JP3743149B2 - 自動車用ガラスアンテナ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、AM放送帯(530〜1605kHz)、ラジオFM放送(76〜90MHz(日本))、ラジオFM放送(88〜108MHz(米国))及びテレビVHF帯低域受信に適する自動車用ガラスアンテナに関する。なお、テレビVHF帯には低域(90〜108MHz)及び高域(170〜222MHz)があるが、以下、単にテレビVHF帯いう場合には、テレビVHF帯の低域をいうものとする。
【0002】
【従来の技術】
従来のAM放送帯及びラジオFM放送受信用のガラスアンテナ(図4参照)においては、アンテナの感度の不足を補償するため、ヒータ線2とバスバ5a、5bとを有する通電加熱式のデフォッガ3を自動車の後部窓ガラス板1に設け、バスバ5bと直流電源10との間にチョークコイル9及び高周波チョークコイル12a、12bを接続し、デフォッガ3との間で直流電流の送受は行われないが高周波電流の送受は行われるように容量結合させた第1のアンテナ導体6を後部窓ガラス板1に設け、第1のアンテナ導体6の給電点4と受信機(不図示)との間に共振回路7を接続して感度を向上させていた。なお、この容量結合はアンテナ導体6と分岐線3aとを近接させることによりなされている。
【0003】
しかし、共振を利用しても充分な感度を得ることには限界があり、充分な感度が得られない欠点があった。また、AM放送帯及びラジオFM放送受信の際のみならず、テレビVHF帯受信の際にも同様な欠点があった。したがって、第1のアンテナ導体6のパターンを工夫して感度向上を達成することが望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術の前述の欠点の解消し、充分な感度を得られる自動車用ガラスアンテナを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ヒータ線と該ヒータ線に給電するバスバとを有する通電加熱式のデフォッガと、該デフォッガに容量結合されている第1のアンテナ導体とが自動車の後部窓ガラス板に設けられており、バスバと直流電源との間にチョークコイルが接続されており、ラジオFM放送帯又は、周波数が90〜108MHzのテレビVHF放送帯を受信できる自動車用ガラスアンテナにおいて、
すべてのヒータ線は左右中央付近で短絡線により短絡されており、
第1のアンテナ導体は略長方形のループ状の導体パターンを有し、後部窓ガラス板のデフォッガより上部の余白部に設けられていて、接続導体を介して給電点に接続されており、
該略長方形のループ状の導体パターンに、感度微調整用の略直線状の延長部を介して、又は、直接に補助アンテナ導体用接続導体が設けられており、該補助アンテナ導体用接続導体に第1の補助アンテナ導体及び第2の補助アンテナ導体が設けられており、
ラジオFM放送帯、又は、周波数が90〜108MHzのテレビVHF放送帯のうちの受信する放送帯の最低周波数の波長をλ L 、ガラスアンテナの短縮率をKとしたとき、
該補助アンテナ導体用接続導体の導体長と第1の補助アンテナ導体の導体長との和の導体長が(λ L /4)×K〜(λ L /2)×Kの範囲であり、
該補助アンテナ導体用接続導体の導体長と第2の補助アンテナ導体の導体長との和の導体長が(λ L /4)×K〜(λ L /2)×Kの範囲であり、
Kは0.64であり、
さらに、略直線状と曲線状との合成形状、又は、略直線状の第2のアンテナ導体が後部窓ガラス板の上部の後部車体開口上縁と第1のアンテナ導体との間に該後部車体開口上縁と略平行に設けられていて、給電点に接続されていることを特徴とする自動車用ガラスアンテナを提供する。
【0006】
また、第1のアンテナ導体の略長方形のループ状の導体パターンの横方向の寸法が、(λL /8)×K〜(λL /4)×Kの範囲にある上記自動車用ガラスアンテナを提供する。
