JP3740519B2 - 滅菌器のためのパラメータ測定を使用する電子テストパック - Google Patents

滅菌器のためのパラメータ測定を使用する電子テストパック Download PDF

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Description

発明の分野
本発明は、一般に、滅菌器における滅菌サイクルの有効性を測定するのに使用されるテストパック及び方法に関する。より詳細には、本発明は、滅菌室内に置かれた電子テストパックによるパラメータ監視を使用して滅菌サイクルの有効性を測定するテストパック及び方法に関する。
発明の背景
医療及び病院の機器を滅菌するのに使用される蒸気滅菌方法は、蒸気滅菌剤が、適当な組み合わせの時間・温度で及び適当な蒸気品質で、滅菌されている器材の全表面に接触していたのでなければ、効果的なものとはなりえない。プリバキューム(prevacuum)蒸気滅菌器及び重力蒸気滅菌器のような多孔質装填物(porous load)蒸気滅菌器においては、その滅菌方法は、3つの主たる段階で行われる。第1の段階においては、処理されている多孔質器材内に捕集された空気が除去される。第2の段階は、滅菌段階であり、それにおいては、装填物は、滅菌をもたらすべく知られている、認知された組み合わせの時間及び温度で圧力下の蒸気にさらされる。第3の段階は、滅菌室を真空廃棄することによって、先の2つの段階の間に形成された凝縮体を除去する乾燥段階である。
滅菌室からの空気除去は、数多くの方法で達成されることができる。例えば、重力蒸気滅菌器においては、重力変位(gravity displacement)の原理が利用され、上部から入る蒸気が滅菌室の基部にあるバルブを介して空気を徐々に変位させる。代わって、プリバキューム(prevacuum)蒸気滅菌器においては、大気圧未満の圧力(subatmospheric pressure)及び/又は大気圧を超える圧力(superatmospheric pressure)で、滅菌室を極度に真空排気することによって、又は真空排気及び蒸気噴射を組み合わせることによって、強制的に空気を除去する。
当該サイクルの空気除去段階の間に滅菌器から除去されず、又はガスケット、バルブ、若しくはシールの欠陥により大気圧未満の圧力の段階の間に滅菌器に漏入する空気は、存在する多孔質器材内に空気ポケットを形成する可能性がある。これらの空気ポケットは、蒸気浸透に対する障壁を作り、そのため、滅菌段階の間に滅菌されている器材の全表面に関して適切な滅菌条件が達成されるのを妨害する。このことは、特に、病院のリネン又は布のような多孔質器材が滅菌されるているときに当てはまり、その理由は、蒸気が器材の内部層に到達するのを空気ポケットが妨害するためである。その結果、滅菌は起こらないかもしれない。それ故、充分な滅菌剤浸透があったかどうかを検出することによって、作動する滅菌器における滅菌サイクルの有効性を判定する装置が必要となる。
多孔質装填物滅菌サイクルの空気除去段階における空気除去の有効性を評価する手順として一般に使用される一つのものは、Bowie-Dickテストとして知られている。典型的なBowie-Dickテストパックは、本質的に、特定のサイズに折り畳まれた、新たに洗濯されたタオルの積み重ねからなる。次いで、そのパックの中央に化学的指示体シート(chemical indicator sheet)が置かれる。滅菌器内の空気除去が不充分であれば、パックの中央に空気ポケットが生じ、蒸気がその蒸気感知性化学的指示体シートに接触するのを防止する。空気ポケットの存在は、適切な空気除去を指示する完全な即ち均一の色変化を指示体が受けることがないことによって記録される。Bowie-Dick型テストは、一般に、プリバキューム滅菌器の空気除去段階の有効性を判定するための適切な手順として認識されているが、それは、また、多くの不利益を引き起こす。テストパックは、予め組み立てられていないため、滅菌器の性能を監視すべく当該手順が使用される度に、作られねばならない。そのテスト手順は、洗濯、予加湿、タオル厚、及び消耗、並びに使用されるタオルの数のような多くの変化する因子がテスト結果を変えるため、いくぶん一貫性のないものとなるおそれがある。さらに、タオルパックの準備、組み立て、及び使用は、時間を消費させ、煩わしい。それ故、これらの制限を克服すべく、Bowie-Dickテストパックにとって代わるものが開発されている。
Bowie-Dickテストパックの代替の例は、Hartらによる欧州特許出願第90310367.9号に記載されており、その出願は、蒸気又はガス滅菌器用の廃棄処理可能なテストパックについて記載している。Hartらのテストパックには、上部壁及び底部壁を有する容器であってその中に多孔質充填材料を配置したものが含まれる。その充填材料は、テストパックを介しての滅菌剤の流れを妨げるべく作用する、制限された通路を提供することによって、滅菌剤の浸透を攻撃する(challenge)。除去可能な蓋が容器の底部端をシールする一方、容器の上部壁にある穴によって、容器内の充填材料への蒸気の下方向進入が可能となる。そのテストパックは、滅菌剤の浸透を検出する化学的指示体を含む。滅菌剤がテストパックの充填材料に浸透するのが成功した場合には、化学的指示体シートは、完全な色変化を受ける。滅菌剤が充填材料に充分に浸透しない場合には、化学的指示体は、完全な均一の色変化を受けることはなく、不適切な空気除去を指示し、換言すれば、Bowie-Dickテストの失敗を示す。
滅菌サイクルを監視し又は制御して適切な滅菌条件が達成されていることを保証するために、パラメータ監視が使用されてきている。例えば、Childrenに対する米国特許第4,865,814号においては、滅菌室内の温度レベル及び圧力レベルの双方を監視するとともに圧力及び温度がタイマのスタート前に所定のレベルに達するのを可能とすべくヒータを制御するマイクロプロセッサを含む自動滅菌器が開示されている。タイマは、ひとたびスタートせしめられると、圧力レベル又は温度レベルが所定の最小値以下に落ちたときにストッパせしめられる。蒸気滅菌器に関する滅菌判定基準は、しばしば、所定時間の間、所与の圧力で高品質の蒸気にさらされて滅菌されるための項目を要件とすることによって定義される。飽和蒸気の圧力変数及び温度変数は、シールされた室に飽和蒸気が納められたときの従属変数であることが知られているため、これらの2つの変数の監視は、滅菌サイクルの間、適切な条件が維持されることを保証することができる。
滅菌室それ自体の環境条件を監視することは望ましいことであるが、滅菌されている実際の装填物の内部又は中央の環境条件を監視することができるということがより望ましい。外部監視が利用される一方、滅菌室への配線の導入を必要とせず、そのため滅菌室の完全性を潜在的に破ることを避ける自給型(self-contained)監視ユニットを有することがさらに望ましい。Joslynへの米国特許第3,982,893号においては、滅菌されるべき装填物内に置かれることができる監視デバイスを含むシステムが開示されている。そのデバイスは、少なくとも湿度及び温度を含め、装填物の環境条件を連続的に監視する。そのデバイスは、信号を生成し、その信号を滅菌室に置かれたアンテナに送り、滅菌室は、滅菌器の環境パラメータを制御する外部デバイスに線で結ばれている。かくして、Joslynのデバイスは、装填物の中央の湿度及び温度を監視することによって滅菌サイクルの有効性をテストするというよりも、むしろ滅菌器の動作を制御する自給型デバイスを提供する。
