JP3742498B2 - 共重合体ラテックス組成物およびその製造方法 - Google Patents
共重合体ラテックス組成物およびその製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、共重合体ラテックス組成物に関し、さらに詳しくは、特定の非共役ポリエン成分を含む、α−オレフィン・芳香族ビニル化合物・非共役ポリエン共重合体(不飽和性オレフィン系共重合体)を主成分とする共重合体ラテックス組成物に関するものである。
【0002】
【発明の技術的背景】
従来からラテックスとしては、エチレン・α−オレフィン・ポリエン非晶質共重合体を主成分としたラテックス組成物が知られており。このようなラテックス組成物およびその製造方法については、特公平5−82415号公報などに記載され、ポリマーの水性分散液を架橋する方法は特開昭52−121054号公報などに記載されている。また、架橋したゴムラテックスを樹脂改質材として利用することは特開昭62−20532号公報、特開昭62−89716号公報などにより知られている。
【0003】
しかしながら、これらのラテックス組成物は樹脂改質材として用いる場合、スチレンをグラフト重合する必要がある。そしてこの際にはラテックスの安定性が低いため、界面活性剤の追加添加が必要となるなど製造工程が煩雑となる。このためラテックス安定性に優れ、かつ製造が容易なラテックスおよびその製造方法の出現が望まれている。
【0004】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、ラテックス安定性に優れ、かつ製造が容易な共重合体ラテックス組成物を提供することを目的としている。
【0005】
【発明の概要】
本発明に係る共重合体ラテックス組成物は、
から得られる不飽和性オレフィン系共重合体からなる固形分を含有することを特徴としている。
【0006】
【化10】
【0007】
(式中、R1 、R2 およびR3 は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜8のアルキル基を示し、nは0〜5の整数である。)
また、本発明に係る共重合体ラテックス組成物は、
前記(A)不飽和性オレフィン系共重合体100重量部、および
(B)低分子量ポリエチレン、低分子量エチレン・α−オレフィン共重合体、不飽和カルボン酸系化合物変成低分子量ポリエチレンおよび不飽和カルボン酸系化合物変成低分子量エチレン・α−オレフィン共重合体からなる群より選ばれた少なくとも1種の低分子量重合体2〜50重量部からなる固形分を含有することを特徴としている。
【0008】
本発明では、前記(A)不飽和性オレフィン系共重合体は、前記炭素原子数が2〜20のα−オレフィン(i)から導かれる構成単位と、前記芳香族ビニル化合物(ii)から導かれる構成単位とのモル比(α−オレフィン/芳香族ビニル化合物)が98/2〜70/30の範囲にあることが好ましい。
【0009】
また、前記(i)炭素原子数が2〜20のα−オレフィンは、エチレンと、炭素原子数が3〜10のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンとであることが望ましい。
【0010】
前記(ii)芳香族ビニル化合物は、スチレンまたはα−メチルスチレンであることが望ましい。
本発明では、前記(iii)非共役ポリエンとして、1分子中に1個のビニル基または5-ノルボルネン-2-イル基を有する非共役トリエンまたはテトラエンを挙げることができ、たとえば下記一般式(II-a)で表され、かつ該非共役ポリエンから導かれる構成単位が下記一般式(II-b)で表される化合物および、下記一般式(III-a)で表され、かつ該非共役ポリエンから導かれる構成単位が下記一般式(III-b)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の非共役トリエンまたはテトラエンを挙げることができる。
【0011】
【化11】
【0012】
(式中、pおよびqは、互いに同一でも異なっていてもよく、0または1であり(但し、pとqは同時に0ではない)、fは0〜5の整数であり(但し、pとqが共に1の場合は0ではない)、gは1〜6の整数であり、R1 ,R2 ,R3 ,R4 ,R5 ,R6 およびR7 は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜5のアルキル基を示し、R8 は炭素原子数が1〜5のアルキル基を示し、R9 は水素原子、炭素原子数が1〜5のアルキル基または−(CH2)n−CR10=CR11R12で表される基(ここで、nは1〜5の整数であり、R10およびR11は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜5のアルキル基を示し、R12は炭素原子数が1〜5のアルキル基を示す)を示す(但し、pとqが共に1の場合、R9 は水素原子または炭素原子数が1〜5のアルキル基である)。)
【0013】
【化12】
【0014】
(式中、p、q、f、g、R1 〜R9 は、前記一般式(II-a)の場合と同じ意味である。)
【0015】
【化13】
【0016】
(式中、p、q、f、g、R1 〜R9 は、前記一般式(II-a)の場合と同じ意味である。)
【0017】
【化14】
【0018】
(式中、p、q、f、g、R1 〜R9 は、前記一般式(II-a)の場合と同じ意味である。)
前記一般式(II-a)で表される非共役トリエンまたはテトラエンは、下記一般式(IV-a)で表され、かつ該非共役トリエンまたはテトラエンから導かれる構成単位が下記一般式(IV-b)で表される化合物であることが好ましく、前記一般式(III-a)で表される非共役トリエンまたはテトラエンは、下記一般式(V-a)で表され、かつ該非共役トリエンまたはテトラエンから導かれる構成単位が下記一般式(V-b)で表される化合物であることが好ましい。
【0019】
【化15】
【0020】
(式中、fは0〜5の整数であり、gは1〜6の整数であり、R1 ,R2 ,R5,R6 およびR7 は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜5のアルキル基を示し、R8 は炭素原子数が1〜5のアルキル基を示し、R9 は水素原子、炭素原子数が1〜5のアルキル基または−(CH2)n−CR10=CR11R12で表される基(ここで、nは1〜5の整数であり、R10およびR11は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜5のアルキル基を示し、R12は炭素原子数が1〜5のアルキル基を示す)を示す。)
【0021】
【化16】
【0022】
(式中、f、g、R1 、R2 、R5 〜R9 は、前記一般式(IV-a)の場合と同じ意味である。)
【0023】
【化17】
【0024】
(式中、f、g、R1 、R2 、R5 〜R9 は、前記一般式(IV-a)の場合と同じ意味である。)
【0025】
【化18】
【0026】
(式中、f、g、R1 、R2 、R5 〜R9 は、前記一般式(IV-a)の場合と同じ意味である。)
本発明では、前記(iii)非共役ポリエンが、前記一般式(II-a)で表され、かつ該非共役ポリエンから導かれる構成単位が前記一般式(II-b)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の非共役トリエンまたはテトラエンであることが好ましく、特に前記一般式(IV-a)で表され、かつ該非共役トリエンまたはテトラエンから導かれる構成単位が前記一般式(IV-b)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の非共役トリエンまたはテトラエンであることが好ましい。
【0027】
本発明に係る共重合体ラテックス組成物は、固形分の平均粒子径が0.1〜3.0μmの範囲にあることが望ましい。また、固形分は架橋結合を有し、かつ熱トルエン不溶解分含有量が30重量%以上であることが好ましい。
【0028】
本発明では、前記(A)不飽和性オレフィン系共重合体は、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5〜2.0dl/gの範囲にあり、ヨウ素価が5〜40の範囲にあることが好ましい。
【0029】
本発明に係る共重合体ラテックス組成物の製造方法は、
から得られる不飽和性オレフィン系共重合体を、界面活性剤の存在下で水性媒体中に均一に分散させることを特徴としている。
【0030】
本発明では、(A)不飽和性オレフィン系共重合体を水性媒体中に分散させた状態で架橋してもよい。
また、本発明に係る共重合体ラテックス組成物の製造方法は、
前記(A)不飽和性オレフィン系共重合体100重量部、および
(B)低分子量ポリエチレン、低分子量エチレン・α−オレフィン共重合体、不飽和カルボン酸系化合物変成低分子量ポリエチレンおよび不飽和カルボン酸系化合物変成低分子量エチレン・α−オレフィン共重合体からなる群より選ばれた少なくとも1種の低分子量重合体2〜50重量部を、
界面活性剤の存在下で水性媒体中に均一に分散させることを特徴としている。
【0031】
本発明では、(A)不飽和性オレフィン系共重合体および(B)低分子量重合体を水性媒体中に分散させた状態で架橋してもよい。
【0032】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る共重合体ラテックス組成物について具体的に説明する。
本発明に係る共重合体ラテックス組成物は、特定の不飽和性オレフィン系共重合体(A)、必要に応じて低分子量重合体(B)を含む固形分を含有している。まず、本発明に係る共重合体ラテックス組成物に用いられる各成分について説明する。
【0033】
(A)不飽和性オレフィン系共重合体
(A)不飽和性オレフィン系共重合体は、(i)炭素原子数が2〜20のα−オレフィンと(ii)下記式(I)で表される芳香族ビニル化合物と(iii)非共役ポリエンとのランダム共重合体である。
【0034】
(i)炭素原子数が2〜20のα−オレフィンとして具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、9-メチル-1-デセン、11-メチル-1-ドデセン、12-エチル-1-テトラデセンなどが挙げられる。これらのα−オレフィンは、1種単独でまたは2種以上組合わせて用いることができる。
【0035】
本発明では、エチレンと、炭素原子数が3〜20、好ましくは3〜10のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンとを組み合わせて用いることが好ましい。エチレンとともに用いられるα−オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンが好ましい。
【0036】
(ii)芳香族ビニル化合物として具体的には、下記一般式(I)で表される化合物が用いられる。
【0037】
【化19】
【0038】
式中、R1 、R2 およびR3 は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜8アルキル基を示し、好ましくは水素原子または炭素原子数1〜3のアルキル基である。
【0039】
nは0〜5、好ましくは0〜3の整数である。
上記のような芳香族ビニル化合物としては、たとえば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレンなどのモノまたはポリアルキルスチレン、メトキシスチレン、エトキシスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルベンジルアセテート、ヒドロキシスチレン、クロロスチレン、ジビニルベンゼンなどの官能基含有スチレン誘導体、アリルベンゼン、4-フェニルブテン-1、3-フェニルブテン-1、4-(4-メチルフェニル)ブテン-1、4-(3-メチルフェニル)ブテン-1、4-(2-メチルフェニル)ブテン-1、4-(4-エチルフェニル)ブテン-1、4-(4-ブチルフェニル)ブテン-1、5-フェニルペンテン-1、4-フェニルペンテン-1、3-フェニルペンテン-1、5-(4-メチルフェニル)ペンテン-1、4-(2-メチルフェニル)ペンテン-1、3-(4-メチルフェニル)ペンテン-1、6-フェニルヘキセン-1、5-フェニルヘキセン-1、4-フェニルヘキセン-1、3-フェニルヘキセン-1、6-(4-メチルフェニル)ヘキセン-1、5-(2-メチルフェニル)ヘキセン-1、4-(4-メチルフェニル)ヘキセン-1、3-(2-メチルフェニル)ヘキセン-1、7-フェニルヘプテン-1、6-フェニルヘプテン-1、5-フェニルヘプテン-1、4-フェニルヘプテン-1、8-フェニルオクテン-1、7-フェニルオクテン-1、6-フェニルオクテン-1、5-フェニルオクテン-1、4-フェニルオクテン-1、3-フェニルオクテン-1、10-フェニルデセン-1などのフェニル置換アルケンが挙げられる。
【0040】
