JP3758855B2 - 可変容量型ベーンポンプ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車両のパワーステアリング装置に用いられる、可変容量型ベーンポンプの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、車両のパワーステアリング装置に作動油を供給するポンプとして、可変容量型ベーンポンプが用いられる。この可変容量型ベーンポンプは、エンジン回転数の上昇とともにポンプ回転数が上昇する。この場合、図5に示すように、所定のポンプ回転数(エンジンのアイドリング回転数)までは、ポンプ回転数に比例してポンプの吐出流量も上昇して行く。一方、この所定のポンプ回転数以上では、ポンプ回転数が上昇しても吐出流量が図に破線で示すように上昇せずに、図に実線で示すように自動的に一定に保たれるように、ベーン間に画成されたポンプ室の容積が変化し、パワーステアリング装置には、安定した油圧アシストが与えられる。このように、可変容量型ベーンポンプを用いることにより、定容量型ベーンポンプにフローコントロールバルブを併用した場合のように、所定のエンジン回転数以上で定容量型ベーンポンプからの余剰の吐出流量をドレンさせる必要がなく、省エネルギーを図ることができ、また作動油温度の上昇を防止することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、車両のステアリングにおいては、高速走行中は低速走行中よりも小さな操舵力しか必要とされないので、パワーステアリング装置のアシスト力がエンジン回転数によらず一定であると、高速走行中にはこのアシスト力が過剰となり、かえってステアリングを不安定にさせてしまう恐れがある。
【0004】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、ポンプ回転数の上昇に伴ってポンプ吐出流量を適切な特性で減少させ得る可変容量型ベーンポンプを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
第1の発明では、 ハウジングに駆動軸に対して偏心可能に収容されたカムリングと、このカムリングの内側に収容されて前記駆動軸と一体に回転するロータと、このロータ外周に伸縮自在に備えられた複数のベーンと、これらのベーンの間に画成される複数のポンプ室とを備え、吐出側ポンプ室とこの吐出側ポンプ室からの作動流体を外部の油圧機器へ供給する吐出ポートとの間に可変オリフィスを備え、前記カムリングの外周側に第1と第2の流体圧力室を形成し、これらの流体圧力室の相反的な拡縮によって前記カムリングの偏心量を調節して吐出流量を可変とするとともに、前記カムリング外周の第2の流体圧力室側に制御ピストンを当接させ、前記カムリングがその偏心量が小さくなる方向に移動して行くのにしたがって前記制御ピストンが前記可変オリフィスの開口面積を狭めて行くようにした可変容量型ベーンポンプにおいて、前記ハウジングの前記第2の流体圧力室側に吐出配管用の取り付け穴を形成し、この取り付け穴に筒状のコネクタ部材を取り付け、このコネクタ部材の一端に前記制御ピストンを摺動自在に収容し、前記制御ピストンの基端に開口して前記吐出ポートからの吐出作動流体が導入される中空部を形成し、この中空部内に前記制御ピストンを介して前記カムリングをその偏心量を増大させる方向に付勢するスプリングを収容する一方、前記コネクタ部材の他端に前記吐出ポートを形成した。
【0006】
の発明では、前記コネクタ部材と前記制御ピストンと前記スプリングはユニット化され、前記取り付け穴から一体に着脱可能とされている。
【0007】
の発明では、前記第1の流体圧力室をドレンと前記吐出側ポンプ室とに選択的に連通する制御バルブを備え、この制御バルブは、前記第1の流体圧力室を前記ドレンに連通する初期位置から、前記吐出側ポンプ室からの流体圧の増大により前記第1の流体圧力室を前記吐出側ポンプ室に連通する位置に切り換わり、前記第1の流体圧力室に吐出側ポンプ室からの作動流体を絞りを介して導入する。
【0008】
の発明では、前記制御バルブは、前記ハウジングに形成されたシリンダと、
