JP3736200B2 - 変速操作レバー傾斜角度調整装置 - Google Patents

変速操作レバー傾斜角度調整装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トランスミッションと変速操作レバーとが、索動ケーブル(ワイヤケーブル)により接続されたケーブル式変速操作ユニットに適用される、変速操作レバー傾斜角度調整装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ドライバの乗降性や操作性を向上させるために、その設置位置を調整可能なギアチェンジユニットが開発されている。
例えば、特公平7−85973号公報には、ギアチェンジレバーの位置を調整可能な電気接点型のギアチェンジユニットが開示されている。
【0003】
このギアチェンジユニットは、インストルメントパネルカバーあるいはフロアパネルに下端が固定された固定支柱と、この固定支柱の上端にテレスコープ的に摺動可能に嵌め合わせられる可動支柱と、ギアチェンジレバーをそなえてこの可動支柱の上端に取り付けられる電気接点型のギアチェンジボックスと、可動支柱を固定支柱の複数の所定位置に固定しうるロック機構とをそなえて構成される。
【0004】
この技術では、ドライバが、可動支柱を、固定支柱の任意の位置に固定することで、ドライバの操作し易いようにギアチェンジレバー(ギアチェンジボックス)の位置を調節することができる。また、大型バスのように、ギアチェンジユニット側からドライバが乗り降りする場合には、ギアチェンジボックス(可動支柱)を固定支柱側に引き込むことにより、ドライバがギアチェンジユニットに邪魔されずに車両から乗り降りできる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年では、運転席の位置やドライバの体格やステアリング傾斜角度や好み等に応じて、ギアチェンジレバーの傾斜角度の調整を行ないたいというドライバからの要望があるが、上述の技術では、ギアチェンジレバーは、可動支柱を介して固定支柱上をテレスコープ的に摺動する構造であるため直線的な位置調整しか行なえず、このようなギアチェンジレバーの傾斜角度の調整を行なうことはできない。
【0006】
本発明は、このような要望に応えるべく創案されたもので、簡素な構成で変速操作レバー(ギアチェンジレバー)の傾斜角度を調整できるようにした、変速操作レバー傾斜角度調整装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1記載の変速操作レバー傾斜角度調整装置では、調整機構により、アウタケーブル及びアウタケーブル内に挿通されたインナケーブルをそなえてトランスミッションと変速操作レバーとを繋ぐ索動ケーブルの変速操作レバー側の端部を、アウタケーブルとインナケーブルとの相対的な位置関係を保持したまま移動させることにより、変速操作レバーの傾斜角度が調整される。
【0008】
請求項2記載の変速操作レバー傾斜角度調整装置では、請求項1記載の変速操作レバー傾斜角度調整装置において、ラック及びピニオンの他方に接続された調整機構の操作部を操作して、アウタケーブルと結合されるラック及びピニオンの一方を、アウタケーブルとともに一体に移動させることにより、変速操作レバーの傾斜角度が調整される。
【0009】
請求項3記載の変速操作レバー傾斜角度調整装置では、請求項1記載の変速操作レバー傾斜角度調整装置において、調整機構にそなえられたアクチュエータが、運転席の位置及びステアリング位置の少なくとも一方からの情報に基づいてラックと噛合するピニオンを駆動し、変速操作レバーの傾斜角度が調整される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明する。
まず、本発明の第1実施形態としての変速操作レバー傾斜角度調整装置について図1〜図5を参照しながら説明する。
本発明の第1実施形態としての変速操作レバー傾斜角度調整装置(以下、レバー傾斜角度調整装置ともいう)は、図1に示すチェンジレバー(変速操作レバー)12の傾斜角度θをドライバの操作しやすい角度に調整する装置である。
【0011】
ここで、チェンジレバーアッセンブリ(以下、略してチェンジレバーアッシともいう)10は、図2に示すように、インストルメントパネル(以下、略してインパネともいう)1又はフロア4に設置され、図1に示す索動ケーブル15により図示しないトランスミッション側変速部材に接続されている。なお、図2中の符号2はステアリング機構、符号3は運転席(以下、ドライバーズシート又はシートともいう)である。また、索動ケーブル15は、図1に示すようにアウタケーブル16とアウタケーブル16内に挿通されたインナケーブル17とをそなえて構成されている。なお、図1及び図2において、チェンジレバーアッシ10及び後述するチェンジレバー傾斜角度の調整装置に相当する部分には、一点鎖線の長円を付す。
【0012】
チェンジレバーアッシ10は、図1及び図2に示すように、インパネ1に固設されるチェンジレバーブラケット11と、このチェンジレバーブラケット11にチェンジレバー支持ピン(以下、単に支持ピンという)11aを介して車体の前後方向に傾斜可能に取り付けられたチェンジレバー12と、チェンジレバー12の上端に付設されるシフトノブ12aとをそなえて構成されている。チェンジレバー12の下部には、腕部13が突設されており、この腕部13の下端13aとトランスミッション側変速部材とが、索動ケーブル15のインナケーブル17によって接続されている。
【0013】
そして、車体前後方向(シフト方向)及び車体左右方向(セレクト方向)のチェンジレバー12の傾動が索動ケーブル15のインナケーブル17を介してトランスミッションに伝達されるようになっている。なお、索動ケーブル15において、アウタケーブル16はインナケーブル17の形状を規定するガイドとして機能し、チェンジレバー12の操作時には、この操作力がインナケーブル17に入力され、インナケーブル17はアウタケーブル16に案内されつつアウタケーブル16内を移動して、トランスミッションの要部を駆動できるようになっている。
