JP3938434B2 - 可変容量形ベーンポンプ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はたとえば自動車のハンドル操作力を軽減する動力舵取装置のような圧力流体利用機器に用いる可変容量形ベーンポンプに関し、特に流体圧が所定圧となったときに圧力流体をポンプ吸込側にリリーフさせるリリーフバルブ付きの可変容量形ベーンポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
動力舵取装置用ポンプとして従来一般には、自動車用エンジンで直接回転駆動される容量形のベーンポンプが用いられている。このような容量形ポンプは、エンジン回転数に対応して吐出流量が増減するため、自動車の停車中や低速走行時に操舵補助力を大きくし、高速走行時に操舵補助力を小さくするという動力舵取装置に要求される操舵補助力とは相反する特性をもっている。したがって、このような容量形ポンプには、回転数が低い低速走行時にも必要な操舵補助力が得られる程度の吐出流量を確保できる大容量のものを用いる必要がある。しかも、回転数が高い高速走行時のためには、吐出流量を一定量以下に制御する流量制御弁が必須となる。このため、容量形ポンプでは、構成部品点数が増え、構造や通路構成が複雑で、全体の大型化やコスト高となることが避けられない。
【0003】
このような容量形ポンプの不具合を解決するために、一回転当たりの吐出流量(cc/rev)を回転数の増加に比例して減少させることが可能な可変容量形ベーンポンプが、たとえば特開平5−278622号公報、特開平7−243385号公報、特開平8−200239号公報等によって提案されている。これらの可変容量形ポンプによれば、容量形ポンプのような流量制御弁が不要で、また駆動馬力の無駄が防げるためエネルギ効率の面でも優れ、またタンク側への戻りもないことから油温が上昇するというようなことがなく、しかもポンプ内部での漏れや容積効率が低下するという問題も防止できる。
【0004】
このような可変容量形のベーンポンプの一例を、特開平8−200239号公報におけるポンプ構造を示す図16ないし図18を用いて簡単に説明すると、図中1はポンプボディ、1aはアダプタリング、2はこのボディ1のアダプタリング1a内に形成される楕円形空間部1b内で揺動支点となる支軸部2aを介して揺動可能に設けられたカムリングで、図中左方向に押圧する付勢手段(圧縮コイルばね2b)により付勢されている。
3はロータで、前記カムリング2内でポンプ室4を一側に形成するように他側寄りに偏心して収容され外部駆動源によって回転駆動されることで放射方向に進退自在に保持したベーン3aを進退させる。なお、図中3bはロータ3の駆動軸で、ロータ3は図中矢印で示す方向に回転駆動される。
【0005】
5,6はボディ1のアダプタリング1aの楕円形空間部1b内でカムリング2の外周面両側に形成された高圧側、低圧側となる一対の流体圧室で、これらの室5,6には、カムリング2を揺動させるための制御圧としてポンプ吐出側通路11に設けた可変絞り12の前後の流体圧を導く通路5a,6aが、後述するスプール式制御バルブ10を介して開口している。
この例では、可変絞り12を、前記低圧側の流体圧室6を形成するボディ1の側壁面に開口した孔部12aとこの孔部12aを開閉するように移動するカムリング2の側縁部12bとによって形成した場合を示す。また、上述した可変絞り12下流側のポンプ吐出側通路を符号13で示す。
【0006】
上述したようにポンプ吐出側通路11,13の可変絞り12の前後の流体圧をカムリング2両側の流体圧室5,6に導入することにより、図16、図17に示すように、カムリング2を所要の方向に揺動させてポンプ室4内の容積を変え、図19の流量特性に示すようにポンプ吐出側での流量に対応して吐出流量を制御することができる。すなわち、ポンプ回転数の増加に伴って吐出側の流量を所定流量まで立上げてその状態を維持するとともにポンプの高回転数域では流量を減少させるという流量制御を行なうことができる。
【0007】
なお、図16は図19中領域Aから領域Bにかけて状態を示し、図17は図19中の領域Bから領域Cにかけての状態を示す。この図17において、カムリング2が図中右側に揺動し、可変絞り12を絞ることによりその絞り量に応じてポンプからの吐出流量が減少し、最小の絞り位置で一定流量に維持されることになる。
また、図18はポンプが低回転駆動されている図19の領域Aにおいて、圧力流体利用機器側が作動しポンプ吐出側の流体圧力がリリーフ圧となったときのリリーフ時の状態を示す。ポンプが高回転駆動されている図19の領域Cにおいてのリリーフ時には図17においてリリーフバルブ15が開いている状態となり、可変絞り12の開き状態に応じてリリーフ流量を制御する。
【0008】
