JP2000161249A - 可変容量型ベーンポンプ - Google Patents

可変容量型ベーンポンプ

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JP2000161249A
JP2000161249A JP10337132A JP33713298A JP2000161249A JP 2000161249 A JP2000161249 A JP 2000161249A JP 10337132 A JP10337132 A JP 10337132A JP 33713298 A JP33713298 A JP 33713298A JP 2000161249 A JP2000161249 A JP 2000161249A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 負荷状態の細かな変動(脈動)や急激な増大
に対しても吐出流量特性を安定化させ得る可変容量型ベ
ーンポンプを提供する。 【解決手段】 カムリング5は両側の流体圧力室31、
32の相反的な拡縮により偏心量が調整され、このカム
リング5の偏心量に応じて、可変オリフィス25を通っ
ての単位吐出流量が調整される。第2の流体圧力室31
には圧力導入孔62を介して吐出側ポンプ室12の圧力
が導入される一方、ポンプ吐出流量が所定流量以上とな
ると制御バルブ40が切り換わり、第1の流体圧力室3
1には可変オリフィス25の上流側の圧力が導入される
とともに、第2の流体圧力室32の圧力はノッチ65開
度に応じてメータアウト制御される。カムリング5の動
作はフィードバックピン61を介して制御プランジャ2
1にフィードバックされ、可変オリフィス25の開口面
積は制御プランジャ基端側エッジ21bにより狭められ
て行く。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば車両のパワ
ーステアリング装置に用いられる、可変容量型ベーンポ
ンプの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、車両のパワーステアリング装
置には、作動油を供給するポンプとして、可変容量型ベ
ーンポンプが用いられている。このような可変容量型ベ
ーンポンプは、例えば次のようなポンプ吐出流量の制御
がなされる。すなわち、ポンプ吐出流量は、ポンプ回転
数が上昇すると所定のポンプ回転数(エンジンのアイド
リング回転数)まではポンプ回転数に比例してポンプの
吐出流量も上昇して行く一方、この所定のポンプ回転数
以上ではポンプ回転数が上昇しても吐出流量が一定に保
たれるようになり、さらにエンジン回転数を上昇させて
行くとポンプ回転数の上昇とともにポンプ吐出流量が減
少して行くように制御される。これにより、車両の低速
走行中においては、可変容量型ベーンポンプのポンプ吐
出流量は速やかに最大吐出量に至り、パワーステアリン
グ装置は十分な作動油の供給を受け、操舵には安定した
アシスト力が与えられる一方、さらにエンジン回転数が
上昇すると可変容量ベーンポンプからのポンプ吐出流量
は減少していくので、車両の高速走行中にはパワーステ
アリング装置からのアシスト力が過剰とならないように
なっている。
【0003】図6〜図8には、このような可変容量ベー
ンポンプの従来例を示す。
【0004】図6、図7に示すように、ハウジング1の
略円形の収容凹部1aには、その底面(最奥部の側面)
側から、サイドプレート2、アダプタリング3が積層状
態で収容される。アダプタリング3の内側には、円環状
のカムリング5が、ピン4を回動支点として後述の駆動
軸8の左右に揺動可能に支持されている。このカムリン
グ5の内側には、ロータ6が収容される。また、収容凹
部1aの開口端は、カバー7により封鎖され、アダプタ
リング3、カムリング5、ロータ6の側面(サイドプレ
ート2と反対側の側面)は、カバー7に当接してシール
される。
【0005】収容凹部1aの底面には貫通穴1bが形成
され、この貫通穴1bには、駆動軸8がメタル軸受9を
介して回転自在に支持される。また、この駆動軸8の先
端側は、サイドプレート2、ロータ6を貫通して、カバ
ー7に形成された支持穴7aに達し、この支持穴7aに
メタル軸受10を介して回転自在に支持されている。ま
た、ロータ6は、この駆動軸8とスプライン結合し、駆
動軸8と一体に回転するようになっている。なお、駆動
軸8は図示されない動力機関により回転駆動される。
【0006】ロータ6の外周に形成された複数の切り欠
きには、それぞれ、ベーン11がロータ6の半径方向に
出没自在に収容される。これにより、駆動軸8の回転に
よりロータ6が回転すると、切り欠きから伸び出したベ
ーン11の先端が、カムリング5の内周面に当接し、こ
れらの各ベーン11の間に複数のポンプ室12が画成さ
れる。
【0007】サイドプレート2には、キドニー型の高圧
凹溝13Aと低圧凹溝14Aが形成される。高圧凹溝1
3Aと低圧凹溝14Aは、駆動軸8を挟んで対称な位置
に形成され、それぞれ吐出側と吸込側のポンプ室12に
臨むようになっている。また、カバー7には、ロータ6
を挟んでサイドプレート2側の高圧凹溝13Aおよび低
圧凹溝14Aと相対する位置に、キドニー型の高圧凹溝
13Bと低圧凹溝14Bが形成され、それぞれ吐出側と
吸込側のポンプ室12に臨んでいる。
【0008】高圧凹溝13Aは、サイドプレート2を貫
通する高圧通路15を介して、収容凹部1a底部(最奥
部)に形成された高圧室16に連通する。この高圧室1
6は、後述するように可変オリフィス25を介して吐出
ポート18と連通する。また、低圧凹溝14Bは、カバ
ー7に形成された低圧通路17を介して、吸込ポート1
9(さらにはタンクT)と連通する。
【0009】カムリング5は、前述したようにピン4を
回動支点として駆動軸8の左右に揺動可能であり、図6
