JP3441100B2 - 可変容量形ポンプ - Google Patents

可変容量形ポンプ

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JP3441100B2 JP35880192A JP35880192A JP3441100B2 JP 3441100 B2 JP3441100 B2 JP 3441100B2 JP 35880192 A JP35880192 A JP 35880192A JP 35880192 A JP35880192 A JP 35880192A JP 3441100 B2 JP3441100 B2 JP 3441100B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、たとえば自動車のハン
ドル操作力を軽減するための動力舵取装置等に用いて好
適なベーンタイプの可変容量形ポンプに関する。 【0002】 【従来の技術】動力舵取装置用ポンプとして一般的な容
量形ベーンポンプは、自動車用エンジンによって直接回
転駆動され、エンジン回転数が高くなる程、これに比例
して吐出流量が大きくなる。これに対し、動力舵取装置
は、停車中や低速走行時に、より高い操舵補助力を必要
とする一方、高速走行時には、これとは逆に操舵補助力
を小さくすることが、走行安定性や操舵フィーリングの
見地から望まれる。 【0003】このため、従来この種の容量形ポンプで
は、回転数が低回転域にある場合にも所要の操舵補助力
が得られる吐出流量を確保できるものを用い、しかも回
転数が高回転域にある場合に、吐出流量の一部をタンク
側に還流させるための流量制御弁が設けている。そし
て、動力舵取装置に供給される流量を、エンジンの回転
数の大小にかかわらず一定に制御したり、高回転域にお
いて低回転域よりも流量が小さくなるように制御してい
た。 【0004】しかし、このような容量形ポンプでは、ポ
ンプ吐出流量を一定量以下に制御するための流量制御弁
を必ず設けることが必要で、このためにポンプ全体の構
成部品点数が増え、構造が複雑化し、さらに通路構造も
複雑となるもので、ポンプの大型化やコスト高を避けら
れなかった。 【0005】また、上述した流量制御弁によってポンプ
吐出側からタンク側に還流させる流量が、エンジンの高
回転域である程、多くなり、無駄となる。したがって、
高速走行時、坂道での中、高速走行時等においてエンジ
ンが高回転、高圧となる程、エネルギ損失が大きいとい
う問題があった。 【0006】さらに、上述した流量制御弁によりタンク
側にポンプ吐出側流体を還流させると、流体温度の上昇
を招き、これによりステアリング特性の変化、漏れによ
るポンプの容積効率の低下、さらにロータやカムリング
の焼き付き、シール類への悪影響等を生じるおそれがあ
った。また、車種によってはクーリングパイプ等の冷却
手段を付設することが必要で、コスト高を招いていた。 【0007】このため、この種の動力舵取装置用のポン
プとして、たとえば特開昭53−130505号公報、
特開昭56−143383号公報等によって、ポンプの
吐出流量自体を、回転数の増加に伴って段階的に減少さ
せるようにした可変容量形ポンプが、従来既に提案され
ている。このような可変容量形ポンプによれば、上述し
た流量制御弁の必要性がなくなるものであった。 【0008】上述した従来の可変容量形ポンプにおいて
前者のものは、ベーンポンプのロータ中心とベーンの摺
接する円筒カム面の中心との偏心量を可変とし、ポンプ
吐出側通路に設けた可変オリフィスの連通面積が、円筒
カム面を有するカムリングの偏心量を減少させる方向へ
の変位に応動して小さくなるようにしている。そして、
このような可変オリフィスの上、下流側の流体圧力差を
利用してカムリングを移動制御することにより、ポンプ
室のポンプ容量(容積)を減少させてロータの回転数の
増加に伴ない吐出流量を減少させるものであった。 【0009】また、後者の可変容量形ポンプは、カムリ
ングを、ポンプハウジング内で移動可能に構成するとと
もに、このカムリングとポンプハウジングとの間に形成
した間隙部において一対のコントロール室を形成してい
る。そして、それぞれの室に吐出通路の可変オリフィス
の上、下流側の流体圧を導き、その差圧力をカムリング
に直接作用させ、このカムリングをスプリングの付勢力
に抗して適宜移動させることにより、ポンプ室のポンプ
容量を変化させて適性な吐出流量制御を行なうものであ
った。 【0010】しかし、上述した従来の可変容量形ポンプ
によれば、カムリングを、ポンプハウジング内で直線移
動可能に保持し、これを吐出通路に直接または間接的に
設けたオリフィスの上、下流側での差圧力で移動変位さ
せているだけであり、加工性、組立性は勿論、動作上で
の信頼性、さらに耐久性の面で問題をもち、実現性に乏
しいものであった。 【0011】また、特開昭58−93978号公報、実
公昭63−14078号公報には、ポンプハウジング内
にカムリングを径方向に直線的に変位可能に配置させる
とともに、このカムリング内にポンプ室を形成するため
のロータを回転可能に収納し、かつポンプ吐出通路に設
けたオリフィスの上、下流側の流体圧力差でカムリング
をロータに対し移動変位させるとともに、このロータに
対するカムリングの偏心量に応動して前記オリフィスの
流路面積を変化させ、吐出流量を可変させて所望の流量
を得ることができる可変容量形ポンプが開示されてい
る。 【0012】特に、これらの従来例において後者のもの
は、ポンプハウジングの内壁部とその内部で移動変位可
能なカムリングの外周部との間に小径部を有する制御ピ
ンを介在させ、この制御ピンの小径部とカムリング外周
