JP5003638B2 - 減衰装置及び減衰力制御方法 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載されている減衰装置は、内部に作動流体を封入するシリンダと、シリンダの内部を二つの流体室に区画するピストンとを備える。これに加え、ピストンに設けるとともに、二つの流体室を開閉する減衰バルブと、減衰バルブを迂回して二つの流体室を連通させる連通路とを備える。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、車輪が路面から受ける衝撃に対する減衰力の変化の応答遅れを低減できる減衰装置及び減衰力制御方法を提供することを課題とする。
(構成)
まず、図1から図7を参照して、減衰装置の構成を説明する。
図1は、本実施形態の減衰装置1を示す側面図である。また、図2は、図1中に円IIで囲んだ範囲の拡大図である。
図1及び図2中に示すように、減衰装置1は、シリンダ2と、ピストン4と、減衰力制御手段Dとを備えている。なお、図1及び図2中では、説明のために、シリンダ2を軸方向に破断した状態を示している。
また、シリンダ2は、軸を車両上下方向へ向けて配置し、車輪側の端部を、連結部2aを介して、アクスル等の車輪側部材(図示せず)に連結する。これに加え、車体側の端部(上端部)を車体と対向させる。なお、連結部2aは、例えば、車輪側部材に挿通するボルト等の締結部材を挿入可能な、円環状に形成する。
シリンダ2の内部には、作動油(サスペンションオイル)等の作動流体Fを封入する。なお、図1中では、説明のために、作動流体Fの図示を省略している。
区画部18は、円環状に形成し、シリンダ2の内部に配置する。
区画部18の外径面は、シリンダ2の内壁面と摺動自在に対向させる。これにより、ピストン4は、シリンダ2の内部を、車体側(下側)の第一流体室22と、車輪側(上側)の第二流体室24に区画する。
ロッド部20は、シリンダ2の軸方向に延在する棒状に形成する。
ロッド部20の外径面のうち、ロッド部20の下端側は、区画部18の内径面に固定する。なお、ロッド部20の外径面を区画部18の内径面に固定する際には、区画部18の下面とロッド部20の下面とを連続させる。
また、ロッド部20の車体側の端部(上端部)は、サイドメンバ等の車体側部材(図示せず)に取り付ける。
また、ロッド部20は、図2中に示すように、第一連通路26及び第二連通路28を備えている。
第一連通路26及び第二連通路28は、ロッド部20の内部に形成し、第一流体室22と第二流体室24とを連通する。
また、第一連通路26及び第二連通路28は、ロッド部20の外径面と下端面とを、それぞれ、別経路で連通させる通路である。さらに、第一連通路26及び第二連通路28は、ロッド部20の内部において、互いに交差させて配置する。
第一逆止弁30は、ロッド部20の下面に取り付ける板状部材から形成する。
また、第一逆止弁30は、第一流体室22から第二流体室24へ移動する作動流体Fの液圧により変位して、第一連通路26を閉塞する。さらに、第一逆止弁30は、第二流体室24から第一流体室22へ移動する作動流体Fの液圧により変位して、第一連通路26を開放する。これにより、第一逆止弁30は、第一流体室22から第二流体室24への作動流体Fの移動を規制するとともに、第二流体室24から第一流体室22への作動流体Fの移動を許容する。
第二連通路28は、第二逆止弁32を備えている。
第二逆止弁32は、第二連通路28内に配置する板状部材から形成する。
また、第二逆止弁32は、第二流体室24から第一流体室22へ移動する作動流体Fの液圧により変位して、第二連通路28を閉塞する。さらに、第二逆止弁32は、第一流体室22から第二流体室24へ移動する作動流体Fの液圧により変位して、第二連通路28を開放する。これにより、第二逆止弁32は、第二流体室24から第一流体室22への作動流体Fの移動を規制するとともに、第一流体室22から第二流体室24への作動流体Fの移動を許容する。
