JP2004269838A - 塩化ビニール混入廃プラスチックの油化方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】PVC、PET混入廃プラスチックを対象とする油化装置を提供する。
【解決手段】消石灰粉末12を廃プラスチック原料13とともに分解槽3に投入し攪拌昇温し、150〜250℃の間の分解槽内の昇温勾配を150℃/h以下とし緩やかに昇温し、先ず溶融PVC内部での消石灰の濃縮を促進し、次に200℃付近の温度域から溶融PVCの第1次の分解(脱塩素分解)で発生する塩素ガスを消石灰で捕捉する。消石灰粒子は通常1〜10ミクロンと大きいため塩素の捕捉で発生する塩化カルシウムは消石灰粒子とともに熱分解槽内にとどまる(消石灰粒子の固定化作用)。
またPVCの第2次の分解で発生するテレフタール酸およびPETの分解で発生する安息香酸も消石灰粒子で分解槽内に捕捉固定化される。
【選択図】 図5
【解決手段】消石灰粉末12を廃プラスチック原料13とともに分解槽3に投入し攪拌昇温し、150〜250℃の間の分解槽内の昇温勾配を150℃/h以下とし緩やかに昇温し、先ず溶融PVC内部での消石灰の濃縮を促進し、次に200℃付近の温度域から溶融PVCの第1次の分解(脱塩素分解)で発生する塩素ガスを消石灰で捕捉する。消石灰粒子は通常1〜10ミクロンと大きいため塩素の捕捉で発生する塩化カルシウムは消石灰粒子とともに熱分解槽内にとどまる(消石灰粒子の固定化作用)。
またPVCの第2次の分解で発生するテレフタール酸およびPETの分解で発生する安息香酸も消石灰粒子で分解槽内に捕捉固定化される。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は廃プラスチックのケミカルリサイクル技術に関し、特に家庭および工場から排出されるプラスチックゴミ(以下廃プラスチックと略記する)の油化技術に関する。国内で家庭から排出されるプラスチックゴミには不可避的にPVCが混入しており、地域とか季節により若干の変化は生じるが概略5〜10%(重量%)の範囲である。また工場から排出されるプラスチック廃棄物ではPVCは分別排除されるが不可避的に数%混入する場合が多い。
【0002】
【請求項1】
【請求項2】の発明
【従来の技術】
従来の廃プラスチック油化の装置を図13にしめす。廃プラスチック1を、加熱脱塩素手段2、熱分解手段3、分解ガス冷却手段4で順次処理し、再生油を再生油回収手段5で回収するものである。加熱脱塩素手段2で発生するガス(塩化水素、水蒸気、可燃ガスの混合ガス:以下脱塩ガスと略記する)は脱塩ガス処理手段6で無害化する。また熱分解で熱分解手段3に残留する灰分、炭化物等は残さとして残さ回収手段7で回収する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
熱分解の際に混入PVCから塩化水素ガスが発生し機器の腐食ならびに分解油の酸性化をもたらすため、熱分解の前に脱塩素処理を行なっているが完全な除去は不可能である。また塩化水素とともにテレフタール酸を主体とする有機酸が発生し、ガス配管、油配管内で析出する。このため再生油の酸性化、各種配管の短期間での閉塞等の問題が山積し、問題解決に多大な設備コストを要するため廃プラスチック油化装置の普及の障害になっている。
【0004】
本発明の目的はPVC、PET混入廃プラスチックを対象とするシンプルで、実用的な廃プラスチックの油化方法ならびに廃プラスチックの油化装置を提供するものである。
【0005】
【請求項1】の発明
【問題を解決するための手段】
PVCの分解によって発生する塩素を消石灰粉末で完全固定するため本発明者が鋭意検討したところ、次の結論を得た。
【0006】
1)PVCの先行溶融:PVCは加熱昇温の際に原料中の他のプラスチックに先行して溶融する。溶融開始温度は概略150℃前後である。
【0007】
2)溶融PVC中での消石灰の濃縮:原料に添加した消石灰粉末は溶融PVCのハエとり紙効果で溶融PVC中に取り込まれ濃縮される。溶融PVC中では消石灰の濃度が初期添加濃度の通常10〜20倍に高まる。
【0008】
3)重金属の触媒作用によるPVC分解温度の低下:原料に混入する重金属の触媒作用でプラスチックの分解温度は50℃程度低下する。このため200℃付近でPVCの第1次の熱分解(脱塩素分解)が始まる。
【0009】
4)消石灰粒子による塩素の固定:消石灰の濃縮効果と緩やかな昇温効果により塩素ガスは消石灰粒子表面に塩化カルシウムとして補足される。
【0010】
本発明は上記の知見に基づくものであり、塩化ビニール(PVC)が混入する廃プラスチックを原料として、これを加熱昇温し熱分解して再生油を得る際に、原料にPVC混入率の0.7倍以上(好ましくは1倍以上)の消石灰粉末を添加して攪拌昇温し、かつ昇温過程でPVCの溶融開始温度付近から溶融PVCの第1次の分解(脱塩素分解)終了温度付近までの時間を40分以上(好ましくは60分以上)とし、PVCの分解で発生する塩化水素を消石灰粉末に固定し、分解ガスから高度に除去するものである。
【0011】
【発明の実施形態】
本発明の作用を図1〜図4を用いて説明する。
150℃付近の温度域からプラスチックごみのうちPVCがまず溶融する。この様子を図1に示す。添加した消石灰はハエとり紙効果で順次溶融PVCに移行し濃縮混練りされる。PVCのみが溶融していると仮定し、添加消石灰濃度をA%、PVC濃度をB%とすると溶融PVC中の消石灰濃度A1%は数式 数1に近ずく。すなわち消石灰はPVC中で100/B倍の濃縮となる。仮にBを5%とすれば20倍濃縮となる。
A1=A×100/B 数1
【0012】
200℃付近の温度域から溶融PVCの第1次の分解(脱塩素分解)が始まり、塩素ガスが発生する。消石灰の濃縮効果で発生した塩素は100%消石灰と反応すると考えられるが、100%反応のためには緩やかな塩素ガスの発生が必須の条件である。このため本発明者は昇温時間(もしくは昇温勾配)の重要性に着目し昇温勾配と塩素除去率に関する図2の特性図を得た。図2から150〜250℃の昇温勾配を140℃/h 以下とし(所要時間で40分(0.67時間)以上)緩やかに昇温すると塩素ガスは99%消石灰粒子表面に塩化カルシウムとして補足されることが判明した。昇温勾配で100℃/h 以下では(昇温時間1時間以上)塩素ガスは99.7%以上補足される。
【0013】
250℃付近で第1次の分解は終了し、300℃付近からは塩素ガスを発生しない第2次の分解が始まる。この温度域では他のプラスチックも分解(ガス化もしくは炭化)を開始する。
【0014】
図3は消石灰添加率と塩素除去率との関係を示す特性図である。横軸は混入PVCに対する消石灰の添加倍率とした。酸化カルシウム純度の高い工業用消石灰の場合塩素除去に必要な化学量論的な消石灰添加比率(添加率)はPVC混入率の0.5倍であるが、0.5倍の添加率で塩素除去率は75%程度、0.7倍の添加率で塩素除去率は90%程度、99%除去率を得るためには0.8倍程度の添加率が必要である。
【0015】
