JP3736583B2 - 建材用シート - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、合板、鋼板、合成樹脂板等の表面に貼着して、家屋の壁、天井、或いは家具などの表装材として用いる建材用シートに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、合成樹脂、紙、織布などのシートを、合板、鋼板、合成樹脂板等の表面に貼着し、家屋の壁、天井、或いは家具などの表装材に用いる技術は慣用されている。そして、合板、鋼板、合成樹脂板等の表面に貼着するシートには、そのシートの表面に必要に応じ印刷を施して使用している。また、上記のシート類を壁紙などの化粧材に使用することも慣用されている。本発明では、この合板、鋼板、合成樹脂板等の表面に貼着するためのシート、化粧材に使用するシートを建材用シートと言う。
【0003】
ポリプロピレンは優れた物理的、化学的特性を有し、そのため建材用シートとして適すると考えられ、ポリプロピレンシートを建材用シートに使用することが試みられているが、その耐摩耗性、耐スクラッチ性、耐候性が建材用シートとしては十分とはいえない問題点がある。本発明は、耐摩耗性、耐スクラッチ性、耐候性を改良したポリプロピレンシートを基材とする建材用シートを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、建材用シートに適するポリプロピレンシートについて種々検討した結果、ポリプロピレンシートの表面にアクリル樹脂フィルムを貼着すると両者の特性が相俟って建材用シートとして優れたものになることを知見し、本発明を完成した。
【0005】
すなわち本発明は、ポリプロピレンシートの表面にアクリル樹脂フィルムを貼着し、その裏面に粒径10〜70nmのシリカ粉末を10〜70重量%配合したポリウレタン系接着用プライマー層を設けたことを特徴とする建材用シートである。また、本発明は、ポリプロピレンシートの表面にポリウレタン系プライマー層又はエポキシ系樹脂プライマー層を介してアクリル樹脂フィルムを貼着し、その裏面に粒径10〜70nmのシリカ粉末を10〜70重量%配合したポリウレタン系接着用プライマー層を設けたことを特徴とする建材用シートである。また、本発明は、上記の建材用シートのポリウレタン系プライマー層又はエポキシ系樹脂プライマー層とアクリル樹脂フィルムとの間に、印刷インキ層及び/又はアクリル系樹脂プライマー層を設けた建材用シートである。更に本発明は上記した各建材用シートのアクリル樹脂フィルムの表面にアクリル系樹脂プライマーを用いて塗膜層を設けた建材用シートである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明で用いるポリプロピレンは、特に限定されるものではなく、例えばポリプロピレンのホモ重合体、ポリプロピレンとポリエチレンとのランダム又はブロック共重合体、ポリプロピレンとEPDMとの混合物、ポリプロピレンとエチレン−プロピレンラバー共重合体との混合物、リアクターTPOなどの重合体である。またポリプロピレンのホモ重合体としてはアイソタクチック構造のもの、シンジオタクチック構造のもの或いはこれらの混合物が用いられる。ポリプロピレンシートは上記の重合体又は重合体混合物を押出成型機又はカレンダーで、厚さ0.05〜0.5mmに成形したシートである。
【0007】
本発明で用いられるアクリル樹脂フィルムは、アクリル酸或いはメタクリル酸又はこれらの誘導体を単独で或いは主成分として重合させた重合体をフィルムにしたものである。特にアクリル酸又はメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、ブチルなどのアルキルエステルの重合体が好ましく用いられ、ポリメチルメタクリレートが耐候性の点から特に好ましい。フィルムの厚さは25〜50μmが好ましい。なお、建材用シートの表面に使用できる物性をもつものとしてポリビニリデンフルオライド(PVDF)等のフッ素系フィルムが考えられるがコストが高い。
【0008】
ポリプロピレンシートの表面にアクリル樹脂フィルムを貼着すると両者の特性が相俟って建材用シートとして優れたものになるが、ポリプロピレンはその分子構造上アクリル樹脂フィルムとの親和性が乏しく、その表面にアクリル樹脂フィルムを接着させるには、適切な接着用のプライマー層を形成させる必要がある。本発明では、この接着用のプライマー層として、ポリウレタン系プライマー層又はエポキシ系樹脂プライマー層を形成させる。かかる特定のプライマー層を形成させることによって、ポリプロピレンシートにアクリル樹脂フィルムを強固に且つ耐久性よく貼着できる。また、ポリプロピレンシートの表面に上記の接着用プライマー層を設けるには、予め該シートにコロナ放電処理を施しておき、その後接着用プライマーを塗布して、プライマー層を形成するのが好ましい。コロナ放電処理を施すことによって接着用プライマーのシートへの結合性を高めることができる。図1はこの態様の建材用シートの一例の正面図で、1はポリプロピレンシート、2はアクリル樹脂フィルム、3はポリウレタン系プライマー層又はエポキシ系樹脂プライマー層である。7はポリプロピレンシートの裏面に設けたポリウレタン系接着用プライマー層である。
