JPH06200883A - 可変容量形ポンプ - Google Patents

可変容量形ポンプ

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JPH06200883A
JPH06200883A JP35880192A JP35880192A JPH06200883A JP H06200883 A JPH06200883 A JP H06200883A JP 35880192 A JP35880192 A JP 35880192A JP 35880192 A JP35880192 A JP 35880192A JP H06200883 A JPH06200883 A JP H06200883A
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pump
cam ring
rotor
chamber
flow rate
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英男 小西
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 回転数に応じてポンプ吐出量を可変制御で
き、簡易型で加工、組立性に優れ、動作上の信頼性も高
く、コストも安価な可変容量形ポンプを得る。 【構成】 ボディ11内で回転自在なロータ15外周部
にポンプ室18を形成するカムリング17を移動変位可
能に配置し、ポンプ室容積が最大となるように付勢す
る。カムリング外周部でポンプボディとの間の環状隙間
空間の所定個所に、シール手段21,47を介在させ、
カムリングを移動変位させるための第1および第2の流
体圧室34,35を形成する。ポンプ室からの圧力流体
の吐出流量の大小に応じて作動され、第1および第2の
流体圧室への供給流体圧を制御する切換えバルブ30を
設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、たとえば自動車のハン
ドル操作力を軽減するための動力舵取装置等に用いて好
適なベーンタイプの可変容量形ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】動力舵取装置用ポンプとして一般的な容
量形ベーンポンプは、自動車用エンジンによって直接回
転駆動され、エンジン回転数が高くなる程、これに比例
して吐出流量が大きくなる。これに対し、動力舵取装置
は、停車中や低速走行時に、より高い操舵補助力を必要
とする一方、高速走行時には、これとは逆に操舵補助力
を小さくすることが、走行安定性や操舵フィーリングの
見地から望まれる。
【0003】このため、従来この種の容量形ポンプで
は、回転数が低回転域にある場合にも所要の操舵補助力
が得られる吐出流量を確保できるものを用い、かつ回転
数が高回転域にある場合に、吐出流量の一部をタンク側
に還流させるための流量制御弁が設けられていた。そし
て、動力舵取装置に供給される流量を、エンジンの回転
数の大小にかかわらず一定に制御したり、あるいは高回
転域では低回転域よりも流量が小さくなるように制御し
ていた。
【0004】しかし、このような容量形ポンプでは、ポ
ンプ吐出流量を一定量以下に制御するための流量制御弁
を必ず設けることが必要で、このためにポンプ全体の構
成部品点数が増え、構造が複雑化し、さらに通路構造も
複雑となるもので、ポンプの大型化やコスト高を避けら
れないものであった。
【0005】また、上述した流量制御弁によってポンプ
吐出側からタンク側に還流させる流量が、エンジンの高
回転域である程、多く、無駄となるもので、高速走行
時、坂道での中、高速走行時等においてエンジンが高回
転、高圧となる程、エネルギ損失が大きいという問題も
あった。
【0006】さらに、上述した流量制御弁によりタンク
側にポンプ吐出側流体を還流させると、流体温度の上昇
を招き、これによりステアリング特性の変化、漏れによ
るポンプの容積効率の低下、さらにロータやカムリング
の焼き付き、シール類への悪影響等を生じる虞れがあっ
た。また、車種によってはクーリングパイプ等の冷却手
段を付設することが必要で、コスト高を招いていた。
【0007】このため、この種の動力舵取装置用のポン
プとして、たとえば特開昭53−130505号公報、
特開昭56−143383号公報等によって、ポンプの
吐出流量自体を、回転数の増加に伴って段階的に減少さ
せるようにした可変容量形ポンプが、従来既に提案され
ている。このような可変容量形ポンプによれば、上述し
た流量制御弁の必要性がなくなるものであった。
【0008】ここで、上述した可変容量形ポンプにおい
て前者のものは、ベーンポンプのロータ中心とベーンの
摺接する円筒カム面の中心との偏心量を可変とし、かつ
ポンプ吐出側通路に設けた可変オリフィスの連通面積
が、円筒カム面を有するカムリングの偏心量を減少させ
る方向への変位に応動して小さくなるようにしている。
そして、可変オリフィス前後の差圧を利用してカムリン
グを移動制御することにより、ロータの回転数の増加に
伴ない吐出流量を減少させるものであった。
【0009】また、後者の可変容量形ポンプは、カムリ
ングを、ポンプケーシング内で移動可能に構成するとと
もに、このカムリングとポンプケーシングとの間に形成
した間隙部において一対のコントロール室を形成し、そ
れぞれの室に吐出通路のオリフィス前後の圧力を導き、
その差圧力をカムリングに直接作用させ、このカムリン
グをスプリングの付勢力に抗して適宜移動させることに
より、ポンプ室の容積を変化させて適性な吐出流量制御