【0014】
さて、本実施形態の変速操作レバー傾斜角度調整装置は、一対のラック21とピニオン22とからなる調整機構により索動ケーブル15のチェンジレバー12側の端部15aの位置を調整することで、トランスミッションに影響を及ぼすことなしに、チェンジレバー12を、支持ピン11aを中心に傾斜させることができるようになっており、これによりドライバがチェンジレバー12の傾斜角度θを操作しやすい角度に調整できるようになっている。
【0015】
ここで、レバー傾斜角度調整装置について詳細に説明すると、レバー傾斜角度調整装置は、図1に示すように、互いに噛合する一対のラック21とピニオン22とをそなえて構成される。なお、この実施形態では、ラック21は略鉛直に設けられ、ピニオン22が回動すると、図中で上下方向に移動するようになっている。
【0016】
アウタケーブル16のチェンジレバー12側の端部16a近傍には、支持金具24を介してアウタケーブルブラケット23が取り付けられており、ラック21は、このアウタケーブルブラケット23に一体的に取り付けられている。
一方、ピニオン22は、回転可能に車体側に軸支されるとともに、傾斜角度調整ノブ(操作部)22aに接続されている。また、この傾斜角度調整ノブ22aは、図2に示すように運転席3近傍に配設されている。
【0017】
したがって、ドライバが、傾斜角度調整ノブ22aを手動操作することによりピニオン22が回動してラック21が移動し、これにより、アウタケーブルブラケット23を介してラック21に取り付けられたアウタケーブル16の端部16aが移動するようになっている。
そして、このとき、アウタケーブル16内に挿通されたインナケーブル17は、アウタケーブル16に沿ってアウタケーブル16とともに移動する(即ち、アウタケーブル16とインナケーブル17とが相対的な位置関係を保持したまま移動する)ので、インナケーブル17の一端に腕部13を介して接続されたチェンジレバー12を、支持ピン11aを中心に車体の前後方向に傾斜させることができるようになっている。
【0018】
これにより、例えば、図3に示すように、チェンジレバー12がニュートラルの状態において、ドライバの操作しやすいように、チェンジレバー12を支持ピン11aを中心に前方に傾斜させるか、または、手前側(ドライバ側)に傾斜させることができるようになっている。
つまり、例えば、標準位置(図3中ではB0で示す傾斜角度θが略90度となるニュートラルの状態)において、ドライバが手作業で図1に示す傾斜角度調整ノブ22aを操作して、ピニオン22を一方向に回転させてラック21を移動させると、ラック21及びアウタケーブルブラケット23が、アウタケーブル16のチェンジレバー12側の一端16aとともに支持ピン11aから遠ざかる方向(図1では、アウタケーブルブラケット23を下降させる方向)に動くようになっているのである。
【0019】
このとき、上述のように、アウタケーブル16とインナケーブル17との相対的な位置関係は保持されるようになっている。したがって、インナケーブル17の一端15aに接続された腕部13の下端13aが引張られて、これに応じてチェンジレバー12は、支持ピン11aを中心に傾斜して、ドライバ側にΔθ1だけ傾いた状態(図3中ではB2で示す状態)となるようになっているのである。
【0020】
一方、ニュートラルの標準位置(図3中ではB0で示す状態)において、傾斜角度調整ノブ22aを他方向に回転させることにより、アウタケーブルブラケット23を支持ピン11aに近づけると(図1では、アウタケーブルブラケット23を上昇させると)、これに応じてチェンジレバー12は支持ピン11aを中心に傾斜して、前方に角度Δθ2だけ傾いた状態(図3中ではB1で示す状態)となるようになっている。
【0021】
なお、このように設定されたチェンジレバー12の傾斜角度は、チェンジレバー12を何れのレンジ(又は変速段)に設定しても保持されるようになっている。つまり、例えば、チェンジレバー12を前方に角度Δθ2だけ傾斜するように調整した場合には、チェンジレバー12を何れのレンジ(又は変速段)に設定したとしても、傾斜角度を調整していない標準状態(ニュートラルにおいて、チェンジレバー12が図3中にB0で示す位置にある状態)で同じレンジに設定した場合に較べて、チェンジレバー12は、前方に角度Δθ2だけ傾斜した状態になるのである。
【0022】
また、チェンジレバー12を傾斜させるために索動ケーブル15のチェンジレバー12側の一端15aを変位させているが、このような変位が索動ケーブル15の他端(トランスミッション側)に影響を及ぼしてトランスミッションの変速段が変更されてしまうようなことはない。索動ケーブル15には、アウタケーブルブラケット23とトランスミッション側変速部材との間に十分な撓みを有しており、索動ケーブル15のチェンジレバー12側の一端15aが変位するとこの撓みの状態が変化しながら一端15aの変位を吸収して、トランスミッション側変速部材に接続する索動ケーブル15の他端が変位しないようになっているのである。通常は、アウタケーブル16の他端(トランスミッション側)は、固定されており、上記撓みを利用して、アウタケーブル16の一端(アウタケーブルブラケット23側)のみが移動できるようになっている。また、アウタケーブル16の一端が移動するとインナケーブル17の一端もこれに沿って移動し、アウタケーブル16とインナケーブル17とが相対的な位置関係を保持したまま移動するようになっているのである。
【0023】