に示すように、カムリング5が駆動軸8に対して偏心し
た位置をとり得る。これにより、駆動軸8の回転ととも
にロータ6が図6の反時計回転方向に回転すると、この
回転に伴って各ポンプ室12の容積が変わって行く。そ
して、この回転とともに拡大する吸込側(低圧凹溝14
A、14B側)のポンプ室12には吸込ポート19から
の作動油が吸い込まれる一方、この回転とともに縮小す
る吐出側(高圧凹溝13A、13B側)のポンプ室12
からは吐出ポート18に向けて作動油が吐出される。
【0010】ハウジング1の側部には、収容凹部1aに
開口する(詳しくは、後述する第2の流体圧力室31に
開口する)プラグ穴1cが形成される。このプラグ穴1
cは、プラグ20が螺合状態で取り付けられることによ
り閉止される。
【0011】このプラグ20の収容凹部1a側に延びる
先端側にはシリンダ穴20aが開口し、このシリンダ穴
20aには制御プランジャ21が摺動自在に収容され
る。この制御プランジャ21の突出端(先端)は、アダ
プタリング3に形成された貫通穴3aを貫通して、カム
リング5の側面に当接する。
【0012】また、制御プランジャ21には、基端側に
開口するプランジャ中空部21aが形成されている。こ
のプランジャ中空部21a内にはスプリング22が収容
される。このスプリング22は、シリンダ穴20aの底
面とプランジャ中空部21aの底面との間に介装されて
おり、制御プランジャ21をカムリング5側に付勢し、
この制御プランジャ21を介してカムリング5をその最
大吐出位置に付勢している。なお、スプリング22をプ
ランジャ中空部21aに収容できるほど小型化したとし
ても、後述するように、第1の流体圧力室32の反力F
1には、スプリング22のバネ力FSとともに第2の流
体圧力室31の反力F2が対抗するようになっているの
で、問題は生じない。
【0013】プラグ20の外周の所定の位置には凹部2
0bが形成され、この凹部20bとプラグ穴1cの間に
囲まれる領域に、環状の流体室23が形成される。ま
た、凹部20bには、プラグ20の側面を貫通してプラ
グ20の外周側とシリンダ穴20aとを連通する可変オ
リフィス25が開口する。高圧室16からの作動油は、
ハウジング1に形成された流体通路36を介して流体室
23に導入され、さらに可変オリフィス25を介してシ
リンダ穴20aおよびプランジャ中空部21aに導入さ
れる。プラグ穴1cの開口端部にはOリング24が備え
られ、流体室23のシールは確実になされるようになっ
ている。
【0014】可変オリフィス25の開口面積は、シリン
ダ穴20a内で摺動する制御プランジャ21の基端側エ
ッジ21bにより調節される。すなわち、可変オリフィ
ス25は、制御プランジャ21がシリンダ穴20a内に
後退して来るにしたがって基端側エッジ21bと重なっ
て、その開口面積が狭められるようになっている。
【0015】制御プランジャ21の側面には、複数の貫
通孔26が形成される。プランジャ中空部21aは、こ
れらの貫通孔26を介して、ハウジング1の収容凹部1
aとアダプタリング3の間に形成された流体室27に常
時連通する。この流体室27は、連通路28を介して吐
出ポート18に連通する。これにより、プランジャ中空
部21aは、貫通穴26、流体室27および連通路28
を介して、常時、吐出ポート18と連通している。
【0016】前述したように制御プランジャ21はアダ
プタリング3の貫通穴3aに貫通するようになっている
が、この場合、組み立て誤差を考慮して、貫通穴3aの
径は制御プランジャ21の径よりもわずかに大きく形成
されており、制御プランジャ21は貫通穴3aに遊嵌す
るようになっている。この制御プランジャ21と貫通穴
3aの間の遊び(隙間)が絞り29となり、流体室27
はこの絞り29を介して、アダプタリング3とカムリン
グ5の間にピン4およびシール30により画成された第
2の流体圧力室31に連通する。ここで、シール30は
アダプタリング3に固定されるもので、このシール30
とピン4により、アダプタリング3とカムリング5との
隙間からなる空間が、制御プランジャ21側の第2の流
体圧力室31と、制御プランジャ21と反対側の第1の
流体圧力室32とに画成される。これらの流体圧力室3
1、32は、ピン4を支点としたカムリング5の揺動に
より、相反的に拡大または縮小する。
【0017】また、可変容量ベーンポンプには、制御バ
ルブ40が一体に備えられる。この制御バルブ40のス
プール41は、ハウジング1に形成されたシリンダ42
に、基端側から摺動自在に収容される。シリンダ42の
開口端はプラグ43により閉鎖される。スプール41の
基端とシリンダ42の底部の間には、リターンスプリン
グ44が介装され、スプール41はこのリターンスプリ
ング44によりプラグ43側に付勢される。
【0018】スプール41は、基端にランド部41aを
備え、また軸方向の中央付近にランド部41bを備え
る。これらのランド部41a、41bにより、シリンダ
42は、シリンダ42底面とランド部41a(スプール
41基端)との間の低圧流体室45と、ランド部41
a、41bの間のドレン流体室46と、ランド部41b
とプラグ43との間の高圧流体室47とに画成される。
【0019】低圧流体室45は、オリフィス48、流体
圧力通路49を介して、可変オリフィス25下流の吐出
ポート18と連通する。また、ドレン流体室46は、ド
レンポート50からドレン通路57に接続され、タンク
Tに連通する。また、高圧流体室47は、流体圧力通路
58に接続され、流体通路36から分岐する流体圧力通
路59を介して高圧室16と連通する。
【0020】さらに、ドレン流体室46および高圧流体
室47は、スプール41の摺動位置にしたがって、ハウ
ジング1に形成されシリンダ42に開口する流体圧力通
路51およびアダプタリング3に形成されたオリフィス
52を介して、第1の流体圧力室32に連通する。
【0021】詳しく説明すると、図8に詳細に示すよう
