JP3746152B2 - 廃プラスチック処理装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリ塩化ビニルを含む廃プラスチックを加熱し、ポリ塩化ビニルから有害な塩素を取り除くことができる廃プラスチック処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリ塩化ビニル(塩ビ)を含む廃プラスチックをセメントキルンで燃料として使うには廃プラスチックに含まれる有害な塩素をあらかじめ取り除く前処理が必要である。
【0003】
塩素が鉄骨を腐食するため、セメント中の塩素量は厳しく管理されている。セメントキルンでは燃焼ガスはセメントと直接接触する構造のため、燃料に含まれる塩素を制限する必要がある。そのため廃プラスチックを燃料として用いるには、あらかじめ廃プラスチックに含まれる塩素を除去する必要がある。
【0004】
廃プラスチック中の主な塩素元はポリ塩化ビニルである。ポリ塩化ビニルは300℃前後で熱分解して塩化水素を放出する性質をもっている。そこで廃プラスチックを300℃前後まで加熱すると、廃プラスチックに含まれる大部分の塩素を塩化水素として除去する事ができる。
【0005】
このような処理を行う装置の一例が、特開平5−245463に示されている。特開平5−245463に示された装置は、プラスチックを成形加工する際に使われるスクリュー押し出し機の出口に内部圧力を調整するバルブを取り付けた装置であり、ポリ塩化ビニルを300℃以上の高温、高圧下で混練りし、脱塩素を行うものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが従来のこのような装置で脱塩素を行うのは非常に危険が伴っている。まず、プラスチックは10000kcal/kgもの発熱量があるので火災が発生すると容易に消火することはできない。プラスチックは200℃以下の低温で発火する事はないが、基本的にゴミとして収集された廃プラスチックにはさまざまな物質が含まれる。その中には200℃程度でも発火するセルロースなどの物質も多く含まれ、さらにマッチやライター、花火の火薬なども含まれ、そのため大気雰囲気では低温でも廃プラスチックが発火することがある。
【0007】
大気雰囲気にて、廃プラスチックがいったん着火すると、難燃性のポリ塩化ビニルが含まれていても激しく燃え上がり、融けて油状になり広がるので消火は難しい。また、特開平5−245463の装置のように高温,高圧下では塩化ビニルからダイオキシンが生成されることがある。さらに従来の脱塩素装置では投入口への塩化水素の逆流は完全に防げないので作業者は塩化水素に暴露してしまう。
【0008】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、安全に脱塩処理を行なうことができる廃プラスチック処理装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ポリ塩化ビニルを含む廃プラスチックを乾燥させかつ脱気する乾燥ホッパと、乾燥ホッパ内を真空排気する真空ポンプと、回転カッタを有し乾燥ホッパからの廃プラスチックを略真空状態で加熱させながら回転カッタで破断して塩素を発生させる脱塩炉と、脱塩炉内の塩素を排気する真空機構と、真空機構によって排気された脱塩炉からの塩素を回収する塩酸回収塔と、を備えたことを特徴とする廃プラスチック処理装置である。
【0010】
本発明によれば、ポリ塩化ビニルを含む廃プラスチックは乾燥ホッパに投入される。乾燥ホッパ内は真空ポンプにより真空状態に保つことができ、乾燥ホッパ内において廃プラスチックの乾燥と脱気が行なわれる。廃プラスチックはその後脱塩炉に投入され、加熱されて脱塩処理される。廃プラスチックからの塩素は真空機構により塩酸回収塔へ送られ、塩酸回収塔において塩酸として回収される。
【0011】
【発明の実施の形態】
第1の実施の形態
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図4は本発明による廃プラスチック処理装置の第1の実施の形態を示す図である。
【0012】
図1乃至図4に示すように、廃プラスチック処理装置はポリ塩化ビニルを含む廃プラスチックが投入される投入ホッパ1と、投入ホッパ1に弁4を介して接続され、投入ホッパ1からの廃プラスチックを乾燥させかつ脱気させる乾燥ホッパ3と、乾燥ホッパ3の下方にシャッタ弁11および連結弁12を介して接続され廃プラスチックを略真空状態で加熱させてポリ塩化ビニルから塩素を発生させる脱塩炉14とを備えている。
【0013】
このうち投入ホッパ1の下部には、圧縮空気を供給する空気配管2が接続されている。また乾燥ホッパ3には吐出配管9aが取付けられ、この吐出配管9aには乾燥ホッパ3内を真空状態とする真空ポンプ5が弁8を介して接続されている。さらに乾燥ホッパ3の吐出配管9aには、弁9を介して凝縮器6と吸込ブロア7が接続され、また吐出配管9aは弁10を通して大気に連通自在となっている。
【0014】
また脱塩炉14内には、ギア減速モータ17により回転駆動される回転カッタ16が配置されており、この回転カッタ16によって廃プラスチックが破断されるようになっている。また脱塩炉14には、熱媒が流入する熱媒ジャケット15が配設され、熱媒ジャケット15内の熱媒は燃焼ガスジャケット23内でバーナ22により燃焼する燃焼ガスによって加熱される。またバーナ22には燃料が流量調整弁20を介して流入し、同時にバーナ22に空気が流量調整弁21を介して流入する。これら流量調整弁20,21は熱媒ジャケット15内に配置された熱電対18からの信号により制御装置19により制御されるようになっている。また脱塩炉14の上部と乾燥ホッパ3との間には、弁13を有する排気管24が設けられている。
【0015】
また脱塩炉14には、溶融プラスチックを冷却固化して回収するプラスチック冷却固化装置26が、弁27を有する排出管25を介して接続されている。さらに脱塩炉14には弁80を介して、回収槽44を有するテレフタル酸回収装置28が接続されている。またテレフタル酸回収装置28には、真空機構29、凝縮器30、凝縮油・塩酸受タンク31、活性炭タンク32、塩酸回収塔33、および活性炭タンク34が順次接続されている。さらにまた活性炭タンク34には、低級炭化水素ガスを回収する低級炭化水素ガス回収タンク35が接続されている。
【0016】
次に図2により乾燥ホッパ3の詳細を説明する。乾燥ホッパ3の内部には羽根37を有する撹拌板(移送装置)36が取り付けられている。羽根37は乾燥ホッパ3下部のレデューサ部3aの壁面と平行に取り付けられている。羽根37を有する撹拌板36はモータ38により回転する。モータ38が消費する電流は、図示しない電流計および表示器により監視できるようになっている。モータ38には通常減速歯車が組み込まれたものが用いられ、出力軸回転数は60rpm以下で十分である。
【0017】
また乾燥ホッパ3の吐出配管9aには、乾燥ホッパ3内の端部に金網39が設けられ、また乾燥ホッパ3のレデューサ部3aにはリブ40が取付けられている。
【0018】
次に図3および図4にテレフタル酸回収装置28の詳細を示す。テレフタル酸回収装置28は側壁28aを有し、側壁28a内に複数の羽根41が設けられたシャフト41aが配置され、シャフト41aはモータ42に接続されている。またテレフタル酸回収装置28の側壁28a外周には、冷却ジャケット43が設けられ、さらに側壁28a下方に回収槽44が取付けられている。
【0019】
なお、シャフト41aに対して複数の羽根41は傾斜している(図4)。
【0020】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0021】
ポリ塩化ビニルを含む廃プラスチックは、あらかじめ適当な大きさに破砕してフラフ状に加工した後、投入ホッパ1に投入される。投入ホッパ1内の廃プラスチックは空気配管2からの圧縮空気により撹拌される。
【0022】
次に弁4,9を開けて吸込ブロワ7を起動し、廃プラスチックを空気と一緒に乾燥ホッパ3内に投入する。吸込ブロワ7が取り付けられている吐出配管9aには、図2に示すように金網39が設けられているので、乾燥ホッパ3内に吸い込まれた廃プラスチックは吸込ブロワ7によって吸い出されることはない。
【0023】
次に弁4を閉じ、弁13を開けて、脱塩炉14内の熱風を乾燥ホッパ3内部に導入し、乾燥ホッパ3内部の廃プラスチックの乾燥を行う。熱風は脱塩炉14のバーナ22からの排気ガスを排気管24を通して乾燥ホッパ3内に供給される。バーナ22からの排気ガスは300℃を超える高温なので、排気管24には図1に示すように外気の吸い込み口24aが設けられており、弁13を通る熱風の温度は100℃程度になる。乾燥ホッパ3の内部で羽根板37を有する撹拌板36が回転しているため、乾燥ホッパ3内部に投入されたフラフ状の廃プラスチックは撹拌されながら熱風によって加熱され乾燥していく。廃プラスチックに含まれる水分は蒸気となり、大量に吸い込まれた空気と一緒に乾燥ホッパ3の外に排気され、その後蒸気は吸込ブロア7により吸出され、凝縮器6により凝縮回収される。
【0024】
投入した廃プラスチックが乾燥すると撹拌板36の駆動用モータ38の電流がさがるので、乾燥状態の目安となる。なお、凝縮器6と弁9の間に湿度計を設けておけば同様に廃プラスチックの乾燥状態を知ることができる。これは乾燥ホッパ3内の湿度は乾燥が進むにつれ下がっていくためである。また乾燥ホッパ3に入る熱風の温度と、出て行く熱風の温度差により乾燥状態を判定することができる。すなわち乾燥が終了した状態では入り口温度と出口温度の差は無くなるため、このような方法で乾燥状態を監視することができるが、通常フラフ状の廃プラスチックに含まれる水分は20%を超えることはほとんど無いので通常ある一定時間乾燥を行えば十分である。
【0025】
廃プラスチックが十分乾燥したら、吸込ブロワ7を停止し弁9,13を閉め、弁8を開けて真空ポンプ5を起動し、真空ポンプ5により乾燥ホッパ3の内部の空気を十分に排気する。このとき例えば0.2気圧以下まで乾燥ホッパ3内を減圧する。
【0026】
次に弁8を閉じ、真空ポンプ5を停止させ、シャッター弁11と連結弁12を開ける。シャッター弁11は予め80℃以下の温度にまで冷却しておく。この間廃プラスチックは乾燥ホッパ3内部で羽根37を有する撹拌板36と一緒に回っているが、乾燥ホッパ3内部に設けられたリブ40にひっかかって下に落ちていき、脱塩炉14の中にはいっていく。
【0027】
すべての廃プラスチックが脱塩炉14内部に入ると、撹拌板36のモータ3の電流値が空回しのときと同じになるので、内部を目視確認しなくても廃プラスチックがすべて脱塩炉14に入ったことを知ることができる。もちろん、確認の窓を乾燥ホッパ3に設けておいても良い。
