JP3749928B2 - 車体支持装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は車体支持装置、特に軌道車両などにおける空気ばね又はコイルばねにて支持された車体の曲線路等における横揺れを最適かつ効果的に抑制することのできる改良された車体支持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近の都市交通あるいは高速大量輸送手段としての軌道車両においては、車体の軽量化並びに振動の少ない良好な乗心地を確保するために、車体を空気ばね又はコイルばねによって台車上に支持する構造が広く用いられている。このような車体支持装置においては、車体を支持する空気ばね又はコイルばねに対して常時車体重量が加わるので、縦方向には常に最適剛性の支持力を発揮することができ、この結果、車両の走行速度の増加要求に対しても充分に対応することができる。
【0003】
しかしながら、このような車体の横変位に対しては、空気ばね又はコイルばねの横方向剛性が不足し、特に車両が高速で曲線路を通過する際の車体の横変位を空気ばね又はコイルばねのみで支えることが困難であるという問題を生じていた。
【0004】
このため、従来においては、台車と車体との間に車体の一定以上の横変位を阻止するためのストッパゴムが設けられている。したがって、車体は高速で曲線路に進入した時には、車体の過大横変位は前記ストッパゴムによって支えられることとなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来装置では、空気ばね又はコイルばねに比して極めて剛性の高いストッパゴムへの衝突及びこれに伴う振動発生により車両の乗心地は著しく劣化するという問題があった。
【0006】
本発明は上記従来の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、台車上に車体を空気ばね又はコイルばねで支持しながら、車体の横変位に対して最適なタイミングで充分に大きな横方向剛性を生じさせることのできる改良された小型の車体支持装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明によれば、台車(10)上に車体(14)を載置した車体支持装置が、台車(10)と車体(14)との間に介在し、車体(14)に取り付けられたピストン(38)と台車(10)に取り付けられたシリンダ(36)とを備え、車体(14)が台車(10)に対して横変位するとピストン(38)もシリンダ(36)に対して移動して、台車に対する車体の支持機構を構成する主シリンダ(30)と、シリンダ(36)の各シリンダ室に接続され、スプール(42)を有し、案内シリンダ(40)内でのスプール(42)の変位に応じて何れかのシリンダ室に空気圧を導く、案内弁(32)と、ピストン(38)を受け軸(62)を介して案内弁(32)のスプール(42)に接続して、ピストン(38)のシリンダ(36)に対する移動を、受け軸(62)を介して、案内弁(32)のスプール(42)に伝達して、スプール(42)の変位を生じさせる、機械的フィードバック系(34)と、を有し、
機械的フィードバック系(34)は、車体(14)の横変位が伝達されるスライド部材(56)と、スライド部材(56)に取り付けられたスプリング(60)により受け軸(62)に当接するように押圧されつつスライド部材(56)に対してスライド可能な押し駒(58)と、を有し、押し駒(58)は、スライド部材(56)が中立位置から案内シリンダ(40)に向かって所定量変位すると、案内シリンダ(40)に対して固定された位置にある第一ストッパ面(70a)に当接して、更にスライド部材(56)が案内シリンダ(40)に向かって移動してもスライド部材(56)がスプリング(60)が圧縮されて押し駒(58)はそれ以上移動することはできず、スライド部材(56)は、案内シリンダ(40)から離れるように中立位置から所定量変位すると、案内シリンダ(40)に対して固定された位置にある第二ストッパ面(72a)に当接して、案内シリンダ(40)から離れるようにそれ以上移動することはできない。
【0008】
ここで、車体横変位の所定初期期間とは、案内弁によるシリンダの所定方向への流路開放が完了するのに十分な期間と同等の期間である。
【0009】
