JP3746386B2 - 可変容量型ベーンポンプ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車両のパワーステアリング装置に用いられる、可変容量型ベーンポンプの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、車両のパワーステアリング装置には、作動油を供給するポンプとして、可変容量型ベーンポンプが用いられている。このような可変容量型ベーンポンプは、例えば次のようなポンプ吐出流量の制御がなされる。すなわち、ポンプ吐出流量は、ポンプ回転数が上昇すると所定のポンプ回転数(エンジンのアイドリング回転数)まではポンプ回転数に比例してポンプの吐出流量も上昇して行く一方、この所定のポンプ回転数以上ではポンプ回転数が上昇しても吐出流量が一定に保たれるようになり、さらにエンジン回転数を上昇させて行くとポンプ回転数の上昇とともにポンプ吐出流量が減少して行くように制御される。これにより、車両の低速走行中においては、可変容量型ベーンポンプのポンプ吐出流量は速やかに最大吐出量に至り、パワーステアリング装置は十分な作動油の供給を受け、操舵には安定したアシスト力が与えられる一方、さらにエンジン回転数が上昇すると可変容量ベーンポンプからのポンプ吐出流量は減少していくので、車両の高速走行中にはパワーステアリング装置からのアシスト力が過剰とならないようになっている。
【0003】
図6〜図8には、このような可変容量ベーンポンプの従来例を示す。
【0004】
図6、図7に示すように、ハウジング1の略円形の収容凹部1aには、その底面(最奥部の側面)側から、サイドプレート2、アダプタリング3が積層状態で収容される。アダプタリング3の内側には、円環状のカムリング5が、ピン4を回動支点として後述の駆動軸8の左右に揺動可能に支持されている。このカムリング5の内側には、ロータ6が収容される。また、収容凹部1aの開口端は、カバー7により封鎖され、アダプタリング3、カムリング5、ロータ6の側面(サイドプレート2と反対側の側面)は、カバー7に当接してシールされる。
【0005】
収容凹部1aの底面には貫通穴1bが形成され、この貫通穴1bには、駆動軸8がメタル軸受9を介して回転自在に支持される。また、この駆動軸8の先端側は、サイドプレート2、ロータ6を貫通して、カバー7に形成された支持穴7aに達し、この支持穴7aにメタル軸受10を介して回転自在に支持されている。また、ロータ6は、この駆動軸8とスプライン結合し、駆動軸8と一体に回転するようになっている。なお、駆動軸8は図示されない動力機関により回転駆動される。
【0006】
ロータ6の外周に形成された複数の切り欠きには、それぞれ、ベーン11がロータ6の半径方向に出没自在に収容される。これにより、駆動軸8の回転によりロータ6が回転すると、切り欠きから伸び出したベーン11の先端が、カムリング5の内周面に当接し、これらの各ベーン11の間に複数のポンプ室12が画成される。
【0007】
サイドプレート2には、キドニー型の高圧凹溝13Aと低圧凹溝14Aが形成される。高圧凹溝13Aと低圧凹溝14Aは、駆動軸8を挟んで対称な位置に形成され、それぞれ吐出側と吸込側のポンプ室12に臨むようになっている。また、カバー7には、ロータ6を挟んでサイドプレート2側の高圧凹溝13Aおよび低圧凹溝14Aと相対する位置に、キドニー型の高圧凹溝13Bと低圧凹溝14Bが形成され、それぞれ吐出側と吸込側のポンプ室12に臨んでいる。
【0008】
高圧凹溝13Aは、サイドプレート2を貫通する高圧通路15を介して、収容凹部1a底部(最奥部)に形成された高圧室16に連通する。この高圧室16は、後述するように可変オリフィス25を介して吐出ポート18と連通する。また、低圧凹溝14Bは、カバー7に形成された低圧通路17を介して、吸込ポート19(さらにはタンクT)と連通する。
【0009】
カムリング5は、前述したようにピン4を回動支点として駆動軸8の左右に揺動可能であり、図6に示すように、カムリング5が駆動軸8に対して偏心した位置をとり得る。これにより、駆動軸8の回転とともにロータ6が図6の反時計回転方向に回転すると、この回転に伴って各ポンプ室12の容積が変わって行く。そして、この回転とともに拡大する吸込側(低圧凹溝14A、14B側)のポンプ室12には吸込ポート19からの作動油が吸い込まれる一方、この回転とともに縮小する吐出側(高圧凹溝13A、13B側)のポンプ室12からは吐出ポート18に向けて作動油が吐出される。
【0010】
ハウジング1の側部には、収容凹部1aに開口する(詳しくは、後述する第2の流体圧力室31に開口する)プラグ穴1cが形成される。このプラグ穴1cは、プラグ20が螺合状態で取り付けられることにより閉止される。
【0011】
このプラグ20の収容凹部1a側に延びる先端側にはシリンダ穴20aが開口し、このシリンダ穴20aには制御プランジャ21が摺動自在に収容される。この制御プランジャ21の突出端(先端)は、アダプタリング3に形成された貫通穴3aを貫通して、カムリング5の側面に当接する。
【0012】
