JP3749332B2 - 画像読取装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、原稿搬送手段により搬送されて所定の読取位置を通過する原稿の画像を、該読取位置に設けた不動の読取手段によって読み取る、いわゆるシートスルータイプ(流し撮りタイプ)の画像読取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平4−292064号公報には、プラテンガラス上に画像面を下向きに載置された原稿を、読取手段を副走査方向へ移動させつつ露光走査して読み取る装置であって、ADF(原稿自動給送装置)の固体毎に設定された調整値(原稿先端位置のバラツキ)に応じて読取手段の読取開始タイミングを補正することにより用紙上での画像の位置ズレを防止する装置が開示されている。
特開平1−265666号公報や、特開平1−167766号公報には、原稿自動搬送手段により搬送されている原稿を、位置不動の読取手段により露光走査して読み取る装置が開示されている。
【0003】
従来のシートスルータイプの画像読取装置としては、原稿待機位置から搬送を開始された原稿が読取位置へ達するタイミングで、読取手段による読取動作を開始するものがある。この種の画像読取装置では、露光ランプのウォームアップ等のため、読取手段が準備動作を開始してから読取可能な状態となるまでに一定の時間が必要である。一方、原稿待機位置から搬送を開始された原稿が読取位置へ達するまでには或る搬送時間t1が必要であり、該搬送時間t1は、動作条件等によって異なる。正常な読取動作のためには、読取動作の開始時刻までに読取動作のための準備動作が完了している必要がある。このため、従来の画像読取装置では、原稿待機位置に所定の待機時間だけ原稿を待機させた後、読取手段の準備動作が完了する時刻よりもT1mini時間前のタイミングで原稿の搬送を開始しており、これにより、上記準備動作の完了時刻前に原稿が読取位置に到達することがないようにしている。ここで、T1miniは、原稿搬送手段のあらゆる動作条件に於ける原稿搬送時間t1の最小値である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の画像読取装置では、動作条件にかかわらず、常に、原稿搬送時間t1の最小値であるT1mini時間前のタイミングで原稿の搬送を開始している。このため、現実の原稿搬送時間T1aが、想定され得る原稿搬送時間の最小値T1miniよりも大きくなるような動作条件で動作する場合には、読取手段の準備動作が完了した後、さらに或る時間が経過した時に原稿が読取位置に到達して読取動作が開始されることとなり、時間的ロスが生ずる。つまり、t1=T1a(>T1mini)となる動作条件で搬送が行われる場合には、読取手段の準備動作完了後、さらに「T1a-T1mini」時間経過した時に原稿が読取位置に到達して読取動作が開始されることとなるため、時間的ロスが生ずる。
【0005】
本発明は、読取手段と原稿搬送手段を連動させ、動作条件に応じた最適なタイミングで読取動作を開始できるようにして時間的ロスを防ぎ、生産性を向上させた画像読取装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、動作条件の設定を行う操作手段と、所定の原稿待機位置から原稿の搬送を開始して所定の読取位置を通過させる原稿搬送手段と、読取動作のための準備動作を行った後、静止した状態で、前記原稿搬送手段により搬送されて前記読取位置を通過する原稿を露光走査して読み取る読取手段と、前記原稿待機位置から前記読取位置まで原稿を搬送するのに必要な搬送時間t1を前記操作手段により設定された動作条件に基づいて予測し、前記読取手段のランプのウォームアップを含む前記読取手段の準備動作が完了する時刻よりt1時間前のタイミングで前記原稿待機位置から原稿の搬送を開始するように前記原稿搬送手段を制御する原稿搬送制御手段と、を有する画像読取装置である。
【0007】