これらの芳香族ビニル化合物のうち、スチレン、アリルベンゼン、4-フェニルブテン-1が好ましく、特に、スチレンが好ましく用いられる。芳香族ビニル化合物は、1種単独でまたは2種以上組合わせて用いることができる。
【0041】
(iii)非共役ポリエンとしては、ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、7-メチル-1,6-オクタジエンなどのジエン化合物、1分子中に1個のビニル基を有する非共役トリエンまたはテトラエン、および、1分子中に1個の5-ノルボルネン-2-イル基を有する非共役トリエンまたはテトラエンが挙げられる。この非共役トリエンまたはテトラエン1分子当たりの総炭素原子数(2種以上の非共役トリエンまたはテトラエンを含む場合にはその平均炭素原子数で示す)は、通常特に限定されないが、好ましくは9〜30個、より好ましくは10〜25個、特に好ましくは10〜22個であることが望ましい。炭素原子数がこのような範囲にある非共役トリエンまたはテトラエンは、精製などの取扱いが容易であるので有利である。ここで「トリエン」とは、1分子中に炭素−炭素二重結合(C=C)を3個有する炭化水素化合物を意味し、また「テトラエン」とは1分子中に炭素−炭素二重結合を4個有する炭化水素化合物を意味する。なお、この炭素−炭素二重結合には、ビニル基の炭素−炭素二重結合および5-ノルボルネン-2-イル基の炭素−炭素二重結合が含まれる。
【0042】
非共役トリエンまたはテトラエンには、ビニル基または5-ノルボルネン-2-イル基を含めて3個(トリエンの場合)または4個(テトラエンの場合)の炭素−炭素二重結合(C=C)が含まれているが、この非共役トリエンまたはテトラエン1分子中に含まれる全ての炭素−炭素二重結合に隣接した炭素原子に直接結合している水素原子の総数は、通常特に限定されないが、好ましくは9〜33個、より好ましくは12〜33個、特に好ましくは14〜33個であることが望ましい。水素原子の総数がこのような範囲にあると、架橋反応速度の速い共重合体が得られるので好ましい。なお、この水素原子数は、用いられる非共役トリエンまたはテトラエンが2種以上の混合物である場合にはこれらの水素原子数の平均で示す。
【0043】
本発明では、非共役トリエンまたはテトラエンのなかでは、ビニル基または5-ノルボルネン-2-イル基がメチレン基(−CH2 −)に結合している非共役トリエンまたはテトラエンが好ましい。
【0044】
このような非共役トリエンまたはテトラエンのなかでも、下記一般式(II-a)または下記一般式(III-a)で表される化合物が好ましい。
【0045】
【化20】
【0046】
式中、pおよびqは、互いに同一でも異なっていてもよく、0または1である(但しpとqは同時に0ではない)。
fは0〜5の整数であり、好ましくは0〜2の整数である(但しpとqが共に1の場合は0ではない)。
【0047】
gは1〜6の整数であり、好ましくは1〜3の整数である。
R1 ,R2 ,R3 ,R4 ,R5 ,R6 およびR7 は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜5のアルキル基を示し、好ましくは水素原子または炭素原子数が1〜3のアルキル基、より好ましくはR1 ,R2 ,R3 ,R4 ,R5 およびR6 が水素原子でありR7 が水素原子または炭素原子数が1〜3のアルキル基である。
【0048】
R8 は、水素原子または炭素原子数が1〜5のアルキル基を示し、好ましくは水素原子または炭素原子数が1〜3のアルキル基、より好ましくは炭素原子数が1〜3のアルキル基である。
【0049】
R9 は水素原子、炭素原子数が1〜5のアルキル基または−(CH2)n−CR10=CR11R12で表される基(ここで、nは1〜5の整数であり、R10およびR11は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜5のアルキル基を示し、R12は炭素原子数が1〜5のアルキル基を示す)を示し、好ましくは水素原子、炭素原子数が1〜3のアルキル基または−(CH2)n−CR10=CR11R12で表される基(ここで、nは1〜3の整数であり、R10およびR11は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜3のアルキル基を示し、R12は炭素原子数が1〜3のアルキル基を示す)である。但し、pとqが共に1の場合、R9 は水素原子または炭素原子数が1〜5のアルキル基である。
【0050】
【化21】
【0051】
(式中、p、q、f、g、R1 〜R9 は、前記一般式(II-a)の場合と同じ意味である。)
(iii)非共役ポリエンが、前記一般式(II-a)または (III-a)で表される非共役トリエンまたはテトラエンであると、得られる共重合体ラテックス組成物は、貯蔵安定性に優れる。
【0052】
このような前記一般式(II-a)で表される非共役トリエンまたはテトラエンとして具体的には、以下のような化合物が挙げられる。
【0053】
【化22】
【0054】
また、前記一般式(III-a)で表される非共役トリエンまたはテトラエンとして具体的には、前記一般式(II-a)で表される非共役トリエンまたはテトラエンとして例示した化合物のビニル基を5-ノルボルネン-2-イル基に置き換えた化合物が挙げられる。
【0055】
前記一般式(II-a)で表される非共役トリエンまたはテトラエンの中では、下記一般式(IV-a)で表される非共役トリエンまたはテトラエンが好ましい。この非共役トリエンまたはテトラエンは、前記一般式(II-a)で表される非共役トリエンまたはテトラエンにおいて、pが1であり、qが0の化合物である。
【0056】
また、前記一般式(III-a)で表される非共役トリエンまたはテトラエンの中では、下記一般式(V-a)で表される非共役トリエンまたはテトラエンが好ましい。この非共役トリエンまたはテトラエンは、前記一般式(III-a)で表される非共役トリエンまたはテトラエンにおいて、pが1であり、qが0の化合物である。
【0057】
【化23】
【0058】
式中、fは、0〜5の整数であり、好ましくは0〜2の整数である。
gは、1〜6の整数であり、好ましくは1〜3の整数である。
R1 ,R2 ,R5 ,R6 およびR7 は、互いに同一でも異なっていてもよく、前記一般式(II-a)と同じであり、好ましくは水素原子または炭素原子数が1〜3のアルキル基、より好ましくはR1 ,R2 ,R5 およびR6 が水素原子でありR7 が水素原子または炭素原子数が1〜3のアルキル基である。
【0059】
R8 は、前記一般式(II-a)と同じであり、好ましくは水素原子または炭素原子数が1〜3のアルキル基、より好ましくは炭素原子数が1〜3のアルキル基である。
【0060】
R9 は、前記一般式(II-a)と同じであり、好ましくは水素原子または炭素原子数が1〜3のアルキル基である。
【0061】
【化24】
【0062】
(式中、f、g、R1 、R2 、R5 〜R9 は、前記一般式(IV-a)の場合と同じ意味である。)
(iii)非共役ポリエンが、前記一般式(IV-a)または (V-a) で表される非共役トリエンまたはテトラエンであると、得られる共重合体ラテックス組成物は、安定性に優れる。また、得られる共重合体ラテックス組成物を樹脂改質材として用いると、耐衝撃性の改質効果に優れる。
【0063】
このような前記一般式(IV-a)で表される非共役トリエンまたはテトラエンとして具体的には、以下のような化合物が挙げられる。
【0064】
【化25】
【0065】
【化26】
【0066】
【化27】
【0067】
【化28】
【0068】
前記一般式(V-a)で表される非共役トリエンまたはテトラエンとして具体的には、前記一般式(IV-a)で表される非共役トリエンまたはテトラエンとして例示した化合物のビニル基を5-ノルボルネン-2-イル基に置き換えた化合物が挙げられる。
【0069】
本発明では、(iii)非共役トリエンまたはテトラエンは、前記一般式(II-a)で表される化合物であることがさらに好ましく、前記一般式(IV-a)で表される化合物であることが特に好ましい。
【0070】
(iii)非共役ポリエンが、前記一般式(II-a)で表される非共役トリエンまたはテトラエンであると、得られる共重合体ラテックス組成物は、貯蔵安定性に優れる。また、得られる共重合体ラテックス組成物を樹脂改質材として用いると、耐衝撃性の改質効果に優れる。
【0071】
(iii)非共役ポリエンが、前記一般式 (IV-a) で表される非共役トリエンまたはテトラエンであると、得られる共重合体ラテックス組成物は、貯蔵安定性に優れる。また、得られる共重合体ラテックス組成物を樹脂改質材として用いると、耐衝撃性、低温特性の改質効果に優れる。
【0072】
前記非共役トリエンまたはテトラエンは、トランス体およびシス体の混合物であってもよく、トランス体単独またはシス体単独であってもよい。
これらの(iii)非共役ポリエンは、1種単独でまたは2種以上組合わせて用いることができる。
【0073】
前記一般式(II-a)または(III-a)で表される非共役トリエンまたはテトラエンは、たとえば、EP0691354A1公報、WO96/20150公報に記載されているような従来公知の方法によって調製することができる。
【0074】
(A)不飽和性オレフィン系共重合体は、炭素原子数が2〜20のα−オレフィン(i)から導かれる構成単位と、芳香族ビニル化合物(ii)から導かれる構成単位と、非共役ポリエン(iii)から導かれる構成単位がそれぞれランダムに配列して結合し、(iii)非共役ポリエンに起因する分岐構造を有するとともに、主鎖は、実質的に線状構造となっている共重合体である。この共重合体が実質的に線状構造を有しており実質的にゲル状架橋重合体を含有しないことは、該共重合体が有機溶媒に溶解し、不溶分を実質的に含まないことにより確認することができる。たとえば極限粘度[η]を測定する際に、該共重合体が135℃、デカリンに完全に溶解することにより確認することができる。
【0075】
(A)不飽和性オレフィン系共重合体は、炭素原子数が2〜20のα−オレフィン(i)から導かれる構成単位と、芳香族ビニル化合物(ii)から導かれる構成単位とのモル比(α−オレフィン/芳香族ビニル化合物)が98/2〜70/30、好ましくは95/5〜80/20の範囲にあることが望ましい。また、炭素原子数が2〜20のα−オレフィン(i)から導かれる構成単位においては、エチレンから導かれる構成単位と、炭素原子数が3〜20のα−オレフィンから導かれる構成単位とのモル比(エチレン/α−オレフィン)が100/0〜40/60、好ましくは95/5〜55/45、より好ましくは90/10〜60/40の範囲にあることが望ましい。
【0076】
エチレンから導かれる構成単位と、炭素原子数が3〜20のα−オレフィンから導かれる構成単位とのモル比(エチレン/α−オレフィン)が95/5〜55/45の範囲内にあると、得られる共重合体ラテックス組成物を樹脂改質材として用いた場合、耐衝撃性、低温特性の改質効果に優れる。また、芳香族ビニル化合物(ii)から導かれる構成単位の割合が前記範囲内にあると、得られる共重合体ラテックス組成物を樹脂改質材として用いた場合、耐衝撃性、表面光沢、低温特性の改質効果に優れる。
【0077】
(A)不飽和性オレフィン系共重合体において、非共役ポリエン(iii)から導かれる構成単位の含有割合は、通常0.01〜30モル%、好ましくは0.05〜25モル%、より好ましくは0.1〜20モル%の範囲内にあることが望ましい。
【0078】
また、(A)不飽和性オレフィン系共重合体のヨウ素価は、通常1〜50、好ましくは3〜50、より好ましくは5〜40の範囲内にあることが望ましい。(A)不飽和性オレフィン系共重合体のヨウ素価が前記範囲内にあると、樹脂改質材として使用した場合に、耐衝撃性、表面光沢の改質効果に優れる。
【0079】
(A)不飽和性オレフィン系共重合体は、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が、通常0.5〜2.0dl/g、好ましくは0.7〜1.5dl/gの範囲にあることが望ましい。(A)不飽和性オレフィン系共重合体の極限粘度[η]が前記範囲内にあると、得られる共重合体ラテックス組成物の貯蔵安定性に優れ、樹脂改質材として使用した場合に、耐衝撃性の改質効果に優れる。
【0080】
本発明では(A)不飽和性オレフィン系共重合体は、各構成単位のモル比、極限粘度[η]およびヨウ素価のうち、少なくとも1つが前記範囲内にあることが好ましく、2つ以上が前記範囲内にあることがより好ましく、特に各構成単位のモル比、極限粘度[η]およびヨウ素価のすべてが前記範囲内にあることが好ましい。
【0081】
このような(A)不飽和性オレフィン系共重合体において(iii)非共役ポリエンが前記一般式(II-a)で表される場合には、不飽和性オレフィン系共重合体(A)中においては該非共役ポリエンから導かれる構成単位は、下記一般式(II-b)で表される構造を有している。
【0082】
【化29】
【0083】
(式中、p、q、f、g、R1 〜R9 は、前記一般式(II-a)の場合と同じ意味である。)
また、(iii)非共役ポリエンが前記一般式(III-a)で表される場合には、不飽和性オレフィン系共重合体(A)中においては該非共役ポリエンから導かれる構成単位は、下記一般式(III-b)で表される構造を有している。