また、制御プランジャ21には、基端側に開口するプランジャ中空部21aが形成されている。このプランジャ中空部21a内にはスプリング22が収容される。このスプリング22は、シリンダ穴20aの底面とプランジャ中空部21aの底面との間に介装されており、制御プランジャ21をカムリング5側に付勢し、この制御プランジャ21を介してカムリング5をその最大吐出位置に付勢している。なお、スプリング22をプランジャ中空部21aに収容できるほど小型化したとしても、後述するように、第1の流体圧力室32の反力F1には、スプリング22のバネ力FSとともに第2の流体圧力室31の反力F2が対抗するようになっているので、問題は生じない。
【0013】
プラグ20の外周の所定の位置には凹部20bが形成され、この凹部20bとプラグ穴1cの間に囲まれる領域に、環状の流体室23が形成される。また、凹部20bには、プラグ20の側面を貫通してプラグ20の外周側とシリンダ穴20aとを連通する可変オリフィス25が開口する。高圧室16からの作動油は、ハウジング1に形成された流体通路36を介して流体室23に導入され、さらに可変オリフィス25を介してシリンダ穴20aおよびプランジャ中空部21aに導入される。プラグ穴1cの開口端部にはOリング24が備えられ、流体室23のシールは確実になされるようになっている。
【0014】
可変オリフィス25の開口面積は、シリンダ穴20a内で摺動する制御プランジャ21の基端側エッジ21bにより調節される。すなわち、可変オリフィス25は、制御プランジャ21がシリンダ穴20a内に後退して来るにしたがって基端側エッジ21bと重なって、その開口面積が狭められるようになっている。
【0015】
制御プランジャ21の側面には、複数の貫通孔26が形成される。プランジャ中空部21aは、これらの貫通孔26を介して、ハウジング1の収容凹部1aとアダプタリング3の間に形成された流体室27に常時連通する。この流体室27は、連通路28を介して吐出ポート18に連通する。これにより、プランジャ中空部21aは、貫通穴26、流体室27および連通路28を介して、常時、吐出ポート18と連通している。
【0016】
前述したように制御プランジャ21はアダプタリング3の貫通穴3aに貫通するようになっているが、この場合、組み立て誤差を考慮して、貫通穴3aの径は制御プランジャ21の径よりもわずかに大きく形成されており、制御プランジャ21は貫通穴3aに遊嵌するようになっている。この制御プランジャ21と貫通穴3aの間の遊び(隙間)が絞り29となり、流体室27はこの絞り29を介して、アダプタリング3とカムリング5の間にピン4およびシール30により画成された第2の流体圧力室31に連通する。ここで、シール30はアダプタリング3に固定されるもので、このシール30とピン4により、アダプタリング3とカムリング5との隙間からなる空間が、制御プランジャ21側の第2の流体圧力室31と、制御プランジャ21と反対側の第1の流体圧力室32とに画成される。これらの流体圧力室31、32は、ピン4を支点としたカムリング5の揺動により、相反的に拡大または縮小する。
【0017】
また、可変容量ベーンポンプには、制御バルブ40が一体に備えられる。この制御バルブ40のスプール41は、ハウジング1に形成されたシリンダ42に、基端側から摺動自在に収容される。シリンダ42の開口端はプラグ43により閉鎖される。スプール41の基端とシリンダ42の底部の間には、リターンスプリング44が介装され、スプール41はこのリターンスプリング44によりプラグ43側に付勢される。
【0018】
スプール41は、基端にランド部41aを備え、また軸方向の中央付近にランド部41bを備える。これらのランド部41a、41bにより、シリンダ42は、シリンダ42底面とランド部41a(スプール41基端)との間の低圧流体室45と、ランド部41a、41bの間のドレン流体室46と、ランド部41bとプラグ43との間の高圧流体室47とに画成される。
【0019】
低圧流体室45は、オリフィス48、流体圧力通路49を介して、可変オリフィス25下流の吐出ポート18と連通する。また、ドレン流体室46は、ドレンポート50からドレン通路57に接続され、タンクTに連通する。また、高圧流体室47は、流体圧力通路58に接続され、流体通路36から分岐する流体圧力通路59を介して高圧室16と連通する。
【0020】
さらに、ドレン流体室46および高圧流体室47は、スプール41の摺動位置にしたがって、ハウジング1に形成されシリンダ42に開口する流体圧力通路51およびアダプタリング3に形成されたオリフィス52を介して、第1の流体圧力室32に連通する。
【0021】
詳しく説明すると、図8に詳細に示すように、ランド部41bのスプール軸方向の略中央には、ランド部41b外周を1周する環状溝53が形成される。さらに、ランド部41bには、この環状溝53をドレン流体室46に連通させるように、スプール軸方向に沿ってスリット54が切り欠かれる。環状溝53と高圧流体室47とは、ランド部41bの切り欠かれていないシール部55でシールされる。このような構成により、ポンプ作動の初期においては、流体圧力通路51の開口は環状溝53およびスリット54を介してドレン流体室46にのみ連通しているが、ポンプ回転数(高圧流体室47に導入されるポンプ室圧)が上昇してスプール41(ランド部41b)が図の右方向に移動すると、流体圧力通路51は高圧流体室47と連通し始める。これにより、高圧流体室47から流体圧力通路51を介してドレン流体室46に向かう作動油の流れが生じ、流体圧力通路51と連通する第1の流体室32の圧力は、高圧流体室47と流体圧力通路51との間の開度に応じて、メータイン制御されることになる。
【0022】