7は前記ポンプ室4のポンプ吸込側領域4Aに臨んで開口されるポンプ吸込側開口(吸込ポート)、8はポンプ室4のポンプ吐出側領域4Bに臨んで開口されるポンプ吐出側開口(吐出ポート)である。これらの開口7,8は、ロータ3およびカムリング2からなるポンプ構成要素を両側から挾み込んで保持するための固定壁部であるプレッシャプレートおよびサイドプレート(図示せず)の少なくともいずれか一方に形成されている。
【0009】
前記カムリング2は前記圧縮コイルばね2bによって流体圧室6側から付勢され、前記ポンプ室4内の容積を最大に維持する方向に押圧されている。また、図中2cはカムリング2の外周面に設けられ軸支部2aと共に左、右両側に流体圧室5,6を画成するためのシール材である。
【0010】
前記スプール式制御バルブ10は、ポンプ吐出側通路11,13の途中に設けたメータリングオリフィスのような可変絞り12の前後での差圧P1,P2により作動し、ポンプ吐出側の流量の大小に応じた流体圧P3を、前記カムリング2の外側部で高圧側の流体圧室5に対し導入することにより、ポンプ始動直後においても充分な流量を確保できるように構成している。特に、このような制御バルブ10は、圧力流体利用機器(図中PSで示す)の作動による負荷作用時に、可変絞り12の前後での差圧が所定の値以上になったときに可変絞り12よりも上流側の流体圧P1を制御圧としてカムリング2外側の高圧側の流体圧室5に導入することにより、カムリング2の揺動を防止できるように構成している。
【0011】
また、前記ポンプボディ1には、タンクTから前記スプール式制御バルブ10の低圧室を通って前記ポンプ室4のポンプ吸込側領域4Aに至るポンプ吸込側通路14が設けられている。
前記ポンプ吐出側通路13には、ポンプ吐出側の流体圧が一定圧以上になったときに前記ポンプ吸込側通路14を介してポンプ吸込側(またはタンクT側)に圧力流体をリリーフさせる位置に圧力制御弁として直動型のリリーフバルブ15が設けられている。
【0012】
このような直動型のリリーフバルブ15によれば、図18に示すようにポンプの運転動作中においてポンプ吐出側の流体圧が予め定めた設定圧以上に達したときに流体の流れの一部または全量をポンプ吸込側(タンク側)に逃がすことができる。特に、このような直動型のリリーフバルブ15は、可変容量形のポンプでは容量形ポンプのような流量制御弁が設けられていないことから、ポンプ吐出側からポンプ吸込側に圧力流体をリリーフさせるために必要なものである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上述した構造による従来の可変容量形ベーンポンプでは、直動型のリリーフバルブの作動時にその内部をポンプ吸込側にリリーフさせるための全ての流量が全量通過して排出される構造であり、このリリーフ時における流体の流れによる悪影響が生じないようにすることが必要である。
【0014】
すなわち、上述した可変容量形ベーンポンプでは、ポンプ運転動作中におけるリリーフ時における流体の流れによる「シュー」という流体音や、この流体の流れによってリリーフバルブを構成するバルブ部品、たとえばボールやボール受け、さらには圧縮コイルばねが共振して、「ピー」という打音(振動音)のような異音を引き起こす問題がある。
【0015】
このような異音を防止するために本出願人は、特願平9−351348号などにより、ボール受けに弾性部材を嵌装することにより防振対策を講じた構造を提案している。しかし、このような構造では、弾性部材等の防振対策が必要であり、部品点数が増えコスト高となる。
【0016】
また、上述した可変容量形ベーンポンプによれば、リリーフ時にリリーフ流量の全てを直動型のリリーフバルブを通して排出しているから、ポンプの駆動馬力(押しのけ容積×流体圧力×ポンプ回転数)を無駄に消費する結果となる。
【0017】
また、上述した可変容量形ベーンポンプでは、直動型のリリーフバルブによるリリーフ時に流れる流体の流量が多いと、圧力変動が大きくなってサージ圧が発生し易い。これは、上述した直動型のリリーフバルブは所定圧に達したか否かによって断続的に作動し、この作動に伴うボールやボール受けの動き、圧縮コイルばねの伸縮動作が著しく、その結果圧力変動が大きくなるからである。このような圧力変動は、リリーフバルブ部分を通過する流量が多いほど大きい。
【0018】
さらに、上述した可変容量形ベーンポンプにおいて、リリーフさせる流量の全てをポンプ吸込側に戻している直動型のリリーフバルブでは、クラッキング特性がよくないという問題がある。
ここで、クラッキング特性とはリリーフ圧に到達するまでの特性をいう。また、クラッキングポイントとはリリーフバルブが開き始める点をいう。
【0019】