このシリンダに摺動自在に収容されるスプールと、このスプールの一対のランド部により画成されドレンと連通するとともに初期位置において前記第1の流体圧力室と連通するドレン流体室と、前記スプールのランド部の一方の外側に画成され前記吐出側ポンプ室と連通する高圧流体室と、前記スプールのランド部の他方の外側に画成され前記可変オリフィスの下流側の作動油が絞りを介して導入される低圧流体圧力室と、前記スプールを初期位置側に付勢するリターンスプリングとを備えた。
【0009】
【発明の作用および効果】
第1の発明では、可変容量型ベーンポンプの停止状態では、カムリングは、制御ピストン(スプリング)に付勢されて、最大に偏心した位置にある。この状態からベーンポンプを作動させると、作動油は、吐出側ポンプ室から吐出され、可変オリフィスを通って減圧されて、コネクタ部材に形成された吐出ポートから外部の油圧機器へと供給される。この場合、例えば、第1の流体圧力室には可変オリフィスの上流の圧力が導入され、第2の流体圧力室には可変オリフィスの下流の圧力が導入されることにより、ポンプ回転数の上昇に伴って吐出側ポンプ室の圧力(ポンプ吐出圧)が上昇すると、これと相反的にカムリングの偏心量が小さくなって行き、ポンプの1回転に対するポンプ吐出流量が相反的に減少して行く。
このため、ポンプ回転数がある程度以上に上昇して来ると、ポンプの1回転に対する吐出側ポンプ室からの吐出流量とポンプ回転数の積である、吐出ポートからのポンプ吐出流量は、ポンプ回転数の上昇に対して一定に保たれる。このように吐出流量が安定した後、さらにポンプ回転数を上昇させて行くと、制御ピストンにより、可変オリフィスが次第に閉じられて行く。これにより、可変オリフィスにより吐出ポートへの作動油供給流量が制限されるとともに、可変オリフィスにより減圧された流体圧に基づく第2の流体圧力室の作用力は、可変オリフィスの開口面積の減少に伴って小さくなり、可変オリフィスの上流の流体圧に基づく第1の流体圧力室の作用力とのバランスが崩れ、ポンプ回転数の上昇に対してポンプ吐出流量がますます減少して行くような流量特性が得られる。
【0010】
このように本発明によれば、ポンプ回転数が高くなるにしたがって、吐出ポートからの吐出流量が自動的に減少するようになっているので、例えば可変容量型ベーンポンプをパワーステアリング装置に適用したときには、ポンプ回転数(エンジン回転数)が高くなる車両の高速走行時には、パワーステアリング装置からの油圧アシスト力を小さくでき、高速走行時においてステアリングが不安定となっ
てしまうことを防止でき、また不必要な作動油の供給によるエネルギーロスや作動油温度の上昇を防止できる。
【0011】
また、ポンプ回転数に対するポンプ吐出流量の特性は、スプリングのバネ特性および可変オリフィスの形状や開口位置等にしたがって決まって来るので、スプリングの変更や可変オリフィスの形状や開口位置等の変更によって、自由に調整し変更することができる。
【0012】
また、コネクタ部材の一端が吐出ポートとなっているので、吐出ポートを他の場所に設けた場合に比較して、ポンプの部品点数、組立工数、ハウジングへの穴加工の工数が削減でき、またポンプの小型化を図ることができる。
【0013】
また、第2の発明のように、コネクタ部材やスプリングを着脱自在のユニット化しておけば、ポンプ回転数に対するポンプ吐出流量の特性は、このユニットの交換により、ポンプの他の部分の変更を伴うことなく、容易かつ低コストで変更できる。
【0014】
また、 第3、第4の発明では、ポンプの作動の初期(ポンプ回転数が低い間)
においては、吐出側ポンプ室からの流体圧(第4の発明では高圧流体室に導入される流体圧)は低く、カムリングは最大偏心位置側に保たれ、吐出ポートからの吐出流量は、ポンプ回転数の上昇に伴って速やかに上昇して行く。そして、ポンプ回転数がさらに上昇して、吐出側ポンプ室からの流体圧が高くなって来ると、制御バルブが切り換わり、第1の流体圧力室に、吐出側ポンプ室からの作動油が導入される。したがって、この制御バルブが切り換わる流体圧の設定を変更することにより、ポンプの最大吐出量の設定を、様々に変えることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