滅菌器の有効性をテストするために今日使用されるデバイスは、典型的に、生物学的及び/又は化学的指示体を使用する。Bowie-Dickテストは、滅菌サイクルの空気除去段階の有効性を判定すべく、就労日ごとにテストのスタートにおいて典型的に実行される化学的指示体テストの例である。そのテストは、テストパックを構成する多孔質物質への充分な蒸気浸透を妨げる漏入、ガスケット若しくはバルブの欠陥、又は蒸気供給器に存在する圧縮不可ガスの進入による、滅菌室内の残留空気の存在を検出するように設計されている。化学的指示体テストシートは、滅菌処理への露出時、一つの特徴的な色から他の色へ、例えば初期の白から最終的な黒へと可視的変化を受ける。不充分な蒸気浸透の結果は、化学的指示体テストシートの表面での不均一な色の成長である。しかしながら、化学的指示体は、色変化の状態に依存して解釈するのが困難になる可能性がある。
生物学的指示体システムは、滅菌サイクルの滅菌段階の妥当性についての情報を提供する。生物学的指示体テストシステムは、滅菌サイクルにさらされる、生命のある胞子を使用する。滅菌サイクル後、その胞子は培養され、当該システムは成長があるかどうかを検出する。成長がなければ、システムは滅菌処理が効果的であったことを指示する。かくして、生物学的指示体は、滅菌の条件が存在したかどうかを判定することができるが、培養期間に起因する結果を得るための時間の長さは、しばしば、少なくとも24時間となってしまう。それ故、生物学的指示体システムは、しばしば、化学的指示体と結合して使用され、その理由は、化学的指示体の色変化が瞬時の結果を提供するためである。さらに、化学的指示体と生物学的指示体との双方を使用することによって、空気除去段階及び滅菌段階の両妥当性についての情報が提供される。
パラメータ監視は、結果が即座に得られ、その結果が明白なパス/フェイルの判定の形で得られるため、化学的又は生物学的な指示体に対して優位である。さらに、単にパス/フェイル判定を得るというよりむしろ、パス/フェイル判定を可能とする詳細データが得られるばかりでなく、滅菌器の性能への更なる解析を可能とするデータも得られる。それ故、望ましいものは、テストパック内で充分な滅菌剤浸透が達成されたかどうかを決定すべくパラメータ測定を使用するテストパックである。より詳細には、望まれるものは、滅菌サイクルの空気除去段階の妥当性を判定すべくパラメータ測定を使用する他のテストパックである。より望まれるものは、空気除去段階の妥当性ばかりでなく滅菌段階の妥当性をも判定すべくパラメータ測定を使用する他のテストパックである。
発明の要約
上述した従来技術の制限を克服するために、及び本明細書を読みかつ理解することで明らかとなるであろう他の制限を克服するために、本発明は、パラメータ測定を使用して滅菌サイクルの有効性を判定するのに使用されるシステム及び方法を提供する。本発明によるシステムは、滅菌室に置かれた電子テストパックが、2つの特徴的な場所における環境パラメータを監視しかつ記録することを含む。より詳細には、その電子テストパックは、テストパック内の一つの場所における第1の環境条件を測定し、その場所はテストパックによって提供される攻撃媒体(challenging medium)の端に位置する。かくして、その第1の場所に到達するためには、滅菌剤は、その攻撃媒体を通過しなければならない。該テストパックは、滅菌室内の所定の場所で第2の環境条件を測定する。該テストパックは、該第1及び第2の環境条件に関連するデータ、並びに該テストパック内のタイマからの時間データを記録する。この電子テストパックは、さらに、充分な滅菌剤浸透が達成されているかどうかを判定すべく、該環境条件データ及び対応する時間データを解析するデータプロセッサを含むことができる。
本発明による方法は、環境パラメータを感知する第1のセンサ及び第2のセンサ、タイマ、メモリ、並びにデータプロセッサを具備する自給型電子テストパックを使用することができる。その方法は、以下の各ステップ、すなわち、
前記第1のセンサへの滅菌剤の浸透を攻撃するステップと、
前記第1のセンサで第1の環境パラメータを感知するステップと、
前記第2のセンサで前記滅菌室内の第2の環境パラメータを感知するステップと、
前記第1及び第2の環境パラメータに対応する前記タイマからの時間データをメモリに記録するステップと、
前記データプロセッサを用いて、前記第1及び第2の環境パラメータ並びに前記時間データを、メモリに格納された所定の基準パラメータと比較するステップと、
前記第1及び第2の環境パラメータ並びに前記時間データが前記所定の基準パラメータの範囲内にある場合に前記データプロセッサからの信号を生成するステップと、
を具備する。
本発明は、また、滅菌サイクルの有効性をテストするために滅菌室内に配置されうる自給型ユニットであって、
該ユニットの外側から該ユニット内の所定の場所への滅菌剤の浸透を攻撃する滅菌剤攻撃経路と、
前記滅菌サイクル中、滅菌剤が前記所定の場所に充分に浸透したか否かを判定すべく動作可能な電子手段と、
を具備する自給型ユニット、を提供する。
【図面の簡単な説明】
本発明は、添付図面を参照しつつより完全に説明される。図面においては、類似した参照数字は、対応する要素を同定する。
図1は、本発明の電子テストパックの斜視図である。
図2は、電子テストパックの断面図である。
図3は、滅菌剤に対する攻撃媒体を提供するために使用される容器の斜視図であり、その容器は、容器内の充填材料を示すために切断された部分を有している。
図3Aは、滅菌剤に対する攻撃媒体を提供するために使用されるスレデッド(threaded)容器の斜視図である。
図4Aは、電子テストパックの第1実施例の断面図であり、第1実施例は攻撃媒体を提供するスレデッド容器を有する。
図4Bは、電子テストパックの第2実施例の断面図であり、第2実施例は円錐形発泡性攻撃媒体を有する。
図4Cは、電子テストパックの第3実施例の断面図であり、第3実施例は球形発泡性攻撃媒体を有する。
図5は、テストパック内の回路の回路図である。
図6は、スタンド内に置かれた電子テストパックの斜視図である。
図6Aは、電子テストパック及びスタンドの分離部分の分解図であり、テストパックをスタンドに置くことが可能な所定の方向を示している。
図7は、スタンド内の電子テストパックの断面図である。
図8は、スタンド内の回路のブロック図である。
図9は、誘導コイルを付勢し、もって電子テストパックの電力をターンオフするフローチャートである。
図9Aは、滅菌サイクルが完了したかどうかを判定するためのフローチャートである。
図10A及び図10Bは、満足なBowie-Dick型結果があったかどうかを判定するためのフローチャートである。
図11A及び図11Bは、満足な及び不満足な滅菌サイクルの例のグラフである。
図12は、満足なBowie-Dick型結果があったかどうかを判定するためのフローチャートである。
図13は、満足なBowie-Dick型結果があったかどうかを判定するためのフローチャートである。
図14は、蒸気状態図である。
図15は、滅菌サイクルの満足な滅菌段階があったかどうかを判定するためのフローチャートである。
好適な実施例の詳細な説明
上述した従来技術における制限を克服するため、及び本明細書を読み理解する上で明らかとなる他の制限を克服するために、本発明は、パラメータ監視によって滅菌サイクルの有効性を判定する自給型電子テストパックを提供する。前述のシステムは、適切な滅菌のための理想的環境条件を提供すべく、滅菌室内の環境パラメータを制御するためのパラメータ監視を使用したが、本発明は、少なくとも2つの場所において、典型的には室基準ポイントと装填物又はシミュレーションされた装填物の中の場所とにおいて、環境条件を監視する。次いで、温度測定値に対応する時間データと組み合わせ、両場所における測定値を使用して、本システムは、充分な滅菌剤浸透が達成されたかどうかを判定することができる。