たとえばポンプ室から吐出される流量が10l/minで、リリーフバルブの設定圧(リリーフ圧)が105Kgf/cm2であるときには、図20に示すようにリリーフバルブが開き始めるクラッキングポイントは約60Kgf/cm2となる。そして、リリーフバルブは図20中波線で示すように、このクラッキングポイントから徐々に開き始めて前記リリーフ圧に至った時点で所定のリリーフ流量が得られるような特性となる。
【0020】
しかし、このような直動型のリリーフバルブは、図20中に斜線を付した部分から明らかなように、ポンプ吐出側通路中の流体圧力がクラッキングポイントを越えるとその圧力流体が流体圧力の上昇に伴ってポンプ吸込側にリリーフされることになる。したがって、このような直動型のリリーフバルブを有する可変容量形ベーンポンプではリリーフ流量の分だけ無駄な駆動馬力を消費するばかりでなく、圧力流体利用機器の作動に必要な流量を確保することができない場合がある。このため、このような可変容量形ベーンポンプでは、圧力流体利用機器の作動に必要な流量を確保できる程度の大きさをもつ必要がある。
【0021】
さらに、上述した可変容量形ベーンポンプでは、直動型のリリーフバルブが連続して作動すると、流体温度が上昇し、流体が劣化するおそれがある。また、ポンプ内での内部漏れによる容積効率の低下やポンプ構成要素(ポンプカートリッジ)、たとえばベーンを有するロータとこれを両側から挟み込むボディやプレッシャプレートとの間に焼き付きが生じるといった問題もある。
【0022】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、ポンプ作動時においてリリーフバルブを介してのリリーフ時に流体の流れに伴って生じる流体音や振動音などによる騒音の低減、ポンプの駆動馬力の低減、サージ圧力の低減を図ることができる可変容量形ベーンポンプを得ることを目的としている。
また、本発明は、連続したリリーフ時における流体温度の上昇を抑えてポンプ構成要素での焼き付き防止、さらにはクラッキング特性の改善を図ることができる可変容量形ベーンポンプを得ることを目的としている。
【0023】
【課題を解決するための手段】
このような要請に応えるために本発明に係る可変容量形ベーンポンプは、ベーンを有するロータを一側寄りに片寄らせた状態でこのロータとの間にポンプ室を形成するカムリングと、その周囲に嵌装されカムリングの外周面の周方向の一部に軸線方向に沿って配置した揺動ピンを支点として前記ポンプ室の容積が変動するように揺動可能に支持し前記ポンプ室の容積が最大となる方向に付勢している付勢手段と、ポンプ吐出側通路の一部にポンプ吐出側流量を検出する固定絞りと、
高圧側の流体圧室と低圧側の流体圧室を前記カムリングの外周部両側に形成するポンプボディと、前記ロータを回転させる回転軸と、前記ポンプ吐出側通路における前記固定絞りの下流側部分から前記低圧側の流体圧室を介してポンプ吸込側に至るパイロット通路と、このパイロット通路のポンプ吐出側通路と低圧側の流体圧室との間に設けられ、パイロット通路の流れを検出する可変絞りと、一端側に前記固定絞りの上流側の流体圧が導入され、他端側に前記可変絞りの下流側の圧力が導入されるとともに、前記一対の流体圧室の一方側の圧力を制御する制御バルブと、前記パイロット通路の前記低圧側の流体圧室とポンプ吸込側との間であって、前記ポンプ吐出側の流体圧が一定以上になったときにポンプ吸込側にリリーフさせるパイロット型リリーフバルブを設け、前記可変絞りを、前記低圧側の流体圧室内であって前記カムリングの外縁部で開閉可能な位置に設けたものである。
【0026】
本発明によれば、ポンプ室からの吐出流量をポンプ吸込側にリリーフするリリーフバルブをパイロット型とし、パイロット通路の途中に設けたことにより、リリーフ時にこのパイロット型リリーフバルブを通過するリリーフ流量を大幅に減少させることができる。また、本発明によれば、低圧側の流体圧室をパイロット通路において第2の絞りの下流側に接続することにより、リリーフ時にカムリングをポンプ室の容積が縮小する方向に揺動変位させることが可能で、このカムリングの動きでポンプ室からの吐出流量(押しのけ容積)をさらに減少させることができる。そして、このような本発明によれば、リリーフ時におけるポンプの駆動馬力を大幅に低減し、実質的に「0」に近付けることができる。
【0027】
また、本発明によれば、前記可変絞りをカムリングの揺動変位に応じて開閉することにより、ポンプが高回転域で回転駆動されているときのポンプ室からの吐出流量を、最大流量よりも少ない一定流量に維持するという、いわゆるドルーピング特性をポンプの流量特性として得ることができる。
【0028】
可変容量形ベーンポンプに付設したリリーフバルブは、たとえばポンプ吐出側の圧力流体が圧力流体利用機器の作動等によって所定圧以上になったときにその圧力流体をポンプ吐出側からポンプ吸込側にリリーフするために用いられる。
【0029】
【発明の実施の形態】