また、ラック21及びピニオン22には、図示しない規制手段が設けられており、ラック21からの入力によりピニオン22が駆動されることがない(つまり、ラック21に力が加えられても、ラック21は規制手段により規制されて移動しない)ようになっている。したがって、例えば、チェンジレバー12がニュートラルに入った状態から他のレンジに切り換えたときに、チェンジレバー12(腕部13)の下端13aの移動とともに、腕部下端13aに接続されたインナケーブル17が移動して、アウタケーブル16がインナケーブル17と一体移動しようとするが、このときにアウタケーブルブラケット23を介してラック21に固定されたアウタケーブル16は、この動きに抗するように働く規制手段の移動規制作用により移動しないようになっている。このような移動規制手段としては、例えば傾斜角度調整ノブ22aにロック機構を設けて、調整時には、このロック機構を解除して、調整を行なうようにすればよい。
【0024】
つまり、ドライバが通常の変速操作によりチェンジレバー12を傾斜させたときには、インナケーブル17はチェンジレバー12とともに移動するが、ラック21に固設されたアウタケーブル16は上述の規制手段により規制されて移動しないので、アウタケーブル16は固定したガイド部材として機能し、インナケーブル17は、アウタケーブル16内をアウタケーブル16と独立して移動し、これにより、インナケーブル17のチェンジレバー12側の一端15aの変位が、トランスミッション側の他端に伝達されて、ギアチェンジが行なわれるようになっているのである。
【0025】
本発明の第1実施形態としての変速操作レバー傾斜角度調整装置は、上述のように構成されているので、従来のチェンジレバーアッシの構造を殆ど変更することなしに、ラック21とピニオン22とを用いて索動ケーブル15のチェンジレバー12側の一端15aを変位させるという簡素な構成により、チェンジレバー12の傾斜角度θを調整して、ドライバの体格や好みに応じたドライビングポジションを得ることができるという利点がある。
【0026】
なお、本実施形態の変速操作レバー傾斜角度調整装置では、索動ケーブル15を鉛直に配設しているが、図4に示すように水平に配設してもよい。この場合、水平に置かれた索動ケーブル15の端部15aの位置を変更すべく、図示するようにラック21の移動方向が水平方向となるようにラック21及びピニオン22を配設する。索動ケーブル15を、鉛直に置くか又は水平に置くかは、車室内の状況に応じて、設置しやすい方を適宜に選択すればよい。
【0027】
また、図5に示すように、傾斜角度調整ノブ22aの代わりに、アクチュエータ(例えば、ステッピングモータ等のモータ)35を設け、このアクチュエータ35によりピニオン22を回転駆動するようにしてもよい。この場合、ドライバは、ドライバズシート3の近傍に設置された図示しないスイッチを操作してこのアクチュエータ35の作動,非作動及び回転方向を制御することにより、チェンジレバー12の傾斜角度θを調整することができる。
【0028】
次に、本発明の第2実施形態としての変速操作レバー傾斜角度調整装置について図6〜図15を参照しながら説明する。なお、以下では、上述の第1実施形態で説明した部材と同一の部材については、同一の符号を付しその説明を省略する。
本実施形態のレバー傾斜角度調整装置は、第1実施形態のレバー傾斜角度調整装置に対して、ドライバのシートポジションやステアリング位置及び角度等、ドライビングポジションに応じてチェンジレバー12の傾斜角度θの調整を自動で行なえるように構成されている。
【0029】
つまり、本実施形態のレバー傾斜角度調整装置には、図6に示すように、ピニオン22に、ピニオン22を回転駆動するアクチュエータ(例えば、ステッピングモータ等のモータ)35が付設されており、後述するように、このアクチュエータ35がドライビングポジションに応じて制御されることにより、チェンジレバー12の傾斜角度θが自動調整されるようになっているのである。なお、アクチュエータ35は車体側に取り付けられている。
【0030】
また、アウタケーブルブラケット23にはチェンジレバー12の傾斜角度θを検出するレバーセンサ43が付設されており、アクチュエータ35によるチェンジレバー12の傾斜角度θの調整は、このレバーセンサ43から出力された検出信号に基づきフィードバック制御されるようになっている。なお、レバーセンサ43は、アウタケーブルブラケット23の位置情報に基づきチェンジレバー12の傾斜角度θを検出又は算出するようになっている。
【0031】
なお、図6には、ラック21,ピニオン22及びアクチュエータ35回りの要部構成しか示していないが、チェンジレバー12を傾斜させるためのチェンジレバー12とピニオン22との間の伝達機構及びチェンジレバーアッシ10の構成は、第1実施形態と同じ構成となっているので説明を省略する(図1参照)。
また、本レバー傾斜角度調整装置がそなえられるステアリング機構2は、図7に示すように、チルト操作及びテレスコピック操作(又はテレスコ操作とも言う)が可能に構成されている。
【0032】
すなわち、ステアリング機構2は、車両に対して角度調整可能な上部ステアリングシャフト2bと、車両に対して取付け角度が固定された下部ステアリングシャフト2cと、これら2つのステアリングシャフト2b,2cを接続するジョイント2dとをそなえており、上部ステアリングシャフト2bの傾きを調整することで、ステアリングホイール(ステアリング)2aの傾きをドライバの好みに応じて任意の傾きに調整できるようになっている(チルト操作)。
【0033】
また、上部ステアリングシャフト2b内には、スプラインが形成されたシャフト2eが設けられている。このシャフト2eは、上部ステアリングシャフト2bに対して進退可能に構成されるとともに、任意の進退位置で固定可能に構成されており、シャフト2eの進退位置を調整することでステアリングホイール2aの位置をドライバの好みに応じた任意の位置に調整できるようになっている(テレスコピック操作)。
【0034】
そして、ステアリング機構2には、さらに、チルト角度を検出するチルトセンサ41及びテレスコピック量を検出するテレスコセンサ42が設けられており、これらのセンサ41,42から出力された検出信号に応じて、チェンジレバー12の傾斜角度θが自動的に調整されるようになっている。