図1、図2には、本実施の形態の可変容量ベーンポンプを示す。
【0017】
図示されるように、ハウジング1の略円形の収容凹部1aには、その底面(最奥部の側面)側から、サイドプレート2、アダプタリング3が積層状態で収容される。アダプタリング3の内側には、円環状のカムリング5が、ピン4を回動支点として後述の駆動軸8の左右に揺動可能に支持されている。このカムリング5の内側には、ロータ6が収容される。また、収容凹部1aの開口端は、カバー7により封鎖され、アダプタリング3、カムリング5、ロータ6の側面(サイドプレート2と反対側の側面)は、カバー7に当接してシールされる。
【0018】
収容凹部1aの底面には貫通穴1bが形成され、この貫通穴1bには、駆動軸8がメタル軸受9を介して回転自在に支持される。また、この駆動軸8の先端側は、サイドプレート2、ロータ6を貫通して、カバー7に形成された支持穴7aに達し、この支持穴7aにメタル軸受10を介して回転自在に支持されている。また、ロータ6は、この駆動軸8とスプライン結合し、駆動軸8と一体に回転するようになっている。
【0019】
ロータ6の外周に形成された複数の切り欠きには、それぞれ、ベーン11がロータ6の半径方向に出没自在に収容される。これにより、駆動軸8の回転によりロータ6が回転すると、切り欠きから伸び出したベーン11の先端が、カムリング5の内周面に当接し、これらの各ベーン11の間に複数のポンプ室12が画成される。
【0020】
サイドプレート2には、高圧凹溝13Aと低圧凹溝14Aが形成される。高圧凹溝13Aと低圧凹溝14Aは、駆動軸8を挟んで対称な位置に形成され、それぞれ吐出側と吸込側のポンプ室12に臨むようになっている。また、カバー7には、ロータ6を挟んでサイドプレート2側の高圧凹溝13Aおよび低圧凹溝14Aと相対する位置に、高圧凹溝13Bと低圧凹溝14Bが形成され、それぞれ吐出側と吸込側のポンプ室12に臨んでいる。
【0021】
高圧凹溝13Aは、サイドプレート2を貫通する高圧通路15を介して、収容凹部1A底部(最奥部)に形成された高圧室16に連通する。この高圧室16は、後述するように可変オリフィス26を介して吐出ポート18と連通する。また、低圧凹溝14Bは、カバー7に形成された低圧通路17を介して、吸込ポート19(さらにはタンクT)と連通する。
【0022】
カムリング5は、前述したようにピン4を回動支点として駆動軸8の左右に揺動可能であり、図1に示すように、カムリング5が駆動軸8に対して偏心した位置をとり得る。これにより、駆動軸8の回転とともにロータ6が図1の反時計回転方向に回転すると、この回転に伴って各ポンプ室12の容積が変わって行く。そして、この回転とともに拡大する吸込側(低圧凹溝14A、14B側)のポンプ室12には吸込ポート19からの作動油が吸い込まれる一方、この回転とともに縮小する吐出側(高圧凹溝13A、13B側)のポンプ室12からは吐出ポート18に向けて作動油が吐出される。
【0023】
ハウジング1の側部には、収容凹部1aに開口する(詳しくは、後述するピストン側流体圧力室31に開口する)取り付け穴1cが形成され、この取り付け穴1cには、筒状のコネクタ部材20の先端側の外周が螺合する。このコネクタ部材20の拡径された基端側(収容凹部1aと反対側)の開口部が、吐出ポート18となる。
【0024】
また、コネクタ部材20の先端側の開口には、制御ピストン21が摺動自在に収容される。この制御ピストン21の突出端(先端)は、アダプタリング3を貫通して、カムリング5の側面に当接する。
【0025】
また、制御ピストン21には、基端側に開口する中空部21aが形成されている。この中空部21a内にはスプリング23が収容される。このスプリング23は、中空部21aの底部と、コネクタ部材20中空部の吐出ポート18手前付近に固定されたバネ座22との間に介装されるようになっており、制御ピストン21をカムリング5側に付勢し、この制御ピストン21を介してカムリング5をその最大吐出位置に付勢している。
【0026】
このように、コネクタ部材20、制御ピストン21およびスプリング23は一つのユニットとして、ベーンポンプのハウジング1に取り付けられる。
