JP3749981B2 - ディスクカートリッジ用の収納ケース - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
薄い角箱状のカートリッジケース内に、光ディスクや光磁気ディスク等のディスク状の信号記録媒体を内蔵したディスクカートリッジがある。本発明は、この種のディスクカートリッジを収納保存するためのブックケース型の収納ケースに関する。収納ケースには常時開口するケース前面の第1開口と、蓋体で開閉されるケース上面の第2開口とが設けてある。
【0002】
【従来の技術】
かかるディスクカートリッジのひとつにミニディスク(以下単にMDという)がある。MD用の収納ケースは薄い角箱状に形成してあり、ケース前側面に出入口を設けてブックケース状に構成してある。ケース内には一対のロック体が組み込んであり、MDを収納ケースに差し込んで、両ロック体をカートリッジケースの下面両側の位置決め凹部に落とし込み係合することにより、MDが収納ケースから滑落するのを防止できる。この収納ケースは、MDを収納ケースに単に挿嵌し、あるいはMDをロック体の弾性に抗して収納ケースから抜き出し操作するだけで、手軽に出し入れできる。しかし、出入口の開口幅が5〜6mm前後と狭いため、例えば薄暗い場所等ではMDを収納ケースに挿嵌し辛い。インデックスカードの収納ケースへの出し入れも煩雑となる。
【0003】
上記のような使用上の不便を解消するために、本出願人はケース前面の第1開口とは別に、ケース上面をも開閉できる収納ケースを先に提案した。そこでは、図9に示すように、蓋体50をケース本体51で前後スライド自在に支持して、蓋体50を閉じ位置から矢印aで示す分だけスライド開放したのち上開き揺動して、ケース上面の第2開口52を開放する蓋開閉構造を採った。他物と衝突し、あるいは落下衝撃を受けた蓋体50が、簡単に開くのを防ぐためである。なお、蓋体50は蓋側壁53に突設した軸54と、側壁54の内面のリブ55で区画したガイド溝56を介してケース本体51に連結してある。蓋側壁53はケース本体51の側壁57より内側に、先のリブ55の突設寸法分だけ間隔をあけて配置してある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の収納ケースでは、常態において左右一対の蓋側壁53の間にMDを収容するので、蓋体50をスライド開放すると、それまで蓋側壁53で規定されていた第1開口58の実質開口幅が拡大することになる。詳しくは、左右の蓋側壁53の厚み寸法と、左右のリブ55の突出寸法の合計値分だけ実質開口幅が拡がる。そのため、蓋体50をスライド開放した状態でMDをケース内へ装填する際に、MDが左右方向へ位置ずれしやすい。場合によってはMDの装填端が蓋側壁53の前端に受け止められることもあり、MDの装填をスムーズに行えない。
【0005】
本発明の目的は、蓋体を一定量スライド開放した状態においても、ディスクカートリッジを適正に収納できるようにすることにある。本発明の目的は、ディスクカートリッジを抜き取った空状態の収納ケースのケース強度を向上し、とくに蓋体の主面壁がケース本体の底壁に接近する向きの外力を受ける場合にも、主面壁のたわみ変形を極力避けて、ケースの変形や破損を防止することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ケース本体10と蓋体11とでディスクカートリッジ1用の収納室が区画してあり、ケース前面にディスクカートリッジ1を出し入れする第1開口12が設けてあるブックケース型の収納ケースを対象とする。ケース本体10の上面にはディスクカートリッジ1およびインデックスカードを出し入れする第2開口17を設ける。蓋体11は、ケース本体10の左右の側壁15と蓋体11の蓋側壁19との間に設けた、軸21および前後に長いガイド溝22を介してケース本体10に連結されていて、第2開口17を閉止する閉じ位置と、ガイド溝22に沿って第1開口12から遠ざかる側へスライド移動する開放待機位置と、ガイド溝22の端部において上開き揺動して第2開口17を開放する開放位置とに変位できるようケース本体10に支持する。ケース本体10の底壁14の第1開口12の近傍左右に、蓋側壁19と協同してディスクカートリッジ1の左右方向の遊動を規制する規制リブ35を突設する。
【0007】
具体的には、蓋側壁19と規制リブ35の形成範囲が重複する場合には、閉じ位置において、規制リブ35との接当干渉を避ける切欠部37を、蓋側壁19の前部に形成する。
【0008】
規制リブ35の前後長さは、少なくとも蓋体11のスライド開放ストロークと同じに設定する。左右の規制リブ35の前部に、第1開口12の側へ向かって外拡がり状に傾斜する挿入ガイド部36を形成する。