図8は本第2実施形態にかかるレバー傾斜角度調整装置の要部構成を示す機能ブロック図である。図8に示すように、上述したアクチュエータ35は、コントローラ40に接続されており、このコントローラ40からの制御信号に基づいてその作動が制御されるようになっている。
【0035】
また、車両には上記センサ41,42をはじめとして、各種のセンサ類41〜56が設けられている。これらの各センサ類41〜56は、いずれもコントローラ40に接続されており、コントローラ40では、これらの各センサ類41〜56からの検出情報に基づいて、アクチュエータ35に対する制御信号を設定するようになっている。
【0036】
そして、このような構成により、ドライバのシートポジションやステアリング位置及び角度等、ドライビングポジションに応じてチェンジレバー12の傾斜角度θを調整することができるようになっているのである。
次に、図8を用いてこのようなアクチュエータ35の制御系について説明すると、ステアリング機構2には、上述のようにチルト角度を検出するチルトセンサ41及びテレスコピック量を検出するテレスコセンサ42が設けられている。また、上述のようにアウタケーブルブラケット23には、チェンジレバー12の傾斜角度θを検出しうるレバーセンサ43が設けられている。
【0037】
さらに、運転席(ドライバズシート)3(図2参照)には、シート3のスライド位置,リクライニング角度及びシート高さをそれぞれ検出しうるスライドセンサ45,リクライニングセンサ46及びハイトセンサ47が設けられている。
また、運転席近傍には、スタンダードスイッチ48,メモリスイッチ49,キャンセルスイッチ50,ストップスイッチ51,ポジションスイッチ52及びマニュアルスイッチ53が設けられている。なお、これらの各スイッチ48〜53の機能については後述する。
【0038】
また、車両側には、イグニッションオンになるとこれを検出するイグニッションスイッチ54、車速を検出する車速センサ55及び運転席のドアの開閉に連動してオンオフ信号を発するドアスイッチ56が設けられている。
そして、上述の各種のセンサ類41〜56からの情報に基づいてコントローラ40でアクチュエータ35に対する制御信号が設定され、この制御信号に基づいてアクチュエータ35及びピニオン22が所定量だけ回動して、チェンジレバー12の傾斜角度θが調整されるようになっている。
【0039】
そして、この第2実施形態では、チェンジレバー12の傾斜角度θの調整に関して、以下の複数のモードが設定されている。以下、それそぞれのモードについて説明する。
▲1▼マニュアルスイッチ53の操作による設定
ドライバの意思を最優先させたモードであって、チェンジレバー12の傾斜角度θの設定をドライバが自ら調整するモードである。ここでは、マニュアルスイッチ53が操作されると、各センサ41〜47からの検出情報とは無関係に、ストップスイッチ51が操作されるまでアクチュエータ35が作動するようになっている。つまり、ドライバがこのマニュアルスイッチ53を操作することにより、シートポジションやステアリングの角度等に関係なく独立してチェンジレバー12を好みの傾斜角度θに調整できるようになっている。
▲2▼リモコンキー57による設定
ドアのロック・アンロックを行なうリモコンキー57を用いてチェンジレバー12の傾斜角度θの調整を自動的に行なうものであり、ここでは、リモコンキーコントローラ58により、リモコンキー57によるドアのロック・アンロック操作が認識されるようになっている。そして、リモコンキー57によりドアがロックされると、コントローラ40には、このときのイグニッションオフ直前のチェンジレバー12の傾斜角度θが記憶されるようになっている。
【0040】
そして、次回、上記のリモコンキー57によりドアが解錠(アンロック)されると、リモコンキーコントローラ58によりリモコンキー57による解錠が認識され、前回の(イグニッションオフ直前の)チェンジレバー12の傾斜角度θが再生されるようになっている。
▲3▼スタンダードスイッチ48による標準位置への自動設定
チェンジレバー12の傾斜角度θを、予めコントローラ40内に設定された標準角度に設定するとともに、シート位置,ステアリングのチルト角及びテレスコ操作量に連動して、チェンジレバー12の傾斜角度θを標準位置から自動的に修正するものである。
【0041】
つまり、スタンダードスイッチ48が操作されると、チェンジレバー12は自動的にシート位置及びステアリングの角度,位置に応じて、最も標準的な傾斜角度θにチェンジレバー12が自動的に調整されるようになっている。
ここで、コントローラ40内には、ステアリングのチルト角及びテレスコ操作量やシート位置が予め設定された基準位置にあるときのチェンジレバー12の傾斜角度θが予め設定されている(チェンジレバー12の標準位置)。また、コントローラ40には、チルトセンサ41,テレスコセンサ42,スライドセンサ45,リクライニングセンサ46及びハイトセンサ47からの各情報をパラメータとして、シート位置及びステアリング機構が調整されるとこれに追従してチェンジレバー12の傾斜角度θを修正するためのマップ(図示省略)又は演算手段が設けられている。
【0042】
そして、スタンダードスイッチ48が操作されたときに、ステアリングのチルト角及びテレスコ操作量やシート位置が基準の位置にあれば、チェンジレバー12が上述したような標準位置に設定されるのである。また、ステアリングがチルト操作やテレスコ操作されていたり、シート位置が調整されていたりすると、上記センサ41,42,45〜47からの情報に基づいて、チェンジレバー12の傾斜角度θが自動的に連動修正されるようになっているのである。これにより、ドライバの体格や好みを反映したチェンジレバー傾斜角度θが自動的に設定されるようになっているのである。
【0043】
