JP5073131B2 - 積層シート及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の熱可塑性樹脂シートをそれらの層間に中間樹脂層を介在させて積層してなる積層シート及びその製造方法に関するものであり、特に、住宅などの建築物の内装や、造作材、建具等の建築資材、家具什器類、住設機器や家電製品等の表面化粧のための化粧シートなどとして好適に使用される積層シートであって、熱ラミネート法により簡便に製造可能であり、しかも層間密着性に優れた積層シート及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、上述した化粧シートを始め、包装用シート、金属保護用シート、粘着テープ用基材シート、文具や衣料品、衛生用品等の日用品、輸液バッグ等の医療用品、電気部品や機械部品等の工業用材料などとして、同種又は異種の熱可塑性樹脂シートを積層してなる積層シートは、幅広い用途に大量に使用されている。係る積層シートの製法としては、同種又は異種の熱可塑性樹脂を加熱溶融して押し出すと同時に溶融状態において積層後に冷却する共押出製膜法や、既に成形された熱可塑性樹脂シートの片面に、それと同種又は異種の熱可塑性樹脂を加熱溶融押出して積層する押出ラミネート法などもあるが、これらは大量生産には適するものの特定用途向けの少量生産には不利であるので、一般的には、既にシート状に成形された市販の熱可塑性樹脂シートを、複数枚貼り合わせることで製造する場合が多い。
【0003】
その際の貼り合わせ方法としては、複数枚の熱可塑性樹脂シートの相互間に接着剤を介在させて貼り合わせるウェットラミネート法又はドライラミネート法や、別途用意した熱可塑性樹脂を加熱溶融して押し出した溶融状態の層を介在させて貼り合わせるサンドラミネート法などもあるが、これらの方法は貼り合わせの際に、接着剤又は溶融押出用の樹脂などの特別な材料と、接着剤の塗工装置又は樹脂の押出装置等の特殊な設備とを必要とし、しかも接着剤の塗布量や乾燥状態、溶融押出用の樹脂の温度や押出速度等の工程条件によって層間密着性が大きく左右されることから、工程管理も煩雑であることなどが難点である。
【0004】
これに対し、特殊な材料や設備を必要とせず、工程条件によって層間密着性が大きく左右されることなく、より簡便且つ安定的に製造可能な方法として、複数枚の熱可塑性樹脂シートを熱可塑化(軟化)により相互に接着性を帯びる程度の温度に加熱しつつ加圧して接着させる熱ラミネート法も、広く用いられている。この熱ラミネート法には、上記の利点に加えて、製造する積層シートの片面若しくは両面にエンボスによる凹凸形状を賦形したい場合には、加圧用の押圧板若しくは押圧ロールとして、積層シートの表面に賦形すべき凹凸形状を反転した凹凸形状が表面に形成されたエンボス版若しくはエンボスロールを使用することによって、複数枚の熱可塑性樹脂シートの積層とエンボスによる凹凸模様の賦形とを同一の工程で同時に行うことができる利点もある。
【0005】
例えば、従来の汎用の化粧シートとしては、熱可塑性樹脂シートとしてポリ塩化ビニル樹脂シートを使用したものが最も一般的であったが、このポリ塩化ビニル樹脂シートは熱ラミネート適性や熱エンボス適性に優れていたことから、一枚のポリ塩化ビニル樹脂シートの表面に木目等の所望の絵柄の印刷を施した後、該印刷面に透明なもう一枚のポリ塩化ビニル樹脂シートを重ね合わせ、印刷シートの裏面側の平滑な押圧ロールと透明シートの表面側のエンボスロールとの間を通しながら加熱加圧することにより、熱ラミネートすると同時にエンボスを施す、いわゆるダブリングエンボス法によるポリ塩化ビニル樹脂製化粧シートの製造が広く行われて来た。
【0006】
しかしながら近年になって、ポリ塩化ビニル樹脂は火災時や焼却処分時等の燃焼時に塩化水素ガスやダイオキシン等の有害物質を発生する可能性があることが問題視される様になっており、係る問題の発生の虞のない塩素を含有しない樹脂による代替が、社会的に強く要請される様になっている。上記した化粧シートの場合も例外ではなく、上記社会的要請を受けて、ポリ塩化ビニル樹脂を代替する熱可塑性樹脂として、例えばポリオレフィン系樹脂やポリエステル系樹脂等を使用した化粧シートが開発され、ポリ塩化ビニル樹脂系の化粧シートに対する置き換えが進行しつつある。
【0007】
しかしながら、上記したポリ塩化ビニル代替熱可塑性樹脂、特にその最有力候補であるポリオレフィン系樹脂は、ポリ塩化ビニル樹脂と比較して熱ラミネート適性に劣っており、熱ラミネート法では十分な層間密着性を得ることが困難である場合が多い。熱可塑性樹脂シートの熱ラミネート適性を補う意味で、貼り合わせようとする2枚の熱可塑性樹脂シートの一方の貼り合わせ面に予めヒートシール剤などのアンカー剤を塗工した後に熱ラミネートを行う方法もあるが、ヒートシール剤の内部凝集力、熱接着力(ホットタック性)、熱可塑性樹脂シートとの接着力(耐剥離性)、耐候性等の種々の要求物性をバランスよく満足するものはなかなか得られていないのが実情である。