請求項2の発明は、装置固体毎に機差バラツキの有る搬送距離補正値を設定するための操作手段と、所定の原稿待機位置から原稿の搬送を開始して読取位置を通過させる原稿搬送手段と、読取動作のための準備動作を行った後、静止した状態で、前記原稿搬送手段により搬送されて前記読取位置を通過する原稿を露光走査して読み取る読取手段と、前記原稿待機位置から前記読取位置まで原稿を搬送するのに必要な搬送時間t1を設計された搬送路長と前記操作手段により設定された搬送距離補正値とに基づいて予測し、前記読取手段のランプのウォームアップを含む前記読取手段の準備動作が完了する時刻よりt1時間前のタイミングで前記原稿待機位置から原稿の搬送を開始するように前記原稿搬送手段を制御する原稿搬送制御手段と、を有する画像読取装置である。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1に於いて、前記動作条件が読取倍率である、画像読取装置である。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1に於いて、前記動作条件が読取倍率と読取倍率の装置固体毎の機差バラツキを補正するための倍率補正値である、画像読取装置である。
請求項5の発明は、請求項1又は2に於いて、前記読取動作のための準備動作がシェーディング補正用データのサンプリングを含む、画像読取装置である。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施の形態の画像読取装置の構成を示すブロック図、図2は該装置の原稿搬送部2 と読取部3 の機構を示す縦断面模式図である。また、図3は読取制御部311 の処理手順を示すフロ−チャ−ト、図4〜図5は原稿搬送制御部210 の処理手順を示すフロ−チャ−ト、図6はスキャナユニット304 の移動と原稿搬送のタイミングを示すタイムチャート、図7は照明ランプの立ち上がり特性図である。
【0011】
(1)概要.
図示の画像読取装置では、読取位置A を通過中の原稿を不動のスキャナユニット304 で読み取るシートスルー(流し撮り)モードと、原稿台ガラス302 上の不動の原稿を移動中のスキャナユニット304 で読み取る手置きモードとが設定可能である。原稿が原稿トレイ201 に在ることが原稿センサ202 により検出されている状態でスタートキー101 が操作された場合は、シートスルーモードでの画像読取動作が行われる。また、原稿が原稿トレイ201 に無い状態でスタートキー101 が操作された場合は、手置きモードでの画像読取動作が行われる。
【0012】
本画像読取装置は、操作部1 、原稿搬送部2 、及び読取部3 から成る。操作部1 は、動作開始の指示や読取倍率等の各種設定値の入力に用いられる。原稿搬送部2 は、シートスルーモード(流し撮りモード)に於いて、原稿トレイ201 の原稿を給紙して読取位置A を所定の速度で通過させて排紙トレイ207 へ送り込むように動作する。読取部3 は、シートスルーモードでは移動中の原稿を不動のスキャナユニット304 等で読み取り、手置きモードでは原稿台ガラス302 上の不動の原稿を移動中のスキャナユニット304 等で読み取るように動作する。
【0013】
(2)操作部1.
操作部1 は、動作開始を指示するためのスタートキー101 、読取倍率・倍率補正値・搬送距離補正値等の各種の設定値を入力するための設定入力キー102 、各種の設定値を表示するための表示パネル103 、設定された倍率補正値や搬送距離補正値を記憶する不揮発性メモリ104 を有する。
【0014】
操作部1 は、スタートキー101 が操作されると、スタート信号start オンを原稿搬送部2 と読取部3 の各制御部210,311 へ出力する。また、読取倍率が設定入力されると、原稿搬送部2 と読取部3 の各制御部210,311 へ読取倍率の設定値を送信する。また、倍率補正値が設定入力されると、原稿搬送部2 の制御部210 へ倍率補正値の設定値を送信するとともに不揮発性メモリ104 に記憶する。同様に、搬送距離補正値が設定入力されると、原稿搬送部2 の制御部210 へ原稿搬送距離補正値の設定値を送信するとともに不揮発性メモリ104 に記憶する。
【0015】
不揮発性メモリ104 に記憶された倍率補正値と搬送距離補正値とは、電源が投入される毎に読み出されて原稿搬送部2 の制御部210 へ送信される。倍率補正値は、各固体(装置)毎の読取倍率の原稿搬送部2 の機械的なバラツキにより生ずる誤差を補正するものである。搬送距離補正値は、各固体(装置)毎の原稿搬送部2 の原稿待機位置G から読取位置A までの搬送路長(設計された搬送路長)の機械的なバラツキにより生ずる誤差を補正するものである。倍率補正値と搬送距離補正値とは本画像読取装置の工場での組み立て時に於いて各固体(装置)毎に設定され、その後は、電源投入毎に再設定する必要を無くすために、上述のように不揮発性メモリ104 に記憶されて、電源の投入毎に読み出される。
【0016】
(3)原稿搬送部2.