【0009】
上記のポリウレタン系プライマー層3のポリウレタンとしては、ポリエステル系ポリウレタンが好ましい。すなわち、アジピン酸、フタル酸等の二塩基酸と、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール等のグリコールやトリメチロールプロパン等のトリオールとの縮合反応によって得られる縮合系ポリエステルポリオールとトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の硬化剤とを原料に用いたポリウレタンが好ましい。
【0010】
また、上記のエポキシ系樹脂プライマー層3のエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型、その水素化又は臭素化物、ビスフェノールF型、ビフェニール型などのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミニジフェニルメタン等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂などが用いられる。また、硬化剤としてはジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ジアミノジフェニルメタンなどのアミン類、これらアミンをダイマー酸で変性したポリアミドなどのアミン変性物、ドデセニル無水コハク酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸などの酸無水物類、トリレンジイソシアネート、イソシアネートプレポリマー、ブロック化イソシアネートなどのジイソシアネート類が用いられる。
【0011】
そして、上記のエポキシ樹脂に、ヘキサメチレングリコールとアジピン酸とフタル酸との反応生成物を配合し、硬化剤にトリレンジイソシアネートを用いたプライマーは、耐熱性があり、また耐寒性にも優れているので特に好ましい。ヘキサメチレングリコールとアジピン酸とフタル酸との反応生成物において、アジピン酸とフタル酸との重量割合は1:1が好ましい。この反応物は、ポリヘキサメチレンアジペートとポリヘキサメチレンフタレートとの混合物の形態でも、ヘキサメチレンアジペートとヘキサメチレンフタレートの共縮合の形態でもよい。
【0012】
本発明は、上記したとおり、ポリプロピレンシートの表面にポリウレタン系プライマー層又はエポキシ系樹脂プライマー層を設けてアクリル樹脂フィルムを貼着する技術を一態様とするものであるが、この態様において、ポリウレタン系プライマー層又はエポキシ系樹脂プライマー層の上に更にアクリル系樹脂プライマー層を設けてからアクリル樹脂フィルムを貼着すると、アクリル樹脂フィルムをより一層強固に且つ耐久性よく接着することができる。上記のアクリル系樹脂プライマー層の形成に用いるアクリル系樹脂としては、アクリル重合体に水酸基を導入したアクリルポリオール、例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどと、ヒドロキシメチルメタクリレート、スチレン、アクリル酸などとの共重合体とイソシアネートの反応物が好適に用いられる。図2はこの態様の建材用シートの一例を示す正面図で、1はポリプロピレンシート、2はアクリル樹脂フィルム、3はポリウレタン系プライマー層又はエポキシ系樹脂プライマー層、4はアクリル系樹脂プライマー層、7はポリウレタン系接着用プライマー層である。
【0013】
また、ポリプロピレンシート1とアクリル樹脂フィルム2との間に介在させる接着用プライマーとして、側鎖にカルボキシル基、4級アンモニュウム塩基、ヒドロキシル基を有する架橋性共重合体の如き帯電防止性を有する樹脂を用いてもよい。この架橋性共重合体は、例えば、(メタ)アクリル酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、アクロイルオキシエチル琥珀酸のようなカルボキシル基を有する単量体と、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの4級化物のような4級アンモニュウム塩基を有する単量体と、グリセリンジグリシジールエーテル、トリメチロールプロパントリアジリジエーテルのようなヒドロキシル基を有する単量体と、アルキル(メタ)アクリレート、スチレン、エチレン、塩化ビニルなどの他の単量体とを適宜に組み合わせて共重合させた共重合体である。帯電防止性のある接着用プライマーを用いることにより、建材シートに帯電防止性が付与され、静電気発生に基づく塵埃の建材表面への付着を防止することができる。この帯電防止性を有する接着用プライマーは、ポリプロピレンシートとアクリル樹脂フィルムとの間に介在させるが、その介在位置は適宜であり、特にポリウレタン系又はエポキシ樹脂系接着用プライマー層とアクリル系樹脂プライマー層との間に設けるのが好ましい。