【0027】
コネクタ部材20の外周面には、コネクタ部材20の軸方向の中央付近に、環状の凹部20aが形成さている。そして、この凹部20aと取り付け穴1cの間の環状の空間が、前述の高圧室16から固定絞り29を介して作動油が導かれる流体室24となる。なお、取り付け穴1cの開口端部にはOリング25が備えられ、流体室24のシールは確実になされる。
【0028】
このコネクタ部材20の凹部20aには、可変オリフィス26が形成される。この可変オリフィス26を介して、コネクタ部材20内部(ピストン中空部21aから吐出ポート18にかけての領域)が、流体室24と連通する。
【0029】
また、制御ピストン21が所定位置よりもスプリング23に抗して後退して来ると、この可変オリフィス26の開口には、制御ピストン21の開口端部(基端部)21bが重なってくるようになっている。これにより、可変オリフィス26は、この所定の後退位置以降では制御ピストン21がカムリング5側から後退するにしたがって次第に開口面積が小さくなって行く。
【0030】
なお、本発明は、このように可変オリフィス26を制御ピストン20の基端部21bで開閉する形態に限られるものではなく、例えば、制御ピストン20の側面に可変オリフィス26と重なり得るように穿孔を形成し、可変オリフィス26がこの穿孔と重なる部分を、可変オリフィス26の開口面積とするような形態を採ってもよい。
【0031】
ピストン中空部21aは、制御ピストン21の外周とアダプタリング3の間の隙間からなる絞り27A(または制御ピストン21の先端部に形成されたオリフィス27B)を介して、アダプタリング3とカムリング5の間にピン4およびシール30により画成されたピストン側流体圧力室(第2の流体圧力室)31に連通する。ここで、シール30はアダプタリング3に固定されるもので、このシール30とピン4により、アダプタリング3とカムリング5との隙間からなる空間が、制御ピストン21側のピストン側流体圧力室31と、制御ピストン21と反対側の反ピストン側流体圧力室(第1の流体圧力室)32とに画成される。これらの流体圧力室31、32は、ピン4を支点としたカムリング5の揺動により、相反的に拡大または縮小する。
【0032】
可変容量ベーンポンプには、制御バルブ40が一体に備えられる。
【0033】
この制御バルブ40のスプール41は、ハウジング1に形成されたシリンダ42に、基端側から摺動自在に収容される。シリンダ42の開口端はプラグ43により閉鎖される。スプール41の基端とシリンダ42の底部の間には、リターンスプリング44が介装され、スプール41はこのリターンスプリング44によりプラグ43側に付勢される。
【0034】
スプール41は、基端にランド部41aを備え、また軸方向の中央付近にランド部41bを備える。これらのランド部41a、41bにより、シリンダ42は、シリンダ42底面とランド部41a(スプール41基端)との間の低圧流体室45と、ランド部41a、41bの間のドレン流体室46と、ランド部41bとプラグ43との間の高圧流体室47に画成される。
【0035】
低圧流体室45は、オリフィス48、流体圧力通路49、および制御ピストン21とアダプタリング3との間の隙間の絞り27Aを介して、ピストン側流体圧力室31と連通する。また、ドレン流体室46は、ドレンポート50を介してタンクTに連通する。また、高圧流体室47は、絞り59を介して高圧室16と連通する。
【0036】
さらに、ドレン流体室46と高圧流体室47のいずれか一方は、スプール41の摺動位置にしたがって、シリンダ42に開口する流体通路51およびオリフィス52を介して、反ピストン側流体圧力室32に連通する。
【0037】
詳しく説明すると、図3に詳細に示すように、ランド部41bのスプール軸方向の略中央には、ランド部41b外周を1周する環状溝53が形成される。さらに、ランド部41bには、この環状溝53をドレン流体室46に連通させるように、スプール軸方向に沿って複数のノッチ54が切り欠かれる。環状溝53と高圧流体室47とは、ランド部41bの切り欠かれていないシール部55でシールされる。このシール部55のスプール軸方向の幅は、流体通路51開口のスプール軸方向の幅とほぼ等しくされる。
