JP3713847B2 - ディスクカートリッジ用の収納ケース - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
薄い角箱状のカートリッジケース内に、光ディスクや光磁気ディスク等のディスク状の信号記録媒体を内蔵したディスクカートリッジがある。本発明は、この種のディスクカートリッジを収納保存するためのブックケース型の収納ケースに関する。
【0002】
【従来の技術】
かかるディスクカートリッジのひとつにミニディスク(以下単にMDという)がある。MD用の収納ケースは薄い角箱状に形成してあり、ケース前側面に出入口を設けてブックケース状に構成してある。この種のブックケース型の収納ケースは、VTR用の磁気テープカートリッジにおいても採用されている。ケースの左右側壁の内奥寄りには一対のロック体が組み込んであり、MDを収納ケースに差し込んで、両ロック体をカートリッジケースの下面両側の位置決め凹部に落とし込み係合することにより、MDが収納ケースから滑落するのを防止できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ブックケース型に構成した収納ケースは、MDを収納ケースに単に挿嵌し、あるいはMDをロック体の弾性に抗して収納ケースから抜き出し操作するだけで、手軽に出し入れできる。しかし、出入口の開口幅が5〜6mm前後と狭いため、例えば薄暗い場所等ではMDを収納ケースに挿嵌し辛い。インデックスカードの収納ケースへの出し入れも煩雑となる。
【0004】
上記のような使用上の不便を解消するために、本発明者はブックケース型の収納ケースでありながら、ケース前面の出入口とは別に、収納ケースの上面をも開閉できるようにすることを考えた。因みに、ケース本体の上面を開放する収納ケース構造は、フィリップス型の磁気テープカートリッジやコンパクトディスク用の収納ケースに見ることができる。しかし蓋体を単に揺動開閉する場合には、例えば収納ケースが他物と衝突したり、落下衝撃を受けるような場合に、蓋体が容易に開放揺動し、収納対象が収納ケースから飛び出してしまうおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、蓋体を一定量スライド開放した後でないと開放揺動できないようにして、他物との衝突や落下衝撃によって、蓋体が簡単に開いてしまうのを防止することにある。本発明の他の目的は、蓋体を一定量スライド開放した位置において、蓋体の開閉を確実に行えるようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ケース本体10と蓋体11とでディスクカートリッジ1用の収納室が区画してあり、ケース前面にディスクカートリッジ1を出し入れする第1開口12が設けてあるブックケース型の収納ケースを対象とする。ケース本体10の上面にはディスクカートリッジ1およびインデックスカード13を出し入れする第2開口17を設ける。蓋体11は、ケース本体10の左右の側壁15と蓋体11の蓋側壁19との間に設けた、軸21および前後に長いガイド溝22を介してケース本体10に連結されていて、第2開口17を閉止する閉じ位置と、ガイド溝22に沿って第1開口12から遠ざかる側へスライド移動する開放待機位置と、ガイド溝22の端部において上開き揺動して第2開口17を開放する開放位置とに変位できるようケース本体10に支持する。開放待機位置における蓋体11の揺動中心が、閉じ位置における軸21の軸中心より上方に位置するよう、ガイド溝22の少なくとも一端寄りを傾斜させてある。
【0007】
具体的には、蓋体11が閉じ位置から開放待機位置へ移動し終わるまでの間、蓋体11の上開き揺動を規制する蓋ロックFを、側壁15と蓋側壁19との間に設ける。ガイド溝22は、ガイド溝22の大半を占める水平の主溝22aと、ガイド溝22の一端において傾斜する斜め溝22bとで形成する。あるいは、ガイド溝22の全体を、一端から他端へ向かって傾斜させる。ガイド溝22の開放待機位置側の端部に、軸21を係合捕捉する保持部38を凹み形成する。
【0008】
【作用】
