JPH08321712A - 自動車高周波用ガラスアンテナ及び自動車用ダイバーシティガラスアンテナ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】指向性改善。 【構成】窓のガラス板１に、所定パターンのアンテナ導
体６０を設け、アンテナ導体６０の両端にコイル６０１
を接続して、アンテナ導体６０とコイル６０１とでルー
プを形成するようにし、コイル６０１の一部からの受信
信号を取り出すようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はラジオ放送及びテレビ放
送を最適に受信でき、特にテレビ放送帯全域に亘り、受
信感度特性がフラット、かつ、高受信感度になり、か
つ、無指向性の自動車高周波用ガラスアンテナ及び自動
車用ダイバーシティガラスアンテナ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】図３に示すように、従来のガラスアンテ
ナでは自動車後部窓のガラス板１に、通常、ヒータ線２
とバスバ５ａ、５ｂ、５ｃとからなるデフォッガが設け
られ、ヒータ線２と干渉しないように、後部窓のガラス
板１の上部余白部と下部余白部にＦＭ放送波受信用のダ
イバーシティ受信に使用するアンテナ導体６、６１、６
２、６３が設けられていた。また、ガラス板１のデフォ
ッガより上部の余白部に設けられたアンテナ導体６はＡ
Ｍ放送波受信用としても共用されていた。

【０００３】図３において、アンテナ導体６３はＦＭ放
送受信用のものであり、８０、８１、８２、８４はテレ
ビ放送受信用の同軸ケーブル、８３、８５はＦＭ放送受
信用の同軸ケーブル、９０、９１、９２、９３、９４、
９５は直流成分カット用のコンデンサ、１１はノイズカ
ット用のコンデンサである。同軸ケーブル８０、８１は
図３の左側より１つに束ねて配線を引き回し、同軸ケー
ブル８２、８３、８４、８５は図３の右側より１つに束
ねて配線を引き回している。

【０００４】図３において、バスバ５ａ、５ｂとデフォ
ッガ用の直流電源１０間にチョークコイル９及び高周波
コイル１２ａ、１２ｂを挿入し、高周波帯域にてチョー
クコイル９及び高周波コイル１２ａ、１２ｂのインピー
ダンスを大きくすることによって、直流電源１０からデ
フォッガへの直流電流は流すが放送周波数帯域等の高周
波帯域の電流は遮断するようにしている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、このような従
来の自動車用ダイバーシティガラスアンテナ装置では各
アンテナ導体の指向性が互いに類似しているため、ダイ
バーシティ効果が十分に奏し得ず、高受信感度、かつ、
フラットな受信感度特性が得られないという欠点があっ
た。

【０００６】本発明は、従来の自動車用ダイバーシティ
ガラスアンテナ装置の有する前記の欠点を解消すること
を目的とし、無指向性の高受信感度の自動車高周波用ガ
ラスアンテナ及び自動車用ダイバーシティガラスアンテ
ナ装置を提供する。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、前述の課題を
解決すべくなされたものであり、自動車の窓のガラス板
に、所定パターンのアンテナ導体を設け、アンテナ導体
の両端にコイルを接続して、アンテナ導体とコイルとで
ループを形成するようにし、ループの一部から受信信号
を取り出すようにしたことを特徴とする自動車高周波用
ガラスアンテナを提供する。

【０００８】また、本発明は、前記受信信号を前記コイ
ルの一部から取り出すようにしたことを特徴とする上記
自動車高周波用ガラスアンテナを提供する。

【０００９】また、本発明は、自動車の窓のガラス板に
複数のアンテナ導体を設け、複数のアンテナ導体の受信
信号のうち、適正な方を利用するようにした自動車用ダ
イバーシティガラスアンテナ装置において、複数のアン
テナ導体のうち少なくとも１つが上記自動車高周波用ガ
ラスアンテナであることを特徴とする自動車用ダイバー
シティガラスアンテナ装置を提供する。

【００１０】また、本発明は、自動車の後部窓のガラス
板に、ヒータ線とヒータ線に給電するバスバとを有する
通電加熱式のデフォッガと、デフォッガと所定間隔をお
いて近接させて容量結合させた所定パターンのアンテナ
導体（Ａ）と、１以上のアンテナ導体（Ｂ）とを設け、
一方のバスバとバッテリとの間及び他方のバスバと接地
との間にチョークコイルを挿入接続し、アンテナ導体
（Ｂ）のうちの少なくとも１つが上記自動車高周波用ガ
ラスアンテナであり、アンテナ導体（Ａ）、（Ｂ）の受
信信号のうち、適正な方を利用するようにしたことを特
徴とする自動車用ダイバーシティガラスアンテナ装置を
提供する。