【0008】
従って、ポリオレフィン系樹脂等のポリ塩化ビニル代替熱可塑性樹脂を使用した化粧シート等の積層シートの製造にあたっては、ドライラミネート法や押出ラミネート法等の採用を余儀なくされており、ラミネート工程における材料面、設備面、工程管理面での負担が大きいほか、前者のドライラミネート法にあっては、エンボス加工を必要とする場合に、ラミネート工程とエンボス工程との2工程となって、製造時間増大、収率低下、コスト増大などをもたらすこと等、後者の押出ラミネート法にあっては、機械の制約上、使用可能な樹脂の選択の幅が狭く、材料設計の自由度が低いことや、連続方式の製法であるために多品種少量生産への対応が困難であること等の問題があり、ダブリングエンボス法等の熱ラミネート法により安定して十分な層間密着性を得る手法の開発が待望されていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術における上記した問題点を解決する目的でなされたものであり、その課題とするところは、ポリオレフィン系樹脂又はポリエステル系樹脂等のポリ塩化ビニル代替熱可塑性樹脂を使用した積層シートにあっても、ダブリングエンボス法等の熱ラミネート法により安定して十分な層間密着性を得ることができる積層シート及びその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の積層シートは、第1の熱可塑性樹脂シートに、ポリエステル系ウレタン樹脂からなる第1の中間樹脂層と、ウレタン系樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂との混合樹脂からなる第2の中間樹脂層と、ポリエステル系ウレタン樹脂からなる第3の中間樹脂層とを順次介在させて、第2の熱可塑性樹脂シートを積層し、前記第1、第2及び第3の中間樹脂層は、顔料を含有したインキの刷り重ねにより絵柄状に形成された絵柄層であって、該絵柄の面積率が70%以上であり、前記第1の熱可塑性樹脂シートの裏面にプライマー層を形成し、前記第2の熱可塑性樹脂シート上にトップコート層を有し、180度剥離強度値が770N/m以上であることを特徴とする積層シート。
【0011】
前記第1及び第2の熱可塑性樹脂シートのそれぞれが、ポリオレフィン系樹脂又はポリエステル系樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の積層シート。
【0012】
前記第2の熱可塑性樹脂シート及び前記トップコート層にエンボスによる凹凸模様が施されていることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の積層シート。
【0014】
本発明の積層シートの製造方法は、第1の熱可塑性樹脂シートの片面にポリエステル系ウレタン樹脂からなる第1の中間樹脂層を設け、第2の熱可塑性樹脂シートの片面にポリエステル系ウレタン樹脂からなる第3の中間樹脂層を設けると共に、第1の熱可塑性樹脂シートの片面の第1の中間樹脂層上及び/又は第2の熱可塑性樹脂シートの片面の第3の中間樹脂層上に、ウレタン系樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂との混合樹脂からなる第2の中間樹脂層を設け、しかる後、第1の熱可塑性樹脂シートの第1の中間樹脂層側の面と、第2の熱可塑性樹脂シートの第3の中間樹脂層側の面とが接する様に重ね合わせて熱ラミネートすることを特徴とするものである。
【0015】
また本発明の積層シートの製造方法は、上記積層シートの製造方法において、前記第1、第2及び第3の中間樹脂層の内の少なくとも一つが、顔料を含有し絵柄状に形成された絵柄層であることを特徴とするものである。
【0016】
また本発明の積層シートの製造方法は、上記積層シートの製造方法において、前記第1及び第2の熱可塑性樹脂シートのそれぞれが、ポリオレフィン系樹脂又はポリエステル系樹脂からなることを特徴とするものである。
【0017】
また本発明の積層シートの製造方法は、上記積層シートの製造方法において、前記第1及び第2の熱可塑性樹脂シートの熱ラミネートと同時に、前記第1及び第2の熱可塑性樹脂シートの内の少なくとも一方の外表面に、エンボスにより凹凸模様を施すことを特徴とするものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の積層シート1は、図1に示す様に、第1の熱可塑性樹脂シート11と第2の熱可塑性樹脂シート15とが少なくとも積層されて構成されたものであって、上記第1の熱可塑性樹脂シート11と第2の熱可塑性樹脂シート15との層間に、上記第1の熱可塑性樹脂シート側から順に、第1の中間樹脂層12、第2の中間樹脂層13及び第3の中間樹脂層14が設けられて構成されており、上記第1の中間樹脂層12はポリエステル系ウレタン樹脂からなり、上記第2の中間樹脂層13はウレタン系樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂との混合樹脂からなり、且つ、上記第3の中間樹脂層はポリエステル系ウレタン樹脂からなることを特徴とするものである。