閉じ位置ないしは、閉じ位置から開放待機位置に至るまでの間、蓋体11はケース本体10の後壁16が障害となって上開き揺動できず、開放待機位置までスライドした状態でのみ上開き揺動できる。従って、例えば落下衝撃を受けただけで蓋体11が開放揺動することはなく、ディスクカートリッジ1を確実に保護できる。開放待機位置におていは、ガイド溝22の傾斜路の垂直成分の分だけ蓋体11がケース本体10から上方へ離れる。従って、蓋体11の主面壁18は、後壁16に対して先の上昇寸法を含む十分な余裕隙間を有する状態で、回り込み揺動できる。このことは、例えば蓋体11の揺動開閉途中に、軸21とガイド溝22とが相対移動して、揺動中心がケース前方へずれ動くような場合にも、主面壁18が後壁16と接当干渉することなく回り込み揺動できることを意味する。
【0009】
例えばガイド溝22の全体が傾斜している場合には、蓋体11が後方スライドした分だけ、ケース本体10と蓋体11との間に隙間を生じ、この隙間分だけ蓋体11を上方揺動できる。軸21とガイド溝22との間の余裕隙間によっても、同様の事態を生じ得る。こうした、スライド開放途中の蓋体11の上方揺動を規制するために蓋ロックFが設けてある。
【0010】
水平の主溝22aと斜め溝22bとで形成したガイド溝22は、主溝22aに沿うスライド移動と、斜め溝22bに沿うスライド移動とを経た後でないと蓋体11が開放待機位置へ変位できず、両溝22a・22bの溝方向が異なっているので、外力を受けた蓋体11がいきなり開放待機姿勢に切り換わって開放揺動するのをよく防止できる。ガイド溝22の端部に保持部38を凹み形成した収納ケースによれば、開放途中に軸21とガイド溝22が相対移動するのを阻止して、蓋体11を安定した状態で揺動開閉できる。
【0011】
【実施例】
図1ないし図6は本発明の実施例を示しており、これはMD(ディスクカートリッジ)用の収納ケースに供するものである。図2においてMD1は、光磁気ディスク2が薄角箱状のカートリッジケース3に収まっており、カートリッジケース3の上下両面の一側に開口した信号読み取り窓4をシャッター5でスライド開閉できる。カートリッジケース3の下ハーフの左右両側の後部には、位置決め用の凹部6が半長円状にそれぞれ凹設されている。
【0012】
図2において、収納ケースはケース本体10と蓋体11とで内部に収納室が区画してある薄形角箱状のケースからなり、ケース前面がMD1を出し入れする第1開口12として開口する。収納室の内部には、MD1と共にインデックスカード13を収容できる。
【0013】
図5においてケース本体10は、底壁14と、左右一対の側壁15・15と、底壁14の後縁に立設した後壁16とを一体に形成した、上面および前面が開口するプラスチック成形品からなり、ケース上面の開口を第2開口17とし、ケース前面の開口を先の第1開口12とする。蓋体11は、第2開口17の全体を上面側から閉止する主面壁18と、主面壁18の左右両側の下面側に突設した左右一対の蓋側壁19と、主面壁18の後縁の左右両端から下方に突設した蓋後壁20とを一体に形成したプラスチック成形品からなり、透明ないし半透明のプラスチック材で形成する。
【0014】
ケース本体10と蓋体11とは次のように連結することにより、先の第2開口17を蓋体11で開閉する。図5に示すように、蓋体11の左右の蓋側壁19の中途部の下端外面に軸21をそれぞれ外向きに突設し、ケース本体10の左右側壁15の後端下部にガイド溝22を設け、このガイド溝22で軸21を受け入れ支持する。図1に示すようにガイド溝22は、側壁15の内面に突設したリブ23で区画し、その大半を占める水平の主溝22aと、溝後端において上向きに傾斜する斜め溝22bとで形成する。ガイド溝22の長さは、後述するロック体33の装着位置との関係で規定しており、蓋体11を開放待機位置までスライド開放したとき、ロック体33の装着個所がケース後方へ十分に突出できる長さに設定する。
【0015】
蓋体11は、主面壁18がケース本体10の左右側壁15の上端面で受け止められて、第2開口17を完全に閉止する図6(a)の閉じ位置と、図6(b)に示すように全体がガイド溝22に沿って第1開口12から遠ざかる向き(後方)へスライド移動した開放待機位置と、図6(c)に示すように全体が軸21を中心にして上開き揺動して第2開口17を開放する開放位置とに変位できる。蓋体11の後方ライドを許すために、図5に示すごとく後壁16の左右両端には、それぞれ開口25を設けてある。さらに、蓋体11が揺動開閉するとき、蓋側壁19がケース本体10の底壁14と接当干渉するのを防ぐために、蓋側壁19の軸21より後ろ側の壁面に逆V字形の切欠26を設けている。