を行なっているものであった。
【0010】しかし、上述した従来の可変容量形ポンプ
によれば、カムリングを、ポンプハウジング内で直線移
動可能に保持し、これを吐出通路に直接または間接的に
設けたオリフィス前後の差圧力で移動変位させているだ
けであり、加工性、組立性は勿論、動作上での信頼性、
さらに耐久性の面で問題をもち、実現性に乏しいもので
あった。
【0011】また、特開昭58−93978号公報、実
公昭63−14078号公報には、ポンプハウジング内
にカムリングを径方向に直線的に変位可能に配置させる
とともに、このカムリング内にポンプ室を形成するため
のロータを回転可能に収納し、かつポンプ吐出通路に設
けたオリフィス前、後の圧力差でカムリングをロータに
対し移動変位させるとともに、このロータに対するカム
リングの偏心量に応動して前記オリフィスの流路面積を
変化させ、吐出流量を可変させて所望の流量を得ること
ができるようにした可変容量形ポンプが開示されてい
る。
【0012】特に、これらの従来例において後者のもの
は、ポンプハウジングの内壁部とその内部で移動変位可
能なカムリングの外周部との間に小径部を有する制御ピ
ンを介在させ、この制御ピンの小径部とカムリング外周
部の制御面とで可変オリフィスを構成している。そし
て、このオリフィス前、後の圧力をカムリングに作用さ
せて変位させる一方、このカムリングの偏心量の減少に
伴って開口面積が減少するようなオリフィスを形成し、
これにより所望の吐出流量を得ているものであった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような従来のポンプ構造によれば、カムリングを移動
変位させるために圧力流体のポンプ吐出側通路の一部に
設けた可変オリフィス部の構造が複雑で、各部の加工精
度も出し難くく、加工、組立性の面で問題を生じるばか
りでなく、可変オリフィス部での動作上の信頼性の面で
も好ましくないものであった。
【0014】すなわち、上述した従来構造によれば、カ
ムリングを移動変位させるための可変オリフィスを、ポ
ンプ吐出側通路の一部に設けているだけのものであっ
た。そして、このような従来構造では、可変オリフィス
前、後での圧力差をあまり大きく取れないことから、カ
ムリングをポンプハウジング内で移動変位させ得る十分
な圧力差は得られず、その結果カムリングをポンプ回転
数等に応じて所要の状態で移動変位させることを期待で
きず、これにより可変容量形のポンプとしての機能が得
られないという不具合を生じる虞れがあった。
【0015】特に、上述した従来構造では、制御流体で
ある作動油中にゴミ等が混入していたり、高圧時にポン
プハウジングが歪むといった変形時において、オリフィ
ス前、後圧によってカムリングを所要の状態で変位させ
るという動作性能が不安定となり易いものであった。す
なわち、カムリングは、周知の通り、内部洩れを防ぐた
めに側面部にわずかな隙間しか持たないものであり、ゴ
ミ等の詰まりや側面部での接触抵抗の増大化によって、
円滑な移動変位を得ることができず、さらに所望の調整
流量が得られなくなるという問題を招く虞れもあった。
【0016】また、これらの抵抗に打ち勝つために可変
オリフィス前、後の圧力差を大きくすると、可変容量形
ポンプとしての本来の目的である低消費タイプの動力舵
取装置用等として用いて効果を発揮させるという特徴が
得られなくなるもので、これらの問題をも解決し得る何
らかの対策を講じることが必要とされている。
【0017】さらに、上述した従来構造によれば、ポン
プボディ内で移動変位されるカムリングが、適宜の位置
で摺動しなくなった場合や、適宜の位置で引っ掛かって
固着したりした場合、ポンプの回転数を増大させると、
ポンプ吐出流量は、このポンプ回転数に比例して増大し
てしまうものであった{図11の(b)参照}。
【0018】そして、このような状態となると、大流量
がパワーシリンダ側に流れるため、舵取ハンドルが急に
軽くなる。特に、高速、高回転時には、このような現象
は著しく、しかも安全性の面で問題を生じる虞れがあ
り、このような問題点をも解決し得る何らかの対策を講
じることが望まれる。
【0019】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、ポンプ吐出流量を、ポンプ回転数の変化に
対応して変化させるようにカムリングを移動変位可能に
構成し、かつこのカムリングを、ポンプ吐出側での流量
変化に応じて適切かつ確実に移動変位させ、ポンプ回転
数に応じた所望の吐出流量を得ることが可能で、しかも
簡易型構造で、加工、組立性に優れ、動作上での信頼性
も高く、コスト的にも安価で、また小型、コンパクト化
も可能となる可変容量形ポンプを得ることを目的として
いる。
【0020】
【課題を解決するための手段】このような要請に応える
ために本発明に係る可変容量形ポンプは、ロータ外周部
との間にポンプ室を形成するように偏心した状態で嵌装
されかつポンプボディ内で移動変位可能に配置されると
ともにポンプ室容量が最大となるように付勢されている
カムリングを備え、このカムリング外周部でポンプボデ
ィとの間の環状隙間空間の所定個所にシール手段を介在
させることにより、ポンプボディ内でカムリングを移動
変位させるための第1および第2の流体圧室を形成する
とともに、ポンプ室からの圧力流体の吐出流量の大小に
応じて作動されることによって前記第1および第2の流
体圧室への供給流体圧を制御する切換えバルブを設けた
ものである。
【0021】また、本発明に係る可変容量形ポンプは、