また、第2のアンテナ導体と後部車体開口上縁との間隔が2〜20mmである上記自動車用ガラスアンテナを提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に従って詳細に説明する。図1は本発明の自動車用ガラスアンテナの代表例の構成図である。図1において、3はデフォッガ、3aはデフォッガの分岐線、5a、5bはバスバ、6は第1のアンテナ導体、6aは第1のアンテナ導体6の延長部、6bは第1のアンテナ導体用の接続導体、6pは延長部6aと補助アンテナ導体用接続導体との接続点、8は第2のアンテナ導体、15は後部車体開口上縁、16aは第1の補助アンテナ導体、16bは第2の補助アンテナ導体、16cは補助アンテナ導体用接続導体である。以下の説明において、特記しないかぎり、寸法の単位はmmとし、方向は図面上での方向をいう。
【0008】
図1に示すように本発明の自動車用ガラスアンテナは、ヒータ線2とヒータ線2に給電するバスバ5a、5bとを有する通電加熱式のデフォッガ3を自動車の後部窓ガラス板1に設けて、バスバ5a、5bと直流電源10との間にチョークコイル9を接続し、デフォッガ3と容量結合されている第1のアンテナ導体6を後部窓ガラス板1に設けている。
【0009】
第1のアンテナ導体6は後部窓ガラス板1のデフォッガ3より上部の余白部に設けられており、略長方形のループ状の導体パターンからなり、接続導体6bを介して給電点4に接続されている。
【0010】
デフォッガ3より上部の余白部には第1のアンテナ導体6とは別に第2のアンテナ導体8が設けられている。第2のアンテナ導体8は後部車体開口上縁15と第1のアンテナ導体6との間に配置されていて、後部車体開口上縁15と略平行であり、給電点4に接続されている。ここで、後部車体開口上縁とは後部窓ガラス板がはめ込まれる車体の開口の周縁上部であって車体アースとなるべきものをいい、例えば、金属等の導電性材料で構成されている。
【0011】
第1のアンテナ導体6の略長方形のループ状の導体パターンの横方向の寸法Lは、受信する放送帯の最低周波数の波長をλL 、ガラスアンテナの短縮率をKとしたとき、(λL /8)×K〜(λL /4)×Kの範囲にあることが好ましい。この範囲内である場合にはこの範囲外である場合と比較して数dB、ラジオFM放送又はテレビVHF放送の感度が向上する。なお、ガラス短縮率Kは0.64である。
【0012】
第1のアンテナ導体6の略長方形のループ状の導体パターンの縦方向の寸法は、0.1L〜0.4Lの範囲であることが好ましい。この範囲内である場合にはこの範囲外である場合と比較して0.5dB以上、ラジオFM放送又はテレビVHF放送の感度が向上する。
【0013】
接続導体6bの導体長は(λL /16)×K〜(λL /4)×Kの範囲であることが好ましい。この範囲内である場合にはこの範囲外である場合と比較して数dB、ラジオFM放送又はテレビVHF放送の感度が向上する。
【0014】
第2のアンテナ導体の導体長は、(λL /4)×K〜(λL /2)×Kの範囲であることが好ましい。この範囲内である場合にはこの範囲外である場合と比較して数dB、ラジオFM放送又はテレビVHF放送の感度が向上する。
【0015】
アンテナ導体6と分岐線3aとは、0.1〜50mmの間隔で近接され、容量結合されている。デフォッガ3は、この容量結合によって、見かけ上、アンテナの一部として機能するようになる。特にAM放送帯受信の際は、デフォッガ3もAM放送用アンテナの一部として機能して、AM放送用アンテナの実効長が長くなるため、受信電波を多く受けられ感度が向上する。
【0016】
図1では、デフォッガ3の最高位ヒータ線2aに分岐線3aが設けられている。分岐線3aは図1に示すように最高位ヒータ線2aの中央付近から垂直方向に伸び、左右中央付近で水平方向に分岐するような略T字状の形状となっている。分岐線3aにはヒータ電流が流れないためノイズが少なく、アンテナ導体6とデフォッガ3との容量結合により感度が向上する。また、分岐線3aは最高位ヒータ線2aの左右中央付近から、最高位ヒータ線2aに対して垂直方向、かつ、下方に伸び、すべてのヒータ線2を短絡させている。このすべてのヒータ線2を短絡させている、分岐線3aの部分を短絡線という。
【0017】
ただし、分岐線3aは上記機能を有していれば図1の形状に限定されずに任意の形状でよく、例えば略L字状でもよい。また、分岐線3aはヒータ線2の一部分又はバスバ5a、5bの一部分でも代用でき、分岐線3aは省略してもよい。しかし、ノイズ減少のためには分岐線3aを設ける方が望ましい。
【0018】