【0038】
このような構成により、流体通路51の開口は、環状溝53およびノッチ54を介してドレン流体室46に連通する状態から、ランド部41bが図の右方向に移動すると、環状溝53と流体通路51の連通がシール部55により遮断され、これと同時に、流体通路51はシール部55を挟んで環状溝53と反対側の高圧流体室47と連通し始めるようになっている。すなわち、流体通路51は、スプール41の摺動位置に応じて、ドレン流体室46または高圧流体室47の一方に、選択的に連通する。
【0039】
つぎに作用を説明する。
【0040】
可変容量型ベーンポンプの停止状態では、カムリング5は、図1に示すように、制御ピストン21(スプリング23)に付勢されて、反ピストン側流体圧力室32側に最大に偏心した位置にある。この状態からベーンポンプを作動させると、ロータ6の回転に伴い、ポンプ室12から高圧室16に作動油が吐出される。この高圧室16の作動油は、固定絞り29および可変オリフィス26を通って減圧され、コネクタ部材20の中空部に供給され、吐出ポート18から外部の油圧機器へと供給される。
【0041】
また、高圧室16の油圧は、絞り59を介して、制御バルブ40の高圧流体室47に導入される。この場合、制御バルブ40のスプール41は、ポンプ作動の初期(ポンプ回転数が小さい間)においては、スプリング46のバネ力および低圧流体室45の油圧(高圧室16の油圧が、主として可変オリフィス26で減圧された吐出ポート圧力)に基づく反力により、プラグ43側に押し出されており、ランド部41bの環状溝53は、流体通路51の開口と重なる位置にある。このため、反ピストン側流体圧力室32は流体通路51を介してドレン流体室46に連通しており、カムリング5は反ピストン側流体圧力室32側に最大に偏心した位置に保持されたままである。これにより、吐出ポート18からのポンプ吐出量は、図4に実線で示すグラフの領域Aに示すように、ポンプ回転数に比例して上昇していく。
【0042】
このようにポンプ回転数が上昇して高圧室16への吐出圧が上昇して行くと、これにしたがって高圧流体室47の油圧が上昇して行き、制御バルブ40のスプール41は、リターンスプリング44のバネ力および低圧流体室45からの反力に抗して、高圧流体室47を拡大する方向(図1、図3の右方向)に押し戻されて行く。この結果、ランド部41bの環状溝53は、流体通路51の開口より図1、図3の右側にまで移動し、流体通路51は高圧流体室47に連通する。
【0043】
この制御バルブ40の切り換えにより、それまでドレンされていた反ピストン側流体圧力室32は、高圧流体室47に連通し、油圧が上昇する。そして、カムリング5は、この反ピストン側流体圧力室32の油圧(可変オリフィス26の上流の圧力)に基づく反力F1が、ピストン側流体圧力室31の油圧(主として可変オリフィス26により減圧された吐出ポート圧力)に基づくF2と、スプリング23によるバネ力Fsとの和(F2+Fs)と釣り合うところまで、制御ピストン21側に押し戻され、偏心量が小さくなって行く。カムリング5の偏心量が小さくなると、ポンプ回転に伴うポンプ室12の容積の変化量が小さくなり、これにしたがって、このポンプ室12の容積の変化量に比例する、ポンプの1回転に対するポンプ吐出流量は小さくなる。
【0044】
このようにして、ポンプ回転数の上昇に対して、ポンプの1回転に対するポンプ吐出流量が相反的に減少して行くように、カムリング5は偏心量を次第に小さくして行く。この結果、ポンプの1回転に対するポンプ吐出流量とポンプ回転数の積である、ポンプ吐出量は、図4の実線のグラフの領域Bに示すように、ポンプ回転数の上昇に対して一定に保たれる。
【0045】
なお、この場合、ピストン中空部21aとピストン側流体圧力室31を連通するオリフィス27Aは、カムリング5の動きにダンピング作用を及ぼし、カムリング5の急激な動きやハンチング動作が防止される。
【0046】