部の制御面とで可変オリフィスを構成している。そし
て、このオリフィスの上、下流側の流体圧をカムリング
に作用させて変位させる一方、このカムリングの偏心量
の減少に伴って開口面積が減少するようなオリフィスを
形成し、これにより所望の吐出流量を得ているものであ
った。 【0013】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような従来のポンプ構造によれば、カムリングを移動
変位させるために圧力流体のポンプ吐出側通路の一部に
設けた可変オリフィスの構造が複雑で、各部の加工精度
も出し難くく、加工、組立性の面で問題を生じるばかり
でなく、可変オリフィスでの動作上の信頼性の面でも好
ましくないものであった。 【0014】すなわち、上述した従来構造によれば、カ
ムリングを移動変位させるための可変オリフィスを、ポ
ンプ吐出側通路の一部に設けているだけのものであっ
た。そして、このような従来構造では、オリフィスの
上、下流側の流体圧力差をあまり大きく取れないことか
ら、カムリングをポンプハウジング内で移動変位させ得
る十分な圧力差は得られず、その結果カムリングをポン
プ回転数等に応じて所要の状態で移動変位させることを
期待できず、これにより可変容量形のポンプとしての機
能が得られないという不具合を生じるおそれがあった。 【0015】特に、上述した従来構造では、制御流体で
ある作動油中にゴミ等が混入していたり、高圧時にポン
プハウジングが歪むといった変形時において、オリフィ
スの上、下流側での流体圧力差によってカムリングを所
要の状態で変位させるという動作性能が不安定となり易
いものであった。すなわち、カムリングは、周知の通
り、内部洩れを防ぐために側面部にわずかな隙間しか持
たないものであり、このような隙間へのゴミ等の詰まり
や側面部での接触抵抗の増大化によって、円滑な移動変
位を得ることができず、さらに所望の調整流量が得られ
なくなるという問題を招くおそれもあった。 【0016】また、上述した問題を解消するために、オ
リフィスの上、下流側での流体圧力差を大きくなるよう
に形成すると、可変容量形ポンプとしての本来の目的で
ある低消費タイプの動力舵取装置用等として用いて効果
を発揮させるという特徴が得られなくなるもので、これ
らの問題をも解決し得る何らかの対策を講じることが必
要とされている。 【0017】さらに、上述した従来構造によれば、ポン
プボディ内で移動変位されるカムリングが、適宜の位置
で摺動しなくなった場合や、適宜の位置で引っ掛かって
固着したりした場合、ポンプの回転数を増大させると、
ポンプ吐出流量は、このポンプ回転数に比例して増大し
てしまうものであった{図11の(b)参照}。 【0018】そして、このような状態となると、大流量
がパワーシリンダ側に流れるため、舵取ハンドルが軽く
なったりすることがあり、このような問題をも解決し得
る何らかの対策を講じることが望まれる。 【0019】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、ポンプ吐出流量を、ポンプ回転数の変化に
対応して変化させるようにカムリングを移動変位可能に
構成し、かつこのカムリングを、ポンプ吐出側での流量
変化に応じて適切かつ確実に移動変位させ、ポンプ回転
数に応じた所望の吐出流量を得ることが可能で、しかも
簡易型構造で、加工、組立性に優れ、動作上での信頼性
も高く、コスト的にも安価で、また小型、コンパクト化
も可能となる可変容量形ポンプを得ることを目的として
いる。 【0020】 【課題を解決するための手段】このような要請に応える
ために本発明に係る可変容量形ポンプは、ベーンを有し
ポンプボディ内に回転自在に配設されたロータと、この
ロータ外周部との間にポンプ室を形成するように嵌装さ
れ前記ポンプボディ内で移動変位可能に配置されたカム
リングと、このカムリングをロータ外周部との間でのポ
ンプ室のポンプ容量が最大となるように付勢する付勢手
段とを備え、前記カムリングの外周部で前記ポンプボデ
ィの内面との間の環状隙間空間の所定個所にシール手段
を介在させることにより、前記カムリングの移動方向の
一方であって前記付勢手段により付勢される方向の一側
部に第1の流体圧室を形成するとともに他側部に第2の
流体圧室を形成し、前記第1、第2の流体圧室を切換え
バルブに接続してなり、前記切換えバルブは、バルブ孔
に移動自在に嵌挿されたスプールが圧縮コイルばねによ
って一端側へ付勢される構造であって、前記バルブ孔に
おける前記一端側の油室を形成する孔壁面に、ポンプ吐
出側通路の途中に設けられたメータリングオリフィスの
上流側から延びる流体圧導入用の第1の通路が開口し、
バルブ孔における他端側の油室を形成する孔壁面に、前
記メータリングオリフィスの下流側から延びる流体圧導
入用の第2の通路が開口し、かつこれらの開口の間に位
置するバルブ孔の中央部に、ポンプ吸込側通路と連通す
る低圧側通路と、前記第1の流体圧室と連通する導圧通
路とが開口し、この導圧通路の開口を前記第1の通路の
開口と前記低圧側通路の開口との間に位置付け、前記ス
プールの軸方向の移動により前記導圧通路が前記低圧側
通路に連通する第1の切換え状態と、前記導圧通路が前
記第1の通路に前記一端側の油室を介して連通する第2
の切換え状態とを切換え可能に構成したものである。 【0021】 【0022】 【0023】 【0024】 【作用】本発明によれば、ポンプボディ内でロータに対
し偏心した状態で嵌装されているカムリング外周部の両
側に形成した第1および第2の流体圧室に、ポンプ吐出
側の流量の大小に応じて作動される切換えバルブを接続
しているから、それぞれの室の流体圧を所定の圧力差を