以上のような構成により、図6〜図8に示す可変容量型ベーンポンプを作動させると、ポンプの作動の初期(ポンプ回転数が低い間)においては、制御バルブ40のスプール41はリターンスプリング44により図6の左側まで押し戻されており、制御バルブ40は第1の流体圧力室32に高圧を導かないので、カムリング5は最大偏心位置に保たれ、吐出ポート18からの吐出流量は、ポンプ回転数の上昇に伴って速やかに上昇して行く。
【0023】
一方、ポンプ回転数がさらに上昇して、ポンプ吐出流量が増大して来ると、可変オリフィス25の上流と下流の圧力差が大きくなる結果、高圧流体室47内の圧力と低圧流体室45の圧力との差圧によりリターンスプリング44が次第に圧縮され、スプール41が図6の右方向に押し戻され、制御バルブ40が切り換えられる。この結果、第1の流体圧力室32には、ランド部41bの移動により流体圧力通路51端部に形成された開口面積から吐出側ポンプ室12の圧力が導入され、可変オリフィス25の下流の圧力(ポンプ室12の圧力が可変オリフィス25により減圧された圧力)が導入されている第2の流体圧力室31の圧力よりも大きくなる。このため、カムリング5は、第1の流体圧力室32からの作用力F1が、第2の流体圧力室32からの作用力F2とスプリング22のバネ力Fsとの総和(F2+Fs)と釣り合うところまで押し戻され、ポンプ回転数と相反的に偏心量が小さくなる。したがって、吐出ポート18からのポンプ吐出流量(ポンプの1回転に対する吐出側ポンプ室12からの吐出流量とポンプ回転数の積)は、ポンプ回転数がある程度以上に上昇して来ると、ポンプ回転数の上昇に対して一定に保たれるようになる。
【0024】
このようにポンプ吐出流量が安定した後、さらにポンプ回転数を上昇させて行くと、制御プランジャ21の基端側エッジ21bにより、可変オリフィス25の開口面積が次第に狭められて行く。これにより、可変オリフィス25を通じての吐出ポート18への作動油の供給量自体が制限されるとともに、可変オリフィス25による減圧の度合いが大きくなり、この減圧された流体圧に基づく第2の流体圧力室31の作用力F2がさらに小さくなる結果、ポンプ回転数の上昇に対してポンプ吐出流量が更に減少して行くような流量特性が得られる。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の可変容量型ベーンポンプでは、第2の流体圧力室31(第2の流体圧力室)には吐出ポート18の供給圧(可変オリフィス25の下流の圧力)が絞り29を介して導入されるようになっているため、パワーステアリング装置への負荷の細かな変動などにより、ポンプの供給圧(負荷圧)が安定しないと、第2の流体圧力室31の圧力は不安定となってしまう。このため、カムリング5の動作は安定せず、結果としてポンプ吐出流量が不安定となってしまっていた。
【0026】
また、カムリング5が偏心している場合には、高圧凹溝13A、13Bはポンプ室12の予圧縮作用を得るためにカムリング5の回りに第2の流体圧力室31側に偏って配置されることになるので、高圧凹溝13A、13Bと連通するポンプ室12の油圧は、全体としてカムリング5を第2の流体圧力室31側(図6の右側)に押す方向の分力を持つように作用する。このため、特にポンプへの負荷が高まって吐出側ポンプ室12の圧力が大きくなった場合には、このカムリング5を第2の流体圧力室31側に押す分力は、制御プランジャ21内のスプリング22のバネ力に対抗する力として無視できなくなってしまうので、カムリング5は第2の流体圧力室31側に押し出される不要な動作をする恐れがある。
【0027】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、カムリングの偏心量の変化によりポンプ吐出流量を可変とする可変容量型ベーンポンプにおいて、負荷状態の変動に対してもカムリングの動作を安定化させ得るものを提供することを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】
第1の発明では、駆動軸に対して偏心可能にハウジングに収容されたカムリングと、このカムリングの内側に収容されて前記駆動軸と一体に回転するロータと、このロータ外周に伸縮自在に備えられた複数のベーンと、これらのベーンの間に画成される複数のポンプ室とを備え、吐出側ポンプ室とこの吐出側ポンプ室からの作動流体を外部の油圧機器へ供給する吐出ポートとの間に可変オリフィスを備え、前記カムリング外周の両側に第1と第2の流体圧力室を形成し、前記カムリングを偏心量が大きくなる方向に付勢するバネ手段を備え、前記第1の流体圧力室の拡大によりカムリングの偏心量を小さくする一方、前記第2の流体圧力室の拡大によりカムリングの偏心量を大きくすることにより、ポンプ吐出流量を可変とした可変容量型ベーンポンプにおいて、前記カムリングの動作に追従するとともに前記カムリングの偏心量が所定量よりも減少した場合に前記可変オリフィスの開口面積を狭めて行く制御プランジャを前記カムリング外周の第2の流体圧力室側に備え、前記制御プランジャに形成した中空部を介して前記可変オリフィス下流側の作動流体を前記吐出ポートに導くとともに、前記中空部内に前記バネ手段を収容し、前記第2の流体圧力室に吐出側ポンプ室の圧力を導入する圧力導入孔を備え、ポンプ吐出流量が所定量以上となった場合に、前記第1の流体圧力室に可変オリフィス上流側の圧力を導入するとともに、前記第2の流体圧力室をドレン側に圧力制御しつつ接続するように切り換わる制御バルブを備えた。
