JP3742922B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ等の乾式電子写真式画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の画像形成装置として、原稿読み取り手段により読み取られた画像情報あるいはコンピュータ等から送信される画像情報を印字する印字部と、印字される用紙を供給して搬送する給紙搬送手段とを備えたものが知られている。
【0003】
画像形成装置では、印字要求がなされてから印字終了までの間に、装置が異常を検出した場合あるいはユーザーが緊急停止の操作をした場合に、緊急停止シーケンスが実行されて、装置が緊急停止するようになっている。
【0004】
印字要求がなされると、感光体を回転させるメインモータが回転を開始し、感光体の回転が安定状態(定常状態)になった後に、印字が開始され、印字が終了すると、メインモータが停止して、回転体が停止する。装置の異常は、このような印字動作のどの段階においても生じうるが、従来は、装置の異常がどの段階で発生しても、すぐに緊急停止シーケンスを実行して、装置を緊急停止していた。
【0005】
図9は、従来の画像形成装置における印字動作時の感光体の回転速度と、異常が発生したときの緊急停止処理について説明した図面である。
【0006】
図9において、印字要求がなされると、時点Aにおいて、メインモータが回転を開始して、感光体が回転を開始し、回転速度が徐々に大きくなって、時点Bにおいて、一定速度の安定状態となる。回転体が安定状態になった後の時点Cにおいて、印字が開始され、時点Dにおいて、印字が終了すると、メインモータが減速されて、感光体の回転速度が徐々に小さくなり、時点Eにおいて、停止する。F、GおよびHは装置に異常が発生した時点を示しており、従来は、上記のように、印字動作のどの時点で異常が発生しても、すぐに緊急停止処理を実行して、装置を緊急停止していた。すなわち、感光体が安定状態になる前の時点Fで異常が発生すると、すぐに緊急停止シーケンスを実行し、時点F′で停止する。感光体が安定状態になった後、印字が開始される前の時点Gで異常が発生すると、すぐに緊急停止シーケンスを実行し、時点G′で停止する。印字が開始された後の時点Hで異常が発生すると、すぐに緊急停止シーケンスを実行し、時点H′で停止する。
【0007】
画像形成装置において、近年、1台の装置で、画像情報を互いに異なる複数段階の解像度で印字する機能の開発が進んでおり、このような機能を備えた画像形成装置として、解像度によって感光体の回転速度等のプロセス速度を変えるようにしたものが提案されている。たとえば、高解像度と低解像度の2段階の印字が可能な画像形成装置の場合、高解像度の方がプロセス速度が低く設定されている。これは、高解像度の方が、印字走査ライン数が多く、印字走査ライン数の増加によって、光学系の照射時間、画像情報の読み取り、処理時間が増大するためである。
【0008】
そして、このような複数段階の解像度での印字が可能な画像形成装置では、従来は、解像度が変わっても、同じ緊急停止シーケンスによって装置を緊急静止していた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来の画像形成装置では、上記のように、回転体の回転速度が安定状態になる前に異常が発生した場合でも、すぐに緊急停止シーケンスを実行して装置を緊急停止させるので、キャリヤ上がり(感光体への現像剤の付着)が発生するという問題がある。
【0010】
また、解像度が変わっても、同じ緊急停止シーケンスによって装置を緊急停止させるので、緊急停止により、感光体の過帯電、レーザ光照射装置によるレーザ光の過照射等による感光体の劣化を招くという問題がある。さらに、現像装置の現像槽では、感光体の電位を基に現像剤の付着を決定しているから、緊急停止時の感光体の電位によって、トナーの付着、キャリヤの付着が発生することがあり、これにより、現像剤の濃度が不均一になり、装置の復帰後の現像剤濃度の調整が不可能になることがある。
【0011】
本発明の目的は、上記の問題を解決し、緊急停止による不都合の生じない画像形成装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