【0084】
【化30】
【0085】
(式中、p、q、f、g、R1 〜R9 は、前記一般式(II-a)の場合と同じ意味である。)
さらに、(iii)非共役ポリエンが前記一般式(IV-a)で表される場合には、不飽和性オレフィン系共重合体(A)中においては該非共役ポリエンから導かれる構成単位は、下記一般式(IV-b)で表される構造を有している。
【0086】
【化31】
【0087】
(式中、f、g、R1 、R2 、R5 〜R9 は前記一般式(IV-a)の場合と同じ意味である。)
また、(iii)非共役ポリエンが前記一般式(V-a)で表される場合には、不飽和性オレフィン系共重合体(A)中においては該非共役ポリエンから導かれる構成単位は、下記一般式(V-b)で表される構造を有している。
【0088】
【化32】
【0089】
(式中、f、g、R1 、R2 、R5 〜R9 は前記一般式(IV-a)の場合と同じ意味である。)
なお(iii)非共役ポリエンから導かれる構成単位が、不飽和性オレフィン系共重合体(A)において前記各構造を有していることは、共重合体の13C−NMRスペクトルを測定することによって確認することができる。
【0090】
不飽和性オレフィン系共重合体(A)の製造
上記のような不飽和性オレフィン系共重合体(A)は、(i)炭素原子数が2〜20のα−オレフィンと、(ii)芳香族ビニル化合物と、(iii)非共役ポリエンとをオレフィン重合用触媒の存在下に共重合させて得られる。
【0091】
このようなオレフィン重合用触媒としては、(a)バナジウム、ジルコニウム、チタニウムなどの遷移金属の化合物と、(b)有機アルミニウム化合物(有機アルミニウムオキシ化合物)および/またはイオン化イオン性化合物とからなる触媒などが使用できる。具体的には、▲1▼固体状チタン触媒成分と有機アルミニウム化合物とからなるチタン系触媒、▲2▼可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなるバナジウム系触媒、▲3▼周期律表第4族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物および/またはイオン化イオン性化合物とからなるメタロセン系触媒などが挙げられ、これらのうちでは特にメタロセン系触媒が好ましい。
【0092】
メタロセン系触媒を形成する周期律表第4族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物は、具体的には、次式(VI)で表される。
M1 L1 x … (VI)
式中、Mは周期律表第4族から選ばれる遷移金属であり、具体的にはジルコニウム、チタンまたはハフニウムである。xは遷移金属Mの原子価を示し、遷移金属に配位する配位子Lの個数を示す。
【0093】
Lは遷移金属に配位する配位子であり、これらのうち少なくとも1個の配位子Lは、シクロペンタジエニル基、インデニル基、4,5,6,7-テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基などのシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であり、このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は、アルキル基、シクロアルキル基、トリアルキルシリル基、ハロゲン原子などの置換基を有していてもよい。
【0094】
該メタロセン化合物が配位子Lとしてシクロペンタジエニル骨格を有する基を2個以上有する場合には、そのうち2個のシクロペンタジエニル骨格を有する基同士は、アルキレン基、置換アルキレン基、シリレン基、置換シリレン基などの結合基を介して結合されていてもよい。
【0095】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外のLとしては、炭素原子数が1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホン酸含有基(−SO3Ra 、但し、Ra はアルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アリール基、ハロゲン原子で置換されたアリール基またはアルキル基で置換されたアリール基である。)、ハロゲン原子、水素原子などが挙げられる。
【0096】
以下に、Mがジルコニウムであり、かつシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を2個含むメタロセン化合物を例示する。
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムモノクロリドモノハイドライド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(1-メチル-3-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、
ビス(1,3-ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレン-ビス(インデニル)ジメチルジルコニウム、
エチレン-ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシリレン-ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
メチルフェニルシリレン-ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-エチレン-ビス(2-メチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(4,7-ジメチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2,4,7-トリメチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2,4,6-トリメチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(4-フェニル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-フェニル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(α-ナフチル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(β-ナフチル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(1-アントリル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリドなど。
【0097】
また、上記のような化合物においてジルコニウム金属を、チタニウム金属、ハフニウム金属に置き換えたメタロセン化合物を例示することもできる。
【0098】
さらに、ブリッジタイプのメタロセン化合物として下記式[A]で示されるメタロセン化合物が挙げられる。
メタロセンが式[A]:
【0099】
【化33】
【0100】
[式[A]中、M1は周期律表の第IVB族の金属であり、具体的には、例えば、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウムを挙げることができる。
【0101】
R1およびR2は、互いに同じでも異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1〜10好ましくは1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜10好ましくは1〜3のアルコキシ基、炭素原子数6〜10好ましくは6〜8のアリール基、炭素原子数6〜10好ましくは6〜8のアリールオキシ基、炭素原子数2〜10好ましくは2〜4のアルケニル基、炭素原子数7〜40好ましくは7〜10のアリールアルキル基、炭素原子数7〜40好ましくは7〜12のアルキルアリール基、炭素原子数8〜40好ましくは8〜12のアリールアルケニル基、またはハロゲン原子好ましくは塩素原子である。
【0102】
R3およびR4は、互いに同じでも異なっていても良く、水素原子、ハロゲン原子好ましくは弗素原子、塩素原子または臭素原子、ハロゲン化されていてもよい炭素原子数1〜10好ましくは1〜4のアルキル基、炭素原子数6〜10好ましくは6〜8のアリール基、−NR10 2、−SR10、−OSiR10 3、−SiR10 3または−PR10 2基であり、その際R10はハロゲン原子好ましくは塩素原子、または、炭素原子数1〜10好ましくは1〜3のアルキル基、または炭素原子数6〜10好ましくは6〜8のアリール基である。
【0103】
R3およびR4は特に水素原子であることが好ましい。
R5およびR6は互いに同じでも異なっていてもよく、好ましくは同じであり、R5およびR6は水素原子でないという条件のもとでR3およびR4について記載した意味を有する。R5およびR6は、好ましくはハロゲン化されていてもよい炭素原子数1〜4のアルキル基、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基またはトリフルオロメチル基等が挙げられ、メチル基が好ましい。
【0104】
R7は、下記:
【0105】
【化34】
【0106】
=BR11、=AlR11、−Ge−、−Sn−、−O−、−S−、=SO、=SO2、=NR11、=CO、=PR11または=P(O)R11であり、その際R11、R12およびR13は互いに同じでも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10好ましくは1〜4のアルキル基さらに好ましくはメチル基、炭素原子数1〜10のフルオロアルキル基好ましくはCF3基、炭素原子数6〜10好ましくは6〜8のアリール基、炭素原子数6〜10のフルオロアリール基好ましくはペンタフルオロフェニル基、炭素原子数1〜10好ましくは1〜4のアルコキシ基特に好ましくはメトキシ基、炭素原子数2〜10好ましくは2〜4のアルケニル基、炭素原子数7〜40好ましくは7〜10のアリールアルキル基、炭素原子数8〜40好ましくは8〜12のアリールアルケニル基、または炭素原子数7〜40好ましくは7〜12のアルキルアリール基であり、また「R11とR12」または「R11とR13」とは、それぞれそれらが結合する原子と一緒になって環を形成してもよい。
【0107】
M2は珪素、ゲルマニウムまたは錫、好ましくは珪素またはゲルマニウムである。
R7は、=CR11R12、=SiR11R12、=GeR11R12、−O−、−S−、=SO、=PR11または=P(O)R11であることが好ましい。
【0108】
R8およびR9は互いに同じであっても異なっていてもよく、R11について記載したと同じ意味を有する。
mおよびnは互いに同じであっても異なっていてもよく、0、1または2、好ましくは0または1であり、m+nは0、1または2、好ましくは0または1である。
【0109】
上記条件を充たす特に好ましいメタロセンを下記(i)〜(iii)に示す。
【0110】
【化35】
【0111】
[上記式(i)、(ii)及び(iii)中、M1はZrまたはHfであり、R1およびR2はメチル基または塩素原子であり、R5およびR6はメチル基、エチル基またはトリフルオロメチル基であり、R8、R9、R10およびR12が上記の意味を有する。]
このような式(i)、(ii)及び(iii)で示される化合物の内でも、下記の化合物が特に好ましい。
【0112】
rac-ジメチルメチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルメチレンビス(2-メチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルメチレンビス(2-メチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-エチレン(2-メチル-1-インデニル)2-ジルコニウム-ジクロライド、
rac-ジメチルシリレン(2-メチル-1-インデニル)2-ジルコニウム-ジクロライド、
rac-ジメチルシリレン(2-メチル-1-インデニル)2-ジルコニウム-ジメチル、
rac-エチレン-(2-メチル-1-インデニル)2-ジルコニウム-ジメチル、
rac-フェニル(メチル)シリレン-(2ーメチル-1-インデニル)2-ジルコニウム-ジクロライド、
rac-ジフェニル-シリレン-(2ーメチル-1-インデニル)2-ジルコニウム-ジクロライド、
rac-メチルエチレン-(2ーメチル-1-インデニル)2-ジルコニウム-ジクロライド、
rac-ジメチルシリレン-(2ーエチル-1-インデニル)2-ジルコニウム-ジクロライド。このようなメタロセンの製造方法については、従来より公知の方法にて製造することができる(例:特開平4-268307号公報参照)。
【0113】
