真空ホース等の適宜な真空経路12を介して連通接続されている。
【0016】
図中の符号13は電子部品14を装着したリードフレーム15を嵌装セットするための凹所であり、また、同符号16は樹脂封止成形体を示している。
【0017】
以下、上記した構成を備えた成形装置を用いて、リードフレーム15上に装着された電子部品14を樹脂封止する場合について説明する。
まず、真空機構11を作動させてシール機構10による外気遮断範囲内の残溜空気17等を外部へ強制的に吸引排出する真空引きを行って、該外気遮断範囲内を後述する所定の真空状態(減圧状態)に維持する。
この真空状態は、図1に示す上下両型(1・2)の型開時、及び、図2に示す上下両型の型締時のいずれにおいても維持することが好ましいが、少なくとも、図2に示す上下両型の型締時において該両型により構成される型内空間部内を所定の真空状態に維持できるように設けられておればよい。
次に、図1に示すように、下型2を下動させて上下両型(1・2)の型開きを行うと共に、各下型ポット3内に熱硬化性樹脂材料7を夫々供給すると共に、リードフレーム15を下型2における凹所13に供給セットする。
次に、この状態で、図2に示すように、下型2を上動させて上下両型(1・2)の型締めを行う。
【0018】
なお、上記各ポット3内に供給した熱硬化性樹脂材料7は上下両型(1・2)に設けた加熱手段により加熱されて膨張・軟化しながら順次に溶融化されるが、このとき、該熱硬化性樹脂材料7の内外は通気可能な状態となって、その内部に含まれていた空気・水分が該ポット3内に流出する。
即ち、熱硬化性樹脂材料7を加熱されたポット3内に供給すると、該熱硬化性樹脂材料7は、該ポット3からの輻射熱や伝導熱により加熱されて膨張する加熱膨張作用と、該ポット3内における真空引き作用による膨張作用、及び、これらの相乗的な作用によって効率良く且つ迅速に膨張することになる。このため、例えば、ポット3内に供給した熱硬化性樹脂材料7の内部に微細な多数の独立気泡が形成されていたとしても、それらの独立気泡は熱硬化性樹脂材料7の上記膨張作用によって確実に破壊されるため、その内外は連通接続して通気可能な状態となるので、該独立気泡に含まれている空気・水分はポット3内に確実に流出することになる。
また、各ポット3内の熱硬化性樹脂材料7は加熱時にガス類を発生させる。
【0019】
しかしながら、上記真空機構11による真空引き作用を行うことにより、上記型内空間部内を真空状態に設定することができるので、その結果、該型内空間部内の残溜空気・水分、該型内空間部内に流出した熱硬化性樹脂材料7内部の空気・水分、及び、該熱硬化性樹脂材料7の加熱時に発生したガス類の全てを、該型内空間部の外部へ強制的に吸引排出することができる。
【0020】
次に、上記各ポット3内の熱硬化性樹脂材料7をプランジャ8にて加圧して、該各ポット部で加熱溶融化された溶融樹脂材料を、樹脂通路部(5・6)を通して、上記両キャビティ4内に夫々注入充填させることによって、該各キャビティ内に嵌装セットしたリードフレーム上の電子部品14を樹脂封止成形体16内に封止することができる。
次に、所要のキュアタイム後に該上下両型(1・2)を再び型開きすると共に、適宜なエジェクタ機構を介して、上下両キャビティ4部のリードフレーム15及び樹脂封止成形体16と、樹脂通路部(5・6)内の硬化樹脂を夫々離型すればよい。
【0021】
図3は、溶融樹脂材料中に混入した残存空気・水分・ガス類を該溶融樹脂材料の内部から流出させる工程の説明図であり、この工程は、上記金型キャビティ内への樹脂注入充填工程と同時に行われる。
即ち、この工程は、同図に示すように、金型ポット30と金型キャビティ40との間に、狭幅状に絞られた樹脂通路50とゲート60を連通して接続させると共に、該樹脂通路50とゲート60との間に広幅状の樹脂通路51を介在させればよい。
