JP3740593B2 - 室内空気保全装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅に適用する室内空気の保全装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、集合住宅等の建物の内装材等として使用される建材から揮発性有機化合物やホルムアルデヒド等の有害ガスが発生し、それが居住者の健康に悪影響を及ぼす懸念のあることが問題となっている。そのための対策として、建物完成時点で室内温度を高く維持して有害ガスの発生を促進せしめることにより入居後の発生量を低減させるいわゆるベイクアウト処理を行ったり、入居後においても各室の換気を十分に行って有害ガスを排出する必要があるとされ、そのための換気装置を各室に備えることが検討されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、現在までのところ有効なベイクアウト処理のための温度条件や所要時間等の最適条件は確立されておらず、試行錯誤的に実施されているに過ぎない。また、有害ガスを排出するための換気装置を各室に備えてもその運転は入居者に委ねられるから確実に実施される保証はないし、逆に必要以上の過剰換気がなされることも想定され、また常時連続的に換気を行うことは冷暖房負荷の増大につながるから、有効な対策とはなり得ていない。
【0004】
上記事情に鑑み、本発明は、室内で発生する有害ガスを確実かつ効率的に排出して室内空気を清浄に保全するための装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の室内空気保全装置は、複数の室を有するとともに排気チャンバとして機能し得る空間を有する住宅に適用される室内空気保全装置であって、前記空間内から排気を行うための排気ファンを設けるとともに、該空間と前記各室とをダクトにより連通せしめて各ダクトに開閉可能なダンパーをそれぞれ設置しておき、前記各室にそれぞれ有害ガス濃度を検出するガスセンサを設置するとともに、前記各室に在室者の有無を検知する人感センサを設置し、いずれかのガスセンサによる検出値が所定値を越えたときに前記排気ファンを運転するとともに、当該室に設置されている人感センサが在室者を検知したことを条件に当該室と前記空間とを連通するダクトに設置されている前記ダンパーを開くことにより、当該室から排気を行う構成としたものである。なお、前記空間としては住宅内のトイレを利用することが考えられる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を集合住宅の住戸に適用した場合の一実施形態を図1を参照して説明する。図1は本実施形態の室内空気保全装置を備えた住戸の概要を示すもので、符号1は居間、洋室、和室等の居室であり、2はそれらの室1に隣接して設けられているトイレであり、本例ではそのトイレ2を排気チャンバとして機能せしめてこれを経由して各室1からの排気を行うことにより、各室1で発生する有害ガスを排出するものとしている。
【0009】
すなわち、本実施形態の保全装置は、トイレ2の天井面に設置された排気ファン3、それに接続されて天井裏空間内に設置されている排気ダクト4、各室1とトイレ2とを連通するダクト5、各ダクト5に設置された電動式のダンパー6、各室1に設置されたガスセンサ7および人感センサ8を有して構成されている。
【0010】
上記の排気ファン3としては通常の住宅トイレに設置される一般的なものを採用すれば良いが、この排気ファン3はダンパー6との協働により各室1の換気も併せて行うための換気装置として機能するものであるので、その分の換気能力を加味しておく。また、この排気ファン3の運転は通常のようにトイレ2の使用者が手動操作により行うものとするが、それに加えて後述するように上記のガスセンサ7および人感センサ8の検出信号に基づいて自動的にも運転されるように構成しておく。
【0011】
上記のガスセンサ7は、建材等から発生する各種の有害ガスたとえば揮発性有機化合物やホルムアルデヒド等の濃度を検出するもので、このガスセンサ7による検出値が所定値を越えた場合には上記排気ファン3がその時点の運転状況の如何に拘らず強制的に運転を開始させられるとともに、当該室1とトイレ2との間に設けられているダンパー6が強制的に開かれ、これにより当該室1内の空気はダクト5を通してトイレ2に吸引され、そこから排気ファン3により排出されるようになっている。そのようにして排気が行われて室内のガス濃度が十分に低下した後には、自動的にダンパー6が閉じられるとともに排気ファン3が停止(ただし、トイレ2が使用されて排気ファン3が手動により運転されている場合はそれが優先する)するようになっている。なお、各室1には自然換気用のレジスタ9が設けられており、上記の排気が行われた際にはそこから外気が自然流入するようにされている。
【0012】
また、上記の人感センサ8は室内における在室者の有無を検知するもので、この人感センサ8が室内に在室者があることを検知していることを条件に当該室からの排気が行われるようになっている。つまり、有害ガス濃度が所定値を越えたことをガスセンサ7が検知した場合においても、その時点で在室者がない場合には排気が開始されないようになっている。
【0013】
上記のように、室内の有害ガス濃度をガスセンサ7により検出してそれに基づき当該室の換気を行うようにしたことにより、各室1の有害ガス濃度を居住者に悪影響が及ぶことのないように十分に低くすることが可能である。そして、上記装置によれば、従来のように常時連続的に換気を行う場合に比較して運転費を大幅に削減でき、また、換気に伴う冷暖房負荷の増大を最少限に抑制することができるし、入居者の手動操作に頼って運転を行う場合のような不確実さを回避できる。