ロータおよびカムリングの側面部に接して配設される側
壁部上でロータのベーン収納用スリット溝の基端部に対
応する部分に、カムリング内でロータ外周部に形成され
るポンプ室におけるポンプ吸込側、ポンプ吐出側にそれ
ぞれ対応する円弧状溝部を形成し、かつこれら各円弧状
溝部に、それぞれが対応するポンプ吸込側、ポンプ吐出
側の流体圧を導入させるように構成したものである。
【0022】さらに、本発明に係る可変容量形ポンプ
は、ポンプボディ内に回転自在に配設されたロータと、
その外周部との間にポンプ室を形成するように嵌装され
かつポンプボディ内で移動変位可能に配置されたカムリ
ングを備え、ポンプ室からのポンプ吐出側通路途中に、
その調整流量をポンプ室から吐出される最大調整流量よ
りも若干高く設定したフェールセーフ用の流量制御弁を
設けたものである。
【0023】
【作用】本発明によれば、ポンプボディ内でロータに対
し偏心して嵌装されているカムリング外周部の両側に形
成した第1および第2の流体圧室に、ポンプ吐出側の流
量の大小に応じて作動される切換えバルブにより、所定
の圧力差をもつ流体圧力をそれぞれの室に導入すること
が可能で、これによりカムリングは、所定の方向に移動
変位され、その結果としてロータとの間に形成されるポ
ンプ室内容積を変化させ、ポンプ吐出側の流体流量を可
変制御し得るものである。
【0024】また、本発明によれば、カムリング内で回
転するロータに出入り自在に保持されるベーンにおい
て、その先端部がカムリング内周面に沿って摺動してい
るときに、このベーン先端部が、ポンプ室のポンプ吐出
側領域、ポンプ吸込側領域のいずれかにあるときに、そ
れぞれの基端部に、各ベーン先端部が臨んでいるポンプ
室内の圧力に合わせた略同一圧力を導いて作用させるこ
とにより、各ベーンの先端部のカムリング内周面への摺
動抵抗を軽減し、摺動摩擦や摩耗をなくし、駆動馬力を
軽減することが可能となる。
【0025】さらに、本発明によれば、ポンプボディ内
で移動変位可能なカムリングに引っ掛かりが生じても、
ポンプ吐出側の流体流量は、ポンプ室から吐出される最
大調整流量よりも若干高めに設定されているフェールセ
ーフ用の流量制御弁の働きによって、一定流量以下に保
たれ、ポンプ吐出流量の必要以上の増大化に伴なう動作
上での信頼性低下を防止し得るものである。
【0026】
【実施例】図1ないし図5は本発明に係る可変容量形ポ
ンプの一実施例を示し、これらの図において、本実施例
では、動力舵取装置の油圧発生源となるベーンタイプの
オイルポンプである場合を説明する。
【0027】まず、全体を符号10で示すベーンタイプ
の可変容量形ポンプは、図1および図2から明らかなよ
うに、ポンプボディを構成するフロントボディ11およ
びリアボディ12を備えている。このフロントボディ1
1は全体が略カップ状を呈し、その内部にポンプ構成要
素13を収納配置する収納空間14が形成されるととも
に、この収納空間14の開口端を閉塞するようにしてリ
アボディ12が組合わせられて一体化されている。な
お、このフロントボディ11には、前記ポンプ構成要素
13の回転子であるロータ15を外部から回転駆動する
ためのドライブシャフト16が貫通した状態で、軸受1
6a,16b,16c(16bはリアボディ12側、1
6cは後述するプレッシャプレート20側に配設され
る)によって回転自在に支持されている。
【0028】17はベーン15aを有するロータ15の
外周部に嵌装して配置される内側カム面17aを有しこ
の内側カム面17aとロータ15との間にポンプ室18
を形成するカムリングで、このカムリング17は、後述
するように、ポンプ室18の容積を可変するように収納
空間14内で空間内壁部分に嵌合状態で設けられたアダ
プタリング19内で移動変位可能に配置されている。な
お、このアダプタリング19は、ボディ11の収納空間
14内でカムリング17を移動変位可能に保持するため
のものである。
【0029】20は上述したロータ15、カムリング1
7およびアダプタリング19によって構成されているポ
ンプカートリッジのフロントボディ11側に圧接して積
層配置されるプレッシャプレートで、またこのポンプカ
ートリッジの反対側面には前記リアボディ12の端面が
サイドプレートとして圧接され、ボディ11,12同士
の一体的な組立てによって所要の組立状態とされる。そ
して、これらの部材によって、前記ポンプ構成要素13
が構成されている。
【0030】ここで、これらのプレッシャプレート20
とこれにカムリング17を介して積層されるサイドプレ
ートとなるリアボディ12とは、位置決めピンとしても
機能する後述するシールピン21や適宜の回り止め手段
(図示せず)によって、回転方向で位置決めされた状態
で一体的に組付け固定されている。
【0031】23は前記フロントボディ11の収納空間
14内でその底部側に形成されるポンプ吐出側圧力室
で、プレッシャプレート20にポンプ吐出側圧力を作用
させるようになっている。24はこのポンプ吐出側圧力
室23にポンプ室18からの圧油を導くプレッシャプレ
ート20に穿設されているポンプ吐出側通路である。
【0032】25はリアボディ12の一部に設けられた
吸込ポート26(詳細な図示を省略する)からのポンプ
吸込側流体を前記ポンプ室18に導くようにリアボディ
12内に形成されたポンプ吸込側通路で、この通路25
はリアボディ12の端面に開口するポンプ吸込用開口2
5aを経てポンプ室18に接続されている。
【0033】28は上述したポンプ室18からポンプ吐
出側通路24、ポンプ吐出側圧力室23、この圧力室2