実用上の添加率の決定においては消石灰粒子の深部は反応に寄与しないため化学量論的な添加率の2倍程度を目安とするのが妥当である。消石灰の添加率の決定作業は産業プラスチックゴミと家庭プラスチックゴミとでは若干異なり、以下の手順で決定するのが好ましい。
【0016】
家庭プラスチックゴミのケース:PVCの混入比率は国民のライフスタイル、行政指導の有無により年々変化し、また季節、地域によっても異なり、混入比率を正確に把握することは困難である。各種の資料から推測すると2000年時点の国内の平均的なPVCの混入比率は5%程度である。このため化学量論的消石灰添加比率(2.5%、(5×0.5=2.5))の2倍の5%を目安とし、数回の運転結果から(回収油のpHならびに有機塩素濃度)添加率の修正をし、回収油のpHが5〜8で有機塩素濃度が100mg/l 以下となるように添加率を決定する。年間を通しての運転ではPVCの混入比率が季節により数%変化するため、1〜3ヵ月毎に消石灰添加率の見直しを行うのが有効である。
【0017】
産業プラスチックゴミのケース:生産工程ゴミ、減容成形ゴミではPVCの混入比率が判明している場合が多い。このため化学量論的な添加率の2倍程度を目安とし、数回の運転結果(再製油のpH、有機塩素濃度)から添加率の修正をする。
【0018】
消石灰粒子は通常1〜10ミクロンと大きいため塩素の捕捉で発生する塩化カルシウムのほとんどは消石灰粒子に補足され図4の状態で熱分解槽内にとどまり、塩化カルシウムが分解ガスに同伴流出する比率は極めて小さい。本発明者はこの作用を消石灰粒子の固定化作用となづけた。
【0019】
本発明者は各種配管閉塞物の観察、文献調査により配管閉塞物の主要因がPVCの第2次の分解で発生するテレフタール酸およびPETの分解で発生する安息香酸であることをと発見した。また消石灰粉末はテレフタール酸および安息香酸の捕捉固定化にも極めて有効であることを明らかにしている(特願2000−374559)。
【0020】
添加した消石灰のうち化学量論的消石灰添加比率相当量の消石灰は塩化カルシウムとなるが、残余の消石灰はテレフタール酸および安息香酸を捕捉固定化する。このため配管閉塞はほとんど発生しなくなる。
【0021】
有機酸捕捉に必要な消石灰の添加率は小さく、おおむね1%程度である。このため先に述べた消石灰の添加率決定手順で定めた添加率を実行すると、自然にテレフタール酸および安息香酸が捕捉固定化される。
【0022】
例えば純度の高い工業用消石灰の場合化学量論的な添加率はPVCの0.5倍プラスPETの0.1倍である。家庭プラスチックゴミの場合2000年時点の国内の平均的混入比率はPVCは5%程度、PETは10%程度である。このため化学量論的消石灰添加比率は3.5%(5×0.5+10×0.1=3.5))である。
【0023】
以上説明した
【請求項1】の発明によれば以下の効果が得られる。
1)PVC、PET混入廃プラスチックの油化が可能になる。
2)再生油中の塩素(塩素ガスもしくは塩化水素の形態)は容易に100mg/l以下となり、再生油の用途が広がる。
3)配管閉塞が抑制可能になる。
【0024】
【請求項2】の発明
【発明の実施形態】
本請求項は
【請求項1】の発明の作用を用いるもので、構成を図5に示す。
縦型の分解槽10、分解槽の攪拌機11、分解槽の加熱手段12、分解ガスの冷却手段4、再製油の回収手段5等で構成した塩化ビニール混入廃プラスチックの油化装置において、袋入りの消石灰粉末13を廃プラスチック原料14とともに分解槽10に投入し攪拌昇温し、分解槽10内の温度が150℃に到達した時点で昇温勾配を調整し、150〜250℃の間の分解槽10内の昇温勾配を150℃/h以下(好ましくは100℃/h以下)に保つものである。15は再生油の簡易貯留タンク(ドラム缶)である。
【0025】
ここで消石灰粉末13の投入量(重量)は
【請求項1】
【0016】と同様の手順で決定した添加率に基づく重量である。家庭プラスチックゴミの場合、添加率5%を目安とし、初回は廃プラスチック原料14の5%重量の消石灰粉末13を投入する。数回の運転結果(回収油のphならびに有機塩素濃度)に基づいて重量の修正をし、回収油のpHが5〜8で有機塩素濃度が100mg/l 以下となる消石灰粉末13の重量を運転投入量とする。年間を通しての運転ではPVCの混入比率が季節により数%変化するため、1〜3ヵ月毎に消石灰粉末13の投入量の見直しを行うのが有効である。消石灰粉末は一回分の投入量をあらかじめ袋につめておき、袋のまま投入するのが実用的である。
【0026】
産業プラスチックゴミの場合はPVCの混入比率が判明している場合が多い。このため化学量論的な添加率の2倍程度を目安とし、数回の運転結果から消石灰粉末13の投入量の修正をする。
【0027】
PVCの第2次の分解で発生するテレフタール酸およびPETの分解で発生す
る安息香酸は
【請求項1】と同様の作用で消石灰粉末に捕捉固定化される。このため配管閉塞が抑制可能になる。
【0028】
以上説明した
【請求項2】の発明によれば以下の効果が得られる。
1)脱塩素手段なしでPVC、PET混入廃プラスチックの油化が可能なシンプルな廃プラスチックの油化装置が得られる。
2)再生油中の塩素(塩素ガスもしくは塩化水素の形態)は容易に100mg/l 以下となり、再生油の用途が広がる。
3)配管閉塞が抑制可能になる。
【0029】
【請求項3】の発明
【従来の技術】
分解槽の加熱に際して従来は分解槽内温度を計測し、分解槽内温度制御がなされていた
【0030】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来例方法では、昇温後は分解槽内の温度は一定になり、分解反応の状況、特に分解反応の終了状態(終点)を把握することは困難である。
【0031】
本発明の目的は分解槽内の分解反応の状況を把握し、熱分解の終点の正確な判断が可能な油化方法を提供することである。
【0032】
【問題を解決するための手段】
分解槽、分解槽の攪拌手段、分解槽外の加熱手段、分解槽内の温度(T1)測定手段、分解槽外側鉄皮の温度(分解槽外の温度(T2)と略記する)測定手段、分解残渣の排出手段、分解ガスの冷却手段、再製油の回収手段等で構成した廃プラスチックの油化装置において、昇温工程のうち特定の温度域を除く全ての温度域(昇温工程、分解平衡温度工程を含む)で分解槽外の温度測定手段で温度制御し、T1≧430℃(好ましくは450℃)かつT2−T1≦A△T以下で熱分解の終点とし、安全に次工程(例えば、残渣の排出、原料再投入その他の工程)に移るものである。△Tは分解平衡温度工程における分解槽外の温度(T2)と分解槽内の温度(T1)の温度差である。Aは分解槽内からの放熱による係数である。
【0033】
【発明の実施形態】
本発明による分解槽内の温度(T1)および分解槽外の温度(T2)の時間経過の様子を図6に示す。
【0034】
分解槽外の温度(T2)はa2、b2の温度を経過し制御設定温度c2で一定になる。a2〜b2は昇温工程であり、b2以降は安定制御工程である。分解槽内の温度(T1)はa1、b1の温度を経過しc1で数時間一定になった後d1、e1、f1の温度を経過しg1で一定になる。c1を分解平衡温度と呼ぶことにする。a1〜b1は昇温工程であり、b1〜d1は分解平衡温度工程であり、d1〜g1は焼き締め工程である。