車両の通常走行状態においては、空気ばね又はコイルばねによって安定したかつ良好な乗心地を確保することができ、また、車両が高速で曲線路に進入したような場合には、車体の横変位が一定以上になると、空気シリンダが作用して定圧の大きな横剛性を生じさせ、車体の横揺れを確実に減少させることが可能になる。
【0010】
そのため、通常の場合でも、ストッパゴムが機能するほど大きな横変位を生じさせることがなく、ストッパゴムへの衝突あるいはこれに伴う振動等を確実に除去可能である。
【0011】
また、機械的フィードバック系からのフィードバックに基づいて空気シリンダで定圧による横剛性を発生するため、車体の横移動が生じた場合に横剛性を生じ車体の横揺れを効果的に減少させることが可能となる。
【0012】
そして、上記構成によれば、案内弁に対して所定初期期間後のフィードバックが行われない。すなわち、空気シリンダで定圧による横剛性が最大発生した後は、案内弁の更なる移動を促す同一方向へのフィードバックが行われないため案内弁の動作範囲を必要最小限にすることが可能になり、車体横変位が大きい場合でも案内弁のサイズを所定サイズに抑え込むことが可能になり、車体支持装置の小型化に寄与することができる。
【0013】
また、上記目的を達成するために、本発明は、上記構成において、前記案内弁は、前記機械的フィードバック系からのフィードバックの応答性(応答感度)を調整する調整部材を有することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、車体横変位の所定初期期間においても空気シリンダの駆動を抑制することが可能になり対象となる車体の特性に応じて、最適なタイミングで空気シリンダを動作させ、定圧による横剛性を発生させることができる。
【0015】
また、上記目的を達成するために、本発明は、上記構成において、前記調整部材は、案内弁の流路切り換え軸の両端部に配置された弾性部材であり、弾性部材の弾性力バランスにより応答性を制御することを特徴とする。
【0016】
ここで、前記弾性部材は、所定ばね定数を有する部材、例えばコイルばねや板ばね等である。
【0017】
この構成によれば、切り換え軸の両端部に配置された弾性部材の弾性力バランスを選択することにより、空気シリンダの流路切り換えのタイミング(応答性)を容易に変更可能であり、車体の使用状況に合わせた横剛性を生じさせるタイミングの調整を容易に行うことができる。
【0018】
上記目的を達成するために、本発明によれば、台車(10)上に車体(14)を載置した車体支持装置が、台車(10)と車体(14)との間に介在し、車体(14)に取り付けられたピストン(38)と台車(10)に取り付けられたシリンダ(36)とを備え、車体(14)が台車(10)に対して横変位するとピストン(38)もシリンダ(36)に対して移動して、台車に対する車体の支持機構を構成する主シリンダ(30)と、シリンダ(36)の各シリンダ室に接続され、スプール(42)を有し、案内シリンダ(40)内でのスプール(42)の変位に応じて何れかのシリンダ室に空気圧を導き、空気圧が導かれないシリンダ室を大気に開放する、案内弁(32)と、ピストン(38)を受け軸(62)を介して案内弁(32)のスプール(42)に接続して、ピストン(38)のシリンダ(36)に対する移動を、受け軸(62)を介して、案内弁(32)のスプール(42)に伝達して、スプール(42)の変位を生じさせる、機械的フィードバック系(34)と、を有し、
案内弁(32)は、機械的フィードバック系(34)からのフィードバックの応答性を調整する調整部材を有し、調整部材は、スプール(42)と受け軸(62)との間に配置されるばね(64)を含む。
【0019】
この構成によれば、車体横変位が大きい場合でも案内弁の動作範囲を所定初期期間に対応した必要最小限にすることができるので、案内弁のサイズを所定サイズに抑え込むことが可能になり、車体支持装置の小型化に寄与することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1には、本発明を用いた車体の支持装置が示されており、台車10上には空気ばね12を介して車体14が載置されている。従来と同様に、台車10と車体14との間にはストッパゴム16が設けられており、図示した実施形態においては、ストッパゴム16は車体14の底面に固定されたビーム18に取付けられている。
【0021】
また、台車10と車体14の前記ビーム18との間にはオイルダンパ20が設けられており、台車10に対する車体14の横変位に対してある程度の減衰作用を与えている。
【0022】