に、ランド部41bのスプール軸方向の略中央には、ラ
ンド部41b外周を1周する環状溝53が形成される。
さらに、ランド部41bには、この環状溝53をドレン
流体室46に連通させるように、スプール軸方向に沿っ
てスリット54が切り欠かれる。環状溝53と高圧流体
室47とは、ランド部41bの切り欠かれていないシー
ル部55でシールされる。このような構成により、ポン
プ作動の初期においては、流体圧力通路51の開口は環
状溝53およびスリット54を介してドレン流体室46
にのみ連通しているが、ポンプ回転数(高圧流体室47
に導入されるポンプ室圧)が上昇してスプール41(ラ
ンド部41b)が図の右方向に移動すると、流体圧力通
路51は高圧流体室47と連通し始める。これにより、
高圧流体室47から流体圧力通路51を介してドレン流
体室46に向かう作動油の流れが生じ、流体圧力通路5
1と連通する第1の流体室32の圧力は、高圧流体室4
7と流体圧力通路51との間の開度に応じて、メータイ
ン制御されることになる。
【0022】以上のような構成により、図6〜図8に示
す可変容量型ベーンポンプを作動させると、ポンプの作
動の初期(ポンプ回転数が低い間)においては、制御バ
ルブ40のスプール41はリターンスプリング44によ
り図6の左側まで押し戻されており、制御バルブ40は
第1の流体圧力室32に高圧を導かないので、カムリン
グ5は最大偏心位置に保たれ、吐出ポート18からの吐
出流量は、ポンプ回転数の上昇に伴って速やかに上昇し
て行く。
【0023】一方、ポンプ回転数がさらに上昇して、ポ
ンプ吐出流量が増大して来ると、可変オリフィス25の
上流と下流の圧力差が大きくなる結果、高圧流体室47
内の圧力と低圧流体室45の圧力との差圧によりリター
ンスプリング44が次第に圧縮され、スプール41が図
6の右方向に押し戻され、制御バルブ40が切り換えら
れる。この結果、第1の流体圧力室32には、ランド部
41bの移動により流体圧力通路51端部に形成された
開口面積から吐出側ポンプ室12の圧力が導入され、可
変オリフィス25の下流の圧力(ポンプ室12の圧力が
可変オリフィス25により減圧された圧力)が導入され
ている第2の流体圧力室31の圧力よりも大きくなる。
このため、カムリング5は、第1の流体圧力室32から
の作用力F1が、第2の流体圧力室32からの作用力F
2とスプリング22のバネ力Fsとの総和(F2+F
s)と釣り合うところまで押し戻され、ポンプ回転数と
相反的に偏心量が小さくなる。したがって、吐出ポート
18からのポンプ吐出流量(ポンプの1回転に対する吐
出側ポンプ室12からの吐出流量とポンプ回転数の積)
は、ポンプ回転数がある程度以上に上昇して来ると、ポ
ンプ回転数の上昇に対して一定に保たれるようになる。
【0024】このようにポンプ吐出流量が安定した後、
さらにポンプ回転数を上昇させて行くと、制御プランジ
ャ21の基端側エッジ21bにより、可変オリフィス2
5の開口面積が次第に狭められて行く。これにより、可
変オリフィス25を通じての吐出ポート18への作動油
の供給量自体が制限されるとともに、可変オリフィス2
5による減圧の度合いが大きくなり、この減圧された流
体圧に基づく第2の流体圧力室31の作用力F2がさら
に小さくなる結果、ポンプ回転数の上昇に対してポンプ
吐出流量が更に減少して行くような流量特性が得られ
る。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の可変容量型ベーンポンプでは、第2の流体圧
力室31(第2の流体圧力室)には吐出ポート18の供
給圧(可変オリフィス25の下流の圧力)が絞り29を
介して導入されるようになっているため、パワーステア
リング装置への負荷の細かな変動などにより、ポンプの
供給圧(負荷圧)が安定しないと、第2の流体圧力室3
1の圧力は不安定となってしまう。このため、カムリン
グ5の動作は安定せず、結果としてポンプ吐出流量が不
安定となってしまっていた。
【0026】また、カムリング5が偏心している場合に
は、高圧凹溝13A、13Bはポンプ室12の予圧縮作
用を得るためにカムリング5の回りに第2の流体圧力室
31側に偏って配置されることになるので、高圧凹溝1
3A、13Bと連通するポンプ室12の油圧は、全体と
してカムリング5を第2の流体圧力室31側(図6の右
側)に押す方向の分力を持つように作用する。このた
め、特にポンプへの負荷が高まって吐出側ポンプ室12
の圧力が大きくなった場合には、このカムリング5を第
2の流体圧力室31側に押す分力は、制御プランジャ2
1内のスプリング22のバネ力に対抗する力として無視
できなくなってしまうので、カムリング5は第2の流体
圧力室31側に押し出される不要な動作をする恐れがあ
る。
【0027】本発明は、このような問題点に着目してな
されたもので、カムリングの偏心量の変化によりポンプ
吐出流量を可変とする可変容量型ベーンポンプにおい
て、負荷状態の変動に対してもカムリングの動作を安定
化させ得るものを提供することを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】第1の発明では、駆動軸
に対して偏心可能にハウジングに収容されたカムリング
と、このカムリングの内側に収容されて前記駆動軸と一
体に回転するロータと、このロータ外周に伸縮自在に備
えられた複数のベーンと、これらのベーンの間に画成さ
れる複数のポンプ室とを備え、吐出側ポンプ室とこの吐
出側ポンプ室からの作動流体を外部の油圧機器へ供給す
る吐出ポートとの間に可変オリフィスを備え、前記カム
リング外周の両側に第1と第2の流体圧力室を形成し、
前記カムリングを偏心量が大きくなる方向に付勢するバ
ネ手段を備え、前記第1の流体圧力室の拡大によりカム
リングの偏心量を小さくする一方、前記第2の流体圧力
室の拡大によりカムリングの偏心量を大きくすることに