【0016】
閉じ位置において、蓋体11が不用意にケース後方へスライド移動するのを規制するために、蓋側壁19と左右の側壁15との対向面間にスライドロックを設ける。さらに、蓋体11が閉じ位置から開放待機位置までスライド変位する間に、蓋体11が軸21を中心にして上開き揺動するのを防止するために、蓋側壁19と左右の側壁15との対向面間に蓋ロックFを設けてある。
【0017】
図6においてスライドロックは、蓋側壁19の外側面の前端上部に突設した係合片27と、係合片27に対応して両側壁15の内側面の前端上部に突設したロック壁28とからなる。係合片27の上面前端には、ロック壁28に係合する突部29を設ける。閉じ位置において、突部29はロック壁28の前面に下方から接当係合して、蓋体11が後方へスライドするのを規制する。スライドロックは係合片27を弾性変形させながら突部29がロック壁28の下面をくぐり抜けた時点で、ロック解除状態に切り換わる。
【0018】
蓋ロックFは、ケース本体10の左右両側壁15の上端内面に突設した前後に長いロックリブ31と、各蓋側壁19の外側面に突設したロック片32とで構成する。閉じ位置において、ロック片32はロックリブ31の下方に位置しており、前後スライドは自由にできるが、上方への移動はロックリブ31で規制される。ロック片32は、スライドロックの係合片27がロック解除状態に切り換わった後にも、ロックリブ31で上方への移動が規制されており、軸21が斜め溝22bの下端に達した状態において、ロックリブ31の下面をくぐり抜ける。
【0019】
軸21が斜め溝22bの上端に達した開放待機位置においては、蓋体11が軸21を中心にして自由に上開き操作でき、主面壁18は後壁16を回り込んで水平姿勢から90度ないし90度を越えて揺動した位置まで起立揺動できる。図6(c)に示すように蓋体11を起立開放した状態では、第2開口17の全体が開放されるので、収納室にMD1やインデックスカード13を容易に出し入れできる。蓋体11は上記の手順を逆にたどることによって閉じ位置へ戻せる。なお、MD1だけを出し入れする場合には、蓋体11を全開放する必要はなく、開放待機位置や、蓋体11を僅かに上開き揺動した状態でMD1を出し入れできる。
【0020】
収納ケースの取り扱い時にMD1が収納ケースから滑落するのを防ぐために、蓋体11の左右の蓋側壁19にそれぞれロック体33を設ける。図5においてロック体33は、前後一対の係合爪34を有するコ字枠状の基部35と、基部35の下部に連続する台形枠状の弾性腕36とを一体に形成したプラスチック成形品からなり、係合爪34を蓋側壁19に圧嵌係合して装着する。この装着状態において、弾性腕36は蓋側壁19の内側方に突出していて、図4に示すようにMD1を収納ケースに装填した状態では、弾性腕36が凹部6に外側方から係合できる。
【0021】
以上のように構成した収納ケースは、使用状況に応じて第1開口12と第2開口17のいずれの開口からでも、MD1およびインデックスカード13を出し入れできる。蓋体11を閉じ位置から開放待機位置までスライド開放すると、斜め溝22bの垂直成分に相当する寸法分だけ、蓋体11の揺動中心を閉じ位置における軸21の軸中心より上方に位置させて、主面壁18と後壁16の上端面との間の隙間量を大きくすることができる。従って、蓋体11の開閉途中に軸21がケース前方へ滑り移動する場合にも、支障なく蓋体11を揺動開閉できる。スライド途中に蓋体11が上方揺動し、あるいはケース本体10の上面上方へ移動しようとするのを蓋ロックで阻止でき、使用者の明確な意図がない限りは、蓋体11を開放できない状態に維持できる。
【0022】
ガイド溝22は図7に示すように形成できる。そこでは、溝の前端から後端へ向かってリブ23を上り傾斜状に形成して、ガイド溝22の全体を傾斜させた。この場合には、ロックリブ31をガイド溝22と同じ角度で傾斜させて、軸21が溝後端に達する直前に、ロック片32がロックリブ31をくぐり抜けるようにする。他は上記の実施例と同じであるので説明を省略し、同一部材に同一符号を付す。
【0023】