3からフロントボディ11の上方に延びた通路孔23a
を介して接続されたポンプ吐出側通路で、この通路28
の途中にはメータリングオリフィス29が介在されると
ともに外方端側にポンプ吐出側流体圧を図示しないパワ
ーステアリング装置(図中PSで示す)等の油圧機器に
給送するための吐出ポートが設けられている。
【0034】30はフロントボディ11における収納空
間14の上方に略直交して配置され上述したカムリング
17をポンプボディ11(アダプタリング19)内でロ
ータ15に対して移動変位させるための切換えバルブ
で、この切換えバルブ30は、ボディ11に穿設されて
いるバルブ孔30a内で前記ポンプ吐出側通路28のメ
ータリングオリフィス29前、後の圧力差およびばね3
1の付勢力で摺動動作するリリーフ弁付きのスプール3
2を備えている。
【0035】なお、図3、図5中29a,29bはオリ
フィス29前、後の圧力をバルブ孔30a内に導入する
通路である。さらに、このバルブ孔30aにおいて中央
部分には、前記ポンプ吐出側通路28からの流体圧を導
く高圧側通路28bと、前記ポンプ吸込側通路25の一
部から分岐されて流体圧をタンク側に導く低圧側通路2
5bが、それぞれ開口して形成され、スプール32の移
動に伴なって選択的に開閉制御され、後述する第1、第
2の流体圧室に流体圧を導入するようになっている。
【0036】すなわち、このような切換バルブ30にお
いて、スプール32の一方室(図1、図3の左方室)3
2aには、前記ポンプ吐出側の圧力室23、ポンプ吐出
側通路28および通路29aを介してメータリングオリ
フィス29上流側の流体圧が導かれている。なお、図中
33はバルブ孔30a内でスプール32の左方への移動
位置を通路29aの開口端を閉塞しない位置で係止する
ロッド33aを有するバルブ孔30aの閉塞用プラグで
ある。
【0037】また、スプール32の他方室(図1、図3
の右方室)32bには、ばね31が配設されるとともに
メータリングオリフィス29下流側の流体圧が前記吐出
ポート28aに至る通路28途中から前記通路29bを
介して導かれている。
【0038】さらに、バルブ孔30aの略中央部でスプ
ール32の移動方向に並んだ位置には、前記カムリング
19の外周部でボディ11側のアダプタリング19との
間に形成される第1および第2の流体圧室34,35
に、ボディ11、アダプタリング19を経て形成されて
いる導圧通路36,37(アダプタリング19の通路孔
36a,37aを含む)が開口して形成されている。な
お、図1、図4における図中34aは第1の流体圧室3
4を、アダプタリング19の内壁面とカムリング17と
の間に形成するための凹溝部である。
【0039】そして、これらの通路36,37が、スプ
ール32の動きによって、図1および図3と図2および
図4とから明らかなように、前記ポンプ吐出側通路28
に通路29bまたは28bを介して、またはポンプ吸込
用開口25b側に通路25bを介して、選択的に接続さ
れるようになっている。
【0040】一方、図1、図4中40はポンプボディ1
1,12ないで移動変位可能に配置されたカムリング1
7を、ロータ15の外周部とに形成されるポンプ室18
が最大容積となるように付勢する押圧部材で、コイルば
ね41および筒状の押えプラグ42とから構成されてい
る。
【0041】なお、上述したベーンタイプの可変容量形
ポンプ10において、上述した以外の構成は従来から周
知の通りであり、その詳細な説明は省略する。
【0042】さて、本発明によれば、上述した構成によ
る可変容量形ポンプ10において、ロータ15外周部と
の間にポンプ室18を形成するように偏心した状態で嵌
装されかつポンプボディ11,12内で移動変位可能に
配置されるとともにポンプ室18容積が最大となるよう
に付勢されているカムリング17を備え、このカムリン
グ17外周部でポンプボディ11,12との間の環状隙
間空間の所定個所にシール手段としてのシールピン2
1,47を介在させることにより、ポンプボディ11,
12内でカムリング17を移動変位させるための第1お
よび第2の流体圧室34,35を形成するとともに、ポ
ンプ室18からの圧油の吐出流量の大小に応じて作動さ
れることによって前記第1および第2の流体圧室34,
35への供給流体圧を制御する切換えバルブ30を設け
たところに特徴を有している。
【0043】ここで、上述したカムリング17とアダプ
タリング19との間の環状隙間空間を分割するために本
実施例では、図1ないし図5から明らかなように、環状
隙間空間を左、右に分割するように上、下に位置付けら
れて配置されている前述した位置決めピンとしても機能
する第1のシールピン21とカムリング17の摺接面に
凹設した溝部内に弾性部材を介して組み込まれている第
2のシールピン47を設けている。
【0044】そして、左側の空間を第1の流体圧室34
とし、この室34を前記流体通路36a,36を介して
切換バルブ30の左方室32aまたはポンプ吸込側に接
続可能に構成されている。また、右側の空間を第2の流
体圧室35とし、この室35を前記流体通路37a,3
7を介して切換えバルブ30の中央部分でスプール32
の動きに伴なってポンプ吐出側またはポンプ吸込側に選
択的に接続可能に構成されている。
【0045】さらに、上述した筒状を呈する押圧部材4
0は、図1、図4から明らかなように、コイルばね41
によってカムリング17を、図1中左方に常時押圧する
ように構成されている。なお、この押圧部材40として
は、カムリング17を押圧し、常時はポンプ室18の内
容積が最大となるように押圧可能なものであれば、如何