図1ないし図8は本発明に係る可変容量形ベーンポンプの前提となる参考例を示し、これらの図において、前述した図16〜図18と同一または相当する部分には同一番号を付して詳細な説明は省略する。また、この参考例では、本発明に係るベーンポンプが動力舵取装置の油圧発生源となるベーンタイプのオイルポンプであって、その吐出流量をポンプの回転数の増減にかかわらず一定流量とするポンプである場合を説明する。
【0030】
本発明によれば、ポンプ吐出側の流体圧が一定圧以上になったときにポンプ吸込側にリリーフさせるリリーフバルブ20を、従来の直動型からパイロット型としている。すなわち、ポンプ室4のポンプ吐出側領域4Bからのポンプ吐出側通路11に、この通路11内を流れるポンプ吐出側の流量を検出する固定絞り21を設けている。この固定絞り21の上、下流側の流体圧は、前記カムリング2の外周部の両側に形成されている一対の流体圧室5,6に導かれ、このカムリング2をポンプ吐出側の流量の大小に応じて揺動変位させるように構成している。
【0031】
前記ポンプ吐出側通路11の固定絞り21よりも下流側には、この下流側の流体圧を前記圧縮コイルばね2bを設けたばね室に連通する低圧側の流体圧室6に導く通路22aを形成している。この通路22aは、上述したばね室からポンプ吸込側通路14に至る通路22bに連通している。これらの通路22a,22bは、前記ポンプ吐出側通路11から前記低圧側の流体圧室6(ばね室を含む)を介してポンプ吸込側通路14に至るパイロット通路22を構成する。
【0032】
前記通路22aには、このパイロット通路22内での流れを検出する第2の固定絞り23を設けている。この第2の固定絞り23は、ダンパ効果を与えるための絞りとして機能する。この第2の固定絞り23は、後述するようにパイロット通路22を通ってポンプ吸込側にリリーフされる流量、この参考例では0.8l/minの流量を規定できる程度の絞りである。
【0033】
前記パイロット通路22において、低圧側の流体圧室6からポンプ吸込側に至る通路22bの途中に、パイロット型リリーフバルブ20を設けている。
【0034】
このような構成において、ポンプ室4から吐出される圧力流体は、ポンプ吐出側通路11を経て圧力流体利用機器PS側に給送される。低回転時には、ポンプは図1に示すように、カムリング2はポンプ室4の容積が最大となる位置にある。これは、高圧側の流体圧室5にはポンプ吸込側流体が導入される一方、低圧側の流体圧室6には、ポンプ吐出側通路11において第1の固定絞り21の下流側の流体圧が、パイロット通路22を介して導かれているためである。
【0035】
そして、ポンプ室4からの圧力流体の流量が増加し、スプール式制御バルブ10のスプールが、ポンプ吐出側通路11において第1の固定絞り21の上流側の流体圧により押されて図2に示すように移動すると、第1の固定絞り21の上流側の流体圧が高圧側の流体圧室5に、下流側の流体圧が低圧側の流体圧室6に導入されることになる。そして、その差圧によって前記カムリング2は図中右側に揺動変位し、ポンプ室4の容積を縮小することによりポンプ室4から吐出される流量を減少させることができる。
【0036】
このような可変容量形ベーンポンプによれば、ポンプからの供給流量は、図4に示すように低回転域で所定量まで立ち上がった後は、回転数の増加にかかわらず、その所定量を維持することができる。
【0037】
上述した可変容量形ベーンポンプにおいて、このポンプからの給送を受ける圧力流体利用機器PSが作動する等、負荷が加わったときには、ポンプ吐出側通路11内の流体圧が上昇し、第1の固定絞り21の下流側の流体圧が導かれている低圧側の流体圧室6を含めたパイロット通路22内の流体圧が上昇する。そして、この圧力が前記リリーフバルブ20の設定圧を越えると、図3に示すようにこのリリーフバルブ20が開いてポンプ吐出側の流体をポンプ吸込側にリリーフさせる。
【0038】
このとき、この参考例では、カムリング2の一側の高圧側流体圧室5にはポンプ吐出側通路11の固定絞り21よりも上流側の流体圧が導かれる。また、他側の低圧側流体圧室6には、固定絞り21の下流側の流体圧が前記パイロット通路22に第2の固定絞り23でさらに減圧された流体圧が導かれている。
したがって、前記カムリング2は、ポンプ室4の容積が最小となる方向にさらに揺動変位し、ポンプ室4内からの吐出流量を実質的に「0」に近付けるように、さらに減少させることができる。そして、このような可変容量形ベーンポンプによれば、押しのけ容積を「0」近くまで減少させることができるから、ポンプの駆動馬力を低減することができる。
【0039】
すなわち、この参考例によれば、可変容量形ベーンポンプのリリーフ時において、ポンプ吐出側通路11に設けた第1の固定絞り21とパイロット通路22に設けた第2の固定絞り23とを組合わせることによって、カムリング2をポンプ室4の容積が小さくなる方向にさらに変位させて、ポンプ吐出側通路11を流れる吐出側流量を減少させているから、リリーフバルブ20を通してのリリーフ流量を最小限とすることができる。