【0014】
また、建材用シートには、その表面に装飾用の印刷を施すことが多い。本発明では、この印刷はアクリル樹脂フィルムを貼着する前に施しておく。特に前記エポキシ系樹脂プライマー層を形成させたポリプロピレンシートはいわゆる印刷特性がよく、印刷し易い。印刷はそれ自体既知の種々の方法で行う。印刷用のインキとしては、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、酢酸セルロース、アクリル系樹脂等を固形バインダーに用いたインキが用いられ、この印刷インキ層はアクリル樹脂フィルムとの接着性が良いものが好ましい。図3はこの態様の建材用シートの一例を示す正面図で、1はポリプロピレンシート、2はアクリル樹脂フィルム、3はポリウレタン系プライマー層又はエポキシ系樹脂プライマー層、5は印刷インキ層、7はポリウレタン系接着用プライマー層である。
【0015】
また本発明は、上記ポリウレタン系プライマー層又はエポキシ系樹脂プライマー層の上に印刷インキ層を設ける態様において、この印刷インキ層の上に更にアクリル系樹脂プライマー層を設けてからアクリル樹脂フィルムを貼着してもよい。この態様をとると、アクリル樹脂フィルムをより一層強固に且つ耐久性よく接着することができる。このアクリル系樹脂プライマー層の形成に用いるアクリル系樹脂としては、アクリル重合体に水酸基を導入したアクリルポリオール、例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどと、ヒドロキシメチルメタクリレート、スチレン、アクリル酸などとの共重合体とイソシアネートの反応物が好適に用いられる。図4はこの態様の建材用シートの一例を示す正面図で、1はポリプロピレンシート、2はアクリル樹脂フィルム、3はポリウレタン系プライマー層又はエポキシ系樹脂プライマー層、5は印刷インキ層、4はアクリル系樹脂プライマー層、7はポリウレタン系接着用プライマー層である。
【0016】
接着用プライマー層を形成させたポリプロピレンシートとアクリル樹脂フィルムとの接着は次のようにして行う。すなわち、ポリプロピレンシート及びアクリル樹脂フィルムを、ポリプロピレンシートの接着用プライマー層がアクリル樹脂フィルムと接するように重ね合わせ、この重ね合わせたものをロール温度100〜190℃のヒーター付き加熱ロールを通した後、両者を圧着ロールで圧着させ、冷却して巻き取る。その際、必要に応じ圧着ロールとしてエンボスロールを使用し凹凸模様を付けたり、艶を調整してもよい。
【0017】
また、本発明においては、建材用シートの表面のアクリル樹脂フィルム層の上に更にアクリル系樹脂塗膜層を設けてもよい。このアクリル系樹脂塗膜層の形成には上記したアクリル系樹脂プライマーが使用できる。このアクリル系樹脂塗膜層を設けることによって耐溶剤性が改善される。また、このアクリル系樹脂プライマーに光沢調整剤(例えばシリカ粉末)を配合して塗布してもよく、これによってアクリル系樹脂塗膜の光沢を調整することができ、したがって建材用シート表面の光沢を調節できる。同様にアクリル系樹脂プライマーに抗菌剤を配合して抗菌剤を付与したり、帯電防止剤を配合して帯電防止性を付与したりしてもよい。図5はこの態様の建材用シートの一例を示す正面図で、1はポリプロピレンシート、2はアクリル樹脂フィルム、3はポリウレタン系プライマー層又はエポキシ系樹脂プライマー層、6はアクリル系樹脂塗膜層、7はポリウレタン系接着用プライマー層である。
【0018】
本発明の建材用シートは、その裏面に接着用プライマー層を設ける。これによって、建材シートの合板、鋼板、合成樹脂板等への接着性が向上する。接着用プライマー層は、ポリプロピレンシートの裏面にコロナ放電処理を施し、その上に設けるのが好ましい。接着用プライマー層としては前述したポリウレタン系プライマーを用いる。またこの接着用プライマー層にはシリカ粉末を混入する。これによって、建材用シートをロールに巻き取って製品にしたときにシート表面と裏面のプライマー層とがくっつくという支障を生じることがない。このシリカ粉末の粒径は、10〜70nmである。シリカ粉末は接着用プライマーの固形分に対し10〜70重量%配合する。10%重量以下ではこの付着防止効果がなく、また70%重量以上ではプライマー層が脆弱になり、膜強度が低下するので好ましくない。図6は、本発明の建材用シートの一例を示す正面図で、1はポリプロピレンシート、2はアクリル樹脂フィルム、3はポリウレタン系プライマー層又はエポキシ系樹脂プライマー層、4はアクリル系樹脂プライマー層、5は印刷インキ層、6はアクリル系樹脂塗膜層、7はポリウレタン系接着用プライマー層である。