本発明では、ブリッジタイプのメタロセン化合物として、下記式[B]で示される遷移金属化合物(メタロセン化合物)を用いることもできる。
【0114】
【化36】
【0115】
式[B]中、Mは周期律表第IVB族の遷移金属原子を示し、具体的には、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウムである。
【0116】
R1 およびR2 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基を示し、具体的には、
フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子;
メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシル、ノルボルニル、アダマンチルなどのアルキル基、ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどのアルケニル基、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基、フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニル、ナフチル、メチルナフチル、アントラセニル、フェナントリルなどのアリール基などの炭素数1から20の炭化水素基;
前記炭化水素基にハロゲン原子が置換したハロゲン化炭化水素基;
メチルシリル、フェニルシリルなどのモノ炭化水素置換シリル、ジメチルシリル、ジフェニルシリルなどのジ炭化水素置換シリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリシクロヘキシルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、メチルジフェニルシリル、トリトリルシリル、トリナフチルシリルなどのトリ炭化水素置換シリル、
トリメチルシリルエーテルなどの炭化水素置換シリルのシリルエーテル、
トリメチルシリルメチルなどのケイ素置換アルキル基、トリメチルシリルフェニルなどのケイ素置換アリール基、
などのケイ素含有基;
ヒドロオキシ基、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどのアルコキシ基、フェノキシ、メチルフェノキシ、ジメチルフェノキシ、ナフトキシなどのアリロ−キシ基、フェニルメトキシ、フェニルエトキシなどのアリールアルコキシ基などの酸素含有基;
前記酸素含有基の酸素がイオウに置換した置換基などのイオウ含有基;
アミノ基、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノなどのアルキルアミノ基、フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ、ジナフチルアミノ、メチルフェニルアミノなどのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基などの窒素含有基;
ジメチルフォスフィノ、ジフェニルフォスフィノなどのフォスフィノ基などのリン含有基である。
【0117】
これらのうちR1 は炭化水素基であることが好ましく、特にメチル、エチル、プロピルの炭素数1〜3の炭化水素基であることが好ましい。またR2 は水素、炭化水素基が好ましく、特に水素あるいは、メチル、エチル、プロピルの炭素数1〜3の炭化水素基であることが好ましい。
【0118】
R3 、R4 、R5 およびR6 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基を示し、このうち水素、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基であることが好ましい。R3 とR4 、R4 とR5 、R5 とR6 のうち少なくとも1組は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、単環の芳香族環を形成していてもよい。
【0119】
また芳香族環を形成する基以外の基は、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基が2種以上ある場合には、これらが互いに結合して環状になっていてもよい。なおR6 が芳香族基以外の置換基である場合、水素原子であることが好ましい。
【0120】
ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基として、具体的には、前記R1 およびR2 と同様の基が例示できる。
R3 とR4 、R4 とR5 、R5 とR6 のうち少なくとも1組が互いに結合して形成する単環の芳香族環を含む、Mに配位する配位子としては以下に示すようなものが挙げられる。
【0121】
【化37】
【0122】
これらのうち上記式(1)で示されるものが好ましい。
前記芳香族環はハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基で置換されていてもよい。
【0123】
前記芳香族環に置換するハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基としては、前記R1 およびR2 と同様の基が例示できる。
【0124】
X1 およびX2 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、具体的には、
前記R1 およびR2 と同様のハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基が例示できる。
【0125】
イオウ含有基としては、前記R1 、R2 と同様の基、およびメチルスルホネート、トリフルオロメタンスルフォネート、フェニルスルフォネート、ベンジルスルフォネート、p-トルエンスルフォネート、トリメチルベンゼンスルフォネート、トリイソブチルベンゼンスルフォネート、p-クロルベンゼンスルフォネート、ペンタフルオロベンゼンスルフォネートなどのスルフォネート基、メチルスルフィネート、フェニルスルフィネート、ベンジルスルフィネート、p-トルエンスルフィネート、トリメチルベンゼンスルフィネート、ペンタフルオロベンゼンスルフィネートなどのスルフィネート基が例示できる。
【0126】
Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2 −、−NR7 −、−P(R7)−、−P(O)(R7)−、−BR7 −または−AlR7 −[ただし、R7 は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基]を示し、具体的には、
メチレン、ジメチルメチレン、1,2-エチレン、ジメチル-1,2- エチレン、1,3-トリメチレン、1,4-テトラメチレン、1,2-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキシレンなどのアルキレン基、ジフェニルメチレン、ジフェニル-1,2- エチレンなどのアリールアルキレン基などの炭素数1から20の2価の炭化水素基;
クロロメチレンなどの上記炭素数1から20の2価の炭化水素基をハロゲン化したハロゲン化炭化水素基;
メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n-プロピル)シリレン、ジ(i-プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン、メチルフェニルシリレン、ジフェニルシリレン、ジ(p-トリル)シリレン、ジ(p-クロロフェニル)シリレンなどのアルキルシリレン、アルキルアリールシリレン、アリールシリレン基、テトラメチル-1,2-ジシリレン、テトラフェニル-1,2- ジシリレンなどのアルキルジシリレン、アルキルアリールジシリレン、アリールジシリレン基などの2価のケイ素含有基;
上記2価のケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した2価のゲルマニウム含有基;
上記2価のケイ素含有基のケイ素をスズに置換した2価のスズ含有基置換基などであり、
R7 は、前記R1 、R2 と同様のハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。
【0127】
このうち2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基であることが好ましく、さらに2価のケイ素含有基であることが好ましく、このうち特にアルキルシリレン、アルキルアリールシリレン、アリールシリレンであることが好ましい。
【0128】
以下に上記式[B]で表される遷移金属化合物の具体的な例を示す。
【0129】
【化38】
【0130】
【化39】
【0131】
【化40】
【0132】
本発明では、上記のような化合物においてジルコニウム金属を、チタニウム金属、ハフニウム金属に置き換えた遷移金属化合物を用いることもできる。
前記遷移金属化合物は、通常ラセミ体としてオレフィン重合用触媒成分として用いられるが、R型またはS型を用いることもできる。
【0133】
このような遷移金属化合物のインデン誘導体配位子は、たとえば下記の反応ルートで、通常の有機合成手法を用いて合成することができる。
【0134】
【化41】
【0135】
本発明で用いられるこの遷移金属化合物は、これらインデン誘導体から既知の方法、たとえば特開平4−268307号公報に記載されている方法により合成することができる。
【0136】
本発明においては、ブリッジタイプのメタロセン化合物としてまた下記式[C]で示される遷移金属化合物(メタロセン化合物)を用いることもできる。
【0137】
【化42】
【0138】
式[C]中、M、R1、R2、 R3 、R4 、R5 およびR6としては、前記式[B]の場合と同様なものが挙げられる。
【0139】
R3 、R4 、R5 およびR6 のうち、R3 を含む2個の基が、アルキル基であることが好ましく、R3 とR5 、またはR3 とR6 がアルキル基であることが好ましい。このアルキル基は、2級または3級アルキル基であることが好ましい。また、このアルキル基は、ハロゲン原子、ケイ素含有基で置換されていてもよく、ハロゲン原子、ケイ素含有基としては、R1 、R2 で例示した置換基が挙げられる。
【0140】
R3 、R4 、R5 およびR6 で示される基のうち、アルキル基以外の基は、水素原子であることが好ましい。
炭素数1〜20の炭化水素基としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、sec-ブチル、tert- ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの鎖状アルキル基および環状アルキル基;
ベンジル、フェニルエチル、フエニルプロピル、トリルメチルなどのアリールアルキル基などが挙げられ、2重結合、3重結合を含んでいてもよい。
【0141】
またR3 、R4 、R5 およびR6 から選ばれる2種の基が互いに結合して芳香族環以外の単環あるいは多環を形成していてもよい。
ハロゲン原子として、具体的には、前記R1 およびR2 と同様の基が例示できる。
【0142】
X1 、X2、YおよびR7としては、前記式[B]の場合と同様のものが挙げられる。
以下に上記式[C]で示されるメタロセン化合物(遷移金属化合物)の具体的な例を示す。
【0143】