【0028】
その後脱塩炉14に廃プラスチックを供給した後、シャッター弁11と連結弁12を閉めて、次に投入する廃プラスチックの乾燥を始める。まず、弁10を開け、外部から空気を導入する。この時金網39には乾燥ホッパ3側へ空気が流れるので、細かな廃プラスチックが金網39の目に詰まっても空気の流れによって吹き飛ばされ、金網39はきれいな状態に戻る。弁9を閉めると最初の状態に戻るので、再び投入ホッパ1にフラフ状に粉砕した廃プラスチックを投入し、弁4と9を開けて廃プラスチックを乾燥ホッパ3の中に吸い込んで、以上説明した手順を繰り返す。
【0029】
次に脱塩炉14の作用について述べる。脱塩炉14には熱媒ジャケット15が設けられていて、その中には熱媒が封入され、この熱媒はバーナ22により加熱される。また熱電対18により熱媒の温度が測定され制御装置19により流量調整弁20,21が制御されて、バーナ22への供給燃料と空気の量が調整される。
【0030】
熱媒シャケット15の内部には熱媒だけを封入するので、熱媒は蒸気と液体との飽和状態になる。熱サイホンやヒートパイプと同じ原理により、脱塩炉14の内壁は均一な温度に保たれ、熱媒の温度は300℃から350℃の範囲に設定される。このとき温度が高いほうが脱塩素処理に要する時間が短いが、熱媒の寿命が短くなる傾向があるので330℃程度が妥当である。
【0031】
ところで脱塩炉14の内部では回転カッタ16が回転していて、高温で溶融した廃プラスチックを撹拌し、ポリ塩化ビニルから脱塩素により発生した塩化水素ガスが蒸発するのを促進する。すなわち回転カッタ16は半溶融状態の廃プラスチックを切り裂き表面積を増大させるので、脱塩素反応を促進させることができる。脱塩素により発生した塩化水素ガスと、その時同時に発生する有機ガスは真空機構29により脱塩炉14から吸い出される。この間、脱塩炉14内部には廃プラスチックがフラフの状態で約半分くらい充填されている。
【0032】
一般に、廃プラスチック中にはポリエチレンテレフタレート(PET)が含まれ、脱塩素を行うと同時にPETが分解してテレフタル酸が発生する。このテレフタル酸はテレフタル酸回収装置28により結晶化されて回収される。すなわちテレフタル酸回収装置28の内部には羽根41が取付けられたシャフト41aが矢印Aの方向に回転している。羽根41はシャフト41aに傾いて取り付けられているので、周囲のガスには回転と同時に下向きに流れようとする力が働く。ガス流路は羽根41よりも大きく、また羽根41の回転により発生する流れよりも軸方向のガスの平均流速はずっとおそいので、羽根41の周囲には図4に示すような流れBが発生する。そのような流れが発生することによりガスは側壁28aとよく接触し、冷却される。強い遠心力を受けて冷却された微少なテレフタル酸の結晶は側壁28aに押し付けられ、側壁28aに付着してさらに成長した後、はがれ落ちて側壁28aの下部に設けられた回収槽44に溜まる。テレフタル酸以外に、水分、DOPや分子量の大きい有機物は、テレフタル酸回収装置28でトラップされ、同時に回収槽44に溜まる。回収槽44内のテレフタル酸等はバルブ80を閉め、パージガスを適当な時間流したあと、回収槽44を取りはずして回収される。
【0033】
テレフタル酸回収装置28を通ったあとのガスは塩化水素ガスと分子量が小さい有機ガスと水蒸気から構成される。これらのガスは真空機構29で大気圧となるよう調整され、凝縮器30へと送られる。凝縮器30には0℃程度までガスが冷却され、水分と有機ガスが取り除かれる。水分が凝縮すると水分に塩化水素ガスが溶け込み、濃塩酸となる。凝縮器30は塩酸により腐食されないようにグラファイトやテフロン、塩化ビニルで製作された熱交換器が用いられている。
【0034】
水分の凝縮により生成された塩酸と凝縮した有機物(凝縮油)は凝縮油・塩酸受タンク31に溜まる。残りのガスは塩化水素ガスと低分子量(C12以下)の有機ガスだけになる。このガスは次に活性炭タンク32に送られ、C6〜C12のガスが活性炭に吸収される。次にガスは塩酸吸収塔33に送られ、塩化水素ガスは塩酸として回収される。C5以下のガスは水にほとんど溶けないので塩酸吸収塔33および活性炭タンク34を経て低級炭化水素ガス回収タンク35に送られ、この低級炭化水素ガス回収タンク35に回収される。
【0035】
このように本実施の形態によれば、廃プラスチックは一旦乾燥ホッパ3内で乾燥、脱気された後、脱塩炉14中に投入される。そのため廃プラスチックを投入する際に空気が脱塩炉14内部に入ることを防ぐことができるので、火災や、ダイオキシンの生成を防ぐことができる。また、脱塩炉14内への空気の混入を完全に防ぐことができるので、脱塩反応の際に発生するメタンやプロパン、ブタンなどの低級炭化水素ガスも燃料として回収することができる。
【0036】
一般にフラフ状の物質の移送は、通常空気の流れを利用して行うのが効率的である。真空にするとフラフ状の物質は強固にブリッジを構成することがあるため、スクリューコンベヤなどを使う方法はあるが、スクリューコンベヤは速度が遅いのでフラフ状の物質の移動には適しない。
【0037】
本発明によれば、上述したような羽根37を有する撹拌板36とリブ40との働きにより、真空状態でもフラフ状の廃プラスチックを脱塩炉14に移送することができる。ところで脱塩炉14は300℃以上の高温になるので、連結弁12の温度も高くなり、連結弁12に廃プラスチックが接触していると連結弁12の上で廃プラスチックが溶けることになる。このときシャッター弁11を設けることにより連結弁12の入り口で廃プラスチックが溶けて詰まることを避けることができる。またシャッター弁11の径をバルブ12よりも若干小さくしておくと、廃プラスチックフラフの連結弁12の壁面への溶融付着を避けることができ、スムースに廃プラを投入することができる。
【0038】
また脱塩炉14はバーナ22で加熱された熱媒により加熱されるが、脱塩炉14の炉壁は熱媒蒸気の凝縮によって加熱されるので蒸気の飽和温度できまる温度に均一に加熱される。脱塩炉14の炉壁の温度は300℃から350℃程度の範囲に設定されるので、加熱後のバーナ22からの燃焼ガス温度は350℃程度になる。
【0039】
本実施の形態では、乾燥ホッパ3に脱塩炉14からの廃ガスを外気と混合して供給している。それゆえ、脱塩炉14の加熱に必要なエネルギーを無駄無く使うことができる。ところで、廃プラスチック中に水分が含まれていると、それらは脱塩炉14内において高温と真空圧力のためすべて蒸発する。蒸発した水蒸気はテレフタル酸回収装置28、真空機構29、および凝縮器30へ順次送られ、周囲の塩酸を吸収して濃塩酸となる。これら装置28,29,30における濃塩酸の量が多いと、塩酸吸収塔33で製造される塩酸の量が著しく減少してしまう。同時に、テレフタル酸回収装置28で回収されるテレフタル酸に塩酸が混入してしまい、著しくリサイクルを困難にする。本発明によれば乾燥ホッパ3を設けたので、廃プラスチックの水分含有量を適切な0.2%以下とすることができる。また、本実施の形態ではテレフタル酸をテレフタル酸回収装置28により分離回収できるので、テレフタル酸による管閉塞や真空ポンプのトラブルを避けることができ、テレフタル酸のリサイクルも可能となる。一般家庭から排出される廃プラスチックは主にポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(以下塩ビ)、PETで構成されるが、そのような組成の廃プラスチックの脱塩素を300℃〜350℃程度で行うと、発生した塩酸の影響でPETが分解してテレフタル酸が生成される。PETはPETボトルなどを取り除いても最大10%程度、廃プラスチックの中に混入しているので、大量のテレフタル酸が発生することになる。このテレフタル酸は大気圧条件で300℃以下では結晶化する性質があり、テレフタル酸が結晶化すると配管を閉塞させたり、あるいは真空ポンプを詰まらせたりする。この場合、テレフタル酸の蒸気を冷却していくと、非常に微細な結晶を生じる。この結晶は非常に微細なので脱塩素炉圧力条件(0.01気圧〜0.5気圧)でも塩化水素ガス中を浮遊し、塩素水素ガスの流れに乗って真空ポンプに吸い込まれて大きな結晶となって真空ポンプを詰まらせたり、あるいは真空ポンプの吸い込み管を詰まらせたりする。本発明によれば、テレフタル酸の結晶に対して羽根41により遠心力と剪断を加えることができる。このときテレフタル酸の結晶は壁面で成長し、高効率で回収できる。
【0040】
また本発明では塩酸吸収塔33の前後に活性炭タンク32と34を設けているが、活性炭はC6からC12くらいの有機物を非常に良く吸収する。また、C13以上の有機物はほとんど凝縮器30において凝縮して回収される。このため塩酸吸収塔33にはC5以下の有機物と塩化水素ガスが流れ込む。C5以下の有機物はほとんど水に溶けないが、たとえ溶けても製造された塩酸の品質を著しく落とさない。それゆえ本発明によれば非常に良質の塩酸を得る事ができ、塩酸のリサイクルが可能になる。
【0041】
第2の実施の形態
次に図5により本発明の第2の実施の形態について説明する。図5に示す実施の形態はテレフタル酸回収装置28の側壁28a内に、支持棒48によって支持されたリング47を配置したものであり、他は図1乃至図4に示す第1の実施の形態と略同一である。図5において図1乃至図4に示す第1の実施の形態と同一部分は同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0042】
図5において脱塩素反応時に発生したテレフタル酸は、冷却されて側壁28aの壁面に付着する。この場合、支持棒48を上下方向へ移動させることにより、側壁28aに付着したテレフタル酸を上下に移動するリング47によって剥ぎおとし回収することができる。
【0043】
一般に脱塩素反応時に発生しテレフタル酸回収装置28で回収されるテレフタル酸結晶は、廃プラ中に含まれる水分や可塑材(DOPなど)の量によってかなりその性状を変える。テレフタル酸は純粋な状態では粉のようになって回収されるが、水分やDOPの混入割合によっては粘土状になり流動性を失うことがある。本実施の形態によれば、リング47を用いることで側壁28aの壁面に付着した粘土状のテレフタル酸の結晶を剥ぎ取ることができ、長期間初期性能を維持することができる。
【0044】
第3の実施の形態
次に図6により本発明の第3の実施の形態について説明する。図6に示す実施の形態は、テレフタル酸回収装置28の各羽根41がその先端に拡大部41bを有するとともに、この拡大部41bがシャフト41aに対して傾斜し、羽根41の拡大部41b周囲に下向きの流れが生じるようになっている。