なお、このようにして、チェンジレバー12の傾斜角度θが設定された後に、ドライバがシート位置やステアリング機構を調整した場合にも、その都度、これらの操作に連動してチェンジレバー12の傾斜角度θが修正されるようになっている。例えば、上述したようなスタンダードスイッチ48の操作によりチェンジレバー12の傾斜角度θが設定された後に、マニュアル操作でシート3のリクライニング角度を調整した場合、コントローラ40によりステアリング及びシート位置からドライバの肩の位置や腕の長さ等が算出(又は推定)され、ドライバに適したチェンジレバー傾斜角度θが設定される。そして、このチェンジレバー傾斜角度θとなるように、アクチュエータ35への制御信号が設定されて、チェンジレバー12の傾斜角度θが自動的に連動修正されるのである。ただし、キャンセルスイッチ50を操作した場合には、このような連動修正の機能はキャンセルされるようになっている。
▲4▼メモリスイッチ49及びポジションスイッチ52による設定
メモリスイッチ49は、チェンジレバー傾斜傾斜角度θを調整した後、この状態を記憶するものであり、ポジションスイッチ52はメモリスイッチ49により記憶された傾斜角度θを再生するためのものである。
【0044】
そして、イグニッションオン時にメモリスイッチ49が操作されると、このときのチェンジレバー傾斜角度θが自動的にコントローラ40に記憶されるようになっている。また、その後イグニッションを再びオンにしてポジションスイッチ52を操作すると、前回メモリスイッチ49により記憶されたチェンジレバー傾斜角度θが自動的に再生されるようになっている。
▲5▼乗降時のチェンジレバー傾斜角度連動動作
さて、この第2実施形態のレバー傾斜角度調整装置では、助手席側からの乗降性を向上させるべく、車両降車時に、チェンジレバー12の傾斜角度θが降車の妨げにならない方向に最大限傾斜するようになっている。この場合、イグニッションスイッチ54からの検出情報に基づいて、イグニッションオフで且つキーが抜かれたとコントローラ40で判定されると、アクチュエータ35に作動制御信号が設定されて、チェンジレバー12が最大限傾斜するようになっている。
【0045】
また、リモコンキー57によりドアがロックされると、▲2▼のリモコンキー57による設定と同様に、コントローラ40には、このときのイグニッションオフ直前のチェンジレバー12の傾斜角度θが記憶されるようになっている。そして、次回、上記のリモコンキー57によりドアが解錠(アンロック)されると、リモコンキーコントローラ58によりリモコンキー57による解錠が認識され、ドライバが乗車した後、このときの(イグニッションオフ直前の)チェンジレバー12の傾斜角度θが再生されるようになっている。
【0046】
なお、上述したマニュアルモード▲1▼を除く各モード▲2▼〜▲5▼において、チェンジレバー12の傾斜角度θの調整,記憶及び再生は、レバーセンサ43からの検出情報に基づいてアクチュエータ35の作動が制御されるようになっており、調整時または再生時には、レバーセンサ43からの情報に基づいてチェンジレバー12の傾斜角度θが所定の角度になったことが検出されると、コントローラ40からアクチュエータ35に作動停止信号が出力されるようになっている。
【0047】
ところで、上述の▲1▼〜▲5▼の各モードについては、制御の優先順位が設定されている。ここで、優先順位の高い順に説明すると、
1.マニュアルスイッチ53による動作
2.ストップスイッチ51による停止
3.記憶されたチェンジレバー傾斜角度θへの再生動作
4.チェンジレバー傾斜角度θの記憶動作(調整機能が停止状態のときのみ)
5.チェンジレバー傾斜角度θの標準角度設定動作
6.ステアリング及びシート位置に対する修正連動動作
7.乗降時連動動作
となる。
【0048】
また、上述のチェンジレバー12の傾斜角度θ調整の▲2▼〜▲5▼の各モードに対しては、以下のような禁止/停止条件が設けられており、下記の条件のうち1つでも成立すると、傾斜角度θの自動調整前であれば制御を禁止し、自動調整中であれば、制御を停止するようになっている。
1.車速が所定速度(例えば3km/h)以上
2.マニュアルスイッチ53がオン
3.フェイルセーフ機能により故障を検出
4.自動調整中、他のチェンジレバー傾斜角度調整制御指令を受信
5.ストップスイッチ51がオン
これらの条件は、主に安全性を考慮したものであって、1.は車速センサ55からの検出情報に基づいて制御を禁止(又は停止)するようになっている。また、2.はマニュアルスイッチ53がオンであれば、ドライバが自分の意思でチェンジレバーの傾斜角度θを調整しようとしていると判定して、他の自動調整を禁止する(又は停止させる)のである。
【0049】
また、3.は車両に設けられたフェイルセーフ機能により何らかの故障が検出された場合には、安全性を考慮して自動調整を禁止する又は停止させるものであり、4.は自動調整中にコントローラ40に他の制御指令が入力された場合には、予測不能な作動が生じることが考えられるため自動調整を停止させるものである。さらに、5.はドライバに自動調整を中止したいという意思があるものとして、制御を禁止(又は停止)するものである。
【0050】
本発明の第2実施形態としての変速操作レバー傾斜角度調整装置は、上述のように構成されているので、各モード▲1▼〜▲5▼の動作について説明すると以下のようになる。まず、▲1▼のマニュアル操作時の動作について、図9に示すフローチャートを用いて簡単に説明する。この場合には、イグニッションスイッチ54がオンになると制御がスタートする。そして、ステップS82でマニュアルスイッチ53が操作されたと判定されると、ステップS83でマニュアルスイッチ53の操作に応じてアクチュエータ35が駆動される。また、ステップS82でマニュアルスイッチ53が操作されていないと判定された場合には、そのままリターンする。
【0051】
これにより、チェンジレバー12の傾斜角度θの調整がドライバの好みに応じて調整される。