rac-ジメチルシリレン-ビス(4,7-ジメチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロ リド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2,4,7-トリメチル-1- インデニル)ジルコニウムジ クロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2,4,6-トリメチル-1- インデニル)ジルコニウムジ クロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2,5,6-トリメチル-1- インデニル)ジルコニウムジ クロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2,4,5,6-テトラメチル-1- インデニル)ジルコニウ ムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2,4,5,6,7-ペンタメチル-1- インデニル)ジルコニ ウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-n- プロピル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(4-i-プロピル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニ ウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-i- プロピル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-i- プロピル-6- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4- メチル-6-i- プロピル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-i- プロピル-5- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4,6- ジ(i- プロピル)-1-インデニル)ジ ルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4,6- ジ(i- プロピル)-7-メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-i- ブチル-7- メチル-1- インデニル) ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-sec- ブチル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4,6- ジ(sec- ブチル)-1-インデニル)ジ ルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-tert-ブチル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4- シクロヘキシル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4- ベンジル-7- メチル-1- インデニル) ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4- フェニルエチル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4- フェニルジクロルメチル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4- クロロメチル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4- トリメチルシリルメチル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4- トリメチルシロキシメチル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジエチルシリレン-ビス(2-メチル-4-i- プロピル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジ(i- プロピル) シリレン-ビス(2-メチル-4-i- プロピル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジ(n- ブチル) シリレン-ビス(2-メチル-4-i- プロピル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジ( シクロヘキシル) シリレン-ビス(2-メチル-4-i- プロピル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-メチルフェニルシリレン-ビス(2-メチル-4-i- プロピル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリレン-ビス(2-メチル-4-i- プロピル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリレン-ビス(2-メチル-4,6- ジ(i- プロピル)-1-インデニル)ジ ルコニウムジクロリド、
rac-ジ(p- トリル) シリレン-ビス(2-メチル-4-i- プロピル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジ(p- クロロフェニル) シリレン-ビス(2-メチル-4-i- プロピル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-i- プロピル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジブロミド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-i- プロピル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジメチル、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-i- プロピル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムメチルクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-i- プロピル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウム-ビス(メタンスルホナト)、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-i- プロピル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウム-ビス(p-フェニルスルフィナト)、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-3- メチル-4-i- プロピル-6- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-エチル-4-i- プロピル-6- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-フェニル-4-i- プロピル-6- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド。
【0144】
本発明では、上記のような化合物においてジルコニウム金属を、チタニウム金属、ハフニウム金属に置き換えた遷移金属化合物を用いることもできる。
上記遷移金属化合物は、通常ラセミ体として用いられるが、R型またはS型を用いることもできる。
【0145】
このような遷移金属化合物のインデン誘導体配位子は、たとえば前記と同様の反応ルートで、通常の有機合成手法を用いて合成することができる。
また上記の式[C]で示される遷移金属化合物(メタロセン化合物)は、これらインデン誘導体から既知の方法、たとえば特開平4−268307号公報に記載の方法により合成することができる。
【0146】
本発明では、またブリッジタイプのメタロセン化合物として下記の式[D]で示される遷移金属化合物(メタロセン化合物)を用いこともできる。
【0147】
【化43】
【0148】
式[D]中、M、R1、X1 、X2およびYとしては、前記式[B]あるいは前記式[C]の場合と同様のものが挙げられる。
【0149】
このうち、R1としては、炭化水素基であることが好ましく、特にメチル、エチル、プロピル、ブチルの炭素数1〜4の炭化水素基であることが好ましい。
また、X1 、X2としては、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。
【0150】
R2 は、炭素数6〜16のアリール基を示し、具体的には、
フェニル、α-ナフチル、β-ナフチル、アントラセニル、フェナントリル、ピレニル、アセナフチル、フェナレニル(ペリナフテニル)、アセアントリレニルなどである。これらのうちフェニル、ナフチルであることが好ましい。これらのアリール基は、前記R1 と同様のハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基で置換されていてもよい。
【0151】
以下に上記式[D]で示される遷移金属化合物(メタロセン化合物)の具体的な例を示す。
rac-ジメチルシリレン-ビス(4-フェニル-1−インデニル)ジルコニウムジクロ リド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4−フェニル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(α-ナフチル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(β-ナフチル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(1-アントラセニル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(2-アントラセニル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(9-アントラセニル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(9-フェナントリル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(p-フルオロフェニル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(ペンタフルオロフェニル)-1-インデ ニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(p-クロロフェニル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(m-クロロフェニル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(o-クロロフェニル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(o,p-ジクロロフェニル) フェニル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(p-ブロモフェニル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(p-トリル)-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(m-トリル)-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(o-トリル)-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(o,o'-ジメチルフェニル)-1-インデニル) ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(p-エチルフェニル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(p-i-プロピルフェニル)-1-インデニ ル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(p-ベンジルフェニル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(p-ビフェニル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(m-ビフェニル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(p-トリメチルシリルフェニル)-1-イ ンデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(m-トリメチルシリルフェニル)-1-イ ンデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-エチル−4-フェニル-1- インデニル)ジルコニウ ムジクロリド、
rac-ジフェニルシリレン-ビス(2-エチル-4-フェニル-1-インデニル)ジルコニウ ムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-フェニル-4-フェニル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-n-プロピル-4- フェニル-1- インデニル)ジルコ ニウムジクロリド、
rac-ジエチルシリレン-ビス(2-メチル-4- フェニル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジ-(i-プロピル)シリレン-ビス(2-メチル-4- フェニル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジ-(n-ブチル)シリレン-ビス(2-メチル-4- フェニル-1- インデニル)ジ ルコニウムジクロリド、