図1及び図2を参照すると、自給型電子テストパック2の斜視図及び断面図が示されている。容器4は、内部ハウジング20に搭載され、クランプ24によってそれに固定される。外部ハウジング22は、クランプ24を支持するばかりでなく、内部ハウジング20のための支持構造を提供する。図3は、搭載されていない容器4を示し、容器4は、形状において円筒形であることが好ましい。容器4は、アルミニウムのような、気体及び液体不浸透性材料でできているが、他の金属、ガラス、フィルム、金属積層チップボード、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリメチルペンテン、ポリエステル、及びポリメチルメタクリレートのような他の材料が使用されてもよい。容器4は、第1の端壁6を有し、そして第1の端壁6に対向する第2の端壁を含んでもよいが、その第2の端壁は要求されない。管状側壁8は、第1の端壁6と第2の端壁との間に延びるか、あるいは第2の端壁が使用されない場合には第1の端壁6に対向する端にて開かれたままにされる。容器4は、好ましくは高さ5.8cmで直径6.35cmであり、また、好ましくは2.54cm3〜3,540cm3の範囲、より好ましくは65.6cm3〜1312cm3の範囲、最も好ましくは114.8cm3〜229.6cm3の範囲の容積を有する。第1の端壁6は、滅菌剤の進入用に、0.0254cm2〜7.62cm2の面積を有する少なくとも1つの穴10を有する。代わりに、このデバイスは、各穴の累積面積が0.019cm2〜20.25cm2、好ましくは0.237cm2〜5.06cm2であるならば、より多くの数の穴10を含んでもよい。
容器4は、滅菌サイクルの間、容器4を介する滅菌剤の流れを妨げる、制限された通路を形成することによって、滅菌剤の浸透を攻撃する多孔質充填材料12で少なくとも部分的に満たされている。典型的に、充填材料12は、容器4に予め充填される。他の実施例においては、充填材料12は、使用前に容器4内に置かれ、容器4の内部表面と攻撃媒体12の表面との間の摩擦力によってそこに保持される。攻撃媒体として使用される、いくつかの適当な繊維状材料の説明が、“Disposable Test Packs for Steam or Gas Sterilizers”と命名され、1990年9月21日に出願された、Hartらによる、共同譲渡された欧州特許出願第90310367.9号に開示されている。好適な繊維状充填材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、又はエチレン、ポリプロピレン、及び/又はブチレンの共重合体、のようなポリオレフィン繊維から形成される。一つの好適な繊維状充填材料は、ポリプロピレン吹き込み成形マイクロファイバー圧縮物(compressed polypropylene blown microfiber)からなる。他の適当な充填材料は、ポリウレタン又は共重合体を含む、繊維状材料に類似した重合体でできた連続気泡型多孔質発泡材料(open cell porous foam material)を含む。
戻って図2を参照すると、外部ハウジング22は、内部ハウジング20に容器4をシール(密閉)可能(sealably)に搭載する手段を支持する。内部ハウジング20は、外部ハウジング22内に位置づけられる。クランプ24は、外部ハウジング22に接続され、容器4の、図3に示されるような、第1の壁6と係合して、容器4上に下方向の圧力を印加するように適合せしめられており、そのため、第1の壁6に対向する側壁8の端がシール26に埋め込まれる。例えば、第1の壁6の周囲に沿って均一な圧力をクランプ24が提供するのを保証するために、蓋33が含まれてもよい。蓋33が使用される場合には、蓋33は、少なくとも1つの穴、好ましくは複数の穴を含むことなどによって、滅菌剤が容器4の穴10に自由に到達するのを可能にしなければならない。シール26は、シリコンゴムのような少なくとも40ショアの硬度と150℃を超える温度定格とを有するシール材料でできた円状のOリングであることが好ましい。クランプ24は、容器4の迅速な搭載のためのアーム28及びラッチ30を含むことが好ましいが、内部ハウジングに容器4を密閉可能にかつ開放可能に搭載する任意の手段が使用可能である。例えば、図3Aを参照すると、容器4’は、ネジ山(thread)部7を含むか、又は銃剣器具(bayonet fitting)を含み、図4Aに示されるような内部ハウジング20’上に密閉可能にそれが固着するようにすることができる。図4Aにおいては、内部ハウジング20’は、容器4’のネジ山部分7を受容するように延びる。充填材料12の高さは、容器4’の長さよりもわずかに大きいため、容器4’が取り付けられるとき、わずかな圧縮力が充填材料12に加わり、それによって、内部ハウジング20’とのシールが形成される。戻って図2を参照すると、内部ハウジング20は、除去可能な下部壁19を含み、この下部壁19は、バッテリを交換し又はテストパックを再較正するときに除去されることができる。内部ハウジング20が除去可能な下部壁19を含むような実施例においては、外部ハウジング22は、内部ハウジング20がシールされるように、下部壁19を固定する。外部ハウジング22は、構造的に堅固な材料で構成されているため、応力を加えられたとき、その元の球状へと復帰する。例えば、あらゆる型の金属が、150℃より高い軟化温度を有する、ガラスファイバー又はカーボンファイバー強化プラスチックと同様に、外部ハウジング22のために使用可能である。図1に示される実施例においては、外部ハウジング22は、さらに、クランプ24のための基部を提供する。
図4Bを参照すると、本発明の電子テストパックの第2の実施例が示されている。内部ハウジング20は、充填材料12を収容するためにも延びる。充填材料12、例えばポリウレタン連続気泡材のプラグ(詰め物)(plug)は、攻撃媒体を提供し、内部ハウジング20内に置かれる。再利用可能か又は廃棄処理可能かのいずれかである発泡プラグ12は、その形状を円柱状又は図4Bに示されるように円錐状にすることができる。円柱状プラグの場合には、そのプラグの直径は、キャップ38の直径と内部ハウジング20の直径との間で変化させることができる。円錐状プラグの場合には、キャップ38に接触するプラグの端の直径は、キャップ38の直径よりも小さくなることはない。プラグの他の端の直径は、キャップ38に接する端の直径より大きく、内部ハウジングの直径より小さく、好ましくは2〜15cmの範囲にある。プラグ12の高さは、好ましくは、3〜30cmの範囲にある。蓋33は、滅菌材の進入用に、少なくとも1つの穴、好ましくは複数の穴37を含む。蓋33は、さらに、ネジ山部分31又は銃剣器具のような、適当な付属及びシール手段を含む。蓋33は、下方もたれ部分35を含むなどして、プラグ12上に下方向の力を印加し、発泡プラグ12を放射状に拡張させ、もって内部ハウジング20の内部壁に対するシールを形成する。その代わりに、充填材料12は、使用前に内部ハウジング20内に置かれ、内部ハウジング20の内部表面と充填材料12の表面との間の摩擦力によってそこに保持される。かかる実施例においては、蓋33は必要でない。
図4Cを参照すると、本発明の第3実施例が示されている。この実施例においては、キャップ38は、内部ハウジング20から突出し、内部ハウジング20から所定距離のところの温度を温度センサ34が測定することができるようにしている。攻撃媒体12’、例えば、連続気泡ポリウレタン材のプラグは、キャップ38を越えて配置される。攻撃媒体12’は、廃棄処理可能なものでも再利用可能なものでもよく、好ましくは球状又は立方体であるが、任意の適当な3次元幾何学的形状が使用可能である。球状プラグの場合には、その直径は、2〜15cmの範囲にある。立方体プラグの場合には、各側面は、2〜15cmの範囲にある。ボア41は、攻撃媒体12’がキャップ38を越えて配置されるときに堅固なシールが形成されるように、キャップ38の直径より約15%ほど小さい直径を有する。さらに、内部ハウジング20と接触する攻撃媒体12’の部分は、圧力感知性粘着物を含むことによってさらにシールされることができるであろう。球状攻撃媒体12’のボア41は、温度センサ34が攻撃媒体12’の幾何学的中心にて温度を測定するような長さを有している。