【0035】
昇温工程:分解槽に廃プラスチックを投入し、加熱昇温する工程である。加熱手段の発生熱量、分解槽への入熱量、分解槽からの放熱量、分解槽に投入している廃プラスチックの熱容量によって昇温勾配が定まる。
【0036】
分解平衡温度工程:一般的なプラスチックの熱分解特性は図7であり、廃プラスチックゴミの熱分解は400℃前後で急激に増加するとされている。このため分解槽外の温度(T2)が制御設定温度c2で一定になった後に分解槽内では入熱量と熱分解の吸熱量が一致する状態が生じる。入熱量は分解槽外の温度(T2)と分解槽内の温度(T1)の差で定まるため何らかの原因でT1が低下すると熱分解の量が低下し、つづいて入熱量が増加し、T1は増加し回復する。また何らかの原因でT1が上昇すると、つづいて熱分解の量が増加し、吸熱量が増加してT1は低下し回復する。すなわち熱分解工程ではT1の安定化作用が自然に働き、分解反応に変化が生じない限り分解槽内の温度(T1)がほぼ一定のc1に保持される。c1の状態を分解平衡温度工程と呼ぶことにする。
【0037】
分解平衡温度工程は分解槽外の温度測定手段(T2)での温度制御、すなわち本発明ではじめて明快に発現する工程である。
【0038】
焼き締め工程:分解平衡温度工程に後続して分解槽内の温度(T1)は徐々にd1、e1、f1の温度を経過しg1へと上昇する。温度の上昇は吸熱量が減少していること、すなわち分解反応が終了しつつあることを意味し、難分解のプラスチックおよび高分子物質の分解ならびに炭化が進行している。このためこの工程を焼き締め工程と呼ぶことにする。焼き締め工程も分解平衡温度工程と同様に、分解槽外の温度測定手段(T2)での温度制御ではじめて明快に発現する工程である。本工程では図6のe1に示すように昇温のたるみ(肩と呼ぶ)が発生する。典型的な肩は多くの場合430℃前後で現れることを見出している。これは分解によって生成した難分解性物質の分解ならびにPETの分解に起因するものと推測している。
【0039】
本発明者は脱塩素後の廃プラスチックゴミ溶融物の保持温度を種々変化して重量減少(分解量)の時間経過を調査した。多くの家庭ゴミでほぼ同一の傾向でありこれを図8に示す。340℃以下では分解量は時間あたり数%と小さい。また400℃以上では分解量は時間あたり80%以上となり極めて激しい分解が生じる。したがって380℃(すなわち分解槽内の分解平衡温度c1が380℃である)前後で適度の分解が期待できることが判明した。
【0040】
以上説明した
【請求項3】の発明によれば分解槽内の温度(T1)を監視して活用することで以下のような運用方法が可能になる。
【0041】
1)処理量の増加:分解槽外の温度(T2)の制御設定温度c2を高くする(例えば+50℃)と、追随して分解槽内の分解平衡温度c1が高くなり(例えば+10℃)分解反応が促進され、処理時間の短縮(処理量の増加)が可能になる。
【0042】
2)終点決定:T1≧430℃(好ましくは450℃)かつT2−T1≦A△T以下で熱分解の終点とし、安全に次工程(例えば、残渣の排出、原料再投入その他の工程)に移ることが可能になった。△Tは分解平衡温度工程における分解槽外の温度(c2)と分解槽内の温度(c1)の差である。Aは分解槽内からの放熱による係数であり通常0.4〜0.2程度である。このため以下の効果が得られる。
【0043】
1)分解槽内の状況把握が可能になる。
2)熱分解の終点の正確な判断が可能になる。
3)このため誤操作のない安全でシンプルな廃プラスチックの油化装置が得られる。
【0044】
【請求項4】
【請求項5】
【請求項6】
【請求項7】の発明
【従来の技術】
縦型熱分解槽を図14に示す。熱分解槽20では内部に縦型攪拌機21を付設し、廃プラスチックの均一化ならびに入熱促進を行っている。23、24は攪拌翼、25は廃プラスチックの投入口、26は残渣の排出口、27は攪拌翼23と熱分解槽20の底板とのギャップ、28は攪拌翼24と熱分解槽20の側板とのギャップである。
【0045】
【発明が解決しようとする課題】
攪拌翼23と熱分解槽20の底板とのギャップ27は熱伸び熱収縮回避のため不可欠である。このため従来例攪拌機では廃プラスチックの熱分解で発生する未分解物(残渣と呼ぶ)が分解槽の底板とかコーナに固着炭化しスケール・堆積物29を発生し、入熱量の低下とか残渣の排出口26の閉塞トラブルを発生し、廃プラスチック油化装置の普及の障害になっている。
【0046】
本発明の目的は分解槽底面でのスケール・堆積物29の発生を防止しかつ残渣の微粉化が可能な分解槽を提供することである。
【0047】
【問題を解決するための手段】
本発明は1枚もしくは複数枚の攪拌翼からなる1段もしくは複数段の攪拌翼を持つ縦型攪拌手段を内蔵する分解槽において、最下段の攪拌翼にチェーンもしくはようどう板からなる可とう性のかきとり手段(フレキシブルスクレーパ)を付設するものである。
【0048】
【発明の実施形態】
【第1の実施の形態】
【請求項5】に対応するもので図9を用いて説明する。
【0049】
可とう性のかきとり手段として、攪拌機30の最下段の攪拌翼31に金属性のチェーン(炭素鋼、ステンレス鋼等)32をU字状でかつたれ33を持つ状態でつるす。22は分解槽、34ほ上段の攪拌翼である。35は攪拌翼31、34と熱分解槽22の側板とのギャップである。
【0050】
攪拌機30は緩やかに回転する。チェーン32は攪拌機30と同期して回転するとともに底面を間断なくかきとる。このため底面へのスケール・堆積物の発生は防止できる。また残渣はチェーン32の転がりによる打ち砕き効果で微粉化する。打ち砕きおよびかきとり効果はチェーンが太いほど(すなわち重いほど)高まり、本発明者の経験によれば太さ4mm以上で十分な効果が得られる。長期間使用の磨耗を考慮するとチェーン32の太さは6mm以上が好ましい。
【0051】
本実施例に拠れば
1)分解槽底面でのスケール・堆積物の発生が防止できる。
2)残渣は微粉化し排出は極めて容易になる。攪拌機30起動状態で排出口26をあけるとチェーンの回転で自然に押し出される。
【0052】
【第2の実施の形態】
【請求項6】に対応するもので図10を用いて説明する。
【0053】
可とう性のかきとり手段として、攪拌機40の最下段の攪拌翼41に下部が分解槽22の底面形状と同一の金属板(炭素鋼板、ステンレス鋼板等)42をリング(炭素鋼棒、ステンレス鋼棒等)43でようどう可能状態でつるし、かつ金属板42の下部が分解槽の内面に接触状態とする。またリング穴44はリングの棒よりも十分大きい内径とする。45は上段の攪拌翼である。46は攪拌翼41、45と熱分解槽22の側板とのギャップである。
【0054】
攪拌機40は緩やかに回転する。金属板42は攪拌機40と同期して回転するとともに底面を間断なくかきとる。このため底面へのスケール・堆積物の発生は防止できる。また残渣は金属板42によるようどう打ち砕き効果で微粉化する。打ち砕きおよびかきとり効果は金属板42の長さ当たりの重量が大きいほど高まり、本発明者の経験によれば金属板42の長さ当たりの重量は5kg/m以上が好ましく、リング穴44とリング棒の隙間は1〜5mmとり、金属板42のようどう範囲を攪拌翼41の方向、回転方向、上下方向ともに2〜10mmとするのが好ましい。