もつように制御することができる。そして、カムリング
は、上述したように制御された第1、第2の流体圧室間
の流体圧力差によって所定の方向に移動変位し、その結
果としてロータとの間に形成されるポンプ室のポンプ容
量を変化させ、ポンプ吐出側の流体流量を可変制御する
ことができる。また、切換えバルブは、両端部に流体圧
が直接導入されるから、圧力差によってスプールを移動
させるに当たって、単純な構造とすることができる。 【0025】 【0026】 【0027】 【実施例】図1ないし図5は本発明に係る可変容量形ポ
ンプの一実施例を示し、これらの図において、本実施例
では、動力舵取装置の油圧発生源となるベーンタイプの
オイルポンプである場合を説明する。 【0028】全体を符号10で示すベーンタイプの可変
容量形ポンプは、図1および図2から明らかなように、
ポンプボディを構成するフロントボディ11およびリア
ボディ12を備えている。このフロントボディ11は全
体が略カップ状を呈し、その内部にポンプ構成要素13
を収納配置する収納空間14が形成されるとともに、こ
の収納空間14の開口端を閉塞するようにしてリアボデ
ィ12が組合わせられて一体化されている。なお、この
フロントボディ11には、前記ポンプ構成要素13の回
転子であるロータ15を外部から回転駆動するためのド
ライブシャフト16が貫通した状態で、軸受16a,1
6b,16c(16bはリアボディ12側、16cは後
述するプレッシャプレート20側に配設される)によっ
て回転自在に支持されている。 【0029】17はベーン15aを有するロータ15の
外周部に嵌装して配置されるカムリングで、このカムリ
ング17の内側カム面17aとロータ15との間にポン
プ室18が形成されている。このカムリング17は、後
述するように、ポンプ室18のポンプ容量(容積)を可
変するように収納空間14内で空間内壁部分に嵌合状態
で設けたアダプタリング19内で移動変位可能に配置さ
れている。なお、このアダプタリング19は、ボディ1
1の収納空間14内でカムリング17を移動変位可能に
保持するためのものである。 【0030】20はプレッシャプレートで、このプレッ
シャプレート20は、上述したロータ15、カムリング
17およびアダプタリング19によって構成されている
ポンプカートリッジのフロントボディ11側に圧接して
積層配置されている。また、このポンプカートリッジの
反対側面には前記リアボディ12の端面がサイドプレー
トとして圧接され、ボディ11,12同士の一体的な組
立てによって所要の組立状態とされる。そして、これら
の部材によって、前記ポンプ構成要素13が構成されて
いる。 【0031】ここで、これらのプレッシャプレート20
とこれにカムリング17を介して積層されるサイドプレ
ートとなるリアボディ12とは、位置決めピンとしても
機能する後述するシールピン21や適宜の回り止め手段
(図示せず)によって、回転方向で位置決めされた状態
で一体的に組付け固定されている。 【0032】23は前記フロントボディ11の収納空間
14内でその底部側に形成されるポンプ吐出側圧力室
で、プレッシャプレート20にポンプ吐出側圧力を作用
させるようになっている。24はこのポンプ吐出側圧力
室23にポンプ室18からの圧油を導くプレッシャプレ
ート20に穿設されているポンプ吐出側通路である。 【0033】25はポンプ吸込側通路で、この吸込側通
路25は、リアボディ12の一部に設けられた吸込ポー
ト26(詳細な図示を省略する)からのポンプ吸込側流
体を前記ポンプ室18に導くようにリアボディ12内に
形成されている。そして、この吸込側通路25はリアボ
ディ12の端面に開口するポンプ吸込用開口25aを経
てポンプ室18に接続されている。 【0034】28はポンプ吐出側通路で、この吐出側通
路28は、上述したポンプ室18からポンプ吐出側通路
24、ポンプ吐出側圧力室23、この圧力室23からフ
ロントボディ11の上方に延びた通路孔23aを介して
接続されている。この吐出側通路28の途中にはメータ
リングオリフィス29が介在されるとともに外方端側に
ポンプ吐出側流体圧を図示しないパワーステアリング装
置(図中PSで示す)等の油圧機器に給送するための吐
出ポートが設けられている。 【0035】30は上述したカムリング17をポンプボ
ディ11(アダプタリング19)内でロータ15に対し
て移動変位させるための切換えバルブで、この切換えバ
ルブ30は、フロントボディ11における収納空間14
の上方に略直交して穿設したバルブ孔30a内で前記ポ
ンプ吐出側通路28のメータリングオリフィス29の
上、下流側での流体圧力差およびばね31の付勢力で摺
動動作するリリーフ弁付きのスプール32を備えてい
る。このスプール32は、前記バルブ孔30aに移動自
在に嵌挿されて前記ばね31によってバルブ孔30aの
一端側へ付勢されている。 【0036】図3、図5中29a,29bはメータリン
グオリフィス29の上、下流側の流体圧をバルブ孔30
a内に導入する第1、第2の通路である。第1の通路2
9aは、前記バルブ孔30aの前記一端側の油室32a
を形成する孔壁面に開口し、第2の通路29aは、バル
ブ孔30aの他端側の油室32bを形成する孔壁面に開
口している。さらに、このバルブ孔30aにおいて中央
部分には、前記ポンプ吐出側通路28からの流体圧を導
く高圧側通路28bと、前記ポンプ吸込側通路25の一
部から分岐されて流体圧をタンク側に導く低圧側通路2
5bが、それぞれ開口して形成され、スプール32の移
動に伴なって選択的に開閉制御され、後述する第1、第
2の流体圧室の流体圧を制御するようになっている。 【0037】すなわち、このような切換バルブ30にお
いて、スプール32の一端側の油室(図1、図3の左方