本実施形態において、台車10と車体14との間に空気シリンダ22が設けられている。図示した実施形態においては、この空気シリンダ22は台車10と車体14のビーム18との間で且つ前記オイルダンパ20とは反対側に設置されている。
【0023】
図2は図1に示した車体支持装置の等価シミュレーションモデルであり、車体慣性には車体外乱が加わり、また台車慣性にも同様に台車外乱が加わる。車体と台車との間には前記各支持機構が等価的に示されており、空気ばね12は空気ばねと1本リンクとの組合せとして示され、ストッパゴム16、オイルダンパ20そして空気シリンダ22が車体と台車との間に介在し、これらが相対的に台車に対する車体の支持機構を構成している。上述したとおり、本発明に係る空気シリンダは機械的フィードバック系を有し、一定以上の車体横変位に対して、その車体の横変位に抗する定圧による横剛性(定圧横剛性)を生じさせる。その詳細な構造を図3に示す。
【0024】
図3から明らかなように、本実施形態における空気シリンダ22は主シリンダ30、案内弁32及び機械的フィードバック系34からなる。
【0025】
主シリンダ30は台車10に固定されるシリンダ36及びこのシリンダ36内を横方向に移動可能で車体14に固定されたピストン38を含み、シリンダ36の左右シリンダ室にはポート36a及び36bを介して後述する案内弁32から一定の空気圧が供給される。
【0026】
案内弁32は、案内シリンダ40内を空気の流路切り換え軸であるスプール42が移動可能な構造からなり、供給ポート44、2個の排気ポート46、48を有し、さらに出力ポート50a及び50bがそれぞれ前述したシリンダ36の左右シリンダ室のポート36a及び36bと接続されている。
【0027】
機械的フィードバック系34は、車体の横変位の発生を前記案内弁に伝達し、横剛性の発生を制御するものであり、前記ピストン38に接続された連結アーム52とこのアーム52の一端に固着された中立点調整ねじ54、この調整ねじ54によって横方向に押されるスライド筒56、スライド筒内を移動可能な押し駒58、スライド筒56内で押し駒58を左方向に付勢するスプリング60そして前記案内弁32のスプール42に結合されている受け軸62からなる。
【0028】
本実施形態における、機械的フィードバック系34の詳細な構造は後に図5を参照しながら説明する。
【0029】
以上のようにして本実施形態に係る車体支持装置によれば、車体14は通常空気ばね12によって台車10上に載置されており、車体慣性あるいは台車慣性そして車体及び台車に加わる外乱を空気ばね12によって主として支持することができる。図1における台車10とストッパゴム16との間には通常、適当な間隙(遊び)が設けられており、例えば左右それぞれの間隙は25mm程度に設定されていることが多い。
【0030】
したがって、通常車体14が台車10に対して横揺れを起こした場合においても片側25mm以内であれば、ストッパゴム16は何らこの横揺れあるいは横変位に対して阻止作用を与えることはない。一方、オイルダンパ20は常に台車10と車体14との間にダンピング作用を及ぼしており、これによってわずかな横揺れあるいは振動を吸収することができる。
【0031】
本実施形態において、空気シリンダ22は車体14が台車10に対して中立位置であるときには、シリンダ36の両シリンダ室には空気圧が与えられず、ピストン38には何ら負荷が加えられない。したがって、この中立位置では空気シリンダ22も車体14の横変位に対して何ら影響を与えることはない。図3に示した実施形態では、この中立位置においてシリンダ36の左右シリンダ室は閉じられているが、本実施形態においてこの状態で左右シリンダ室の各ポート36aと36bを大気に開放することも可能である。
【0032】
車両が曲線路に進入すると、車体14が外に向かって横変位し、この結果車体14に固定されているピストン38も台車10に固定されているシリンダ36から横方向に移動する。この移動は前述した機械的フィードバック系34を介して案内弁32に伝達される。すなわち、受け軸62が案内シリンダ40に対して左右に横変位することにより、スプール42も同時に移動する。そして、この変位量が一定以上となると、何れかの出力ポート50a又は50bが供給ポート44に開かれ、供給ポート44から所定の空気圧が何れかのシリンダ室に導かれる。そして、この時反対のポート50b又は50aは排気ポート48又は46から大気に開放されるので、主シリンダ30は定圧横剛性を発生することとなる。この定圧横剛性は車体の横変位に抗するようにその方向が定められ、車体支持装置の横剛性を静的に増加し、車体14の横変位に抗することが可能となる。本実施形態においては、供給ポート44に与えられる空気圧は一定値とされており、例えば6.86×104Pa(7Kgf/cm2)程度の空気圧が与えられる。