【0055】
またこのようにしておくと昇温の段階でプラスチックの塊が金属板42に当たる場合、金属板42は攪拌翼41を支柱として振れ上がり、金属板42の損傷を避ける事が出来る。
【0056】
本実施例に拠れば
【第1の実施の形態】と同様に以下の効果が得られる。
1)分解槽底面でのスケール・堆積物の発生が防止できる。
2)残渣は微粉化し排出は極めて容易になる。攪拌機40起動状態で排出口26をあけると金属板42の回転で自然に押し出される。
【0057】
【請求項7】の発明
【問題を解決するための手段】
本発明は1枚もしくは複数枚の攪拌翼からなる1段もしくは複数段の攪拌翼を持つ縦型攪拌手段を内蔵する請求項4の分解槽において、最上段の攪拌翼の上方に先端が分解槽の内壁に近接するバーを付設し、バーの先端近傍に金属性のチェーン(炭素鋼、ステンレス鋼等)をつるし、チェーンの下端が分解槽の底面に近接状態としかつ最下段の攪拌翼に可とう性のかきとり手段を付設するものである。
【0058】
【発明の実施形態】
図11、図12を用いて説明する。
【0059】
図11で攪拌翼50a、50bを持つ縦型攪拌機51を内蔵する分解槽52において、最上段の攪拌翼50aの上方に先端が分解槽の内壁に近接するバー53を付設し、バー53の先端近傍に金属性のチェーン(炭素鋼、ステンレス鋼等)54をつるし、チェーン54の下端が分解槽の底面に近接状態とし、かつ最下段の攪拌翼50bに金属性のチェーン(炭素鋼、ステンレス鋼等)32をU字状でかつたれ33を持つ状態でつるす。55は廃プラスチックである。図12は分解槽52の斜視図である。
【0060】
攪拌機51は緩やかに回転する。チェーン54はバー53と同期して回転するとともに遠心力で分解槽52の側面内壁に密着し側面内壁を間断なくかきとる。このため内壁近傍の廃プラスチック内での温度勾配が防止され、外部からの入熱が促進される。かきとり効果はチェーンが太いほど(すなわち重いほど)高まり、本発明者の経験によれば太さ4mm以上で十分な効果が得られる。長期間使用の磨耗を考慮するとチェーン54の太さは6mm以上が好ましい。チェーン(炭素鋼、ステンレス鋼等)32の作用については
【請求項5】段落
【0050】と同一であるため説明を省略する。
【0061】
本実施例に拠れば以下の効果が得られる。
1)入熱が促進されるため加熱効率のよい分解槽が提供される
2)分解槽底面でのスケール・堆積物の発生が防止できる。
3)残渣は微粉化し排出は極めて容易になる。攪拌機21起動状態で排出口26をあけるとチェーン32の回転で自然に押し出される。
【0062】
【請求項8】の発明
【従来の技術】
熱分解槽では、過熱の際の熱分布を均一化するためまた熱伸びによる熱変形事故を抑制するために、加熱を開始する前から攪拌機を起動しておくのが一般的である。産業プラスチックゴミのうち減容のため成形したゴミでは大小、形状さまざまでる。このため廃プラスチックの投入から加熱によって廃プラスチックの表面が溶融するまでの間では、廃プラスチックと熱分解槽の内面との摩擦抵抗、熱分解槽の内面のわずかな凹凸による抗力、ギャップに挟まる廃プラスチックによる抗力等過大な抗力が分解槽の内面でが発生する。過大な抗力への対策として分解槽の側面ならびに底面の槽板厚を増やす手法がとられていた。
【0063】
【発明が解決しようとする課題】
このような対策では、板厚増による入熱量低下とか分解槽の熱容量の増加をもたらして加熱の効率が低下し、極めて熱の無駄が大きい分解槽になっていた。
【0064】
本発明の目的は分解槽の側面ならびに底面の摩擦抵抗を抑制し、加熱の熱効率の高い分解槽を提供することである。
【0065】
【問題を解決するための手段】
本発明は、廃プラスチック(原料)を分解槽に投入する際に原料とともに少量(原料の1%重量程度)の再生油もしくは重油を添加するものである。
【0066】
【発明の実施形態】
添加した再生油もしくは重油(添加油)は原料の表面を垂れて攪拌によって分解槽の内面に均一塗られる。このために廃プラスチックと熱分解槽の内面で発生する抗力は従来の10分の1程度に低下し、攪拌機の回転トルクが大幅に低減される。また添加油は100℃前後での揮発成分を含んでいるため、原料とともに混入する空気(酸素)は加熱昇温の初期段階(150℃以下の段階)で低温揮発のガスで置換される。このため酸素排除の作業もしくは設備が不要になる。本発明によれば以下の効果が得られる。
【0067】
1)分解槽の側面ならびに底面の槽板厚を小さくすることが可能になり、加熱の熱効率が向上する。る。
2)減容成型ゴミも破砕することなくそのままの処理が可能になる。
3)原料とともに混入する空気(酸素)は自然に排除される。このため酸素排除の作業もしくは設備が不要になる。
【0068】
【発明の効果】
以上説明した
【請求項1】〜
【請求項8】の本発明によればPVC、PET混入廃プラスチックを対象とするシンプルで、実用的な廃プラスチックの油化方法ならびに廃プラスチックの油化装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶融PVC内での消石灰の濃縮作用の説明図
【図2】昇温勾配と塩素の除去率の特性図
【図3】消石灰添加倍率と塩素の除去率の特性図
【図4】消石灰による塩素の固定化作用の説明図
【図5】本発明の廃プラスチック油化装置一実施例の構成図
【図6】本発明の分解槽温度工程の説明図
【図7】プラスチックの公知の熱分解特性図
【図8】廃プラスチックゴミの高温での保持時間と分解率の特性図
【図9】本発明の分解槽攪拌機の一実施例の構成図
【図10】本発明の分解槽攪拌機の他の実施例の構成図
【図11】本発明の分解槽攪拌機の他の実施例の構成図
【図12】本発明の図11の分解槽攪拌機の斜視図
【図13】従来の廃プラスチック油化装置の構成図
【図14】従来の分解槽攪拌機の構成図
【符号の説明】
4 分解ガスの冷却手段
5 再製油の回収手段
10 分解槽
11 分解槽の攪拌手段
12 加熱手段
13 消石灰粉末
14 廃プラスチック原料
15 再生油の簡易貯留タンク(ドラム缶)
【発明の属する技術分野】
本発明は廃プラスチックのケミカルリサイクル技術に関し、特に家庭および工場から排出されるプラスチックゴミ(以下廃プラスチックと略記する)の油化技術に関する。国内で家庭から排出されるプラスチックゴミには不可避的にPVCが混入しており、地域とか季節により若干の変化は生じるが概略5〜10%(重量%)の範囲である。また工場から排出されるプラスチック廃棄物ではPVCは分別排除されるが不可避的に数%混入する場合が多い。
【0002】
【請求項1】
【請求項2】の発明
【従来の技術】