そして、この参考例における可変容量形ベーンポンプによれば、従来のような騒音、サージ圧を発生しにくくし、さらにクラッキング特性を向上させることができる。
【0040】
このような構成による可変容量形ベーンポンプでは、パイロット型リリーフバルブ20を用いることにより、クラッキング特性を従来に比べて大幅に向上させることができる。
すなわち、この参考例でのポンプは、前述した図20において実線で示すクラッキング特性を有する。これを説明すると、この参考例では、リリーフバルブ20がパイロット型であり、リリーフ時にバルブ20部分を通過するリリーフ流量を約0.8l/min程度でよい。そして、このようなポンプに用いたリリーフバルブ20のクラッキングポイントは、従来の約60Kgf/cm2とは異なり、105Kgf/cm2のリリーフ圧よりも2〜3Kgf/cm2程度低い値となる。
【0041】
さらに、上述した可変容量形ベーンポンプによれば、ポンプ作動時においてリリーフバルブ20を介して連続してリリーフさせる時でもリリーフ流量が少ないことから、流体温度の上昇を抑えてポンプ構成要素(ポンプカートリッジ)の焼き付きや流体の劣化を防止することができる。
また、このような可変容量形ベーンポンプを用いた動力舵取装置では、ポンプ駆動のための駆動馬力が小さくてよいことから、これが原因してのエンストを防止することができる。
【0042】
上述した図1〜図3で説明した本発明に係る可変容量形ベーンポンプの具体例を図5〜図8に示す。
これらの図において全体を符号30で示すベーンタイプの可変容量形ポンプは、ポンプボディを構成するフロントボディ31およびリアボディ32を備えている。このフロントボディ31は、図5に示すように全体が略カップ状を呈し、その内部にポンプカートリッジとしてのポンプ構成要素33を収納配置する収納空間34が形成されるとともに、この収納空間34の開口端を閉塞するようにリアボディ32が組合わせられ一体に組立てられる。なお、このフロントボディ31には、ポンプ構成要素33の回転子であるロータ35を外部から回転駆動するためのドライブシャフト36が貫通した状態で軸受36a,36b,36c(36a,36bはフロントボディ31側、36cはリアボディ32側に配設される)により回転自在に支持されている。また、36dはオイルシールである。
【0043】
37はベーン35aを有するロータ25の外周部に嵌装して配置される内側カム面37aを有し、かつこの内側カム面37aとロータ35との間にポンプ室38を形成するカムリングで、このカムリング37は、後述するように、ポンプ室38の容積を可変するように収納空間34内で空間内壁部分に嵌合状態で設けられたアダプタリング39内で移動変位可能に配置されている。
なお、このアダプタリング39は、ボディ31の収納空間34内でカムリング37を移動変位可能に保持するためのものである。
【0044】
40は上述したロータ35、カムリング37およびアダプタリング39によって構成されているポンプカートリッジ(ポンプ構成要素33)のフロントボディ31側に圧接して積層配置されるプレッシャプレートで、またポンプカートリッジの反対側面には前記リアボディ32の端面がサイドプレートとして圧接され、フロントボディ31とリアボディ32との一体的な組立てによって所要の組立状態とされる。そして、これらの部材によって、前記ポンプ構成要素33が構成されている。なお、プレッシャプレート40と、これにカムリング37を介して積層されるサイドプレートとなるリアボディ32とは、カムリング37の揺動変位用の軸支部および位置決めピンとして機能し、さらにカムリング37を揺動させる流体圧室を画成するシール機能を有する後述する支点ピン41や適宜の回り止め手段(図示せず)によって回転方向で位置決めされた状態で一体的に組付け固定されている。
【0045】
43は前記フロントボディ31の収納空間34内でその底部側に形成されるポンプ吐出側圧力室で、この圧力室43によってポンプ吐出側圧力がプレッシャプレート40に作用する。44はこのポンプ吐出側圧力室43にポンプ室38からの圧油を導くようにプレッシャプレート40に穿設されているポンプ吐出側開口となるポンプ吐出側通路である。
【0046】
45は図5に示すようにフロントボディ31の一部に設けられたポンプ吸込ポートで、このポート45を介してタンクTから流入する吸込側流体は、フロントボディ31内に形成されたポンプ吸込側通路45a,45b、これに連続してリアボディ32内に形成された通路(図示せず)を通り、リアボディ32の端面に開口するポンプ吸込側開口からポンプ室38内に供給される。
【0047】
