JP3734627B2 - 可変容量型ベーンポンプ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車両のパワーステアリング装置に用いられる、可変容量型ベーンポンプの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、車両のパワーステアリング装置に作動油を供給するポンプとして、可変容量型ベーンポンプが用いられている。このような可変容量型ベーンポンプは、エンジン回転数の上昇とともにポンプ回転数が上昇する。この場合、図5に示すように、所定のポンプ回転数(エンジンのアイドリング回転数)までは、ポンプ回転数に比例してポンプの吐出流量も上昇して行く。一方、この所定のポンプ回転数以上では、ポンプ回転数が上昇しても吐出流量が図に破線で示すように上昇せずに、図に実線で示すように自動的に一定に保たれるように、ベーン間に画成されたポンプ室の容積が変化し、パワーステアリング装置には、安定した油圧アシストが与えられる。このように、可変容量型ベーンポンプを用いることにより、定容量型ベーンポンプにフローコントロールバルブを併用した場合のように、所定のエンジン回転数以上で定容量型ベーンポンプからの余剰の吐出流量をドレンさせる必要がなく、省エネルギーを図ることができ、また作動油温度の上昇を防止することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、車両のステアリングにおいては、高速走行中は低速走行中よりも小さな操舵力しか必要とされないので、パワーステアリング装置のアシスト力がエンジン回転数によらず一定であると、高速走行中にはこのアシスト力が過剰となり、かえってステアリングを不安定にさせてしまう恐れがある。
【0004】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、ポンプ吐出流量の最大値の設定を容易に行い得るとともに、ポンプ回転数の上昇に伴ってこのポンプ吐出流量を適切な特性で減少させ得る可変容量型ベーンポンプを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
第1の発明では、ハウジングに駆動軸に対して偏心可能に収容されたカムリングと、このカムリングの内側に収容されて前記駆動軸と一体に回転するロータと、このロータ外周に伸縮自在に備えられた複数のベーンと、これらのベーンの間に画成される複数のポンプ室とを備え、前記カムリングの偏心量が増大するにしたがって前記ロータの1回転毎の吐出側ポンプ室からの吐出流量を増大させるようにした可変容量型ベーンポンプにおいて、前記吐出側ポンプ室とこの吐出側ポンプ室からの作動流体を外部の油圧機器へ供給する吐出ポートとの間に可変オリフィスを備え、前記カムリングの外周側に前記カムリングの偏心量の増大とともに縮小する第1の流体圧力室と前記カムリングの偏心量の増大とともに拡大する第2の流体圧力室とを形成し、前記第1の流体圧力室に前記吐出側ポンプ室からの作動流体を絞りを介して導入し、前記第2の流体圧力室に前記吐出ポートの吐出圧を絞りを介して導入し、前記カムリング外周の前記第2の流体圧力室側に制御ピストンを当接させ、この制御ピストンの基端に開口して前記吐出ポートからの吐出圧が導入される中空部を形成し、この中空部内に前記制御ピストンを介して前記カムリングをその偏心量を増大させる方向に付勢するスプリングを収容し、前記カムリングがその偏心量が小さくなる方向に移動して行くのにしたがって前記制御ピストンが前記可変オリフィスの開口面積を狭めて行くとともに、前記第1の流体圧力室をドレンと前記吐出側ポンプ室とに選択的に連通する制御バルブを備え、この制御バルブは、前記第1の流体圧力室を前記ドレンに連通する初期位置から、前記吐出側ポンプ室からの流体圧の増大により前記第1の流体圧力室を前記吐出側ポンプ室に連通する位置に切り換わり、前記第1の流体圧力室に吐出側ポンプ室からの作動流体を絞りを介して導入する。
【0006】