次に、▲2▼のリモコンキー57によるチェンジレバー傾斜角度θの自動記憶及び再生の動作の一例について、図10に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、ドアのアンロック(解錠)が検出されると制御がスタートする。そして、ステップS2では、この解錠がリモコンキー57によるものか否かがリモコンキーコントローラ58により判定される。リモコンキー57によるものであれば、ステップS3に進み、前回、リモコンキー57でドアロックしたときのチェンジレバー傾斜角度θへの再生動作が行われ、その後ステップS4に進む。また、リモコンキー57による解錠でなければ、そのままステップS4に進む。
【0052】
そして、ステップS4でイグニッションスイッチ54がオンになり、ステップS5でドライバが改めてチェンジレバー12の角度や位置を調整した後、ステップS6でイグニッションオフとなると、その後、ステップS7でドアロック操作が実行されたか否かが判定される。ドアロック操作が行なわれていない場合には、ステップS8に進みイグニッションスイッチ54が再びオンとなるとステップS5に戻る。
【0053】
一方、ドアロック操作が実行されると、リモコンキーコントローラ58により、上記ドアロックがリモコンキー57によるものか否かが判定される。リモコンキー57によるものであれば、ステップS9に進み、ステップS10でイグニッションオフ時のチェンジレバー傾斜角度θ(ステップS5でのチェンジレバー傾斜角度θ)がリモコンキー57のキーレスコードに対応して記憶され、その後リターンする。また、通常のキー又はドアロックノブの操作によるドアロックの場合には、ステップS11に進み、チェンジレバー傾斜角度θを記憶することなくリターンする。そして、次回リモコンキー57によりドアが解錠されると、今回記憶されたチェンジレバー傾斜角度θへの再生動作が行われるのである。
【0054】
次に、▲3▼のスタンダードスイッチ48によるチェンジレバー傾斜角度θの自動設定時の動作の一例について、図11に示すフローチャートを用いて説明する。まず、イグニッションスイッチ54がオンとなると制御がスタートする。そして、ステップS22でシートのスライド調整が実行されると、ステップS23でスタンダードスイッチ48が操作されたか否かが判定される。そして、スタンダードスイッチ48が操作されていなければ、そのままリターンする。
【0055】
また、上記ステップS23でスタンダードスイッチ48が操作されたと判定されると、ステップS24でチルトセンサ41,テレスコセンサ42,スライドセンサ45,リクライニングセンサ46及びハイトセンサ47からの情報がコントローラ40に入力される。
そして、ステップS25で、上記の各センサ41,42,45〜47からの検出情報に基づいてチェンジレバー12の目標傾斜角度が算出される。次に、ステップS26に進み、レバーセンサ43からの情報が取り込まれ、ステップS27でこれらの情報に基づいてアクチュエータ35の駆動量が計算される。そして、このアクチュエータ35を駆動するための制御信号が出力されて、ステップS28でアクチュエータ35が駆動される。
【0056】
これにより、チェンジレバー12が目標傾斜角度に調整される。なお、上述のステップS22は省略してもよい。また、ステップS22は、シートスライド調整に限られるものではなくシートのリクライニング調整やステアリングのテレスコピック操作でもよいし、これらを複合的に組み合わせたドライビングポジションの調整でもよい。
【0057】
次に、チェンジレバー傾斜角度θの再生動作後、又は標準角度の自動設定後に、シートリクライニング操作等が行なわれた場合のチェンジレバー12の傾斜角度θの連動修正の動作の一例について、図12に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、イグニッションスイッチ54がオンとなると制御がスタートする。そして、ステップS32でキャンセルスイッチ50がオンとなるとステップS33に進む。なお、ここでは、キャンセルスイッチ50がオンである場合に、連動修正が許可状態となり、キャンセルスイッチ50がオフである場合に連動修正の機能がキャンセルされるものとする。
【0058】
ステップS33では、記憶動作,再生動作又は標準設定のいずれかであるかが判定される。つまり、このステップS33では、チェンジレバー12の傾斜角度θを記憶したままの状態であるか、記憶された傾斜角度θを再生した状態であるのか、又はスタンダードスイッチ48により標準の傾斜角度θに設定された状態であるかが判定され、このうち1つでも該当していれば、次にステップS34に進み、いずれの状態でもないと判定されると、そのままリターンする。
【0059】
ステップS34に進んだ場合には、シートのリクライニングを調整したか否かが判定され、リクライニング調整をした場合にはステップS35に進み、そうでない場合には、リターンする。
ステップS35では、上述したステップS24と同様に、チルトセンサ41,テレスコセンサ42,スライドセンサ45,リクライニングセンサ46及びハイトセンサ47からの情報がコントローラ40に入力される。
【0060】
そして、ステップS36で、上記の各センサ41,42,45〜47からの検出情報に基づいてチェンジレバー12の目標傾斜角度が算出される。また、ステップS37で、レバーセンサ43からの情報が取り込まれ、その後、ステップS38でこれらの情報に基づいてアクチュエータ35の駆動量が計算される。そして、このアクチュエータ35を駆動するための制御信号が出力されて、ステップS39でアクチュエータ35が駆動される。
【0061】
これにより、チェンジレバー12がシートリクライニング操作等に連動して調整される。なお、上述のステップS34は、シートリクライニング調整に限られるものではなくシートのスライド調整やステアリングのテレスコピック操作等でもよいし、これらを複合的に組み合わせたドライビングポジションの調整でもよい。
【0062】
ただし、図12に示すフローチャートには反映されていないが、キャンセルスイッチ50がオン(即ち、連動修正許可状態)のときに、下記の条件がいずれか1つでも成立するとチェンジレバー12の傾斜角度θの連動修正動作が停止又はキャンセルされる。
1.イグニッションスイッチ54をオフにした時
2.チェンジレバー傾斜角度θの調整範囲が記憶可能範囲外になった時