なる形状を呈するものであってもよい。
【0046】以上の構成によれば、ポンプ10の始動時
には、カムリング17は図1から明らかなようにボディ
11の収納空間14内の一側にロータ15との間のポン
プ室18の内容積が最大となるように押圧部材40のコ
イルばね41により付勢された状態にある。このとき、
切換バルブ30は、図1から明らかなように、第1の流
体圧室34をポンプ吸込側に、第2の流体圧室35をポ
ンプ吐出側に通路28bを介して接続された状態にあ
る。
【0047】そして、ポンプ回転数が徐々に増大して駆
動されると、このポンプ回転数に比例して得られるポン
プ吐出側でオリフィス29上、下流側の流体圧による差
圧によって、切換バルブ30のスプール32を切換え作
動させ、これによりカムリング17両側の第1の流体圧
室34と第2の流体圧室35に、ポンプ吐出側とポンプ
吸込側とが選択的に接続され、これによりロータ15に
対して偏心しているカムリング17を、コイルばね41
に抗してポンプ室18の内容積が減少する方向(図1、
図4参照)に移動変位する。
【0048】このとき、ポンプ吐出側の流体流量の大小
に応じた切換バルブ30のスプール32による切換え作
動で、第1の流体圧室34に対しポンプ吐出側が、これ
に相対向して位置付けられている第2の流体圧室35に
対しポンプ吸込側が適宜接続され、これによってカムリ
ング17は、切換えバルブ30の作動状態によって適宜
移動変位され、結果として内容積が変化されるポンプ室
18から吐出される流量制御が所要の状態で行なえ、動
力舵取装置PSに至る所定流量の給送が可能となる。
【0049】特に、上述した構成によれば、ポンプ回転
数に伴なって増減するポンプ吐出量により、メータリン
グオリフィス29で生じる差圧で切換えバルブ30を切
換え制御し、これによってカムリング17をコイルばね
41の付勢力に抗して、またはこの付勢力に応じて、移
動変位させ得るもので、その結果としてポンプ室18の
内容積を可変制御し、ポンプからの吐出量を、たとえば
図6に示すように、ポンプ回転数に合わせてバランスさ
せ、所望の特性を得られるように制御し得るものであ
る。
【0050】なお、図6の(a)に示した特性曲線は、
ポンプ回転数に対するポンプ吐出流量の特性を示してい
る。また、同図の(b)はポンプ回転数に対してのカム
リング17の偏心状態を示し、さらに同図の(c)はカ
ムリング17の偏心状態に対してのポンプ固有の吐出量
(ロータ一回転当たりの吐出量)を示す。
【0051】そして、上述したような本発明による構成
では、ポンプボディ11,12内でロータ15に対し偏
心して嵌装されているカムリング17外周部の両側に形
成した第1および第2の流体圧室34,35に、ポンプ
吐出側の流量の大小に応じて作動される切換えバルブ3
0により、所定の圧力差をもつ流体圧力をそれぞれの室
34,35に導入することが可能で、これによりカムリ
ング17は、所定の方向に移動変位され、その結果とし
てロータ15との間に形成されるポンプ室18の内容積
を変化させ、ポンプ吐出側での流体流量を、所要の状態
に可変制御し得るものである。
【0052】特に、本発明によれば、上述した流量制御
を行なうカムリング17のシールピン21を中心とした
揺動による移動変位を、オリフィス29前、後の差圧に
よって切換え作動されるカムリング駆動制御用の切換え
バルブ30を用い、これにより得られる流体圧をカムリ
ング17の左、右に形成される流体圧室34,35に導
入することにより得ているものである。
【0053】したがって、このような本発明によれば、
ポンプ吐出側通路途中に設けたオリフィス29前、後の
差圧で直接カムリング17を移動変位させる場合に比べ
て、切換えバルブ30によりカムリング17を移動させ
るに十分な流体圧力差を得ることができるもので、所要
のカムリング17の移動変位を得て、ポンプ吐出流量の
制御を所要の状態で行なえる。
【0054】たとえばポンプ吐出圧が高圧となってボデ
ィ11,12が歪変形したり、流体中にゴミ等が混入
し、カムリング17の動きを妨げるような位置に介在し
たりしても、このカムリング17を移動させる力を、ポ
ンプ吐出圧に対し十分に小さなポンプ吸込圧との対比に
よって得ることが可能で、カムリング17を強い力で軽
快に移動変位させることが可能となる。このようになる
と、所定の流量を安定して得られ、またオリフィス前、
後の差圧も小さくてよいので、消費動力を節約できると
いう利点もある。
【0055】そして、このような構成によれば、容量形
ポンプに比べてエネルギ損失の低減と油温上昇の低減と
を図れる可変容量形ポンプ10を、きわめて簡単に、し
かもポンプ自体の大型化を招くことなく得ることが可能
で、また加工性、組立性に優れ、量産性の面でも優れて
いる。ここで、本実施例では、カムリング17を、ロー
タ15に偏心させた状態で移動変位可能に構成してお
り、その内周壁は真円形状で形成できるもので、加工性
の面で優れているという利点がある。
【0056】また、本実施例では、上述した可変容量形
ポンプ10を構成するにあたって、ロータ15における
ベーン15aの数を奇数に設定しており、ポンプ室18
内での流体圧力差によってロータ15に作用する不平衡
力をできるだけ小さくし、これによりポンプ吐出側での
脈動を可能な限り低減するように構成している。すなわ
ち、ロータ15に対しカムリング17を偏心させて配置
し、ポンプ室18をロータ15の一側に片寄らせている
ポンプ構造において、ベーン15aが奇数であると、ポ
ンプ吸込側室と吐出側室との左、右両側での境界部分
に、一枚のベーン15aと二枚のベーン15aとが、ロ