【0045】
他は図1乃至図4に示す第1の実施の形態と略同一である。図6において、図1乃至図4に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0046】
図6において、シャフト41aおよび羽根41の回転によって羽根41の拡大部41b周囲に下向きの流れが生じる。
【0047】
シャフト41aおよび羽根41の回転によりガスは撹拌され、回転すると同時に羽根41の拡大部41bの周りに複雑な流れがおきる。ガスは側壁28aの壁面にまんべんなく接触し冷却される。テレフタル酸は側壁28aによって冷却されて結晶化し、ガスの遠心力と羽根41の拡大部41b周りの流れによって側壁28aの壁面でその結晶を成長させる。側壁28aに付着したテレフタル酸は羽根41の拡大部41aによりかきとられて回収槽44へと落ちる。
【0048】
本実施の形態では、羽根41の回転により側壁28aの壁面に付着したテレフタル酸が削り取られるので取り扱いが簡単になる。また羽根41の拡大部41bによりガスを撹拌する効果は非常に大きいので、側壁28aを有効に使うことができ性能が高い。なお、拡大部41bを有する羽根41をスクリューとして用いても良い。
【0049】
第4の実施の形態
次に図7により本発明の第4の実施の形態について説明する。図7に示す第4の実施の形態はテレフタル酸回収装置28と真空機構29との間に、テレフタル酸回収装置28からのガスを断熱膨張させるノズル49と、ノズル49に連結された回収槽50を設け、回転カッタ16駆動用のモータ17に電流センサ52を設けるとともに電流センサ52の信号に基づいてインバータ51によりモータ17を制御するようにしたものである。
【0050】
図7において、図1乃至図4に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0051】
図7において、テレフタル酸回収装置28を通過したガスはノズル49を通過し、流速を速める。この時ガスは流速の上昇に合わせて圧力が下がり、断熱膨張するので温度が若干さがる。この冷却効果と流速が速くなったことによる乱流撹拌効果によって、ガス中に残存するテレフタル酸は結晶化し、回収槽50に落ちる。
【0052】
一方モータ17には電流センサー52とインバータ51が取り付けられている。モータ17の出力トルクは電流値にほぼ比例するため、電流を検出してその電流値が一定になるようにインバータ51によりモータ17を制御すると、モータ17の出力トルクはほぼ一定になる。
【0053】
本実施の形態によれば、テレフタル酸回収装置28を通過した後のガスにも若干のテレフタル酸が残っている。このテレフタル酸をノズル49によって断熱膨張させることで、ガスの温度を下げるとテレフタル酸はノズル49内で結晶化して回収槽50へと落ちていく。このことにより、真空機構29側に吸い込まれるテレフタル酸の量を減少させることができる。テレフタル酸は真空機構29の圧縮の過程で結晶化し、真空機構29内部に溜まる。そのため真空機構29は定期的に内部を掃除することが必要となるが、ノズル49と回収槽50を設けることにより、メンテナンス周期を長くすることができる。
【0054】
また、モータ17に流れる電流値が一定になるように制御することにより、モータ17を一定トルクで運転することができ、モータ17の大きさを小さくすることができる。脱塩処理を行うため廃プラスチックをあらかじめ350℃に加熱された脱塩炉14に入れると、廃プラスチックは徐々に加熱されて、溶融し最終的には350℃まで温度は上がっていく。この加熱の過程で廃プラスチックの性状は大きく変化する。投入直後はフラフ状であり、回転カッタ16を脱塩炉14内で回転させるトルクは非常に小さい。
【0055】
脱塩炉14の壁面に付着した廃プラスチックが溶融し、温度が上がっていくにつれ、廃プラスチックの粘度は急激に増大する。フラフ状廃プラスチックの粘度は150℃から200℃程度で最大になり、温度が上がり完全に溶融する250℃を超えると小さくなる。回転カッタ16を回転させるために必要なトルクは回転速度の二乗に比例するので、回転数を下げることでモータ17のトルクを減少させることができる。モータ17に流れる電流値はモータの出力に比例しているので、電流値が一定になるように回転数を制御することにより、一定回転数で運転した場合に比べてトルクの大きくなる温度領域を小さなトルクで通過することができる。そのためモータ、減速ギヤ、回転カッターシャフトをすべてより小さく設計できるので、装置製作に必要なエネギーを減少させることができる。
【0056】
また常にトルクを一定で運転させることで、廃プラスチックの粘度の低い領域では高い回転数で運転することになる。脱塩炉14の加熱壁からプラスチックへの熱伝達は回転数に比例して良くなるので、回転数が高い分だけ速く処理を済ませることができ、効率も向上する。
【0057】
第5の実施の形態
次に図8により本発明の第5の実施の形態について説明する。図8に示す第5の実施の形態は、吸込ブロア7と凝縮器6を除くとともに、乾燥ホッパ3と真空ポンプ5との間にドレンタンク58を設け、排気配管24の代わりに乾燥ホッパ3に熱媒ジャケット53を設け、この熱媒ジャケット53に熱媒加熱循環装置54を接続したものである。
【0058】
他は図1乃至図4に示す第1の実施の形態と略同一である。図8において、図1乃至図4に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0059】
図8に示すように乾燥ホッパ3aの上部には、内部に冷却水を通す冷却管コイル55が設けられている。また冷却管コイル55の下にはドレン受56があり、ドレン受56の内側にはメッシュ57が設けられている。ドレン受56はドレンタンク58に接続され、さらにドレンタンク58は真空ポンプ5に接続されている。またドレン受56の下面にはスイッチ59が取り付けられ、乾燥ホッパ3の最下部には光式センサー59b,59cが備えてある。
【0060】
図8において乾燥ホッパ3には真空ポンプ5を作動させ廃プラスチックのフラフが吸い込まれる。所定量吸い込まれるとスイッチ59が廃プラスチックにより押されてONとなり、吸い込みのための真空ポンプ5を止める。乾燥ホッパ3の熱媒ジャケット53には温度100℃くらいの熱媒体が循環されており、吸い込まれた廃プラスチックのフラフは羽根37を有する撹拌板36で撹拌されながら加熱される。次に乾燥ホッパ3内部は真空ポンプ5により排気され真空にされる。このとき廃プラスチック中に含まれる水分は加熱により蒸発し、冷却管コイル55表面で凝縮してドレン受56に落下し、ドレン受56内の凝縮水はその後ドレンタンク58に回収される。廃プラスチックの乾燥が終わったらシャッタ弁11を開けて廃プラスチックを脱塩炉14の中に投入するが、廃プラスチックの投入終了は光りセンサー59b,59cの信号により検出される。
【0061】
以上のように、本実施の形態によれば、スイッチ59を設けたことにより乾燥ホッパ3内への廃プラスチックの投入量を簡単に検出することができ、毎回作業者が、投入廃プラの重量や嵩をはかる必要がなくなる。また光センサー59b,59cにより脱塩炉14への投入終了を検出することができる。ところで乾燥ホッパ3内は真空排気されるので、水蒸気だけで満たされることになる。この場合、水蒸気の移動を妨げるものは無いので、蒸発した水蒸気は冷却管コイル55の表面で次々と凝縮していく。このため、非常に効率よく廃プラスチックを乾燥させることができる。また乾燥後にあらためて真空排気する必要がないので、サイクルタイムを減少させることができる。またすでに説明したように廃プラスチックの十分な乾燥によって塩酸回収塔で回収される塩酸の収率があがる。
【0062】
第6の実施の形態
次に図9により本発明の第9の実施の形態について説明する。図9に示す第6の実施の形態は真空機構の構成をより詳細に示したものであり、他は図1に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0063】
真空機構29は上面63aを有する容器63と、容器63内に設けられたシリンダ61と、シリンダ61内に摺動自在に配置されたピストン60とを有し、容器63には吸込管65と吐出管66が各々接続されている。またシリンダ61には穴65aが形成され、さらにシリンダ61上には弁体62が載置されている。またピストン60はロッド64により駆動されるようになっている。
【0064】
このうちピストン60およびシリンダ61は、テフロンやグラファイトなどの塩酸による腐食に非常に強い材料で製造される。また弁体62、容器63も同様腐食に強いテフロン、グラファイト、塩化ビニル、ステンレスなどの材料やそれらの組み合わせで作製される。
【0065】
図9において、ピストン60はシリンダ61内を上下運動する。ピストン60の上死点は弁体62の下面に設定され、ピストン60が上死点まで移動していくと、やがて圧縮によりシリンダ61内部のガスは圧縮され弁体62を押し上げてシリンダ61内を排気する。ピストン60が上死点に達すると、弁体62とピストン60の上面が当接するのでシリンダ61内部のガスは追い出される。
【0066】
次にピストン60は降下する。シリンダ61には穴65aが開けられているが、ピストンの下死点はこの穴65aが完全に開いて、シリンダ61内と吸込管65が連通する位置に定められる。ピストン60が更に下がっていくと弁体62と、シリンダ63と、ピストン60によって囲われている空間はOリングによりシールされているので真空になる。さらにピストン60が下がると穴65aが開く。この時シリンダ61内は真空になっているので吸込管65からガスがシリンダ61内へ吸い込まれる。ピストン60が下死点に達し、次に徐々に上昇していくとシリンダ61内部に吸い込まれたガスは再び圧縮され排気される。
【0067】
本実施の形態によれば、真空機構29では主要な部品であるピストン60とシリンダ61を塩酸に対してまったく腐食されない材料で製造することができる。真空機構29内に水蒸気が吸い込まれると圧縮により凝縮水が生成し、これに塩化水素ガスがとけ込み、濃塩酸ができる。通常の油回転ポンプを使用すると、この濃塩酸による腐食により真空機構が短時間で壊れてしまう。通常の油回転ポンプは比接触式のルーツ真空ポンプ、またはスクリュー真空ポンプからなり、これらは精密加工が必要なので金属材料以外で製造するのは難しい。またステンレスやハステロイなどの耐腐食性の材料を使っても腐食を完全に防ぐことは出来ない。またそれらの材料では精密加工が困難であるので性能の良い真空ポンプができない。また真空ポンプにはテレフタル酸がわずかではあるが吸い込まれるので、それが堆積して吸い込み口、バラスト穴や油循環系に詰まってしまう。吸い込み口が詰まるとそれ以上ガスを吸い込めなくなってしまうので、脱塩素炉内部の圧力が上昇し、ダイオキシンが生成されてしまうだけでなく、爆発などの危険も発生する。