この場合、狭幅の樹脂通路50から広幅樹脂通路51内に注入される溶融樹脂材料70は、該広幅樹脂通路51内への注入時においてその圧縮応力が減少されるため、該溶融樹脂材料70中に混入していた空気・水分・ガス類71が該広幅樹脂通路51内に流出・放出されることになる。
また、上記広幅樹脂通路51を通過した溶融樹脂材料は、再度、狭幅に絞られたゲート60を通して金型キャビティ40内に注入されるが、その溶融樹脂材料の注入時においても、上記した場合と同様に、その圧縮応力が減少されるため、該溶融樹脂材料中に混入していた空気・水分・ガス類71が広幅の金型キャビティ40内に流出・放出されることになる。
更に、流出・放出された上記空気・水分・ガス類71は、上記した真空引き工程により、上記金型キャビティ40に連通接続されたエアベント90を通して、効率良く且つ確実に外部へ排出されることになる。
なお、図4に示すように、金型ポット30と金型キャビティ40との間に、複数個の広幅樹脂通路51を介在配置させてもよく、この場合は、複数の広幅樹脂通路51において上記した空気・水分・ガス類71の流出・放出作用が複数回行われることになるため、それらの外部排出をより効率良く且つ確実に行うことができると云った利点がある。
【0022】
なお、実験によれば、上記型内空間部を1Torr以下の真空度に維持することにより、該型内空間部内の残溜空気・水分、該型内空間部内に流出した熱硬化性樹脂材料内部の空気・水分、及び、該熱硬化性樹脂材料の加熱時に発生したガス類の全てを、その外部へ強制的に吸引排出することができる。
このことは、上記の設定条件下において成形された電子部品の樹脂封止成形体(サンプル数 250個)を軟X線非破壊検査装置により検査したところ、0.1 mm以上の大きさのボイドが全く発見されなかったことからも確認できた。
また、上記した型内空間部の真空度を1Torr以下に設定した減圧状態下においては、樹脂材料の加熱を迅速に行うことができ、且つ、溶融樹脂材料からのガス発生効率が向上することを確認した。
従って、溶融樹脂材料からのガス発生を促進すると共に、発生したガス類を外部へ効率良く且つ確実に排出するためには、該型内空間部の真空度を1Torr以下に設定する必要がある。
【0023】
本発明は、上述した実施例のものに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて、任意に且つ適宜に変更・選択して採用できるものである。
【0024】
【発明の効果】
本発明方法によれば、型内空間部に残溜する空気・水分、熱硬化性樹脂材料自体に含まれている空気・水分、及び、熱硬化性樹脂材料を加熱したときに発生するガス類を型内空間部の外部へ効率良く且つ確実に排出することができるため、これらのものが溶融樹脂材料中に混入して樹脂封止成形体にボイドが形成されるのを確実に防止することができる。
更に、溶融樹脂材料中に混入した残存空気・水分・ガス類をも該型内空間部の外部へ効率良く且つ確実に排出することができるため、これらの存在に起因したボイドの形成を確実に防止することができる。
特に、溶融樹脂材料中に混入した残存空気・水分・ガス類を該溶融樹脂材料の内部から流出させる工程において、金型ポットと金型キャビティとの間に狭幅状に絞られた樹脂通路とゲートとを連通して接続させると共に、該樹脂通路とゲートとの間に広幅状の樹脂通路を介在配置させることにより、上記金型ポットから金型キャビティ内に移送注入される溶融樹脂材料が上記狭幅樹脂通路から広幅樹脂通路内に注入される際に該溶融樹脂材料に対する圧縮応力を減少させて、該溶融樹脂材料中に混入する空気・水分・ガス類を該広幅樹脂通路内に流出・放出させる作用を相乗的に向上させることができる。