ータ15の軸対称位置に位置している場合、これら左、
右両側に位置するベーン15aに作用する作用力間での
アンバランスな力が減少し、略バランスした作用力をロ
ータ15に与えて不平衡力を小さくし得るものである。
これに対し、ベーン15aが偶数であると、両側の境界
部分に二枚づつのベーン15aが等配して配置され、そ
の一方がポンプ吐出側、他方がポンプ吸込側からの作用
力を受け、アンバランス力が大きいことから、ローラ1
5に不平衡力が生じるもので、上述した奇数の方がよい
ことは明らかであろう。
【0057】また、上述した実施例では、ロータ15に
出入り自在に保持されているベーン15aとカムリング
17の内周面との間での摺動抵抗を可能な限り低減し、
これによりロータ15の駆動馬力を可能な限り小さくす
るように構成している。すなわち、上述した構成におい
て、ロータ15およびカムリング17の側面部に接して
配設されるプレッシャプレート20、リアボディ12に
よる側壁部上でロータ15のベーン収納用スリット溝1
5bの基端部に対応する部分に、図1および図2から明
らかなように、カムリング17内でロータ15外周部に
形成されるポンプ室18におけるポンプ吸込側、ポンプ
吐出側にそれぞれ対応して円弧状溝部50,51を形成
し、かつこれら各円弧状溝部50,51に、それぞれが
対応しているポンプ吸込側、ポンプ吐出側の流体圧を導
入させるように構成している。
【0058】なお、図中52はポンプ吸込側流体を通路
25から円弧状溝部50に導く通路、53はポンプ吐出
側圧力室23を円弧状溝部51に導く通路である。
【0059】このような構成を採用すると、カムリング
17内で回転するロータ15に出入り自在に保持される
ベーン15aにおいて、その先端部がカムリング17内
周面に沿って摺動しているときに、このベーン15a先
端部が、ポンプ室18のポンプ吐出側領域(図1中で下
側部分)、ポンプ吸込側領域(図1中で上側部分)のい
ずれかにあるときに、それぞれの基端部に、各ベーン1
5a先端部が臨んでいるポンプ室18内の圧力に合わせ
た略同一圧力を導いて作用させることにより、各ベーン
15aの先端部のカムリング17内周面への摺動抵抗を
軽減し、摺動摩擦や摩耗をなくし、駆動馬力を軽減する
ことが可能となる。
【0060】また、上述した構造による可変容量形ポン
プ10では、ポンプ室18の内容積をカムリング17の
揺動動作によって変化させていることから、吸込ポート
と吐出ポートとを一対しか設けることができず、圧力非
平衡を生じて回転軸16に過大な荷重がかかることにな
る。
【0061】すなわち、この可変容量形ポンプ10にお
いては、ロータ15に対しカムリング17が偏心して位
置し、一つのポンプ室18で圧油を吸込み、吐出してい
ることから、ポンプ駆動時に油圧が作用すると、ポンプ
カートリッジ部において、ポンプ吸込側領域{図7の
(b)でA部参照}とポンプ吐出側領域{図7の(b)
でB部参照}とでの圧力差によって、回転軸16に片寄
った方向への作用力が働く。そして、このような作用力
が働くと、回転軸16を支持しているブッシュ状の軸受
16c,16bには、その反作用力として、片寄った力
が働き、その合成力は、回転軸16を中心として片側に
への合成力として作用し、軸受の耐久性が損なわれるこ
とになる。
【0062】このようなポンプ吸込側と吐出側での油圧
の大小による変位した作用力で生じる不具合、つまり軸
受等への負荷の増大化を防ぐために、本実施例では、回
転軸16の外方端に設けられ回転駆動源と接続されるプ
ーリテンション方向を、ポンプ吸込側と吐出側での圧力
差による変位力を配慮し、ポンプ吐出側から吸込側に向
かう方向(図中矢印で示す)に設定している。このよう
にすると、軸受等に加わる負荷を可能な限り軽減でき、
耐久性等の点で有利である。
【0063】図7および図8は本発明に係る可変容量形
ポンプの別の実施例を示し、これらの図において、この
実施例では、図7から明らかな通り、ロータ15に対し
てのカムリング17の偏心量を調整し得る調整ねじ57
を、カムリング17を付勢する押圧部材40に対向させ
た位置でポンプボディ(フロントボディ11)に螺合し
て設け、その進退動作によってカムリング17をコイル
ばね41の付勢力に抗して変位させ、その偏心量を調整
し得るように構成している。なお、58はロックナット
で、またそれ以外の構成は、前述した図1等で説明した
通りである。
【0064】このような構成によれば、ロータ15に対
してのカムリング17の偏心量を機械的に調整できるこ
とから、ポンプボディ11,12(アダプタリング1
9)、カムリング17、ロータ15によるポンプカート
リッジ部、さらにはコイルばね41を有する押圧部材4
0等の加工、組立精度をラフとしても、調整ねじ57の
螺合調整を行なうだけで所要の組立状態を得ることが可
能で、ポンプ10での所要の吐出流量−回転数特性(Q
−N特性)を得ることができる。
【0065】すなわち、上述した偏心量調整ねじ57を
調整することにより、各部品、特にアダプタリング19
やカムリング17等の偏心加工部品を精度よく加工する
ことなしに、Q−N特性の必要とする折れ点を得ること
ができ、安定したポンプ吐出特性が得られるもので、各
部品の量産化と低コスト化が図れるものである。
【0066】たとえば上述した調整ねじ57を微調整す
ることにより、図9において実線、一点鎖線、二点鎖線
で示した特性から明らかなように、ポンプ回転数Nに対
しての吐出流量Qの特性を、任意に設定でき、実用上で
の利点が大きい。たとえばQ1の流量を得るための折れ