【0019】
本発明の積層シート1において、第1の熱可塑性樹脂シート11及び第2の熱可塑性樹脂シート15を構成する熱可塑性樹脂の種類は特に限定されるものではなく、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体金属中和物等のオレフィン系共重合体樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体、ポリアリレート、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系樹脂、6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等のビニル系樹脂等、或いはそれらの2種以上の混合物、共重合体、複合体、積層体等を使用することができる。なお、第1の熱可塑性樹脂シート11及び第2の熱可塑性樹脂シート15の材質は同一であっても良いし、相異なっていても良い。
【0020】
なお、ポリ塩化ビニル樹脂に関しては、前述した様に、元来優れた熱ラミネート適性(熱接着性)を有する樹脂であるから、特に本発明を適用する必要性は通常発生しないと考えられるが、敢えて本発明を適用しても特に問題はない。但し、近年の環境問題に対する社会的な関心の高まりに鑑みれば、ポリ塩化ビニル樹脂の様な塩素(ハロゲン)を含有する樹脂の採用は望ましいものではなく、上記に列挙した様な非塩素系(非ハロゲン系)の熱可塑性樹脂を採用することが望ましい。中でも最も汎用性に富む熱可塑性樹脂として、ポリオレフィン系樹脂及びポリエステル系樹脂を挙げることができる。
【0021】
第1及び/又は第2の熱可塑性樹脂シート11、15の第1又は第3の中間樹脂層12、14との密着性が不足する場合には、第1及び/又は第2の熱可塑性樹脂シート11、15の第1又は第3の中間樹脂層12、14との接触面に予め例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理等の表面処理を施すことで密着性を向上することもできる。例えば、ポリオレフィン系樹脂は特に密着性が不足しがちであり、密着性の向上の為にはコロナ放電処理等が有効である。
【0022】
第1の熱可塑性樹脂シート11及び第2の熱可塑性樹脂シート15は、共に無色透明であっても良いし、その一方又は両方が半透明や着色透明、着色不透明などであっても良い。但し、後述する様に第1、第2及び第3の中間樹脂層の内の少なくとも一つを顔料を含有し絵柄状に形成された絵柄層とする場合には、第1の熱可塑性樹脂シート11及び第2の熱可塑性樹脂シート15の一方又は両方を、無色又は着色の透明又は半透明とする必要がある。これらのシートの着色の為には、熱可塑性樹脂に有機顔料又は無機顔料等の着色剤が添加される。
【0023】
その他、必要に応じて例えば紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、充填剤、滑剤、帯電防止剤、減摩剤、艶調整剤、抗菌剤、防黴剤等の各種の添加剤の1種以上が添加されていても良い。紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール系又はベンゾフェノン系等、光安定剤としてはヒンダードアミン系等、酸化防止剤としてはフェノール系又はリン系若しくはそれらの混合系等が通常使用される。
【0024】
本発明の積層シート1を化粧シートとして使用する場合には、樹脂の加工性や耐久性、柔軟性、廃棄性(焼却容易性)、経済性等を考慮すると、熱可塑性樹脂としてポリオレフィン系樹脂又はポリエステル系樹脂を採用することが最も好ましい。ポリオレフィン系樹脂であれば、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテンやこれらの共重合樹脂、変性樹脂などが挙げられ、柔軟性の向上の為に例えば低密度ポリエチレン、アタクチックポリプロピレン、スチレンブタジエンゴム、オレフィン系熱可塑性エラストマー等の軟質成分ないしゴム成分を添加した樹脂を使用することもできる。
【0025】
また、化粧シートの木質基材などへの積層を考え、基材の表面に対する隠蔽性を付与する為に、基材への積層面側となる第1の熱可塑性樹脂シート11を隠蔽性に着色しても良い。但し、基材の表面の質感を活かしたい場合はこの限りではなく、第1の熱可塑性樹脂シート11及び第2の熱可塑性樹脂シート15を共に透明又は半透明とすることもできる。
【0026】
ポリエステル系ウレタン樹脂からなる第1及び第3の中間樹脂層12、14は、第1及び第2の熱可塑性樹脂シート11、15の表面に十分に密着すると共に、後述する第2の中間樹脂層13を構成するウレタン系樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂との混合樹脂ともよく密着することで両者の橋渡しをする、いわばアンカー剤としての機能を担う層である。