【0068】
本実施の形態によれば、真空機構29はガスの吸い込みが瞬間的におきるのでテレフタル酸により吸込口65や穴65aが詰まる事はない。またたとえテレフタル酸が堆積してもこのテレフタル酸は吸い込みの際の強いガスの流れに乗って吹き飛ばされてしまう。またシリンダ61内に吸い込まれたテレフタル酸もシリンダ61内部で凝縮して発生した塩酸やDOPなどと一緒に出口に排出されてしまうので、詰まりの心配はない。さらにこの構造では、容器63の上面63aを開けることにより弁体62およびシリンダ61内部を簡単に掃除ができ、メンテナンスが非常に容易である。
【0069】
第7の実施の形態
次に図10により本発明の第7の実施の形態について説明する。図10に示す第7の実施の形態は脱塩炉17に接続されたプラスチック冷却固化装置の構造が異なるのみであり、他は図1乃至図4に示す第1の実施の形態と略同一である。
図10に示すように、脱塩炉14には弁27を有する排出管25を介してプラスチック冷却固化装置26が接続され、脱塩炉14と排気管25との間にはスリュー65が配設されている。また排気管25の端部には蓋66が取付けられている。
【0070】
またプラスチック冷却固化装置26内には、外周に凹凸を有する回転円盤67が設けられ、この回転円盤67はモータ68により駆動される。さらにプラスチック冷却固化装置26内には冷却水69が収納されている。
【0071】
またプラスチック冷却固化装置26には、弁71を介して冷却水タンク70が接続されている。さらにプラスチック冷却固化装置26には、配管72を介して凝縮器73、ドレン受タンク74および真空ポンプ75が順次接続されている。
またプラスチック冷却固化装置26の下部には、弁76が取付けられており、弁76の下方にはメッシュ78を有する廃プラ受タンク77が設けられている。
図10において、脱塩炉14における脱塩素が終わった時点でまず弁80を閉める。次に弁27を開けスクリュー65を正回転させ、脱塩炉14内部の溶融廃プラスチックをプラスチック冷却固化装置26内に排出する。スクリュー65は通常の脱塩素運転時には逆回転しており、廃プラスチックを常に脱塩炉14内に押し戻すように運転される。プラスチック冷却固化装置26内に排出された廃プラスチックは、冷却水69により冷却され固体になる。プラスチック冷却固化装置26内はあらかじめ真空排気されており、冷却により発生した水蒸気はただちに配管72を通って凝縮器73で凝縮され、ドレン受タンク74に流れ込む。
【0072】
プラスチック冷却固化装置26内部には円盤67が回転していて、円盤67に当接する溶融廃プラや固体廃プラは弾き飛ばされて粒状になる。十分時間がたった後には粉砕はさらに進み冷却水69の中には粉砕された廃プラスチックが混濁した状態になる。その時点ではプラスチック冷却固化装置内部の水蒸気圧力は下がり、再び真空状態になる。その時点で弁27を閉め、プラスチック冷却固化装置26に空気を注入し弁76を開放する。この場合、プラスチック冷却固化装置26内部の冷却水79と一緒に粉砕された廃プラスチック79が廃プラ受タンク77内へ排出される。廃プラ受タンク77内では適当な大きさのメッシュ78により水を切ると廃プラスチックから作られた燃料が取り出される。
【0073】
本実施の形態では廃プラスチックは冷却と同時に粉砕される。プラスチックは熱伝導が悪く冷却し難いが粉砕しながら冷却するために効率的に冷却が進むメリットがある。またすでに粉砕した廃プラスチックが得られるので燃焼する際に粉砕する必要がなく、また粉砕してあるので輸送が非常に簡単になり、空気流によって輸送したり、また水流に乗せて輸送したりすることもできるようになる。
【0074】
塩化ビニルには炭酸カルシウムが、塩化ビニルの安定化の目的で大量に混入されている場合がある。塩化ビニルから脱塩素を行うと塩化水素が発生するが、この塩化水素が炭酸カルシウムと反応し、塩化カルシウムを作る。そのため炭酸カルシウムが混入されている場合、脱塩素しても塩素が十分に抜けない。ところが塩化カルシウムは水に良く溶けるので、本実施の形態のように冷却水69中で廃プラスチックの粉砕を行うと、水に脱塩素したプラスチック中に含まれる炭酸カルシウムや塩化ナトリウムが溶け出し、脱塩素した廃プラスチック燃料中の塩素濃度が更にさがる。
【0075】
第8の実施の形態
次に図11および図12により本発明の第8の実施の形態について説明する。図11および図12に示す第8の実施の形態は、プラスチック冷却固化装置26内に回転カッタ82とローラ83a,83bを回転自在に設けるとともに、これら回転カッタ82とローラ83a,83bをモータ68により回転させ、脱塩炉14内においてモータ17により回転するシャフト81aにローラ81を固着したものである。
【0076】
他は図10に示す第7の実施の形態と略同一である。図11および図12において図10に示す第7の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0077】
図11において脱塩炉14に投入された廃プラスチックはローラ81で押しつぶされながら脱塩炉14の加熱壁に押し付けられる。廃プラスチック中の塩化ビニルはこのローラ81により偏平になり、増大した表面から脱塩素によって発生した塩化水素ガスを放出する。脱塩素後の廃プラスチックは、スクリュー65により排出される。廃プラスチックの排出前に弁80を閉止し、弁27を開ける。スクリュー65を正回転させると脱塩炉14内部の廃プラスチックはプラスチック冷却固化装置26へと流れ込む。プラスチック冷却固化装置26内部には冷却水69が収納されており、水69中では回転カッタ82とローラ83a,83bが回転している。冷却水69内に落下した高温の溶融廃プラスチックは冷却され固体になる。プラスチック冷却固化装置26の入口は偏芯しているので、固体になった廃プラスチックは折り取られて小さな固まりになる。小さな固まりは表面積が大きいのですぐに冷却され固まり、固まった小塊は次にローラー83a,83bによって粉砕される。廃プラスチックの冷却が終わると、プラスチック冷却固化装置26内部の圧力が下がる。その時点で弁27を閉止し、プラスチック冷却固化装置26内部に空気を導入して弁を開けて廃プラスチックの粉末が混濁した水を廃プラ受タンク77へ排出する。廃プラ受タンク77内でメッシュ78により濾過すると廃プラスチック粉末燃料が選られる。
【0078】
本実施の形態においては脱塩炉14内部にはローラ81aが取り付けられており、ローラ81aによって廃プラスチックを押しつぶすようになっている。廃プラスチックは押しつぶされて脱塩炉14の壁面に押し付けられて薄く延ばされる。この薄く延ばされた部分の廃プラスチックはすぐに溶融し、脱塩素温度以上となって脱塩素がおきる。薄く延ばされた部分以外の廃プラスチックは少しずつ溶けたり崩れたりしてローラ81aの部分に流れ込み順次脱塩素される。そのため脱塩素による塩化水素ガスやその他の分解ガスの発生を平準化することができる。そのため真空機構29やテレフタル酸回収装置28のサイズを小さく設計することができる。またガスの発生が平準化されるので高濃度の塩化ビニルが含まれる際に有利である。なお100%の塩化ビニルを処理する場合には図11に示すローラ81aの代わりに図12に示すようなローラ81b,81cを用いてもよい。
【0079】
図11および図12において、廃プラスチックは冷却されローラ83a,83bにより粉砕して廃プラ受タンク77内へ排出される。粉砕した廃プラスチックは良く燃え、また廃プラスチック中に含まれる塩化カルシウムが粉砕と同時に溶け出るので廃プラスチック燃料中の塩素濃度をさらに下げる効果がある。
【0080】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、乾燥ホッパ内で乾燥し脱気された廃プラスチックが脱塩炉内において加熱されて脱塩処理されるので、脱塩炉内に空気が混入することはない。このため脱塩炉内において、火災やダイオキシンが生成することはなく、安全な脱塩処理を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による廃プラスチック処理装置の第1の実施の形態を示す概略図。
【図2】乾燥ホッパを示す詳細図。
【図3】テレフタル酸回収装置を示す図。
【図4】テレフタル酸回収装置の拡大断面図。
【図5】本発明による廃プラスチック処理装置の第2の実施の形態を示す図。
【図6】本発明による廃プラスチック処理装置の第3の実施の形態を示す図。
【図7】本発明による廃プラスチック処理装置の第4の実施の形態を示す図。
【図8】本発明による廃プラスチック処理装置の第5の実施の形態を示す図。
【図9】本発明による廃プラスチック処理装置の第6の実施の形態を示す図。
【図10】本発明による廃プラスチック処理装置の第7の実施の形態を示す図。
【図11】本発明による廃プラスチック処理装置の第8の実施の形態を示す図。
【図12】図11に示す実施の形態の変形例を示す図。
【符号の説明】
1 投入ホッパ
3 乾燥ホッパ
5 真空ポンプ
6 凝縮器
7 吸込ブロア
14 脱塩炉
16 回転カッタ
22 テレフタル酸回収装置
29 真空機構
30 凝縮器
31 凝縮油・塩酸受タンク
32,34 活性炭タンク
33 塩酸回収塔
35 低級炭化水素ガス回収タンク
36 撹拌板
37 羽根
41 羽根
41a シャフト
41b 拡大部
47 リング
48 支持棒
【発明の属する技術分野】
本発明はポリ塩化ビニルを含む廃プラスチックを加熱し、ポリ塩化ビニルから有害な塩素を取り除くことができる廃プラスチック処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリ塩化ビニル(塩ビ)を含む廃プラスチックをセメントキルンで燃料として使うには廃プラスチックに含まれる有害な塩素をあらかじめ取り除く前処理が必要である。
【0003】
塩素が鉄骨を腐食するため、セメント中の塩素量は厳しく管理されている。セメントキルンでは燃焼ガスはセメントと直接接触する構造のため、燃料に含まれる塩素を制限する必要がある。そのため廃プラスチックを燃料として用いるには、あらかじめ廃プラスチックに含まれる塩素を除去する必要がある。
【0004】
廃プラスチック中の主な塩素元はポリ塩化ビニルである。ポリ塩化ビニルは300℃前後で熱分解して塩化水素を放出する性質をもっている。そこで廃プラスチックを300℃前後まで加熱すると、廃プラスチックに含まれる大部分の塩素を塩化水素として除去する事ができる。
【0005】