3.マニュアルスイッチ53を操作した時
4.フェイルセーフ機能により故障を検出した時
さて、次に▲4▼のメモリスイッチ49及びポジションスイッチ52によるチェンジレバー傾斜角度θの記憶動作及び再生動作の一例について、図13及び図14に示すフローチャートを用いて説明する。
【0063】
まず、図13に示すフローチャートを用いて記憶動作について説明すると、イグニッションスイッチ54がオンとなると制御がスタートする。そして、ステップS42でマニュアルスイッチ53がオフか否かが判定される。マニュアルスイッチ53がオンであれば、このマニュアルスイッチ53による設定(マニュアルモード)が最優先されるため、NOのルートを通ってリターンする。
【0064】
また、マニュアルスイッチ53がオフであれば、ステップS43に進み、メモリスイッチ49がオンか否かが判定される。メモリスイッチ49がオンであればステップS44に進み、オフであればNOのルートを通ってリターンする。
そして、ステップS44でポジションスイッチ52がオンか否かが判定され、ポジションスイッチ52がオンであればステップS45に進み、オフであればリターンする。
【0065】
そして、ステップS45でレバーセンサ43の情報が取り込まれ、ステップS46でアクチュエータ35の駆動量が計算される。そして、このアクチュエータ35を駆動するための制御信号が出力される。
また、図14に示すフローチャートを用いて再生動作について説明すると、イグニッションスイッチ54がオンとなると制御がスタートする。そして、ステップS52でマニュアルスイッチ53がオフか否かが判定される。マニュアルスイッチ53がオンであれば、上述したように、マニュアルモードが最優先されるため、NOのルートを通ってリターンする。
【0066】
マニュアルスイッチ53がオフであれば、ステップS53に進み、ポジションスイッチ52がオンであるか否かが判定される。そして、ポジションスイッチ52がオフであれば、そのままリターンして、ポジションスイッチ52がオンであれば、ステップS54以下に進み、メモリスイッチ49により記憶されたチェンジレバー12の傾斜角度θを再生する。すなわち、この場合には、まず、ステップS54で、前回メモリスイッチ49の操作により記憶されたチェンジレバー12の傾斜角度θから、アクチュエータ35を駆動するための駆動信号を読み込み、その後ステップS55で各アクチュエータ35を所定位相だけ駆動するのである。そして、このような動作により、記憶されたチェンジレバー12の傾斜角度θが再生される。
【0067】
次に、図15に示すフローチャートを用いて、▲5▼の乗降時のチェンジレバー傾斜角度連動動作の一例について説明すると、まず、ドアのアンロック(解錠)が検出されると制御がスタートする。そして、ステップS62でこの解錠がリモコンキー57によるものか否かがリモコンキーコントローラ58により判定される。リモコンキー57によるものであれば、ステップS63に進み、ドライバが乗車した後、前回リモコンキー57でドアロックしたときのチェンジレバー傾斜角度θへの再生動作が行われる。また、リモコンキー57による解錠でなければ、そのままステップS64に進む。
【0068】
そして、ステップS65で運転席ドアが閉められて、ステップS66でイグニッションスイッチ54がオンになり、ステップS67でドライバのシート位置等のドライビングポジションが調整された後、ステップS68でイグニッションスイッチ54がオフとなり、ステップS69でキーが抜かれると、ステップS70でチェンジレバー傾斜角度θが乗降の妨げにならない方向に最大限傾斜する。なお、ステップS67は省略してもよい。
【0069】
その後、ステップS71でドアロック操作が実行されたか否かが判定される。ドアロック操作が行なわれていない場合には、ステップS64に戻り、以下、ステップS64〜S71のルーチンを繰り返す。
一方、ドアロック操作が行なわれると、リモコンキーコントローラ58により、上記ドアロックがリモコンキー57によるものか否かが判定される。リモコンキー57によるものであれば、ステップS72からステップS73に進み、イグニッションオフ時のチェンジレバー傾斜角度θがリモコンキー57のキーレスコードに対応して記憶される。また、通常のキー又はドアロックノブの操作によるドアロックの場合には、ステップS74に進み、チェンジレバー傾斜角度θを記憶することなくリターンする。
【0070】
以上詳述したように、本発明の第2実施形態としての変速操作レバー傾斜角度調整装置によれば、第1実施形態の利点に加えて、運転席の位置やドライバの体格やステアリング位置や好み等に応じて自動的にチェンジレバー12の傾斜角度θを調整できるという利点がある。
なお、この第2実施形態のレバー傾斜角度調整装置は、上述の構成に限定されるものではない。例えば、チェンジレバー12の傾斜角度θは、運転席の位置とステアリング位置との両位置に連動して制御されるようになっているが、運転席の位置とステアリング位置との何れか一方に連動して制御されるようにしてもよい。
【0071】
また、上述の実施形態では、索動ケーブル15を、鉛直に配設しているが、水平に配設してもよい。この場合、水平に置かれた索動ケーブル15の端部15aの位置を変更すべく、第1実施形態と同様にラック21の移動方向が水平方向となるようにラック21及びピニオン22を配設すればよい(図4参照)。
また、本発明の変速操作レバー傾斜角度調整装置は、上述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0072】
例えば、上述の各実施形態では、ピニオン22を車体側に、ラック21をアウタケーブル16に取り付けるようにしているが、ラック21を車体側に、ピニオン22をアウタケーブル16に取り付けるようにしてもよい。この場合、例えば、アウタケーブル16にアクチュエータを取り付け、このアクチュエータの駆動軸にピニオン22を取り付ければよい。これにより、アクチュエータによりピニオン22を回転駆動することにより、ピニオン22が、車体側に固定されたラック21上を移動し、アウタケーブル16が、ピニオン22(アクチュエータ)と一体となって移動するのである。なお、ピニオン22は手動により回転させるようにしてもよい。