rac-ジシクロヘキシルシリレン-ビス(2-メチル-4- フェニル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-メチルフェニルシリレン-ビス(2-メチル-4- フェニル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリレン-ビス(2-メチル-4- フェニル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジ(p-トリル)シリレン-ビス(2-メチル-4- フェニル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジ(p-クロロフェニル)シリレン-ビス(2-メチル-4- フェニル-1- インデ ニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-メチレン-ビス(2-メチル-4- フェニル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-エチレン-ビス(2-メチル-4- フェニル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルゲルミレン-ビス(2-メチル-4- フェニル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルスズ-ビス(2-メチル-4- フェニル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4- フェニル-1- インデニル)ジルコニウムジブロミド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4- フェニル-1- インデニル)ジルコニウムジメチル、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4- フェニル-1- インデニル)ジルコニウムメチルクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4- フェニル-1- インデニル)ジルコニウムクロリドSO2Me、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4- フェニル-1- インデニル)ジルコニウムクロリドOSO2Meなど。
【0152】
本発明では、上記のような化合物においてジルコニウム金属を、チタニウム金属、ハフニウム金属に置き換えた遷移金属化合物を用いることもできる。
このような式[D]で示される遷移金属化合物は、Journal of Organometallic Chem.288(1985)、第63〜67頁、ヨーロッパ特許出願公開第0,320,762 号明細書および実施例に準じて、たとえば下記のようにして製造することができる。
【0153】
【化44】
【0154】
このような遷移金属化合物[D]は、通常ラセミ体として用いられるが、R体またはS体を用いることもできる。
また本発明では、メタロセン化合物として下記一般式(VII)で示される遷移金属化合物を用いることもできる。
【0155】
L2 M2 X2 … (VII)
M2 は、周期率表第4族またはランタニド系列の金属であり、
L2 は、非局在化π結合基の誘導体であり、金属M2 活性サイトに拘束幾何形状を付与しており、
Xは、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子もしくはハロゲン原子であるか、または20個以下の炭素原子、ケイ素原子もしくはゲルマニウム原子を含有する炭化水素基、シリル基もしくはゲルミル基である。
【0156】
このような前記一般式(VII)で示される化合物のうちでは、下記一般式(VII') で示される遷移金属化合物が好ましい。
【0157】
【化45】
【0158】
式中、M2 はチタン、ジルコニウムまたはハフニウムであり、Xは、上記と同じである。
CpはM2 にπ結合しており、かつ置換基Zを有する置換シクロペンタジエニル基である。
【0159】
Zは酸素、イオウ、ホウ素または周期率表第14族の元素(たとえばケイ素、ゲルマニウムまたはスズ)であり、
Yは窒素、リン、酸素またはイオウを含む配位子であり、
ZとYとで縮合環を形成してもよい。
【0160】
このような前記一般式(VII')で示される化合物としては、具体的に、
(ジメチル(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シラン)チタンジクロリド、
((t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)-1,2-エタンジイル)チタンジクロリドなどが挙げられる。
【0161】
上記のようなメタロセン化合物は、1種単独でまたは2種以上組合わせて用いることができる。
また上記のようなメタロセン化合物は、粒子状担体に担持させて用いることもできる。
【0162】
このような粒子状担体としては、SiO2、Al2O3、B2O3、MgO、ZrO2、CaO、TiO2、ZnO、SnO2、BaO、ThOなどの無機担体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ-1-ブテン、ポリ4-メチル-1-ペンテン、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体などの有機担体を用いることができる。これらの粒子状担体は、1種単独でまたは2種以上組合わせて用いることができる。
【0163】
次に、メタロセン系触媒を形成する(b-2)有機アルミニウムオキシ化合物およびイオン化イオン性化合物について説明する。
(b-2)有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
【0164】
従来公知のアルミノキサンは、具体的には、下記一般式で表される。
【0165】
【化46】
【0166】
式中、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭化水素基を示し、好ましくはメチル基、エチル基、特に好ましくはメチル基である。
mは2以上の整数であり、好ましくは5〜40の整数である。
【0167】
ここで、アルミノキサンは式(OAl(R1 ))で表されるアルキルオキシアルミニウム単位および式(OAl(R2 ))で表されるアルキルオキシアルミニウム単位(ここで、R1 およびR2 はRと同様の炭化水素基であり、R1 およびR2 は相異なる基を示す。)からなる混合アルキルオキシアルミニウム単位から形成されていてもよい。
【0168】
なお有機アルミニウムオキシ化合物は、少量のアルミニウム以外の金属の有機化合物成分を含有していてもよい。
イオン化イオン性化合物としては、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物を例示することができる。
【0169】
ルイス酸としては、BR3 (式中、Rはフッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素原子である。)で示される化合物が挙げられ、たとえばトルフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4-フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5-ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4-フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p-トリル)ボロン、トリス(o-トリル)ボロン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ボロンなどが挙げられる。
【0170】
イオン性化合物としては、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N-ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などを挙げることができる。具体的に、トリアルキル置換アンモニウム塩としては、たとえばトリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。ジアルキルアンモニウム塩としては、たとえばジ(1-プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。さらにイオン性化合物として、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを挙げることもできる。
【0171】
ボラン化合物としては、デカボラン(14)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕デカボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)などの金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0172】
カルボラン化合物としては、4-カルバノナボラン(14)、1,3-ジカルバノナボラン(13)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド-7-カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0173】
上記のようなイオン化イオン性化合物は、1種単独でまたは2種以上組合わせて用いることができる。
前記有機アルミニウムオキシ化合物またはイオン化イオン性化合物は、上述した粒子状担体に担持させて用いることもできる。
【0174】
また触媒を形成するに際しては、有機アルミニウムオキシ化合物またはイオン化イオン性化合物とともに以下のような有機アルミニウム化合物を用いてもよい。
【0175】
有機アルミニウム化合物としては、分子内に少なくとも1個のAl−炭素結合を有する化合物が利用できる。このような化合物としては、たとえば下記一般式で表される有機アルミニウム化合物が挙げられる。
【0176】
(R1 )m Al(O(R2 ))nHpXq
(式中、R1 およびR2 は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が通常1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3を満たす数であって、しかも、m+n+p+q=3である。)
本発明では、上記のようなオレフィン重合用触媒の存在下に(i)炭素原子数が2〜20のα−オレフィン、(ii)芳香族ビニル化合物および(iii)非共役ポリエンを通常液相で共重合させる。この際、一般に炭化水素溶媒が用いられるが、α−オレフィンを溶媒として用いてもよい。共重合はバッチ法または連続法のいずれの方法でも行うことができる。
【0177】
メタロセン系触媒を用い、共重合をバッチ法で実施する場合には、重合系内のメタロセン化合物の濃度は、重合容積1リットル当り、通常0.00005〜0.1ミリモル、好ましくは0.0001〜0.05ミリモルの量で用いられる。有機アルミニウムオキシ化合物は、メタロセン化合物中の遷移金属原子(M)に対するアルミニウム原子(Al)のモル比(Al/M)で、1〜10000、好ましくは10〜5000となるようなの量で用いられる。
【0178】
イオン化イオン性化合物は、メタロセン化合物に対するイオン化イオン性化合物のモル比(イオン化イオン性化合物/メタロセン化合物)で、0.5〜20、好ましくは1〜10となるような量で用いられる。
【0179】
また有機アルミニウム化合物が用いられる場合には、重合容積1リットル当り、通常約0〜5ミリモル、好ましくは約0〜2ミリモルとなるような量で用いられる。
【0180】
共重合反応は、通常、温度が−20〜150℃、好ましくは0〜120℃、さらに好ましくは0〜100℃の範囲で、圧力が0を超えて〜80kg/cm2 、好ましくは0を超えて〜50kg/cm2 の範囲の条件下に行なわれる。
【0181】
(i)炭素原子数が2〜20のα−オレフィン、(ii)芳香族ビニル化合物および(iii)非共役ポリエンは、上述のような特定組成の(A)不飽和性オレフィン系共重合体が得られるような量で重合系に供給される。さらに共重合に際しては、水素などの分子量調節剤を用いることもできる。
【0182】
上記のようにして(i)炭素原子数が2〜20のα−オレフィン、(ii)芳香族ビニル化合物および(iii)非共役ポリエンを共重合させると、不飽和性オレフィン系共重合体は通常これを含む重合液として得られる。この重合液は、常法により処理され(A)不飽和性オレフィン系共重合体が得られる。
【0183】
本発明に係る共重合ラテックス組成物は、上記のような(A)不飽和性オレフィン系共重合体のみからなる固形分を含有していてもよいが、固形分の微細化のためには下記のような(B)低分子量重合体を含有していることが好ましい。
【0184】
(B)低分子量重合体