減衰力制御手段Dは、アクチュエータ6と、第一可変絞り弁8と、第二可変絞り弁10と、第二連通路閉塞部12と、バネ要素14と、駆動力制御信号生成部16とを備えている。
アクチュエータ6は、例えば、電磁弁や電動機等、印加する電流信号に応じて駆動する装置により形成し、ロッド部20内に配置する。
また、アクチュエータ6は、第一可変絞り弁8に連結する可動部34を有する。可動部34は、シリンダ2の軸方向へ延在する棒状部材であり、ロッド部20の内部へ、ロッド部20と相対変位可能に配置する。
流路面積変化開口部36は、その開口面積が、第一連通路26の断面積よりも小さくなるように形成する。
また、第一可変絞り弁8は、アクチュエータ6が発生する駆動力により可動部34が変位すると、シリンダ2の軸方向へ変位する。そして、第一連通路26に対する流路面積変化開口部36の位置を変化させる。
第一連通路26に対する流路面積変化開口部36の位置が変化して、第一連通路26内における流路面積変化開口部36の開口面積が変化すると、第一連通路26の流路面積が変化する。
第一連通路26の流路面積が変化すると、第二流体室24から第一流体室22への、作動流体Fの単位時間当たりの流量が変化する。これにより、第一連通路26内における、第一可変絞り弁8を境界とした油圧差が変化する。そして、シリンダ2内においてピストン4が車体側へ変位する際の、作動流体Fによる抵抗が変化し、減衰装置1が発生させる伸長側の減衰力が変化する。
リターンスプリングは、無負荷、すなわち、アクチュエータ6が駆動力を発生していない状態で、第一連通路26の開口面積が最小値となる位置へ、可動部34を変位させる。また、リターンスプリングは、例えば、ロッド部20の内部へ配置する。
第二連通路閉塞部12は、第二連通路28を閉塞する板状部材であり、可動部34に連結する。
また、第二連通路閉塞部12には、作動流体Fが通過する連通路内開口部38を形成する。
連通路内開口部38は、その開口面積が、第二連通路28の断面積よりも小さくなるように形成する。
また、第二可変絞り弁10は、バネ要素14を介して、第一可変絞り弁8を連結した可動部34に連結する。すなわち、バネ要素14は、第二可変絞り弁10と可動部34とを連結する。これにより、可動部34に、第一可変絞り弁8と第二可変絞り弁10とを直列に連結する。
また、バネ要素14は、可動部34の変位により伸縮して第二可変絞り弁10を振動させるように、第二可変絞り弁10と可動部34とを連結する。具体的には、バネ要素14の伸縮方向が、可動部34の変位方向と平行となるように、第二可変絞り弁10と可動部34とを連結する。
また、第二可変絞り弁10は、連通路内開口部38と対向させる。具体的には、第二可変絞り弁10は、バネ要素14の伸縮による第二可変絞り弁10の振動中心が、作動流体Fの移動方向から見て、連通路内開口部38の中心と同一または略同一となるように配置する。
第二可変絞り弁10が振動すると、連通路内開口部38に対する第二可変絞り弁10の位置が変化して、連通路内開口部38のうち、第二可変絞り弁10が覆う部分の面積が変化する。これにより、第二連通路28内における連通路内開口部38の開口面積が変化して、第二連通路28の流路面積が変化する。
第二連通路28の流路面積が変化すると、第一流体室22から第二流体室24への、作動流体Fの単位時間当たりの流量が変化する。これにより、第二連通路28内における、第二可変絞り弁10を境界とした油圧差が変化する。そして、シリンダ2内においてピストン4が車輪側へ変位する際の、作動流体Fによる抵抗が変化し、減衰装置1が発生させる圧縮側の減衰力が変化する。
可動部34の変位によるバネ要素14の伸縮と、バネ要素14の伸縮による第二可変絞り弁10の振動状態は、可動部34の変位状態に応じて変化する。ここで、バネ要素14の伸縮による第二可変絞り弁10の振動状態は、可動部34の変位による第二可変絞り弁10の振動状態に相当する。