室)32aには、前記ポンプ吐出側の圧力室23、ポン
プ吐出側通路28および第1の通路29aを介してメー
タリングオリフィス29の上流側の流体圧が導かれてい
る。なお、図中33はバルブ孔30a内でスプール32
の左方への移動位置を第1の通路29aの開口端を閉塞
しない位置で係止するロッド33aを有するバルブ孔3
0aの閉塞用プラグである。 【0038】また、スプール32の他端側の油室(図
1、図3の右方室)32bには、ばね31が配設される
とともにメータリングオリフィス29下流側の流体圧が
前記吐出ポート28aに至る通路28途中から前記第2
の通路29bを介して導かれている。 【0039】さらに、バルブ孔30aの略中央部でスプ
ール32の移動方向に並んだ位置には、前記カムリング
17の外周部でボディ11側のアダプタリング19との
間に形成される第1および第2の流体圧室34,35
に、ボディ11、アダプタリング19を経て形成されて
いる導圧通路36,37(アダプタリング19の通路孔
36a,37aを含む)が開口して形成されている。な
お、図1、図4における図中34aは第1の流体圧室3
4を、アダプタリング19の内壁面とカムリング17と
の間に形成するための凹溝部である。 【0040】そして、これらの導圧通路36,37が、
スプール32の動きによって、図1および図3と図2お
よび図4とから明らかなように、前記ポンプ吐出側通路
28に第1の通路29aまたは28bを介して、または
ポンプ吸込用開口25a側に通路25bを介して、選択
的に接続されるようになっている。 【0041】一方、図1、図4中40は押圧部材で、こ
の押圧部材40はコイルばね41および筒状の押えプラ
グ42とからなり、ポンプボディ11,12内で移動変
位可能に配置されたカムリング17を、ロータ15の外
周部とに形成されるポンプ室18のポンプ容量が最大と
なるように付勢する。 【0042】なお、上述したベーンタイプの可変容量形
ポンプ10において、上述した以外の構成は従来から周
知の通りであり、その詳細な説明は省略する。 【0043】上述した構成による可変容量形ポンプ10
は、ロータ15外周部との間にポンプ室18を形成する
ように偏心した状態で嵌装されかつポンプボディ11,
12内で移動変位可能に配置されるとともにポンプ室1
8のポンプ容量が最大となるように付勢されているカム
リング17を備えている。このカムリング17の外周部
でポンプボディ11,12との間の環状隙間空間の所定
個所にシール手段としてのシールピン21,47を介在
させることにより、ポンプボディ11,12内でカムリ
ング17を移動変位させるための第1および第2の流体
圧室34,35をカムリング17の移動方向の両側に形
成するとともに、ポンプ室18からの圧油の吐出流量の
大小に応じて作動される切換えバルブ30を前記第1お
よび第2の流体圧室34,35に接続したものである。 【0044】ここで、上述したカムリング17とアダプ
タリング19との間の環状隙間空間を分割するために本
実施例では、図1ないし図5から明らかなように、環状
隙間空間をカムリング17の移動方向の両側、ここでは
左、右に分割するように上、下に位置付けられて配置さ
れている前述した位置決めピンとしても機能する第1の
シールピン21とカムリング17の摺接面に凹設した溝
部内に弾性部材を介して組み込まれている第2のシール
ピン47を設けている。 【0045】そして、図1中左側(カムリング17の移
動方向の一側)の空間を第1の流体圧室34とし、この
室34を前記流体通路36a,36を介して切換バルブ
30の一端側の油室32aまたはポンプ吸込側の流体圧
が導入されている環状溝部分(スプール32の一端側の
油室32a寄りの環状溝)に接続可能に構成されてい
る。詳述すると、この切換えバルブ30は、図3および
図4に示すように、前記導圧通路36におけるバルブ孔
30a側の開口が前記第1の通路29aの開口と前記低
圧側通路25bの開口との間に位置付けられ、前記スプ
ール32の軸方向の移動により前記導圧通路36が前記
低圧側通路25bに連通する第1の切換え状態(図3参
照)と、前記導圧通路36が前記第1の通路29aに前
記一端側の油室32aを介して連通する第2の切換え状
態(図4参照)とを切換え可能に構成されている。した
がって、この第1の流体圧室34の流体圧は、ポンプ吐
出側の流体圧またはポンプ吸込側の流体圧に制御され
る。 【0046】また、図1中右側(カムリング17の移動
方向の他側)の空間を第2の流体圧室35とし、この室
35を前記流体通路37a,37を介して切換えバルブ
30の中央部分でスプール32の動きに伴なってポンプ
吐出側の流体圧が導入される環状溝部分(スプール32
の他端側の油室32b寄りの環状溝)またはポンプ吸込
側の流体圧が導入されている環状溝部分(スプール32
の一端側の油室32a寄りの環状溝)に接続されてい
る。したがって、この第2の流体圧室35の流体圧は、
ポンプ吸込側の流体圧またはポンプ吐出側の流体圧に制
御される。 【0047】さらに、上述した筒状を呈する押圧部材4
0は、図1、図4から明らかなように、コイルばね41
によってカムリング17を、図1中左方に常時押圧する
ように構成されている。なお、この押圧部材40として
は、カムリング17を押圧し、常時はポンプ室18のポ
ンプ容量が最大となるように押圧可能なものであれば、
如何なる形状を呈するものであってもよい。 【0048】以上の構成によれば、ポンプ10の始動時
には、カムリング17は図1から明らかなようにボディ
11の収納空間14内の一側にロータ15との間のポン
プ室18のポンプ容量が最大となるように押圧部材40
のコイルばね41により付勢された状態にある。このと