このような処理を行う装置の一例が、特開平5−245463に示されている。特開平5−245463に示された装置は、プラスチックを成形加工する際に使われるスクリュー押し出し機の出口に内部圧力を調整するバルブを取り付けた装置であり、ポリ塩化ビニルを300℃以上の高温、高圧下で混練りし、脱塩素を行うものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが従来のこのような装置で脱塩素を行うのは非常に危険が伴っている。まず、プラスチックは10000kcal/kgもの発熱量があるので火災が発生すると容易に消火することはできない。プラスチックは200℃以下の低温で発火する事はないが、基本的にゴミとして収集された廃プラスチックにはさまざまな物質が含まれる。その中には200℃程度でも発火するセルロースなどの物質も多く含まれ、さらにマッチやライター、花火の火薬なども含まれ、そのため大気雰囲気では低温でも廃プラスチックが発火することがある。
【0007】
大気雰囲気にて、廃プラスチックがいったん着火すると、難燃性のポリ塩化ビニルが含まれていても激しく燃え上がり、融けて油状になり広がるので消火は難しい。また、特開平5−245463の装置のように高温,高圧下では塩化ビニルからダイオキシンが生成されることがある。さらに従来の脱塩素装置では投入口への塩化水素の逆流は完全に防げないので作業者は塩化水素に暴露してしまう。
【0008】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、安全に脱塩処理を行なうことができる廃プラスチック処理装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ポリ塩化ビニルを含む廃プラスチックを乾燥させかつ脱気する乾燥ホッパと、乾燥ホッパ内を真空排気する真空ポンプと、回転カッタを有し乾燥ホッパからの廃プラスチックを略真空状態で加熱させながら回転カッタで破断して塩素を発生させる脱塩炉と、脱塩炉内の塩素を排気する真空機構と、真空機構によって排気された脱塩炉からの塩素を回収する塩酸回収塔と、を備えたことを特徴とする廃プラスチック処理装置である。
【0010】
本発明によれば、ポリ塩化ビニルを含む廃プラスチックは乾燥ホッパに投入される。乾燥ホッパ内は真空ポンプにより真空状態に保つことができ、乾燥ホッパ内において廃プラスチックの乾燥と脱気が行なわれる。廃プラスチックはその後脱塩炉に投入され、加熱されて脱塩処理される。廃プラスチックからの塩素は真空機構により塩酸回収塔へ送られ、塩酸回収塔において塩酸として回収される。
【0011】
【発明の実施の形態】
第1の実施の形態
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図4は本発明による廃プラスチック処理装置の第1の実施の形態を示す図である。
【0012】
図1乃至図4に示すように、廃プラスチック処理装置はポリ塩化ビニルを含む廃プラスチックが投入される投入ホッパ1と、投入ホッパ1に弁4を介して接続され、投入ホッパ1からの廃プラスチックを乾燥させかつ脱気させる乾燥ホッパ3と、乾燥ホッパ3の下方にシャッタ弁11および連結弁12を介して接続され廃プラスチックを略真空状態で加熱させてポリ塩化ビニルから塩素を発生させる脱塩炉14とを備えている。
【0013】
このうち投入ホッパ1の下部には、圧縮空気を供給する空気配管2が接続されている。また乾燥ホッパ3には吐出配管9aが取付けられ、この吐出配管9aには乾燥ホッパ3内を真空状態とする真空ポンプ5が弁8を介して接続されている。さらに乾燥ホッパ3の吐出配管9aには、弁9を介して凝縮器6と吸込ブロア7が接続され、また吐出配管9aは弁10を通して大気に連通自在となっている。
【0014】
また脱塩炉14内には、ギア減速モータ17により回転駆動される回転カッタ16が配置されており、この回転カッタ16によって廃プラスチックが破断されるようになっている。また脱塩炉14には、熱媒が流入する熱媒ジャケット15が配設され、熱媒ジャケット15内の熱媒は燃焼ガスジャケット23内でバーナ22により燃焼する燃焼ガスによって加熱される。またバーナ22には燃料が流量調整弁20を介して流入し、同時にバーナ22に空気が流量調整弁21を介して流入する。これら流量調整弁20,21は熱媒ジャケット15内に配置された熱電対18からの信号により制御装置19により制御されるようになっている。また脱塩炉14の上部と乾燥ホッパ3との間には、弁13を有する排気管24が設けられている。
【0015】
また脱塩炉14には、溶融プラスチックを冷却固化して回収するプラスチック冷却固化装置26が、弁27を有する排出管25を介して接続されている。さらに脱塩炉14には弁80を介して、回収槽44を有するテレフタル酸回収装置28が接続されている。またテレフタル酸回収装置28には、真空機構29、凝縮器30、凝縮油・塩酸受タンク31、活性炭タンク32、塩酸回収塔33、および活性炭タンク34が順次接続されている。さらにまた活性炭タンク34には、低級炭化水素ガスを回収する低級炭化水素ガス回収タンク35が接続されている。
【0016】
次に図2により乾燥ホッパ3の詳細を説明する。乾燥ホッパ3の内部には羽根37を有する撹拌板(移送装置)36が取り付けられている。羽根37は乾燥ホッパ3下部のレデューサ部3aの壁面と平行に取り付けられている。羽根37を有する撹拌板36はモータ38により回転する。モータ38が消費する電流は、図示しない電流計および表示器により監視できるようになっている。モータ38には通常減速歯車が組み込まれたものが用いられ、出力軸回転数は60rpm以下で十分である。
【0017】
また乾燥ホッパ3の吐出配管9aには、乾燥ホッパ3内の端部に金網39が設けられ、また乾燥ホッパ3のレデューサ部3aにはリブ40が取付けられている。
【0018】
次に図3および図4にテレフタル酸回収装置28の詳細を示す。テレフタル酸回収装置28は側壁28aを有し、側壁28a内に複数の羽根41が設けられたシャフト41aが配置され、シャフト41aはモータ42に接続されている。またテレフタル酸回収装置28の側壁28a外周には、冷却ジャケット43が設けられ、さらに側壁28a下方に回収槽44が取付けられている。
【0019】
なお、シャフト41aに対して複数の羽根41は傾斜している(図4)。
【0020】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0021】
ポリ塩化ビニルを含む廃プラスチックは、あらかじめ適当な大きさに破砕してフラフ状に加工した後、投入ホッパ1に投入される。投入ホッパ1内の廃プラスチックは空気配管2からの圧縮空気により撹拌される。
【0022】
次に弁4,9を開けて吸込ブロワ7を起動し、廃プラスチックを空気と一緒に乾燥ホッパ3内に投入する。吸込ブロワ7が取り付けられている吐出配管9aには、図2に示すように金網39が設けられているので、乾燥ホッパ3内に吸い込まれた廃プラスチックは吸込ブロワ7によって吸い出されることはない。
【0023】
次に弁4を閉じ、弁13を開けて、脱塩炉14内の熱風を乾燥ホッパ3内部に導入し、乾燥ホッパ3内部の廃プラスチックの乾燥を行う。熱風は脱塩炉14のバーナ22からの排気ガスを排気管24を通して乾燥ホッパ3内に供給される。バーナ22からの排気ガスは300℃を超える高温なので、排気管24には図1に示すように外気の吸い込み口24aが設けられており、弁13を通る熱風の温度は100℃程度になる。乾燥ホッパ3の内部で羽根板37を有する撹拌板36が回転しているため、乾燥ホッパ3内部に投入されたフラフ状の廃プラスチックは撹拌されながら熱風によって加熱され乾燥していく。廃プラスチックに含まれる水分は蒸気となり、大量に吸い込まれた空気と一緒に乾燥ホッパ3の外に排気され、その後蒸気は吸込ブロア7により吸出され、凝縮器6により凝縮回収される。
【0024】
投入した廃プラスチックが乾燥すると撹拌板36の駆動用モータ38の電流がさがるので、乾燥状態の目安となる。なお、凝縮器6と弁9の間に湿度計を設けておけば同様に廃プラスチックの乾燥状態を知ることができる。これは乾燥ホッパ3内の湿度は乾燥が進むにつれ下がっていくためである。また乾燥ホッパ3に入る熱風の温度と、出て行く熱風の温度差により乾燥状態を判定することができる。すなわち乾燥が終了した状態では入り口温度と出口温度の差は無くなるため、このような方法で乾燥状態を監視することができるが、通常フラフ状の廃プラスチックに含まれる水分は20%を超えることはほとんど無いので通常ある一定時間乾燥を行えば十分である。
【0025】
廃プラスチックが十分乾燥したら、吸込ブロワ7を停止し弁9,13を閉め、弁8を開けて真空ポンプ5を起動し、真空ポンプ5により乾燥ホッパ3の内部の空気を十分に排気する。このとき例えば0.2気圧以下まで乾燥ホッパ3内を減圧する。
【0026】
次に弁8を閉じ、真空ポンプ5を停止させ、シャッター弁11と連結弁12を開ける。シャッター弁11は予め80℃以下の温度にまで冷却しておく。この間廃プラスチックは乾燥ホッパ3内部で羽根37を有する撹拌板36と一緒に回っているが、乾燥ホッパ3内部に設けられたリブ40にひっかかって下に落ちていき、脱塩炉14の中にはいっていく。
【0027】
すべての廃プラスチックが脱塩炉14内部に入ると、撹拌板36のモータ3の電流値が空回しのときと同じになるので、内部を目視確認しなくても廃プラスチックがすべて脱塩炉14に入ったことを知ることができる。もちろん、確認の窓を乾燥ホッパ3に設けておいても良い。
【0028】
その後脱塩炉14に廃プラスチックを供給した後、シャッター弁11と連結弁12を閉めて、次に投入する廃プラスチックの乾燥を始める。まず、弁10を開け、外部から空気を導入する。この時金網39には乾燥ホッパ3側へ空気が流れるので、細かな廃プラスチックが金網39の目に詰まっても空気の流れによって吹き飛ばされ、金網39はきれいな状態に戻る。弁9を閉めると最初の状態に戻るので、再び投入ホッパ1にフラフ状に粉砕した廃プラスチックを投入し、弁4と9を開けて廃プラスチックを乾燥ホッパ3の中に吸い込んで、以上説明した手順を繰り返す。
【0029】
次に脱塩炉14の作用について述べる。脱塩炉14には熱媒ジャケット15が設けられていて、その中には熱媒が封入され、この熱媒はバーナ22により加熱される。また熱電対18により熱媒の温度が測定され制御装置19により流量調整弁20,21が制御されて、バーナ22への供給燃料と空気の量が調整される。
【0030】
熱媒シャケット15の内部には熱媒だけを封入するので、熱媒は蒸気と液体との飽和状態になる。熱サイホンやヒートパイプと同じ原理により、脱塩炉14の内壁は均一な温度に保たれ、熱媒の温度は300℃から350℃の範囲に設定される。このとき温度が高いほうが脱塩素処理に要する時間が短いが、熱媒の寿命が短くなる傾向があるので330℃程度が妥当である。