【0033】
以上のようにして、本実施形態によれば、車体14が一定の横変位を起こしたときに、空気シリンダ22が働き所望の定圧横剛性を生じさせ、車体14の横変位がそのストッパゴム16を台車10に衝突させるほどの大きな変位を確実に防止することができる。
【0034】
図4には、本実施形態における横方向剛性特性を示し、横軸は台車10に対する車体14の横変位量(mm)そして縦軸は左右支持荷重(N)を示す。
【0035】
図4において、一点鎖線で示す特性100は空気ばね12と1本リンクによる横剛性を示し、横変位に対しほぼ線形の特性を示す。
【0036】
一方、破線で示す特性200は、空気シリンダ22の横剛性特性を示し、所定の変位、例えば4mm程度の変位によって前述した一定空気圧が一方のシリンダ室に導かれることで急激にその剛性が高まり、この剛性は変位量が増加してもほぼ一定値を保つ。
【0037】
したがって、両特性100、200が合成されることによって符号300で示されるように合成特性は変位量25mmまで図のような変化となり、従来の特性100に比して車体14の一定の横変位量(4mm)以上において、その横剛性を著しく増加させ、車体14の横変位に確実に抗することができることを示している。
【0038】
なお、横変位25mmにおいてはストッパゴム16が働き、ストッパゴム16のゴムたわみによる特性が符号400にて示されており、この結果、横方向剛性特性も横変位25mm以上においては符号300Aで示されるストッパゴム16の特性を加えたものとなる。しかしながら、通常の場合においては、前述した図4に示されるごとく、支持荷重16.66×104(N)(17,000Kgf)で充分車体14の横変位を押さえることができ、ほとんどストッパ16が働くことはない。
【0039】
本実施形態においては、一定以上の横変位に対して一定の空気圧を横剛性として用いており、前述した図4から明らかなように、このような空気圧の開閉を行うためには、案内弁32のスプール42は4mm〜6mm程度の所定変位のみ要求され、それ以上の変位量は必要としない。
【0040】
一方、主シリンダ30自体は車体14のストッパゴム16が台車10に当たるまで動くことができ、例えば、この変位量は25mmに設定されている。したがって、機械的フィードバック系34もこの25mmを移動することとなるが、前述した案内弁32はその構造を小型にするためにはスプール42の軸方向移動量をできるだけ小さく、10mm程度以下に制限することが望ましい。
【0041】
従って、車体14の横変位の所定初期期間のみ、つまり案内弁32による空気シリンダ22の所定方向への流路開放が完了するのに必要なスプール42の変位である10mm程度の変位が行われる間のみ、案内弁32は、機械的フィードバック系34からの実質的なフィードバックを受ければよい。
【0042】
図5には、本実施形態の案内弁と機械的フィードバック系の要部が示されており、この構造によれば、主シリンダすなわち機械的フィードバック系が大きく変位しても、案内弁のスプール42は比較的小さい変位量に制限することができる。
【0043】
図5において、案内シリンダ40には内筒70及び外筒72が固定されている。内筒70は、その基端が案内シリンダ40の端面に固定され、またその先端はスライド筒56に近接する位置まで伸長し、その先端に内筒ストッパ面70aを形成している。この内筒70内では、前記受け軸62に固定されたリング74と案内シリンダ40の端面との間に圧縮スプリング76が介装されている。したがって、受け軸62は圧縮スプリング76によって常時右方向に付勢されることとなる。
【0044】
一方、前記外筒72は、その基端が案内シリンダ40の端面に固定され、その先端はスライド筒56の外周に伸長している。すなわち、スライド筒56は外筒72の内面を軸方向に左右スライド可能である。そして、外筒72の内周に設けられた外筒ストッパ面72aがスライド筒56の外周に設けられた受け面56aと対向しており、両者間の間隙は約10mmに設定されている。
【0045】