【0029】
第2の発明では、前記制御バルブは、可変オリフィスの上流と下流の圧力差による作用力と戻しバネによるバネ力とのバランスにより変位するととも、所定量以上変位した場合に、前記第1の流体圧力室に可変オリフィス上流側の圧力を導入するとともに、前記第2の流体圧力室をドレン側に圧力制御しつつ接続する。
【0030】
第3の発明では、前記圧力導入孔は、前記吐出側ポンプ室を前記可変オリフィスに接続する流体通路とは独立に形成される。
【0031】
第4の発明では、前記圧力導入孔は、前記吐出側ポンプ室と隣接して形成され吐出側ポンプ室の圧力が導入される高圧室と前記第2の流体圧力室との間のサイドプレートに形成された固定オリフィスである。
【0032】
第5の発明では、前記第1、第2の流体圧力室は前記カムリングとこのカムリング外周に配置されたアダプタリングとの間に画成されるとともに、このアダプタリングに形成された嵌合穴に隙間なく嵌合するフィードバックピンを備え、このフィードバックピンの一端を前記カムリング外周に第2の流体圧力室側から当接させる一方、前記フィードバックピンの他端を前記制御プランジャと当接させるようにした。
【0033】
第6の発明では、前記バネ手段は、前記制御プランジャを介してカムリングを押圧するスプリングである。
【0034】
第7の発明では、前記制御バルブは、前記第2の流体圧力室とドレン側との間の開口面積を段階的に切り換え可能である。
【0035】
【発明の作用および効果】
第1〜第4の発明では、ポンプ作動の初期においては、バネ手段のバネ力および可変オリフィス上流の圧力が導入された第2の流体圧力室からの作用力によりカムリングは最大偏心位置に保持されており、可変容量型ベーンポンプのポンプ吐出流量は、ポンプ回転数が上昇するのにしたがって上昇して行く。ポンプ吐出流量が所定量以上となると、制御バルブが切り換わり、第2の流体圧力室は制御バルブにより流量制御(メータアウト制御)されつつドレン側に連通するとともに、第1の流体圧力室には可変オリフィスの上流の圧力が導入される。例えば第2の発明の制御バルブであれば、ポンプ吐出流量(可変オリフィスを通過する流量)が増大することにより可変オリフィスの上流と下流の圧力差が増大し、この圧力差の増大に相当する変位(例えばスプールの切換変位)を行うが、この変位量が所定量以上となると、第2の流体圧力室を例えばスプールの変位による連通開口面積により圧力制御しつつドレン側に連通するとともに、第1の流体圧力室には可変オリフィスの上流の圧力を導入するようになる。これにより、第1の流体圧力室に可変オリフィスの上流の圧力が導入される一方で、第2の流体圧力室の圧力は制御バルブを介してのドレン側への作動油の流れ分だけ小さな値にメータアウト制御されるので、カムリングは第1、第2の流体圧力室の差圧に基づく反力とバネ手段によるバネ力がバランスするところまで偏心量が小さくなる。この結果、ポンプ1回転毎のポンプ吐出流量(単位吐出流量)が小さくなり、ポンプ吐出流量(単位吐出流量×ポンプ回転数)は、安定状態(例えば一定値)に制御される。また、カムリングの動作は制御プランジャにフィードバックされ、カムリングの偏心量が所定量よりも減少した場合には、制御プランジャにより可変オリフィスの開口面積が狭められて行くので、ポンプの高回転域ではポンプ吐出流量を更に減少させて行く流量特性が得られる。
【0036】
このようにポンプ吐出流量(カムリングの偏心量)は制御されるが、この場合、第1の流体圧力室には可変オリフィス上流の圧力が導入され、第2の流体圧力室には吐出側ポンプ室の圧力が圧力導入孔を介して導入されるようになっている(特に第3、第4の発明では圧力導入孔は吐出側ポンプ室を前記可変オリフィスに接続する流体通路とは独立に形成されている)ので、ポンプの供給圧(吐出ポートの負荷圧)に脈動などの不安定な細かな変動があったとしても、この変動は可変オリフィスによりダンピングされるので、第1、第2の流体圧力室の圧力は不安定に変動することはない。したがって、カムリングの動作は安定し、結果的にポンプ吐出流量特性が安定する。
【0037】
また、第2の流体圧力室の圧力は制御バルブによりメータアウト制御されるので、カムリングが第2の流体圧力室を圧縮する方向の変動に対しては、第2の流体圧力室とドレン側との連通開口面積はダンピングオリフィスとして作用する。したがって、カムリングの第2の流体圧力室を圧縮する方向への動作に対する抵抗力が得られ、カムリングの動作は安定的に保持される。したがって、仮に負荷の増大によりポンプ室の圧力が急激に高まって、このポンプ室の圧力がカムリングを第2の流体圧力室を圧縮する方向(ポンプ吐出量が減少する方向)に押す力として作用し、これがバネ手段のバネ力を上回ってしまうような場合でも、第2の流体圧力室内の流体圧力がカムリングの外周に対抗的に作用してカムリングを保持するので、カムリングは急激な不安定動作(不要な動作)をすることはない。
【0038】
第5、第6の発明では、第2の流体圧力室を画成するアダプタリングの嵌合穴には隙間なくフィードバックピンが嵌合し、制御プランジャはこのフィードバックピンを介して、カムリングの動作のフィードバックを受け、またスプリングのバネ力をカムリングに及ぼす。したがって、制御プランジャ側(可変オリフィス下流側)と第2の流体圧力室は油圧的に切り離され、第2の流体圧力室の圧力制御は制御バルブによる第2の流体圧力室とドレン側との連通開口面積に応じて精密に行い得る。