より、ポンプ吐出流量を可変とした可変容量型ベーンポ
ンプにおいて、前記カムリングの動作に追従するととも
に前記カムリングの偏心量が所定量よりも減少した場合
に前記可変オリフィスの開口面積を狭めて行く制御プラ
ンジャを前記カムリング外周の第2の流体圧力室側に備
え、前記制御プランジャに形成した中空部を介して前記
可変オリフィス下流側の作動流体を前記吐出ポートに導
くとともに、前記中空部内に前記バネ手段を収容し、前
記第2の流体圧力室に吐出側ポンプ室の圧力を導入する
圧力導入孔を備え、ポンプ吐出流量が所定量以上となっ
た場合に、前記第1の流体圧力室に可変オリフィス上流
側の圧力を導入するとともに、前記第2の流体圧力室を
ドレン側に圧力制御しつつ接続するように切り換わる制
御バルブを備えた。
【0029】第2の発明では、前記制御バルブは、可変
オリフィスの上流と下流の圧力差による作用力と戻しバ
ネによるバネ力とのバランスにより変位するととも、所
定量以上変位した場合に、前記第1の流体圧力室に可変
オリフィス上流側の圧力を導入するとともに、前記第2
の流体圧力室をドレン側に圧力制御しつつ接続する。
【0030】第3の発明では、前記圧力導入孔は、前記
吐出側ポンプ室を前記可変オリフィスに接続する流体通
路とは独立に形成される。
【0031】第4の発明では、前記圧力導入孔は、前記
吐出側ポンプ室と隣接して形成され吐出側ポンプ室の圧
力が導入される高圧室と前記第2の流体圧力室との間の
サイドプレートに形成された固定オリフィスである。
【0032】第5の発明では、前記第1、第2の流体圧
力室は前記カムリングとこのカムリング外周に配置され
たアダプタリングとの間に画成されるとともに、このア
ダプタリングに形成された嵌合穴に隙間なく嵌合するフ
ィードバックピンを備え、このフィードバックピンの一
端を前記カムリング外周に第2の流体圧力室側から当接
させる一方、前記フィードバックピンの他端を前記制御
プランジャと当接させるようにした。
【0033】第6の発明では、前記バネ手段は、前記制
御プランジャを介してカムリングを押圧するスプリング
である。
【0034】第7の発明では、前記制御バルブは、前記
第2の流体圧力室とドレン側との間の開口面積を段階的
に切り換え可能である。
【0035】
【発明の作用および効果】第1〜第4の発明では、ポン
プ作動の初期においては、バネ手段のバネ力および可変
オリフィス上流の圧力が導入された第2の流体圧力室か
らの作用力によりカムリングは最大偏心位置に保持され
ており、可変容量型ベーンポンプのポンプ吐出流量は、
ポンプ回転数が上昇するのにしたがって上昇して行く。
ポンプ吐出流量が所定量以上となると、制御バルブが切
り換わり、第2の流体圧力室は制御バルブにより流量制
御(メータアウト制御)されつつドレン側に連通すると
ともに、第1の流体圧力室には可変オリフィスの上流の
圧力が導入される。例えば第2の発明の制御バルブであ
れば、ポンプ吐出流量(可変オリフィスを通過する流
量)が増大することにより可変オリフィスの上流と下流
の圧力差が増大し、この圧力差の増大に相当する変位
(例えばスプールの切換変位)を行うが、この変位量が
所定量以上となると、第2の流体圧力室を例えばスプー
ルの変位による連通開口面積により圧力制御しつつドレ
ン側に連通するとともに、第1の流体圧力室には可変オ
リフィスの上流の圧力を導入するようになる。これによ
り、第1の流体圧力室に可変オリフィスの上流の圧力が
導入される一方で、第2の流体圧力室の圧力は制御バル
ブを介してのドレン側への作動油の流れ分だけ小さな値
にメータアウト制御されるので、カムリングは第1、第
2の流体圧力室の差圧に基づく反力とバネ手段によるバ
ネ力がバランスするところまで偏心量が小さくなる。こ
の結果、ポンプ1回転毎のポンプ吐出流量(単位吐出流
量)が小さくなり、ポンプ吐出流量(単位吐出流量×ポ
ンプ回転数)は、安定状態(例えば一定値)に制御され
る。また、カムリングの動作は制御プランジャにフィー
ドバックされ、カムリングの偏心量が所定量よりも減少
した場合には、制御プランジャにより可変オリフィスの
開口面積が狭められて行くので、ポンプの高回転域では
ポンプ吐出流量を更に減少させて行く流量特性が得られ
る。
【0036】このようにポンプ吐出流量(カムリングの
偏心量)は制御されるが、この場合、第1の流体圧力室
には可変オリフィス上流の圧力が導入され、第2の流体
圧力室には吐出側ポンプ室の圧力が圧力導入孔を介して
導入されるようになっている(特に第3、第4の発明で
は圧力導入孔は吐出側ポンプ室を前記可変オリフィスに
接続する流体通路とは独立に形成されている)ので、ポ
ンプの供給圧(吐出ポートの負荷圧)に脈動などの不安
定な細かな変動があったとしても、この変動は可変オリ
フィスによりダンピングされるので、第1、第2の流体
圧力室の圧力は不安定に変動することはない。したがっ
て、カムリングの動作は安定し、結果的にポンプ吐出流
量特性が安定する。
【0037】また、第2の流体圧力室の圧力は制御バル
ブによりメータアウト制御されるので、カムリングが第
2の流体圧力室を圧縮する方向の変動に対しては、第2
の流体圧力室とドレン側との連通開口面積はダンピング
オリフィスとして作用する。したがって、カムリングの
第2の流体圧力室を圧縮する方向への動作に対する抵抗
力が得られ、カムリングの動作は安定的に保持される。
したがって、仮に負荷の増大によりポンプ室の圧力が急
激に高まって、このポンプ室の圧力がカムリングを第2
の流体圧力室を圧縮する方向(ポンプ吐出量が減少する
方向)に押す力として作用し、これがバネ手段のバネ力
を上回ってしまうような場合でも、第2の流体圧力室内
の流体圧力がカムリングの外周に対抗的に作用してカム
リングを保持するので、カムリングは急激な不安定動作
(不要な動作)をすることはない。
【0038】第5、第6の発明では、第2の流体圧力室