【0031】
ところで脱塩炉14の内部では回転カッタ16が回転していて、高温で溶融した廃プラスチックを撹拌し、ポリ塩化ビニルから脱塩素により発生した塩化水素ガスが蒸発するのを促進する。すなわち回転カッタ16は半溶融状態の廃プラスチックを切り裂き表面積を増大させるので、脱塩素反応を促進させることができる。脱塩素により発生した塩化水素ガスと、その時同時に発生する有機ガスは真空機構29により脱塩炉14から吸い出される。この間、脱塩炉14内部には廃プラスチックがフラフの状態で約半分くらい充填されている。
【0032】
一般に、廃プラスチック中にはポリエチレンテレフタレート(PET)が含まれ、脱塩素を行うと同時にPETが分解してテレフタル酸が発生する。このテレフタル酸はテレフタル酸回収装置28により結晶化されて回収される。すなわちテレフタル酸回収装置28の内部には羽根41が取付けられたシャフト41aが矢印Aの方向に回転している。羽根41はシャフト41aに傾いて取り付けられているので、周囲のガスには回転と同時に下向きに流れようとする力が働く。ガス流路は羽根41よりも大きく、また羽根41の回転により発生する流れよりも軸方向のガスの平均流速はずっとおそいので、羽根41の周囲には図4に示すような流れBが発生する。そのような流れが発生することによりガスは側壁28aとよく接触し、冷却される。強い遠心力を受けて冷却された微少なテレフタル酸の結晶は側壁28aに押し付けられ、側壁28aに付着してさらに成長した後、はがれ落ちて側壁28aの下部に設けられた回収槽44に溜まる。テレフタル酸以外に、水分、DOPや分子量の大きい有機物は、テレフタル酸回収装置28でトラップされ、同時に回収槽44に溜まる。回収槽44内のテレフタル酸等はバルブ80を閉め、パージガスを適当な時間流したあと、回収槽44を取りはずして回収される。
【0033】
テレフタル酸回収装置28を通ったあとのガスは塩化水素ガスと分子量が小さい有機ガスと水蒸気から構成される。これらのガスは真空機構29で大気圧となるよう調整され、凝縮器30へと送られる。凝縮器30には0℃程度までガスが冷却され、水分と有機ガスが取り除かれる。水分が凝縮すると水分に塩化水素ガスが溶け込み、濃塩酸となる。凝縮器30は塩酸により腐食されないようにグラファイトやテフロン、塩化ビニルで製作された熱交換器が用いられている。
【0034】
水分の凝縮により生成された塩酸と凝縮した有機物(凝縮油)は凝縮油・塩酸受タンク31に溜まる。残りのガスは塩化水素ガスと低分子量(C12以下)の有機ガスだけになる。このガスは次に活性炭タンク32に送られ、C6〜C12のガスが活性炭に吸収される。次にガスは塩酸吸収塔33に送られ、塩化水素ガスは塩酸として回収される。C5以下のガスは水にほとんど溶けないので塩酸吸収塔33および活性炭タンク34を経て低級炭化水素ガス回収タンク35に送られ、この低級炭化水素ガス回収タンク35に回収される。
【0035】
このように本実施の形態によれば、廃プラスチックは一旦乾燥ホッパ3内で乾燥、脱気された後、脱塩炉14中に投入される。そのため廃プラスチックを投入する際に空気が脱塩炉14内部に入ることを防ぐことができるので、火災や、ダイオキシンの生成を防ぐことができる。また、脱塩炉14内への空気の混入を完全に防ぐことができるので、脱塩反応の際に発生するメタンやプロパン、ブタンなどの低級炭化水素ガスも燃料として回収することができる。
【0036】
一般にフラフ状の物質の移送は、通常空気の流れを利用して行うのが効率的である。真空にするとフラフ状の物質は強固にブリッジを構成することがあるため、スクリューコンベヤなどを使う方法はあるが、スクリューコンベヤは速度が遅いのでフラフ状の物質の移動には適しない。
【0037】
本発明によれば、上述したような羽根37を有する撹拌板36とリブ40との働きにより、真空状態でもフラフ状の廃プラスチックを脱塩炉14に移送することができる。ところで脱塩炉14は300℃以上の高温になるので、連結弁12の温度も高くなり、連結弁12に廃プラスチックが接触していると連結弁12の上で廃プラスチックが溶けることになる。このときシャッター弁11を設けることにより連結弁12の入り口で廃プラスチックが溶けて詰まることを避けることができる。またシャッター弁11の径をバルブ12よりも若干小さくしておくと、廃プラスチックフラフの連結弁12の壁面への溶融付着を避けることができ、スムースに廃プラを投入することができる。
【0038】
また脱塩炉14はバーナ22で加熱された熱媒により加熱されるが、脱塩炉14の炉壁は熱媒蒸気の凝縮によって加熱されるので蒸気の飽和温度できまる温度に均一に加熱される。脱塩炉14の炉壁の温度は300℃から350℃程度の範囲に設定されるので、加熱後のバーナ22からの燃焼ガス温度は350℃程度になる。
【0039】
本実施の形態では、乾燥ホッパ3に脱塩炉14からの廃ガスを外気と混合して供給している。それゆえ、脱塩炉14の加熱に必要なエネルギーを無駄無く使うことができる。ところで、廃プラスチック中に水分が含まれていると、それらは脱塩炉14内において高温と真空圧力のためすべて蒸発する。蒸発した水蒸気はテレフタル酸回収装置28、真空機構29、および凝縮器30へ順次送られ、周囲の塩酸を吸収して濃塩酸となる。これら装置28,29,30における濃塩酸の量が多いと、塩酸吸収塔33で製造される塩酸の量が著しく減少してしまう。同時に、テレフタル酸回収装置28で回収されるテレフタル酸に塩酸が混入してしまい、著しくリサイクルを困難にする。本発明によれば乾燥ホッパ3を設けたので、廃プラスチックの水分含有量を適切な0.2%以下とすることができる。また、本実施の形態ではテレフタル酸をテレフタル酸回収装置28により分離回収できるので、テレフタル酸による管閉塞や真空ポンプのトラブルを避けることができ、テレフタル酸のリサイクルも可能となる。一般家庭から排出される廃プラスチックは主にポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(以下塩ビ)、PETで構成されるが、そのような組成の廃プラスチックの脱塩素を300℃〜350℃程度で行うと、発生した塩酸の影響でPETが分解してテレフタル酸が生成される。PETはPETボトルなどを取り除いても最大10%程度、廃プラスチックの中に混入しているので、大量のテレフタル酸が発生することになる。このテレフタル酸は大気圧条件で300℃以下では結晶化する性質があり、テレフタル酸が結晶化すると配管を閉塞させたり、あるいは真空ポンプを詰まらせたりする。この場合、テレフタル酸の蒸気を冷却していくと、非常に微細な結晶を生じる。この結晶は非常に微細なので脱塩素炉圧力条件(0.01気圧〜0.5気圧)でも塩化水素ガス中を浮遊し、塩素水素ガスの流れに乗って真空ポンプに吸い込まれて大きな結晶となって真空ポンプを詰まらせたり、あるいは真空ポンプの吸い込み管を詰まらせたりする。本発明によれば、テレフタル酸の結晶に対して羽根41により遠心力と剪断を加えることができる。このときテレフタル酸の結晶は壁面で成長し、高効率で回収できる。
【0040】
また本発明では塩酸吸収塔33の前後に活性炭タンク32と34を設けているが、活性炭はC6からC12くらいの有機物を非常に良く吸収する。また、C13以上の有機物はほとんど凝縮器30において凝縮して回収される。このため塩酸吸収塔33にはC5以下の有機物と塩化水素ガスが流れ込む。C5以下の有機物はほとんど水に溶けないが、たとえ溶けても製造された塩酸の品質を著しく落とさない。それゆえ本発明によれば非常に良質の塩酸を得る事ができ、塩酸のリサイクルが可能になる。
【0041】
第2の実施の形態
次に図5により本発明の第2の実施の形態について説明する。図5に示す実施の形態はテレフタル酸回収装置28の側壁28a内に、支持棒48によって支持されたリング47を配置したものであり、他は図1乃至図4に示す第1の実施の形態と略同一である。図5において図1乃至図4に示す第1の実施の形態と同一部分は同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0042】
図5において脱塩素反応時に発生したテレフタル酸は、冷却されて側壁28aの壁面に付着する。この場合、支持棒48を上下方向へ移動させることにより、側壁28aに付着したテレフタル酸を上下に移動するリング47によって剥ぎおとし回収することができる。
【0043】
一般に脱塩素反応時に発生しテレフタル酸回収装置28で回収されるテレフタル酸結晶は、廃プラ中に含まれる水分や可塑材(DOPなど)の量によってかなりその性状を変える。テレフタル酸は純粋な状態では粉のようになって回収されるが、水分やDOPの混入割合によっては粘土状になり流動性を失うことがある。本実施の形態によれば、リング47を用いることで側壁28aの壁面に付着した粘土状のテレフタル酸の結晶を剥ぎ取ることができ、長期間初期性能を維持することができる。
【0044】
第3の実施の形態
次に図6により本発明の第3の実施の形態について説明する。図6に示す実施の形態は、テレフタル酸回収装置28の各羽根41がその先端に拡大部41bを有するとともに、この拡大部41bがシャフト41aに対して傾斜し、羽根41の拡大部41b周囲に下向きの流れが生じるようになっている。
【0045】
他は図1乃至図4に示す第1の実施の形態と略同一である。図6において、図1乃至図4に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0046】
図6において、シャフト41aおよび羽根41の回転によって羽根41の拡大部41b周囲に下向きの流れが生じる。
【0047】
シャフト41aおよび羽根41の回転によりガスは撹拌され、回転すると同時に羽根41の拡大部41bの周りに複雑な流れがおきる。ガスは側壁28aの壁面にまんべんなく接触し冷却される。テレフタル酸は側壁28aによって冷却されて結晶化し、ガスの遠心力と羽根41の拡大部41b周りの流れによって側壁28aの壁面でその結晶を成長させる。側壁28aに付着したテレフタル酸は羽根41の拡大部41aによりかきとられて回収槽44へと落ちる。
【0048】
本実施の形態では、羽根41の回転により側壁28aの壁面に付着したテレフタル酸が削り取られるので取り扱いが簡単になる。また羽根41の拡大部41bによりガスを撹拌する効果は非常に大きいので、側壁28aを有効に使うことができ性能が高い。なお、拡大部41bを有する羽根41をスクリューとして用いても良い。
【0049】
第4の実施の形態