48は図4に示すようフロントボディ21の側方に向かって延びた通路48aとこれに連通する通路48bとからなるポンプ吐出ポートを有するプラグ部材で、前述したポンプ室38からポンプ吐出側通路44、ポンプ吐出側圧力室43を通って給送されるポンプ吐出側流体圧を吐出し、図示しないパワーステアリング装置等の油圧機器に給送するための部分である。
【0048】
そして、このポンプ吐出側通路の一部、この参考例ではポンプ吐出ポートを形成するプラグ部材48の内方端に前記第1の固定絞り21を有するナット状部材49が螺合して設けられている。
なお、この第1の固定絞り21は、たとえば図7(b)に示すようにボディ31側に形成した孔部によって形成してもよい。
【0049】
また、このプラグ部材48の径方向に開けられた小径孔によって前記第2の固定絞り23が形成されている。この第2の固定絞り23は、図5、図7(a)に示すように前記フロントボディ31の一部に形成した通路孔(通路22a)によって前記カムリング37の外側に形成される第2の流体圧室52、カムリング37を付勢するばね61を収納するプラグ62によるばね室62aに接続されている。
さらに、このばね室62aは、リアボディ32にねじ込みプラグ70で設けたパイロット型リリーフバルブ20を通してリアボディ32内に設けたポンプ吸込側通路(図示せず)に連通している。
【0050】
図6中51,52は前記アダプタリング39の内周部とカムリング37の外周部との間に形成した一対の流体圧室で、これらの流体圧室51,52は、カムリング37を揺動自在に支持するシール機能を有する支点ピン41とその軸対象位置に設けたシール材53とによって左、右に分割して形成されている。ここで、図中54はポンプ吐出側において、第1の固定絞り21よりも上流側のポンプ吐出圧を、高圧側(図中左側)の流体圧室51に供給するための通路である。また、他方の低圧側流体圧室52内には、前述した構造から明らかなように、第1の固定絞り21の下流側のポンプ吐出圧が通路22aを介して導かれている。
【0051】
55は上述したカムリング37を揺動させるための一対の流体圧室51,52に導く流体圧制御を行うスプールバルブによる制御バルブである。このスプール式の制御バルブ55を形成するバルブ孔55aは、図5、図6に示すように、前記フロントボディ21の一部で一端が外表面に開口するように回転軸36の軸線方向と直交する方向に形成され、このバルブ孔55a内に制御バルブ55を構成するバルブ部品、スプール56、圧縮コイルばね57を組込むとともに、開口端がプラグ58により閉塞されている。
【0052】
このような制御バルブ55の一端側(プラグ58側)には前記ポンプ吐出側圧力室43から図5に示す通路59a,59bにより前記第1の固定絞り21の上流側のポンプ吐出圧が導かれ、また制御バルブ55の他端側の圧縮コイルばね57を設けたばね室には第1の固定絞り21の下流側のポンプ吐出圧が導かれている。なお、スプール56の中央部分は前記ポンプ吸込ポート45からポンプ吸込圧をリアボディ32側に導く通路45aが貫通している。
なお、以上のようなベーンタイプの可変容量形ポンプ30において、上述した以外の構成は従来から広く知られているもので、具体的な説明は省略する。
【0053】
このような構成による可変容量形ベーンポンプ30は、前述した図1〜図3で説明した通り動作するものであり、ここでの詳細な説明は省略する。
また、上述したパイロット型リリーフバルブ20は、リアボディ32の後端側からフロントボディ31との接合面に開口するように穿設したバルブ組込み空間72に筒状部73を組込んだプラグ部材70を備えている。このプラグ部材70の筒状部73内に形成したバルブ孔70aには、周知の通り、前記リリーフバルブ20を構成するバルブシート部材、ボール、ボール受け、圧縮コイルばねが組込まれている。このようなリリーフバルブ20の構造としては、上記以外の構造を採用してもよい。
【0054】
図9ないし図15は本発明に係る可変容量形ベーンポンプの一実施の形態を示し、これらの図において前述した図1〜図8と同一または相当する部分には同一番号を付してその詳細な説明は省略する。
この実施の形態は、上述した参考例と同様に、ポンプ吐出流量を回転数の増減にかかわらず、一定流量とする可変容量形ベーンポンプである。
【0055】
この実施の形態では、ポンプ吐出側通路11に設けた固定絞り21の下流側から前記低圧側の流体圧室6に至る通路22aを前記カムリング2の外縁部で開閉可能な位置に開口させることにより、この開口25aとカムリング2の外縁部25bとによって可変絞り25を形成している。
この可変絞り25を形成する部分を図15(a),(b)に拡大して示す。
この可変絞り25を形成する開口25aの前記低圧側の流体圧室6(ばね2bのばね室を含む)の開口端部分には楕円形状の凹溝25cが形成され、カムリング2の外縁部25bで開口25aが閉塞されたときにでも流体がわずかに流れるように構成されている。
【0056】