【0039】
第7の発明では、第2の流体圧力室とドレン側との連通開口面積は段階的に変更されるので、第2の流体圧力室の圧力は適切な圧力に段階的に変化し、カムリング5は急激ではない安定した動作を行い、ポンプ吐出流量は所望の変動特性で漸進的に変化する。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。
【0041】
図1〜図3には、本発明の実施の形態の可変容量型ベーンポンプを示す。なお、この図1〜図3の可変容量型ベーンポンプの基本的構成は、図6〜図8に示したものと同様である。したがって、以下の本実施の形態の説明においては、図6〜図8に示した可変容量型ベーンポンプと同一の構成については説明を省略し、図6〜図8に示した可変容量型ベーンポンプと相違する構成を中心に説明する。また、図1〜図3には、それぞれ図6〜図8と対応するベーンポンプの断面図および制御バルブ40の断面図を示し、共通(同一の機能の)の構成は同一の番号を付して表記する。
【0042】
図1に示されるように、本実施の形態の可変容量型ベーンポンプでは、制御プランジャ21をアダプタリング3の貫通穴3aに貫通させない。そして、貫通穴3aに嵌合するフィードバックピン61を備え、制御プランジャ21の先端をこのフィードバックピン61の基端に当接させるとともに、フィードバックピン61の先端がカムリング5の外周に当接するようにしている。これにより、制御プランジャ21内のスプリング22のバネ力はフィードバックピン61を介してカムリング5に作用するとともに、カムリング5の動作はフィードバックピン61を介して制御プランジャ21に伝達される。
【0043】
この場合、フィードバックピン61の外径は貫通穴3aの径と高い嵌合精度で等しくされ、フィードバックピン61と貫通穴3aの間からは作動油の漏れが無いようにされる。これにより、第2の流体圧力室(第2の流体圧力室)31は、流体室27(可変オリフィス25の下流側)と直接的には連通されないようになっている。なお、図1の可変オリフィス25は図6のものと形状が異なっているが、機能的には全く同様のものである。
【0044】
また、第2の流体圧力室31は、サイドプレート2に形成された固定オリフィスである圧力導入孔62を介して、高圧室16と連通する。この圧力導入孔62は、高圧室16と可変オリフィス25を接続する流体通路36とは独立に設けられるもので、第2の流体圧力室31には、高圧室16内の圧力(吐出側ポンプ室12の圧力)が直接的に導入される。
【0045】
さらに、第2の流体圧力室31は、連通路63を介して、制御バルブ40の環状ポート64と連通する。この環状ポート64は、制御バルブ40のランド部41aにより開閉されるもので、ランド部41aの摺動位置に応じて閉鎖またはドレン流体室46と連通される。この場合、ランド部41aのドレン流体室46側端部には複数のノッチ65が切られており、環状ポート64とドレン流体室46とは、このノッチ65の開口を介して流量制御されつつ連通する。なお、このノッチ65の開口面積は、ランド部41aが環状ポート64側に移動するにしたがって段階的に拡大して行くようになっている。
【0046】
このような構成により、ポンプの作動の初期において吐出側ポンプ室12の圧力が小さな間は、制御バルブ40のスプール41は端部がプラグ43に当接するまで押し戻されており(スプール移動量=0)、ランド部41aは環状ポート64を閉鎖しているので、第2の流体圧力室31の圧力は、吐出側ポンプ室12の圧力(高圧室16の圧力)と同圧となっている。また、制御バルブ40のスプール移動量は0であるから、第1の流体圧力室32は、高圧室16側との連通は制御バルブ40のランド部41bにより断たれているとともに、ランド部41bの環状溝53およびスリット54を介してドレン流体室46にわずかに連通している一方、第2の流体圧力室31からの作動油がピン4の回りやカムリング5の両サイド面の隙間から流れ込んでいる。この結果、制御プランジャ21と反対側の第1の流体圧力室32の圧力P1は、制御プランジャ21側の第2の流体圧力室31の圧力P2よりもわずかに低い圧力に保持されているので、カムリング5はこの両流体圧力室31、32の差圧に基づく作用力(F2−F1)と制御プランジャ21内のスプリング22のバネ力により、最大偏心位置側(図1の左側)に押し付けられている。
【0047】
一方、ポンプ回転数が高くなって来ると、ポンプ吐出流量(可変オリフィス25を通過する流量)が増大する結果、可変オリフィス25前後の圧力差(可変オリフィス25上流側の圧力が導入されている高圧流体室47と可変オリフィス25下流の圧力が導入されている低圧流体室45との圧力差)が大きくなるので、スプール41が移動する。
【0048】
このようにスプール41が所定量d1(例えば約0.7mm程度)移動すると、ノッチ65が連通路63と連通し始め、同時に、ランド部41bの移動により流体圧力通路51が高圧流体室47と連通する。これにより、第2の流体圧力室31の作動油がノッチ65の開口面積に応じてリリーフされ、第2の流体圧力室31の圧力はノッチ65の開度に応じてメータアウト制御される。また、第1の流体圧力室32には、ランド部41bの移動により流体圧力通路51端部に形成された開口面積から高圧室16の圧力が導入され、第1の流体圧力室32の圧力は流体圧力通路51端部の開口面積に応じてメータイン制御される。