次に図7により本発明の第4の実施の形態について説明する。図7に示す第4の実施の形態はテレフタル酸回収装置28と真空機構29との間に、テレフタル酸回収装置28からのガスを断熱膨張させるノズル49と、ノズル49に連結された回収槽50を設け、回転カッタ16駆動用のモータ17に電流センサ52を設けるとともに電流センサ52の信号に基づいてインバータ51によりモータ17を制御するようにしたものである。
【0050】
図7において、図1乃至図4に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0051】
図7において、テレフタル酸回収装置28を通過したガスはノズル49を通過し、流速を速める。この時ガスは流速の上昇に合わせて圧力が下がり、断熱膨張するので温度が若干さがる。この冷却効果と流速が速くなったことによる乱流撹拌効果によって、ガス中に残存するテレフタル酸は結晶化し、回収槽50に落ちる。
【0052】
一方モータ17には電流センサー52とインバータ51が取り付けられている。モータ17の出力トルクは電流値にほぼ比例するため、電流を検出してその電流値が一定になるようにインバータ51によりモータ17を制御すると、モータ17の出力トルクはほぼ一定になる。
【0053】
本実施の形態によれば、テレフタル酸回収装置28を通過した後のガスにも若干のテレフタル酸が残っている。このテレフタル酸をノズル49によって断熱膨張させることで、ガスの温度を下げるとテレフタル酸はノズル49内で結晶化して回収槽50へと落ちていく。このことにより、真空機構29側に吸い込まれるテレフタル酸の量を減少させることができる。テレフタル酸は真空機構29の圧縮の過程で結晶化し、真空機構29内部に溜まる。そのため真空機構29は定期的に内部を掃除することが必要となるが、ノズル49と回収槽50を設けることにより、メンテナンス周期を長くすることができる。
【0054】
また、モータ17に流れる電流値が一定になるように制御することにより、モータ17を一定トルクで運転することができ、モータ17の大きさを小さくすることができる。脱塩処理を行うため廃プラスチックをあらかじめ350℃に加熱された脱塩炉14に入れると、廃プラスチックは徐々に加熱されて、溶融し最終的には350℃まで温度は上がっていく。この加熱の過程で廃プラスチックの性状は大きく変化する。投入直後はフラフ状であり、回転カッタ16を脱塩炉14内で回転させるトルクは非常に小さい。
【0055】
脱塩炉14の壁面に付着した廃プラスチックが溶融し、温度が上がっていくにつれ、廃プラスチックの粘度は急激に増大する。フラフ状廃プラスチックの粘度は150℃から200℃程度で最大になり、温度が上がり完全に溶融する250℃を超えると小さくなる。回転カッタ16を回転させるために必要なトルクは回転速度の二乗に比例するので、回転数を下げることでモータ17のトルクを減少させることができる。モータ17に流れる電流値はモータの出力に比例しているので、電流値が一定になるように回転数を制御することにより、一定回転数で運転した場合に比べてトルクの大きくなる温度領域を小さなトルクで通過することができる。そのためモータ、減速ギヤ、回転カッターシャフトをすべてより小さく設計できるので、装置製作に必要なエネギーを減少させることができる。
【0056】
また常にトルクを一定で運転させることで、廃プラスチックの粘度の低い領域では高い回転数で運転することになる。脱塩炉14の加熱壁からプラスチックへの熱伝達は回転数に比例して良くなるので、回転数が高い分だけ速く処理を済ませることができ、効率も向上する。
【0057】
第5の実施の形態
次に図8により本発明の第5の実施の形態について説明する。図8に示す第5の実施の形態は、吸込ブロア7と凝縮器6を除くとともに、乾燥ホッパ3と真空ポンプ5との間にドレンタンク58を設け、排気配管24の代わりに乾燥ホッパ3に熱媒ジャケット53を設け、この熱媒ジャケット53に熱媒加熱循環装置54を接続したものである。
【0058】
他は図1乃至図4に示す第1の実施の形態と略同一である。図8において、図1乃至図4に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0059】
図8に示すように乾燥ホッパ3aの上部には、内部に冷却水を通す冷却管コイル55が設けられている。また冷却管コイル55の下にはドレン受56があり、ドレン受56の内側にはメッシュ57が設けられている。ドレン受56はドレンタンク58に接続され、さらにドレンタンク58は真空ポンプ5に接続されている。またドレン受56の下面にはスイッチ59が取り付けられ、乾燥ホッパ3の最下部には光式センサー59b,59cが備えてある。
【0060】
図8において乾燥ホッパ3には真空ポンプ5を作動させ廃プラスチックのフラフが吸い込まれる。所定量吸い込まれるとスイッチ59が廃プラスチックにより押されてONとなり、吸い込みのための真空ポンプ5を止める。乾燥ホッパ3の熱媒ジャケット53には温度100℃くらいの熱媒体が循環されており、吸い込まれた廃プラスチックのフラフは羽根37を有する撹拌板36で撹拌されながら加熱される。次に乾燥ホッパ3内部は真空ポンプ5により排気され真空にされる。このとき廃プラスチック中に含まれる水分は加熱により蒸発し、冷却管コイル55表面で凝縮してドレン受56に落下し、ドレン受56内の凝縮水はその後ドレンタンク58に回収される。廃プラスチックの乾燥が終わったらシャッタ弁11を開けて廃プラスチックを脱塩炉14の中に投入するが、廃プラスチックの投入終了は光りセンサー59b,59cの信号により検出される。
【0061】
以上のように、本実施の形態によれば、スイッチ59を設けたことにより乾燥ホッパ3内への廃プラスチックの投入量を簡単に検出することができ、毎回作業者が、投入廃プラの重量や嵩をはかる必要がなくなる。また光センサー59b,59cにより脱塩炉14への投入終了を検出することができる。ところで乾燥ホッパ3内は真空排気されるので、水蒸気だけで満たされることになる。この場合、水蒸気の移動を妨げるものは無いので、蒸発した水蒸気は冷却管コイル55の表面で次々と凝縮していく。このため、非常に効率よく廃プラスチックを乾燥させることができる。また乾燥後にあらためて真空排気する必要がないので、サイクルタイムを減少させることができる。またすでに説明したように廃プラスチックの十分な乾燥によって塩酸回収塔で回収される塩酸の収率があがる。
【0062】
第6の実施の形態
次に図9により本発明の第9の実施の形態について説明する。図9に示す第6の実施の形態は真空機構の構成をより詳細に示したものであり、他は図1に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0063】
真空機構29は上面63aを有する容器63と、容器63内に設けられたシリンダ61と、シリンダ61内に摺動自在に配置されたピストン60とを有し、容器63には吸込管65と吐出管66が各々接続されている。またシリンダ61には穴65aが形成され、さらにシリンダ61上には弁体62が載置されている。またピストン60はロッド64により駆動されるようになっている。
【0064】
このうちピストン60およびシリンダ61は、テフロンやグラファイトなどの塩酸による腐食に非常に強い材料で製造される。また弁体62、容器63も同様腐食に強いテフロン、グラファイト、塩化ビニル、ステンレスなどの材料やそれらの組み合わせで作製される。
【0065】
図9において、ピストン60はシリンダ61内を上下運動する。ピストン60の上死点は弁体62の下面に設定され、ピストン60が上死点まで移動していくと、やがて圧縮によりシリンダ61内部のガスは圧縮され弁体62を押し上げてシリンダ61内を排気する。ピストン60が上死点に達すると、弁体62とピストン60の上面が当接するのでシリンダ61内部のガスは追い出される。
【0066】
次にピストン60は降下する。シリンダ61には穴65aが開けられているが、ピストンの下死点はこの穴65aが完全に開いて、シリンダ61内と吸込管65が連通する位置に定められる。ピストン60が更に下がっていくと弁体62と、シリンダ63と、ピストン60によって囲われている空間はOリングによりシールされているので真空になる。さらにピストン60が下がると穴65aが開く。この時シリンダ61内は真空になっているので吸込管65からガスがシリンダ61内へ吸い込まれる。ピストン60が下死点に達し、次に徐々に上昇していくとシリンダ61内部に吸い込まれたガスは再び圧縮され排気される。
【0067】
本実施の形態によれば、真空機構29では主要な部品であるピストン60とシリンダ61を塩酸に対してまったく腐食されない材料で製造することができる。真空機構29内に水蒸気が吸い込まれると圧縮により凝縮水が生成し、これに塩化水素ガスがとけ込み、濃塩酸ができる。通常の油回転ポンプを使用すると、この濃塩酸による腐食により真空機構が短時間で壊れてしまう。通常の油回転ポンプは比接触式のルーツ真空ポンプ、またはスクリュー真空ポンプからなり、これらは精密加工が必要なので金属材料以外で製造するのは難しい。またステンレスやハステロイなどの耐腐食性の材料を使っても腐食を完全に防ぐことは出来ない。またそれらの材料では精密加工が困難であるので性能の良い真空ポンプができない。また真空ポンプにはテレフタル酸がわずかではあるが吸い込まれるので、それが堆積して吸い込み口、バラスト穴や油循環系に詰まってしまう。吸い込み口が詰まるとそれ以上ガスを吸い込めなくなってしまうので、脱塩素炉内部の圧力が上昇し、ダイオキシンが生成されてしまうだけでなく、爆発などの危険も発生する。
【0068】
本実施の形態によれば、真空機構29はガスの吸い込みが瞬間的におきるのでテレフタル酸により吸込口65や穴65aが詰まる事はない。またたとえテレフタル酸が堆積してもこのテレフタル酸は吸い込みの際の強いガスの流れに乗って吹き飛ばされてしまう。またシリンダ61内に吸い込まれたテレフタル酸もシリンダ61内部で凝縮して発生した塩酸やDOPなどと一緒に出口に排出されてしまうので、詰まりの心配はない。さらにこの構造では、容器63の上面63aを開けることにより弁体62およびシリンダ61内部を簡単に掃除ができ、メンテナンスが非常に容易である。
【0069】
第7の実施の形態
次に図10により本発明の第7の実施の形態について説明する。図10に示す第7の実施の形態は脱塩炉17に接続されたプラスチック冷却固化装置の構造が異なるのみであり、他は図1乃至図4に示す第1の実施の形態と略同一である。
図10に示すように、脱塩炉14には弁27を有する排出管25を介してプラスチック冷却固化装置26が接続され、脱塩炉14と排気管25との間にはスリュー65が配設されている。また排気管25の端部には蓋66が取付けられている。