本発明による画像形成装置は、画像情報を印字する印字手段と、印字される用紙を供給して搬送する給紙搬送手段と、印字された用紙を排出する排紙手段とを備え、画像情報を印字するためのプロセス速度が複数段階に切り替えられ、動作を開始した後に、異常によって動作を緊急停止する緊急停止シーケンスを行う画像形成装置において、上記緊急停止シーケンスが、プロセス速度によって切り替えられ、プロセス速度が速い場合は主帯電器のグリッド電圧を低下させてから現像バイアス電圧をオフにし、プロセス速度が遅い場合はグリッド電圧を維持したまま現像バイアス電圧をオフにするものであることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の画像形成装置によれば、緊急停止シーケンスが、プロセス速度によって切り替えられ、プロセス速度が速い場合は主帯電器のグリッド電圧を低下させてから現像バイアス電圧をオフにし、プロセス速度が遅い場合はグリッド電圧を維持したまま現像バイアス電圧をオフにするものであるから、プロセス速度に対して最適な緊急停止シーケンスを実行させることができ、したがって、緊急停止による上記のような不具合の発生を防止することができる。
【0014】
本発明の画像形成装置において、たとえば、上記緊急停止シーケンスが、感光体の回転、感光体の帯電、感光体への光照射および現像スリーブへの電圧印加を含み、感光体の回転中に感光体への光照射を行い、光照射中に現像バイアス電圧のオフおよび主帯電器のグリッド電圧のオフを行うものである。
【0016】
従来の緊急停止シーケンスでは、感光体の回転停止、帯電の停止、光照射の停止および現像スリーブへの電圧印加停止が各々単独で動作していた。このため、緊急停止シーケンスのタイミングのずれで、感光体の劣化、キャリヤ上がりを招来し、これが感光体の寿命低下、現像剤の劣化の原因となっていた。
【0017】
これに対し、上記のように、緊急停止シーケンスを感光体上のプロセス各部において、その配置位置および感光体の回転速度に合わせることにより、上記の不具合を解消でき、感光体、現像剤を含むサプライ品の寿命向上および印字品質の安定化が可能となる。
【0018】
本発明の画像形成装置において、たとえば、プロセス速度が画像情報の解像度によって複数段階に切り替えられる。
本発明の画像形成装置において、たとえば、印字要求によって感光体が回転を開始した後、感光体の回転速度が安定するまでに緊急停止の要求を受けたときには、感光体の回転速度が安定状態となった後に、上記緊急停止シーケンスを開始する。
【0019】
これによれば、感光体の回転速度が安定状態になる前に緊急停止シーケンスを実行することによるキャリヤ上がり等の不具合の発生を防止することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明を乾式電子写真式画像形成装置の1つであるディジタル複写機に適用した実施形態について説明する。
【0021】
図1は複写機の全体構成を示す概略垂直断面図、図2は同ブロック図である。以下の説明において、図1の左右を左右とし、同図の紙面表側を前、同裏側を後とする。また、記録用紙の通常の移動方向の後側(給紙側)を上流、同前側(排紙側)を下流とする。
【0022】
複写機の装置本体(1)には、原稿の画像を読み取って画像情報を出力する原稿読み取り手段としての原稿読み取り部(2)、画像情報を印字する印字手段としての印字部(画像形成部)(3)、印字される記録用紙(P)を供給して搬送する給紙搬送手段としての給紙搬送部(4)、印字された用紙(P)を排出する排紙手段としての排紙部(5)およびこれら全体を制御する制御手段としての制御部(34)等が設けられている。
【0023】
装置本体(1)の左側部分の高さの中間部が大きく取り除かれ、この部分が排紙部(5)となっている。
【0024】
原稿読み取り部(2)は上面に透明なガラス等からなる原稿台(6)を有し、この原稿台(6)の下方にスキャナ光学系(7)が配されている。光学系(7)は、露光用光源(8)、複数の反射鏡(9)(10)(11)、結像レンズ(12)およびCCD(光電変換素子)(13)を備えている。原稿台(6)に載置される原稿に対して、光源(8)からの照射光により光走査が行われ、原稿からの反射光が反射鏡(9)(10)(11)およびレンズ(12)を介してCCD(13)に導かれる。CCD(13)によって読み取られた原稿画像データは、制御部(34)において画像処理が施され、印字部(3)に送られる。
【0025】
印字部(3)は、図示しないメインモータにより図1の矢印方向に回転駆動されるドラム形状の感光体(14)を備えており、感光体(14)の周囲に、その回転方向に、感光体(14)を所定の電位に帯電させる主帯電器(15)、帯電された感光体(14)の表面にレーザ光を照射して静電潜像を形成するレーザ光照射装置(16)、レーザ光によって露光された感光体(14)の表面の静電潜像をトナーにより現像する現像装置(17)、感光体(14)上のトナー像を記録用紙に転写する転写チャージャ(18)、および感光体(14)の表面の残留トナーを除去するクリーニング装置(19)が順に配置されている。レーザ光照射装置(16)は、前述のようにCCD(13)により読み取られて画像処理が施された原稿画像データに基づいてレーザ光を感光体(14)の表面に照射し、静電潜像を形成する。