第2の発明では、前記制御バルブは、前記ハウジングに形成されたシリンダと、このシリンダに摺動自在に収容されるスプールと、このスプールの一対のランド部により画成されドレンと連通するとともに初期位置において前記第1の流体圧力室と連通するドレン流体室と、前記スプールのランド部の一方の外側に画成され前記吐出側ポンプ室と連通する高圧流体室と、前記スプールのランド部の他方の外側に画成され前記可変オリフィスの下流側の作動油が絞りを介して導入される低圧流体圧力室と、前記スプールを初期位置側に付勢するリターンスプリングとを備えた。
【0007】
【発明の作用および効果】
本発明では、可変容量型ベーンポンプの停止状態では、カムリングは、制御ピストン(スプリング)に付勢されて、最大に偏心した位置にある。この状態からベーンポンプを作動させると、作動油は、吐出側ポンプ室から吐出され、可変オリフィスを通って減圧されて、吐出ポートから外部の油圧機器へと供給される。
【0008】
この場合、ポンプの作動の初期(ポンプ回転数が低い間)においては、吐出側ポンプ室からの流体圧(第2の発明では高圧流体室に導入される流体圧)は低く、カムリングは最大偏心位置に保たれ、吐出ポートからの吐出流量は、ポンプ回転数の上昇に伴って速やかに上昇して行く。そして、ポンプ回転数がさらに上昇して、吐出側ポンプ室からの流体圧が高くなって来ると、制御バルブが切り換わり、第1の流体圧力室に、吐出側ポンプ室からの作動油(可変オリフィスの上流の圧力)が導入される。
【0009】
カムリングは、この第1の流体圧力室の流体圧に基づくカムリングに対する作用力F1が、可変オリフィスにより減圧された第2の流体圧力室の流体圧に基づく作用力F2と、スプリングによるバネ力Fsとの総和(F2+Fs)と釣り合うところまで押し戻され、偏心量が小さくなる。このようにして、ポンプ回転数の上昇に伴って吐出側ポンプ室の圧力(ポンプ吐出圧)が上昇すると、これと相反的にカムリングの偏心量が小さくなって行き、ポンプの1回転に対するポンプ吐出流量が相反的に減少して行く。このため、ポンプ回転数がある程度以上に上昇して来ると、ポンプの1回転に対する吐出側ポンプ室からの吐出流量とポンプ回転数の積である、吐出ポートからのポンプ吐出流量は、ポンプ回転数の上昇に対して一定に保たれる。
【0010】
このように吐出流量が安定した後、さらにポンプ回転数を上昇させて行くと、制御ピストンにより、可変オリフィスが次第に閉じられて行く。これにより、可変オリフィスにより吐出ポートへの作動油供給流量が制限されるとともに、可変オリフィスにより減圧された流体圧に基づく第2の流体圧力室の作用力F2は、可変オリフィスの開口面積の減少に伴って小さくなり、可変オリフィスの上流の流体圧に基づく第1の流体圧力室の作用力F1とのバランスが崩れ、ポンプ回転数の上昇に対してポンプ吐出流量がますます減少して行くような流量特性が得られる。
【0011】
このように本発明によれば、ポンプ回転数が高くなるにしたがって、吐出ポートからの吐出流量が自動的に減少するようになっているので、例えば可変容量型ベーンポンプをパワーステアリング装置に適用したときには、ポンプ回転数(エンジン回転数)が高くなる車両の高速走行時には、パワーステアリング装置からの油圧アシスト力を小さくでき、高速走行時においてステアリングが不安定となってしまうことを防止でき、また不必要な作動油の供給によるエネルギーロスや作動油温度の上昇を防止できる。
【0012】
また、ポンプ回転数に対するポンプ吐出流量の特性は、スプリングのバネ特性および可変オリフィスの形状や開口位置等にしたがって決まって来るので、スプリングの変更や可変オリフィスの形状や開口位置等の変更によって、自由に調整し変更することができる。この場合、スプリングは制御ピストンの中空部内に収容されているので、ポンプの他の部分の変更を伴うことなく、容易かつ低コストで変更できる。
【0013】
また、この制御バルブが切り換わる流体圧の設定を変更することにより、ポンプの最大吐出量の設定を、様々に変えることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