原稿搬送部2 は、原稿を載置する原稿トレイ201 、原稿トレイ201 上の原稿の有無を検出する原稿センサ202 、原稿トレイ201 上の原稿を1枚づつ搬送経路へ送り出す給紙ローラ203 、原稿の搬送を原稿待機位置G で一時停止させて原稿搬送制御部210 から指示されたタイミングで送り出すタイミングローラ204 、原稿を搬送して読取位置A 上を通過させるメインローラ205 、原稿を排出する排紙ローラ206 、原稿の排出先である排紙トレイ207 、給紙ローラ203 を駆動する給紙モータ208 、タイミングローラ204 とメインローラ205 と排紙ローラ206 を駆動するメインモータ209 、CPUとROMとRAMにより構成されステッピングモータ制御機能を内蔵する原稿搬送制御部210 を有する。
【0017】
原稿センサ202 は、原稿有りを検知すると、原稿検知信号dtctオンを原稿搬送制御部210 と読取制御部311 へ出力する。同様に、原稿無しを検知すると、原稿検知信号dtctオフを原稿搬送制御部210 と読取制御部311 へ出力する。原稿搬送制御部210 と読取制御部311 は、操作部1 からのスタート信号start がオンになった時に、原稿検知信号dtctがオンであれば、シートスルーモードでの制御を開始する。また、操作部1 からのスタート信号start がオンになった時に、原稿検知信号dtctがオフであれば、手置きモードでの制御を開始する。
【0018】
給紙モータ208 とメインモータ209 はステッピングモータであり、各々原稿搬送制御部210 からの駆動パルスpulse1,pulse2 のパルス周期に応じた速度で駆動される。
【0019】
原稿搬送制御部210 を構成するCPUは、ステッピングモータ駆動機能を内蔵しており、内部変数fspeed1 に原稿搬送速度を設定し、且つ、内部変数flength1に原稿搬送距離を設定して、内部フラグfdrive1 をオンすることにより(図4のS103参照) 、駆動パルスpulse1を自動的に出力して、給紙モータ208 を駆動する。これにより、給紙ローラ203 が回転されて、原稿トレイ201 の原稿が、設定されている原稿搬送速度で、設定されている原稿搬送距離だけ、搬送される。
【0020】
同様に、内部変数fspeed2 に原稿搬送速度を設定し、且つ、内部変数flength2に原稿搬送距離を設定して、内部フラグfdrive2 をオンすることにより(図5のS110参照) 、駆動パルスpulse2を自動的に出力して、メインモータ209 を駆動する。これにより、タイミングローラ204 とメインローラ205 と排紙ローラ206 が回転されて、原稿待機位置G の原稿が、設定されている原稿搬送速度で、設定されている原稿搬送距離だけ、搬送される。
【0021】
また、ステッピングモータ駆動機能は、駆動パルスpulse1と駆動パルスpulse2の各出力パルス数に基づいて原稿の位置を検出し、原稿トレイ位置F からの原稿の現実の搬送距離を、内部変数fposition に自動的に書き込む。この内部変数fposition は、原稿が設定された搬送距離だけ搬送されたか否かの判定に用いられる(図4のS104, 図5のS111参照) 。
【0022】
原稿搬送制御部210 は、シートスルーモードでの読取時には、内部変数fposition を参照して原稿が読取位置A に達したことを検出し(図5のS111参照) 、その時点で読取部3 の画像処理部310 に対して、画像読取信号vdをオンする(図5のS112参照) 。
【0023】
原稿トレイ位置F から原稿待機位置G までの距離をLfg とし、原稿トレイ位置F から排紙トレイ位置H までの距離をLfh とする。また、原稿トレイ位置F から読取位置A までの標準的な距離をLfa とする。標準的な距離とは、固体毎(装置毎)の機械的なバラツキが無い場合の距離(設計された搬送路長)である。
【0024】
(4)読取部3.