【００１１】

【作用】本発明では、窓のガラス板に所定パターンのア
ンテナ導体を設け、アンテナ導体の両端にコイルを接続
して、アンテナ導体とコイルとでループを形成するよう
にしているので、受信電波によりこのループで共振が生
じ、受信感度が上昇する。また、コイルの一部から受信
信号を取り出すようにし、受信信号を取り出すコイルの
部分の位置により、所望の位相を得ることができる。

【００１２】

【実施例】

（実施例）図１に実施例を示す。図１において、図３と
同番号、同符号の部分の名称は図３と同名称とし、６０
は本発明にかかるアンテナ導体、６０１は本発明にかか
るコイル、８２０は同軸ケーブル、９２０はアンテナ導
体６の受信信号の漏れ防止用のコンデンサである。

【００１３】なお、アンテナ導体（Ａ）はアンテナ導体
６に該当し、アンテナ導体（Ｂ）はアンテナ導体６０、
６１、６３に該当する。

【００１４】実施例においては、自動車後部窓のガラス
板１の略中央付近に防曇用のデフォッガを構成するヒー
タ線２（横方向の寸法は実長１２４０ｍｍ）が配設され
ており、デフォッガのガラス板１の上部余白部表面と下
部余白部表面には導電ペースト（実施例では銀ペース
ト）によって焼き付け印刷した線幅０．８ｍｍの所定パ
ターンの複数のアンテナ導体が配設されている。

【００１５】実施例において、アンテナ導体６はＡＭ放
送及びＦＭ放送周波数帯受信共用、アンテナ導体６０、
６１はテレビ放送受信用、アンテナ導体６３はＦＭ放送
周波数帯受信用とした。アンテナ導体６０、６１はヒー
タ線２と１０ｍｍの間隔をおいて近接させて容量結合さ
せた。

【００１６】容量結合とは、直流電流の送受は行われな
いが高周波電流等の交番電流の送受は行われることをい
う。各アンテナ導体とデフォッガとの容量結合は、アン
テナ導体とデフォッガとの距離が、通常０．１〜３０ｍ
ｍ程度で容量結合される。

【００１７】実施例において、バスバ５ｃをアンテナと
し、コンデンサ９０、同軸ケーブル８０を経路としたも
のはテレビ放送受信用、バスバ５ｂをアンテナとし、コ
ンデンサ９４、同軸ケーブル８４を経路としたものはテ
レビ放送受信用である。

【００１８】以上に記載したように、実施例において、
テレビ放送受信用アンテナは計４つある。実施例ではこ
れら４つのテレビ放送受信用アンテナのうちから受信感
度が最も大きいアンテナを選択回路（不図示）によって
選択して、受信機（不図示）に送っている。

【００１９】実施例において、バスバ５ｃをアンテナと
したものは、ＶＨＦＬｏｗ帯の水平偏波成分と垂直偏波
成分とを中心にそれぞれを受信し、合成したものが受信
信号となる。また、バスバ５ｂをアンテナとしたもの
は、ＶＨＦＨｉｇｈ帯の水平偏波成分と垂直偏波成分と
を中心にそれぞれを受信し、合成したものが受信信号と
なる。

【００２０】実施例において、テレビ放送受信用とした
アンテナ導体６０は、ＶＨＦＨｉｇｈ帯の水平偏波成分
を中心に受信する性能を有し、アンテナ導体６１はＶＨ
ＦＨｉｇｈ帯の水平偏波成分及び垂直偏波成分を中心に
受信する性能を有する。

【００２１】アンテナ導体６０については、実施例では
図１に示すように、アンテナ導体６０の両端にそれぞれ
２つの給電点を付設し、かかる２つの給電点にコイル６
０１を接続した。このようにして、窓のガラス板１に、
所定パターンのアンテナ導体６０を設け、アンテナ導体
６０の両端にコイル６０１を接続して、アンテナ導体６
０とコイル６０１とでループを形成するようにし、コイ
ル６０１の中間にタップを設け、コイル６０１の一部か
らの受信信号を取り出すようにした。

【００２２】かかるタップの位置はコイル６０１のデフ
ォッガ側給電点に近い部分であってコイル６０１の１／
３の部分とした。かかるタップの位置を移動することに
より、受信電波の周波数特性を調整できる。

【００２３】この場合、コイル６０１は２つの給電点に
半田により接着し、コイル６０１として直径０．８ｍｍ
の銅線を巻線としたものを使用し、コイル６０１のイン
ダクタンスの値は０．７μＨのものを使用したが、これ
に限定されず、通常、０．０１〜１０μＨの範囲のコイ
ルが使用できる。