【0026】
給紙搬送部(4)および排紙部(5)は、次のように構成されている。
【0027】
装置本体(1)内の排紙部(5)の下方に記録用紙(P)が収納された用紙カセット(20)が装着され、カセット(20)の先端部に、用紙(P)を給紙するための呼び込みローラ(21)および用紙さばき部(22)が配されている。用紙さばき部(22)は、ローラと摩擦シート部材あるいは逆転ローラ等よりなる。装置本体(1)の右側面下部に手差しトレイ(23)が設けられ、その先端部に呼び込みローラ(24)および用紙さばき部(25)が配されている。カセット(20)および手差しトレイ(23)の下流側に、用紙(P)の通過を検知するためのレジスト前検知スイッチ(図示略)、およびこのスイッチの信号に基づいて感光体(14)上のトナー像と用紙(P)との位置合わせを行うレジストローラ(26)が配置され、用紙(P)をレジストローラ(26)に導く用紙搬送路(27)(28)が形成されている。印字部(3)の下流側に、用紙(P)上のトナー像を定着させる1対の定着ローラ(29)(30)、および用紙(P)が定着ローラ(29)(30)を通過したことを検知する定着紙検知スイッチ(図示略)が配置されている。装置本体(1)の排紙部(5)の右側上方に、用紙(P)を排紙部(5)に排出するための排紙ローラ(31)、および排紙ローラ(31)の前で用紙(P)が通過したことを検知する排紙検知スイッチ(図示略)が配置されている。定着ローラ(29)(30)と排紙ローラ(31)の間に、用紙(P)を導く用紙搬送路(32)が形成され、定着ローラ(29)(30)の下流側とレジストローラ(26)の上流側との間に、用紙(P)に両面印字を行う場合に使用する用紙搬送路(副搬送路)(33)が形成されている。
【0028】
上記の複写機において、片面印字の場合、用紙(P)は、カセット(20)あるいは手差しトレイ(23)から搬送路(27)(28)のいずれかを通して給紙され、レジストローラ(26)を通して印字部(3)に搬送される。カセット(20)と手差しトレイ(23)の選択は、たとえば、使用者の設定等に基づいて行われる。用紙(P)は、印字部(3)においてトナー像が転写された後、定着ローラ(29)(30)によってトナー像の定着が行われ、搬送路(32)および排紙ローラ(31)を通って排紙部(5)に排出される。
【0029】
両面印字の場合は、上記のように片面の印字が終わった後、用紙(P)は副搬送路(33)を通ってレジストローラ(26)の上流側に戻され、残りの片面に印字が行われる。後は、片面印字の場合と同様にして、用紙(P)は排紙部(5)に排出される。
【0030】
上記の複写機では、互いに異なる複数段階の解像度で、原稿の画像情報の読み取りおよび画像の印字ができるようになっている。この例では、600dpiと1200dpiの2段階の解像度で、読み取りおよび印字ができる。そして、解像度によってプロセス速度が変えられ、1200dpiの場合のプロセス速度は、600dpiの場合の1/2となっている。また、装置が異常を検出した場合あるいはユーザーが緊急停止の操作をした場合に、緊急停止シーケンスが実行されて、装置が緊急停止するようになっているが、印字要求によって感光体(14)が回転を開始した後、感光体(14)の回転速度が安定状態になるまでに緊急停止の要求を受けたときには、感光体(14)の回転速度が安定状態となった後に、上記緊急停止シーケンスを開始するようになっている。さらに、600dpiの場合と1200dpiの場合とで、緊急停止シーケンスの内容が異なっている。
【0031】
図3は、制御部(34)の緊急停止シーケンスに関する部分の機能を説明する図面である。
【0032】
図3において、マシン制御部は、画質モード選択手段から解像度等の画質モード情報を受け取って、プロセスシーケンス選択手段に出力する。プロセスシーケンス選択手段は、マシン制御部からの画質モード情報に基づいて、シーケンスパターンを選択し、これをマシン制御部に出力する。マシン制御部は、このシーケンスパターンに基づいて、画像形成装置の各部を制御することにより、印字動作を行わせる。プロセスシーケンス選択手段は、また、選択したシーケンスパターンの解像度がいずれであるかのシーケンス情報をエラー停止シーケンス(緊急停止シーケンス)選択手段に出力する。エラー監視部は、常時、画像形成装置の状態を監視しており、異常を検知すると、エラー発生情報をマシン制御部に出力する。マシン制御部は、エラー監視部からのエラー発生情報を受けると、エラー情報をエラー停止シーケンス選択手段に出力する。エラー停止シーケンス選択手段は、マシン制御部からのエラー情報と、プロセスシーケンス選択手段からのシーケンス情報とに基づいて、緊急停止シーケンスのシーケンスパターンを選択し、これをマシン制御部に出力する。マシン制御部は、エラー停止シーケンス選択手段からのシーケンスパターンに基づいて、緊急停止シーケンスを実行し、駆動制御部に駆動停止要求を出力して、装置を停止させる。