図1では第2のアンテナ導体8の形状は略直線状と曲線状との合成形状である。しかしこれに限定されず、略直線状であってもよい。第2のアンテナ導体8と後部車体開口上縁15との間隔は2〜20mmであることが好ましい。この範囲内である場合にはこの範囲外である場合と比較して0.5dB以上、AM放送、ラジオFM放送又はテレビVHF放送の感度が向上する。
【0019】
延長部6aは、第1のアンテナ導体6に設けられる略直線状の感度微調整用の導体である。延長部6aの導体長の調整により、ラジオFM放送又はテレビVHF放送の感度の微調整ができる。延長部6aを設けることにより、感度が1dB程度まで向上する場合がある。
【0020】
第1の補助アンテナ導体16a、第2の補助アンテナ導体16b及び補助アンテナ導体用接続導体16cは、AM放送の感度向上用及びラジオFM放送又はテレビVHF放送の感度微調整用の導体である。図1では延長部6aの接続点6pに補助アンテナ導体用接続導体16cが設けられており、補助アンテナ導体用接続導体16cに第1の補助アンテナ導体16a及び第2の補助アンテナ導体16bが設けられており、感度向上の点から好ましい形状にしている。しかし、これに限定されず、第1のアンテナ導体6に直接に補助アンテナ導体用接続導体16cを設け、補助アンテナ導体用接続導体16cに第1の補助アンテナ導体16a又は第2の補助アンテナ導体16bを設けてもよい。
【0021】
接続点6pから第1の補助アンテナ導体16aの先端までの導体長(補助アンテナ導体用接続導体16cの導体長と第1の補助アンテナ導体16aの導体長との和の導体長)は、(λL /4)×K〜(λL /2)×Kの範囲であることが好ましい。この範囲内である場合にはこの範囲外である場合と比較して0.5dB以上、ラジオFM放送又はテレビVHF放送の感度が向上する。
【0022】
接続点6pから第2の補助アンテナ導体16bの先端までの導体長は(補助アンテナ導体用接続導体16cの導体長と第2の補助アンテナ導体16bの導体長との和の導体長)、(λL /4)×K〜(λL /2)×Kの範囲であることが好ましい。この範囲内である場合にはこの範囲外である場合と比較して0.5dB以上、ラジオFM放送又はテレビVHF放送の感度が向上する。
【0023】
第1の補助アンテナ導体16aと後部車体開口上縁との間隔は、3〜15mmの範囲がAM放送帯感度向上の点から好ましい。より好ましくは、4〜8mmの範囲である。第2の補助アンテナ導体16bとデフォッガ3(図1の場合は最高位ヒータ線2a)との間隔は、3〜15mm、さらには4〜8mm、の範囲がAM放送帯感度向上の点から好ましい。
【0024】
図1においては、バスバ5a、5bとデフォッガ用の直流電源10との間にチョークコイル9及び高周波チョークコイル12a、12bを接続し、放送帯域にてチョークコイル9及び高周波チョークコイル12a、12bのインピーダンスを大きくすることによって、直流電源10からデフォッガ3への直流電流は流すが放送帯域の電流は遮断するようにしている。
【0025】
このようにして、チョークコイル9及び高周波チョークコイル12a、12bによりデフォッガ3のヒータ線2とバスバ5a、5bとを車体アースから高周波的に絶縁でき、ヒータ線2及びバスバ5a、5bに誘起された放送帯域の受信電流が車体アースへ流れるのを防止できて、この受信電流を漏れなく受信機に送ることができる。
【0026】
また、AM放送帯のみを受信する場合であれば、高周波チョークコイル12a、12bは、通常、不要であり、チョークコイル9のみでよく、ラジオFM放送帯又はテレビVHF放送帯を受信する場合であれば、高周波チョークコイル12a、12bのみでよい。また、AM放送帯、ラジオFM放送帯又はテレビVHF放送帯を受信する場合であっても、チョークコイル9、高周波チョークコイル12a、12b両方の機能を満足するコイルがあれば、かかるコイルのみでよい。
【0027】
給電点4は図1では後部窓ガラス板1の右周縁部に配設されている。しかし、これに限定されず、後部窓ガラス板1のどの位置に配設されていてもよく、例えば、後部窓ガラス板1の左右中央の上周縁部に配設されていてもよい。
【0028】
【実施例】
「例1(比較例)」