き、切換バルブ30は、図1から明らかなように、第1
の流体圧室34をポンプ吸込側に、第2の流体圧室35
をポンプ吐出側に通路28bを介して接続する状態にあ
る。 【0049】そして、ポンプ回転数が徐々に増大して駆
動されると、このポンプ回転数に比例して得られるポン
プ吐出側でオリフィス29上、下流側の流体圧による差
圧によって、切換バルブ30のスプール32を切換え作
動させ、これによりカムリング17両側の第1の流体圧
室34がポンプ吐出側に、第2の流体圧室35がポンプ
吸込側に接続される。そして、第1の流体圧室34がポ
ンプ吐出側の流体圧に、第2の流体圧室35がポンプ吸
込側の流体圧に制御されると、ロータ15に対して偏心
しているカムリング17が、コイルばね41の付勢力に
抗してポンプ室18のポンプ容量が減少する方向(図
1、図4参照)に移動変位する。 【0050】すなわち、ポンプ吐出側の流体流量の大小
に応じた切換バルブ30のスプール32による切換え作
動によって、第1の流体圧室34に対しポンプ吐出側
が、これに相対向して位置付けられている第2の流体圧
室35に対しポンプ吸込側が適宜接続され、これにより
各室34,35の流体圧はそれぞれの流体圧に制御され
る。そして、カムリング17は、切換えバルブ30の作
動状態によって適宜移動変位され、結果としてポンプ容
量が変化されるポンプ室18から吐出される流量制御が
所要の状態で行なえ、動力舵取装置PSに至る所定流量
の給送が可能となる。 【0051】特に、上述した構成によれば、ポンプ回転
数に伴なって増減するポンプ吐出量により、メータリン
グオリフィス29の上、下流側で生じる差圧で切換えバ
ルブ30を切換え制御し、これによってカムリング17
をコイルばね41の付勢力に抗して、またはこの付勢力
に応じて、移動変位させることができる。その結果、ポ
ンプ室18のポンプ容量を可変制御し、ポンプからの吐
出量を、たとえば図6に示すようにポンプ回転数に合わ
せてバランスさせ、所望の特性を得られるように制御す
ることができる。 【0052】なお、図6の(a)に示した特性曲線は、
ポンプ回転数に対するポンプ吐出流量の特性の一例を示
している。また、同図の(b)はポンプ回転数に対して
のカムリング17の偏心状態を示し、さらに同図の
(c)はカムリング17の偏心状態に対してのポンプ固
有の吐出量(ロータ一回転当たりの吐出量)を示す。 【0053】そして、上述したような本発明による構成
では、ポンプボディ11,12内でロータ15に対し偏
心して嵌装されているカムリング17外周部の両側に形
成した第1および第2の流体圧室34,35に、ポンプ
吐出側の流量の大小に応じて作動される切換えバルブ3
0により、所定の圧力差をもつ流体圧力をそれぞれの室
34,35に導入することができる。そして、これらの
室34,35間での流体圧力差によって、カムリング1
7は、所定の方向に移動変位され、その結果としてロー
タ15との間に形成されるポンプ室18のポンプ容量を
変化させ、ポンプ吐出側での流体流量を、所要の状態に
可変制御することができる。 【0054】特に、本発明によれば、上述した流量制御
を行なうカムリング17のシールピン21を中心とした
揺動による移動変位を、オリフィス29の上、下流側の
流体圧の差圧によって切換え作動されるカムリング駆動
制御用の切換えバルブ30を用い、この切換えバルブ3
0によってカムリング17の左、右両側に形成される流
体圧室34,35の流体圧を所要の状態に制御すること
によって得ている。 【0055】したがって、このような本発明によれば、
ポンプ吐出側通路途中に設けたオリフィス29の上、下
流側の流体圧の差圧で直接カムリング17を移動変位さ
せる場合に比べて、切換えバルブ30によりカムリング
17を移動させるに十分な流体圧力差を得ることができ
るもので、所要のカムリング17の移動変位を得て、ポ
ンプ吐出流量の制御を所要の状態で行なえる。 【0056】たとえばポンプ吐出圧が高圧となってボデ
ィ11,12が歪変形したり、流体中にゴミ等が混入
し、カムリング17の動きを妨げるような位置に介在し
たりしても、このカムリング17を移動させる力を、ポ
ンプ吐出圧に対し十分に小さなポンプ吸込圧との対比に
よって得ることが可能で、カムリング17を強い力で軽
快に移動変位させることが可能となる。このようになる
と、所定の流量を安定して得られる。また、オリフィス
29の上、下流側の流体圧の差圧も小さくてよいので、
消費動力を節約できるという利点もある。 【0057】このような構成によれば、従来一般的であ
った容量形ポンプに比べてエネルギ損失の低減と油温上
昇の低減とを図れる可変容量形ポンプ10を、きわめて
簡単に、しかもポンプ自体の大型化を招くことなく得る
ことが可能で、また加工性、組立性に優れ、量産性の面
でも優れている。ここで、本実施例では、カムリング1
7を、ロータ15に偏心させた状態で移動変位可能に構
成しており、その内周壁は真円形状で形成できるもの
で、加工性の面で優れているという利点がある。 【0058】また、上述した実施例では、ロータ15に
出入り自在に保持されているベーン15aとカムリング
17の内周面との間での摺動抵抗を可能な限り低減し、
これによりロータ15の駆動馬力を可能な限り小さくす
るように構成している。すなわち、上述した構成におい
て、ロータ15およびカムリング17の側面部に接して
配設されるプレッシャプレート20、リアボディ12に
よる側壁部上でロータ15のベーン収納用スリット溝1
5bの基端部に対応する部分に、図1および図2から明
らかなように、カムリング17内でロータ15外周部に
形成されるポンプ室18におけるポンプ吸込側、ポンプ
吐出側にそれぞれ対応して円弧状溝部50,51を形成