図1、図2には、本実施の形態の可変容量ベーンポンプを示す。
【0016】
図示されるように、ハウジング1の略円形の収容凹部1aには、その底面(最奥部の側面)側から、サイドプレート2、アダプタリング3が積層状態で収容される。アダプタリング3の内側には、円環状のカムリング5が、ピン4を回動支点として後述の駆動軸8の左右に揺動可能に支持されている。このカムリング5の内側には、ロータ6が収容される。また、収容凹部1aの開口端は、カバー7により封鎖され、アダプタリング3、カムリング5、ロータ6の側面(サイドプレート2と反対側の側面)は、カバー7に当接してシールされる。
【0017】
収容凹部1aの底面には貫通穴1bが形成され、この貫通穴1bには、駆動軸8がメタル軸受9を介して回転自在に支持される。また、この駆動軸8の先端側は、サイドプレート2、ロータ6を貫通して、カバー7に形成された支持穴7aに達し、この支持穴7aにメタル軸受10を介して回転自在に支持されている。また、ロータ6は、この駆動軸8とスプライン結合し、駆動軸8と一体に回転するようになっている。なお、駆動軸8は、その外周に取り付けられたプーリ60を介して図示されない動力機関により回転駆動される。
【0018】
ロータ6の外周に形成された複数の切り欠きには、それぞれ、ベーン11がロータ6の半径方向に出没自在に収容される。これにより、駆動軸8の回転によりロータ6が回転すると、切り欠きから伸び出したベーン11の先端が、カムリング5の内周面に当接し、これらの各ベーン11の間に複数のポンプ室12が画成される。
【0019】
サイドプレート2には、高圧凹溝13Aと低圧凹溝14Aが形成される。高圧凹溝13Aと低圧凹溝14Aは、駆動軸8を挟んで対称な位置に形成され、それぞれ吐出側と吸込側のポンプ室12に臨むようになっている。また、カバー7には、ロータ6を挟んでサイドプレート2側の高圧凹溝13Aおよび低圧凹溝14Aと相対する位置に、高圧凹溝13Bと低圧凹溝14Bが形成され、それぞれ吐出側と吸込側のポンプ室12に臨んでいる。
【0020】
高圧凹溝13Aは、サイドプレート2を貫通する高圧通路15を介して、収容凹部1A底部(最奥部)に形成された高圧室16に連通する。この高圧室16は、後述するように可変オリフィス25を介して吐出ポート18と連通する。また、低圧凹溝14Bは、カバー7に形成された低圧通路17を介して、吸込ポート19(さらにはタンクT)と連通する。
【0021】
カムリング5は、前述したようにピン4を回動支点として駆動軸8の左右に揺動可能であり、図1に示すように、カムリング5が駆動軸8に対して偏心した位置をとり得る。これにより、駆動軸8の回転とともにロータ6が図1の反時計回転方向に回転すると、この回転に伴って各ポンプ室12の容積が変わって行く。そして、この回転とともに拡大する吸込側(低圧凹溝14A、14B側)のポンプ室12には吸込ポート19からの作動油が吸い込まれる一方、この回転とともに縮小する吐出側(高圧凹溝13A、13B側)のポンプ室12からは吐出ポート18に向けて作動油が吐出される。
【0022】
ハウジング1の側部には、収容凹部1aに開口する(詳しくは、後述するピストン側流体圧力室31に開口する)プラグ穴1cが形成される。このプラグ穴1cは、プラグ20が螺合状態で取り付けられることにより閉止される。
【0023】
このプラグ20の収容凹部1a側に延びる先端側にはシリンダ穴20aが開口し、このシリンダ穴20aには制御ピストン21が摺動自在に収容される。この制御ピストン21の突出端(先端)は、アダプタリング3を貫通して、カムリング5の側面に当接する。
【0024】
また、制御ピストン21には、基端側に開口するピストン中空部21aが形成されている。このピストン中空部21a内にはスプリング22が収容される。このスプリング22は、シリンダ穴20aの底面とピストン中空部21aの底面との間に介装されており、制御ピストン21をカムリング5側に付勢し、この制御ピストン21を介してカムリング5をその最大吐出位置に付勢している。