ここで、応答倍率x/uは、以下の式(1)及び図3に示す数値から算出する。なお、式(1)は、一自由度の振動応答に基づき、ωn=√(k/m)として示す。
以下、図1及び図2を参照した説明に復帰する。
駆動力制御信号生成部16は、例えば、車両に既存のECU(エンジンコントロールユニット)を用いて形成する。
また、駆動力制御信号生成部16は、駆動力制御信号Sを生成して、アクチュエータ6へ印加する。
図5は、本実施形態の減衰装置1を備える車両の制御システムを示す図である。
図5中に示すように、駆動力制御信号生成部16は、車両が備える各センサ、具体的には、車速センサ40A、操舵角センサ40B等、車両の情報を検出センサが出力する情報信号の入力を受ける。なお、本実施形態では、各センサとして、上記二種のセンサ40以外にも、エンジントルクセンサ40C、ブレーキ液圧センサ40D及び車体上下Gセンサ40Eを備える。
また、エンジントルクセンサ40Cは、例えば、駆動状態のエンジンが発生するトルクを検出し、この検出したトルクを含む情報信号を出力するセンサである。また、ブレーキ液圧センサ40Dは、例えば、車両制動時におけるブレーキ液圧を検出し、この検出したブレーキ液圧を含む情報信号を出力するセンサである。また、車体上下Gセンサ40Eは、例えば、走行状態の車両に作用する上下方向の加速度を検出し、この検出した加速度を含む情報信号を出力するセンサである。
また、駆動力制御信号生成部16は、上述した各センサが出力する情報信号に応じ、情報信号が含む検出値に応じて駆動力制御信号Sを生成する。そして、生成した駆動力制御信号Sを、各アクチュエータ6へ印加する。ここで、各アクチュエータ6は、車体と各車輪(左右前輪及び左右後輪)との間に配置する各減衰装置1がそれぞれ備える。なお、図5中では、各アクチュエータ6を、それぞれ、左右前輪及び左右後輪に対応させて、アクチュエータ6FR(右前輪)、アクチュエータ6FL(左前輪)、アクチュエータ6RR(右後輪)及びアクチュエータ6RL(左後輪)と記載する。
図6中に示すように、駆動力制御信号生成部16は、個別に生成した位置制御成分と振動制御成分とを合成して、駆動力制御信号Sを生成する。そして、この生成した駆動力制御信号Sをアクチュエータ6へ印加する。
位置制御成分は、第一連通路26の流路面積を制御するための成分である。本実施形態では、図6中に示すように、位置制御成分を、DC成分とする。
振動制御成分は、第二連通路28の流路面積を制御するための成分である。本実施形態では、図6中に示すように、振動制御成分を、AC成分とする。
また、AC成分の周波数は、第二連通路28内における連通路内開口部38の、単位時間当たりの平均開口面積に応じた値に制御する。ここで、第二連通路28内における連通路内開口部38の、単位時間当たりの平均開口面積は、AC成分の周波数を高くするにつれて減少する。
図7は、AC成分の周波数と、第一連通路26内における流路面積変化開口部36及び第二連通路28内における連通路内開口部38の、開口面積の変化度合いと、単位時間当たりの平均開口面積を示す図である。なお、図7中では、開口面積の変化度合いを実線で示し、単位時間当たりの平均開口面積を破線で示す。
これに対し、図7(b)及び図7(d)中に示すように、第二連通路28内における連通路内開口部38の、単位時間当たりの平均開口面積は、AC成分の周波数により変化する。
なお、図7(b)中では、第二連通路28内における連通路内開口部38の、開口面積の最小値である「リーク分」を、一点鎖線で示す。この「リーク分」は、第二連通路28内において、連通路内開口部38と第二可変絞り弁10との間に常時形成される隙間の開口面積である。また、図7(d)中に示す「リーク分」も、同様である。すなわち、上記の「リーク分」は、第二連通路28の最小流路面積を示す。
また、上述したように、減衰力制御手段Dは、第一連通路26の流路面積と第二連通路28の流路面積とを、個別に変化させる。