し、かつこれら各円弧状溝部50,51に、それぞれが
対応しているポンプ吸込側、ポンプ吐出側の流体圧を導
入させるように構成している。 【0059】なお、図中52はポンプ吸込側流体を通路
25から円弧状溝部50に導く通路、53はポンプ吐出
側圧力室23を円弧状溝部51に導く通路である。 【0060】このような構成を採用すると、カムリング
17内で回転するロータ15に出入り自在に保持される
ベーン15aにおいて、その先端部がカムリング17内
周面に沿って摺動しているときに、このベーン15a先
端部が、ポンプ室18のポンプ吐出側領域(図1中で下
側部分)、ポンプ吸込側領域(図1中で上側部分)のい
ずれかにあるときに、それぞれの基端部に、各ベーン1
5a先端部が臨んでいるポンプ室18内の圧力に合わせ
た略同一圧力を導いて作用させることにより、各ベーン
15aの先端部のカムリング17内周面への摺動抵抗を
軽減し、摺動摩擦や摩耗をなくし、駆動馬力を軽減する
ことが可能となる。 【0061】また、上述した構造による可変容量形ポン
プ10では、ポンプ室18のポンプ容量をカムリング1
7の揺動動作によって変化させていることから、吸込ポ
ートと吐出ポートとを一対しか設けることができず、圧
力非平衡を生じて回転軸16に過大な荷重がかかること
になる。 【0062】すなわち、この可変容量形ポンプ10にお
いては、ロータ15に対しカムリング17が偏心して位
置し、一つのポンプ室18で圧油を吸込み、吐出してい
ることから、ポンプ駆動時に油圧が作用すると、ポンプ
カートリッジ部において、ポンプ吸込側領域{図7の
(b)でA部参照}とポンプ吐出側領域{図7の(b)
でB部参照}とでの圧力差によって、回転軸16に片寄
った方向への作用力が働く。そして、このような作用力
が働くと、回転軸16を支持しているブッシュ状の軸受
16c,16bには、その反作用力として、片寄った力
が働き、その合成力は、回転軸16を中心として片側に
への合成力として作用し、軸受の耐久性が損なわれるこ
とになる。 【0063】このようなポンプ吸込側と吐出側での油圧
の大小による変位した作用力で生じる不具合、すなわち
軸受等への負荷の増大化を防ぐために、本実施例では、
回転軸16の外方端に設けられ回転駆動源と接続される
プーリテンション方向を、ポンプ吸込側と吐出側での圧
力差による変位力を配慮し、ポンプ吐出側から吸込側に
向かう方向(図中矢印で示す)に設定している。このよ
うにすると、軸受等に加わる負荷を可能な限り軽減で
き、耐久性等の点で有利である。 【0064】図8および図9は本発明に係る可変容量形
ポンプの別の実施例を示し、これらの図において、この
実施例では、図8から明らかな通り、ロータ15に対し
てのカムリング17の偏心量を調整し得る調整ねじ57
を、カムリング17を付勢する押圧部材40に対向させ
た位置でポンプボディ(フロントボディ11)に螺合し
て設け、その進退動作によってカムリング17をコイル
ばね41の付勢力に抗して変位させ、その偏心量を調整
し得るように構成している。なお、58はロックナット
で、またそれ以外の構成は、前述した図1等で説明した
通りである。 【0065】このような構成によれば、ロータ15に対
してのカムリング17の偏心量を機械的に調整できるこ
とから、ポンプボディ11,12(アダプタリング1
9)、カムリング17、ロータ15によるポンプカート
リッジ部、さらにはコイルばね41を有する押圧部材4
0等の加工、組立精度をラフとしても、調整ねじ57の
螺合調整を行なうだけで所要の組立状態を得ることが可
能で、ポンプ10での所要の吐出流量−回転数特性(Q
−N特性)を得ることができる。 【0066】すなわち、上述した偏心量調整ねじ57を
調整することにより、各部品、特にアダプタリング19
やカムリング17等の偏心加工部品を精度よく加工する
ことなしに、Q−N特性の必要とする折れ点を得ること
ができ、安定したポンプ吐出特性が得られるもので、各
部品の量産化と低コスト化が図れるものである。 【0067】たとえば上述した調整ねじ57を微調整す
ることにより、図9において実線、一点鎖線、二点鎖線
で示した特性から明らかなように、ポンプ回転数Nに対
しての吐出流量Qの特性を、任意に設定でき、実用上で
の利点が大きい。たとえばQ1の流量を得るための折れ
点での回転数ω1を、任意に調整変更可能とすることが
できる。 【0068】図10および図11は本発明に係る可変容
量形ポンプにフェールセーフ用の流量制御弁を設ける例
を示す図である。この実施例では、ポンプボディ11内
に回転自在に配設されたロータ15と、その外周部との
間にポンプ室18を形成するように嵌装されかつポンプ
ボディ11内で移動変位可能に配置されたカムリング1
7を備えている。そして、ポンプ室18からのポンプ吐
出側通路28の途中に、その調整流量をポンプ室18か
ら吐出される最大調整流量よりも若干高く設定したフェ
ールセーフ用の流量制御弁60を設けている 【0069】ここで、図中61はボディ11に設けられ
たバルブ孔、62はその内部で摺動自在に保持されるス
プール、63はこのスプール62を付勢するばねで、前
記ポンプ吐出側通路28から分岐した通路64がスプー
ル62に一端側に導かれ、かつ中央にはタンクT側への
還流通路65が開口して設けられ、通路64での流量が
一定量以上になると、これをタンク側(ポンプ吸込側)
に還流させるように構成されている。 【0070】このような流量制御弁60をフェールセー
フ用として用いると、たとえばポンプボディ11内で移
動変位可能なカムリング17が、圧油中に含まれるゴミ
等が滞留したりすることによりボディ11側に固着した
りする等の引っ掛かりを生じても、ポンプ吐出側の流体