前述したように、スライド筒56の内部には、押し駒58が設けられ、この押し駒58はスライド筒56内を軸方向にスライド可能である。そして、スライド筒56内にはスプリング60が挿入されており、押し駒58は常時左方向すなわち受け軸62に当接するようにスプリング60によって押圧されている。したがって、通常の場合押し駒58の左端面は前述した内筒ストッパ面70aと対向しており、両者間の間隙も約10mmに設定されている。
【0046】
以上の構造によって、図5の機械的フィードバック系が変位したときの動作を説明する。
【0047】
図5は中立位置を示し、この中立点は調整ねじ54によって調整可能である。今、仮に、アーム52が車体の横変位によって左方向へ移動した場合を考える。アーム52の変位は調整ねじ54を介してスライド筒56に伝わり、スライド筒56は左方向へ変位するので押し駒58も左方向へ移動して受け軸62を左方向へ動かす。
【0048】
しかしながら、この左方向変位が所定量、例えば10mmに達すると、押し駒58は内筒70の内筒ストッパ面70aに当接し、これ以上移動することはできなくなる。この状態でさらにアーム52が左方向へ移動すると、押し駒58はその位置を保持し、スライド筒56はスプリング60を圧縮しながら押し駒58を当接位置に残したまま左方向へ移動する。この時、内筒70も押し駒58と同様にスライド筒56の内部に収納されていく。
【0049】
したがって、アーム52が例えば25mm移動しても、案内弁のスプール42はその初期移動量10mm程度の動きしか要求されることはない。
【0050】
次に、中立位置からアーム52が右方向へ移動した場合を説明する。
【0051】
この時、アーム52の移動は、調整ねじ54に伝達され、調整ねじ54の先端はスライド筒56から離れて右方向へ移動することとなる。しかしながら、スライド筒56は押し駒58、受け軸62を介して圧縮スプリング76の右方向への圧縮力を受けており、この結果調整ねじ54の右方向移動に追従してスライド筒56、押し駒58、受け軸62も右方向へ移動する。
【0052】
しかしながら、この移動量は所定のスライド筒56の受け面56aが外筒72の外筒ストッパ面72aに当接し、これ以上の右方向移動が不可能となる。したがって、初期10mm以上のアーム52の移動は、単に調整ねじ54がスライド筒56から離れる移動となるにすぎない。
【0053】
したがって、アーム52の右方向に対しても25mmの動きを許容しながら、案内弁のスプール42は初期の10mm変位以上を要求されることはなく、この結果案内弁を小型化することが可能となる。
【0054】
ところで、前述したような車体の横揺れは、車体の種類や形態、使用状況等により様々であり、機械的フィードバック系34を介した空気シリンダ22の応答性(応答感度)が高い場合、空気シリンダ22の発生する定圧横剛性が車体の横揺れを増幅してしまう場合がある。
【0055】
そこで、案内弁32に機械的フィードバック系からのフィードバックの応答感度を調整する調整部材を設けることが望ましい。図6には、調整部材を配置した空気シリンダの概念を示す全体構成が示されている。なお、図3に示す空気シリンダの全体構成と同等の構成部分に関しては同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0056】
図6から明らかなように、機械的フィードバック系34に接触する受け軸62とポート切り換えを行うスプール42とは別部材として構成され、スプール42の両端部にフィードバックの応答感度を調整する調整部材として、例えばコイルばね64,66が配置されている。この時、前記コイルばね64は中立状態で、スプール42と受け軸62との間で圧縮及び伸張可能な状態で配置されている。また、コイルばね66も中立状態でスプール42に所定の付勢力を発生するように配置されている。なお、調整部材は板ばね等でもよい。
【0057】
今、仮にコイルばね64,66のばね定数をコイルばね64<コイルばね66とする。アーム52が車体の横変位によって左方向へ移動した場合を考える。アーム52の変位は調整ねじ54を介してスライド筒56に伝わり、スライド筒56は左方向へ変位するので押し駒58も左方向へ移動して受け軸62を左方向へ動かす。しかしながら、所定ばね定数のコイルばね64,66が配置されているため、当該コイルばね64,66の圧縮により、スプール42の動作(動作スピードや動作タイミング)が鈍くなり、図3の構成に比べて、機械的フィードバック系34からのフィードバックに対する応答感度を低下調整することができる。その結果、空気シリンダ22の過敏な応答に基づく横揺れ振動の増幅を回避することができる。なお、応答感度の増減調整はコイルばね64,66の弾性力バランスを変更することにより容易に行うことができる。例えば、コイルばね64,66のばね定数をコイルばね64>コイルばね66とすると、応答感度は、図3、図5で説明した状態に近づく。つまり、空気シリンダ22の動作による定圧横剛性の発生領域を任意に選択することが容易にできる。