【0014】
特に、上記のようにトイレ用として設置される排気ファン3を各室の換気に利用することとし、また、トイレ2を排気チャンバとして機能せしめることにより、各室のそれぞれに換気専用の排気ファンやダクトを個別に設置する場合に比較して設備費を十分に削減することができる。また、人感センサ8を設けて室内に人がいない場合には運転を行わないようにしているので、無駄な運転を行うことがなく合理的である。
【0015】
なお、上記実施形態ではトイレ用の排気ファン3を各室1の換気に利用することとしてトイレ2を排気チャンバとして機能せしめるようにしたが、排気チャンバとしてはトイレ2に限らず、たとえば物入れ等の他の空間、あるいは特定の室自体を排気チャンバとすることでも良い。その場合、排気チャンバとしての空間と各室とが隣接していることが好ましく、したがって排気チャンバとしての空間を住戸のほぼ中心位置に設定することが好ましい。あるいは、天井裏空間を天井チャンバとしてそれを排気チャンバとして利用したり、可能であれば床下チャンバや二重壁内チャンバを設けてそれを排気チャンバとして機能させることも考えられる。
【0016】
また、上記実施形態では排気チャンバとしてのトイレ2と各室とが隣接している場合を想定して、それらを仕切る壁に短いダクト5を設けて各室1と排気チャンバとを連通せしめたが、各室1と排気チャンバとが離れている場合にはたとえば二重天井内にダクトを敷設してそれらを連通せしめれば良い。
【0022】
さらに、本発明は集合住宅の住戸のみならず、一戸建て住宅にも同様に適用できることはいうまでもなく、対象とする住宅の規模や要求される清浄度等を考慮して、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で最適設計を行えば良い。たとえば、住宅用の換気装置としては上記のように排気ファン3とダンパー6を組合わせたものが現実的であるが、適用対象の住宅の規模によってはより大規模、より高度の制御を行い得るような換気装置を採用しても勿論良い。また、本発明においては換気装置として通常の換気扇を用いることができる他、全熱交換器を組込んだ空調換気扇も使用できることは当然である。
【0023】
【発明の効果】
以上で説明したように、本発明の室内空気保全装置は、室内に設置したガスセンサにより有害ガス濃度を検出し、該ガスセンサによる検出値が所定値を越えたら換気装置を作動させて当該室から排気を行うことを基本とする構成であるので、室内の有害ガス濃度を居住者に悪影響が及ぶことのないように十分に低くすることが可能であることはもとより、従来のように常時連続的に換気を行う場合に比較して運転費を大幅に削減でき、また、換気に伴う冷暖房負荷の増大を最少限に抑制することができるし、入居者の手動操作に頼って運転を行う場合のような不確実さを回避できる。特に、室内に在室者がいることを条件に換気装置を作動させることにより、室内に人がいない場合には無駄な運転を行うことがなく合理的である。
【0025】
特に、本発明の空気保全装置は複数の室を有する住宅に適用するものであって、排気チャンバとして機能する空間に排気ファンを設けてその空間と各室とを連通させておき、各室にガスセンサを設置して各室から空間を介して排気ファンにより排気を行う構成としたので、各室のそれぞれに独立に換気装置を設ける場合に比較して設備費および運転費を大きく軽減することが可能である。また、排気チャンバと各室とをダクトにより連通せしめてそこにダンパーを設置しておき、排気ファンの運転の際にのみダンパーを開く構成としたので、換気を行わないときにダクトを通じての逆流が生じることを防止できるし、必要な室のみを個別に換気することができる。また、各室に在室者の有無を検知する人感センサを設置して在室のときのみダンパーを開く構成としたので、不在時に換気を行ってしまう無駄をなくすことができる。さらにトイレを排気チャンバとして利用することとすれば格別に排気チャンバを設ける必要はないし、トイレ用の排気ファンを各室の換気装置に兼用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 室
2 トイレ(排気チャンバ)
3 排気ファン
5 ダクト
6 ダンパー
7 ガスセンサ
8 人感センサ

Claims (2)

  1. 複数の室を有するとともに排気チャンバとして機能し得る空間を有する住宅に適用される室内空気保全装置であって、
    前記空間内から排気を行うための排気ファンを設けるとともに、該空間と前記各室とをダクトにより連通せしめて各ダクトに開閉可能なダンパーをそれぞれ設置しておき、
    前記各室にそれぞれ有害ガス濃度を検出するガスセンサを設置するとともに、前記各室に在室者の有無を検知する人感センサを設置し、
    いずれかのガスセンサによる検出値が所定値を越えたときに前記排気ファンを運転するとともに、当該室に設置されている人感センサが在室者を検知したことを条件に当該室と前記空間とを連通するダクトに設置されている前記ダンパーを開くことにより、当該室から排気を行う構成としたことを特徴とする室内空気保全装置。
  2. 請求項1記載の室内空気保全装置において、前記空間は住宅内のトイレであることを特徴とする室内空気保全装置。
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