流量Qは、ポンプ室18から吐出される最大調整流量Q
1よりも若干高めの調整流量Q2に設定されているフェ
ールセーフ用の流量制御弁60の働きによって、その調
整流量Q2以下に維持することができ、ポンプの吐出流
量の必要以上の増大化に伴なう動作上での信頼性低下を
防止し得るものである。 【0071】これは、図11の(b)に示すように、カ
ムリング17が引っ掛かり等で移動変位されなくなる
と、従来図中xに示す特性からyに示すように吐出流量
が増大するおそれがあったが、この流量制御弁60を設
けることにより、図11の(a)において実線で示すよ
うに、xからzに移行する特性を得ることが可能となる
ことから、明らかである。 【0072】また、このような構成では、カムリング1
7が正常に作動している限りにおいては、この流量制御
弁60は働かず、ポンプ吐出流量が、吸込側に還流する
といったエネルギロスは生ぜず、しかも必要時において
は適切かつ確実に作動して、ポンプ吐出流量特性を所要
の状態に維持できるものである。したがって、カムリン
グ17が移動変位されず、大流量がポンプから吐出さ
れ、動力舵取装置PS等で高速時にハンドルが急に軽く
なるといった問題は生じるおそれはない。 【0073】ここで、このような流量制御弁60をフェ
ールセーフ用として設けるポンプ構造としては、前述し
た図1等の実施例構造には限定されず、従来から周知の
可変容量形ポンプに適用してもよい。 【0074】なお、本発明は上述した実施例構造に限定
されず、各部の形状、構造等を、適宜変形、変更するこ
とは自由である。たとえば上述した実施例では、カムリ
ング17を移動変位可能に保持する環状隙間空間を、ア
ダプタリング19との間に形成した場合を示したが、本
発明はこれに限定されず、ポンプボディ11内にカムリ
ング17を移動変位可能に保持させるように構成しても
よい。 【0075】さらに、上述した構成によるベーンタイプ
の可変容量形ポンプ10としては、上述した実施例構造
に限定されないことは勿論、上述した実施例で説明した
パワーステアリング装置以外にも、各種の機器、装置に
適用してもよい。 【0076】 【発明の効果】以上説明したように本発明に係る可変容
量形ポンプによれば、ベーンを有しポンプボディ内に回
転自在に配設されたロータと、このロータ外周部との間
にポンプ室を形成するように嵌装され前記ポンプボディ
内で移動変位可能に配置されたカムリングと、このカム
リングをロータ外周部との間でのポンプ室のポンプ容量
が最大となるように付勢する付勢手段とを備え、前記カ
ムリングの外周部で前記ポンプボディの内面との間の環
状隙間空間の所定個所にシール手段を介在させることに
より、前記カムリングの移動方向の一方であって前記付
勢手段により付勢される方向の一側部に第1の流体圧室
を形成するとともに他側部に第2の流体圧室を形成し、
前記第1、第2の流体圧室を切換えバルブに接続してな
り、前記切換えバルブは、バルブ孔に移動自在に嵌挿さ
れたスプールが圧縮コイルばねによって一端側へ付勢さ
れる構造であって、前記バルブ孔における前記一端側の
油室を形成する孔壁面に、ポンプ吐出側通路の途中に設
けられたメータリングオリフィスの上流側から延びる流
体圧導入用の第1の通路が開口し、バルブ孔における他
端側の油室を形成する孔壁面に、前記メータリングオリ
フィスの下流側から延びる流体圧導入用の第2の通路が
開口し、かつこれらの開口の間に位置するバルブ孔の中
央部に、ポンプ吸込側通路と連通する低圧側通路と、前
記第1の流体圧室と連通する導圧通路とが開口し、この
導圧通路の開口を前記第1の通路の開口と前記低圧側通
路の開口との間に位置付け、前記スプールの軸方向の移
動により前記導圧通路が前記低圧側通路に連通する第1
の切換え状態と、前記導圧通路が前記第1の通路に前記
一端側の油室を介して連通する第2の切換え状態とを切
換え可能に構成したため、簡単な構成にもかかわらず、
以下に述べる優れた効果を奏する。 【0077】本発明によれば、メータリングオリフィス
の上流側と下流側との差圧がばねによる押圧力より小さ
いときは、スプールが前記一端側に保持されるために切
換えバルブが第1の切換え状態になり、前記差圧が前記
押圧力より大きくなることによって、スプールが前記押
圧力に抗して他端側へ移動し、切換えバルブが第2の切
換え状態になる。第1の切換え状態では、第1の流体圧
室が導圧通路と低圧側通路とを介してポンプ吸込側通路
に連通されるから、このときの第1の流体圧室内の圧力
は、メータリングオリフィスの上流側および下流側の圧
力より低くなる。一方、第2の切換え状態では、第1の
流体圧室が導圧通路、一端側の油室および第1の通路を
介してポンプ吐出側通路のメータリングオリフィスより
上流側に連通されるから、このときの第1の流体圧室内
の圧力は、メータリングオリフィスの上流側と略等しく
なる。 【0078】したがって、ポンプ室のポンプ容量が最大
になる場合、すなわちカムリングが第1の流体圧室側に
位置している状態のときには、第1の流体圧室内の圧力
をいわゆるタンク圧まで低下させることができ、ポンプ
容量が低下する方向へカムリングが移動するときには、
第1の流体圧室内の圧力をメータリングオリフィスの上
流側の圧力と略等しくなるように上昇させることができ
る。この結果、回転上昇時に第1の流体圧室内の圧力
は、切換えバルブによってタンク圧からメータリングオ
リフィスの上流側の圧力に瞬間的に上昇するようになる
から、メータリングオリフィスの上、下流側の差圧分に
相当する圧力でカムリングが移動する従来のものに較べ
て、カムリングをポンプ容量が低減する方向へ確実に移
動させることができる。切換えバルブは、両端部の油室