従来の廃プラスチック油化の装置を図13にしめす。廃プラスチック1を、加熱脱塩素手段2、熱分解手段3、分解ガス冷却手段4で順次処理し、再生油を再生油回収手段5で回収するものである。加熱脱塩素手段2で発生するガス(塩化水素、水蒸気、可燃ガスの混合ガス:以下脱塩ガスと略記する)は脱塩ガス処理手段6で無害化する。また熱分解で熱分解手段3に残留する灰分、炭化物等は残さとして残さ回収手段7で回収する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
熱分解の際に混入PVCから塩化水素ガスが発生し機器の腐食ならびに分解油の酸性化をもたらすため、熱分解の前に脱塩素処理を行なっているが完全な除去は不可能である。また塩化水素とともにテレフタール酸を主体とする有機酸が発生し、ガス配管、油配管内で析出する。このため再生油の酸性化、各種配管の短期間での閉塞等の問題が山積し、問題解決に多大な設備コストを要するため廃プラスチック油化装置の普及の障害になっている。
【0004】
本発明の目的はPVC、PET混入廃プラスチックを対象とするシンプルで、実用的な廃プラスチックの油化方法ならびに廃プラスチックの油化装置を提供するものである。
【0005】
【請求項1】の発明
【問題を解決するための手段】
PVCの分解によって発生する塩素を消石灰粉末で完全固定するため本発明者が鋭意検討したところ、次の結論を得た。
【0006】
1)PVCの先行溶融:PVCは加熱昇温の際に原料中の他のプラスチックに先行して溶融する。溶融開始温度は概略150℃前後である。
【0007】
2)溶融PVC中での消石灰の濃縮:原料に添加した消石灰粉末は溶融PVCのハエとり紙効果で溶融PVC中に取り込まれ濃縮される。溶融PVC中では消石灰の濃度が初期添加濃度の通常10〜20倍に高まる。
【0008】
3)重金属の触媒作用によるPVC分解温度の低下:原料に混入する重金属の触媒作用でプラスチックの分解温度は50℃程度低下する。このため200℃付近でPVCの第1次の熱分解(脱塩素分解)が始まる。
【0009】
4)消石灰粒子による塩素の固定:消石灰の濃縮効果と緩やかな昇温効果により塩素ガスは消石灰粒子表面に塩化カルシウムとして補足される。
【0010】
本発明は上記の知見に基づくものであり、塩化ビニール(PVC)が混入する廃プラスチックを原料として、これを加熱昇温し熱分解して再生油を得る際に、原料にPVC混入率の0.7倍以上(好ましくは1倍以上)の消石灰粉末を添加して攪拌昇温し、かつ昇温過程でPVCの溶融開始温度付近から溶融PVCの第1次の分解(脱塩素分解)終了温度付近までの時間を40分以上(好ましくは60分以上)とし、PVCの分解で発生する塩化水素を消石灰粉末に固定し、分解ガスから高度に除去するものである。
【0011】
【発明の実施形態】
本発明の作用を図1〜図4を用いて説明する。
150℃付近の温度域からプラスチックごみのうちPVCがまず溶融する。この様子を図1に示す。添加した消石灰はハエとり紙効果で順次溶融PVCに移行し濃縮混練りされる。PVCのみが溶融していると仮定し、添加消石灰濃度をA%、PVC濃度をB%とすると溶融PVC中の消石灰濃度A1%は数式 数1に近ずく。すなわち消石灰はPVC中で100/B倍の濃縮となる。仮にBを5%とすれば20倍濃縮となる。
A1=A×100/B 数1
【0012】
200℃付近の温度域から溶融PVCの第1次の分解(脱塩素分解)が始まり、塩素ガスが発生する。消石灰の濃縮効果で発生した塩素は100%消石灰と反応すると考えられるが、100%反応のためには緩やかな塩素ガスの発生が必須の条件である。このため本発明者は昇温時間(もしくは昇温勾配)の重要性に着目し昇温勾配と塩素除去率に関する図2の特性図を得た。図2から150〜250℃の昇温勾配を140℃/h 以下とし(所要時間で40分(0.67時間)以上)緩やかに昇温すると塩素ガスは99%消石灰粒子表面に塩化カルシウムとして補足されることが判明した。昇温勾配で100℃/h 以下では(昇温時間1時間以上)塩素ガスは99.7%以上補足される。
【0013】
250℃付近で第1次の分解は終了し、300℃付近からは塩素ガスを発生しない第2次の分解が始まる。この温度域では他のプラスチックも分解(ガス化もしくは炭化)を開始する。
【0014】
図3は消石灰添加率と塩素除去率との関係を示す特性図である。横軸は混入PVCに対する消石灰の添加倍率とした。酸化カルシウム純度の高い工業用消石灰の場合塩素除去に必要な化学量論的な消石灰添加比率(添加率)はPVC混入率の0.5倍であるが、0.5倍の添加率で塩素除去率は75%程度、0.7倍の添加率で塩素除去率は90%程度、99%除去率を得るためには0.8倍程度の添加率が必要である。
【0015】
実用上の添加率の決定においては消石灰粒子の深部は反応に寄与しないため化学量論的な添加率の2倍程度を目安とするのが妥当である。消石灰の添加率の決定作業は産業プラスチックゴミと家庭プラスチックゴミとでは若干異なり、以下の手順で決定するのが好ましい。
【0016】
家庭プラスチックゴミのケース:PVCの混入比率は国民のライフスタイル、行政指導の有無により年々変化し、また季節、地域によっても異なり、混入比率を正確に把握することは困難である。各種の資料から推測すると2000年時点の国内の平均的なPVCの混入比率は5%程度である。このため化学量論的消石灰添加比率(2.5%、(5×0.5=2.5))の2倍の5%を目安とし、数回の運転結果から(回収油のpHならびに有機塩素濃度)添加率の修正をし、回収油のpHが5〜8で有機塩素濃度が100mg/l 以下となるように添加率を決定する。年間を通しての運転ではPVCの混入比率が季節により数%変化するため、1〜3ヵ月毎に消石灰添加率の見直しを行うのが有効である。
【0017】
産業プラスチックゴミのケース:生産工程ゴミ、減容成形ゴミではPVCの混入比率が判明している場合が多い。このため化学量論的な添加率の2倍程度を目安とし、数回の運転結果(再製油のpH、有機塩素濃度)から添加率の修正をする。
【0018】
消石灰粒子は通常1〜10ミクロンと大きいため塩素の捕捉で発生する塩化カルシウムのほとんどは消石灰粒子に補足され図4の状態で熱分解槽内にとどまり、塩化カルシウムが分解ガスに同伴流出する比率は極めて小さい。本発明者はこの作用を消石灰粒子の固定化作用となづけた。
【0019】
本発明者は各種配管閉塞物の観察、文献調査により配管閉塞物の主要因がPVCの第2次の分解で発生するテレフタール酸およびPETの分解で発生する安息香酸であることをと発見した。また消石灰粉末はテレフタール酸および安息香酸の捕捉固定化にも極めて有効であることを明らかにしている(特願2000−374559)。
【0020】
添加した消石灰のうち化学量論的消石灰添加比率相当量の消石灰は塩化カルシウムとなるが、残余の消石灰はテレフタール酸および安息香酸を捕捉固定化する。このため配管閉塞はほとんど発生しなくなる。
【0021】
有機酸捕捉に必要な消石灰の添加率は小さく、おおむね1%程度である。このため先に述べた消石灰の添加率決定手順で定めた添加率を実行すると、自然にテレフタール酸および安息香酸が捕捉固定化される。
【0022】
例えば純度の高い工業用消石灰の場合化学量論的な添加率はPVCの0.5倍プラスPETの0.1倍である。家庭プラスチックゴミの場合2000年時点の国内の平均的混入比率はPVCは5%程度、PETは10%程度である。このため化学量論的消石灰添加比率は3.5%(5×0.5+10×0.1=3.5))である。