点での回転数ω1を、任意に調整変更可能とすることが
できる。
【0067】図10および図11は本発明に係る可変容
量形ポンプの他の実施例を示すものであり、この実施例
では、ポンプボディ11内に回転自在に配設されたロー
タ15と、その外周部との間にポンプ室18を形成する
ように嵌装されかつポンプボディ11内で移動変位可能
に配置されたカムリング17を備え、ポンプ室18から
のポンプ吐出側通路28途中に、その調整流量をポンプ
室18から吐出される最大調整流量よりも若干高く設定
したフェールセーフ用の流量制御弁60を設けている。
【0068】ここで、図中61はボディ11に設けられ
たバルブ孔、62はその内部で摺動自在に保持されるス
プール、63はこのスプール62を付勢するばねで、前
記ポンプ吐出側通路28から分岐した通路64がスプー
ル62に一端側に導かれ、かつ中央にはタンクT側への
還流通路65が開口して設けられ、通路64での流量が
一定量以上になると、これをタンク側(ポンプ吸込側)
に還流させるように構成されている。
【0069】そして、このような流量制御弁60をフェ
ールセーフ用として用いると、たとえばポンプボディ1
1内で移動変位可能なカムリング17が、圧油中に含ま
れるゴミ等が滞留したりすることによりボディ11側に
固着したりする等の引っ掛かりを生じても、ポンプ吐出
側の流体流量Qは、ポンプ室18から吐出される最大調
整流量Q1よりも若干高めの調整流量Q2に設定されて
いるフェールセーフ用の流量制御弁60の働きによっ
て、その調整流量Q2以下に維持することができ、ポン
プの吐出流量の必要以上の増大化に伴なう動作上での信
頼性低下を防止し得るものである。
【0070】これは、図11の(b)に示すように、カ
ムリング17が引っ掛かり等で移動変位されなくなる
と、従来図中xに示す特性からyに示すように吐出流量
が増大する虞れがあったが、この流量制御弁60を設け
ることにより、図11の(a)において実線で示すよう
に、xからzに移行する特性を得ることが可能となるこ
とから、容易に理解されよう。
【0071】また、このような構成では、カムリング1
7が正常に作動している限りにおいては、この流量制御
弁60は働かず、ポンプ吐出流量が、吸込側に還流する
といったエネルギロスは生ぜず、しかも必要時において
は適切かつ確実に作動して、ポンプ吐出流量特性を所要
の状態に維持できるものである。したがって、カムリン
グ17が移動変位されず、大流量がポンプから吐出さ
れ、動力舵取装置PS等で高速時にハンドルが急に軽く
なるといった問題は生じる虞れはない。
【0072】ここで、このような流量制御弁60をフェ
ールセーフ用として設けるポンプ構造としては、前述し
た図1等の実施例構造には限定されず、従来から周知の
可変容量形ポンプに適用してもよいことは言うまでもな
い。
【0073】なお、本発明は上述した実施例構造に限定
されず、各部の形状、構造等を、適宜変形、変更するこ
とは自由であり、たとえば上述した実施例では、カムリ
ング17を移動変位可能に保持する環状隙間空間を、ア
ダプタリング19との間に形成した場合を示したが、本
発明はこれに限定されず、ポンプボディ11内にカムリ
ング17を移動変位可能に保持させるように構成しても
よい。
【0074】さらに、上述した構成によるベーンタイプ
の可変容量形ポンプ10としては、上述した実施例構造
に限定されないことは勿論、上述した実施例で説明した
パワーステアリング装置以外にも、各種の機器、装置に
適用してもよいことも言うまでもない。
【0075】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る可変容
量形ポンプによれば、ロータ外周部との間にポンプ室を
形成するように偏心した状態で嵌装されかつポンプボデ
ィ内で移動変位可能に配置されるとともにポンプ室容量
が最大となるように付勢されているカムリングを備え、
このカムリング外周部でポンプボディとの間の環状隙間
空間の所定個所にシール手段を介在させることにより、
ポンプボディ内でカムリングを移動変位させるための第
1および第2の流体圧室を形成するとともに、ポンプ室
からの圧力流体の吐出流量の大小に応じて作動されるこ
とによって前記第1および第2の流体圧室への供給流体
圧を制御する切換えバルブを設けたので、簡単な構成に
もかかわらず、ポンプボディ内でロータに対し偏心して
嵌装されているカムリング外周部の両側に形成した第1
および第2の流体圧室に、ポンプ吐出側の流量の大小に
応じて作動される切換えバルブにより、所定の圧力差を
もつ流体圧力をそれぞれの室に導入することが可能で、
これによりカムリングは、所定の方向に移動変位され、
その結果としてロータとの間に形成されるポンプ室内容
積を変化させ、ポンプ吐出側の流体流量を可変制御し得
るものである。
【0076】また、本発明に係る可変容量形ポンプによ
れば、ロータおよびカムリングの側面部に接して配設さ
れる側壁部上でロータのベーン収納用スリット溝の基端
部に対応する部分に、カムリング内でロータ外周部に形
成されるポンプ室におけるポンプ吸込側、ポンプ吐出側
にそれぞれ対応する円弧状溝部を形成し、かつこれら各
円弧状溝部に、それぞれが対応するポンプ吸込側、ポン
プ吐出側の流体圧を導入させるようにしたので、カムリ
ング内で回転するロータに出入り自在に保持されるベー
ンにおいて、その先端部がカムリング内周面に沿って摺
動しているときに、このベーン先端部が、ポンプ室のポ
ンプ吐出側領域、ポンプ吸込側領域のいずれかにあると
きに、それぞれの基端部に、各ベーン先端部が臨んでい