【0033】
図8は、従来例を示す図9に相当する図面であり、上記の複写機における印字動作時の感光体の回転速度と、異常が発生したときの緊急停止処理について説明した図面である。図8において、図9のものと対応する部分には、同一の符号を付している。
【0034】
上記の複写機の場合、感光体(14)の回転速度が安定状態になった時点B以降の時点G、Hで異常が発生したときには、従来と同様に、すぐに緊急停止シーケンスを実行して、時点G′、H′に緊急停止する。これに対し、感光体(14)の回転速度が安定状態になる時点Bよりも前の時点Fで異常が発生したときには、すぐには緊急停止シーケンスを開始せず、回転体(14)の回転速度が安定状態になった時点Bで緊急停止シーケンスを開始し、時点B′に緊急停止する。
【0035】
図8の例では、感光体(14)の回転速度が安定状態になった時点Bで緊急停止シーケンスを開始するようになっているが、感光体(14)の回転速度が安定状態になった後、現像バイアス電圧がオンになった後に、緊急停止シーケンスを開始するようにしてもよい。
【0036】
図4に示すように、制御部(34)のMCU(35)は、主帯電器(15)のオン・オフ信号およびグリッド電圧を供給するとともに、現像装置(17)の現像スリーブにバイアス電圧(現像バイアス電圧)を供給している。図5は、感光体(14)が回転を開始した後のメインモータすなわち感光体(14)の回転速度、主帯電器(15)のオン・オフ信号およびグリッド電圧ならびに現像バイアス電圧の変化を示している。
【0037】
図5に示すように、感光体(14)は時点t11において回転を開始し、時点t12において回転速度が安定状態になる。この時点t12に、主帯電器(15)がオンになると同時に、グリッド電圧がオフの状態から中位の値になり、その後、時点t13において、グリッド電圧が中位の値から高位の値になる。さらに、その後、時点t14において、現像バイアス電圧がオフ(非印加状態)からオン(印加状態)になる。感光体(14)が回転を開始してから現像バイアス電圧がオンになるまでの間に異常が発生した場合、すぐに緊急停止シーケンスを実行すると、キャリヤ上がりが発生する。このため、感光体(14)が回転を開始した時点t11から現像バイアス電圧がオンになる時点t14までの間に異常が発生した場合は、すぐに緊急停止シーケンスを実行せずに、時点t14以降の時点t15に緊急停止シーケンスを開始して、装置を停止させるようになっている。
【0038】
このため、図4に示すように、制御部(34)のMCU(35)からの主帯電器(15)のオン・オフ信号、グリッド電圧および現像バイアス電圧がアンド回路(36)に入力し、アンド回路(36)の出力信号が、緊急停止許可信号としてMCU(35)に入力している。そして、MCU(35)は緊急停止許可信号がオフの間は、緊急停止シーケンスを開始せず、緊急停止許可信号がオンになってから緊急停止シーケンスを開始するようになっている。これにより、上記のように、感光体(14)の回転速度が安定状態になり、主帯電器(15)およびグリッド電圧が安定状態になり、かつ現像バイアス電圧が安定状態になった時点t14以降に緊急停止シーケンスが開始される。
【0039】
図6は、解像度が600dpiの場合の緊急停止シーケンスの1例を示すタイムチャートである。
【0040】
図6において、緊急停止シーケンスが開始されると、まず、時点t21において、グリッド電圧が高位の値から中位の値に変化し、時点t22において、レーザ光照射装置(16)による感光体(14)の照射が開始され、時点t23において、現像バイアス電圧がオンからオフになり、時点t24において、主帯電器(15)がオンからオフになると同時に、グリッド電圧がオフになり、時点t25において、レーザ光照射装置(16)によるレーザ光の照射が終了すると同時に、感光体(14)が減速を開始し、時点t26において、感光体(14)が停止する。
【0041】
図7は、解像度が1200dpiの場合の緊急停止シーケンスの1例を示すタイムチャートである。
【0042】