前記低圧側の流体圧室6は、ばね室を介してパイロット型リリーフバルブ20を設けた通路22bによりポンプ吸込側通路14に接続され、これらによってパイロット通路22が形成されている。
なお、上述した開口25aとこれと同径の孔部は前述した参考例での第2の固定絞り23と同様に、0.8l/minの流量が流れる絞りとなっている。
【0057】
このような構成において、ポンプ回転数が小さいときは高圧側の流体圧室5にはタンクTからの吸込圧が導かれ、低圧側の流体圧室6には固定絞り21の下流側の流体圧P2(=P4)が導かれており、図9に示す状態となっている。
そして、ポンプ回転数が所定以上の回転数になり、前記固定絞り21の上流側でのポンプ吐出側流体圧P1が一定以上になると、スプール式制御バルブ10を構成するスプールが移動し、その流体圧を前記高圧側の流体圧室5に導く(P3=P1)。これに対して固定絞り21の下流側の流体圧P2が可変絞り25を介して導かれており、その流体圧P4(<P2)となるから、カムリング2はその差圧によって図10に示すようにポンプ室4を縮小する方向に変位する。したがって、ポンプからの吐出流量はポンプ回転数にかかわらず一定流量に維持される。
【0058】
さらに、圧力流体利用機器PS側が作動されたりしてポンプ吐出側通路11内の流体圧が所定圧(リリーフ圧)以上になると、可変絞り25は閉じられた状態(凹溝25cによる流路は確保されている)となるとともに、リリーフバルブ20が開いてポンプ吸込側へのリリーフが行われる。
このときの状態を図11に示しており、P4はP2よりも小さくなる。そして、このようなリリーフ状態となると、カムリング2は、この低圧側の流体圧P4がさらに小さくなることから、図10の場合に比べてより一層ポンプ室4を縮小する方向に変位し、ポンプ室4からの吐出流量をより小さくする。
そして、このような実施の形態によれば、前述した参考例と同様の作用効果が得られることになる。
【0059】
図12〜図14は前述した図5〜図7とほぼ同等の構造を有するものであり、またこの実施の形態での図8に対応する図はほとんど変わらないからここでは省略する。
この実施の形態において、前記参考例と相違している点は、プレッシャプレート40に形成したポンプ吐出側の通路44の一部に固定絞り21を設けるとともに、この通路44にほぼ平行して小径孔を前記カムリング37の外縁部25bによって開閉可能な位置に設けていることである。
【0060】
ここで、上述した固定絞り21は、前述した通り、ポンプ吐出側通路内を流れるポンプ吐出側の流量を検出するためのメータリング絞りである。
また、前記小径孔25aはリリーフ時のパイロット通路22内での流れを検出するとともに、ダンパ機能を有する絞りである。この小径孔25aはカムリング37の外縁部25bで開閉されるが、閉時に完全に閉じられた状態としても、あるいは少し開いている状態としてもよい。ここで、この小径孔25aとカムリング外縁部25bとからなる可変絞り25の関係は、ダンパ効果やカムリング37の応答性等に配慮して適宜最適値を設定するとよい。
【0068】
なお、本発明は上述した実施の形態構造に限定されず、リリーフバルブを含めたポンプとしての可変容量形ポンプ30の各部の形状、構造等を、適宜変形、変更することは自由であり、種々の変形例が考えられる。
また、上述した実施の形態では、固定絞りや可変絞りを、単に「絞り」として説明したが、これらはオリフィスであってもチョークであってもよいからである。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る可変容量形ベーンポンプによれば、リリーフバルブを、従来のようにリリーフ流量が全て流れる、いわゆる直動型からパイロット型に変更しているから、リリーフ時にリリーフバルブを通過するリリーフ流量を大幅に減少させることができ、従来のような騒音、サージ圧を発生しにくくし、さらにクラッキング特性を向上させることができる。そして、このような本発明によれば、ポンプとしての押しのけ容積が最小限、ほとんど「0」近くまで減少させることができる。したがって、従来のようなポンプの駆動馬力が無駄に消費されることはなくなり、無駄な駆動馬力がほとんど不要となる。
【0070】
また、本発明によれば、ポンプ作動時においてリリーフバルブを介して連続してリリーフさせる時でもリリーフ流量が少ないことから、流体温度の上昇を抑えてポンプ構成要素の焼き付きや流体の劣化を防止することができる。
【0071】
さらに、本発明によれば、可変絞りの下流側にパイロット型のリリーフバルブを配置することにより、リリーフ時に前記絞りが遮断できるとともに、カムリングがポンプ室を最小とするように変位させることができるから、上述したポンプの吐出流量制御、リリーフ流量の制御を適切に行える。
【0072】