【0027】
これらの層を構成するポリエステル系ウレタン樹脂としては、ジカルボン酸とジオールとの縮合重合反応で得た2官能性ポリエステルジオールをジイソシアネート化合物で鎖延長することでポリエステル骨格中にウレタン結合を導入した線状の熱可塑性ポリエステル系ウレタン樹脂や、ジカルボン酸とジオールとの縮合重合体からなるポリエステル骨格の両末端及び/又は側鎖にイソシアネート基を導入したプレポリマーを湿気等の作用により自己架橋させる湿気硬化型ポリエステル系ウレタン樹脂、ジカルボン酸とジオールとの縮合重合体からなるポリエステル骨格の両末端及び/又は側鎖に水酸基を有するポリエステルポリオールを主剤とし、硬化剤としてポリイソシアネート化合物を配合してウレタン結合により架橋させる2液硬化型ポリエステル系ウレタン樹脂などがある。
【0028】
これらのポリエステル系ウレタン樹脂の中でも、本発明の目的には、硬化後の樹脂の凝集力や、第1及び第2の熱可塑性樹脂シート11、15への密着性、塗工剤組成物の安定性や塗工適性などの種々の観点から、後者の2液硬化型ポリエステル系ウレタン樹脂を採用することが特に望ましい。なお、硬化剤のポリイソシアネート化合物の種類は特に限定されないが、耐候性(耐黄変性)の面では例えばイソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)等の脂肪族又は脂環族のポリイソシアネート化合物を採用することが望ましい。
【0029】
ウレタン系樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂との混合樹脂からなる第2の中間樹脂層13は、熱ラミネート時に加熱により溶融又は軟化して接着力を発現するヒートシール剤としての機能を有するものであり、第1及び第2の熱可塑性樹脂シート11、15を熱ラミネートにより接着させる役割を果たす層である。この樹脂に配合される塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂は優れたヒートシール性を有しており、樹脂設計によりガラス転移点を種々に変化させてヒートシール性能を調整することが可能であるが、本発明の目的には100〜150℃程度で接着性を発現する樹脂設計とすることが適切である。
【0030】
一方、ウレタン系樹脂は、第1及び第2の熱可塑性樹脂シート11、15との間に介在するポリエステル系ウレタン樹脂からなる第1及び第3の中間樹脂層12、14との密着性を確保する役割を果たすものである。このウレタン系樹脂は、前述した第1及び第3の中間樹脂層12、14を構成するものと同様のポリエステル系ウレタン樹脂であっても良いし、その他のウレタン樹脂、例えばポリエーテル系ウレタン樹脂、ポリエーテルエステル系ウレタン樹脂、アクリル系ウレタン樹脂、ハイドロカーボン系ウレタン樹脂等であっても良いが、中でも凝集力や耐熱性、耐候性等の観点からはポリエステル系ウレタン樹脂又はアクリル系ウレタン樹脂を使用することが望ましい。ウレタン系樹脂の配合比率は、混合樹脂100重量部中5〜30重量部程度とすることが望ましい。
【0031】
本発明の積層シート1は、第2の中間樹脂層13の必須構成成分として塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂を使用しているため、微量ながらも塩素を含有していることは明白である。しかしながら、第1、第2及び第3の中間樹脂層12、13、14はそれぞれ一般に10μm以下、好ましくは0.5〜5μm程度の極薄層に形成されるから、第1及び第2の熱可塑性樹脂シート11、15として非塩素系の熱可塑性樹脂を使用した場合には、従来の塩素を含有するポリ塩化ビニル樹脂シートを使用した積層シートとの比較において、塩素の含有量は桁違いに少なく、燃焼時の塩化水素ガスやダイオキシン等の有害物質の発生量も著しく少ないから、焼却などにおける環境負荷の軽減には大きく寄与することができる。
【0032】
これら第1、第2及び第3の中間樹脂層12、13、14の形成方法としては、例えばグラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ドライオフセット印刷法、凸版印刷法、インクジェット印刷法、静電印刷法、転写印刷法等の従来公知の各種印刷法や、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、ロールコート法、ロッドコート法、キスコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、フローコート法、スプレーコート法、ディップコート法等の従来公知の各種塗工法等の中から任意に選択して実施することができる。
【0033】