次に、図1から図7を参照しつつ、減衰装置1の動作について説明する。
減衰装置1を備えた車両の走行時において、例えば、操舵時や制動時等には、駆動力制御信号生成部16が、車両が備える各センサが出力する情報信号に応じて、駆動力制御信号Sを生成する(図5参照)。
駆動力制御信号生成部16は、第一連通路26の流路面積を制御するための位置制御成分と、第二連通路28の流路面積を制御するための振動制御成分とを、個別に生成する(図6参照)。
減衰装置1が発生させる伸長側の減衰力を、圧縮側の減衰力よりも大きくする場合、第一連通路26の流路面積が第二連通路28の流路面積よりも大きくなるように、DC成分及びAC成分の値を制御する(図2参照)。
駆動力制御信号Sを印加したアクチュエータ6は、駆動力制御信号Sに応じて駆動力を発生する。そして、この発生した駆動力により、可動部34をシリンダ2の軸方向へ能動的に変位させて、第一可変絞り弁8をシリンダ2の軸方向へ変位させる(図2参照)。
第一連通路26内における流路面積変化開口部36の開口面積が変化すると、第一連通路26の流路面積が変化する。そして、第二流体室24から第一流体室22への、作動流体Fの単位時間当たりの流量が変化する(図2参照)。これにより、減衰装置1が発生させる伸長側の減衰力が変化する(図1参照)。
このとき、第二可変絞り弁10は、駆動力制御信号Sが含むAC成分の周波数に応じて、連通路内開口部38の中心に対して振動する。そして、第二連通路28内における連通路内開口部38の開口面積を変化させる(図2参照)。
ここで、上述したように、駆動力制御信号生成部16は、AC成分の周波数を高く制御して駆動力制御信号Sを生成している。このため、可動部34が変位し、さらに、可動部34の変位によりバネ要素14が伸縮して、第二可変絞り弁10が振動すると、第一連通路26の流路面積は、第二連通路28の流路面積よりも大きくなる(図7参照)。これにより、減衰装置1が発生させる伸長側の減衰力は、圧縮側の減衰力よりも大きくなる(図1参照)。
なお、上述したように、本実施形態の減衰装置1の動作で実施する減衰力の制御方法(減衰力制御方法)は、アクチュエータ6により可動部34を能動的に変位させて、第一連通路26の流路面積を変化させる。これに加え、第二連通路28の流路面積を、可動部34の変位によるバネ要素14の伸縮で、第二可変絞り弁10を振動させて変化させる。これにより、第一連通路26の流路面積と第二連通路28の流路面積とを、個別に変化させる方法である。
(1)本実施形態の減衰装置では、減衰力制御手段が、第一連通路の流路面積が変化するように、第一可変絞り弁に連結する可動部を能動的に変位させるアクチュエータを備える。これに加え、第二可変絞り弁と可動部とを連結し、且つ可動部の変位により伸縮して第二可変絞り弁を振動させるバネ要素とを備える。
このため、一つのアクチュエータを用いて、第一流体室から第二流体室への作動流体の移動が規制された第一連通路の流路面積と、第二流体室から第一流体室への作動流体の移動が規制された第二連通路の流路面積とを、個別に変化させる。これにより、一つのアクチュエータを用いて、伸長側の減衰力と圧縮側の減衰力とを、独立して変化させることが可能となる。
また、伸長側の減衰力と圧縮側の減衰力とを独立して変化させるために、二つのアクチュエータを備える構成のものと比較して、減衰装置の小型化が可能となる
このため、省スペース化が可能となり、車両への搭載性を向上させることが可能となるため、多種多用な車種に採用することが可能となる。
このため、一つのアクチュエータにより、伸長側の減衰力または圧縮側の減衰力の一方を選択して、減衰力を変化させる構成のものと比較して、車輪が路面から受ける衝撃に対する減衰力の変化の応答遅れを低減できる。
その結果、一つのアクチュエータを備える構成としても、減衰装置の性能を向上させることが可能となる。
このため、簡易な構成により、第二可変絞り弁を、可動部の変位により伸縮するバネ要素より振動させることが可能となる。