読取部3 は、白基準板301 、原稿載置ガラス302 、シートスルーモード時の読取用ガラス303 、第1ミラーと照明ランプを備えたスキャナユニット304 、第2ミラー305 、第3ミラー306 、レンズ307 、スキャナーユニット304 を副走査方向に駆動するスキャナモータ308 、CCDユニット309 、AD変換器とデジタル処理ICを備えた画像処理部310 、CPUとROMとRAMにより構成されDCモータ制御機能を内蔵する読取制御部311 、温度センサ312 を有する。
【0025】
CCDユニット309 は、スキャナユニット304 から、第2ミラー305 、第3ミラー306 、レンズ307 を経て入力される原稿反射光をアナログ画像信号に変換して、画像処理部310 へ出力する。画像処理部310 は、CCDユニット309 から入力されるアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換し、シェーディング補正等の各種のデジタル画像処理を施して、プリンタ等の外部機器へ出力する。
【0026】
スキャナモータ308 はロータリーエンコーダ内蔵のDCモータであり、読取制御部311 からの通電信号pwm オンと方向信号dir により駆動される。読取制御部311 を構成するCPUはDCモータ駆動機能を内蔵しており、内部変数sspeedに移動速度を設定して、内部フラグsdriveをオンすることにより、スキャナモータ308 を駆動するするための通電信号pwm を自動的に出力する(図3のS004とS010参照)。これにより、スキャナユニット304 が、設定されている速度で設定されている方向へ移動される。
【0027】
また、DCモータ駆動機能は、ロータリーエンコーダからのパルス信号fgの入力パルス数に基づいてスキャナユニット304 の位置を検出し、読取位置A からの距離を内部変数sposition へ自動的に書き込む。この内部変数sposition は、スキャナユニット304 が設定された距離だけ設定された方向へ搬送されたか否かの判定に用いられる(図3のS005とS011参照) 。
【0028】
読取制御部311 は、操作部1 からスタート信号start オンが入力されると(図3のS001参照)、ランプ点灯信号lampオン(図3のS002参照)をスキャナユニット304 へ出力することにより照明ランプを点灯させて照明ランプのウォームアップを開始する。また、白基準板301 の読取位置B へスキャナユニット304 を移動させて(図3のS004〜S007参照)白基準板301 を読み取り、これに基づいてシェーディング補正用の基準データのサンプリング等の準備処理を行う。
【0029】
シートスルーモードでは、スキャナユニット304 が読取位置A へ移動されて静止された後、原稿搬送部2 により搬送されて読取位置A を通過している原稿を読み取る。手置きモードでは、スキャナユニット304 が読取開始位置C へ移動された後、該読取開始位置C から読取位置A へ移動される間に、原稿載置ガラス302 上に手置きされている原稿を読み取る。
【0030】
シェーディング補正用基準データのサンプリングは、読取制御部311 がシェーディングデータサンプリング信号shwrオンを画像処理部310 へ出力し(図3のS008参照)、これにより、デジタル処理ICが基準データをサンプリングすることで行われる。画像処理部310 は、読取制御部311 からのシェーディングデータサンプリング信号shwrオンが入力すると、その時に読み取ったデジタル画像信号をシェーディング補正用データとしてデジタル処理IC内のメモリに記憶する。
【0031】
手置き原稿読取時は、読取制御部311 が画像読取信号vdオンを画像処理部310 へ出力する。画像処理部310 は、読取制御部311 又は原稿搬送制御部210 からの画像読取信号vdオンが入力すると、その時に読み取ったデジタル画像信号に対してシェーディング補正用データに基づいてシェーディング補正を行った後、外部機器に対して出力する。なお、読取位置A から白基準板301 の読取位置B までの距離をLab とする。
【0032】
(5)読取制御部311 での制御手順.