【0023】
以上説明した
【請求項1】の発明によれば以下の効果が得られる。
1)PVC、PET混入廃プラスチックの油化が可能になる。
2)再生油中の塩素(塩素ガスもしくは塩化水素の形態)は容易に100mg/l以下となり、再生油の用途が広がる。
3)配管閉塞が抑制可能になる。
【0024】
【請求項2】の発明
【発明の実施形態】
本請求項は
【請求項1】の発明の作用を用いるもので、構成を図5に示す。
縦型の分解槽10、分解槽の攪拌機11、分解槽の加熱手段12、分解ガスの冷却手段4、再製油の回収手段5等で構成した塩化ビニール混入廃プラスチックの油化装置において、袋入りの消石灰粉末13を廃プラスチック原料14とともに分解槽10に投入し攪拌昇温し、分解槽10内の温度が150℃に到達した時点で昇温勾配を調整し、150〜250℃の間の分解槽10内の昇温勾配を150℃/h以下(好ましくは100℃/h以下)に保つものである。15は再生油の簡易貯留タンク(ドラム缶)である。
【0025】
ここで消石灰粉末13の投入量(重量)は
【請求項1】
【0016】と同様の手順で決定した添加率に基づく重量である。家庭プラスチックゴミの場合、添加率5%を目安とし、初回は廃プラスチック原料14の5%重量の消石灰粉末13を投入する。数回の運転結果(回収油のphならびに有機塩素濃度)に基づいて重量の修正をし、回収油のpHが5〜8で有機塩素濃度が100mg/l 以下となる消石灰粉末13の重量を運転投入量とする。年間を通しての運転ではPVCの混入比率が季節により数%変化するため、1〜3ヵ月毎に消石灰粉末13の投入量の見直しを行うのが有効である。消石灰粉末は一回分の投入量をあらかじめ袋につめておき、袋のまま投入するのが実用的である。
【0026】
産業プラスチックゴミの場合はPVCの混入比率が判明している場合が多い。このため化学量論的な添加率の2倍程度を目安とし、数回の運転結果から消石灰粉末13の投入量の修正をする。
【0027】
PVCの第2次の分解で発生するテレフタール酸およびPETの分解で発生す
る安息香酸は
【請求項1】と同様の作用で消石灰粉末に捕捉固定化される。このため配管閉塞が抑制可能になる。
【0028】
以上説明した
【請求項2】の発明によれば以下の効果が得られる。
1)脱塩素手段なしでPVC、PET混入廃プラスチックの油化が可能なシンプルな廃プラスチックの油化装置が得られる。
2)再生油中の塩素(塩素ガスもしくは塩化水素の形態)は容易に100mg/l 以下となり、再生油の用途が広がる。
3)配管閉塞が抑制可能になる。
【0029】
【請求項3】の発明
【従来の技術】
分解槽の加熱に際して従来は分解槽内温度を計測し、分解槽内温度制御がなされていた
【0030】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来例方法では、昇温後は分解槽内の温度は一定になり、分解反応の状況、特に分解反応の終了状態(終点)を把握することは困難である。
【0031】
本発明の目的は分解槽内の分解反応の状況を把握し、熱分解の終点の正確な判断が可能な油化方法を提供することである。
【0032】
【問題を解決するための手段】
分解槽、分解槽の攪拌手段、分解槽外の加熱手段、分解槽内の温度(T1)測定手段、分解槽外側鉄皮の温度(分解槽外の温度(T2)と略記する)測定手段、分解残渣の排出手段、分解ガスの冷却手段、再製油の回収手段等で構成した廃プラスチックの油化装置において、昇温工程のうち特定の温度域を除く全ての温度域(昇温工程、分解平衡温度工程を含む)で分解槽外の温度測定手段で温度制御し、T1≧430℃(好ましくは450℃)かつT2−T1≦A△T以下で熱分解の終点とし、安全に次工程(例えば、残渣の排出、原料再投入その他の工程)に移るものである。△Tは分解平衡温度工程における分解槽外の温度(T2)と分解槽内の温度(T1)の温度差である。Aは分解槽内からの放熱による係数である。
【0033】
【発明の実施形態】
本発明による分解槽内の温度(T1)および分解槽外の温度(T2)の時間経過の様子を図6に示す。
【0034】
分解槽外の温度(T2)はa2、b2の温度を経過し制御設定温度c2で一定になる。a2〜b2は昇温工程であり、b2以降は安定制御工程である。分解槽内の温度(T1)はa1、b1の温度を経過しc1で数時間一定になった後d1、e1、f1の温度を経過しg1で一定になる。c1を分解平衡温度と呼ぶことにする。a1〜b1は昇温工程であり、b1〜d1は分解平衡温度工程であり、d1〜g1は焼き締め工程である。
【0035】
昇温工程:分解槽に廃プラスチックを投入し、加熱昇温する工程である。加熱手段の発生熱量、分解槽への入熱量、分解槽からの放熱量、分解槽に投入している廃プラスチックの熱容量によって昇温勾配が定まる。
【0036】
分解平衡温度工程:一般的なプラスチックの熱分解特性は図7であり、廃プラスチックゴミの熱分解は400℃前後で急激に増加するとされている。このため分解槽外の温度(T2)が制御設定温度c2で一定になった後に分解槽内では入熱量と熱分解の吸熱量が一致する状態が生じる。入熱量は分解槽外の温度(T2)と分解槽内の温度(T1)の差で定まるため何らかの原因でT1が低下すると熱分解の量が低下し、つづいて入熱量が増加し、T1は増加し回復する。また何らかの原因でT1が上昇すると、つづいて熱分解の量が増加し、吸熱量が増加してT1は低下し回復する。すなわち熱分解工程ではT1の安定化作用が自然に働き、分解反応に変化が生じない限り分解槽内の温度(T1)がほぼ一定のc1に保持される。c1の状態を分解平衡温度工程と呼ぶことにする。
【0037】
分解平衡温度工程は分解槽外の温度測定手段(T2)での温度制御、すなわち本発明ではじめて明快に発現する工程である。
【0038】
焼き締め工程:分解平衡温度工程に後続して分解槽内の温度(T1)は徐々にd1、e1、f1の温度を経過しg1へと上昇する。温度の上昇は吸熱量が減少していること、すなわち分解反応が終了しつつあることを意味し、難分解のプラスチックおよび高分子物質の分解ならびに炭化が進行している。このためこの工程を焼き締め工程と呼ぶことにする。焼き締め工程も分解平衡温度工程と同様に、分解槽外の温度測定手段(T2)での温度制御ではじめて明快に発現する工程である。本工程では図6のe1に示すように昇温のたるみ(肩と呼ぶ)が発生する。典型的な肩は多くの場合430℃前後で現れることを見出している。これは分解によって生成した難分解性物質の分解ならびにPETの分解に起因するものと推測している。
【0039】
本発明者は脱塩素後の廃プラスチックゴミ溶融物の保持温度を種々変化して重量減少(分解量)の時間経過を調査した。多くの家庭ゴミでほぼ同一の傾向でありこれを図8に示す。340℃以下では分解量は時間あたり数%と小さい。また400℃以上では分解量は時間あたり80%以上となり極めて激しい分解が生じる。したがって380℃(すなわち分解槽内の分解平衡温度c1が380℃である)前後で適度の分解が期待できることが判明した。