さらに、図4の領域Bのように吐出流量が安定した後、ポンプ回転数がさらに上昇すると、後退するピストン開口端部21bにより、可変オリフィス26が次第に閉じられ、可変オリフィス26を介しての供給作動油流量が減少して行く。また、この可変オリフィス26の開口面積の減少に伴って、供給作動流体はさらに減圧されるので、ピストン中空部21aおよびピストン側流体圧力室31の油圧が下降することとなる。そして、この油圧に基づく反力F2が小さくなると、可変オリフィス26の上流の圧力が導入されている反ピストン側流体圧力室32の油圧に基づく反力F1とのバランスが崩れ、カムリング5の偏心量が領域Bにおける場合よりもさらに小さくなる。このような可変オリフィス26の開口面積の減少およびカムリング5の偏心量の減少の効果が相まって、図4の実線のグラフの領域Cに示すように、ポンプ回転数の上昇に対してポンプ吐出流量が減少して行く垂下特性を得ることができる。
【0047】
このように本発明の可変容量型ベーンポンプによれば、ポンプ回転数が高くなるのにしたがって、ポンプ吐出流量が自動的に減少する吐出流量特性が得られるようになっているので、例えば可変容量型ベーンポンプをパワーステアリング装置に適用したときには、ポンプ回転数(エンジン回転数)が高くなる車両の高速走行時には、ポンプ吐出流量を減少させることができ、パワーステアリング装置からの油圧アシスト力を小さくできる。したがって、車両の高速走行時において、かえってステアリングが不安定となってしまうこともなく、また不必要な作動油の供給によるエネルギーロスや作動油温度の上昇も併せて防止できる。
【0048】
また、ポンプ回転数に対するポンプ吐出流量の垂下特性(図4の領域Cの特性)は、スプリング23のバネ特性および可変オリフィス26の形状や開口位置等により決まって来るので、スプリング23の変更、および可変オリフィスの形状や開口位置等の変更によって、例えば図4に実線のグラフに示した垂下特性を、一点鎖線や二点鎖線で示したグラフの垂下特性に変更する等、自由に調整することができる。この場合、スプリング23および可変オリフィス26は、コネクタ部材20のユニット(コネクタ部材20、制御ピストン21、スプリング23等からなるユニット)内に一体に含まれる構成となっているので、ポンプ回転数に対するポンプ吐出流量の特性変更は、このユニット交換によって、他のポンプ部品の変更を伴うことなく、極めて容易かつ低コストで行い得る。
【0049】
また、図4の領域Bにおける最大吐出量の変更は、制御バルブ40のランド部41bと流体通路51の相対関係によって種々に設定を変更することができる。
【0050】
なお、本発明では、可変オリフィス26上流の油圧に基づく反ピストン側流体圧力室32の反力F1に対抗してカムリング5に作用する力の一部を、可変オリフィス26の下流の油圧に基づくピストン側流体圧力室31の反力F2から得てバランスさせているので、スプリング23を圧スプリングとしてピストン中空部21aに収容できるほど小型化でき、コネクタ部材20のユニット内に容易に組み込むことができる。
【0051】
また、本発明では、コネクタ部材20の基端側の開口が吐出ポート18となっているので、吐出ポート18を他の場所に設けた場合に比較して、ポンプの部品点数および組立工数や、ハウジング1の穴加工の工数を削減でき、またポンプの小型化を図ることができる。
【0052】
なお、上記の実施の形態では、制御バルブ40の低圧流体室45に、流体通路49およびオリフィス48を介してピストン側流体圧力室31から作動油を導入するようになっているが、本発明はこのような形態に限られず、例えばコネクタ部材20の中空部内部の作動油(ピストン中空部21aから吐出ポート18にかけての領域の可変オリフィス26下流の作動油)を、低圧流体室45に導入するようにしてもよい。
【0053】
また、上記の実施の形態では、制御バルブ40を備えることにより、ベーンポンプの作動初期(低いポンプ回転数での作動時)に、ポンプ回転数の上昇に伴い吐出流量を急激に上昇させ得るようにし、ポンプの最大吐出流量を変更できるようにしたが、本発明はこのような形態に限られるものではなく、制御バルブ40を備えない構成を採ることもできる。この場合には、高圧室16の油圧を絞りを介して直接的に反ピストン側流体圧力室32に導入し、可変オリフィス26下流の油圧を絞りを介して直接的にピストン側流体圧力室31に導入するようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す断面図である。
