JP3755682B2 - ディスクカートリッジ用の収納ケース - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
薄い角箱状のカートリッジケース内に、光ディスクや光磁気ディスク等のディスク状の信号記録媒体を内蔵したディスクカートリッジがある。本発明は、この種のディスクカートリッジを収納保存するための収納ケースに関する。
【0002】
【従来の技術】
かかるディスクカートリッジのひとつにミニディスク(以下単にMDという)がある。MD用の収納ケースは薄い角箱状に形成してあり、ケース前側面に出入口を設けてブックケース状に構成してある。ケースの左右側壁の内奥寄りには一対のロック体が組み込んであり、MDを収納ケースに差し込んで、両ロック体をカートリッジケースの下面両側の位置決め凹部に落とし込み係合することにより、MDが収納ケースから滑落するのを防止できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の収納ケースは、ケース内に収めたMDをロック体で係合保持して、MDが自重で滑り出すのを防いでいる。そのため、MDを取り出す際には、収納ケースとMDとを左右の手でつかんで、両者を引き離すように抜き出し操作しなければならず、例えば自動車の車内でのMDの取り出し操作が煩わしい。MDを収納ケースに収める場合には、MDの周側面を出入口と正しく正対した状態でケース内へ差し込む必要があるが、出入口の開口幅が5mm前後と狭いので、とくに薄暗い場所等ではMDを挿嵌し辛い。
【0004】
本発明の目的は、収納ケースの出入口の構造を改良することによって、ディスクカートリッジの出し入れを簡便に行うにある。本発明の目的は、ディスクカートリッジの収納ケースからの取り出しが片手のみでも行えるようにすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の収納ケースは、ケース本体10と蓋体11とからなり、ケース前部にディスクカートリッジ1の出入口12が開口してある。出入口12は、ケース前面で開口する第1開口12aと、第1開口12aに連続してケース上面に開口する第2開口12bとからなる。蓋体11は、第2開口12bを開閉できるよう、ケース本体10に前後スライド自在に支持する。ディスクカートリッジ1の外面に設けた凹部6と係合するロック体30を有し、このロック体30は蓋体11の脚壁19に設ける。蓋体11の開放スライド動作に連動して、ロック体30と凹部6との係合状態を解除できるようにする。
【0006】
具体的には、ケース本体10の側壁15と蓋体11との間に、蓋体11の開放移動を規制するスライドロックSを設ける。ケース本体10の側壁15に、前後に長いガイド溝22を形成し、蓋体11の脚壁19に、ガイド溝22に沿って前後スライドする軸21を突設する。以て、蓋体11を軸21とガイド溝22を介してケース本体10に連結する。蓋体11の主面壁18の上面には、蓋体11の開放方向を示す開放表示34を設けることができる。
【0007】
【作用】
出入口12はケース本体10の前面および上面で開口する第1開口12aと第2開口12bとで形成して、出入口12の開口構造を立体化し、同時に開口面積を増加させているので、ディスクカートリッジ1の出し入れが容易になる。蓋体11をスライド開放した状態では、両開口12a・12bを介してケース本体10の前部内面が露出するので、その左右の側壁15や底壁14を位置決め部材に利用して、これら両壁14・15にディスクカートリッジ1を当てがいながら挿嵌でき、例えば手さぐり状態でもディスクカートリッジ1を収納ケースに容易に収納できる。蓋体11をスライド開放操作すると、ロック体30と凹部6の係合状態が解除される。従って、蓋体11をスライド開放した後は、例えば収納ケースの全体を傾斜させると、ディスクカートリッジ1が出入口12から滑り出る。つまり、片手のみで蓋体11を開放し、ディスクカートリッジ1を取り出せる。
【0008】
ディスクカートリッジ1をケース内に収めた状態では、蓋体11とディスクカートリッジ1とがロック体30を介して一体化されている。また、ディスクカートリッジ1はケース本体10の後壁16でケース後方への移動が規制されている。従って、蓋体11が開放位置側へ遊動スライドすることはない。しかし、他物との衝突等によってロック体30の弾性力を越える外力が作用すると、蓋体11は容易に開いてしまう。このように、意に反して蓋体11が無闇にスライド開放するのを防ぐために、スライドロックSを設けて蓋体11の開放方向への移動を規制している。
【0009】
【実施例】
図1ないし図5は本発明の実施例を示しており、これはMD(ディスクカートリッジ)用の収納ケースに供するものである。図2においてMD1は、光磁気ディスク2が薄角箱状のカートリッジケース3に収まっており、カートリッジケース3の上下両面の一側に開口した信号読み取り窓4をシャッター5でスライド開閉できる。カートリッジケース3の下ハーフの左右両側の後部には、位置決め用の凹部6が半長円状にそれぞれ凹設されている。