【0040】
以上説明した
【請求項3】の発明によれば分解槽内の温度(T1)を監視して活用することで以下のような運用方法が可能になる。
【0041】
1)処理量の増加:分解槽外の温度(T2)の制御設定温度c2を高くする(例えば+50℃)と、追随して分解槽内の分解平衡温度c1が高くなり(例えば+10℃)分解反応が促進され、処理時間の短縮(処理量の増加)が可能になる。
【0042】
2)終点決定:T1≧430℃(好ましくは450℃)かつT2−T1≦A△T以下で熱分解の終点とし、安全に次工程(例えば、残渣の排出、原料再投入その他の工程)に移ることが可能になった。△Tは分解平衡温度工程における分解槽外の温度(c2)と分解槽内の温度(c1)の差である。Aは分解槽内からの放熱による係数であり通常0.4〜0.2程度である。このため以下の効果が得られる。
【0043】
1)分解槽内の状況把握が可能になる。
2)熱分解の終点の正確な判断が可能になる。
3)このため誤操作のない安全でシンプルな廃プラスチックの油化装置が得られる。
【0044】
【請求項4】
【請求項5】
【請求項6】
【請求項7】の発明
【従来の技術】
縦型熱分解槽を図14に示す。熱分解槽20では内部に縦型攪拌機21を付設し、廃プラスチックの均一化ならびに入熱促進を行っている。23、24は攪拌翼、25は廃プラスチックの投入口、26は残渣の排出口、27は攪拌翼23と熱分解槽20の底板とのギャップ、28は攪拌翼24と熱分解槽20の側板とのギャップである。
【0045】
【発明が解決しようとする課題】
攪拌翼23と熱分解槽20の底板とのギャップ27は熱伸び熱収縮回避のため不可欠である。このため従来例攪拌機では廃プラスチックの熱分解で発生する未分解物(残渣と呼ぶ)が分解槽の底板とかコーナに固着炭化しスケール・堆積物29を発生し、入熱量の低下とか残渣の排出口26の閉塞トラブルを発生し、廃プラスチック油化装置の普及の障害になっている。
【0046】
本発明の目的は分解槽底面でのスケール・堆積物29の発生を防止しかつ残渣の微粉化が可能な分解槽を提供することである。
【0047】
【問題を解決するための手段】
本発明は1枚もしくは複数枚の攪拌翼からなる1段もしくは複数段の攪拌翼を持つ縦型攪拌手段を内蔵する分解槽において、最下段の攪拌翼にチェーンもしくはようどう板からなる可とう性のかきとり手段(フレキシブルスクレーパ)を付設するものである。
【0048】
【発明の実施形態】
【第1の実施の形態】
【請求項5】に対応するもので図9を用いて説明する。
【0049】
可とう性のかきとり手段として、攪拌機30の最下段の攪拌翼31に金属性のチェーン(炭素鋼、ステンレス鋼等)32をU字状でかつたれ33を持つ状態でつるす。22は分解槽、34ほ上段の攪拌翼である。35は攪拌翼31、34と熱分解槽22の側板とのギャップである。
【0050】
攪拌機30は緩やかに回転する。チェーン32は攪拌機30と同期して回転するとともに底面を間断なくかきとる。このため底面へのスケール・堆積物の発生は防止できる。また残渣はチェーン32の転がりによる打ち砕き効果で微粉化する。打ち砕きおよびかきとり効果はチェーンが太いほど(すなわち重いほど)高まり、本発明者の経験によれば太さ4mm以上で十分な効果が得られる。長期間使用の磨耗を考慮するとチェーン32の太さは6mm以上が好ましい。
【0051】
本実施例に拠れば
1)分解槽底面でのスケール・堆積物の発生が防止できる。
2)残渣は微粉化し排出は極めて容易になる。攪拌機30起動状態で排出口26をあけるとチェーンの回転で自然に押し出される。
【0052】
【第2の実施の形態】
【請求項6】に対応するもので図10を用いて説明する。
【0053】
可とう性のかきとり手段として、攪拌機40の最下段の攪拌翼41に下部が分解槽22の底面形状と同一の金属板(炭素鋼板、ステンレス鋼板等)42をリング(炭素鋼棒、ステンレス鋼棒等)43でようどう可能状態でつるし、かつ金属板42の下部が分解槽の内面に接触状態とする。またリング穴44はリングの棒よりも十分大きい内径とする。45は上段の攪拌翼である。46は攪拌翼41、45と熱分解槽22の側板とのギャップである。
【0054】
攪拌機40は緩やかに回転する。金属板42は攪拌機40と同期して回転するとともに底面を間断なくかきとる。このため底面へのスケール・堆積物の発生は防止できる。また残渣は金属板42によるようどう打ち砕き効果で微粉化する。打ち砕きおよびかきとり効果は金属板42の長さ当たりの重量が大きいほど高まり、本発明者の経験によれば金属板42の長さ当たりの重量は5kg/m以上が好ましく、リング穴44とリング棒の隙間は1〜5mmとり、金属板42のようどう範囲を攪拌翼41の方向、回転方向、上下方向ともに2〜10mmとするのが好ましい。
【0055】
またこのようにしておくと昇温の段階でプラスチックの塊が金属板42に当たる場合、金属板42は攪拌翼41を支柱として振れ上がり、金属板42の損傷を避ける事が出来る。
【0056】
本実施例に拠れば
【第1の実施の形態】と同様に以下の効果が得られる。
1)分解槽底面でのスケール・堆積物の発生が防止できる。
2)残渣は微粉化し排出は極めて容易になる。攪拌機40起動状態で排出口26をあけると金属板42の回転で自然に押し出される。
【0057】
【請求項7】の発明
【問題を解決するための手段】
本発明は1枚もしくは複数枚の攪拌翼からなる1段もしくは複数段の攪拌翼を持つ縦型攪拌手段を内蔵する請求項4の分解槽において、最上段の攪拌翼の上方に先端が分解槽の内壁に近接するバーを付設し、バーの先端近傍に金属性のチェーン(炭素鋼、ステンレス鋼等)をつるし、チェーンの下端が分解槽の底面に近接状態としかつ最下段の攪拌翼に可とう性のかきとり手段を付設するものである。
【0058】
【発明の実施形態】
図11、図12を用いて説明する。
【0059】
図11で攪拌翼50a、50bを持つ縦型攪拌機51を内蔵する分解槽52において、最上段の攪拌翼50aの上方に先端が分解槽の内壁に近接するバー53を付設し、バー53の先端近傍に金属性のチェーン(炭素鋼、ステンレス鋼等)54をつるし、チェーン54の下端が分解槽の底面に近接状態とし、かつ最下段の攪拌翼50bに金属性のチェーン(炭素鋼、ステンレス鋼等)32をU字状でかつたれ33を持つ状態でつるす。55は廃プラスチックである。図12は分解槽52の斜視図である。
【0060】
攪拌機51は緩やかに回転する。チェーン54はバー53と同期して回転するとともに遠心力で分解槽52の側面内壁に密着し側面内壁を間断なくかきとる。このため内壁近傍の廃プラスチック内での温度勾配が防止され、外部からの入熱が促進される。かきとり効果はチェーンが太いほど(すなわち重いほど)高まり、本発明者の経験によれば太さ4mm以上で十分な効果が得られる。長期間使用の磨耗を考慮するとチェーン54の太さは6mm以上が好ましい。チェーン(炭素鋼、ステンレス鋼等)32の作用については
【請求項5】段落
【0050】と同一であるため説明を省略する。
【0061】
本実施例に拠れば以下の効果が得られる。