その結果、減衰装置の構造を簡略化することが可能となり、減衰装置の製造コストを低減させることが可能となる。
このため、バネ要素の伸縮による第二可変絞り弁の振動中心が第二連通路内で変化しても、第二可変絞り弁の振動による連通路内開口部の開口面積の変化度合いが、第一可変絞り弁の変位により変化することを防止可能となる。
その結果、第二可変絞り弁による第二連通路の流路面積の変化度合いを安定させることが可能となり、減衰装置の作動性を安定させることが可能となる。
その結果、一つのアクチュエータへ印加する一種類の信号を用いて、伸長側の減衰力と圧縮側の減衰力とを独立して変化させることが可能となり、減衰装置の構成を簡略化することが可能となる。
このため、駆動力制御信号を構成する電流値の成分を制御することにより、第一可変絞り弁の変位状態と、第二可変絞り弁の振動状態を制御することが可能となる。
その結果、一つのアクチュエータを用いた簡易な構成により、伸長側の減衰力と圧縮側の減衰力とを独立して変化させることが可能となる。
その結果、アクチュエータを増設することなく、伸長側の減衰力と圧縮側の減衰力とを独立して制御することが可能となるため、減衰装置の製造コストを低減させることが可能となる。また、伸長側の減衰力と圧縮側の減衰力とを独立して変化させることにより、車輪が路面から受ける衝撃に対する減衰力の変化の応答遅れを低減できる。
(1)本実施形態の減衰装置1では、シリンダ2の内部に、アクチュエータ6、第一可変絞り弁8、第二可変絞り弁10、第二連通路閉塞部12及びバネ要素14を備える構成としたが、これに限定するものではない。すなわち、例えば、図8及び図9中に示すように、減衰装置1の構成を、シリンダ2の外部に、アクチュエータ6、第一可変絞り弁8、第二可変絞り弁10、第二連通路閉塞部12及びバネ要素14を備える構成としてもよい。なお、図8は、変形例の減衰装置1の構成を示す図である。また、図9は、図8中に円IXで囲んだ範囲の拡大図であり、第一連通路26及び第二連通路28の開口面積が最小値である状態を示す図である。
外径部2outと小径部2inとの間には、作動流体Fが移動する隙間を形成し、この隙間の両端は、それぞれ、第一流体室22または第二流体室24と連通させる、二箇所の開口部を有する。
また、外径部2outと小径部2inとの間には、第一流体室22と連通する開口部と第二流体室24と連通する開口部との間を、シリンダ2の周方向に沿って閉塞する、環状部材42を配置する。
図10は、第一連通路26の開口面積が最大値であるとともに、第二連通路28の開口面積が最小値である状態を示す図である。すなわち、可動部34の変位量が大きく、第二可変絞り弁10の振動幅が小さい状態である。この場合、第二可変絞り弁10は、連通路内開口部38の開口面積が最小値となる幅で振動する。
図11は、第一連通路26及び第二連通路28の開口面積が最大値である状態を示す図である。すなわち、可動部34の変位量が大きく、第二可変絞り弁10の振動幅が大きい状態である。この場合、第二可変絞り弁10は、連通路内開口部38の開口面積が最大値となる幅で振動する。
図13中に示すように、変形例の減衰装置1は、可動部34の第二連通路28側(下側)の端部に、バネ要素14の上端を連結し、バネ要素14の下端に、第二可変絞り弁10を連結する構成である。
このような構成の減衰装置1では、第二可変絞り弁10の振動中心が、可動部34の変位状態に応じて変化する。具体的には、可動部34が上方に変位している状態では、第二可変絞り弁10の振動中心も上方に変位し、可動部34が下方に変位している状態では、第二可変絞り弁10の振動中心も下方に変位する。
(5)本実施形態の減衰装置1では、バネ要素14を、コイルスプリングとしたが、これに限定するものではなく、バネ要素14を、例えば、柱状のゴム体としてもよい。要は、バネ要素14は、可動部34の変位により伸縮する部材であればよい。
2 シリンダ