【0010】
図2において、収納ケースはケース本体10と蓋体11とで内部に収納室が区画してある薄形角箱状のケースからなり、ケース前部にMD1を出し入れする出入口12が開口している。
【0011】
図1においてケース本体10は、底壁14と、左右一対の側壁15・15と、底壁14の後縁に立設した後壁16とを一体に形成した、上面および前面が開口するプラスチック成形品からなる。後壁16の左右両側には、蓋体11の後方スライドを許す開口17(図2参照)が切り欠き形成してある。蓋体11は、ケース上面の開口を上面側から閉止する主面壁18と、主面壁18の左右両側の下面側に突設した左右一対の脚壁19と、主面壁18の後縁の左右両端から下方に突設した蓋後壁20とを一体に形成したプラスチック成形品からなり、透明ないし半透明のプラスチック材で形成する。主面壁18の上面一側には、図2に示すごとく蓋体11の開放方向を示す開放表示34を設ける。開放表示34は主面壁18と一体に成形した矢印形の微少突起からなり、その外形線内に滑り止め用の線刻部を設けた。
【0012】
蓋体11はケース本体10に対して前後スライド自在に支持してあり、図2に示すように主面壁18がケース上面の開口を閉止する閉じ位置と、図1に示すようにケース後方へスライドしてケース本体10の前部上面(第2開口12b)を開放する開き位置とに変位できる。具体的には、蓋体11の左右の脚壁19の中途部の下端外面に軸21をそれぞれ外向きに突設し、ケース本体10の左右の側壁15の後端下部にガイド溝22を設け、このガイド溝22で軸21を受け入れ支持して、蓋体11を前後スライド自在に支持する。図1に示すようにガイド溝22は、側壁15の内面に突設したリブ23で区画する。ガイド溝22の長さは、後述するロック体33の装着位置との関係で規定しており、蓋体11を開き位置までスライド開放したとき、ロック体33がケース後方へ十分に突出できる長さに設定する。
【0013】
図1に示すように、蓋体11を開き位置までスライド開放した状態では、ケース本体10の前部上面が開口する。この開口部とケース前面の開口とで出入口12を形成する。以下、ケース前面の開口を第1開口12aと言い、ケース上面の開口を第2開口12bと言う。第1開口12aの側からMD1の抜き出しを行うとき、MD1をつまみやすくするために、底壁14および主面壁18の前縁中央に台形状の切欠部13が設けてある。
【0014】
閉じ位置において、蓋体11が不用意にケース後方へスライド移動するのを規制するために、脚壁19と左右の側壁15との対向面間にスライドロックSを設ける。図1および図3においてスライドロックSは、主面壁18の前部左右に突設した係合片25と、係合片25に対応して両側壁15の内側面の前端上部に突設したロック壁26とからなる。係合片25の上面前端には、ロック壁26に係合する突部27を設ける。閉じ位置において、突部27はロック壁26の前面に下方から接当係合して、蓋体11が後方へスライドするのを規制する。突部27は係合片25が弾性変形することでロック壁26の下面をくぐり抜けることができ、この時点でスライドロックSはロック解除状態に切り換わる。
【0015】
収納ケースの取り扱い時にMD1が収納ケースから滑落するのを防ぐために、蓋体11の左右の脚壁19にそれぞれロック体30を設ける。図4においてロック体30は、前後一対の係合爪31を有するコ字枠状の基部32と、基部32の下部に連続する台形枠状の弾性腕33とを一体に形成したプラスチック成形品からなり、係合爪31を脚壁19の取付穴に圧嵌係合して装着する。この装着状態において、弾性腕33は脚壁19の内側方に突出していて、図4に示すようにMD1を収納ケースに装填した状態では、弾性腕33が凹部6に外側方から係合できる。
【0016】
以上のように構成した収納ケースは、MD1をケース内へ装填して、その凹部6がロック体30の弾性腕33と係合する状態で保管する。MD1を取り出す場合には、従来の収納ケースと同様に、収納ケースとMD1を左右の手でつかんで、MD1をロック体30の弾性に抗しながら抜き出すことができる。場合によっては、蓋体11をスライドロックSの係合力に抗してケース後方へスライド開放し、ロック体30と凹部6の係合を解除したのちMD1を取り出すことができる。この取り出し操作は、片方の手でのみでも行える。例えば、図5に示すように親指と他の四指とで収納ケースの上下面を挟持し、親指で開放表示34を押さえて蓋体11をケース後方へ押し出し、ロック体30をケース本体10後方外面へ突出させる。この状態で収納ケースの全体を傾けて、MD1を出入口12から滑り出させるのである。
【0017】
蓋体11を開き位置にスライド開放した状態では、第1開口12aに加えてケース上面の第2開口12bを開放でき、出入口12の開口構造を立体化できる。しかも、ケース本体10の前部内面が両開口12a・12bを介してケース外へ露出している。従って、MD1を収納ケースに収める場合には、MD1の姿勢や装填方向を特定する必要がなく、単にその装填端を底壁14や側壁15の前端に当てがうだけで、容易に挿嵌できる。MD1と共にケース内に収容されるインデックスカードの出し入れも容易に行える。