図8にガイド溝22の別の実施例を示す。そこでは、先の実施例と同様に主溝22aと斜め溝22bとでガイド溝22を形成する。斜め溝22bの後端に、軸21の下半周面を受け入れる保持部38を凹み形成して、開放待機位置において軸21が保持部38に係合捕捉された状態で、蓋体11を揺動開閉できるようにする。
【0024】
上記以外に、軸21を側壁15の内面に突設し、蓋側壁19の側にリブ23を突設してガイド溝22を形成することができる。蓋体11は閉じ位置から90度起立した位置まで開放できるに越したことはないが、必ずしもその必要はなく、開放位置において主面壁18が傾斜する状態であってもよい。ガイド溝22の全体および斜め溝22bは、それぞれ湾曲する傾斜溝で形成することができる。ガイド溝22は側壁15あるいは蓋側壁19に、各壁面を通設する状態で形成してもよい。
【0025】
【発明の効果】
本発明の収納ケースによれば、一定量スライド開放してからでないと、蓋体11を上開き揺動できない蓋開閉構造を採るので、収納ケースが他物と衝突し、あるいは落下衝撃を受けるような場合であっても、蓋体11が簡単に開いてしまうのを防止して、ケース内に収納したディスクカートリッジ1の飛び出しを確実に防止できるうえ、必要時には第2開口17を開放して、そこからディスクカートリッジ1やインデックスカード13を容易に出し入れできる。ガイド溝22の少なくとも一端寄りを傾斜させて、開放待機位置における蓋体11の揺動中心を高く位置させ、揺動開閉時の主面壁18と後壁16との間の隙間量を十分に確保するので、開閉途中に主面壁18が後壁16と接当干渉するのを防止して、蓋体11を支障なく確実に開閉できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】蓋体とケース本体の連結部を示す断面図である。
【図2】収納ケースの内部構造を示す一部破断平面図である。
【図3】図6におけるA−A線断面図である。
【図4】図6におけるB−B線断面図である。
【図5】蓋体を半ば開いた状態の斜視図である。
【図6】蓋体の動作を閉じ位置、開放待機位置、開放位置の各動作位置において示す断面図である。
【図7】ガイド溝の変形例を示す断面図である。
【図8】ガイド溝の別の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
10 ケース本体
11 蓋体
12 第1開口
17 第2開口
19 蓋側壁
21 軸
22 ガイド溝
22a 主溝
22b 斜め溝
Claims (5)
- ケース本体10と蓋体11とでディスクカートリッジ1用の収納室が区画してあり、ケース前面にディスクカートリッジ1を出し入れする第1開口12が設けてあるブックケース型の収納ケースであって、
ケース本体10の上面にディスクカートリッジ1およびインデックスカード13を出し入れする第2開口17が設けられており、
蓋体11は、ケース本体10の左右の側壁15と蓋体11の蓋側壁19との間に設けた、軸21および前後に長いガイド溝22を介してケース本体10に連結されていて、第2開口17を閉止する閉じ位置と、ガイド溝22に沿って第1開口12から遠ざかる側へスライド移動する開放待機位置と、ガイド溝22の端部において上開き揺動して第2開口17を開放する開放位置とに変位できるようケース本体10に支持されており、
開放待機位置における蓋体11の揺動中心が、閉じ位置における軸21の軸中心より上方に位置するよう、ガイド溝22の少なくとも一端寄りが傾斜しているディスクカートリッジ用の収納ケース。 - 蓋体11が閉じ位置から開放待機位置へ移動し終わるまでの間、蓋体11の上開き揺動を規制する蓋ロックFが、側壁15と蓋側壁19との間に設けてある請求項1記載のディスクカートリッジ用の収納ケース。
- ガイド溝22が、ガイド溝22の大半を占める水平の主溝22aと、ガイド溝22の一端において傾斜する斜め溝22bとで形成してある請求項1又は2記載のディスクカートリッジ用の収納ケース。
- ガイド溝22の全体が、一端から他端へ向かって傾斜している請求項1又は2記載のディスクカートリッジ用の収納ケース。
- ガイド溝22の開放待機位置側の端部に、軸21を係合捕捉する保持部38が凹み形成してある請求項1又は2又は3又は4記載のディスクカートリッジ用の収納ケース。
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