【0009】
蓋体11の主面壁18が、ケース本体10の左右の側壁15の間に嵌まり込んで第2開口17を閉止している収納ケースにおいて、蓋側壁19の外側面側の切欠縁に、規制リブ35と接当して、蓋側壁19が規制リブ35の内側面側へ落ち込むのを防ぐための接当片38を突設する。
【0010】
【作用】
第1開口12に面した底壁14の左右に規制リブ35を設け、この規制リブ35でディスクカートリッジ1の左右遊動を規制するので、蓋体11を開放待機位置へスライドした状態においても、ディスクカートリッジ1をスムーズに差し込み装填できる。装填時に、ディスクカートリッジ1の装填端が蓋側壁19に当たって引っ掛かることもない。
【0011】
規制リブ35の上下高さ寸法および前後長さ寸法は、収納ケースの内法高さ寸法と、閉じ位置における軸21と第1開口12との間の前後範囲内で自由に変更できる。従って、蓋側壁19と規制リブ35の形成範囲が重複する場合には、蓋側壁19に切欠部37を設けて、閉じ位置において蓋側壁19が規制リブ35と接当干渉するのを避ける。規制リブ35の前部に挿入ガイド部36を形成すると、第1開口12の側からディスクカートリッジ1をケース内へ差し込み装填する場合に、その装填端を挿入ガイド部36で位置決め案内して、より容易にディスクカートリッジ1を装填できる。
【0012】
上記のように切欠部37を設けた蓋側壁19においては、主面壁18に外力が作用するとき、主面壁18や蓋側壁19の一部が弾性変形されて、蓋側壁19の切欠部37の周縁壁が規制リブ35の内側へ落ち込むことがある。とくに、ケース本体10の左右の側壁15の間に主面壁18が嵌まり込む状態で第2開口17を閉止する場合に、その傾向が強い。しかし、切欠部37の切欠縁の外面に接当片38を突設しておくと、蓋側壁19が規制リブ35より内側へたわみ変形したとしても、接当片38が規制リブ35と接当して、蓋側壁19が規制リブ35の上端面より下方へ落ち込むのを確実に防止し、主面壁18のたわみ変形を極力避けることができる。規制リブ35は補強作用を発揮して、底壁14のたわみ変形を抑止することにも役立つ。
【0013】
【実施例】
図1ないし図6は本発明の実施例を示しており、これはMD(ディスクカートリッジ)用の収納ケースに供するものである。図2においてMD1は、光磁気ディスク2が薄角箱状のカートリッジケース3に収まっており、カートリッジケース3の上下両面の一側に開口した信号読み取り窓4をシャッター5でスライド開閉できる。カートリッジケース3の下ハーフの左右両側の後部には、位置決め用の凹部6が半長円状にそれぞれ凹設されている。
【0014】
図2において、収納ケースはケース本体10と蓋体11とで内部に収納室が区画してある薄形角箱状のケースからなり、ケース前面にMD1を出し入れするための第1開口12が設けてある。収納室の内部には、MD1と共にインデックスカードを収容できる。
【0015】
図1においてケース本体10は、底壁14と、左右一対の側壁15・15と、底壁14の後縁に立設した後壁16とを一体に形成した、上面および前面が開口するプラスチック成形品からなり、ケース前面の開口を先の第1開口12とし、ケース上面の開口を第2開口17とする。蓋体11は、第2開口17の全体を上面側から閉止する主面壁18と、主面壁18の左右両側の下面側に突設した左右一対の蓋側壁19と、主面壁18の後縁の左右両端から下方に突設した蓋後壁20とを一体に形成したプラスチック成形品からなり、透明ないし半透明のプラスチック材で形成する。両蓋側壁19の対向間隔は、MD1の左右幅寸法より僅かに大きく設定してある。
【0016】
ケース本体10と蓋体11とは次のように連結することにより、先の第2開口17を蓋体11で開閉する。図1および図5に示すように、蓋体11の左右の蓋側壁19の中途部の下端外面に軸21をそれぞれ外向きに突設し、ケース本体10の左右側壁15の後端下部にガイド溝22を設け、このガイド溝22で軸21を受け入れ支持する。ガイド溝22は、側壁15の内面に突設したリブ23で区画してある。ガイド溝22の長さは、後述するロック体30の装着位置との関係で規定しており、蓋体11を開放待機位置までスライド開放したとき、ロック体30がケース後方へ十分に突出できる長さに設定する。
【0017】