を画成するアダプタリングの嵌合穴には隙間なくフィー
ドバックピンが嵌合し、制御プランジャはこのフィード
バックピンを介して、カムリングの動作のフィードバッ
クを受け、またスプリングのバネ力をカムリングに及ぼ
す。したがって、制御プランジャ側(可変オリフィス下
流側)と第2の流体圧力室は油圧的に切り離され、第2
の流体圧力室の圧力制御は制御バルブによる第2の流体
圧力室とドレン側との連通開口面積に応じて精密に行い
得る。
【0039】第7の発明では、第2の流体圧力室とドレ
ン側との連通開口面積は段階的に変更されるので、第2
の流体圧力室の圧力は適切な圧力に段階的に変化し、カ
ムリング5は急激ではない安定した動作を行い、ポンプ
吐出流量は所望の変動特性で漸進的に変化する。
【0040】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づいて、本発
明の実施の形態について説明する。
【0041】図1〜図3には、本発明の実施の形態の可
変容量型ベーンポンプを示す。なお、この図1〜図3の
可変容量型ベーンポンプの基本的構成は、図6〜図8に
示したものと同様である。したがって、以下の本実施の
形態の説明においては、図6〜図8に示した可変容量型
ベーンポンプと同一の構成については説明を省略し、図
6〜図8に示した可変容量型ベーンポンプと相違する構
成を中心に説明する。また、図1〜図3には、それぞれ
図6〜図8と対応するベーンポンプの断面図および制御
バルブ40の断面図を示し、共通(同一の機能の)の構
成は同一の番号を付して表記する。
【0042】図1に示されるように、本実施の形態の可
変容量型ベーンポンプでは、制御プランジャ21をアダ
プタリング3の貫通穴3aに貫通させない。そして、貫
通穴3aに嵌合するフィードバックピン61を備え、制
御プランジャ21の先端をこのフィードバックピン61
の基端に当接させるとともに、フィードバックピン61
の先端がカムリング5の外周に当接するようにしてい
る。これにより、制御プランジャ21内のスプリング2
2のバネ力はフィードバックピン61を介してカムリン
グ5に作用するとともに、カムリング5の動作はフィー
ドバックピン61を介して制御プランジャ21に伝達さ
れる。
【0043】この場合、フィードバックピン61の外径
は貫通穴3aの径と高い嵌合精度で等しくされ、フィー
ドバックピン61と貫通穴3aの間からは作動油の漏れ
が無いようにされる。これにより、第2の流体圧力室
(第2の流体圧力室)31は、流体室27(可変オリフ
ィス25の下流側)と直接的には連通されないようにな
っている。なお、図1の可変オリフィス25は図6のも
のと形状が異なっているが、機能的には全く同様のもの
である。
【0044】また、第2の流体圧力室31は、サイドプ
レート2に形成された固定オリフィスである圧力導入孔
62を介して、高圧室16と連通する。この圧力導入孔
62は、高圧室16と可変オリフィス25を接続する流
体通路36とは独立に設けられるもので、第2の流体圧
力室31には、高圧室16内の圧力(吐出側ポンプ室1
2の圧力)が直接的に導入される。
【0045】さらに、第2の流体圧力室31は、連通路
63を介して、制御バルブ40の環状ポート64と連通
する。この環状ポート64は、制御バルブ40のランド
部41aにより開閉されるもので、ランド部41aの摺
動位置に応じて閉鎖またはドレン流体室46と連通され
る。この場合、ランド部41aのドレン流体室46側端
部には複数のノッチ65が切られており、環状ポート6
4とドレン流体室46とは、このノッチ65の開口を介
して流量制御されつつ連通する。なお、このノッチ65
の開口面積は、ランド部41aが環状ポート64側に移
動するにしたがって段階的に拡大して行くようになって
いる。
【0046】このような構成により、ポンプの作動の初
期において吐出側ポンプ室12の圧力が小さな間は、制
御バルブ40のスプール41は端部がプラグ43に当接
するまで押し戻されており(スプール移動量=0)、ラ
ンド部41aは環状ポート64を閉鎖しているので、第
2の流体圧力室31の圧力は、吐出側ポンプ室12の圧
力(高圧室16の圧力)と同圧となっている。また、制
御バルブ40のスプール移動量は0であるから、第1の
流体圧力室32は、高圧室16側との連通は制御バルブ
40のランド部41bにより断たれているとともに、ラ
ンド部41bの環状溝53およびスリット54を介して
ドレン流体室46にわずかに連通している一方、第2の
流体圧力室31からの作動油がピン4の回りやカムリン
グ5の両サイド面の隙間から流れ込んでいる。この結
果、制御プランジャ21と反対側の第1の流体圧力室3
2の圧力P1は、制御プランジャ21側の第2の流体圧
力室31の圧力P2よりもわずかに低い圧力に保持され
ているので、カムリング5はこの両流体圧力室31、3
2の差圧に基づく作用力(F2−F1)と制御プランジ
ャ21内のスプリング22のバネ力により、最大偏心位
置側(図1の左側)に押し付けられている。
【0047】一方、ポンプ回転数が高くなって来ると、
ポンプ吐出流量(可変オリフィス25を通過する流量)
が増大する結果、可変オリフィス25前後の圧力差(可
変オリフィス25上流側の圧力が導入されている高圧流
体室47と可変オリフィス25下流の圧力が導入されて
いる低圧流体室45との圧力差)が大きくなるので、ス
プール41が移動する。
【0048】このようにスプール41が所定量d1(例
えば約0.7mm程度)移動すると、ノッチ65が連通
路63と連通し始め、同時に、ランド部41bの移動に
より流体圧力通路51が高圧流体室47と連通する。こ
れにより、第2の流体圧力室31の作動油がノッチ65
の開口面積に応じてリリーフされ、第2の流体圧力室3
1の圧力はノッチ65の開度に応じてメータアウト制御
される。また、第1の流体圧力室32には、ランド部4