読取制御部311 は、操作部1 からスタート信号start オンが入力されるまで待機する。スタート信号start オンが入力されると(S001;YES)、ステップS002〜S013の準備処理が開始される。
【0033】
まず、ランプ点灯信号lampがオンされる(S002)。これにより、スキャナユニット304 の照明ランプが点灯される。次に、照明ランプがウォームアップして照明光量が安定するのに必要な時間Tlamp だけ待機される(S003)。
【0034】
ステップS004では、スキャナモータ308 の回転方向を指示する方向信号dir がオンされ、スキャナモータ308 の回転速度を指示する内部変数sspeedに移動速度SS1 が設定され、内部フラグsdriveがオンされる。これにより、スキャナモータ308 が、当初読取位置A に在るスキャナユニット304 を図2の副走査+方向へ速度SS1 で移動させるように回転駆動される。なお、方向信号dir は、オンのときに副走査+方向、オフのときに副走査−方向に対応する。
【0035】
ステップS005では、スキャナユニット304 が白基準位置B の手前の位置D へ到達するまで待機される。つまり、スキャナユニット304 の読取位置A からの移動距離を示す内部変数sposition の値が、読取位置A 〜白基準位置B の距離Lab から位置D 〜白基準位置B の距離Ldb を減算した値に等しくなるまで待機される。換言すれば、スキャナユニット304 の読取位置A からの移動距離が、読取位置A 〜位置D の距離に等しくなるまで待機される。位置D は、該位置D からスキャナユニット304 の減速を開始した場合に、該スキャナユニット304 が白基準位置B で停止する筈の位置である。
【0036】
スキャナユニット304 が位置D に到達すると(S005;YES)、内部フラグsdriveがオフされる(S006)。これにより、スキャナモータ308 の駆動が停止されて、スキャナユニット304 の減速が開始される。ステップS007では、スキャナユニット304 が停止するまでに必要な時間Tbrake待機される。
【0037】
ステップS008では、画像処理部310 へのシェーディングデータサンプリング信号shwrがオンされる。これにより、画像処理部310 では、シェーディング補正用データのサンプリングが開始される。ステップS009では、画像処理部310 がシェーディング補正用データをサンプリングするのに必要な時間Tsh 待機される。
【0038】
ステップS010では、シェーディングデータサンプリング信号shwrがオフされてシェーディング補正用データのサンプリングが終了される。また、スキャナモータ308 の回転方向を指示する方向信号dir がオフされ、スキャナモータ308 の回転速度を指示する内部変数sspeedに移動速度SS1 が設定され、内部フラグsdriveがオンされる。これにより、スキャナモータ308 が、当初白基準位置B に在るスキャナユニット304 を図2の副走査−方向へ速度SS1 で移動させるように回転駆動される。
【0039】
ステップS011では、スキャナユニット304 が読取位置A の手前の位置E へ到達するまで待機される。つまり、スキャナユニット304 の読取位置A からの距離を示す内部変数sposition の値が、読取位置A 〜位置E の距離Lea に等しくなるまで待機される。位置E は、該位置E からスキャナユニット304 の減速を開始した場合に、該スキャナユニット304 が読取位置A で停止する筈の位置である。
【0040】
スキャナユニット304 が位置E に到達すると(S011;YES)、内部フラグsdriveがオフされる(S012)。これにより、スキャナモータ308 の駆動が停止されて、スキャナユニット304 の減速が開始される。ステップS013では、スキャナユニット304 が停止するまでに必要な時間Tbrake待機される。