蓋体11は、主面壁18がケース本体10の左右側壁15の間に面一状に嵌まり込んで、第2開口17を完全に閉止する図5(a)の閉じ位置と、図5(b)に示すように全体がガイド溝22に沿って第1開口12から遠ざかる向き(後方)へスライド移動した開放待機位置と、図5(c)の想像線で示すように全体が軸21を中心にして上開き揺動して第2開口17を開放する開放位置とに変位できる。蓋体11の後方ライドを許すために、図1に示すごとく後壁16の左右両端には、それぞれ開口25を設けてある。さらに、蓋体11が揺動開閉するとき、蓋側壁19がケース本体10の底壁14と接当干渉するのを防ぐために、蓋側壁19の軸21より後ろ側の壁面に逆V字形の切欠26を設けている。
【0018】
閉じ位置において、蓋体11が不用意にケース後方へスライド移動するのを規制するために、蓋側壁19と左右の側壁15との対向面間にスライドロックを設ける。図3および図5においてスライドロックは、蓋側壁19の外側面の前端上部に突設した係合片27と、係合片27に対応して両側壁15の内側面の前端上部に突設したロック壁28とからなる。係合片27の上面前端には、ロック壁28に係合する突部29を設ける。閉じ位置において、突部29はロック壁28の前面に下方から接当係合して、蓋体11が後方へスライドするのを規制する。係合片27を弾性変形させながら突部29がロック壁28の下面をくぐり抜けた時点で、スライドロックはロック解除状態に切り換わる。
【0019】
収納ケースの取り扱い時にMD1が収納ケースから滑落するのを防ぐために、蓋体11の左右の蓋側壁19にそれぞれロック体30を設ける。図4においてロック体30は、前後一対の係合爪31を有するコ字枠状の基部32と、基部32の下部に連続する台形枠状の弾性腕33とを一体に形成したプラスチック成形品からなり、係合爪31を蓋側壁19に圧嵌係合して装着する。この装着状態において、弾性腕33は蓋側壁19の内側方に突出するので、図4に示すようにMD1を収納ケースに装填した状態では、弾性腕33が凹部6に外側方から係合できる。
【0020】
開放待機位置や開放位置において、MD1をケース本体10内へスムーズに装填するために、底壁14の左右に一対の規制リブ35を側壁15と平行に突設する。図1に示すように規制リブ35は第1開口12の近傍からガイド溝22の近傍にわたって設けてあり、その前端に挿入ガイド部36を一体に形成する。一対の挿入ガイド部36は、第1開口12の側へ向かって外広がり上に傾斜する状態でそれぞれ湾曲してある。挿入ガイド部36を除く規制リブ35の対向間隔は、蓋側壁19の対向間隔と一致している。そこで、蓋側壁19の前半側下部に切欠部37を設け、蓋体11を閉じた状態において、規制リブ35と蓋側壁19とが切欠部37を介して上下に隣接できるようにしている。
【0021】
蓋体11に外力が作用するとき、上記の切欠部37の周縁壁が規制リブ35の内面側へ落ち込むおそれがある。とくに、主面壁18が両側壁15の間に嵌まり込む状態で第2開口17を閉止する蓋構造を採るときに、その傾向が顕著に表れる。こうした蓋側壁19の落ち込みを確実に防止して、主面壁18のたわみ変形を防ぐために、蓋側壁19に接当片38を設ける。詳しくは、図6に示すように、切欠部37に臨む蓋側壁19の前端寄り外側面に、四角形状の接当片38を水平に突設する。
【0022】
以上のように構成した収納ケースは、使用状況に応じて蓋体11を閉じた状態と、開放待機位置へスライド開放した状態と、第2開口17の全体を開放した状態のいずれの状態ででも、MD1やインデックスカードを出し入れできる。開放待機位置や開放位置においては、蓋側壁19をガイド部材に利用してMD1を装填できない。しかし、ケース本体10の側に一対の規制リブ35を設けているので、装填端を規制リブ35に当てがいながらMD1を差し込むことにより、MD1を左右方向へ位置決めした状態でケース本体10に容易に装填できる。この後に、蓋体11を閉じ位置へスライド閉止すると、ロック体30が凹部6と係合してMD1を滑落不能にロック保持できる。規制リブ35は底壁14の補強材としても機能しており、底壁14が厚み方向へたわみ変形するのを抑止することに役立っている。
【0023】
規制リブ35と側壁15との間には、リブ23の突出寸法分の隙間が形成される。この隙間を利用して、接当片38を図7に示すように断面L字状に形成し、その縦壁38aを規制リブ35の外側面で受け止めることができる。こうした接当片38によれば、蓋側壁19が規制リブ35の内側へたわみ変形するのを解消できる。
【0024】
図8において規制リブ35は、その上端面が主面壁18の内面と接当する高さに形成できる。この場合には、規制リブ35の前後方向の形成範囲より後方にのみ蓋側壁19を設けることとなる。接当片38は主面壁18の内面側端に突設する。
【0025】