【0018】
図6は収納ケースの別実施例を示す。そこでは、軸21とロック体30との間の脚壁19に、底壁14との接当干渉を避ける逆V字状の切欠35を設けて、蓋体11を開き位置までスライド開放した後、蓋体11の全体が軸21を中心にして上開き揺動できるようにした。この収納ケースによれば、必要に応じてケース本体10の上面全体を開放できるので、最終組立工程においてインデックスカードやMD1を収納ケースに容易に収容できる点で有利である。
【0019】
上記以外に、蓋体11を前後スライドのみ可能とする場合には、ガイド溝22を側壁15の中途部や前部寄りに形成することができる。ガイド溝22は脚壁19に形成し、軸21を側壁15に形成してもよい。蓋体11の前後スライドストロークは大小に変更でき、少なくともロック体30の弾性腕33が凹部6の外へ退避できる量であればよい。このストローク最小状態では、開き位置における弾性腕33がカートリッジケース3の周側面に圧接している。しかし、MD1を出入口12の側へ引き寄せ操作し、あるいは収納ケースの全体を揺するだけで、簡単にケース外へ取り出せる。開放表示34は印刷あるいはラベルを貼り付けて形成することができる。
【0020】
【発明の効果】
本発明では、収納ケースの出入口12をケース前面の第1開口12aと、ケース上面の第2開口12bとで形成した。さらに蓋体11をスライド操作して第2開口12bを開放した状態において、蓋体11の脚壁19に設けたロック体30が凹部6との係合状態を解除して、ケース内に収めたディスクカートリッジ1のロック体30による拘束を解くようにした。従って、ディスクカートリッジ1の収納ケースに対する出し入れを簡便に行え、必要に応じて片手のみでディスクカートリッジ1の取り出しを容易に行える。スライドロックSを付加した収納ケースによれば、例えば落下衝撃によって蓋体11が開き位置へスライド開放するのを防止して、ケース内に収容したディスクカートリッジ1を確実に保護できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】蓋体をスライド開放した状態の縦断側面図である。
【図2】収納ケースの一部を破断した平面図である。
【図3】図2におけるA−A線断面図である。
【図4】図2におけるB−B線断面図である。
【図5】収納ケースの使用状態を示す斜視図である。
【図6】蓋体の開閉構造の別実施例を示す縦断側面図である。
【符号の説明】
1 ディスクカートリッジ
6 凹部
10 ケース本体
11 蓋体
12 出入口
12a 第1開口
12b 第2開口
19 脚壁
30 ロック体
S スライドロック
Claims (3)
- ケース本体(10)と蓋体(11)とからなり、ケース前部にディスクカートリッジ(1)の出入口(12)が開口してある収納ケースであって、
ケース本体(10)は、底壁(14)と、左右一対の側壁(15・15)と、底壁(14)の後縁に立設されて、ディスクカートリッジ(1)のケース後方への移動を規制する後壁(16)とを有して、上面および前面が開口しており、
蓋体(11)は、ケース本体(10)の開口上面を閉止する主面壁(18)と、主面壁(18)の左右両側の下面側に突設した左右一対の脚壁(19)とを有し、
出入口(12)は、ケース前面で開口する第1開口(12a)と、第1開口(12a)に連続してケース本体(1)の前部上面に開口する第2開口(12b)とからなり、
ケース本体(10)に対して蓋体(11)が、第2開口(12b)を閉止する閉じ位置と、第2開口(12b)を開放する開き位置とにわたって前後スライド自在に支持されており、
ケース本体(10)の側壁(15)と蓋体(11)との間に、蓋体(11)が、前記閉じ位置において不用意にケース後方へスライド移動するのを規制するスライドロック(S)が設けられており、
ディスクカートリッジ(1)の外面に設けた凹部(6)と係合するロック体(30)が、蓋体(11)の脚壁(19)に設けられており、
蓋体(11)をスライドロック(S)の係合力に抗してケース後方へスライド操作することにより、ロック体(30)と凹部(6)との係合状態が解除されることを特徴とするディスクカートリッジ用の収納ケース。 - ケース本体(10)の側壁(15)に、前後に長いガイド溝(22)が形成されており、
蓋体(11)の脚壁(19)に、ガイド溝(22)に沿って前後スライドする軸(21)が突設されており、
蓋体(11)が軸(21)とガイド溝(22)とを介してケース本体(10)に連結されている請求項1記載のディスクカートリッジ用の収納ケース。 - 蓋体(11)の主面壁(18)の上面に、蓋体(11)の開放方向を示す開放表示(34)が設けてある請求項1又は2記載のディスクカートリッジ用の収納ケース。
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