【００２４】アンテナ導体６０とコイル６０１との接続
は、図１に限定されず、アンテナ導体６０の両端に給電
点を付設せず、コイル６０１を窓のガラス板１に設け
て、窓のガラス板１でアンテナ導体６０とコイル６０１
とを接続してもよい。このような場合、コイル６０１を
導電性銀ペースト等の導電性金属含有ペーストを焼付け
て形成する等により窓のガラス板１の車うち側表面等に
形成してもよい。

【００２５】アンテナ導体６０の導体長（両端に給電点
を含まない長さ）は、実施例では１１７０ｍｍとし、水
平方向の幅５５０ｍｍ、垂直方向の幅７０ｍｍとした
が、これに限定されず、ＦＭ放送周波数帯、テレビ放送
周波数帯受信として使用する場合には、通常、１００〜
５０００ｍｍの範囲が使用できる。

【００２６】アンテナ導体６０の導体パターンは、図１
の形状に限定されない。アンテナ導体６０の導体パター
ンは、コイル６０１とともにループ状を構成できる導体
パターンならばどのようなものでも使用でき、１本の曲
線でなくともよく、複数本の曲線であってもよい。ま
た、１本又は複数本の直線であってもよい。さらに、位
相調整及び指向性調整のために、これらの形状のアンテ
ナ導体６０の導体パターン又は給電点に、略Ｔ字状、略
Ｌ字状等の補助アンテナ導体が付設されていてもよい。

【００２７】図１に示すアンテナ導体６１、６３は２本
のエレメントからなっているが、これに限定されない。
また、アンテナ導体６１の２本のエレメントの導体長
（両端に給電点を含まない長さ）は、同長とし、実施例
では５００ｍｍとした。また、アンテナ導体６３の２本
のエレメントの導体長（両端に給電点を含まない長さ）
も、同長とし、実施例では５００ｍｍとした。

【００２８】実施例では、自動車前方に送信アンテナを
設置したとき、１９３ＭＨｚにおいて、アンテナ導体６
１、バスバ５ｂ、５ｃは受信感度ほぼ２０ｄＢであり、
ほぼ同様の指向性を示したが、アンテナ導体６０は３５
ｄＢとなり、アンテナ導体６１、バスバ５ｂ、５ｃとは
全く別の指向性を示した。

【００２９】図２に実施例と図３に示す従来例の受信感
度特性を示す。かかる実施例の受信感度特性は選択回路
（不図示）によって、選択した後のものである。

【００３０】図３からわかるようにＶＨＦＨｉｇｈ帯に
おいて、実施例では、図３に示す従来例と比較してフラ
ットな受信感度特性を示し、受信感度も著しく向上して
いる。

【００３１】なお、図１では窓のガラス板１を後部窓の
ガラス板とした。しかし、本発明においては、特に、ア
ンテナ導体６０が設けられる窓のガラス板は後部窓のガ
ラス板に限定されず、サイド窓のガラス板、前部窓のガ
ラス板、ルーフ窓のガラス板等であってもよい。また、
アンテナ導体６０が設けられる窓のガラス板にデフォッ
ガが設けられていなくともよい。

【００３２】また、図１では、ガラス板１のデフォッガ
より上部の余白部にアンテナ導体６０を設けた例につい
て示したが、図１に示す位置に限定されず、ガラス板１
のデフォッガより下部の余白部であってもよい。また、
デフォッガの上下部にそれぞれ設けてもよく、又はその
他の余白部に設けてもよい。

【００３３】換言すると、図１に例において、ガラス板
１のデフォッガより上下左右部の余白部のどこにアンテ
ナ導体６０を設けてもよく、ガラス板１に設けられるア
ンテナ導体の数は限定されない。

【００３４】また、図１において、バスバ５ａ、５ｂと
デフォッガ用の直流電源１０間にチョークコイル９及び
高周波コイル１２ａ、１２ｂを挿入し、高周波帯域にて
チョークコイル９及び高周波コイル１２ａ、１２ｂのイ
ンピーダンスを大きくすることによって、直流電源１０
からデフォッガへの直流電流は流すが放送周波数帯域等
の高周波帯域の電流は遮断するようにしている。

【００３５】このようにして、チョークコイル９及び高
周波コイル１２ａ、１２ｂによりデフォッガのヒータ線
２とバスバ５ａ、５ｂ、５ｃとを車体アースから高周波
的に絶縁でき、ヒータ線２及びバスバ５ａ、５ｂ、５ｃ
に誘起されたラジオ放送周波数帯域等の高周波帯域の受
信電流が車体アースへ流れるのを防止できて、この受信
電流を漏れなく受信機（不図示）に送ることができる。