図7において、緊急停止シーケンスが開始されると、まず、t31において、レーザ光照射装置(16)による感光体(14)の照射が開始され、時点t32において、現像バイアス電圧がオンからオフになり、時点t33において、グリッド電圧が高位の値から中位の値に変化し、時点t34において、主帯電器(15)がオフになると同時に、グリッド電圧がオフになり、時点t35において、レーザ光照射装置(16)によるレーザ光の照射が終了すると同時に、感光体(14)が減速を開始し、時点t36において、感光体(14)が停止する。
【0043】
図6に示す600dpiの場合と図7に示す1200dpiの場合とでは、感光体の回転速度が異なり、600dpiの場合の回転速度は1200dpiの場合の2倍である。したがって、2つの場合に同一の緊急停止シーケンスを行ったのでは、感光体の停止時の慣性によって回転体の停止位置が異なるため、上記のように、600dpiの場合と1200dpiの場合とで、緊急停止シーケンスの内容が異なっている。たとえば、現像バイアス電圧のオフのタイミングについていえば、図6の600dpiの場合には、グリッド電圧を中位の値にしてから現像バイアス電圧をオフにしているが、図7の1200dpiの場合には、グリッド電圧が高位の値である間に現像バイアス電圧をオフにしている。600dpiの場合は、感光体の回転速度が速いため、グリッド電圧を中位の値にしてから現像バイアス電圧をオフにしないと、画像との関係から白黒ギャップが大きく、キャリヤ上がりを招来する。これに対し、1200dpiの場合は、感光体の回転速度が遅いため、グリッド電圧が高位の値のときに現像バイアス電圧をオフにしても、現像スリーブが回転していれば、現像スリーブで現像剤を保持する力が、見かけ上、600dpiの場合より大きく、画像上の白黒ギャップによるキャリヤ上がりは防止可能である。
【0044】
上記実施形態には、複写機を示したが、本発明は、プリンタ等、複写機以外の乾式電子写真式画像形成装置にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施形態を示す乾式電子写真式複写機の概略構成図である。
【図2】図2は、複写機の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、制御部の機能を示す説明図である。
【図4】図4は、緊急停止シーケンスの開始を制御するための回路の1例を示す回路図である。
【図5】図5は、回転体が回転を開始した後の各部の信号を示すタイムチャートである。
【図6】図6は、600dpiの場合の緊急停止シーケンスの1例を示すタイムチャートである。
【図7】図7は、1200dpiの場合の緊急停止シーケンスの1例を示すタイムチャートである。
【図8】図8は、図1の複写機における印字動作時の感光体の回転体の回転速度と異常が発生したときの緊急停止処理を示す説明図である。
【図9】図9は、従来の画像形成装置における印字動作時の感光体の回転体の回転速度と異常が発生したときの緊急停止処理を示す説明図である。
【符号の説明】
(3) 印字部
(4) 給紙搬送部
(5) 排紙部
(14) 感光体
(15) 主帯電器
(16) レーザ光照射装置
(17) 現像装置
(34) 制御部
Claims (4)
- 画像情報を印字する印字手段と、印字される用紙を供給して搬送する給紙搬送手段と、印字された用紙を排出する排紙手段とを備え、画像情報を印字するためのプロセス速度が複数段階に切り替えられ、動作を開始した後に、異常によって動作を緊急停止する緊急停止シーケンスを行う画像形成装置において、
上記緊急停止シーケンスが、プロセス速度によって切り替えられ、プロセス速度が速い場合は主帯電器のグリッド電圧を低下させてから現像バイアス電圧をオフにし、プロセス速度が遅い場合はグリッド電圧を維持したまま現像バイアス電圧をオフにするものであることを特徴とする画像形成装置。 - 上記緊急停止シーケンスが、感光体の回転、感光体の帯電、感光体への光照射および現像スリーブへの電圧印加を含み、感光体の回転中に感光体への光照射を行い、光照射中に現像バイアス電圧のオフおよび主帯電器のグリッド電圧のオフを行うものであることを特徴とする請求項1の画像形成装置。
- プロセス速度が画像情報の解像度によって複数段階に切り替えられることを特徴とする請求項1または2の画像形成装置。
- 印字要求によって感光体が回転を開始した後、感光体の回転速度が安定するまでに緊急停止の要求を受けたときには、感光体の回転速度が安定状態となった後に、上記緊急停止シーケンスを開始することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項の画像形成装置。
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