戻って図2を参照すると、内部ハウジング20は、広範囲の温度にさらされるときに曲がったり寸法が変化したりしないように、形状が円柱状であり、広い温度安定性を有する透明で堅固な材料から構成されることが好ましい。内部ハウジング20用の好適な材料は、Ultrason E,ポリスルホンプラスチックである。内部ハウジングは、ほぼ高さが4cmで直径が5cmである。内部ハウジング20内に収容される内容物は、内部ハウジング20内の真空によって、滅菌室内の極度の熱から保護されることができる。内部の真空は、内部ハウジング20の内部壁から内部ハウジング20内に収容された成分へと空気が熱を伝導するのを防止する。一実施例においては、内部ハウジング20は、組み立てられるときに空にされる。次いで、内部ハウジング20は、内部ハウジング20内の圧力を0.2バール絶対圧力以下に好ましくは保持するように、シールされる。他の実施例においては、内部ハウジング20は、一方向バルブ32を含む。バルブ32が開くのは、外部から内部ハウジング20への圧力が、バルブ32のバネ張力とバルブ32の外側の空気圧力とによって決定される所定の値以下に落ちたときである。テストパック2が一方向バルブ32を含む場合には、内部ハウジング20が組み立てられるときに真空を確保する必要はない。組み立て時に真空が確保されない場合には、テストパック2が内部に置かれた滅菌室内に真空が確保されるときに、バルブ32が開き、真空がさらに内部ハウジング20内に確保されることが可能となる。真空が組み立て時に確保されなかった場合には、滅菌室内の圧力が内部ハウジング20内の圧力以下に落ちたときに、バルブ32が開いて、より深い真空が確保されることが可能となる。
内部ハウジング20は、電子テストパック2の電子装置及びセンサを収容する。温度センサ34及び36は、数多くの温度変換器のうちのいずれでもよく、例えば熱電対又はサーミスタである。温度センサ34及び36は、キャップ38及び40などによって、外部環境から保護されることができる。キャップ38は、ステンレス鋼やアルミニウムのような、適当な熱伝導性材料で構成されることができる。キャップ38及び40は、さらに、内部ハウジング20内のセンサ34及び36を促進する。温度センサ34は、滅菌剤が充填材料を介して浸透しそのセンサの場所に到達するような攻撃経路の端の一つの場所における温度を測定するように位置づけられる。図2において、滅菌剤は、温度センサ34に到達するために、容器4内の充填材料に浸透しなければならないであろう。他方、温度センサ40は、外部の温度を測定する。かくして、電子テストパック2が滅菌室に置かれるときには、温度センサ40は、その室の温度を測定する。
回路板42は、その板上に搭載された電子装置に外部の熱が伝導するのを防ぐために、内部ハウジング20の壁から熱的に絶縁されている。表面搭載チップ46、バッテリ44、温度センサ34及び36、光放出(発光)ダイオード52、並びに圧力センサ48は、全て、回路板42に電気的に接続されることができる。図5を参照すると、電子テストパック2の好適な回路の回路図が示されている。温度センサ34及び36は、テストパック内の温度と滅菌室内の温度とをそれぞれ測定する。温度センサ62は、回路板42の温度が回路部品の動作温度を超えているかどうかを判定するために、回路板42の温度を測定する。マイクロプロセッサ60は、センサ62にて感知される温度が動作温度を超えていると判定すると、回路を遮断する。温度センサ62は、回路部品を保護するための安全測定具である。回路部品は、特に次のMIL規格の場合は、125℃のような所定の最小値までの周囲温度にて安全に動作するよう決められている。それらの回路部品は、通常、作動温度よりも高い保存温度を有しており、例えば保存温度としては150℃である。かくして、回路部品が周囲温度125℃に定められていれば、マイクロプロセッサ60は、センサ62が125℃を超える温度を感知したときに回路を遮断し、もって150℃の温度までに回路部品を保護する。回路板42は、さらに、相対湿度センサ、電気伝導率センサ、又は圧力センサのような他のセンサを含むことができる。図2及び図5を参照すると、圧力センサ48は、回路板42に電気的に接続されている。内部ハウジング20は、圧力センサ48によって滅菌室圧力が感知されるのを可能とするための穴50を含む。穴50及び圧力センサ48の測定表面は、ハウジング20内の環境から絶縁されている。回路板42は、また、それ自身のバッテリ44、磁気的に駆動される(磁気被駆動)双安定スイッチ74及び誘導コイル76を含むON/OFFスイッチ、並びにスイッチング電源78を含むことができる。
温度センサ34及び36が温度を測定すると、その温度読み取り値はメモリ64に格納される。好適な実施例においては、メモリ64は、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)である。温度がメモリ64に格納されると、水晶制御周波数ベース66がマイクロプロセッサ用タイミングベースを提供する。マイクロプロセッサ60は、水晶66からのパルスを温度データに対応する時間データに変換する。時間データもまた、メモリ64に格納される。一実施例においては、マイクロプロセッサ60は、ひとたび滅菌サイクルが完了したと判定すると、次いで、滅菌サイクルが満足なものかどうか、換言すれば、滅菌剤が容器4の中の充填材料に浸透したかどうか、を判定する。滅菌サイクルが満足なものであったとマイクロプロセッサ60が判定すると、光放出ダイオード(LED)68が光を放出する。完全自給型電子テストパックにおいては、当該サイクルがパスしたかどうかを指示するのに一つのLEDのみ必要となる。単一のLEDを用いた場合には、そのLEDは、パスサイクルを指示すべく連続的に点灯することができ、またフェイルサイクルを指示すべくフラッシュすることができる。自給型テストパックの一実施例においては、パスサイクル及びフェイルサイクルを指示するために2つのLEDが含まれる。滅菌サイクルがパスした場合には、LED68が緑の光を放出する。滅菌サイクルがフェイルしたとマイクロプロセッサ60が判定した場合には、LED70が赤い光を放出する。他の実施例においては、LED68が連続した緑の光を放出する一方、LED70がフラッシュする赤い光を放出する。自給型電子テストパックのまた別の実施例においては、複数のLEDが含まれ、パスサイクル又はフェイルサイクルを指示するとともに、フェイルサイクルの場合には、フェイルのレベルの大きさをも表示する。滅菌サイクルがパスすると、LED68が連続した緑の光を放出する。マイクロプロセッサ60は、滅菌サイクルがフェイルしたと判定すると、フェイルのレベルを判定し、適当な数のLEDがフラッシュする赤い光を放出するように誘発する。
