JP3749517B2 - フィンガ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワークを把持するフィンガ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ワーク搬送装置をプレス機械に貫通させて前後方向に配備し、フィンガをプレス機の前方に出せる構造にしたものがある。すなわち、型段替え時にフィードバーが邪魔にならないように片持ちフィードバーを採用し、その片持ちフィードバーに吸着具を固定して、その吸着具でワークを吸着して搬送している(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−300661号公報(図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1では、いわゆる片持ちの吸着具でワークを吸着する構成であるため、ワークを確実に吸着させるためには、ある程度の保持時間が必要である。このため、プレス機の動作が一旦停止される。その結果、プレス機の稼働率が低下するとともに、生産性も低下する。
【0005】
また、フィンガを交換する際には、フィードバーの先端部をプレス機の前方に押出して、フィンガを交換しなければならない。その結果、フィンガの交換も容易に行うことはできない。
【0006】
しかも、ワークを吸着する構成であるため、ワークの重量に応じてフィンガを交換しなければならない。換言すれば、フィンガの汎用性が低かった。
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、その目的は、汎用性に富んだフィンガ装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、ワークを挟持するブラシと、そのブラシを突出させる孔が透設された挟持片と、その挟持片の孔から突出するブラシの突出量を調整する調整手段とを備えた。
【0008】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のフィンガ装置において、調整手段は、ブラシの突出量を規制する規制手段を備えている。
請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載のフィンガ装置において、挟持片は、ブラシを突出させる孔が透設された挟持壁と、ワークを下方から支持する支持片とから構成されている。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係るフィンガ装置の一実施形態について図面を用いて説明する。
【0010】
図1(a)、(b)に示すように、フィンガ装置1は、一対のエアシリンダ2を備えている。これら一対のエアシリンダ2は、調整手段として機能する。一対のエアシリンダ2は、ロッド20を前進させるための前進ポート21、ロッド20を後退させるための後退ポート22、エアシリンダ2に対するロッド20の位置をロックするためのロックポート23とを備えている。このロックポート23は、規制手段として機能する。
【0011】
一対のエアシリンダ2の基端部は、フィードバー30に固定されている。一方、一対のエアシリンダ2のロッド20には、ワーク60を挟持するための挟持片40が固定されている。この挟持片40は、断面L型状に形成されている。すなわち、挟持片40は、挟持壁41と支持片42とから構成されている。この挟持壁41の中央には、略四角形状の孔41aが透設されている。支持片42の先端には、ワーク60を掬うための斜面42aが形成されている。
【0012】
一対のエアシリンダ2の間には、ブラシ50が植毛されたブラシ支持部材51が配設されている。このブラシ50は、金属、例えば真鍮から構成されている。ブラシ50の先端は、挟持壁41の孔41aを貫通して突出している。ブラシ支持部材51は、接続部材52を介してフィードバー30にボルト53で固定されている。
【0013】
このように構成されたフィンガ装置1におけるエアシリンダ2の動作について説明する。
エアシリンダ2の前進ポート21にエアが注入されると、ロッド20が前進する。このため、ロッド20に固定されている挟持片40も前進する。その結果、挟持壁41の孔41aから突出しているブラシ50の突出量が減少する。
【0014】
一方、エアシリンダ2の後退ポート22にエアが注入されると、ロッド20が後退する。このため、ロッド20に固定されている挟持片40も後退する。その結果、挟持壁41の孔41aから突出しているブラシ50の突出量が増加する。
【0015】
そして、ブラシ50の突出量が決定された後、ロックポート23にエアが注入されると、ロッド20がロックされる。その結果、挟持片40のエアシリンダ2に対する位置が決定される。換言すれば、ブラシ50の突出量が規制される。なお、このようにロッド20がロックされた後、前進ポート21又は後退ポート22にエアが注入されると、ロッド20のロック状態が解除される。その結果、挟持片40のエアシリンダ2に対する位置を変更することができる。換言すれば、ブラシ50の突出量を再度決定し直すことができる。
【0016】
次に、このように構成されたフィンガ装置1を、例えば6軸垂直多関節ロボット(以下、ロボット)(図示略)に装着した場合の動作について説明する。
まず、2つのフィンガ装置1を1つのフィードバー30に固定する。続いて、2つのフィンガ装置1を備えた1つのフィードバー30を、例えばロボットに装着させる。そして、ワーク60を挟んで2つのロボットを対向させて配置させると、図2に示すように、一対のフィンガ装置1が対向配置される。
【0017】
一対のロボットが一対のフィンガ装置1で2つのワーク60を挟持すると、挟持壁41の孔41aから突出しているブラシ50の先端が撓む。このとき、ブラシ50は、挟持壁41の孔41aによって、ブラシ50の先端のみが撓む。また、ブラシ50の撓みによって、2つのワーク60が確実に挟持される。