また、本発明によれば、ポンプの吐出流量にドルーピング特性を持たせた制御も、より簡単に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る可変容量形ベーンポンプの第1の実施の形態を示し、低回転時の状態を示す作動説明図である。
【図2】 図1の可変容量形ポンプにおいて高回転時の状態を示す作動説明図である。
【図3】 図1、図2の可変容量形ポンプにおいてリリーフ時の状態を示す作動説明図である。
【図4】 図1〜図3のポンプにおけるポンプ回転数に対する供給流量を説明する特性図である。
【図5】 図1〜図3の可変容量形ベーンポンプの具体例を示すポンプの縦断面図である。
【図6】 図5のVI−VI線断面図である。
【図7】 (a)は図6のVII−VII線断面図、(b)はその変形例を示す図である。
【図8】 図5のVIII−VIII線断面図である。
【図9】 本発明に係る可変容量形ベーンポンプの第2の実施の形態を示し、低回転時の状態を示す作動説明図である。
【図10】 図9の可変容量形ポンプにおいて高回転時の状態を示す作動説明図である。
【図11】 図9、図10の可変容量形ポンプにおいてリリーフ時の状態を示す作動説明図である。
【図12】 図9〜図11の可変容量形ベーンポンプの具体例を示すポンプの縦断面図である。
【図13】 図12のXIII−XIII線断面図である。
【図14】 図12のXIV−XIV線断面図である。
【図15】 図9〜図11で説明した可変絞りの詳細図であって、(a)は孔と溝とを示す図、(b)は要部断面図である。
【図16】 従来の可変容量形ベーンポンプを示し、低回転時の状態を示す作動説明図である。
【図17】 図16の可変容量形ポンプにおいて高回転時の状態を示す作動説明図である。
【図18】 図16、図17の可変容量形ポンプにおいてリリーフ時の状態を示す作動説明図である。
【図19】 図16〜図18のポンプにおけるポンプ回転数に対する供給流量を説明する特性図である。
【図20】 クラッキング特性を説明するために流体圧(リリーフ圧)に対するポンプ室からの吐出流量を示す特性図である。
【符号の説明】
1…ポンプボディ、1a…アダプタリング、2…カムリング、2b…ばね、3…ロータ、3a…ベーン、4…ポンプ室、4A…ポンプ吸込側領域、4B…ポンプ吐出側領域、5,6…流体圧室、7…ポンプ吸込側開口、10…スプール式切換えバルブ、11,13…ポンプ吐出側通路、14…ポンプ吸込側通路、21…固定絞り、22(22a,22b)…パイロット通路、23…第2の固定絞り、25…可変絞り、25a…開口(通路孔)、25b…カムリング外縁部、25c…凹溝、30…ベーンタイプの可変容量形ポンプ(可変容量形ベーンポンプ)、31…フロントボディ(ポンプボディ)、32…リアボディ(ポンプボディ)、33…ポンプ構成要素、34…収納空間、35…ロータ、36…ドライブシャフト(回転軸)、37…カムリング、38…ポンプ室、40…プレッシャプレート、41…支点ピン、43…ポンプ吐出側圧力室、44…ポンプ吐出側通路、45…ポンプ吸込ポート、45a,45b…ポンプ吸込側通路、48…ポンプ吐出ポートを形成するプラグ部材、48a,48b…ポンプ吐出側の流体通路孔、49…ナット部材、51,52…第1、第2の流体圧室、55…制御バルブ、61…ばね、62a…ばね室。
Claims (1)
- ベーンを有するロータを一側寄りに片寄らせた状態でこのロータとの間にポンプ室を形成するカムリングと、
このカムリングの周囲に嵌装されカムリングの外周面の周方向の一部に軸線方向に沿って配置した揺動ピンを支点として前記ポンプ室の容積が変動するように揺動可能に支持し前記ポンプ室の容積が最大となる方向に付勢している付勢手段と、
前記ポンプ室からのポンプ吐出側通路の一部に設けたポンプ吐出側流量を検出する固定絞りと、
高圧側の流体圧室と低圧側の流体圧室を前記カムリングの外周部両側に形成するポンプボディと、
このボディ内で軸支されることにより前記ロータを回転させる回転軸と、
前記ポンプ吐出側通路における前記固定絞りの下流側部分から前記低圧側の流体圧室を介してポンプ吸込側に至るパイロット通路と、
このパイロット通路の前記ポンプ吐出側通路と前記低圧側の流体圧室との間に設けられ、パイロット通路の流れを検出する可変絞りと、
一端側に前記固定絞りの上流側の流体圧が導入され、他端側に前記可変絞りの下流側の圧力が導入されるとともに、前記一対の流体圧室の一方側の圧力を制御する制御バルブと、
前記パイロット通路の前記低圧側の流体圧室と前記ポンプ吸込側との間であって、前記ポンプ吐出側の流体圧が一定以上になったときにポンプ吸込側にリリーフさせるパイロット型リリーフバルブを設け、
前記可変絞りを、前記低圧側の流体圧室内であって前記カムリングの外縁部で開閉可能な位置に設けた
ことを特徴とする可変容量形ベーンポンプ。
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