【0041】
こうして、読取動作のための準備動作が終了すると、原稿センサ202 の原稿検知信号dtctに基づいて、シートスルーモードであるか手置きモードであるか判定される(S014)。原稿検知信号dtctがオフの場合(S014;NO) 、つまり、原稿トレイ201 に原稿がセットされていない場合は、原稿載置ガラス302 上に置かれた不動の原稿を読み取るための手置きモードの処理が行われる。この手置きモードの処理の説明は省略する。
【0042】
一方、ステップS014で原稿検知信号dtctがオンの場合(S014;YES)、つまり、原稿トレイ201 に原稿がセットされている場合は、読取位置A を通過する原稿を読み取るシートスルーモードの処理が行われる。即ち、原稿搬送部2 により搬送されて読取位置A を通過する原稿を読み取るのに必要な時間Tscan 待機される(S015)。この間に、原稿搬送制御部2 では図5のステップS112〜S114の処理が実行されて、画像読取信号vdが必要な範囲でオンされる。これにより、画像処理部310 からデジタル画像信号が出力される。
【0043】
ステップS015の待機後、ステップS016で、原稿検知信号dtctが参照される。その結果、原稿検知信号dtctがオンの場合(S016;NO) 、つまり、原稿トレイ201 に次原稿が有る場合は、ステップS004に戻り、該次原稿について、上述の処理が繰り返される。一方、ステップS016で次原稿が無い場合は(S016;YES)、ランプ点灯信号lampがオフされて(S017)、動作が終了される。
【0044】
(6)原稿搬送制御部210 での制御手順.
原稿搬送制御部210 は、操作部1 からスタート信号start オンが入力されるまで待機する。スタート信号start オンが入力されると(S101;YES)、原稿検知信号dtctが参照される(S102)。つまり、原稿トレイ201 に原稿が有るシートスルーモードであるか、原稿が無い手置きモードであるか、判定される。その結果、手置きモードの場合は(S102;NO) 、原稿を搬送する必要が無いため、原稿搬送部2 の動作は終了される。
【0045】
一方、ステップS102でシートスルーモードと判定された場合は(S102;YES)、ステップS103以降の原稿搬送動作のための処理が実行される。
【0046】
まず、内部変数fspeed1 に原稿搬送速度FS1 が設定されるとともに、内部変数flength1に原稿移動距離Lfg が設定され、内部フラグfdrive1 がオンされる(S103)。これにより、CPU内蔵のステッピングモータ駆動機能がパルスpulse1を自動的に出力して給紙モータ208 を駆動して、原稿を速度FS1 で距離Lfg だけ移動させて原稿待機位置G に停止させる。なお、移動開始時の加速処理と停止時の減速処理、及び停止後の内部フラグfdriveのオフも、ステッピングモータ駆動機能によって自動的に行われる。
【0047】
次に、内部変数fposition がLfg となるまで待機される(S104)。即ち、原稿トレイ位置F に在った原稿が距離Lfg だけ搬送されて、原稿待機位置G へ到るまで待機される。
【0048】
ステップS105〜S107では、原稿待機位置G から読取位置A まで原稿を搬送するのに必要な搬送時間t1が、操作部1 により設定された動作条件に基づいて、下記の式によって算出される。即ち、
【0049】
mag≧1の場合(S105;YES,S106).
【数1】
t1=T1A +fladjust/(FS2 /(mag +magadjust ))
【0050】
mag<1の場合(S105;NO,S107).