本発明の積層シート1においては、上記した第1、第2及び第3の中間樹脂層12、13、14の内の少なくとも一つを、顔料を含有し絵柄状に形成された絵柄層とすることもできる。顔料としては通常の絵柄印刷用の印刷インキ又は塗料等に配合されている通常の顔料を使用することができ、絵柄状に形成する方法としても、例えば上記した様な従来公知の各種の印刷法から任意に選択して実施することができる。絵柄の種類にも特に制限はなく、例えば木目柄、石目柄、布目柄、抽象柄、幾何学模様、写真、絵画、文字又は記号等、或いはそれらの2種以上の組み合わせ等、所望により任意である。
【0034】
上記絵柄層は、第1、第2及び第3の中間樹脂層12、13、14から選ばれる1つのみによって構成されていても良いし、第1、第2及び第3の中間樹脂層12、13、14から選ばれる2層ないし3層にそれぞれ別の色彩や柄を割り当てて全体として一つの絵柄を構成する様にすることもできる。但し、これら各層の内に面積率の極端に小さい層が存在すると、得られる積層シート1に十分な層間密着性が得られなくなるので、各層の面積率がいずれも少なくとも50%以上、より好ましくは70%以上となる様に設計することが望ましい。
【0035】
具体的には、絵柄層とする層は黄・紅・藍等の各色の印刷インキの刷り重ねによりほぼ全面を埋め尽くす様にするか、或いは、柄としての面積率が低い層には透明ベタ印刷(柄としての最下層であれば背景色としての着色ベタ印刷であっても良い)を併用する等の対策が有効である。なお、これら3層の内の一部のみ(例えば第1の中間樹脂層12のみ)を絵柄層とする場合には、その層より表面側に存在する層(例えば第2及び第3の中間樹脂層13、14)は無色透明の層とすべきことは言うまでもない。
【0036】
以上の構成の本発明の積層シート1を製造するに当たっては、第1及び第3の中間樹脂層12、14が第1及び第2の熱可塑性樹脂シート11、15と十分に良く密着する様に、第1及び第3の中間樹脂層12、14は、第1及び第2の熱可塑性樹脂シート11、15の積層前に、予めそれぞれの積層面に設けておくことが望ましい。中間樹脂層13は、第1の熱可塑性樹脂シート11の片面に設けた第1の中間樹脂層13上に設けておいても良い(図3)し、逆に、第2の熱可塑性樹脂シート12の片面に設けた第3の中間樹脂層14上に設けておいても良く、また、両者を併用することで、更に優れた層間密着性を得ることもできる。
【0037】
斯くして予め各中間樹脂層12、13、14を片面に形成した第1及び第2の熱可塑性樹脂シート11、15の積層方法としては、図3に示す様に、両者をその各中間樹脂層12、13、14の形成面同士を向けて重ね合わせて加熱しつつ押圧ロール21、22の間を通すことによる、連続方式のロールラミネート法が、生産性に優れており最も好適であるが、勿論本発明はこれに限定されるものではなく、第1及び第2の熱可塑性樹脂シート11、15を平行平板状の熱盤間に挟んで押圧する平圧プレス法や、第1及び第2の熱可塑性樹脂シート11、15を平面状の定盤の上に載置した状態でその上を円筒状の押圧ロールを転動させることで押圧する円圧プレス法等、従来公知のあらゆる加圧方法を採用することができる。
【0038】
本発明の積層シート1を化粧シートとして使用する場合には、通常の化粧シートにおける態様に準じ、図2に示す様に、基材への積層面側とは反対側の第2の熱可塑性樹脂シート15の表面にエンボスによる凹凸模様16を施したり、第2の熱可塑性樹脂シート15の保護や表面物性の向上、表面の艶調整等を目的としてトップコート層17を設けたり、基材への接着のための接着剤との接着性を向上する目的で第1の熱可塑性樹脂シート11の裏面にプライマー層18を設けておくこともできる。
【0039】
エンボスによる凹凸模様16は、意匠性を向上させることを目的とするものであり、所望により様々な形状のものを施すことが可能である。具体的な形状としては、例えば木目導管状、石目状、布目状、抽象柄状、和紙状、スウェード状、皮革状、梨地又は砂目等の艶消状、ヘアーライン状、平行直線群又は平行曲線群若しくはそれらの組み合わせ等の幾何学模様状等を例示することができる。なお、図2に示す例では、エンボスによる凹凸模様16は第2の熱可塑性樹脂シート15の表面に施されているが、第1の熱可塑性樹脂シート11の裏面に施しても良く、両者を併用することも勿論可能である。
【0040】
エンボスによる凹凸模様16は、第1及び第2の熱可塑性樹脂シートの積層前に施しても積層後に施しても良いが、それらの熱ラミネート時に、第2の熱可塑性樹脂シート15側及び/又は第1の熱可塑性樹脂シート11側の押圧ロール22及び/又は21又は押圧板に代えて、エンボスロール23又はエンボス版を使用することによって、熱ラミネートと同時にエンボス加工を行う、いわゆるダブリングエンボス法(図4)によると、エネルギーの無駄も少なくしかも生産性良く効率的に製造することができる利点がある。
【0041】