【図2】同じく断面図である。
【図3】同じく制御バルブのスプールを示す断面図である。
【図4】同じくポンプ回転数とポンプ吐出流量の関係を示す特性図である。
【図5】従来の可変容量型ベーンポンプにおけるポンプ回転数とポンプ吐出流量の関係を示す特性図である。
【符号の説明】
1 ハウジング
1a 収容凹部
1b 貫通穴
1c 取り付け穴
4 ピン
5 カムリング
6 ロータ
8 駆動軸
11 ベーン
12 ポンプ室
18 吐出ポート
19 吸込ポート
20 コネクタ部材
21 制御ピストン
21a ピストン中空部
21b ピストン開口端部
23 スプリング
26 可変オリフィス
27 オリフィス
31 ピストン側流体圧力室(第2の流体圧力室)
32 反ピストン側流体圧力室(第1の流体圧力室)
40 制御バルブ
41 スプール
42 シリンダ
44 リターンスプリング
45 低圧流体室
46 ドレン流体室
47 高圧流体室

Claims (4)

  1. ハウジングに駆動軸に対して偏心可能に収容されたカムリングと、
    このカムリングの内側に収容されて前記駆動軸と一体に回転するロータと、
    このロータ外周に伸縮自在に備えられた複数のベーンと、
    これらのベーンの間に画成される複数のポンプ室とを備え、
    吐出側ポンプ室とこの吐出側ポンプ室からの作動流体を外部の油圧機器へ供給する吐出ポートとの間に可変オリフィスを備え、
    前記カムリングの外周側に第1と第2の流体圧力室を形成し、
    これらの流体圧力室の相反的な拡縮によって前記カムリングの偏心量を調節して吐出流量を可変とするとともに、
    前記カムリング外周の第2の流体圧力室側に制御ピストンを当接させ、
    前記カムリングがその偏心量が小さくなる方向に移動して行くのにしたがって前記制御ピストンが前記可変オリフィスの開口面積を狭めて行くようにした可変容量型ベーンポンプにおいて、
    前記ハウジングの前記第2の流体圧力室側に吐出配管用の取り付け穴を形成し、
    この取り付け穴に筒状のコネクタ部材を取り付け、
    このコネクタ部材の一端に前記制御ピストンを摺動自在に収容し、
    前記制御ピストンの基端に開口して前記吐出ポートからの吐出作動流体が導入される中空部を形成し、
    この中空部内に前記制御ピストンを介して前記カムリングをその偏心量を増大させる方向に付勢するスプリングを収容する一方、
    前記コネクタ部材の他端に前記吐出ポートを形成したことを特徴とする可変容量型ベーンポンプ。
  2. 前記コネクタ部材と前記制御ピストンと前記スプリングはユニット化され、前記取り付け穴から一体に着脱可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の可変容量型ベーンポンプ。
  3. 前記第1の流体圧力室をドレンと前記吐出側ポンプ室とに選択的に連通する制御バルブを備え、この制御バルブは、前記第1の流体圧力室を前記ドレンに連通する初期位置から、前記吐出側ポンプ室からの流体圧の増大により前記第1の流体圧力室を前記吐出側ポンプ室に連通する位置に切り換わり、前記第1の流体圧力室に吐出側ポンプ室からの作動流体を絞りを介して導入することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の可変容量型ベーンポンプ。
  4. 前記制御バルブは、前記ハウジングに形成されたシリンダと、このシリンダに摺動自在に収容されるスプールと、このスプールの一対のランド部により画成されドレンと連通するとともに初期位置において前記第1の流体圧力室と連通するドレン流体室と、前記スプールのランド部の一方の外側に画成され前記吐出側ポンプ室と連通する高圧流体室と、前記スプールのランド部の他方の外側に画成され前記可変オリフィスの下流側の作動油が絞りを介して導入される低圧流体圧力室と、前記スプールを初期位置側に付勢するリターンスプリングとを備えたことを特徴とする請求項3に記載の可変容量型ベーンポンプ。
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