【００３６】また、中波帯、例えば、ＡＭ放送周波数帯
のみを受信する場合であれば、高周波コイル１２ａ、１
２ｂは、通常、不要であり、チョークコイル９のみでよ
く、テレビ放送周波数帯、ＦＭ放送周波数帯等の高周波
帯のみを受信する場合であれば、高周波コイル１２ａ、
１２ｂのみでよい。また、ＡＭ放送、テレビ放送周波数
帯及びＦＭ放送周波数帯等のすべてを受信する場合であ
っても、チョークコイル９、高周波コイル１２ａ、１２
ｂ両方の機能を満足するコイルがあれば、かかるコイル
のみでよい。

【００３７】また、各アンテナ導体、ヒータ線２とバス
バ５ａ、５ｂ、５ｃとは、通常、導電性銀ペースト等の
導電性金属含有ペーストを窓のガラス板１の車内側表面
にプリントし、焼付けて形成する等により製造するが、
かかる形成方法に限定されず、銅線等の導電性の線状体
又は箔状体を窓のガラス板１の車内側又は車外側表面に
形成してもよく、窓のガラス板１の内部に設けてもよ
い。

【００３８】

【発明の効果】本発明では、窓のガラス板に所定パター
ンのアンテナ導体を設け、アンテナ導体の両端にコイル
を接続して、アンテナ導体とコイルとでループを形成す
るようにしているので、受信電波によりこのループで共
振が生じ、受信感度が上昇する。また、コイルの一部か
ら受信信号を取り出すようにし、受信信号を取り出すコ
イルの部分の位置により、所望の周波数特性が得られ
る。

【００３９】したがって、自動車の窓のガラス板に複数
のアンテナ導体を設け、複数のアンテナ導体のうちの少
なくとも１つが本発明にかかるアンテナであり、これら
の複数のアンテナ導体の受信信号のうち、適正な方を利
用するようにしたダイバーシティ受信した場合、本発明
にかかるアンテナは、他のアンテナと指向性を変化させ
ることができるため、ダイバーシティ効果を高めること
ができ、高受信感度、かつ、フラットな受信感度特性が
得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例を示す構成図

【図２】実施例と図３に示す従来例の受信感度特性図

【図３】従来例を示す構成図

【符号の説明】

１：自動車の後部窓のガラス板 ２：ヒータ線 ５ａ、５ｂ、５ｃ：バスバ ６、６０、６１、６２、６３：アンテナ導体 ９：チョークコイル １０：直流電源 １１：コンデンサ １２ａ、１２ｂ：高周波コイル ６０１：コイル

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】自動車の窓のガラス板に、所定パターンの
   アンテナ導体を設け、アンテナ導体の両端にコイルを接
   続して、アンテナ導体とコイルとでループを形成するよ
   うにし、ループの一部から受信信号を取り出すようにし
   たことを特徴とする自動車高周波用ガラスアンテナ。
2. 【請求項２】前記受信信号を前記コイルの一部から取り
   出すようにしたことを特徴とする請求項１の自動車高周
   波用ガラスアンテナ。
3. 【請求項３】自動車の窓のガラス板に複数のアンテナ導
   体を設け、複数のアンテナ導体の受信信号のうち、適正
   な方を利用するようにした自動車用ダイバーシティガラ
   スアンテナ装置において、複数のアンテナ導体のうち少
   なくとも１つが請求項１又は２の自動車高周波用ガラス
   アンテナであることを特徴とする自動車用ダイバーシテ
   ィガラスアンテナ装置。
4. 【請求項４】自動車の後部窓のガラス板に、ヒータ線と
   ヒータ線に給電するバスバとを有する通電加熱式のデフ
   ォッガと、デフォッガと所定間隔をおいて近接させて容
   量結合させた所定パターンのアンテナ導体（Ａ）と、１
   以上のアンテナ導体（Ｂ）とを設け、一方のバスバとバ
   ッテリとの間及び他方のバスバと接地との間にチョーク
   コイルを挿入接続し、 アンテナ導体（Ｂ）のうちの少なくとも１つが請求項１
   又は２の自動車高周波用ガラスアンテナであり、アンテ
   ナ導体（Ａ）、（Ｂ）の受信信号のうち、適正な方を利
   用するようにしたことを特徴とする自動車用ダイバーシ
   ティガラスアンテナ装置。