トップコート層17は、表面保護及び耐候性の向上のために施されるものであって、必要不可欠というものではない。その材質としては、例えばウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂等の熱硬化性樹脂や、不飽和ポリエステル系樹脂又は(メタ)アクリレート系樹脂等の電離放射線硬化性樹脂等の硬化性樹脂が使用される場合が多く、中でも、アクリルポリオールを主成分とし、イソシアネート硬化剤を配合して硬化させる2液硬化型アクリルウレタン系樹脂などが、耐傷付き性、耐候性、可撓性等の面で好ましく用いられる。また必要に応じて、例えば紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤等を添加して耐候性を向上させたり、アルミナ又は炭化珪素等の硬質粒子からなる減摩剤を添加して耐傷付き性や耐磨耗性を向上させたり、滑剤を添加して表面の滑り性や耐粘着テープ性を向上させるなど、種々の添加剤の添加により機能向上を図ることも任意である。
【0042】
プライマー層18は、各種の化粧材用基材への接着のための接着剤との密着性を向上させるために施すものであり、特に不可欠というものではない。例えば化粧材用基材として最も一般的な木質系基材などへの接着剤としては、酢酸ビニル系等のエマルジョン系接着剤やウレタン系等の有機溶剤系接着剤などが挙げられるが、プライマー層18の主体樹脂はその用途に応じた接着剤に合わせて設計すれば良いものである。具体的には、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。また、例えばシリカや硫酸バリウム等の無機質粉末を添加すると、巻取保存時のブロッキングの防止や、投錨硬化による接着力の向上などに有効である。
【0043】
【実施例】
<実施例1>
まず、厚さ0.07mmのポリプロピレン系樹脂製クリヤーシート(OWクリヤー;理研ビニル工業株式会社製)の片面にコロナ放電処理後、イソシアネート硬化型ポリエステル系ウレタン樹脂(URLSメジウム;東洋インキ製造株式会社製)をグラビア塗工法にて乾燥後の塗布量1g/m2に塗工した。次に、厚さ0.07mmのポリプロピレン系樹脂製着色シート(OW;理研ビニル工業株式会社製)の両面にコロナ放電処理後、片面にイソシアネート硬化型ポリエステル系ウレタン樹脂をバインダーとし着色顔料を含有する印刷インキ(URLSインキ;東洋インキ製造株式会社製)を使用しグラビア印刷法にて下地着色ベタ層を含む木目柄を印刷し、該印刷面に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂80重量部とウレタン系樹脂20重量部との混合樹脂をグラビア塗工法にて乾燥後の塗布量1.5g/m2に塗工し、更に他面に、シリカ粉末を含むウレタン系プライマー剤をグラビア塗工法にて乾燥後の塗布量2g/m2に塗工してプライマー層を形成した。こうして得られた2枚のシートを、クリヤーシートの樹脂塗工面と着色シートの印刷面とを向かい合わせて、ダブリングエンボス法(温度120℃)にて熱ラミネートすると同時にクリヤーシート側の表面に木目導管模様のエンボスによる凹凸模様を施し、更に該エンボス面にコロナ放電処理後、イソシアネート硬化型ウレタン系樹脂(UCクリヤー;大日本インキ化学工業株式会社製)を乾燥後の塗布量5g/m2に塗工して、本発明の積層シートである化粧シートを作製した。
【0044】
<実施例2>
まず、厚さ0.07mmのオレフィン系樹脂製クリヤーシート(出光石油化学株式会社製のオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂を製膜)の片面にコロナ放電処理後、イソシアネート硬化型ポリエステル系ウレタン樹脂(URLSメジウム;東洋インキ製造株式会社製)をグラビア塗工法にて乾燥後の塗布量1g/m2に塗工した。次に、厚さ0.09mmのポリプロピレン系樹脂製着色シート(OW;理研ビニル工業株式会社製)の両面をコロナ放電処理後、片面にイソシアネート硬化型ポリエステル系ウレタン樹脂をバインダーとし着色顔料を含有する印刷インキ(URLSインキ;東洋インキ製造株式会社製)を使用しグラビア印刷法にて下地着色ベタ層を含む木目柄を印刷し、該印刷面に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂80重量部とウレタン系樹脂20重量部との混合樹脂をグラビア塗工法にて乾燥後の塗布量1.5g/m2に塗工し、更に他面に、シリカ粉末を含むウレタン系プライマー剤をグラビア塗工法にて乾燥後の塗布量2g/m2に塗工してプライマー層を形成した。こうして得られた2枚のシートを使用して、以下、前記実施例1と同一の要領にてダブリングエンボス及びトップコート層の形成を行って、本発明の化粧シートを作製した。
【0045】
<実施例3>