【0025】
プラグ20の外周の所定の位置には収容凹部1a側を向いた段部20bが形成される一方、プラグ穴1cにはこの段部20bと向き合うように段部1dが形成される。これにより、プラグ20の外周とプラグ穴1cの内周およびこれらの段部20b、1dに囲まれる領域に、環状の流体室23が形成される。この流体室23には開口24が形成される。流体室23には、この開口24を通じて、高圧室16からの作動油が、固定絞り58を介して導入される。なお、プラグ穴1cの開口端部にはOリング61が備えられ、流体室23のシールは確実になされるようになっている。
【0026】
また、流体室23は、プラグ20の側面に形成された複数の可変オリフィス25を介して、シリンダ穴1cおよびピストン中空部21aの内部に連通する。この場合、各可変オリフィス25の開口面積は、シリンダ穴1c内で摺動する制御ピストン21の基端側エッジ21bにより調節されるようになっている。すなわち、可変オリフィス25は、制御ピストン21がシリンダ穴1c内に後退して来るにしたがって基端側エッジ21bと重なって、その開口面積が狭められるようになっている。
【0027】
なお、本発明は、このように可変オリフィス25を制御ピストン20の基端側エッジ21bで開閉する形態に限られるものではなく、例えば、制御ピストン20の側面に可変オリフィス25と重なり得るように穿孔を形成し、可変オリフィス25がこの穿孔と重なる部分を、可変オリフィス25の開口面積とするような形態を採ってもよい。
【0028】
プラグ20の側面には、可変オリフィス25よりも先端側に位置して、複数の第2の貫通孔26が形成される。これらの貫通孔26は、連通路27を介して吐出ポート18に連通する。さらに、制御ピストン21の側面には、これらの貫通孔26と常時連通する貫通孔28が形成されている。これにより、ピストン中空部21a内部は、貫通穴28、貫通穴26および連通路27を介して、常時、吐出ポート18と連通している。なお、貫通穴26と連通路27の接続部分のシールは、Oリング62により確実になされる。
【0029】
ピストン中空部21aは、制御ピストン21の外周とアダプタリング3の間の隙間からなる絞り29A(または制御ピストン21の先端部に形成されたオリフィス29B)を介して、アダプタリング3とカムリング5の間にピン4およびシール30により画成されたピストン側流体圧力室(第2の流体圧力室)31に連通する。ここで、シール30はアダプタリング3に固定されるもので、このシール30とピン4により、アダプタリング3とカムリング5との隙間からなる空間が、制御ピストン21側のピストン側流体圧力室31と、制御ピストン21と反対側の反ピストン側流体圧力室(第1の流体圧力室)32とに画成される。これらの流体圧力室31、32は、ピン4を支点としたカムリング5の揺動により、相反的に拡大または縮小する。
【0030】
可変容量ベーンポンプには、制御バルブ40が一体に備えられる。
【0031】
この制御バルブ40のスプール41は、ハウジング1に形成されたシリンダ42に、基端側から摺動自在に収容される。シリンダ42の開口端はプラグ43により閉鎖される。スプール41の基端とシリンダ42の底部の間には、リターンスプリング44が介装され、スプール41はこのリターンスプリング44によりプラグ43側に付勢される。
【0032】
スプール41は、基端にランド部41aを備え、また軸方向の中央付近にランド部41bを備える。これらのランド部41a、41bにより、シリンダ42は、シリンダ42底面とランド部41a(スプール41基端)との間の低圧流体室45と、ランド部41a、41bの間のドレン流体室46と、ランド部41bとプラグ43との間の高圧流体室47に画成される。
【0033】
低圧流体室45は、オリフィス48、流体圧力通路49を介して、可変オリフィス25下流の吐出ポート18(連通路27)と連通する。また、ドレン流体室46は、ドレンポート50を介してタンクTに連通する。また、高圧流体室47は、絞り59を介して高圧室16と連通する。
【0034】