【0070】
またプラスチック冷却固化装置26内には、外周に凹凸を有する回転円盤67が設けられ、この回転円盤67はモータ68により駆動される。さらにプラスチック冷却固化装置26内には冷却水69が収納されている。
【0071】
またプラスチック冷却固化装置26には、弁71を介して冷却水タンク70が接続されている。さらにプラスチック冷却固化装置26には、配管72を介して凝縮器73、ドレン受タンク74および真空ポンプ75が順次接続されている。
またプラスチック冷却固化装置26の下部には、弁76が取付けられており、弁76の下方にはメッシュ78を有する廃プラ受タンク77が設けられている。
図10において、脱塩炉14における脱塩素が終わった時点でまず弁80を閉める。次に弁27を開けスクリュー65を正回転させ、脱塩炉14内部の溶融廃プラスチックをプラスチック冷却固化装置26内に排出する。スクリュー65は通常の脱塩素運転時には逆回転しており、廃プラスチックを常に脱塩炉14内に押し戻すように運転される。プラスチック冷却固化装置26内に排出された廃プラスチックは、冷却水69により冷却され固体になる。プラスチック冷却固化装置26内はあらかじめ真空排気されており、冷却により発生した水蒸気はただちに配管72を通って凝縮器73で凝縮され、ドレン受タンク74に流れ込む。
【0072】
プラスチック冷却固化装置26内部には円盤67が回転していて、円盤67に当接する溶融廃プラや固体廃プラは弾き飛ばされて粒状になる。十分時間がたった後には粉砕はさらに進み冷却水69の中には粉砕された廃プラスチックが混濁した状態になる。その時点ではプラスチック冷却固化装置内部の水蒸気圧力は下がり、再び真空状態になる。その時点で弁27を閉め、プラスチック冷却固化装置26に空気を注入し弁76を開放する。この場合、プラスチック冷却固化装置26内部の冷却水79と一緒に粉砕された廃プラスチック79が廃プラ受タンク77内へ排出される。廃プラ受タンク77内では適当な大きさのメッシュ78により水を切ると廃プラスチックから作られた燃料が取り出される。
【0073】
本実施の形態では廃プラスチックは冷却と同時に粉砕される。プラスチックは熱伝導が悪く冷却し難いが粉砕しながら冷却するために効率的に冷却が進むメリットがある。またすでに粉砕した廃プラスチックが得られるので燃焼する際に粉砕する必要がなく、また粉砕してあるので輸送が非常に簡単になり、空気流によって輸送したり、また水流に乗せて輸送したりすることもできるようになる。
【0074】
塩化ビニルには炭酸カルシウムが、塩化ビニルの安定化の目的で大量に混入されている場合がある。塩化ビニルから脱塩素を行うと塩化水素が発生するが、この塩化水素が炭酸カルシウムと反応し、塩化カルシウムを作る。そのため炭酸カルシウムが混入されている場合、脱塩素しても塩素が十分に抜けない。ところが塩化カルシウムは水に良く溶けるので、本実施の形態のように冷却水69中で廃プラスチックの粉砕を行うと、水に脱塩素したプラスチック中に含まれる炭酸カルシウムや塩化ナトリウムが溶け出し、脱塩素した廃プラスチック燃料中の塩素濃度が更にさがる。
【0075】
第8の実施の形態
次に図11および図12により本発明の第8の実施の形態について説明する。図11および図12に示す第8の実施の形態は、プラスチック冷却固化装置26内に回転カッタ82とローラ83a,83bを回転自在に設けるとともに、これら回転カッタ82とローラ83a,83bをモータ68により回転させ、脱塩炉14内においてモータ17により回転するシャフト81aにローラ81を固着したものである。
【0076】
他は図10に示す第7の実施の形態と略同一である。図11および図12において図10に示す第7の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0077】
図11において脱塩炉14に投入された廃プラスチックはローラ81で押しつぶされながら脱塩炉14の加熱壁に押し付けられる。廃プラスチック中の塩化ビニルはこのローラ81により偏平になり、増大した表面から脱塩素によって発生した塩化水素ガスを放出する。脱塩素後の廃プラスチックは、スクリュー65により排出される。廃プラスチックの排出前に弁80を閉止し、弁27を開ける。スクリュー65を正回転させると脱塩炉14内部の廃プラスチックはプラスチック冷却固化装置26へと流れ込む。プラスチック冷却固化装置26内部には冷却水69が収納されており、水69中では回転カッタ82とローラ83a,83bが回転している。冷却水69内に落下した高温の溶融廃プラスチックは冷却され固体になる。プラスチック冷却固化装置26の入口は偏芯しているので、固体になった廃プラスチックは折り取られて小さな固まりになる。小さな固まりは表面積が大きいのですぐに冷却され固まり、固まった小塊は次にローラー83a,83bによって粉砕される。廃プラスチックの冷却が終わると、プラスチック冷却固化装置26内部の圧力が下がる。その時点で弁27を閉止し、プラスチック冷却固化装置26内部に空気を導入して弁を開けて廃プラスチックの粉末が混濁した水を廃プラ受タンク77へ排出する。廃プラ受タンク77内でメッシュ78により濾過すると廃プラスチック粉末燃料が選られる。
【0078】
本実施の形態においては脱塩炉14内部にはローラ81aが取り付けられており、ローラ81aによって廃プラスチックを押しつぶすようになっている。廃プラスチックは押しつぶされて脱塩炉14の壁面に押し付けられて薄く延ばされる。この薄く延ばされた部分の廃プラスチックはすぐに溶融し、脱塩素温度以上となって脱塩素がおきる。薄く延ばされた部分以外の廃プラスチックは少しずつ溶けたり崩れたりしてローラ81aの部分に流れ込み順次脱塩素される。そのため脱塩素による塩化水素ガスやその他の分解ガスの発生を平準化することができる。そのため真空機構29やテレフタル酸回収装置28のサイズを小さく設計することができる。またガスの発生が平準化されるので高濃度の塩化ビニルが含まれる際に有利である。なお100%の塩化ビニルを処理する場合には図11に示すローラ81aの代わりに図12に示すようなローラ81b,81cを用いてもよい。
【0079】
図11および図12において、廃プラスチックは冷却されローラ83a,83bにより粉砕して廃プラ受タンク77内へ排出される。粉砕した廃プラスチックは良く燃え、また廃プラスチック中に含まれる塩化カルシウムが粉砕と同時に溶け出るので廃プラスチック燃料中の塩素濃度をさらに下げる効果がある。
【0080】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、乾燥ホッパ内で乾燥し脱気された廃プラスチックが脱塩炉内において加熱されて脱塩処理されるので、脱塩炉内に空気が混入することはない。このため脱塩炉内において、火災やダイオキシンが生成することはなく、安全な脱塩処理を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による廃プラスチック処理装置の第1の実施の形態を示す概略図。
【図2】乾燥ホッパを示す詳細図。
【図3】テレフタル酸回収装置を示す図。
【図4】テレフタル酸回収装置の拡大断面図。
【図5】本発明による廃プラスチック処理装置の第2の実施の形態を示す図。
【図6】本発明による廃プラスチック処理装置の第3の実施の形態を示す図。
【図7】本発明による廃プラスチック処理装置の第4の実施の形態を示す図。
【図8】本発明による廃プラスチック処理装置の第5の実施の形態を示す図。
【図9】本発明による廃プラスチック処理装置の第6の実施の形態を示す図。
【図10】本発明による廃プラスチック処理装置の第7の実施の形態を示す図。
【図11】本発明による廃プラスチック処理装置の第8の実施の形態を示す図。
【図12】図11に示す実施の形態の変形例を示す図。
【符号の説明】
1 投入ホッパ
3 乾燥ホッパ
5 真空ポンプ
6 凝縮器
7 吸込ブロア
14 脱塩炉
16 回転カッタ
22 テレフタル酸回収装置
29 真空機構
30 凝縮器
31 凝縮油・塩酸受タンク
32,34 活性炭タンク
33 塩酸回収塔
35 低級炭化水素ガス回収タンク
36 撹拌板
37 羽根
41 羽根
41a シャフト
41b 拡大部
47 リング
48 支持棒
Claims (11)
- ポリ塩化ビニルを含む廃プラスチックを乾燥させかつ脱気する乾燥ホッパと、
乾燥ホッパ内を真空排気する真空ポンプと、
回転カッタを有し、乾燥ホッパからの廃プラスチックを略真空状態で加熱させながら回転カッタで破断して塩素を発生させる脱塩炉と、
脱塩炉内の塩素を排気する真空機構と、
真空機構によって排気された脱塩炉からの塩素を回収する塩酸回収塔と、を備えたことを特徴とする廃プラスチック処理装置。 - 脱塩炉内に廃プラスチックを押しつぶす回転ローラが設けられていることを特徴とする請求項1記載の廃プラスチック処理装置。
- 乾燥ホッパ内に廃プラスチックを脱塩炉側へ送り込む移送装置が設けられていることを特徴とする請求項1記載の廃プラスチック処理装置。
- 脱塩炉と真空機構との間に、脱塩炉から送られるガス中のテレフタル酸を回収するテレフタル酸回収装置を設け、
このテレフタル酸回収装置は側壁と、側壁を冷却してテレフタル酸を凝縮させる冷却手段と、
テレフタル酸を撹拌する撹拌装置を有することを特徴とする請求項1記載の廃プラスチック処理装置。 - テレフタル酸回収装置は、側壁内に付着する付着物を掻き落とす掻落手段を有することを特徴とする請求項4記載の廃プラスチック処理装置。
- テレフタル酸回収装置と真空機構との間に、テレフタル酸回収装置からのガスを断熱膨張させるノズルを設けたことを特徴とする請求項4記載の廃プラスチック処理装置。
- 脱塩炉の回転カッタは、その出力トルクが一定となるよう駆動制御されることを特徴とする請求項1記載の廃プラスチック処理装置。
- 乾燥ホッパへ投入される廃プラスチックの投入量を検出する手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の廃プラスチック処理装置。
- 廃プラスチックの乾燥状態を監視する手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の廃プラスチック処理装置。
- 真空機構は、各々の内面が耐食性材料からなるシリンダと、ピストンとを有することを特徴とする請求項1記載の廃プラスチック処理装置。
- 脱塩炉に、脱塩炉から生じる溶融プラスチックを冷却固化して回収するプラスチック冷却固化装置を接続したことを特徴とする請求項1記載の廃プラスチック処理装置。
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