【0018】
さらに、一対のフィンガ装置1で2つのワーク60が挟持されたときには、支持片42が2つのワーク60の下方に位置する。このとき、支持片42の先端に形成された斜面42aによって、支持片42が滑らかにワーク60の下方に位置する。その結果、2つのワーク60の下方が支持片42で支持される。従って、ブラシ50の撓みと支持片42の支持とが相俟って、2つのワーク60が確実に挟持される。そして、ロボットにより、2つのワーク60が3次元方向に移動される。
【0019】
以上、詳述したように本実施形態によれば、次のような作用、効果を得ることができる。
(1)エアシリンダ2の前進ポート21にエアが注入されると、挟持片40が前進する。その結果、ブラシ50の突出量が減少する。一方、エアシリンダ2の後退ポート22にエアが注入されると、挟持片40が後退する。その結果、ブラシ50の突出量が増加する。すなわち、エアシリンダ2の前進ポート21又は後退ポート22にエアが注入されることにより、ブラシ50の突出量が調整されている。そして、ブラシ50の突出量が決定された後、ロックポート23にエアが注入されると、ロッド20がロックされる。その結果、挟持片40のエアシリンダ2に対する位置が決定される。換言すれば、ブラシ50の突出量が規制される。このため、ワーク60に応じてブラシ50の突出量を自由に調整することができる。従って、異なるワーク60であっても同一のフィンガ装置1で挟持することができる。よって、汎用性に富んだフィンガ装置1を提供することができる。
【0020】
(2)加えて、異なるワーク60であっても同一のフィンガ装置1で挟持することができるため、ワーク60に応じてフィンガ装置1を交換する必要もない。従って、フィンガ装置1をロボットに装着し、例えばプレス機におけるワーク搬送装置に適用した場合には、プレス機の稼働率を向上させることができる。
【0021】
(3)支持片42の先端には、ワーク60を掬うための斜面42aが形成されている。このため、ワーク60の下方が支持片42で支持される。従って、ブラシ50の撓みと支持片42の支持とが相俟って、ワーク60を確実に挟持することができる。
【0022】
なお、前記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・図3(a)、(b)に示すように、1つのエアシリンダ2でフィンガ装置1を構成しても良い。具体的には、同図に示すように、1つのエアシリンダ2の基端部は、フィードバー30に固定されている。ロッド20には、接続部材52が固定されている。その接続部材52には、ブラシ50が植毛されたブラシ支持部材51がボルト53で固定されている。一方、挟持片40は、支持部材70を介してフィードバー30にボルト71で固定されている。なお、前記実施形態と同一部材については同一符号を付して説明を省略している。そして、2つのフィンガ装置1を1つのフィードバー30に固定するとともに、そのフィードバー30を例えば2つのロボットに装着させる。そして、2つのロボットを対向させて配置させれば、1つのエアシリンダ2で前記実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0023】
・ブラシ50は、金属、例えば真鍮に代えて、合成樹脂であっても良い。
・ブラシ50の先端をワーク60の形状に合わせても良い。このように構成すれば、ワーク60を確実に挟持することができる。
【0024】
・また、ブラシ50の先端を、例えば凹形状、凹凸を繰り返す方形波形状や三角波形状にしても良い。このように構成すれば、異なるワーク60であっても挟持することができる。
【0025】
さらに、上記実施形態より把握される技術的思想について、以下にそれらの効果と共に記載する。
〔1〕請求項3に記載のフィンガ装置において、支持片の先端には、ワークを掬うための斜面が形成されているフィンガ装置。このように構成すれば、ワークの下方が支持片で支持される。従って、ブラシの撓みと支持片の支持とが相俟って、ワークを確実に挟持することができる。
【0026】
〔2〕請求項1〜請求項3、前記〔1〕のいずれか1項に記載のフィンガ装置において、ブラシの先端は、凹状に形成されているフィンガ装置。このように構成すれば、ワークを確実に挟持することができる。
【0027】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明によれば、汎用性に富んだフィンガ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)フィンガ装置を示す平面図。
(b)フィンガ装置を示す右側面図。
【図2】対向する一対のフィンガ装置を示す平面図。
【図3】(a)別の実施形態におけるフィンガ装置を示す平面図。
(b)別の実施形態におけるフィンガ装置を示す右側面図。
【符号の説明】
1…フィンガ装置、2…調整手段としてのエアシリンダ、20…ロッド、21…前進ポート、22…後退ポート、23…規制手段としてのロックポート、40…挟持片、41…挟持壁、41a…孔、42…支持片、42a…斜面、50…ブラシ、60…ワーク。

Claims (3)

  1. ワークを挟持するブラシと、
    そのブラシを突出させる孔が透設された挟持片と、
    その挟持片の孔から突出するブラシの突出量を調整する調整手段とを備えたフィンガ装置。
  2. 請求項1に記載のフィンガ装置において、
    調整手段は、ブラシの突出量を規制する規制手段を備えているフィンガ装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載のフィンガ装置において、
    挟持片は、ブラシを突出させる孔が透設された挟持壁と、ワークを下方から支持する支持片とから構成されているフィンガ装置。
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