【0058】
このように、案内弁32にコイルばね64,66を配置して、その弾性力バランス(ばね定数等のバランス)を適宜選択することにより、最適なタイミングで空気シリンダ22を動作させて、定圧横剛性を発生させることが可能になり、車体の種類や形態、使用状況等に合わせて、最適なタイミングで空気シリンダによる定圧横剛性を生じさせて、適切かつ容易に横揺れを低減して、乗り心地のよい車両を提供する車体支持装置を得ることができる。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、車体を空気ばね又はコイルばねによって台車上に支持する際に、台車の横変位、特に高速で曲線路に進入した場合の横変位を空気シリンダによって確実に抑制することが可能となり、高速運転可能なかつ乗心地の良い車体支持装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る車体支持装置の全体的な概略構成図である。
【図2】 図1で示した車体支持装置の等価シミュレーションモデル図である。
【図3】 本実施形態に用いる空気シリンダの全体構成図である。
【図4】 図3に示した空気シリンダの横方向剛性特性図である。
【図5】 本実施形態における案内弁と機械的フィードバック系の要部を示す詳細な断面図である。
【図6】 本実施形態に用いる空気シリンダの他の全体構成図である。
【符号の説明】
10 台車、12 空気ばね、14 車体、16 ストッパゴム、22 空気シリンダ、30 主シリンダ、32 案内弁、34 機械的フィードバック系。
Claims (3)
- 台車(10)上に車体(14)を載置した車体支持装置であり、
台車(10)と車体(14)との間に介在し、車体(14)に取り付けられたピストン(38)と台車(10)に取り付けられたシリンダ(36)とを備え、車体(14)が台車(10)に対して横変位するとピストン(38)もシリンダ(36)に対して移動して、台車に対する車体の支持機構を構成する主シリンダ(30)と、
シリンダ(36)の各シリンダ室に接続され、スプール(42)を有し、案内シリンダ(40)内でのスプール(42)の変位に応じて何れかのシリンダ室に空気圧を導く、案内弁(32)と、
ピストン(38)を受け軸(62)を介して案内弁(32)のスプール(42)に接続して、ピストン(38)のシリンダ(36)に対する移動を、受け軸(62)を介して、案内弁(32)のスプール(42)に伝達し、スプール(42)の変位を生じさせる、機械的フィードバック系(34)と、を有し、
機械的フィードバック系(34)は、車体(14)の横変位が伝達されるスライド部材(56)と、スライド部材(56)に取り付けられたスプリング(60)により受け軸(62)に当接するように押圧されつつスライド部材(56)に対してスライド可能な押し駒(58)と、を有し、
押し駒(58)は、スライド部材(56)が、いずれのシリンダ室にも空気圧を与えない中立位置から案内シリンダ(40)に向かって所定量変位すると、案内シリンダ(40)に対して固定された位置にある第一ストッパ面(70a)に当接して、更にスライド部材(56)が案内シリンダ(40)に向かって移動してもスライド部材(56)がスプリング(60)が圧縮されて押し駒(58)はそれ以上移動することはできず、
スライド部材(56)は、案内シリンダ(40)から離れるように中立位置から所定量変位すると、案内シリンダ(40)に対して固定された位置にある第二ストッパ面(72a)に当接して、案内シリンダ(40)から離れるようにそれ以上移動することはできない、車体支持装置。 - スライド部材(56)は、案内シリンダ(40)と受け軸(62)との間に介装された圧縮スプリング(76)により受け軸(62)と押し駒(58)とを介して案内シリンダ(40)から離れるように中立位置から所定量変位する、請求項1に記載の車体支持装置。
- 受け軸(62)とスプール(42)との間に配置されるばね(64)を更に有する、請求項1に記載の車体支持装置。
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