【0019】
【実施例】
次に参考例、実施例をもって本発明を更に具体的に説明する。
参考例1
溶融粘度2.0、結晶化温度123℃のポリプロピレンホモ重合体100重量部にカルシウムステアレート0.03重量部及びりん酸エステル0.1重量部を添加し、コニーダーで混練し、175℃〜200℃に加熱したカレンダーにてカレンダー加工して厚さ0.15mmのシートを製造した。
このポリプロピレンホモ重合体シートの表面をコロナ放電処理し、その面に、アジピン酸とエチレングリコールとを反応させて得たポリエステルポリオールにトリレンジイソシアネートを硬化剤として添加したものを塗布し、乾燥して2.0g/m2のポリウレタンプライマー層を形成した。
【0020】
アクリル樹脂フィルムとしてアクリプレンフィルム(ポリメチルメタクリレート:三菱レイヨン株式会社製)を用いた。その厚さは25μであった。上記のポリプロピレンシートとアクリル樹脂フィルムを、それぞれロール温度50℃の予熱ロールを通して予熱する。この予熱したポリプロピレンシートとアクリル樹脂フィルムとを、ポリプロピレンシートの接着用プライマー層がアクリル樹脂フィルムと接するように重ね合わせ、この重ね合わせたものを加熱ロールを通し、次いで圧着ロールとしてエンボスロールを用いて圧着し、更にテイクアップロール、アニーリングロール及びクーリングロールを順次通過させて巻き取った。
剛性、耐熱性等の機械的もしくは物理的性質に優れ、且つ表面の耐摩耗性、耐スクラッチ性、耐候性が良好な建材用シートが得られた。
【0021】
参考例2
参考例1における接着用ポリウレタンプライマー層に代えて、エポキシ樹脂にポリヘキサメチレングリコールとアジピン酸とフタル酸(アジピン酸とフタル酸との重量比1:1)との反応物を配合し、更にトリメチレンイソシアネートを添加した組成物のメチルエチルケトン溶液を塗布し、乾燥して1.8g/m2のエポキシ系樹脂プライマー層を形成した。次いで、参考例1と同様にしてアクリプレンフィルムを貼着し、建材用シートを製造した。剛性、耐熱性等の機械的もしくは物理的性質に優れ、且つ表面の耐摩耗性、耐スクラッチ性、耐候性が良好な建材用シートが得られた。
【0022】
参考例3
参考例1、参考例2において、各プライマー層を形成させた後、その上にアクリル酸メチル−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体とイソシアネートとの反応物を塗布し、乾燥して、2.5g/m2のアクリル系樹脂プライマー層を形成した。次いで、参考例1と同様にしてアクリプレンフィルムを貼着し、建材用シートを製造した。剛性、耐熱性等の機械的、物理的性質に優れ、且つ表面の耐摩耗性、耐スクラッチ性、耐候性が良好な建材用シートが得られた。
【0023】
参考例4
参考例1、参考例2において、各プライマー層を形成させた後、その上にグラビア印刷により多色刷りを施した。次いで、参考例1と同様にしてアクリプレンフィルムを貼着し、建材用シートを製造した。剛性、耐熱性等の機械的、物理的性質に優れ、且つ表面の耐摩耗性、耐スクラッチ性、耐候性が良好な印刷された建材用シートが得られた。
【0024】
実施例1
参考例1に示したポリプロピレンホモ重合体シートの表裏両面にコロナ放電処理を施した。その表面に、アジピン酸とエチレングリコールとを反応させて得たポリエステルポリオールにトリレンジイソシアネートを硬化剤として添加したものを塗布し、乾燥して、2.5g/m2のポリウレタンプライマー層を形成した。次に該ポリウレタンプライマー層の上にグラビア印刷により多色刷りを施した。更にその上にアクリル酸メチル−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体とイソシアネートとの反応物を塗布し、乾燥して3.0g/m2のアクリル系樹脂プライマー層を形成させた。その後、該アクリル系樹脂プライマー層の上に厚さ25μのアクリプレンフィルムを参考例1と同様な操作で貼着した。最後に、このコロナ放電処理したポリプロピレンホモ重合体シートの裏面に、上記のポリエステルポリオールとトリレンジイソシアネートの混合物に平均粒径50nmのシリカ粉末20重量%を添加して塗布し、乾燥し2.4g/m2のポリウレタンプライマー層を形成して巻き取った。