しかしながら、いくつかの状況においては、メモリ64に格納されたデータを外部のプロセッサ又はメモリに転送することが望ましい。データ転送は、磁気被駆動スイッチ80、好ましくはリードスイッチ(Reed switch)、及びON/OFFスイッチ74を駆動することによって始動せしめられることができる。次いで、LED72を使用して光学的にデータが転送される。ここで、図6及び図7を参照して、電子テストパックの電力をターンオンしデータ転送をする好適なデバイスについて説明する。電子テストパック2は極端な環境条件に置かれるため、内部ハウジング20内に電力及びデータのスイッチを完全に持つことが好ましく、さらには外部温度から熱的に絶縁されたスイッチを持つことがより好ましい。また、テストパックが使用されていないときには電力スイッチが自動的にターンオフすることが望ましい。それ故、本発明の好適な実施例においては、電子テストパックの電力をターンオンしデータ転送を始動せしめるために近接スイッチング(proximity switching)が使用される。データ転送及び電力スイッチングスタンド100は、好ましくは、外部下部壁102、上部壁部分104、及びそれらの間に延びる外部側壁106を含む。スタンド100は、さらに、内部下部壁108、及び上部壁部分104と内部下部壁108との間に延びる内部側壁110を含む。スタンド100は、プラスチック又はアルミニウムのような非磁性材料で構成されることができる。内部下部壁108及び内部側壁110は、電子テストパック2が所定の方向でスタンド100内に置かれることを可能とするように構成されている。その所定の方向は、データ転送を始動するために使用されるデータ転送スイッチ80、ON/OFFスイッチ74、及びデータ送信LED72の場所に基づく。データ転送スイッチ80及びON/OFFスイッチ74は、好ましくは、回路板42の対向する端と端とに搭載される。スタンド104は、データ転送スイッチ80及びON/OFFスイッチ74がデータ転送磁石112及び電力磁石114をそれぞれ通過するように、電子テストパック2を受容すべく適合せしめられている。例えば、図6Aを参照すると、スタンド100は、上部壁部分104と内部下部壁108(図示せず)との間に延びる長手ノッチ101を含む。テストパック2の外部ハウジング22は、ノッチ101と摺動可能に係合するようなサイズにされた長手リッジ(ridge)103を含む。リッジ103は外部ハウジング22から突出するため、テストパック2がスタンド100内に置かれうる唯一の方向付けは、リッジ103をノッチ101と整列せしめることによるため、各磁石及び各スイッチは、それに応じて置かれることとなる。データ転送磁石112及び電力磁石114は、スタンド100内に位置づけられた永久磁石であってもよいし、例えばスタンド100上のボタン101を押すことによる、データ転送又は電力ターンオンの選択的始動のためのユーザ付勢の誘導コイルであってもよい。各磁石は、テストパック内の対応スイッチを駆動するのに充分なほど強いが、他のスイッチを駆動するほど強くはない磁界を放射しなければならない。例えば、電力磁石114からの磁界は、テストパック2がスタンド100に置かれるときにON/OFFスイッチ74はその磁界を通過するがデータ転送スイッチ80は通過しないような程度に強くなければならない。一実施例においては、1400ガウスの磁界の強さが使用される。そのような実施例においては、各スイッチから各磁石への距離は、好ましくは20〜30mmである。駆動部品112及び114並びに感知部品74及び80の数多くの組み合わせが、磁気アクチュエータ及びリードスイッチのところに使用されうる。近接スイッチング構成のいくつかの例は、磁気アクチュエータ及びホール効果デバイス、磁気アクチュエータ及び磁気抵抗デバイス、光放出ダイオード(LED)光源及び光学的スイッチ、磁気駆動変圧器、静電容量結合、並びに電気力学的容量結合(electrodynamic capacitive coupling)、を使用することを含む。
好適な実施例においては、電子テストパックは、格納データを、メモリデバイス、コンピュータ、又はプリンタなどの外部のハードウェアに転送することができる。データ転送スイッチ80は、磁気的に駆動されるスイッチングデバイスであって、スイッチ80が所定の強さの磁界に近接していないときには安定したオープン状態となり、スイッチ80が所定の強さの磁界に近接しているときにはクローズ状態となるものである。好ましくは、スイッチ80をクローズに保持するのに必要な磁界は、最小値10ガウスでなければならない。ON/OFFスイッチ74が駆動され、データ転送スイッチ80が所定時間内、例えば10秒内、クローズされているときには、データ転送スイッチ80は、メモリ64内に格納された全データを外部のハードウェアに転送するデータ転送を始動するようにマイクロプロセッサ60に対し信号を送る。好適な実施例においては、回路板42上に搭載された赤外線光放出ダイオード(IRLED)72及びスタンド100内に置かれた赤外線センサ120を使用してデータ転送が達成される。赤外線のダイオード及びセンサが好ましく、その理由は、周囲の可視光がデータ転送に影響を及ぼさないからである。データ伝送に使用されるLED及びセンサの例は、ミネアポリス、MNのハネウェル社によって製造されるSE2470−2及びSDP8602−3である。スタンド104は、IRLED72から放出される光がセンサ120によって感知されうるように、内部側壁110に開口を含む。IRLED72は、赤外線光パルスを使用し、好ましくはRS−232データフォーマットで、バイナリストリームのデータを転送する。スタンド100は、さらに、外部デバイスと接続するためのインタフェース178を含む。
図8を参照すると、電子テストパックからデータを受信し処理する好適な回路に関するブロック図が示されている。赤外線センサ170はIRLED72からの光パルスを受信し、マイクロプロセッサ172はそのデータをランダムアクセスメモリ(RAM)174に格納する。滅菌サイクルの有効性の評価が電子テストパック内の回路板上のマイクロプロセッサによって実行されなかった場合には、マイクロプロセッサ172がその評価を実行することができる。スタンド100は、さらに、滅菌サイクルがパスしたかフェイルしたかを指示するために、LED、LEDバー180、又はいくつかの他の適当なディスプレイを含むことができる。スタンド100は、また、より精巧な評価のためのパーソナルコンピュータへ、データを格納するためのメモリデバイスへ、又はデータ及び評価の結果をプリントアウトするためのプリンタへのインタフェース178を含むことができる。
ON/OFFスイッチ74は、双安定性リードスイッチのような双安定性磁気被駆動スイッチングデバイスである。ON/OFFスイッチ74は、テストパック2が所定の方向でスタンド100に挿入され又はそれから取り出されるとき、OFF位置からON位置へと切り替えられ、そして、スイッチ74は、電力磁石114の磁界を通過する。スイッチ74は、反対極性の磁界がスイッチ74の近くに置かれ、それによって第2の安定状態、OFF位置に切り替えられるまで、安定したON位置に留まる。好適な実施例においては、スイッチ74に近接して回路板42上に誘導コイル76が搭載され、より好ましくは、コイル76の中央にスイッチ74が搭載される。誘導コイル76は、反対極性で充分な強さの磁界を発生させ、ON/OFFスイッチ74をOFF位置へと切り替える。スイッチ74がON位置にあるときには、マイクロプロセッサ60は、いつコイル76を付勢するかを決定し、それによって電子テストパック2の電力をターンオフする。