1bの移動により流体圧力通路51端部に形成された開
口面積から高圧室16の圧力が導入され、第1の流体圧
力室32の圧力は流体圧力通路51端部の開口面積に応
じてメータイン制御される。
【0049】この場合、制御バルブ40(ノッチ65、
連通路63、ランド部41b、流体圧力通路51)は、
第2の流体圧力室31の圧力P2が第1の流体圧力室3
2の圧力P1よりも小さな値に制御されるように設計さ
れている。なお、図4には、このような第1の流体圧力
室32の圧力P1と第2の流体圧力室31の圧力P2の相
対関係をスプール41の移動量との関係で示した概念図
を示す。
【0050】このような両流体圧力室31、32の圧力
の制御により、第1の流体圧力室32の圧力P1が第2
の流体圧力室31の圧力P2よりも大きくなると、第1
の流体圧力室32からカムリング5への作用力F1が、
第2の流体圧力室32からの作用力F2とスプリング2
2のバネ力Fsとの総和(F2+Fs)と釣り合うとこ
ろまで、カムリング5の偏心量は小さくなる。この結
果、ポンプ1回転毎の吐出流量(単位吐出流量)は小さ
くなっていく。なお、制御バルブ40のスプール41
は、高圧流体室47の圧力と低圧流体室の圧力の差圧
(可変オリフィス25の前後の差圧)に基づいてスプー
ル41に作用する力がスプリング44のバネ力とバラン
スするところまで、最大でスプール移動量d2(1〜
1.5mm程度)移動して止まることになる。
【0051】このように、本実施の形態のカムリング5
の偏心量の制御においては、第2の流体圧力室31に
は、高圧室16の油圧が圧力導入孔(固定オリフィス)
62を介して導入され、制御バルブ40による第2の流
体圧力室とドレン側との連通の開度に応じてメータアウ
ト制御されるようになっている。したがって、負荷の変
動により供給圧(可変オリフィス25の下流側の圧力)
に脈動などの細かな変動があったとしても、可変オリフ
ィス25、圧力導入孔62によりこの圧力変動がダンピ
ングされる結果、第2の流体圧力室31の圧力(高圧室
16の圧力が圧力導入孔62を介して導入された圧力)
には細かな変動は生じることはない。したがって、カム
リング5の動作が安定し、結果としてポンプ吐出流量特
性が安定する。
【0052】また、第2の流体圧力室31の圧力は、制
御バルブスプール41のノッチ65の開口面積によりメ
ータアウト制御されるものであるので、吐出側ポンプ室
12の内圧に起因して第2の流体圧力室31を圧縮しよ
うとするカムリング5の動作に対しては、ノッチ65に
よるダンピング作用が働く。したがって、第2の流体圧
力室31を圧縮するようにカムリング5に作用する力に
対抗することができ、カムリング5の偏心動作が安定す
る。すなわち、パワーステアリング装置への負荷が急増
し、ポンプの供給圧(負荷圧)が急激に高まった結果、
吐出側ポンプ室12がカムリング5を第2の流体圧力室
31側に押す力が、制御プランジャ21内のスプリング
22のバネ力に対抗するように、大幅に大きくなってし
まった場合でも、カムリング5は第2の流体圧力室31
を圧縮する方向への不安定な急激な動作を行ってしまう
ことはない。
【0053】つぎに全体的な作用を説明する。
【0054】可変容量型ベーンポンプの停止状態では、
カムリング5は、図1に示すように、制御プランジャ2
1(スプリング22)に付勢されて、第1の流体圧力室
32側に最大に偏心した位置にある。この状態からベー
ンポンプを作動させると、ロータ6の回転に伴い、ポン
プ室12から高圧室16に作動油が吐出される。この高
圧室16の油圧(吐出側ポンプ室12の圧力)は、ハウ
ジング1に形成した流体通路36および可変オリフィス
25を通って減圧され、プランジャ中空部21a内部に
供給され、貫通穴26、流体室27および連通路28を
経て、吐出ポート18から外部の油圧機器へと供給され
る。また、この高圧室16の油圧は、流体圧力通路59
を介して、制御バルブ40の高圧流体室47にも導入さ
れる。
【0055】この場合、ポンプ作動の初期においては、
制御バルブ40のスプール41は、スプリング46のバ
ネ力によりプラグ43側に押し戻されている。このた
め、制御バルブ40の環状ポート64はランド部41a
により閉鎖され、また流体圧力通路51はランド部41
bにより閉鎖されている。このため、第2の流体圧力室
31の圧力P2は略吐出側ポンプ室12の圧力と等し
く、第1の流体圧力室32の圧力P1よりもわずかに高
くなっており、カムリング5は第1の流体圧力室32側
に最大に偏心した位置に保持され、吐出ポート18から
のポンプ吐出量は、図5に実線で示すグラフの領域Aの
ように、ポンプ回転数に比例して速やかに上昇してい
く。
【0056】ポンプ回転数が上昇して高圧室16への吐
出圧が上昇して行くと、これにしたがって可変オリフィ
ス25前後の差圧が増大し、制御バルブ40の高圧流体
室47の圧力と低圧流体室45の圧力の差圧が大きくな
って行く。この結果、制御バルブ40のスプール41
は、リターンスプリング44のバネ力および低圧流体室
45からの反力に抗して、高圧流体室47を拡大する方
向(図1、図3の右方向)に移動する。そして、スプー
ル移動量がd1となると、ランド部41aのノッチ65
が連通路63と重なり始め、第2の流体圧力室31の圧
力P2がノッチ65の開度に応じてメータアウト制御さ
れ始める一方、ランド部41bは流体圧力通路51の開
口を越えて移動し、第1の流体圧力室32の圧力P
1は、流体圧力通路51の開口面積に応じてメータイン
制御される。
【0057】この制御により第1の流体圧力室32の圧
力P1が第2の流体圧力室31の圧力P2を上回ると、カ
ムリング5は、この第1の流体圧力室32の圧力P1
基づく反力F1が、第2の流体圧力室31の圧力P2
基づくF2と、スプリング22によるバネ力Fsとの和
(F2+Fs)と釣り合うところまで、制御プランジャ
21側に押し戻され、偏心量が小さくなって行く。この