4 ピストン
6 アクチュエータ
8 第一可変絞り弁
10 第二可変絞り弁
12 第二連通路閉塞部
14 バネ要素
16 駆動力制御信号生成部
18 区画部
20 ロッド部
22 第一流体室
24 第二流体室
26 第一連通路
28 第二連通路
30 第一逆止弁
32 第二逆止弁
34 可動部
36 流路面積変化開口部
38 連通路内開口部
40 センサ
42 環状部材
D 減衰力制御手段
S 駆動力制御信号
F 作動流体
SP リターンスプリング
P1、P2 作動流体の移動経路
Claims (6)
- 内部に作動流体を封入するシリンダと、当該シリンダの内部を第一流体室と第二流体室に区画するピストンと、前記第一流体室と前記第二流体室とを連通するとともに第一流体室から第二流体室への前記作動流体の移動が規制された第一連通路と、前記第一流体室と前記第二流体室とを連通するとともに第二流体室から第一流体室への前記作動流体の移動が規制された第二連通路と、前記第一連通路の流路面積と前記第二連通路の流路面積とを個別に変化させる減衰力制御手段と、を備え、
前記減衰力制御手段は、前記第一連通路の流路面積を変化させる第一可変絞り弁と、当該第一可変絞り弁に連結する可動部を有し、且つ前記第一連通路の流路面積が変化するように前記可動部を能動的に変位させるアクチュエータと、前記第二連通路の流路面積を変化させる第二可変絞り弁と、当該第二可変絞り弁と前記可動部とを連結し、且つ前記可動部の変位により伸縮して前記第二可変絞り弁を振動させるバネ要素と、を備えることを特徴とする減衰装置。 - 前記可動部に、前記第一可変絞り弁と前記第二可変絞り弁とを直列に連結することを特徴とする請求項1に記載した減衰装置。
- 前記減衰力制御手段は、前記可動部に連結するとともに前記第二連通路を閉塞する第二連通路閉塞部を備え、
前記第二連通路閉塞部に、前記作動流体が通過する連通路内開口部を形成し、
前記第二可変絞り弁を、前記連通路内開口部と対向させることを特徴とする請求項1または2に記載した減衰装置。 - 前記アクチュエータは、印加する駆動力制御信号に応じて前記可動部を能動的に変位させ、
前記駆動力制御信号は、前記第一連通路の流路面積を制御するための位置制御成分と、前記第二連通路の流路面積を制御するための振動制御成分と、を含み、
前記減衰力制御手段は、前記駆動力制御信号を生成して前記アクチュエータへ印加する駆動力制御信号生成部を備え、
前記駆動力制御信号生成部は、前記位置制御成分と前記振動制御成分とを個別に生成して合成することを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項に記載した減衰装置。 - 前記位置制御成分を、DC成分とし、
前記振動制御成分を、AC成分とし、
前記駆動力制御信号生成部は、前記AC成分の周波数を制御して、前記位置制御成分と前記振動制御成分とを個別に生成することを特徴とする請求項4に記載した減衰装置。 - 作動流体を封入するシリンダの内部を第一流体室と第二流体室に区画し、前記第一流体室から前記第二流体室への前記作動流体の移動が規制された第一連通路、及び前記第二流体室から前記第一流体室への前記作動流体の移動が規制された第二連通路により、前記第一流体室と前記第二流体室とを連通させ、
前記第一連通路の流路面積を変化させる第一可変絞り弁に、アクチュエータが有する可動部を連結し、
前記第二連通路の流路面積を変化させる第二可変絞り弁と前記可動部とを、バネ要素を介して連結し、
前記アクチュエータにより前記可動部を能動的に変位させて前記第一連通路の流路面積を変化させ、且つ前記可動部の変位による前記バネ要素の伸縮で前記第二可変絞り弁を振動させて前記第二連通路の流路面積を変化させ、前記第一連通路の流路面積と前記第二連通路の流路面積とを個別に変化させることを特徴とする減衰力制御方法。
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