図9を参照すると、誘導コイル76をいつ付勢すべきかを決定し、もってテストパックをターンオフするための好適なフローチャートが示されている。ひとたび電力スイッチ74がターンオンされると、マイクロプロセッサ60は、3つの可能な条件のぅちのいずれかが満足されるならばブロック142で誘導コイル76を付勢する。電子テストパックの電力をターンオフする第1の条件は、ブロック124に示されるように、データ転送が完了しているかどうかである。一実施例においては、電子テストパックは、格納データを外部のハードウェアに転送することができる。ひとたびパワーがオンにされると、データスイッチがクローズされているならば、データ転送が始動せしめられる。テストパック2がデータ転送のためスタンド140内に置かれるときには、マイクロプロセッサ60は、メモリ64をリードし、LED72を介してデータを転送する。データ転送が完了すると、マイクロプロセッサは、コイル76を付勢する。データスイッチがクローズされていないならば、電子テストパックはデータ収集モードにある。電子テストパックの電力をターンオフする第2の条件は、電子テストパックが滅菌室に置かれておらず、データ収集が必要でないと、マイクロプロセッサ60が判定するかどうかである。この判定をするために、数多くのパラメータのいくつかが測定されうる。一実施例においては、マイクロプロセッサ60は、所定時間後の室の圧力及び温度の測定値を評価する。次いで、マイクロプロセッサは、滅菌サイクルが始まった後の室の圧力及び温度とそれらの測定値が一致するかどうかを判定する。ブロック126、128、及び130において、マイクロプロセッサ60は、テストパックがターンオンされてから3分後、室温度が50℃より小さいかどうか、又は室圧力が0.5バールより低いかどうかを判定する。いずれかの条件が満足されるならば、マイクロプロセッサ60は、コイル76を付勢し、もってテストパックをターンオフする。他の実施例においては、マイクロプロセッサ60は、データ収集の開始から3分間後に温度及び圧力のデータを検査し、それを最初の読み取り値と比較する。データ収集の開始から3分間後の温度及び圧力のデータが最初の読み取り値から±10%より小さな差であれば、マイクロプロセッサ60はコイル76を付勢する。テストパックをターンオフする第3の条件は、滅菌サイクルの完了である。ブロック132において、マイクロプロセッサ60は、電子テストパックが滅菌室内に置かれておりデータ収集が始まるべきであることを判定している。収集されたデータは、ブロック138において記憶される。データを収集している間、マイクロプロセッサ60は、また、室温度を追跡する。ブロック134において室温度が100℃を超えるとき、マイクロプロセッサ60は、テストパックが滅菌サイクルにさらされていると判定し、ブロック136にて温度フラグをセットする。ひとたび100℃のしきい値温度に達すると、マイクロプロセッサ60は、室温度を追跡し、滅菌サイクルが完了したかどうかを判定する。室温度がブロック140において50℃のような第2のしきい値温度に下がるときには、マイクロプロセッサ60は、ブロック142において誘導コイル76を付勢する。誘導コイル76は、スイッチ74をオープンする磁気パルスを放出し、それによってスイッチ74をOFF位置に変える。マイクロプロセッサ60は、また、メモリ64がいっぱいならば、コイル76を付勢する。
図9Aを参照すると、滅菌サイクルが完了した後にテストパックをターンオフする、他のソフトウェアプログラムのブロック図が示されている。ブロック150においてカウンタが初期化される。ブロック152及び154においては、外部温度センサから滅菌室温度TEXTが検出され、所定の温度、例えば120℃と比較される。TEXTがその所定の温度より上昇しているときには、テストパックは、滅菌サイクルが始まっていると判定する。TEXTが120℃を超えたままである限り、ブロック156にてカウンタが1秒単位でインクリメントされる。いくつかの滅菌サイクルは、20秒間、蒸気が噴射され、それに続いて40秒間、室の評価がなされるという1分間タイマとして利用する。そのようなサイクルにおいては、最初の空気除去パルス後に温度が120℃以下に落ちる可能性がある。そのタイマは、しばしば、15パルスまでで一周する。それ故、ブロック160において、テストパックは、サイクルが滅菌保持期間にあることを示す1分間以上の間、温度が120℃を超えていたかどうかを判定する。温度が1分間未満の間、120℃を超えていたのであれば、プログラムはブロック152にリターンする。かくして、室の評価がサイクルに続くならば、その分内に120℃以下に落ちる可能性があり、ブロック154は、カウンタを0にリセットする。しかしながら、カウンタが1分間を超えているならば、テストパックは、サイクルがパルス段階を過ぎていると判定し、そしてカウンタが3分間を超えかつ外部温度が50℃より低いかどうかを判定する。そうでなければ、テストパックは、外部温度を検出し続ける。ひとたび温度が1分間を超える間、120℃を超え、かつ、温度が上昇して120℃を超えてから3分間後、50℃未満に落ちたならば、テストパックは、滅菌サイクルが完了したと判定し、コイルを付勢する。さらに、コイルが付勢されるべきかどうかを決定するために、他のタイプの条件、例えばメモリがいっぱいかどうか、が分析されてもよい。典型的なソフトウェアプログラムを開示したが、当業者は、誘導コイルを付勢する上述の条件の一つを認識するために数多くのソフトウェアプログラムのいずれもが利用可能であることを直ちに認識するであろう。
図10A及び図10Bは、テストパック内の温度及び滅菌室基準ポイントにおける温度を感知するとき、充分な滅菌剤浸透が達成されたかどうかを判定するために使用されるソフトウェアプログラムのフローチャートである。フローチャートの説明のため、ほぼ3分間の滅菌期間を使用する。空気ポケットが存在するならば、滅菌剤は充填材料の中を急速には浸透しない。これは、攻撃装填物内、すなわち充填材料の端に置かれたセンサと室基準センサとの間の温度差を引き起こす。システムは、2つのポイント間の温度差が滅菌サイクル内の所定のポイントにおいて所定の最大差を超えたかどうかを判定する。図11Aは、プログラムにおいて利用されるクリティカルポイント間の関係を示す。ブロック200及び202においては、滅菌サイクルの間、テストパック内の温度センサと室基準ポイントにおける温度センサとからデータポイントが記録される。また、温度測定値に対応する時間データが記録される。テストパックは、サイクルの終わりにおいて室内の温度が減少するという事実に基づき滅菌サイクルの終わりを見いだす。滅菌室温度が上昇して第1の所定温度を超えた後に、テストパックは、滅菌サイクルが起こっていることを書き留めるフラグをセットする。ひとたびフラグがセットされ、滅菌室温度が第2の所定温度未満に落ちると、テストパックは、滅菌サイクルが終わったことを認識し、温度及び時間のデータを記録するのをストップする。
滅菌サイクルが完了した後、ブロック206及び208において滅菌段階の終わりに対応する外部温度曲線上にて基準ポイントが見いだされる。この基準ポイントは、全てのサイクルにわたって共通であり、滅菌室温度の急速な減少によって特徴づけられる。基準ポイントを見いだすプロセスは、メモリに格納された外部温度データを走査することを伴い、これは格納データ中を逆方向に実行される。システムは、外部温度曲線の最後のデータポイントからスタートし、それを、予めプログラムされ、メモリに格納されている滅菌基準温度TSと比較する。典型的な滅菌サイクルにおいては、滅菌室内の温度は、滅菌温度、たいていの場合ほぼ134℃、に達するまで上昇し続ける。ひとたび滅菌温度に達すると、所定時間の間保持され、そのとき、滅菌室への蒸気供給がターンオフされ、滅菌室内の温度が落ちる。かくして、滅菌基準温度は、特定の滅菌サイクルにて使用される滅菌保持温度を表示する値である。他の実施例においては、滅菌基準温度TSを予めプログラムするよりむしろ、テストパックのマイクロプロセッサが、滅菌サイクル中になされた測定値に基づきTSを決定して変数TSを有し、使用される滅菌器制御システムがいかなる温度でサイクルをスタートすべきかを判定することができるようにする。基準ポイントを見いだすために、システムは、滅菌温度保持期間から最後のデータポイントを見いだす。外部温度曲線からの最後のデータポイントからスタートし、各データポイントが滅菌基準温度と比較される。データポイントが滅菌基準温度よりも小さければ、システムは、データポイントが滅菌基準温度以上になるまで、前のデータポイントを即座に比較する。滅菌基準温度以上の最初のデータポイントは、基準ポイントとして指定され、その基準ポイントに対応する時間が、ブロック210において基準時間trとして保管される。図11Aにおいて、基準ポイント250は、滅菌段階の終わりを示し、滅菌基準温度に近いであろう。このデータポイントは、基準ポイントとなるようにセットされる。