剛性、耐熱性等の機械的もしくは物理的性質に極めて優れ、且つ表面の耐摩耗性、耐スクラッチ性、耐候性が良好な、印刷模様を有する建材用シートが得られた。また、この建材用シートは裏面に接着用ポリウレタンプライマー層を設けたため、合板、鋼板、合成樹脂板等への接着性が優れていた。更に、裏面に設ける接着用ポリウレタンプライマー層にシリカ粉末を添加したため、巻き取ったとき、シート表面と裏面のプライマー層の接着が緩和された。
【0025】
参考例5
参考例1で得た建材用シートのアクリル樹脂フィルムの表面に、アクリル酸メチル−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体とイソシアネートとの反応物であるアクリル系樹脂プライマーを塗布し、乾燥して4.0g/m2のアクリル系樹脂塗膜層を形成した。
剛性、耐熱性等の機械的もしくは物理的性質に優れ、且つ表面の耐摩耗性、耐スクラッチ性、耐候性、耐溶剤性に優れた建材用シートが得られた。
また、上記のアクリル系樹脂プライマーに平均粒径20nmのシリカ10重量%配合し同様にして塗布してアクリル系樹脂塗膜層を形成した。つや消し表面を有する建材用シートが得られた。
【0026】
【発明の効果】
本発明のポリプロピレン製の建材用シートは、その表面にアクリル樹脂フィルムを貼着したので、耐摩耗性、耐スクラッチ性、耐候性が優れ、ポリプロピレンシートとアクリル樹脂フィルムとの両者の特性が相俟った優れた建材用シートである。また、ポリプロピレンシートにポリウレタン系プライマー層又はエポキシ系樹脂プライマー層を形成させることによって、ポリプロピレンシートにアクリル樹脂フィルムを強固に且つ耐久性よく貼着できる。更に、これらのプライマー層の上や印刷インキ層の上に更にアクリル系樹脂プライマー層を設けることによって、アクリル樹脂フィルムを一層堅固に且つ耐久性よく貼着できる。
更に、上記の建材用シートのアクリル樹脂フィルムの表面にアクリル系樹脂プライマーを塗布して塗膜を形成させることによって、表面の耐溶剤性が改善できる。また、アクリル系樹脂プライマーに粉末シリカなどのツヤ調整剤を配合することによって、建材用シートの光沢を調節できる。
また、本発明の建材用シートは、その裏面にポリウレタン系接着用プライマー層を設たため、合板、鋼板、合成樹脂板等への接着性がよい。しかも、この接着用プライマー層にシリカ粉末を混入したので、建材用シートをロールに巻き取って製品にしたときにシート表面と裏面のプライマー層とがくっつくという支障を生じることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の建材用シートの一例を示す正面図
【図2】 本発明の建材用シートの他の示す正面図
【図3】 本発明の建材用シートの印刷インキ層を設けた一例を示す正面図
【図4】 本発明の建材用シートの印刷インキ層を設けた他の例を示す正面図
【図5】 本発明の建材用シートの表面に塗膜を設けた一例を示す正面図
【図6】 本発明の建材用シートの他の例を示す正面図
【符号の説明】
1 ポリプロピレンシート、2 アクリル樹脂フィルム、3 ポリウレタン系プライマー層又はエポキシ系樹脂プライマー層、4 アクリル系樹脂プライマー層、5 印刷インキ層、6 アクリル系樹脂塗膜層、7 ポリウレタン系接着用プライマー層
Claims (7)
- ポリプロピレンシートの表面にアクリル樹脂フィルムを貼着し、その裏面に粒径10〜70nmのシリカ粉末を10〜70重量%配合したポリウレタン系接着用プライマー層を設けたことを特徴とする建材用シート。
- ポリプロピレンシートの表面にポリウレタン系プライマー層又はエポキシ系樹脂プライマー層を介してアクリル樹脂フィルムを貼着し、その裏面に粒径10〜70nmのシリカ粉末を10〜70重量%配合したポリウレタン系接着用プライマー層を設けたことを特徴とする建材用シート。
- 請求項2記載の建材用シートにおいて、ポリウレタン系プライマー層又はエポキシ系樹脂プライマー層とアクリル樹脂フィルムの間にアクリル系樹脂プライマー層を設けたことを特徴とする建材用シート。
- 請求項2記載の建材用シートにおいて、ポリウレタン系プライマー層又はエポキシ系樹脂プライマー層とアクリル樹脂フィルムとの間に印刷インキ層を設けたことを特徴とする建材用シート。
- 印刷インキ層とアクリル樹脂フィルムの間にアクリル系樹脂プライマー層を設けたことを特徴とする請求項4記載の建材用シート。
- 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の建材シートのアクリル樹脂フィルムの表面にアクリル系樹脂塗膜層を設けたことを特徴とする建材用シート。
- アクリル系樹脂塗膜層が、ツヤ調整剤を含む請求項6記載の建材用シート。
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