さらに、ドレン流体室46と高圧流体室47のいずれか一方は、スプール41の摺動位置にしたがって、シリンダ42に開口する流体通路51およびオリフィス52を介して、反ピストン側流体圧力室32に連通する。
【0035】
詳しく説明すると、図3に詳細に示すように、ランド部41bのスプール軸方向の略中央には、ランド部41b外周を1周する環状溝53が形成される。さらに、ランド部41bには、この環状溝53をドレン流体室46に連通させるように、スプール軸方向に沿って複数のノッチ54が切り欠かれる。環状溝53と高圧流体室47とは、ランド部41bの切り欠かれていないシール部55でシールされる。このシール部55のスプール軸方向の幅は、流体通路51開口のスプール軸方向の幅とほぼ等しくされる。
【0036】
このような構成により、流体通路51の開口は、環状溝53およびノッチ54を介してドレン流体室46に連通する状態から、ランド部41bが図の右方向に移動すると、環状溝53と流体通路51の連通がシール部55により遮断され、これと同時に、流体通路51はシール部55を挟んで環状溝53と反対側の高圧流体室47と連通し始めるようになっている。すなわち、流体通路51は、スプール41の摺動位置に応じて、ドレン流体室46または高圧流体室47の一方に、選択的に連通する。
【0037】
つぎに作用を説明する。
【0038】
可変容量型ベーンポンプの停止状態では、カムリング5は、図1に示すように、制御ピストン21(スプリング22)に付勢されて、反ピストン側流体圧力室32側に最大に偏心した位置にある。この状態からベーンポンプを作動させると、ロータ6の回転に伴い、ポンプ室12から高圧室16に作動油が吐出される。この高圧室16の作動油は、固定絞り58および可変オリフィス25を通って減圧され、ピストン中空部21a内部に供給され、貫通孔28、26、連通路27を通って、吐出ポート18から外部の油圧機器へと供給される。
【0039】
また、高圧室16の油圧は、絞り59を介して、制御バルブ40の高圧流体室47に導入される。この場合、制御バルブ40のスプール41は、ポンプ作動の初期(ポンプ回転数が小さい間)においては、スプリング46のバネ力および低圧流体室45の油圧(高圧室16の油圧が、主として可変オリフィス25で減圧された吐出ポート圧力)に基づく反力により、プラグ43側に押し出されており、ランド部41bの環状溝53は、流体通路51の開口と重なる位置にある。このため、反ピストン側流体圧力室32は流体通路51を介してドレン流体室46に連通しており、カムリング5は反ピストン側流体圧力室32側に最大に偏心した位置に保持されたままである。これにより、吐出ポート18からのポンプ吐出量は、図4に実線で示すグラフの領域Aに示すように、ポンプ回転数に比例して上昇していく。
【0040】
このようにポンプ回転数が上昇して高圧室16への吐出圧が上昇して行くと、これにしたがって高圧流体室47の油圧が上昇して行き、制御バルブ40のスプール41は、リターンスプリング44のバネ力および低圧流体室45からの反力に抗して、高圧流体室47を拡大する方向(図1、図3の右方向)に押し戻されて行く。この結果、ランド部41bの環状溝53は、流体通路51の開口より図1、図3の右側にまで移動し、流体通路51は高圧流体室47に連通する。
【0041】
この制御バルブ40の切り換えにより、それまでドレンされていた反ピストン側流体圧力室32は、高圧流体室47に連通し、油圧が上昇する。そして、カムリング5は、この反ピストン側流体圧力室32の油圧(可変オリフィス25の上流の圧力)に基づく反力F1が、ピストン側流体圧力室31の油圧(主として可変オリフィス25により減圧された吐出ポート圧力)に基づくF2と、スプリング22によるバネ力Fsとの和(F2+Fs)と釣り合うところまで、制御ピストン21側に押し戻され、偏心量が小さくなって行く。カムリング5の偏心量が小さくなると、ポンプ回転に伴うポンプ室12の容積の変化量が小さくなり、これにしたがって、このポンプ室12の容積の変化量に比例する、ポンプの1回転に対するポンプ吐出流量は小さくなる。