ようにカムリング5の偏心量が小さくなると、ポンプ回
転に伴うポンプ室12の容積の変化量が小さくなり、こ
れにしたがって、このポンプ室12の容積の変化量に比
例する、ポンプの1回転に対するポンプ吐出流量(単位
吐出流量)は小さくなる。
【0058】このようにして、ポンプ回転数の上昇に対
してポンプの単位吐出流量が相反的に減少して行き、ポ
ンプ吐出量(単位吐出流量とポンプ回転数の積)は、図
5の実線のグラフの領域Bに示すように、ポンプ回転数
の上昇に対して一定に保たれようになる。なお、この領
域Bにおける最大ポンプ吐出量は、制御バルブ40のラ
ンド部41a(ノッチ65)と連通路63の相対関係お
よびランド部41bと流体圧力通路51の相対関係によ
って種々に設定を変更することができる。
【0059】図5の領域Bのように吐出流量が安定した
後、ポンプ回転数がさらに上昇すると、後退する制御プ
ランジャ21の基端側エッジ21bにより、可変オリフ
ィス25が次第に閉じられ、可変オリフィス25を介し
ての供給作動油流量が減少して行く。また、この可変オ
リフィス25の開口面積の減少に伴って、可変オリフィ
ス25の前後の差圧がさらに大きくなり、カムリング5
の偏心量は領域Bにおける場合よりもさらに小さくな
る。このような可変オリフィス25の開口面積の減少お
よびカムリング5の偏心量の減少の効果が相俟って、図
5の実線のグラフの領域Cに示すように、ポンプ回転数
の上昇に対してポンプ吐出流量が減少して行く特性が得
られる。
【0060】なお、ポンプ回転数に対するポンプ吐出流
量の低下特性(図5の領域Cの勾配特性)は、制御バル
ブ40の形状、スプリング22のバネ特性および可変オ
リフィス25の形状や開口位置等により決まって来るの
で、制御バルブ40の変更、スプリング22の変更、お
よび可変オリフィス25の形状や開口位置等の変更によ
って、例えば図5の実線のグラフに示した垂下特性を、
一点鎖線や二点鎖線で示したグラフの垂下特性に変更す
る等、自由に調整することができる。この場合、スプリ
ング22は制御プランジャ21のプランジャ中空部21
a内部に収容され、スプリング22および可変オリフィ
ス25は、プラグ20のユニット(プラグ20、制御プ
ランジャ21、スプリング22等からなるユニット)内
に一体に含まれる構成となっているので、ポンプ回転数
に対するポンプ吐出流量の特性変更は、このユニット交
換によって、他のポンプ部品の変更を伴うことなく、極
めて容易かつ低コストで行い得る。
【0061】このように本実施の形態の可変容量型ベー
ンポンプでは、ポンプ回転数が高くなるのにしたがっ
て、ポンプ吐出流量が自動的に減少する吐出流量特性が
得られるようになっているので、例えば可変容量型ベー
ンポンプをパワーステアリング装置に適用したときに
は、ポンプ回転数(エンジン回転数)が高くなる車両の
高速走行時には、ポンプ吐出流量を減少させることがで
き、パワーステアリング装置からの油圧アシスト力を小
さくできる。したがって、車両の高速走行時において、
かえってステアリングが不安定となってしまうこともな
く、また不必要な作動油の供給によるエネルギーロスや
作動油温度の上昇も併せて防止できる。
【0062】また、第2の流体圧力室31には、吐出側
ポンプ室12の圧力(高圧室16の圧力)が圧力導入孔
62を介して導かれ、メータアウト制御されるようにな
っているので、パワーステアリング装置への負荷の細か
な変動による供給圧(可変オリフィス25下流側の圧
力)の不安定な変動(脈動)があったとしても、この変
動は可変オリフィス25および圧力導入孔62によりダ
ンピングされ、第2の流体圧力室31の圧力への影響は
小さい。したがって、カムリング5の偏心動作が安定
し、ひいてはポンプ吐出流量特性が安定する。
【0063】また、第2の流体圧力室31からドレン側
に作動油を逃がす制御バルブ40のノッチ65部分の開
口は、ダンピングオリフィスとして作用するので、第2
の流体圧力室31を圧縮する方向へ作用する力に内圧が
対抗でき、カムリング5の偏心動作は安定する。したが
って、パワーステアリング装置への負荷が高まり、吐出
側ポンプ室12の油圧に基づくカムリング5を第2の流
体圧力室31側に押す力が、制御プランジャ21内のス
プリング22のバネ力を上回るように作用した場合で
も、カムリング5が第2の流体圧力室31側への急激な
動作(第2の流体圧力室31を急激に圧縮するような動
作)を行ってしまうことはない。したがって、カムリン
グ5の偏心動作は安定し、結果的にポンプ吐出流量特性
が安定する。
【0064】なお、上記の実施の形態では、制御バルブ
40のスプール41のランド部41aに複数のノッチ6
5を形成し、これらのノッチ65の開度がスプール41
の摺動位置により段階的に拡大して行くようにしたが、
本発明はこのような形態に限られるものではなく、第2
の流体圧力室31とドレン流体室46との連通手段は、
どのような形態のものでも構わない。例えば、ノッチ6
5の代わりにチャンファを形成してもよいし、あるいは
ランド部41aのドレン流体室46側端部を面取するよ
うにしてもよい。
【0065】また、上記の実施の形態では、第2の流体
圧力室31への圧力導入孔(固定オリフィス)62をサ
イドプレート2に形成したが、本発明はこのような形態
に限られるものではなく、圧力導入孔62を例えばカバ
ー7に形成するようにしてもよい。
【0066】また、上記の実施の形態では、可変オリフ
ィス25を制御プランジャ20の基端側エッジ21bで
開閉するようにしたが、本発明はこのような形態に限ら
れるものではなく、例えば、制御プランジャ20の側面
に可変オリフィス25と重なり得るように穿孔を形成
し、可変オリフィス25がこの穿孔と重なる部分を、可
変オリフィス25の開口面積とするような形態を採って
もよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す断面図である。