まず、厚さ0.07mmのポリプロピレン系樹脂製クリヤーシート(OWクリヤー;理研ビニル工業株式会社製)の片面にコロナ放電処理後、イソシアネート硬化型ポリエステル系ウレタン樹脂(URLSメジウム)をグラビア塗工法にて乾燥後の塗布量1g/m2に塗工した。次に、厚さ0.12mmのアクリル樹脂製着色シートの片面に、イソシアネート硬化型ポリエステル系ウレタン樹脂をバインダーとし着色顔料を含有する印刷インキ(URLSインキ;東洋インキ製造株式会社製)を使用しグラビア印刷法にて下地着色ベタ層を含む木目柄を印刷し、該印刷面に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂90重量部とウレタン系樹脂10重量部との混合樹脂をグラビア塗工法にて乾燥後の塗布量1.5g/m2に塗工し、更に他面に、シリカ粉末を含むウレタン系プライマー剤をグラビア塗工法にて乾燥後の塗布量1g/m2に塗工してプライマー層を形成した。こうして得られた2枚のシートを、クリヤーシートの樹脂塗工面と着色シートの印刷面とを向かい合わせて、ダブリングエンボス法(温度120℃)にて熱ラミネートすると同時にクリヤーシート側の表面に木目導管模様のエンボスによる凹凸模様を施し、更に該エンボス面にコロナ放電処理後、イソシアネート硬化型ウレタン系樹脂(URV;東洋インキ製造株式会社製)を乾燥後の塗布量5g/m2に塗工して、本発明の積層シートである化粧シートを作製した。
【0046】
<実施例4>
まず、厚さ0.07mmのオレフィン系樹脂製クリヤーシート(出光石油化学株式会社製のオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂を製膜)の片面にコロナ放電処理後、イソシアネート硬化型ポリエステル系ウレタン樹脂(URLSメジウム;東洋インキ製造株式会社製)をグラビア塗工法にて乾燥後の塗布量1g/m2に塗工した。次に、厚さ0.07mmのポリエチレン系樹脂製着色シートの両面をコロナ放電処理後、片面にイソシアネート硬化型ポリエステル系ウレタン樹脂をバインダーとし着色顔料を含有する印刷インキ(URLSインキ;東洋インキ製造株式会社製)を使用しグラビア印刷法にて下地着色ベタ層を含む木目柄を印刷し、該印刷面に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂90重量部とウレタン系樹脂10重量部との混合樹脂をグラビア塗工法にて乾燥後の塗布量1.5g/m2に塗工し、更に他面に、シリカ粉末を含むウレタン系プライマー剤をグラビア塗工法にて乾燥後の塗布量1g/m2に塗工してプライマー層を形成した。こうして得られた2枚のシートを使用して、以下、前記実施例1と同一の要領にてダブリングエンボス及びトップコート層の形成を行って、本発明の化粧シートを作製した。
【0047】
<実施例5>
まず、厚さ0.07mmのオレフィン系樹脂製クリヤーシート(出光石油化学株式会社製のオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂を製膜)の片面にコロナ放電処理後、イソシアネート硬化型ポリエステル系ウレタン樹脂(URLSメジウム;東洋インキ製造株式会社製)をグラビア塗工法にて乾燥後の塗布量1g/m2に塗工した。次に、厚さ0.07mmのポリプロピレン系樹脂製着色シート(OW;理研ビニル工業株式会社製)の両面にコロナ放電処理後、片面にイソシアネート硬化型ポリエステル系ウレタン樹脂(URLSメジウム;東洋インキ製造株式会社製)をグラビア塗工法にて乾燥後の塗布量1g/m2に塗工し、該樹脂塗工面に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂80重量部とウレタン系樹脂20重量部との混合樹脂をバインダーとし着色顔料を含む印刷インキを使用しグラビア印刷法にて下地着色ベタ層を含む木目柄を印刷し、更に他面に、シリカ粉末を含むウレタン系プライマー剤をグラビア塗工法にて乾燥後の塗布量1g/m2に塗工してプライマー層を形成した。こうして得られた2枚のシートを使用して、以下、前記実施例1と同一の要領にてダブリングエンボス及びトップコート層の形成を行って、本発明の化粧シートを作製した。
【0048】
<実施例6>
まず、厚さ0.07mmの非結晶性1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエステル樹脂製クリヤーフィルム(リベスター;理研ビニル工業株式会社製)の片面に、イソシアネート硬化型ポリエステル系ウレタン樹脂(URLSメジウム;東洋インキ製造株式会社製)をグラビア塗工法にて乾燥後の塗布量1g/m2に塗工した。次に、厚さ0.07mmのポリプロピレン系樹脂製着色シート(OW;理研ビニル工業株式会社製)の両面にコロナ放電処理後、片面にイソシアネート硬化型ポリエステル系ウレタン樹脂をバインダーとし着色顔料を含有する印刷インキ(URLSインキ;東洋インキ製造株式会社製)を使用しグラビア印刷法にて下地着色ベタ層を含む木目柄を印刷し、更に該印刷面に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂90重量部とウレタン系樹脂10重量部との混合樹脂をグラビア塗工法にて乾燥後の塗布量1.5g/m2に塗工した。こうして得られた2枚のシートを、クリヤーシートの樹脂塗工面と着色シートの印刷面とを向かい合わせて、ダブリングエンボス法(温度120℃)にて熱ラミネートすると同時にクリヤーシート側の表面に木目導管模様のエンボスによる凹凸模様を施し、更に該エンボス面にイソシアネート硬化型ウレタン系樹脂(UCクリヤー;大日本インキ化学工業株式会社製)を乾燥後の塗布量5g/m2に塗工して、本発明の積層シートである化粧シートを作製した。