(B)低分子量重合体としては、常温でワックス状のもの、常温で液状のもののいずれも使用することができ、具体的には、低分子量ポリエチレン、低分子量エチレン・α−オレフィン共重合体、不飽和カルボン酸系化合物変成低分子量ポリエチレン、不飽和カルボン酸系化合物変成低分子量エチレン・α−オレフィン共重合体などが挙げられる。
【0185】
低分子量ポリエチレンとしては、たとえばポリエチレンワックスが挙げられる。低分子量ポリエチレンは、135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.01〜0.3dl/gの範囲にあることが好ましい。
【0186】
低分子量エチレン・α−オレフィン共重合体としては、たとえばエチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体などのエチレン・α−オレフィン共重合体が挙げられる。低分子量エチレン・α−オレフィン共重合体は、135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.01〜0.3dl/gの範囲にあることが好ましい。
【0187】
前記低分子量ポリエチレンおよび低分子量エチレン・α−オレフィン共重合体は、不飽和カルボン酸系化合物が共重合されていてもよく、また不飽和カルボン酸系化合物がグラフト変成されていてもよい。
【0188】
不飽和カルボン酸系化合物としては、炭素原子数が3〜20の不飽和カルボン酸およびその無水物、アミド、イミド、エステルなどが挙げられ、具体的には、アクリル酸、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ノルボルネンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸などの不飽和カルボン酸;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸無水物などの不飽和カルボン酸無水物;マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、マレイミドなどの不飽和カルボン酸アミドまたはイミド;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロフタル酸ジメチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸ジメチル、グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸エステルなどが挙げられる。
【0189】
これらのなかでは、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、マレイミド、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジエチル、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0190】
前記不飽和カルボン酸系化合物が共重合された低分子量ポリエチレン、低分子量エチレン・α−オレフィン共重合体、および前記不飽和カルボン酸系化合物でグラフト変性された低分子量ポリエチレン、低分子量エチレン・α−オレフィン共重合体では、不飽和カルボン酸系化合物から導かれる構成単位が、0.2〜50重量%、好ましくは0.2〜30重量%の範囲にあることが望ましい。
【0191】
また、前記不飽和カルボン酸系化合物が共重合された低分子量ポリエチレン、低分子量エチレン・α−オレフィン共重合体、および前記不飽和カルボン酸系化合物でグラフト変性された低分子量ポリエチレン、低分子量エチレン・α−オレフィン共重合体は、135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.01〜0.3dl/gの範囲にあることが好ましい。
【0192】
このような低分子量重合体(B)は、1種単独でまたは2種以上組合わせて用いることができる。
低分子量重合体(B)は、共重合体ラテックス組成物を製造するに際して不飽和性オレフィン系共重合体(A)を微細化させる機能を果たす。
【0193】
共重合体ラテックス組成物
共重合体ラテックス組成物は、上記のような(A)不飽和性オレフィン系共重合体を固形分として含有している。本発明では共重合体ラテックス組成物は、(B)低分子量重合体を含有していてもよい。低分子量重合体(B)は、不飽和性オレフィン系共重合体(A)100重量部当り2〜50重量部、好ましくは5〜40重量部の量で含有されていることが望ましい。低分子量重合体(B)の量が上記のような範囲内にあると、固形分を微細することができ、得られる共重合体ラテックス組成物は貯蔵安定性に優れ、樹脂改質材として使用した場合に耐衝撃性の改質効果に優れる。
【0194】
このような共重合体ラテックス組成物は、(A)不飽和性オレフィン系共重合体、必要に応じて(B)低分子量重合体を界面活性剤の存在下で、水性溶媒中に均一分散させることにより製造することができる。より具体的には、たとえば(A)不飽和性オレフィン系共重合体と、ヘキサンなどの炭化水素溶媒と、必要に応じて(B)低分子量重合体とを混合し、攪拌して均一溶液とする。次に、界面活性剤を分散させた水性媒体に、前記均一溶液を加え攪拌混合して乳化液を得る。さらに該乳化液を50〜100℃で加熱し、有機溶媒を揮発除去することにより共重合体ラテックス組成物が得られる。
【0195】
ここで水性媒体は、得られる共重合体ラテックス組成物中の固形分の濃度が5〜65重量%の範囲となるような量で用いられる。このような量で水性媒体を用いると得られる共重合体ラテックス組成物のハンドリング性が良好である。
【0196】
界面活性剤としては、特に制限はなく、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤などを用いることができる。本発明では、アニオン系界面活性剤が好ましく、特に脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウムなどの脂肪酸の金属塩が好ましく用いられる。界面活性剤の使用量は、用いる重合体成分の種類によって異なるが、(A)不飽和性オレフィン系共重合体100重量部当り通常0.2〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部の量で用いられる。
【0197】
また、本発明に係る共重合体ラテックス組成物は、特開昭61−123664号公報に記載されているような、二軸押出機を用いた高剪断下で転相させる方法により製造することもできる。
【0198】
このようにして得られた共重合体ラテックス組成物の固形分の平均粒子径は、0.1〜3.0μmの範囲にあることが望ましい。
本発明では、上記のようにして得られた共重合体ラテックス組成物に架橋処理を施してもよい。架橋処理は、電離性放射線架橋、有機過酸化物架橋などの公知の方法を用いて行なうことができる。
【0199】
電離性放射線架橋に用いられる電離性放射線としては、α線、β線、γ線、電子線、X線などが挙げられる。電離性放射線の照射線量は、1〜50Mradの範囲であることが好ましい。電離性放射線架橋を行なうに際して、共重合体ラテックス組成物に多官能性モノマーを配分してもよく、多官能性モノマーとしては、たとえば2個以上のエチレン性不飽和基、特にビニル基を有するモノマーが好ましく用いられる。具体的には、ジビニルベンゼン、テトラメチレンジアクリレート、グリセリルトリアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,2,4-トリビニルシクロヘキサン、テトタアリロキシエタンなどが挙げられる。多官能性モノマーは、(A)不飽和性オレフィン系共重合体100重量部当り、通常0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜5重量部の量で用いられる。
【0200】
有機過酸化物架橋は、共重合体ラテックス組成物中に有機過酸化物を均一分散させた後、該有機過酸化物の分解温度以上に加熱することにより行なわれる。有機過酸化物としては、10時間半減期温度が0℃〜100℃である有機過酸化物が好ましく、具体的には、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、p-クロロベンゾイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、ジイソブチルパーオキシジカーボネート、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシカーボネートなどが挙げられる。これらの有機過酸化物は、1種単独でまたは2種以上組合わせて用いることができる。有機過酸化物は、(A)不飽和性オレフィン系共重合体100重量部当り、通常0.3〜20重量部、好ましくは1〜10重量部の量で用いられる。
【0201】
有機過酸化物架橋を行なうに際して、共重合体ラテックス組成物に多官能性モノマーを配分してもよく、多官能性モノマーとしては、前記と同様のものが挙げられる。多官能性モノマーは、(A)不飽和性オレフィン系共重合体100重量部当り、通常0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜5重量部の量で用いられる。
【0202】
有機過酸化物架橋の条件は、常圧、加圧のいずれでもよいが、固形分の熱トルエン不溶解含量が30重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上となるように設定することが望ましい。具体的には、加熱時間を通常半減期の5〜7倍とすることが好ましい。固形分の熱トルエン不溶解含量は、架橋度を示すものであり、熱トルエン不溶解含量が上記の範囲にあると、架橋共重合体ラテックス組成物を樹脂改質材として用いた場合に、耐衝撃性の改質効果が優れる。
【0203】
このようにして得られた架橋共重合体ラテックス組成物の固形分の平均粒子径は、0.1〜3.0μmの範囲にあることが望ましい。本発明に係る架橋共重合体ラテックス組成物は、貯蔵安定性に優れ、樹脂改質材として使用した場合に、耐衝撃性、表面光沢の改質効果に優れる。
【0204】
本発明に係る架橋共重合体ラテックス組成物には、その用途に応じて顔料、増粘剤、可塑剤、防腐剤、消泡剤、pH調整剤、酸化防止剤、老化防止剤などの公知の配合剤を、従来公知の配合量で配合することができる。これらの配合剤は、架橋前の共重合体ラテックス組成物中に配合してもよい。
【0205】
本発明に係る(架橋)共重合体ラテックス組成物は、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)、変成ポリフェニレンオキシド(変成PPO樹脂)などの熱可塑性樹脂の樹脂改質材として用いることができ、この場合には、(架橋)共重合体ラテックス組成物を乾燥して用いる。また、(架橋)共重合体ラテックス組成物の存在下にアクリロニトリルなどを乳化グラフト重合させて、樹脂改質材として用いることもできる。
【0206】
本発明に係る(架橋)共重合体ラテックス組成物により改質された、AS樹脂、変成PPO樹脂は、耐候性、耐溶剤性、耐衝撃性、表面光沢に優れ、家電製品のハウジング、インパネなどの自動車内装部品、フロントグリルなどの自動車外装部品などに用いられる。
【0207】
【発明の効果】
本発明に係る共重合体ラテックス組成物は、貯蔵安定性に優れ、樹脂改質材として用いた場合に改質効果に優れる。
【0208】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0209】
【合成例1】
1.5リットルのオートクレーブを窒素で充分に置換し、トルエン355ml、スチレン125ml、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン(EMND)7mlを仕込んだ。さらにプロピレンを2.2kg/cm2 になるように導入した。次いで攪拌しながら系内を100℃に昇温しエチレンを6kg/cm2 になるように導入した。次に、別の反応器にメチルアルミノオキサン(東ソーアクゾ社製、3重量%トルエン溶液)9.2mmol、公知の方法により合成した(ジメチル(tert-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シラン)ジクロライドチタン0.018mmolを加え、この混合溶液を15分間攪拌した後、オートクレーブに導入し重合を開始した。この重合中系内の圧力を6kg/cm2 に保つようにエチレンを連続供給し、30分間重合した。その後、5mlのメタノールを添加し重合を終了した。重合終了後、1リットルのメタノールで重合溶液からポリマーを析出させた。析出したポリマーをさらに1リットルのメタノールで2回洗浄し、130℃、12時間減圧乾燥した。得られたエチレン・プロピレン・スチレン・EMND共重合体(共重合体(a))は、32gであり、エチレンから導かれる構成単位と、プロピレンから導かれる構成単位とのモル比(エチレン/プロピレン)は82/18であり、エチレンから導かれる構成単位とプロピレンから導かれる構成単位との合計量と、スチレンから導かれる構成単位とのモル比(エチレン+プロピレン/スチレン)は85/15であった。この共重合体のヨウ素価は20であり、135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]は1.0dl/gであった。