を形成するバルブ孔の孔壁面に第1および第2の通路が
開口し、これらの開口から導入された流体圧がスプール
の両端面に作用してスプールが移動するものであるか
ら、構造が単純になって小型に形成できるようになると
ともに、簡単に製造することができるようになる。した
がって、この切換えバルブを用いることによって、可変
容量形ポンプの小型化とコストダウンとを図ることがで
きる。 【0079】
【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明に係る可変容量形ポンプの一実施例を
示し、ポンプの要部構造を示す概略横断面図である。 【図2】 図1の要部構造を説明するために断面して示
す要部縦断面図である。 【図3】 図1の切換えバルブ部分を断面した要部断面
図である。 【図4】 図1からのポンプ駆動時の状態を説明するた
めの概略断面図である。 【図5】 図3に対応するポンプ駆動時の状態を示す要
部断面図である。 【図6】 本発明の可変容量形ポンプにおいて、(a)
はポンプ回転数に対しての吐出流量特性を、(b)はポ
ンプ回転数に対するカムリングの偏心量を、(c)は偏
心量と固有吐出量を示す特性図である。 【図7】 本発明に係る可変容量形ポンプにおいて、流
体圧が片寄ることによる不具合をプーリテンションで解
消する場合を説明するもので、(a)は概略図、(b)
は要部構成図である。 【図8】 本発明の別の実施例を示す要部拡大横断面図
である。 【図9】 図8による作用効果を説明する特性図であ
る。 【図10】 フェールセーフ用の流量制御弁を設けた例
を示す概略断面図である。 【図11】 図10の作用効果を説明するためのもの
で、(a)はその特性図、(b)は従来例の特性図であ
る。 【符号の説明】 10…ベーンタイプの可変容量形ポンプ、11…フロン
トボディ、12…リアボディ、13…ポンプ構成要素、
14…収納空間、15…ロータ、15a…ベーン、15
b…スリット溝、16…ドライブシャフト(回転軸)、
17…カムリング、17a…カム面、18…ポンプ室、
19…アダプタリング、20…プレッシャプレート、2
1…シールピン、23…ポンプ吐出側圧力室、23a…
ポンプ吐出側通路、24…ポンプ吐出側通路、25…ポ
ンプ吸込側通路、25b…低圧側通路、26…吸込ポー
ト、28…ポンプ吐出側通路、28b…高圧側通路、2
9…メータリングオリフィス、29a…第1の通路、2
9b…第2の通路、30…切換えバルブ、31…ばね、
32…スプール、34…第1の流体圧室、35…第2の
流体圧室、36…導圧通路、37…導圧通路、40…押
圧部材、41…コイルばね、47…第2のシールピン、
50…円弧状溝部、51…円弧状溝部、52…通路、5
3…通路、57…調整ねじ、60…フェールセーフ用流
量制御弁。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 西独国特許出願公開3322549(DE, A1) 米国特許2823614(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F04C 15/04 311 F04C 2/344 331

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ベーンを有しポンプボディ内に回転自在
    に配設されたロータと、このロータ外周部との間にポン
    プ室を形成するように嵌装され前記ポンプボディ内で移
    動変位可能に配置されたカムリングと、このカムリング
    をロータ外周部との間でのポンプ室のポンプ容量が最大
    となるように付勢する付勢手段とを備え、前記カムリン
    グの外周部で前記ポンプボディの内面との間の環状隙間
    空間の所定個所にシール手段を介在させることにより、
    前記カムリングの移動方向の一方であって前記付勢手段
    により付勢される方向の一側部に第1の流体圧室(3
    4)を形成するとともに他側部に第2の流体圧室(3
    5)を形成し、前記第1、第2の流体圧室を切換えバル
    ブ(30)に接続してなり、前記切換えバルブは、バル
    ブ孔(30a)に移動自在に嵌挿されたスプール(3
    2)が圧縮コイルばねによって一端側へ付勢される構造
    であって、前記バルブ孔(30a)における前記一端側
    の油室(32a)を形成する孔壁面に、ポンプ吐出側通
    路の途中に設けられたメータリングオリフィス(29)
    の上流側から延びる流体圧導入用の第1の通路(29
    a)が開口し、バルブ孔(30a)における他端側の油
    室(32b)を形成する孔壁面に、前記メータリングオ
    リフィスの下流側から延びる流体圧導入用の第2の通路
    (29b)が開口し、かつこれらの開口の間に位置する
    バルブ孔の中央部に、ポンプ吸込側通路(25)と連通
    する低圧側通路(25b)と、前記第1の流体圧室(3
    4)と連通する導圧通路(36)とが開口し、この導圧
    通路(36)の開口を前記第1の通路(29a)の開口
    と前記低圧側通路(25b)の開口との間に位置付け、
    前記スプール(32)の軸方向の移動により前記導圧通
    路(36)が前記低圧側通路(25b)に連通する第1
    の切換え状態と、前記導圧通路(36)が前記第1の通
    路(29a)に前記一端側の油室(32a)を介して連
    通する第2の切換え状態とを切換え可能に構成したこと
    を特徴とする可変容量形ポンプ。
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