【0049】
<比較例1>
前記実施例1において、クリヤーシートの片面へのイソシアネート硬化型ポリエステル系ウレタン樹脂の塗工と、着色シートの印刷面への塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂とウレタン系樹脂との混合樹脂の塗工とを省略し、その他は前記実施例1と全く同一の要領にて積層シートである化粧シートを作製した。
【0050】
<比較例2>
前記実施例1において、クリヤーシートの片面へのイソシアネート硬化型ポリエステル系ウレタン樹脂の塗工を省略し、その他は前記実施例1と全く同一の要領にて積層シートである化粧シートを作製した。
【0051】
<比較例3>
前記実施例1において、着色シートの印刷面への塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂とウレタン系樹脂との混合樹脂の塗工を省略し、その他は前記実施例1と全く同一の要領にて積層シートである化粧シートを作製した。
【0052】
<性能比較>
上記実施例1〜6及び比較例1〜3の化粧シートについて、剥離強度試験及び耐熱クリープ試験を行い、性能を比較した。但し、剥離強度試験は、引張試験機を使用し剥離速度50mm/minの条件にてクリヤーシートと着色シートとの180度剥離強度を測定し、耐熱クリープ試験は、70℃雰囲気中での500g荷重で1時間経過後、着色シートからのクリヤーシートのT字型剥離距離を測定した。
【0053】
【0054】
以上のように、本発明によれば、オレフィン系樹脂を中心とした非塩化ビニル系の熱可塑性樹脂からなる積層シートに、熱ラミネート法によって十分な密着性及び耐熱密着性を発現させることができることが示された。
【0055】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の積層シート及びその製造方法によれば、ポリ塩化ビニル樹脂以外の熱ラミネート適性に劣る熱可塑性樹脂からなる積層シートであっても、十分な密着性を確保しつつ熱ラミネート法により簡便に製造することが可能となり、以てポリ塩化ビニル代替熱可塑性樹脂製の積層シート製品を、多品種少量生産への対応も容易な簡便な製造方法により、生産性良く効率的且つ安価に製造することができるので、地球環境保護への対応が強く要請される現代にあっては、産業界の発展に貢献するところ頗る大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層シートの実施の形態を示す模式断面図である。
【図2】本発明の積層シートの実施の形態を示す模式断面図である。
【図3】本発明の積層シートの製造方法の実施の形態を示す概略工程図である。
【図4】本発明の積層シートの製造方法の実施の形態を示す概略工程図である。
【符号の説明】
1・・・積層シート
11・・第1の熱可塑性樹脂シート
12・・第1の中間樹脂層
13・・第2の中間樹脂層
14・・第3の中間樹脂層
15・・第2の熱可塑性樹脂シート
16・・エンボスによる凹凸模様
17・・トップコート層
18・・プライマー層
21・・押圧ロール
22・・押圧ロール
23・・エンボスロール
Claims (2)
- 第1の熱可塑性樹脂シートに、ポリエステル系ウレタン樹脂からなる第1の中間樹脂層と、ウレタン系樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂との混合樹脂からなる第2の中間樹脂層と、ポリエステル系ウレタン樹脂からなる第3の中間樹脂層とを順次介在させて、第2の熱可塑性樹脂シートを積層し、前記第1、第2及び第3の中間樹脂層は、顔料を含有したインキの刷り重ねにより絵柄状に形成された絵柄層であって、該絵柄の面積率が70%以上であり、前記第1の熱可塑性樹脂シートの裏面にプライマー層を形成し、前記第2の熱可塑性樹脂シート上にトップコート層を有し、180度剥離強度値が770N/m以上であることを特徴とする積層シート。
- 前記第1及び第2の熱可塑性樹脂シートのそれぞれが、ポリオレフィン系樹脂又はポリエステル系樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の積層シート。
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