【図2】同じく断面図である。
【図3】同じく制御バルブの一部を示す断面図である。
【図4】同じく無負荷時におけるスプール移動量に対す
る第1の流体圧力室の圧力P1、第2の流体圧力室の圧
力P2の相関関係を示す特性図である。
【図5】同じくポンプ回転数とポンプ吐出流量の関係を
示す特性図である。
【図6】従来の可変容量型ベーンポンプを示す断面図で
ある。
【図7】同じく断面図である。
【図8】同じく制御バルブの一部を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ハウジング 4 ピン 5 カムリング 6 ロータ 8 駆動軸 11 ベーン 12 ポンプ室 18 吐出ポート 19 吸込ポート 20 プラグ 20a シリンダ穴 21 制御プランジャ 21a プランジャ中空部 21b プランジャ基端側エッジ 22 スプリング 25 可変オリフィス 31 第2の流体圧力室 32 第1の流体圧力室 40 制御バルブ 41 スプール 42 シリンダ 44 リターンスプリング 45 低圧流体室 46 ドレン流体室 47 高圧流体室 61 フィードバックピン 62 圧力導入孔(固定オリフィス) 63 連通路 64 環状ポート 65 ノッチ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3H040 AA03 BB01 BB11 CC22 DD03 DD28 DD33 3H044 AA02 BB05 BB08 CC27 DD10 DD11 DD24 DD27 DD28 DD35

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】駆動軸に対して偏心可能にハウジングに収
    容されたカムリングと、 このカムリングの内側に収容されて前記駆動軸と一体に
    回転するロータと、 このロータ外周に伸縮自在に備えられた複数のベーン
    と、 これらのベーンの間に画成される複数のポンプ室とを備
    え、 吐出側ポンプ室とこの吐出側ポンプ室からの作動流体を
    外部の油圧機器へ供給する吐出ポートとの間に可変オリ
    フィスを備え、 前記カムリング外周の両側に第1と第2の流体圧力室を
    形成し、 前記カムリングを偏心量が大きくなる方向に付勢するバ
    ネ手段を備え、 前記第1の流体圧力室の拡大によりカムリングの偏心量
    を小さくする一方、前記第2の流体圧力室の拡大により
    カムリングの偏心量を大きくすることにより、ポンプ吐
    出流量を可変とした可変容量型ベーンポンプにおいて、 前記カムリングの動作に追従するとともに前記カムリン
    グの偏心量が所定量よりも減少した場合に前記可変オリ
    フィスの開口面積を狭めて行く制御プランジャを前記カ
    ムリング外周の第2の流体圧力室側に備え、 前記制御プランジャに形成した中空部を介して前記可変
    オリフィス下流側の作動流体を前記吐出ポートに導くと
    ともに、 前記中空部内に前記バネ手段を収容し、 前記第2の流体圧力室に吐出側ポンプ室の圧力を導入す
    る圧力導入孔を備え、 ポンプ吐出流量が所定量以上となった場合に、前記第1
    の流体圧力室に可変オリフィス上流側の圧力を導入する
    とともに、前記第2の流体圧力室をドレン側に圧力制御
    しつつ接続するように切り換わる制御バルブを備えたこ
    とを特徴とする可変容量型ベーンポンプ。
  2. 【請求項2】前記制御バルブは、可変オリフィスの上流
    と下流の圧力差による作用力と戻しバネによるバネ力と
    のバランスにより変位するととも、所定量以上変位した
    場合に、前記第1の流体圧力室に可変オリフィス上流側
    の圧力を導入するとともに、前記第2の流体圧力室をド
    レン側に圧力制御しつつ接続することを特徴とする請求
    項1に記載の可変容量型ベーンポンプ。
  3. 【請求項3】前記圧力導入孔は、前記吐出側ポンプ室を
    前記可変オリフィスに接続する流体通路とは独立に形成
    されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載
    の可変容量型ベーンポンプ。
  4. 【請求項4】前記圧力導入孔は、前記吐出側ポンプ室と
    隣接して形成され吐出側ポンプ室の圧力が導入される高
    圧室と前記第2の流体圧力室との間のサイドプレートに
    形成された固定オリフィスであることを特徴とする請求
    項3に記載の可変容量型ベーンポンプ。
  5. 【請求項5】前記第1、第2の流体圧力室は前記カムリ
    ングとこのカムリング外周に配置されたアダプタリング
    との間に画成されるとともに、このアダプタリングに形
    成された嵌合穴に隙間なく嵌合するフィードバックピン
    を備え、このフィードバックピンの一端を前記カムリン
    グ外周に第2の流体圧力室側から当接させる一方、前記
    フィードバックピンの他端を前記制御プランジャと当接
    させるようにしたことを特徴とする請求項1から請求項
    4のいずれか一つに記載の可変容量型ベーンポンプ。
  6. 【請求項6】前記バネ手段は、前記制御プランジャを介
    してカムリングを押圧するスプリングであることを特徴
    とする請求項5に記載の可変容量型ベーンポンプ。
  7. 【請求項7】前記制御バルブは、前記第2の流体圧力室
    とドレン側との間の開口面積を段階的に切り換え可能で
    あることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか
    一つに記載の可変容量型ベーンポンプ。
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