【0210】
【合成例2】
1.5リットルのオートクレーブを窒素で充分に置換し、トルエン340ml、スチレン80ml、EMND4ml、1-オクテンを60mlを仕込んだ。次いで攪拌しながら系内を90℃に昇温しエチレンを6kg/cm2 になるように導入した。
【0211】
その後、重合中系内の圧力を6kg/cm2 に保つようにエチレンを連続供給したこと以外は合成例1と同様にして重合反応を行った。得られたエチレン・1-オクテン・スチレン・EMND共重合体(共重合体(b))は、12gであり、エチレンから導かれる構成単位と、1-オクテンから導かれる構成単位とのモル比(エチレン/1-オクテン)は56/44であり、エチレンから導かれる構成単位と1-オクテンから導かれる構成単位との合計量と、スチレンから導かれる構成単位とのモル比(エチレン+1-オクテン/スチレン)は90/10であった。この共重合体のヨウ素価は10であり、135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]は1.5dl/gであった。
【0212】
【合成例3】
合成例1において、(ジメチル(tert-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シラン)ジクロライドチタンを公知の方法で合成したイソプロピリデン-ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドに変更した以外は合成例1と同様に行い、エチレン・プロピレン・スチレン・EMND共重合体(共重合体(c))を得た。得られたエチレン・プロピレン・スチレン・EMND共重合体(共重合体(c))は、エチレンから導かれる構成単位と、プロピレンから導かれる構成単位とのモル比(エチレン/プロピレン)は84/16であり、エチレンから導かれる構成単位とプロピレンから導かれる構成単位との合計量と、スチレンから導かれる構成単位とのモル比(エチレン+プロピレン/スチレン)は82/18であった。この共重合体のヨウ素価は19であり、135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]は0.8dl/gであった。
【0213】
【実施例1】
前記合成例1にて製造した共重合体(a)100gと、変性ポリエチレンワックス(無水マレイン酸含量:3重量%、135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]:0.05dl/g)10gとをn-ヘキサン900gに溶解し、均一になるまで攪拌した。次いで、オレイン酸カリウム5gを水900gに分散させた後、ホモミキサー(攪拌羽根の回転数1200rpm)を用いて、前記n-ヘキサン溶液と30分間混合した。得られた乳化液をゆっくりと攪拌しながら70℃の温度でn-ヘキサンで揮発除去して共重合体ラテックス組成物を得た。得られた共重合体ラテックス組成物について以下のゴム凝固析出分、平均粒子径の測定および貯蔵安定性の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0214】
また、得られた共重合体ラテックス組成物を電子線照射容器に1.5mm厚となるように移し、容器上部を30μmのポリエチレンフィルムで密閉し、加速電圧750kV、10Mradで電子線を照射し、架橋共重合体ラテックス組成物を調製した。得られた架橋共重合体ラテックス組成物について以下のゴム凝固析出分、平均粒子径の測定、貯蔵安定性の評価および熱トルエン不溶解分含量の測定を行なった。結果を表1に示す。
【0215】
次に、得られた架橋共重合体ラテックス組成物に希塩酸を攪拌下少量滴下し凝固させ、洗浄、脱水、乾燥して架橋共重合体ラテックス組成物乾燥物を得た。この架橋共重合体ラテックス組成物乾燥物20重量部と、市販のアクリロニトリル・スチレン共重合体(商品名:AS−S、電気化学社製)80重量部とを200℃の押出機で混練、ペレタイズし、続いて射出成形機(IS22P、東芝機械社製)により、射出温度230℃、金型温度50℃で射出成形し、100×70×2mm厚の角板を得た。この角板について以下のアイゾット衝撃強度およびグロスを測定した。
【0216】
[ゴム凝固析出分]
共重合体ラテックス組成物を100メッシュのステンレス製網上に流し込み、網上に残ったゴム凝固析出量をラテックス中の全固形分に対する重量%で示す。
【0217】
[平均粒子径]
コールターエレクトロニクス社製コールターカウンターを用いて、共重合体ラテックス組成物中の粒子を全数カウントし、粒子径別ヒストグラムと累積量ヒストグラムを作成する。累積量が50重量%となる点を平均粒子径とした。
【0218】
[貯蔵安定性の評価]
共重合体ラテックス組成物を密閉容器内に入れて、室温で2カ月放置した。次いで、ゴム凝固析出分を測定し、貯蔵安定性の目安とした。
【0219】
[熱トルエン不溶解分含量(ゲル分率)]
共重合体ラテックス組成物中の全固形分を凝析、乾燥し、100メッシュのステンレス製網袋に約1.5gを採取し、120℃トルエン100ml中の6時間浸漬する。次いで、これを取り出し乾燥後、網袋中の残重量を測定し、熱トルエン不溶解分含量を算出し、架橋度の目安とした。
【0220】
[アイゾット衝撃強度(IZ)]
JIS K7110に準拠し、アイゾット衝撃試験機(東洋精機(株)製)を用いて以下の条件で測定した。
【0221】
温度:25℃、−10℃
試験片:1号A
[グロス(Gloss)]
JIS K7105に準拠し、グロスメーター(日本電色(株)製)を用いて60度鏡面光沢度を測定した。
【0222】
【比較例1】
実施例1において、共重合体(a)に代えて、エチレン・プロピレン・EMND共重合体(エチレン単位/プロピレン単位=70/30(モル比)、135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]:1.0dl/g)を用いたこと以外は実施例1と同様に行なった。結果を表1に示す。
【0223】
【比較例2】
実施例1において、共重合体(a)に代えて、エチレン・プロピレン共重合体ゴム(エチレン単位/プロピレン単位=70/30(モル比)、135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]:1.0dl/g)を用いたこと以外は実施例1と同様に行なった。結果を表1に示す。
【0224】
【実施例2】
実施例1において、共重合体(a)に代えて、合成例2にて製造した共重合体(b)を用いたこと以外は実施例1と同様に行なった。結果を表1に示す。
【0225】
【実施例3】
実施例1において、電子線照射を行なわず、有機過酸化物を用いて架橋を行なったこと以外は実施例1と同様に行なった。有機過酸化物による架橋は、以下のように行なった。すなわち、共重合体ラテックス組成物の固形分100重量部に対しp-ジビニルベンゼンを2重量部添加し充分に分散させた。次いでこの共重合体ラテックス組成物を2リットルのオートクレーブに移し、1,1-ジ-t-ブチルパーオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(商品名:パーヘキサ3M、日本油脂社製)3.0gを添加した後、攪拌しながら120℃の温度で2時間攪拌架橋反応を行ない、架橋共重合体ラテックス組成物を得た。結果を表1に示す。
【0226】
【実施例4】
実施例1において、共重合体(a)に代えて、合成例3にて製造した共重合体(c)を用いたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0227】
【表1】
【0228】
【実施例5】
実施例1で調製した架橋共重合体ラテックス組成物乾燥物10重量部と、変成ポリフェニレンオキシド(商品名:ザイロン500H、旭化成社製)100重量部とをヘンシェルミキサー中で混合し、さらにこの混合物を250℃の押出機で混練、ペレタイズした。このペレットを射出成形機(IS22P、東芝機械社製)を用い、射出温度270℃、金型温度80℃で射出成形し、100×70×2mm厚の射出成形シートを得た。この射出成形シートについて25℃でのアイゾット衝撃強度を測定した。結果を表2に示す。
【0229】
【比較例3】
実施例5において架橋共重合体ラテックス組成物乾燥物を用いずに、変成ポリフェニレンオキシドのみを用いたこと以外は実施例5と同様にして射出成形シートを得た。この射出成形シートについて25℃でのアイゾット衝撃強度を測定した。結果を表2に示す。
【0230】
【表2】
Claims (17)
- (A)請求項1に記載の不飽和性オレフィン系共重合体100重量部、および
(B)低分子量ポリエチレン、低分子量エチレン・α−オレフィン共重合体、不飽和カルボン酸系化合物変成低分子量ポリエチレンおよび不飽和カルボン酸系化合物変成低分子量エチレン・α−オレフィン共重合体からなる群より選ばれた少なくとも1種の低分子量重合体2〜50重量部からなる固形分を含有することを特徴とする共重合体ラテックス組成物。 - 前記(A)不飽和性オレフィン系共重合体は、前記炭素原子数が2〜20のα−オレフィン(i)から導かれる構成単位と、前記芳香族ビニル化合物(ii)から導かれる構成単位とのモル比(α−オレフィン/芳香族ビニル化合物)が98/2〜70/30の範囲にある請求項1または2に記載の共重合体ラテックス組成物。
- 前記(i)炭素原子数が2〜20のα−オレフィンは、エチレンと、炭素原子数が3〜10のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンとである請求項1〜3のいずれかに記載の共重合体ラテックス組成物。
- 前記(ii)芳香族ビニル化合物は、スチレンまたはα−メチルスチレンである請求項1〜4のいずれかに記載の共重合体ラテックス組成物。
- 前記(iii)非共役ポリエンは、1分子中に1個のビニル基または5-ノルボルネン-2-イル基を有する非共役トリエンまたはテトラエンである請求項1〜5のいずれかに記載の共重合体ラテックス組成物。
- 前記(iii)非共役ポリエンは、下記一般式(II-a)で表され、かつ該非共役ポリエンから導かれる構成単位が下記一般式(II-b)で表される化合物および、下記一般式(III-a)で表され、かつ該非共役ポリエンから導かれる構成単位が下記一般式(III-b)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の非共役トリエンまたはテトラエンである請求項1〜5のいずれかに記載の共重合体ラテックス組成物;
- 前記一般式(II-a)で表される非共役トリエンまたはテトラエンは、下記一般式(IV-a)で表され、かつ該非共役トリエンまたはテトラエンから導かれる構成単位が下記一般式(IV-b)で表される化合物であり、前記一般式(III-a)で表される非共役トリエンまたはテトラエンは、下記一般式(V-a)で表され、かつ該非共役トリエンまたはテトラエンから導かれる構成単位が下記一般式(V-b)で表される化合物である請求項7に記載の共重合体ラテックス組成物;
- 前記(iii)非共役ポリエンは、前記一般式(II-a)で表され、かつ該非共役ポリエンから導かれる構成単位が前記一般式(II-b)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の非共役トリエンまたはテトラエンである請求項1〜5のいずれかに記載の共重合体ラテックス組成物。
- 前記一般式(II-a)で表される非共役トリエンまたはテトラエンは、前記一般式(IV-a)で表され、かつ該非共役トリエンまたはテトラエンから導かれる構成単位が前記一般式(IV-b)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の非共役トリエンまたはテトラエンである請求項9に記載の共重合体ラテックス組成物。
- 固形分の平均粒子径が0.1〜3.0μmの範囲にある請求項1〜10のいずれかに記載の共重合体ラテックス組成物。
- 固形分は、架橋結合を有し、かつ熱トルエン不溶解分含有量が30重量%以上である請求項1〜11のいずれかに記載の共重合体ラテックス組成物。
- 前記(A)不飽和性オレフィン系共重合体は、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5〜2.0dl/gの範囲にあり、ヨウ素価が5〜40の範囲にある請求項1〜12のいずれかに記載の共重合体ラテックス組成物。
- (A)不飽和性オレフィン系共重合体を水性媒体中に分散させた状態で架橋する請求項14に記載の共重合体ラテックス組成物の製造方法。
- (A)不飽和性オレフィン系共重合体および(B)低分子量重合体を水性媒体中に分散させた状態で架橋する請求項16に記載の共重合体ラテックス組成物の製造方法。
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