るポンプ室内の圧力に合わせた略同一圧力を導いて作用
させることにより、各ベーンの先端部のカムリング内周
面への摺動抵抗を軽減し、摺動摩擦や摩耗をなくし、駆
動馬力を軽減することが可能となる。
【0077】さらに、本発明に係る可変容量形ポンプに
よれば、ポンプボディ内に回転自在に配設されたロータ
と、その外周部との間にポンプ室を形成するように嵌装
されかつポンプボディ内で移動変位可能に配置されたカ
ムリングを備え、ポンプ室からのポンプ吐出側通路途中
に、その調整流量をポンプ室から吐出される最大調整流
量よりも若干高く設定したフェールセーフ用の流量制御
弁を設けたので、ポンプボディ内で移動変位可能なカム
リングに引っ掛かりが生じても、ポンプ吐出側の流体流
量は、ポンプ室から吐出される最大調整流量よりも若干
高めに設定されているフェールセーフ用の流量制御弁の
働きによって、一定流量以下に維持でき、ポンプ動作特
性上でのフェイルセーフとしての機能を発揮し、ポンプ
吐出流量の必要以上の増大化に伴なう動作上での信頼性
低下を防止し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る可変容量形ポンプの一実施例を示
し、ポンプの要部構造を示す概略横断面図である。
【図2】図1の要部構造を説明するために断面して示す
要部縦断面図である。
【図3】図1の切換えバルブ部分を断面した要部断面図
である。
【図4】図1からのポンプ駆動時の状態を説明するため
の概略断面図である。
【図5】図3に対応するポンプ駆動時の状態を示す要部
断面図である。
【図6】本発明の可変容量形ポンプにおいて、(a)は
ポンプ回転数に対しての吐出流量特性を、(b)はポン
プ回転数に対するカムリングの偏心量を、(c)は偏心
量と固有吐出量を示す特性図である。
【図7】本発明に係る可変容量形ポンプにおいて、流体
圧が片寄ることによる不具合をプーリテンションで解消
する場合を説明するもので、(a)は概略図、(b)は
要部構成図である。
【図8】本発明の別の実施例を示す要部拡大横断面図で
ある。
【図9】図8による作用効果を説明する特性図である。
【図10】本発明の他の実施例を示す概略断面図であ
る。
【図11】図10の作用効果を説明するためのもので、
(a)はその特性図、(b)は従来例の特性図である。
【符号の説明】 10 ベーンタイプの可変容量形ポンプ 11 フロントボディ 12 リアボディ 13 ポンプ構成要素 14 収納空間 15 ロータ 15a ベーン 15b スリット溝 16 ドライブシャフト(回転軸) 17 カムリング 17a カム面 18 ポンプ室 19 アダプタリング 20 プレッシャプレート 21 シールピン 23 ポンプ吐出側圧力室 23a ポンプ吐出側通路 24 ポンプ吐出側通路 25 ポンプ吸込側通路 25b 低圧側通路 26 吸込ポート 28 ポンプ吐出側通路 28b 高圧側通路 29 メータリングオリフィス 29a 通路 29b 通路 30 切換えバルブ 31 ばね 32 スプール 34 第1の流体圧室 35 第2の流体圧室 36 導圧通路 37 導圧通路 40 押圧部材 41 コイルばね 47 第2のシールピン 50 円弧状溝部 51 円弧状溝部 52 通路 53 通路 57 調整ねじ 60 フェールセーフ用流量制御弁

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベーンを有しポンプボディ内に回転自在
    に配設されたロータと、このロータ外周部との間にポン
    プ室を形成するように嵌装されかつ前記ポンプボディ内
    で移動変位可能に配置されたカムリングと、このカムリ
    ングをロータ外周部との間でのポンプ室容積が最大とな
    るように付勢する付勢手段とを備えてなり、 前記カムリング外周部でポンプボディとの間の環状隙間
    空間の所定個所に、シール手段を介在させることによ
    り、ポンプボディ内でカムリングを移動変位させるため
    の第1および第2の流体圧室を形成するとともに、 前記ポンプ室からの圧力流体の吐出流量の大小に応じて
    作動されることにより前記第1および第2の流体圧室へ
    の供給流体圧を制御する切換えバルブを設けたことを特
    徴とする可変容量形ポンプ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の可変容量形ポンプにおい
    て、 ロータおよびカムリングの側面部に接して配設される側
    壁部上で前記ロータのベーン収納用スリット溝の基端部
    に対応する部分に、前記カムリング内でロータ外周部に
    形成されるポンプ室におけるポンプ吸込側、ポンプ吐出
    側にそれぞれ対応する円弧状溝部を形成し、 かつこれら各円弧状溝部に、それぞれが対応するポンプ
    吸込側、ポンプ吐出側の流体圧を導入したことを特徴と
    する可変容量形ポンプ。
  3. 【請求項3】 ベーンを有しポンプボディ内に回転自在
    に配設されたロータと、このロータ外周部との間にポン
    プ室を形成するように嵌装されかつ前記ポンプボディ内
    で移動変位可能に配置されたカムリングを備えた可変容
    量形ポンプにおいて、 前記ポンプ室からのポンプ吐出側通路途中に、その調整
    流量をポンプ室から吐出される最大調整流量よりも若干
    高く設定したフェールセーフ用の流量制御弁を設けたこ
    とを特徴とする可変容量形ポンプ。
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