上記以外に、規制リブ35は前後寸法の小さな直方体ブロックやピン状の突起として形成でき、これらの一群を直線列状に配置して形成できる。規制リブ35の前後寸法は任意量に設定できるが、少なくとも蓋体11のスライド開放ストロークと同じ程度であることが好ましい。軸21を側壁15の内面に突設し、蓋側壁19の側にリブ23を突設してガイド溝22を形成することができる。蓋体11は閉じ位置から90度起立した位置まで開放できるに越したことはないが、開放位置において主面壁18が傾斜する状態であってもよい。
【0026】
【発明の効果】
本発明では、ケース本体10の底壁14に規制リブ35を設けて、蓋体11をスライド開放した状態においても、ディスクカートリッジ1を規制リブ35で位置決めし、同時に装填時の姿勢および方向をガイドできるようにした。従って、蓋体11をスライド開放し、あるいは第2開口17を開放した状態においても、ディスクカートリッジ1をケース本体10に対して適正に装填でき、必要に応じて第1開口12と第2開口17のいずれの側からでもMD1を出し入れできる収納ケースの使い易さを更に向上できる。蓋側壁19に接当片38を設けて、蓋側壁19が規制リブ35の内面側へ落ち込むのを防止できるようにしたので、蓋体11の主面壁18が異常にたわみ変形するのを確実に防止して、空状態のケース強度を向上でき、例えば誤って収納ケースを踏み付けてしまった場合にも、ケースが変形したり破損するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】蓋体とケース本体を分解した状態の斜視図である。
【図2】収納ケースの内部構造を示す一部破断平面図である。
【図3】図2におけるA−A線断面図である。
【図4】図2におけるB−B線断面図である。
【図5】蓋体の動作を閉じ位置と開放待機位置および開放位置の各動作位置において示す断面図である。
【図6】図2におけるC−C線断面図である。
【図7】接当片の変形例を示す断面図である。
【図8】規制リブの変形例を示す断面図である。
【図9】収納ケースの比較例を示す縦断側面図である。
【符号の説明】
1 ディスクカートリッジ
10 ケース本体
11 蓋体
12 第1開口
14 底壁
17 第2開口
18 主面壁
19 蓋側壁
21 軸
22 ガイド溝
35 規制リブ
36 挿入ガイド部
37 切欠部
38 接当片
Claims (3)
- ケース本体(10)と蓋体(11)とでディスクカートリッジ(1)用の収納室が区画してあり、ケース前面にディスクカートリッジ(1)を出し入れする第1開口(12)が設けてあるブックケース型の収納ケースであって、
ケース本体(10)の上面にディスクカートリッジ(1)およびインデックスカードを出し入れする第2開口(17)が設けられており、
蓋体(11)は、ケース本体(10)の左右の側壁(15)の内面と蓋体(11)の蓋側壁(19)の外面との間に設けた、軸(21)および前後に長いガイド溝(22)を介してケース本体(10)に連結されていて、第2開口(17)を閉止する閉じ位置と、ガイド溝(22)に沿って第1開口(12)から遠ざかる側へスライド移動する開放待機位置と、ガイド溝(22)の端部において上開き揺動して第2開口(17)を開放する開放位置とに変位できるようケース本体(10)に支持されており、
ケース本体(10)の底壁(14)の第1開口(12)の近傍左右に、蓋側壁(19)と協同してディスクカートリッジ(1)の左右方向の遊動を規制する規制リブ(35)が突設されており、
蓋体(11)が前記閉じ位置あるときに、規制リブ(35)と蓋側壁(19)との接当干渉を避けるための切欠部(37)が、蓋側壁(19)の前部に形成してあるディスクカートリッジ用の収納ケース。 - 規制リブ(35)の前後長さが、少なくとも蓋体(11)のスライド開放ストロークと同じに設定してあり、
左右の規制リブ(35)の前部に、第1開口(12)の側へ向かって外拡がり状に傾斜する挿入ガイド部(36)が形成されている請求項1記載のディスクカートリッジ用の収納ケース。 - 蓋体(11)の主面壁(18)が、ケース本体(10)の左右の側壁(15)の間に嵌まり込んで第2開口(17)を閉止しており、
蓋側壁(19)の外側面側の切欠縁に、規制リブ(35)と接当して蓋側壁(19)が規制リブ(35)の内側面側へ落ち込むのを防ぐための接当片(38)が突設されている請求項1又は2記載のディスクカートリッジ用の収納ケース。
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JPH10129780A JPH10129780A (ja) | 1998-05-19 |
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