【0049】
この場合、制御バルブ40(ノッチ65、連通路63、ランド部41b、流体圧力通路51)は、第2の流体圧力室31の圧力P2が第1の流体圧力室32の圧力P1よりも小さな値に制御されるように設計されている。なお、図4には、このような第1の流体圧力室32の圧力P1と第2の流体圧力室31の圧力P2の相対関係をスプール41の移動量との関係で示した概念図を示す。
【0050】
このような両流体圧力室31、32の圧力の制御により、第1の流体圧力室32の圧力P1が第2の流体圧力室31の圧力P2よりも大きくなると、第1の流体圧力室32からカムリング5への作用力F1が、第2の流体圧力室32からの作用力F2とスプリング22のバネ力Fsとの総和(F2+Fs)と釣り合うところまで、カムリング5の偏心量は小さくなる。この結果、ポンプ1回転毎の吐出流量(単位吐出流量)は小さくなっていく。なお、制御バルブ40のスプール41は、高圧流体室47の圧力と低圧流体室の圧力の差圧(可変オリフィス25の前後の差圧)に基づいてスプール41に作用する力がスプリング44のバネ力とバランスするところまで、最大でスプール移動量d2(1〜1.5mm程度)移動して止まることになる。
【0051】
このように、本実施の形態のカムリング5の偏心量の制御においては、第2の流体圧力室31には、高圧室16の油圧が圧力導入孔(固定オリフィス)62を介して導入され、制御バルブ40による第2の流体圧力室とドレン側との連通の開度に応じてメータアウト制御されるようになっている。したがって、負荷の変動により供給圧(可変オリフィス25の下流側の圧力)に脈動などの細かな変動があったとしても、可変オリフィス25、圧力導入孔62によりこの圧力変動がダンピングされる結果、第2の流体圧力室31の圧力(高圧室16の圧力が圧力導入孔62を介して導入された圧力)には細かな変動は生じることはない。したがって、カムリング5の動作が安定し、結果としてポンプ吐出流量特性が安定する。
【0052】
また、第2の流体圧力室31の圧力は、制御バルブスプール41のノッチ65の開口面積によりメータアウト制御されるものであるので、吐出側ポンプ室12の内圧に起因して第2の流体圧力室31を圧縮しようとするカムリング5の動作に対しては、ノッチ65によるダンピング作用が働く。したがって、第2の流体圧力室31を圧縮するようにカムリング5に作用する力に対抗することができ、カムリング5の偏心動作が安定する。すなわち、パワーステアリング装置への負荷が急増し、ポンプの供給圧(負荷圧)が急激に高まった結果、吐出側ポンプ室12がカムリング5を第2の流体圧力室31側に押す力が、制御プランジャ21内のスプリング22のバネ力に対抗するように、大幅に大きくなってしまった場合でも、カムリング5は第2の流体圧力室31を圧縮する方向への不安定な急激な動作を行ってしまうことはない。
【0053】
つぎに全体的な作用を説明する。
【0054】
可変容量型ベーンポンプの停止状態では、カムリング5は、図1に示すように、制御プランジャ21(スプリング22)に付勢されて、第1の流体圧力室32側に最大に偏心した位置にある。この状態からベーンポンプを作動させると、ロータ6の回転に伴い、ポンプ室12から高圧室16に作動油が吐出される。この高圧室16の油圧(吐出側ポンプ室12の圧力)は、ハウジング1に形成した流体通路36および可変オリフィス25を通って減圧され、プランジャ中空部21a内部に供給され、貫通穴26、流体室27および連通路28を経て、吐出ポート18から外部の油圧機器へと供給される。また、この高圧室16の油圧は、流体圧力通路59を介して、制御バルブ40の高圧流体室47にも導入される。
【0055】
この場合、ポンプ作動の初期においては、制御バルブ40のスプール41は、スプリング46のバネ力によりプラグ43側に押し戻されている。このため、制御バルブ40の環状ポート64はランド部41aにより閉鎖され、また流体圧力通路51はランド部41bにより閉鎖されている。このため、第2の流体圧力室31の圧力P2は略吐出側ポンプ室12の圧力と等しく、第1の流体圧力室32の圧力P1よりもわずかに高くなっており、カムリング5は第1の流体圧力室32側に最大に偏心した位置に保持され、吐出ポート18からのポンプ吐出量は、図5に実線で示すグラフの領域Aのように、ポンプ回転数に比例して速やかに上昇していく。
【0056】
ポンプ回転数が上昇して高圧室16への吐出圧が上昇して行くと、これにしたがって可変オリフィス25前後の差圧が増大し、制御バルブ40の高圧流体室47の圧力と低圧流体室45の圧力の差圧が大きくなって行く。この結果、制御バルブ40のスプール41は、リターンスプリング44のバネ力および低圧流体室45からの反力に抗して、高圧流体室47を拡大する方向(図1、図3の右方向)に移動する。そして、スプール移動量がd1となると、ランド部41aのノッチ65が連通路63と重なり始め、第2の流体圧力室31の圧力P2がノッチ65の開度に応じてメータアウト制御され始める一方、ランド部41bは流体圧力通路51の開口を越えて移動し、第1の流体圧力室32の圧力P1は、流体圧力通路51の開口面積に応じてメータイン制御される。
【0057】