自動車の後部窓ガラス板を使用し、AM放送帯及び米国のラジオFM放送の受信を目的とする自動車用ガラスアンテナであって、図1に示すような自動車用ガラスアンテナを製作した。ただし、第1の補助アンテナ導体16a、第2の補助アンテナ導体16b及び補助アンテナ導体用接続導体16cは設けなかった。表1に図1のガラスアンテナの各部の寸法を示す。また、米国のラジオFM放送の周波数−感度特性を実線で図2に示し、AM放送帯の周波数−感度特性を実線で図3に示す。
【0029】
「例2(実施例)」
第1の補助アンテナ導体16a、第2の補助アンテナ導体16b及び補助アンテナ導体用接続導体16cを設けた以外は、例1とまったく同様の仕様とした自動車用ガラスアンテナを製作した。表2に例1に追加された各部の寸法を示す。例1と比較するとAM放送帯の平均感度が2.0dB向上し、ラジオFM放送の平均感度が1.0dB向上した。
【0030】
「例3(比較例)」
アンテナ導体6を図4のような形状に変更した以外は、例1とまったく同様の仕様とした自動車用ガラスアンテナを製作した。周波数−感度特性を図2、3における点線で示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【発明の効果】
本発明では、AM放送帯の感度がAM放送帯の全域にわたって向上し、さらにラジオFM放送帯又はテレビVHF放送帯の最低周波数近傍の周波数及び最低周波数近傍の周波数以外の周波数域の感度を著しく向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自動車用ガラスアンテナの代表例の構成図
【図2】例1及び例3のラジオFM放送の周波数−感度特性図
【図3】例1及び例3のAM放送帯の周波数−感度特性図
【図4】従来例の構成図
【符号の説明】
1:後部窓ガラス板
2:ヒータ線
3:デフォッガ
5a、5b:バスバ
6:第1のアンテナ導体
6a:第1のアンテナ導体6の延長部
6b:接続導体
6p:延長部6aと補助アンテナ導体用接続導体16cとの接続点
8:第2のアンテナ導体
12a、12b:高周波チョークコイル
15:後部車体開口上縁
16a:第1の補助アンテナ導体
16b:第2の補助アンテナ導体
16c:補助アンテナ導体用接続導体
Claims (3)
- ヒータ線と該ヒータ線に給電するバスバとを有する通電加熱式のデフォッガと、該デフォッガに容量結合されている第1のアンテナ導体とが自動車の後部窓ガラス板に設けられており、バスバと直流電源との間にチョークコイルが接続されており、ラジオFM放送帯又は、周波数が90〜108MHzのテレビVHF放送帯を受信できる自動車用ガラスアンテナにおいて、
すべてのヒータ線は左右中央付近で短絡線により短絡されており、
第1のアンテナ導体は略長方形のループ状の導体パターンを有し、後部窓ガラス板のデフォッガより上部の余白部に設けられていて、接続導体を介して給電点に接続されており、
該略長方形のループ状の導体パターンに、感度微調整用の略直線状の延長部を介して、又は、直接に補助アンテナ導体用接続導体が設けられており、該補助アンテナ導体用接続導体に第1の補助アンテナ導体及び第2の補助アンテナ導体が設けられており、
ラジオFM放送帯、又は、周波数が90〜108MHzのテレビVHF放送帯のうちの受信する放送帯の最低周波数の波長をλ L 、ガラスアンテナの短縮率をKとしたとき、
該補助アンテナ導体用接続導体の導体長と第1の補助アンテナ導体の導体長との和の導体長が(λ L /4)×K〜(λ L /2)×Kの範囲であり、
該補助アンテナ導体用接続導体の導体長と第2の補助アンテナ導体の導体長との和の導体長が(λ L /4)×K〜(λ L /2)×Kの範囲であり、
Kは0.64であり、
さらに、略直線状と曲線状との合成形状、又は、略直線状の第2のアンテナ導体が後部窓ガラス板の上部の後部車体開口上縁と第1のアンテナ導体との間に該後部車体開口上縁と略平行に設けられていて、給電点に接続されていることを特徴とする自動車用ガラスアンテナ。 - 前記第1のアンテナ導体の略長方形のループ状の導体パターンの横方向の寸法が、(λL /8)×K〜(λL /4)×Kの範囲にある請求項1記載の自動車用ガラスアンテナ。
- 第2のアンテナ導体と後部車体開口上縁との間隔が2〜20mmである請求項1又は2記載の自動車用ガラスアンテナ。
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