【0042】
このようにして、ポンプ回転数の上昇に対して、ポンプの1回転に対するポンプ吐出流量が相反的に減少して行くように、カムリング5は偏心量を次第に小さくして行く。この結果、ポンプの1回転に対するポンプ吐出流量とポンプ回転数の積である、ポンプ吐出量は、図4の実線のグラフの領域Bに示すように、ポンプ回転数の上昇に対して一定に保たれる。
【0043】
なお、この場合、ピストン中空部21aとピストン側流体圧力室31を連通するオリフィス29Aは、カムリング5の動きにダンピング作用を及ぼし、カムリング5の急激な動きやハンチング動作が防止される。
【0044】
さらに、図4の領域Bのように吐出流量が安定した後、ポンプ回転数がさらに上昇すると、後退する制御ピストン基端側エッジ21bにより、可変オリフィス25が次第に閉じられ、可変オリフィス25を介しての供給作動油流量が減少して行く。また、この可変オリフィス25の開口面積の減少に伴って、供給作動流体はさらに減圧されるので、ピストン中空部21aおよびピストン側流体圧力室31の油圧が下降することとなる。そして、この油圧に基づく反力F2が小さくなると、可変オリフィス25の上流の圧力が導入されている反ピストン側流体圧力室32の油圧に基づく反力F1とのバランスが崩れ、カムリング5の偏心量が領域Bにおける場合よりもさらに小さくなる。このような可変オリフィス25の開口面積の減少およびカムリング5の偏心量の減少の効果が相俟って、図4の実線のグラフの領域Cに示すように、ポンプ回転数の上昇に対してポンプ吐出流量が減少して行く垂下特性を得ることができる。
【0045】
このように本発明の可変容量型ベーンポンプによれば、ポンプ回転数が高くなるのにしたがって、ポンプ吐出流量が自動的に減少する吐出流量特性が得られるようになっているので、例えば可変容量型ベーンポンプをパワーステアリング装置に適用したときには、ポンプ回転数(エンジン回転数)が高くなる車両の高速走行時には、ポンプ吐出流量を減少させることができ、パワーステアリング装置からの油圧アシスト力を小さくできる。したがって、車両の高速走行時において、かえってステアリングが不安定となってしまうこともなく、また不必要な作動油の供給によるエネルギーロスや作動油温度の上昇も併せて防止できる。
【0046】
また、ポンプ回転数に対するポンプ吐出流量の垂下特性(図4の領域Cの勾配特性)は、スプリング22のバネ特性および可変オリフィス25の形状や開口位置等により決まって来るので、スプリング22の変更、および可変オリフィス25の形状や開口位置等の変更によって、例えば図4に実線のグラフに示した垂下特性を、一点鎖線や二点鎖線で示したグラフの垂下特性に変更する等、自由に調整することができる。
【0047】
この場合、本発明は、スプリング22は制御ピストン21のピストン中空部21a内部に収容されており、この結果、スプリング22および可変オリフィス25は、プラグ20のユニット(プラグ20、制御ピストン21、スプリング22等からなるユニット)内に一体に含まれる構成となっている。このため、ポンプ回転数に対するポンプ吐出流量の特性変更は、このユニット交換によって、他のポンプ部品の変更を伴うことなく、極めて容易かつ低コストで行い得る。なお、本発明では、可変オリフィス25上流の油圧に基づく反ピストン側流体圧力室32の反力F1に対抗してカムリング5に作用する力の一部を、可変オリフィス25の下流の油圧に基づくピストン側流体圧力室31の反力F2から得てバランスさせているので、スプリング22を圧縮スプリングとしてピストン中空部21aに収容できるほど小型化でき、プラグ20のユニット内に容易に組み込むことができる。
【0048】
また、図4の領域Bにおける最大吐出量の変更は、制御バルブ40のランド部41bと流体通路51の相対関係によって種々に設定を変更することができる。
【0049】