この制御により第1の流体圧力室32の圧力P1が第2の流体圧力室31の圧力P2を上回ると、カムリング5は、この第1の流体圧力室32の圧力P1に基づく反力F1が、第2の流体圧力室31の圧力P2に基づくF2と、スプリング22によるバネ力Fsとの和(F2+Fs)と釣り合うところまで、制御プランジャ21側に押し戻され、偏心量が小さくなって行く。このようにカムリング5の偏心量が小さくなると、ポンプ回転に伴うポンプ室12の容積の変化量が小さくなり、これにしたがって、このポンプ室12の容積の変化量に比例する、ポンプの1回転に対するポンプ吐出流量(単位吐出流量)は小さくなる。
【0058】
このようにして、ポンプ回転数の上昇に対してポンプの単位吐出流量が相反的に減少して行き、ポンプ吐出量(単位吐出流量とポンプ回転数の積)は、図5の実線のグラフの領域Bに示すように、ポンプ回転数の上昇に対して一定に保たれようになる。なお、この領域Bにおける最大ポンプ吐出量は、制御バルブ40のランド部41a(ノッチ65)と連通路63の相対関係およびランド部41bと流体圧力通路51の相対関係によって種々に設定を変更することができる。
【0059】
図5の領域Bのように吐出流量が安定した後、ポンプ回転数がさらに上昇すると、後退する制御プランジャ21の基端側エッジ21bにより、可変オリフィス25が次第に閉じられ、可変オリフィス25を介しての供給作動油流量が減少して行く。また、この可変オリフィス25の開口面積の減少に伴って、可変オリフィス25の前後の差圧がさらに大きくなり、カムリング5の偏心量は領域Bにおける場合よりもさらに小さくなる。このような可変オリフィス25の開口面積の減少およびカムリング5の偏心量の減少の効果が相俟って、図5の実線のグラフの領域Cに示すように、ポンプ回転数の上昇に対してポンプ吐出流量が減少して行く特性が得られる。
【0060】
なお、ポンプ回転数に対するポンプ吐出流量の低下特性(図5の領域Cの勾配特性)は、制御バルブ40の形状、スプリング22のバネ特性および可変オリフィス25の形状や開口位置等により決まって来るので、制御バルブ40の変更、スプリング22の変更、および可変オリフィス25の形状や開口位置等の変更によって、例えば図5の実線のグラフに示した垂下特性を、一点鎖線や二点鎖線で示したグラフの垂下特性に変更する等、自由に調整することができる。この場合、スプリング22は制御プランジャ21のプランジャ中空部21a内部に収容され、スプリング22および可変オリフィス25は、プラグ20のユニット(プラグ20、制御プランジャ21、スプリング22等からなるユニット)内に一体に含まれる構成となっているので、ポンプ回転数に対するポンプ吐出流量の特性変更は、このユニット交換によって、他のポンプ部品の変更を伴うことなく、極めて容易かつ低コストで行い得る。
【0061】
このように本実施の形態の可変容量型ベーンポンプでは、ポンプ回転数が高くなるのにしたがって、ポンプ吐出流量が自動的に減少する吐出流量特性が得られるようになっているので、例えば可変容量型ベーンポンプをパワーステアリング装置に適用したときには、ポンプ回転数(エンジン回転数)が高くなる車両の高速走行時には、ポンプ吐出流量を減少させることができ、パワーステアリング装置からの油圧アシスト力を小さくできる。したがって、車両の高速走行時において、かえってステアリングが不安定となってしまうこともなく、また不必要な作動油の供給によるエネルギーロスや作動油温度の上昇も併せて防止できる。
【0062】
また、第2の流体圧力室31には、吐出側ポンプ室12の圧力(高圧室16の圧力)が圧力導入孔62を介して導かれ、メータアウト制御されるようになっているので、パワーステアリング装置への負荷の細かな変動による供給圧(可変オリフィス25下流側の圧力)の不安定な変動(脈動)があったとしても、この変動は可変オリフィス25および圧力導入孔62によりダンピングされ、第2の流体圧力室31の圧力への影響は小さい。したがって、カムリング5の偏心動作が安定し、ひいてはポンプ吐出流量特性が安定する。
【0063】
また、第2の流体圧力室31からドレン側に作動油を逃がす制御バルブ40のノッチ65部分の開口は、ダンピングオリフィスとして作用するので、第2の流体圧力室31を圧縮する方向へ作用する力に内圧が対抗でき、カムリング5の偏心動作は安定する。したがって、パワーステアリング装置への負荷が高まり、吐出側ポンプ室12の油圧に基づくカムリング5を第2の流体圧力室31側に押す力が、制御プランジャ21内のスプリング22のバネ力を上回るように作用した場合でも、カムリング5が第2の流体圧力室31側への急激な動作(第2の流体圧力室31を急激に圧縮するような動作)を行ってしまうことはない。したがって、カムリング5の偏心動作は安定し、結果的にポンプ吐出流量特性が安定する。
【0064】
なお、上記の実施の形態では、制御バルブ40のスプール41のランド部41aに複数のノッチ65を形成し、これらのノッチ65の開度がスプール41の摺動位置により段階的に拡大して行くようにしたが、本発明はこのような形態に限られるものではなく、第2の流体圧力室31とドレン流体室46との連通手段は、どのような形態のものでも構わない。例えば、ノッチ65の代わりにチャンファを形成してもよいし、あるいはランド部41aのドレン流体室46側端部を面取するようにしてもよい。
【0065】
また、上記の実施の形態では、第2の流体圧力室31への圧力導入孔(固定オリフィス)62をサイドプレート2に形成したが、本発明はこのような形態に限られるものではなく、圧力導入孔62を例えばカバー7に形成するようにしてもよい。