従って、高品質性及び高信頼性を備えた製品を成形することができる電子部品の樹脂封止成形方法を提供することができると云った優れた実用的な効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明方法を実施するための樹脂封止成形装置の要部を示す概略縦断面図であって、該樹脂封止成形装置における両型の型開状態(若しくは、中間的な型締状態)を示している。
【図2】 図1に対応する樹脂封止成形装置の概略縦断面図であって、該樹脂封止成形装置における両型の完全型締状態を示している。
【図3】 図3は、本発明方法を実施するための樹脂封止成形装置の要部を示す概略平面図であって、溶融樹脂材料中に混入した残存空気・水分・ガス類を該溶融樹脂材料の内部から流出させる工程の説明図である。
【図4】 図4は、本発明方法を実施するための他の樹脂封止成形装置の要部を示す概略平面図であって、溶融樹脂材料中に混入した残存空気・水分・ガス類を該溶融樹脂材料の内部から流出させる工程の説明図である。
【図5】 図5は、樹脂封止成形装置における樹脂通路部の要部を示す概略縦断面図であって、該樹脂通路部を流動する溶融樹脂材料の流動作用説明図である。
【符号の説明】
1…上 型(固定型)
2…下 型(可動型)
3…ポット
4…キャビティ
5…カル部
6…ゲート
7…熱硬化性樹脂材料(樹脂タブレット)
8…プランジャ
9…エアベント
10…シール機構
11…真空機構
12…真空経路
13…凹 所
14…電子部品
15…リードフレーム
16…樹脂封止成形体
17…残溜空気等
18…溶融樹脂材料
19…樹脂通路部
20…ガス類
21…ガス類
30…ポット
40…キャビティ
50…狭幅樹脂通路
51…広幅樹脂通路
60…ゲート
70…溶融樹脂材料
71…ガス類
90…エアベント

Claims (2)

  1. 金型キャビティ部の所定位置にリードフレームに装着した電子部品を供給セットすると共に、金型ポット内に供給した樹脂材料を加熱溶融化し且つ該溶融樹脂材料を上記金型キャビティ内に注入充填させることによって、該金型キャビティ内に嵌装した上記電子部品を樹脂封止する電子部品の樹脂封止成形方法であって、
    少なくとも、上記金型の型締時において構成される上記金型ポットと、上記金型キャビティ、及び、該金型ポットと該金型キャビティとを連通接続させた樹脂通路部等から成る型内空間部を、外部と遮断する外気遮断工程を行うと共に、
    上記外気遮断工程時において、上記型内空間部の真空度を1Torr以下に設定した状態で該型内空間部に残溜する空気・水分と樹脂材料自体に含まれている空気・水分及び樹脂材料を加熱したときに発生するガス類を該型内空間部の外部へ強制的に排出する真空引き工程と、上記金型キャビティ内への樹脂注入充填工程とを同時に行うと共に、該樹脂注入充填工程時に、上記溶融樹脂材料中に混入した残存空気・水分・ガス類を少なくとも金型ポットと金型キャビティとの間及び該金型キャビティの各部位において該溶融樹脂材料の内部から流出させる工程を行い、且つ、この工程が金型ポットと金型キャビティとの間に狭幅状に絞られた樹脂通路とゲートとを連通して接続させると共に、該樹脂通路とゲートとの間に広幅状の樹脂通路を介在配置させることにより、上記金型ポットから金型キャビティ内に移送注入される溶融樹脂材料が上記狭幅樹脂通路から広幅樹脂通路内に注入される際に該溶融樹脂材料に対する圧縮応力を減少させて、該溶融樹脂材料中に混入する空気・水分・ガス類を該広幅樹脂通路内に流出・放出させる作用を行うことを特徴とする電子部品の樹脂封止成形方法。
  2. 金型ポットと金型キャビティとの間に複数個の広幅樹脂通路を介在配置させることにより、該金型ポットから金型キャビティ内に移送注入される溶融樹脂材料に対して、複数回の空気・水分・ガス類の流出・放出作用を行うことを特徴とする請求項1に記載の電子部品の樹脂封止成形方法。
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