1)入熱が促進されるため加熱効率のよい分解槽が提供される
2)分解槽底面でのスケール・堆積物の発生が防止できる。
3)残渣は微粉化し排出は極めて容易になる。攪拌機21起動状態で排出口26をあけるとチェーン32の回転で自然に押し出される。
【0062】
【請求項8】の発明
【従来の技術】
熱分解槽では、過熱の際の熱分布を均一化するためまた熱伸びによる熱変形事故を抑制するために、加熱を開始する前から攪拌機を起動しておくのが一般的である。産業プラスチックゴミのうち減容のため成形したゴミでは大小、形状さまざまでる。このため廃プラスチックの投入から加熱によって廃プラスチックの表面が溶融するまでの間では、廃プラスチックと熱分解槽の内面との摩擦抵抗、熱分解槽の内面のわずかな凹凸による抗力、ギャップに挟まる廃プラスチックによる抗力等過大な抗力が分解槽の内面でが発生する。過大な抗力への対策として分解槽の側面ならびに底面の槽板厚を増やす手法がとられていた。
【0063】
【発明が解決しようとする課題】
このような対策では、板厚増による入熱量低下とか分解槽の熱容量の増加をもたらして加熱の効率が低下し、極めて熱の無駄が大きい分解槽になっていた。
【0064】
本発明の目的は分解槽の側面ならびに底面の摩擦抵抗を抑制し、加熱の熱効率の高い分解槽を提供することである。
【0065】
【問題を解決するための手段】
本発明は、廃プラスチック(原料)を分解槽に投入する際に原料とともに少量(原料の1%重量程度)の再生油もしくは重油を添加するものである。
【0066】
【発明の実施形態】
添加した再生油もしくは重油(添加油)は原料の表面を垂れて攪拌によって分解槽の内面に均一塗られる。このために廃プラスチックと熱分解槽の内面で発生する抗力は従来の10分の1程度に低下し、攪拌機の回転トルクが大幅に低減される。また添加油は100℃前後での揮発成分を含んでいるため、原料とともに混入する空気(酸素)は加熱昇温の初期段階(150℃以下の段階)で低温揮発のガスで置換される。このため酸素排除の作業もしくは設備が不要になる。本発明によれば以下の効果が得られる。
【0067】
1)分解槽の側面ならびに底面の槽板厚を小さくすることが可能になり、加熱の熱効率が向上する。る。
2)減容成型ゴミも破砕することなくそのままの処理が可能になる。
3)原料とともに混入する空気(酸素)は自然に排除される。このため酸素排除の作業もしくは設備が不要になる。
【0068】
【発明の効果】
以上説明した
【請求項1】〜
【請求項8】の本発明によればPVC、PET混入廃プラスチックを対象とするシンプルで、実用的な廃プラスチックの油化方法ならびに廃プラスチックの油化装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶融PVC内での消石灰の濃縮作用の説明図
【図2】昇温勾配と塩素の除去率の特性図
【図3】消石灰添加倍率と塩素の除去率の特性図
【図4】消石灰による塩素の固定化作用の説明図
【図5】本発明の廃プラスチック油化装置一実施例の構成図
【図6】本発明の分解槽温度工程の説明図
【図7】プラスチックの公知の熱分解特性図
【図8】廃プラスチックゴミの高温での保持時間と分解率の特性図
【図9】本発明の分解槽攪拌機の一実施例の構成図
【図10】本発明の分解槽攪拌機の他の実施例の構成図
【図11】本発明の分解槽攪拌機の他の実施例の構成図
【図12】本発明の図11の分解槽攪拌機の斜視図
【図13】従来の廃プラスチック油化装置の構成図
【図14】従来の分解槽攪拌機の構成図
【符号の説明】
4 分解ガスの冷却手段
5 再製油の回収手段
10 分解槽
11 分解槽の攪拌手段
12 加熱手段
13 消石灰粉末
14 廃プラスチック原料
15 再生油の簡易貯留タンク(ドラム缶)
Claims (8)
- 塩化ビニール(PVC)が混入する廃プラスチックを原料として、これを加熱昇温し熱分解して再生油を得る方法において、原料にPVC混入率の0.7倍以上(好ましくは1倍以上)の消石灰粉末を添加して攪拌昇温し、かつ昇温過程でPVCの溶融開始温度付近から溶融PVCの第1次の分解(脱塩素分解)終了温度付近までの時間を40分以上(好ましくは60分以上)とする塩化ビニール混入廃プラスチックの油化方法
- 分解槽、分解槽の攪拌手段、加熱手段、分解ガスの冷却手段、再製油の回収手段等で構成した塩化ビニール(PVC)混入廃プラスチックの油化装置において、PVC混入率の0.7倍以上(好ましくは1倍以上)の消石灰粉末を原料とともに分解槽に投入し攪拌昇温し、分解槽内の温度が150℃に到達した時点で昇温勾配を調整し、150〜250℃の間の分解槽内の昇温勾配を150℃/h以下(好ましくは100℃/h以下)に保つことを特徴とする塩化ビニール混入廃プラスチックの油化方法ならびに廃プラスチックの油化装置
- 分解槽、分解槽の攪拌手段、加熱手段、分解槽内の温度(T1)測定手段、分解槽外の温度(T2)測定手段、分解残渣の排出手段、分解ガスの冷却手段、再製油の回収手段等で構成した廃プラスチックの油化装置において、昇温工程のうちの特定の温度域を除く全ての温度域(昇温工程、分解平衡温度工程を含む)で分解槽外の温度測定手段で温度制御し、T1≧430℃(好ましくは450℃)かつT2−T1≦A・△T以下で熱分解の終点とし、次工程(例えば、残渣の排出、原料再投入その他の工程)に移ることを特徴とする廃プラスチックの油化方法。△Tは分解平衡温度工程における分解槽外の温度(T2)と分解槽内の温度(T1)の差である。Aは分解槽内からの放熱による係数である。
- 1枚もしくは複数枚の攪拌翼からなる1段もしくは複数段の攪拌翼を持つ縦型攪拌手段を内蔵する分解槽において、最下段の攪拌翼に可とう性のかきとり手段を付設したことを特徴とする廃プラスチック油化装置の分解槽。
- 可とう性のかきとり手段として、最下段の攪拌翼に金属性のチェーン(炭素鋼、ステンレス鋼等)をU字状につるしかつチェーンが分解槽の底面に接触状態としたことを特徴とする特許請求項4記載の廃プラスチック油化装置の分解槽。
- 可とう性のかきとり手段として、下部が分解槽の底面形状と同一の金属板(炭素鋼板、ステンレス鋼板等)を最下段の攪拌翼につるし、分解槽の底面に接触状態としたことを特徴とする特許請求項4記載の廃プラスチック油化装置の分解槽。
- 1枚もしくは複数枚の攪拌翼からなる1段もしくは複数段の攪拌翼を持つ縦型攪拌手段を内蔵する分解槽において、最上段の攪拌翼の上方に先端が分解槽の内壁に近接するバーを付設し、バーの先端近傍に金属性のチェーン(炭素鋼、ステンレス鋼等)をつるし、チェーンの下端が分解槽の底面に近接状態としかつ最下段の攪拌翼に可とう性のかきとり手段を付設したた請求項4の廃プラスチック油化装置の分解槽。
- 分解槽、分解槽の攪拌手段、加熱手段、分解ガスの冷却手段、再製油の回収手段等で構成した廃プラスチックの油化装置において、廃プラスチック(原料)を分解槽に投入する際に原料とともに少量(原料の1%重量程度)の再生油もしくは重油を添加する事を特徴とするプラスチックの油化方法
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