ひとたび基準ポイントが確立されると、システムは、内部温度、すなわち攻撃装填物内の所定ポイントにおける温度と、外部温度、すなわち滅菌室基準ポイントにおける温度と、の差を解析し、満足な蒸気浸透が起こったことを指示するクリティカル値を捜し求める。ブロック212において、時間的に対応する内部温度と外部温度との双方をメモリから検索する。その対応する内部温度と外部温度とは、基準時間からスタートする逆時間順序で検索される。ブロック214において、温度差TDが、内部温度と外部温度との各セットごとに次式に従って決定される。
D=TEXT−TINT
各温度差TDは、予めプログラムされた温度差とブロック216において比較され、滅菌室温度TEXTは、滅菌温度TSと比較される。その予めプログラムされた温度差は、不満足な滅菌サイクルとみなされるであろう滅菌室温度に関してのテストパック内の温度差の値である。この予めプログラムされた温度差は、認定された国際的な、欧州の、又は国内の標準に応じた、標準Bowie-Dick織物テストパックの性能と、本電子テストパックの性能とが比較される妥当性実験によって決定される。例えば、一実施例においては、滅菌室基準温度が134℃の滅菌保持温度に達した後の2分40秒の期間において温度低下が2℃よりも大きければ、サイクルは不満足なものであるとみなされる。さらに、滅菌室温度は、滅菌が起こるのに充分な滅菌温度を超えたままでなければならない。
ひとたび温度差が予めプログラムされた温度差よりも大きくなるか、又は滅菌室温度が滅菌基準温度未満に落ちると、その発生の時間がブロック218においてクリティカル時間tcとして指定される。これらの条件のうちの一つが発生した時間がブロック220において基準時間から減じられ、次のようにテスト期間ttestを決定する。
test=tr−tc
このテスト期間ttestは、テストパック内の温度が予めプログラムされた温度差内に留まっていた時間を表す。ブロック222においては、滅菌器が処理するように設計されている、最も密に充填された装填物内の全ての表面が、温度及び時間の充分な組み合わせの間、滅菌剤にさらされるのを保証するとして知られている時間を表す、予めプログラムされた滅菌期間tpと、テスト期間ttestとが比較される。上記の例においては、tpは2分40秒となる。テスト期間ttestが予めプログラムされた滅菌期間tp以上であれば、サイクルはパスする。これは、テスト中、滅菌剤が攻撃パック中に急速に浸透したことを示し、存在する残留空気のレベルが、正常に処理された装填物アイテムが時間及び温度の充分な組み合わせで滅菌剤にさらされるのを防止するには不充分であったことを示している。テスト期間ttestが所定の滅菌期間tpよりも小さければ、サイクルはフェイルする。これは、充分に大きな空気ポケットが攻撃パックに存在し急速な滅菌剤浸透を妨げたことを示す。
図11A及び図11Bを参照すると、パスサイクルおよびフェイルサイクルの例がそれぞれ示されている。パスサイクルにおいては、テスト期間ttestは、滅菌サイクルが充分なものと見なされるための期間tpよりも大きくなければならない。図11Aにおいて、基準ポイント250は、最後のデータポイントから始まって、逆時間順序に進み、134℃の滅菌基準温度TSに等しい、第1の外部温度データポイントを見いだすことによって、確立される。ひとたび基準ポイント250が確立されると、trは、基準ポイント250に対応する時間データ18分にセットされる。図11Aにおける滅菌サイクルは、2℃の予めプログラムされた温度差を有する。かくして、内部温度と外部温度との差が2℃より大きくなる第1のポイント、クリティカルポイント252が決定され、15分というクリティカル時間tcが記録される。テスト期間ttestは、ほぼ3分であり、2分40秒という予めプログラムされた期間tpより長く、サイクルはパスする。図11Bにおいては、基準ポイント260が確立され、trが18分にセットされる。クリティカルポイント262と関連するクリティカル時間tcが記録される。テスト期間ttestは、基準時間trとクリティカル時間tcとの間の差すなわち1分30秒である。このテスト期間は、予めプログラムされた期間よりも小さく、かくしてサイクルはフェイルする。
上述した本発明の実施例においては、滅菌サイクルがパスするかどうかを判定するために2つの温度測定値が使用される。攻撃装填物内に置かれた感知ポイントへの熱の浸透についての直接的な情報を外部温度と内部温度との温度差の検出が提供するが、それは、感知ポイントへの湿気の浸透を直接的には反映していない。推論によって、攻撃装填物内の感知ポイントと滅菌室との間の急速な平衡は、絶縁空気ポケットがないことを指示する。しかしながら、攻撃装填物内の感知ポイントへの湿気の浸透を直接的に測定することが可能である。本発明の他の実施例においては、電気伝導度センサのような湿気センサが、温度センサとともに使用され、攻撃装填物内の感知ポイントへの充分な湿気の浸透、従って推論によって蒸気を測定することが可能となる。この実施例においては、攻撃装填物内の感知ポイント、すなわち充填材料によって攻撃される所定の場所、における温度を測定する温度センサの代わりに電気伝導度センサが使用される。典型的に、電気伝導度センサは、周知の表面積と周知の距離とを有する2つの不活性プレートからなる。電位差がそれらのプレートに印加される。プレート間の電流のコンダクタンスは、プレート間の媒体の電気伝導度に依存する。媒体が湿った水蒸気であれば、電気伝導度は、低電気伝導度を有する空気に比較して比較的高くなる。かくして、電子テストパックは、テストパックの中央における電気伝導度のレベルによって充分な蒸気浸透が起こったかどうかを判定することができる。滅菌室温度を測定する温度センサは、同一のままである。
図10A及び図12を参照すると、電気伝導度がテストパックによって感知されるとき滅菌サイクルがパスするかどうかを判定するために使用されるソフトウェアプログラムのフローチャートが示されている。図10Aは、温度データの対を収集するのではなく、電気伝導度データ及び外部温度データがブロック200において収集されることを除いて、2つの温度センサが使用されるときのソフトウェアプログラムと類似している。同様に、電気伝導度及び温度の測定値に対応する時間データが記録される。ブロック206、208、及び210においては、先に述べたように、外部温度を解析することによって基準ポイントが確立される。
ひとたび基準ポイントが確立されると、システムは、電気伝導度データs及びそれに対応する時間データを、ブロック250及び252において基準時間からスタートして逆時間順序で検索する。ブロック254においては、電気伝導度データが予めプログラムされた電気伝導度値と比較され、滅菌室温度が滅菌基準温度と比較される。予めプログラムされた電気伝導度値は、満足なものとみなされる滅菌サイクルと関連する電気伝導度の値である。ひとたび電気伝導度値が予めプログラムされた値よりも小さいか、又は滅菌室温度が基準温度未満に落ちると、その発生の時間がブロック256においてクリティカル時間tcとして指定される。クリティカル電気伝導度値が達成された時間がブロック258において基準時間から減じられ、次式のテスト期間ttestが決定される。
test=tr−tc
このテスト期間ttestは、その期間、充分な蒸気浸透が存在したことを示す、予めプログラムされた値を超えて電気伝導度が留まった時間を表す。ブロック260において、そのテスト期間は、滅菌器が処理するように設計されている最も密に充填された装填物内の全ての表面が温度及び時間の充分な組み合わせで蒸気にさらされるであろうことを保証する時間を表す、予めプログラムされた滅菌期間tpであって、妥当性試験を通して決定されたものと、比較される。ttestがtpよりも小さければ、それは、充分に大きな空気ポケットが装填物内に存在して滅菌剤浸透を妨げたことを指示し、それによって滅菌サイクルのフェイルを示す。ttestがtp以上であれば、サイクルはパスする。