【0066】
また、上記の実施の形態では、可変オリフィス25を制御プランジャ20の基端側エッジ21bで開閉するようにしたが、本発明はこのような形態に限られるものではなく、例えば、制御プランジャ20の側面に可変オリフィス25と重なり得るように穿孔を形成し、可変オリフィス25がこの穿孔と重なる部分を、可変オリフィス25の開口面積とするような形態を採ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す断面図である。
【図2】同じく断面図である。
【図3】同じく制御バルブの一部を示す断面図である。
【図4】同じく無負荷時におけるスプール移動量に対する第1の流体圧力室の圧力P1、第2の流体圧力室の圧力P2の相関関係を示す特性図である。
【図5】同じくポンプ回転数とポンプ吐出流量の関係を示す特性図である。
【図6】従来の可変容量型ベーンポンプを示す断面図である。
【図7】同じく断面図である。
【図8】同じく制御バルブの一部を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ハウジング
4 ピン
5 カムリング
6 ロータ
8 駆動軸
11 ベーン
12 ポンプ室
18 吐出ポート
19 吸込ポート
20 プラグ
20a シリンダ穴
21 制御プランジャ
21a プランジャ中空部
21b プランジャ基端側エッジ
22 スプリング
25 可変オリフィス
31 第2の流体圧力室
32 第1の流体圧力室
40 制御バルブ
41 スプール
42 シリンダ
44 リターンスプリング
45 低圧流体室
46 ドレン流体室
47 高圧流体室
61 フィードバックピン
62 圧力導入孔(固定オリフィス)
63 連通路
64 環状ポート
65 ノッチ
Claims (7)
- 駆動軸に対して偏心可能にハウジングに収容されたカムリングと、
このカムリングの内側に収容されて前記駆動軸と一体に回転するロータと、
このロータ外周に伸縮自在に備えられた複数のベーンと、
これらのベーンの間に画成される複数のポンプ室とを備え、
吐出側ポンプ室とこの吐出側ポンプ室からの作動流体を外部の油圧機器へ供給する吐出ポートとの間に可変オリフィスを備え、
前記カムリング外周の両側に第1と第2の流体圧力室を形成し、
前記カムリングを偏心量が大きくなる方向に付勢するバネ手段を備え、
前記第1の流体圧力室の拡大によりカムリングの偏心量を小さくする一方、前記第2の流体圧力室の拡大によりカムリングの偏心量を大きくすることにより、ポンプ吐出流量を可変とした可変容量型ベーンポンプにおいて、
前記カムリングの動作に追従するとともに前記カムリングの偏心量が所定量よりも減少した場合に前記可変オリフィスの開口面積を狭めて行く制御プランジャを前記カムリング外周の第2の流体圧力室側に備え、
前記制御プランジャに形成した中空部を介して前記可変オリフィス下流側の作動流体を前記吐出ポートに導くとともに、
前記中空部内に前記バネ手段を収容し、
前記第2の流体圧力室に吐出側ポンプ室の圧力を導入する圧力導入孔を備え、
ポンプ吐出流量が所定量以上となった場合に、前記第1の流体圧力室に可変オリフィス上流側の圧力を導入するとともに、前記第2の流体圧力室をドレン側に圧力制御しつつ接続するように切り換わる制御バルブを備えたことを特徴とする可変容量型ベーンポンプ。 - 前記制御バルブは、可変オリフィスの上流と下流の圧力差による作用力と戻しバネによるバネ力とのバランスにより変位するととも、所定量以上変位した場合に、前記第1の流体圧力室に可変オリフィス上流側の圧力を導入するとともに、前記第2の流体圧力室をドレン側に圧力制御しつつ接続することを特徴とする請求項1に記載の可変容量型ベーンポンプ。
- 前記圧力導入孔は、前記吐出側ポンプ室を前記可変オリフィスに接続する流体通路とは独立に形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の可変容量型ベーンポンプ。
- 前記圧力導入孔は、前記吐出側ポンプ室と隣接して形成され吐出側ポンプ室の圧力が導入される高圧室と前記第2の流体圧力室との間のサイドプレートに形成された固定オリフィスであることを特徴とする請求項3に記載の可変容量型ベーンポンプ。
- 前記第1、第2の流体圧力室は前記カムリングとこのカムリング外周に配置されたアダプタリングとの間に画成されるとともに、このアダプタリングに形成された嵌合穴に隙間なく嵌合するフィードバックピンを備え、このフィードバックピンの一端を前記カムリング外周に第2の流体圧力室側から当接させる一方、前記フィードバックピンの他端を前記制御プランジャと当接させるようにしたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の可変容量型ベーンポンプ。
- 前記バネ手段は、前記制御プランジャを介してカムリングを押圧するスプリングであることを特徴とする請求項5に記載の可変容量型ベーンポンプ。
- 前記制御バルブは、前記第2の流体圧力室とドレン側との間の開口面積を段階的に切り換え可能であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一つに記載の可変容量型ベーンポンプ。
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