【数2】
t1=T1B +fladjust/(FS2 /(mag +magadjust ))
【0051】
のように算出される。ここで、mag (0.5≦mag≦4.0)は、操作部1 から受信した読取倍率を格納した内部変数である。
また、magadjust (−0.05≦magadjust≦0.05)は、操作部1 から受信した倍率補正値を格納した内部変数である。
また、fladjust(−5.0mm≦fladjust≦5.0mm)は、操作部1 から受信した搬送距離補正値を格納した内部変数である。
【0052】
また、T1A は、原稿搬送距離が標準値(fladjust=0)の場合に於いて等倍(mag=1.0)の場合の搬送時間を示す定数である。等倍より大きい倍率(1.0<mag≦4.0)の場合は、原稿搬送速度は等倍時より遅くなるので、fladjust=0に於ける搬送時間はT1Aより大きくなる。
また、T1B は、原稿搬送距離が標準値(fladjust=0)の場合に於いて0.5倍(mag=0.5)の場合の搬送時間を示す定数である。0.5倍より大きい倍率(0.5<mag<1.0)の場合は、原稿搬送速度は0.5倍時より遅くなるので、fladjust=0に於ける搬送時間はT1Bより大きくなる。
また、FS2 は、等倍(mag=1.0)の時の読取時の原稿搬送速度を示す定数である。
【0053】
したがって、各項は、
(mag +magadjust )は、倍率補正値によって補正した後の読取倍率,
FS2 /(mag +magadjust )は、倍率補正値によって補正した読取倍率での原稿搬送速度,
fladjust/(FS2 /(mag +magadjust ))は、搬送距離補正値により原稿搬送距離が補正されたことによる搬送時間t1の変化量,
という意味を持つ。
【0054】
ステップS108では、原稿待機位置G での待機時間t2が、ステップS105〜S107で算出した原稿搬送時間t1に基づいて、下記の式により算出される。
【数3】
t2=T0−t1−T3
【0055】
ここで、T0は、読取部3 が図3のフロ−チャ−トのステップS002〜S013で制御される準備動作を行うのに要する時間である。この準備動作時間T0には照明ランプのウォームアップ時間(立ち上がり時間)が含まれるが、このウォームアップ時間は、(イ)環境温度によってバラツクとともに、(ロ)図7に示すように照明ランプが前回のオフの直後にオンされたか長時間オフされていた後にオンされたかという履歴によってもバラツク。このため、読取部3 内に設けた温度センサの検出値と照明ランプの履歴とを参照してROM内のテーブルからウォームアップ時間を読み出し、該読み出したウォームアップ時間と、他の準備動作(シェーディング補正用データのサンプリング等)に必要な時間とに基づいて、T0が得られる。また、T3は、ステップS102〜S104で原稿を原稿待機位置G まで搬送するのに必要な時間を示す定数である。
【0056】
ステップS109では、ステップS108で設定された時間t2だけ待機される。
【0057】
ステップS110では、内部変数fspeed2 に原稿搬送速度FS2/(mag+magadjust) が設定されるとともに、内部変数flength2に原稿移動距離(Lfh-Lfg) が設定され、内部フラグfdrive2 がオンされる。これにより、CPU内蔵のステッピングモータ駆動機能がパルスpulse2を自動的に出力してメインモータ209 を駆動して、原稿を、速度FS2/(mag+magadjust) で、距離(Lfh-Lfg) だけ移動させて、排紙トレイ位置H に停止させる。Lfh−Lfgは、原稿待機位置G から排紙トレイ位置H までの距離である。
【0058】
ステップS111では、原稿が読取位置A に到達するのが待機される。搬送路長の固体(装置)毎の機械的なバラツキが無い場合は、読取位置A に於ける内部変数fposition の値はLfa である。搬送距離の固体(装置)毎のバラツキを考慮して補正した場合は、fposition の値は(Lfa +fladjust)である。ステップS111では、原稿の現実の搬送距離が、補正後の搬送路長である(Lfa +fladjust)になるのが待機される。