本発明の更に他の実施例においては、パック内への湿気の浸透を測定するために、電気伝導度センサの代わりに相対湿度センサを使用することができるであろう。絶対湿度は、特定の体積の空気に存在する水蒸気の質量である。相対湿度は、空気のサンプルに存在する水蒸気の質量を、そのサンプルが所定の温度及び圧力において水分子で飽和しているとしたときに存在するであろう質量と比較したときの比である。空気のサンプルの相対湿度を測定するために利用可能な技術においては、数多くのよく知られた方法及び装置がある。一つのよく知られた器具は、水蒸気の各種レベルに応じてその電気容量が変化するセンサを使用する。その器具の一形式においては、その容量センサは、アルミニウム及び銅の電極からなる。そのアルミニウムの表面は、水分子を吸収することができる多孔質表面を生成するように制御により酸化せしめられる。その酸化物層は、存在する水分子の数に応じてその特性が変化する誘電性媒体として作用する。その酸化物層に吸収された水分子の数は、次いで、周囲の媒体の湿度に応じて変化する。非常に有効な空気除去段階を有する滅菌サイクルは、残留空気を電子テストパックの攻撃材料内に捕集されたままとしておくことはほとんど又は全くないであろう。かくして、蒸気がテストパックに入ると、容量湿度センサを高濃度の水分子にさらし、滅菌段階の開始後ただちに高い読み取り値を与える。しかしながら、空気除去段階が弱いものであれば、乾燥空気が攻撃材料内に捕集され、前進してくる蒸気からセンサを保護するであろう。その結果、水分子濃度は低くなり、センサは低い読み取り値を初期に与えるであろう。サイクルが進むと、水分子は、徐々に空気ポケット内に拡散し、センサが検出する濃度を徐々に増大させるであろう。
図10A及び図13を参照すると、容量湿度センサを有するテストパックを使用して滅菌サイクルがパスするかどうかを判定するソフトウェアプログラムのフローチャートが示されている。このフローチャートは、電気伝導度データの代わりに、相対湿度データがメモリから検索され、予めプログラムされた相対湿度値と比較されるという点を除いて、電気伝導度センサを有するテストパックに関するフローチャートと同一である。この予めプログラムされた相対湿度データは、攻撃装填物内の感知ポイントでの、飽和蒸気条件の相対湿度を表す値である。
上述したソフトウェアプログラムは、全て、Bowie-Dickタイプの判定、換言すれば、滅菌サイクルの空気除去段階が充分であったかどうかの判定をする。しかしながら、滅菌サイクルの滅菌段階が充分であったかどうかを更に判定することが可能である。この判定をするためには、時間及び温度ばかりでなく、滅菌室又はテストパック内の蒸気品質をも測定することが必要である。図14を参照すると、蒸気状態図が示されている。理想的な条件においては、装填物を滅菌するとき、滅菌室内に飽和蒸気が注入される。飽和蒸気に関しては、特定の圧力−温度関係が存在する。図14において、ライン300に当たる圧力−温度組み合わせは、蒸気が飽和していることを示す。しかしながら、充分な滅菌温度に対し、圧力が高すぎると、湿った蒸気が存在する。同様に、充分な滅菌圧力に対し、温度が低すぎると、湿った蒸気が存在する。他方、充分な滅菌温度に対し、圧力が低すぎると、過熱蒸気が存在する。同様に、充分な滅菌圧力に対し、温度が高すぎると、過熱蒸気が存在する。湿った又は過熱の蒸気が滅菌室に注入されるならば、滅菌を達成するために、より長い滅菌時間が必要となる。それ故、滅菌段階の妥当性が判定される実施例においては、滅菌室内の圧力測定値が必要である。さらに、空気除去段階及び滅菌段階の双方ともが監視されることができる。
図15を参照すると、滅菌器サイクルの空気除去段階及び滅菌段階の双方の有効性を判定するソフトウェアプログラムが示されている。ブロック310及び312において、温度、時間、及び圧力データが収集され、記憶される。ブロック314において、サイクルの空気除去段階の妥当性が解析される。この判定は、図10A、図10B、図11、及び図13に示されるような、上述のBowie-Dickタイプの判定のいずれでも可能である。空気除去段階が充分なものではなく、滅菌サイクル中、攻撃装填物内に充分に大きな空気ポケットが存在し、滅菌を妨げたならば、蒸気の品質は不適切なものであり、サイクルはフェイルとなる。しかしながら、空気除去段階が充分なものであったならば、滅菌段階が満足なものであったかどうかを判定するために蒸気品質が解析される。ブロック316及び318においては、滅菌室圧力並びに内部温度及び外部温度がメモリから検索される。ブロック320においては、滅菌段階中、飽和蒸気、過熱蒸気、又は湿った蒸気のいずれが使用されたのかを判定するために、圧力及び温度データが解析される。例えば、一実施例においては、蒸気状態図を表すデータがメモリに格納されうるであろう。飽和蒸気が使用されたならば、サイクルはパスする。そうでなければ、湿った蒸気又は過熱蒸気が蒸気源として提供されたかどうかを合図する警告信号が提供されうるであろう。他の実施例においては、飽和蒸気の判定後、滅菌の条件が存在するかどうかを判定するために滅菌段階の長さが検索されうるであろう。例えば、たとえ過熱蒸気が使用されたとしても、滅菌期間が充分に長かったのであれば、滅菌の条件は依然として存在しうるであろう。
(上述のように)電子テストパックの攻撃装填物内の所定ポイントで唯一の環境条件を感知する代わりに、複数の環境条件が測定されうるであろう。そのような実施例においては、ソフトウェアプログラムは、テストパックの中央と滅菌室との間での温度差及びテストパックの中央での相対湿度の双方を見ることによって、滅菌サイクルの妥当性を評価することができるであろう。

Claims (3)

  1. 滅菌室における滅菌サイクルの有効性を判定する滅菌器テストシステムであって、
    前記滅菌室内の所定の場所への滅菌剤の浸透を攻撃する滅菌剤攻撃手段と、
    前記滅菌室内の温度を測定する第1の温度変換器と、前記所定の場所での温度を測定する第2の温度変換器と、を具備する感知手段と、
    タイマと、
    該感知手段からのデータを解析するデータ処理手段と、
    を具備し、該システムは、更に、
    前記感知手段及び前記タイマからのデータを記録するデータ記録手段と、
    前記感知手段、前記タイマ及び前記データ記録手段を収容するハウジング手段と、
    を具備し、該データ処理手段は、該データ記録手段からのデータを受信するように接続され、及び、前記データを解析し、該第1の温度変換器からのデータに基づいて滅菌サイクルの完了を判定し、それに応答して、前記滅菌サイクルにおける滅菌温度保持期間を見いだし、前記第1の温度と前記第2の温度との間の温度差を計算し、前記温度差が、前記滅菌温度保持期間中の所定期間の間、所定差内にあったかどうかを判定し、それによって、該滅菌サイクル中、前記滅菌剤が前記滅菌剤攻撃手段を通り前記所定の場所に充分に浸透したか否かを判定するように構成されている滅菌器テストシステム。
  2. 前記感知手段は、さらに、前記滅菌室内の圧力を測定する、請求の範囲第1項に記載の滅菌テストシステム。
  3. 前記滅菌剤攻撃手段は、
    気体及び液体不浸透性材料でできた、垂直に延びる容器であって、側壁と前記滅菌剤の進入のための少なくとも1つの穴を有する上部壁とを有するものと、
    前記容器を前記ハウジング手段にシールするシール手段と、
    滅菌サイクルの間、前記容器を通しての前記滅菌剤の流れを妨げる、制限された通路を形成する、少なくとも部分的に前記容器を満たす多孔質充填材料と、
    を具備する、請求の範囲第1項に記載の滅菌テストシステム。
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