なお、上記の実施の形態では、制御バルブ40の低圧流体室45に、流体通路49およびオリフィス48を介して可変オリフィス25下流の吐出ポート18における作動油圧力を導入するようになっているが、本発明はこのような形態に限られず、可変オリフィス25下流の作動油圧力を、例えばシリンダ穴20a内部やピストン側流体圧力室31などから低圧流体室45に導入するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す断面図である。
【図2】同じく断面図である。
【図3】同じく制御バルブのスプールを示す断面図である。
【図4】同じくポンプ回転数とポンプ吐出流量の関係を示す特性図である。
【図5】従来の可変容量型ベーンポンプにおけるポンプ回転数とポンプ吐出流量の関係を示す特性図である。
【符号の説明】
1 ハウジング
1a 収容凹部
1c プラグ穴
4 ピン
5 カムリング
6 ロータ
8 駆動軸
11 ベーン
12 ポンプ室
18 吐出ポート
19 吸込ポート
20 プラグ
20a シリンダ穴
21 制御ピストン
21a ピストン中空部
21b ピストン開口端部
22 スプリング
25 可変オリフィス
29A、29B オリフィス
31 ピストン側流体圧力室(第2の流体圧力室)
32 反ピストン側流体圧力室(第1の流体圧力室)
40 制御バルブ
41 スプール
42 シリンダ
44 リターンスプリング
45 低圧流体室
46 ドレン流体室
47 高圧流体室

Claims (2)

  1. ハウジングに駆動軸に対して偏心可能に収容されたカムリングと、
    このカムリングの内側に収容されて前記駆動軸と一体に回転するロータと、
    このロータ外周に伸縮自在に備えられた複数のベーンと、
    これらのベーンの間に画成される複数のポンプ室とを備え、
    前記カムリングの偏心量が増大するにしたがって前記ロータの1回転毎の吐出側ポンプ室からの吐出流量を増大させるようにした可変容量型ベーンポンプにおいて、
    前記吐出側ポンプ室とこの吐出側ポンプ室からの作動流体を外部の油圧機器へ供給する吐出ポートとの間に可変オリフィスを備え、
    前記カムリングの外周側に前記カムリングの偏心量の増大とともに縮小する第1の流体圧力室と前記カムリングの偏心量の増大とともに拡大する第2の流体圧力室とを形成し、
    前記第1の流体圧力室に前記吐出側ポンプ室からの作動流体を絞りを介して導入し、
    前記第2の流体圧力室に前記吐出ポートの吐出圧を絞りを介して導入し、
    前記カムリング外周の前記第2の流体圧力室側に制御ピストンを当接させ、
    この制御ピストンの基端に開口して前記吐出ポートからの吐出圧が導入される中空部を形成し、
    この中空部内に前記制御ピストンを介して前記カムリングをその偏心量を増大させる方向に付勢するスプリングを収容し、
    前記カムリングがその偏心量が小さくなる方向に移動して行くのにしたがって前記制御ピストンが前記可変オリフィスの開口面積を狭めて行くとともに、
    前記第1の流体圧力室をドレンと前記吐出側ポンプ室とに選択的に連通する制御バルブを備え、
    この制御バルブは、前記第1の流体圧力室を前記ドレンに連通する初期位置から、前記吐出側ポンプ室からの流体圧の増大により前記第1の流体圧力室を前記吐出側ポンプ室に連通する位置に切り換わり、前記第1の流体圧力室に吐出側ポンプ室からの作動流体を絞りを介して導入することを特徴とする可変容量型ベーンポンプ。
  2. 前記制御バルブは、前記ハウジングに形成されたシリンダと、このシリンダに摺動自在に収容されるスプールと、このスプールの一対のランド部により画成されドレンと連通するとともに初期位置において前記第1の流体圧力室と連通するドレン流体室と、前記スプールのランド部の一方の外側に画成され前記吐出側ポンプ室と連通する高圧流体室と、前記スプールのランド部の他方の外側に画成され前記可変オリフィスの下流側の作動油が絞りを介して導入される低圧流体圧力室と、前記スプールを初期位置側に付勢するリターンスプリングとを備えたことを特徴とする請求項1に記載の可変容量型ベーンポンプ。
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