【0059】
原稿が読取位置A に到達すると(S111;YES)、画像読取信号vdがオンされる(S112)。これにより、画像の読み取りと、外部機器へのデジタル画像信号の出力が開始される。
【0060】
ステップS113では、原稿が排紙トレイ位置H に到達するのが待機される。排紙トレイ位置H に於ける内部変数fposition の値はLfh であり、内部変数fposition の値がLfh になるのが待機される。原稿が排紙トレイ位置H に到達すると(S113;YES)、画像読取信号vdがオフされて(S114)、画像の読み取りが終了される。
【0061】
ステップS115では、原稿検知信号dtctが判定される。その結果、次原稿が有る場合は(S115;NO) 、ステップS103に戻り、該次原稿に関して上述の処理が繰り返される。一方、次原稿が無い場合は(S115;YES)、処理が終了される。
なお、前述のスキャナユニット304 の移動と、原稿搬送のタイミングについては、図6のタイムチャートに示される。
【0062】
【発明の効果】
本発明の画像読取装置では、シートスルーモードに於いて、読取手段と原稿搬送手段が連動され、動作条件に応じた最適なタイミングで読取動作を開始できるため、時間的ロスが防止された画像読取動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態の画像読取装置の構成を示すブロック図。
【図2】図1の装置の機構を示す縦断面模式図。
【図3】読取制御部311 での処理を示すフロ−チャ−ト。
【図4】原稿搬送制御部210 での処理の一部を示すフロ−チャ−ト。
【図5】原稿搬送制御部210 での処理の残部を示すフロ−チャ−ト。
【図6】スキャナユニット304 の移動と原稿の搬送を示すタイムチャート。
【図7】照明ランプの立ち上がり特性図。
【符号の説明】
201 原稿トレイ
G 原稿待機位置
A 読取位置(シートスルーモード)
207 排紙トレイ
203 給紙ローラ
204 タイミングローラ
205 メインローラ
206 排紙ローラ

Claims (5)

  1. 動作条件の設定を行う操作手段と、
    所定の原稿待機位置から原稿の搬送を開始して所定の読取位置を通過させる原稿搬送手段と、
    読取動作のための準備動作を行った後、静止した状態で、前記原稿搬送手段により搬送されて前記読取位置を通過する原稿を露光走査して読み取る読取手段と、
    前記原稿待機位置から前記読取位置まで原稿を搬送するのに必要な搬送時間t1を前記操作手段により設定された動作条件に基づいて予測し、前記読取手段のランプのウォームアップを含む前記読取手段の準備動作が完了する時刻よりt1時間前のタイミングで前記原稿待機位置から原稿の搬送を開始するように前記原稿搬送手段を制御する原稿搬送制御手段と、
    を有する画像読取装置。
  2. 装置固体毎に機差バラツキの有る搬送距離補正値を設定するための操作手段と、
    所定の原稿待機位置から原稿の搬送を開始して読取位置を通過させる原稿搬送手段と、
    読取動作のための準備動作を行った後、静止した状態で、前記原稿搬送手段により搬送されて前記読取位置を通過する原稿を露光走査して読み取る読取手段と、
    前記原稿待機位置から前記読取位置まで原稿を搬送するのに必要な搬送時間t1を設計された搬送路長と前記操作手段により設定された搬送距離補正値とに基づいて予測し、前記読取手段のランプのウォームアップを含む前記読取手段の準備動作が完了する時刻よりt1時間前のタイミングで前記原稿待機位置から原稿の搬送を開始するように前記原稿搬送手段を制御する原稿搬送制御手段と、
    を有する画像読取装置。
  3. 請求項1に於いて、前記動作条件は読取倍率である、画像読取装置。
  4. 請求項1に於いて、前記動作条件は、読取倍率と、読取倍率の装置固体毎の機差バラツキを補正するための倍率補正値である、画像読取装置。
  5. 請求項1又は2に於いて、前記読取動作のための準備動作は、シェーディング補正用データのサンプリングを含む、画像読取装置。
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