【0073】
さらに、ラック21及びピニオン22の代わりに、一対のネジ及びナットによりレバー傾斜角度を調整する調整機構を構成してもよい。この場合、ネジ及びナットの一方を、回動自在且つ軸方向の移動を規制するようにして車体側に取り付け、ネジ及びナットの他方を、アウタケーブル16に固設すればよい。これにより、ネジ及びナットの一方を手動またはアクチュエータにより回動させて、ネジ及びナットの他方とともにアウタケーブル16を移動させるのである。
【0074】
また、ピニオン22の代わりに、ウォームを用い、さらに、ラック21にこのウォームと噛合する歯を形成してもよい。この場合、例えば、ウォームを回動自在且つ軸方向の移動を規制するようにして車体側に取り付け、このウォームを手動またはアクチュエータにより回動させることにより、ラック21とともにアウタケーブル16を移動させるのである。
【0075】
また、各実施形態では、チェンジレバー12は、車体の前後方向(シフト方向)の傾斜角度のみ調整しうる構造となっているが、車体の幅方向(セレクト方向)の傾斜角度のみ調整しうる構造、又は、車体の前後方向及び幅方向の両方向の傾斜角度を調整しうる構造としてもよい。
また、本発明のレバー傾斜角度調整装置が適用されるトランスミッションは、オートマチックトランスミッション及びマニュアルトランスミッションのいずれであってもよく、トランスミッションと変速操作レバーとをケーブルで繋ぐケーブル式の変速操作ユニットであれば、トランスミッションの機構についてはなんら限定されるものではない。
【0076】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1記載の変速操作レバー傾斜角度調整装置によれば、調整機構により、トランスミッションと変速操作レバーとを繋ぐ索動ケーブルの変速操作レバー側の端部を、アウタケーブルとインナケーブルとの相対的な位置関係を保持させたまま移動させて、索動ケーブルに接続された変速操作レバーの傾斜角度を調整することができる。したがって、従来の変速操作レバーの取付構造に調整機構を付設しただけの簡素な構成で変速操作レバーの傾斜角度を調整できるという利点がある。また、これによりドライバの体格や好みに応じたドライビングポジションを得ることができるという利点もある。
【0077】
請求項2記載の変速操作レバー傾斜角度調整装置によれば、調整機構のラック及びピニオンの他方に接続された操作部を操作して、アウタケーブルと結合されるラック及びピニオンの一方を、アウタケーブルとともに一体となって移動させることにより、索動ケーブルに接続された変速操作レバーの傾斜角度を調整する。したがって、請求項1記載の変速操作レバー傾斜角度調整装置と同様に、簡素な構成で変速操作レバーの傾斜角度を調整でき、又、ドライバの体格や好みに応じたドライビングポジションを得ることができるという利点がある。
【0078】
請求項3記載の変速操作レバー傾斜角度調整装置によれば、運転席の位置及びステアリング位置の少なくとも一方からの情報に基づいて、調整機構に付設されたアクチュエータがピニオンを駆動するので、運転席の位置及びステアリング位置の少なくとも一方に応じて、変速操作レバーの傾斜角度を自動的に調整できるという利点がある。又、ドライバの体格や好みに応じたドライビングポジションを、自動的に得ることができるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態としての変速操作レバー傾斜角度調整装置の構成を示す模式的な側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態としての変速操作レバーがそなえられる車室内の構成を模式的に示す側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態としての変速操作レバー傾斜角度の調整による変速操作レバーのニュートラル位置の移動を示す図であり、図2のX2部を示す模式的な側面図である(但し、チェンジレバーアッセンブリのみ示す)。
【図4】本発明の第1実施形態としての変速操作レバー傾斜角度調整装置の変形例の構成を示す模式的な側面図である。
【図5】本発明の第1実施形態としての変速操作レバー傾斜角度調整装置の変形例の要部構成を示す模式的な側面図である。
【図6】本発明の第2実施形態としての変速操作レバー調整装置の要部構成を示す模式的な側面図である。
【図7】本発明の第2実施形態にかかるステアリング機構の模式的な側面図である。
【図8】本発明の第2実施形態としての変速操作レバー傾斜角度調整装置の機能を説明するための模式的なブロック図である。
【図9】本発明の第2実施形態としての変速操作レバー傾斜角度調整装置の動作を説明するためのフローチャートの一例である。
【図10】本発明の第2実施形態としての変速操作レバー傾斜角度調整装置の動作を説明するためのフローチャートの一例である。
【図11】本発明の第2実施形態としての変速操作レバー傾斜角度調整装置の動作を説明するためのフローチャートの一例である。
【図12】本発明の第2実施形態としての変速操作レバー傾斜角度調整装置の動作を説明するためのフローチャートの一例である。
【図13】本発明の第2実施形態としての変速操作レバー傾斜角度調整装置の動作を説明するためのフローチャートの一例である。
【図14】本発明の第2実施形態としての変速操作レバー傾斜角度調整装置の動作を説明するためのフローチャートの一例である。
【図15】本発明の第2実施形態としての変速操作レバー傾斜角度調整装置の動作を説明するためのフローチャートの一例である。
【符号の説明】
2 ステアリング機構
2a ステアリングホイール(ステアリング)
3 運転席,ドライバズシート,シート
12 チェンジレバー(変速操作レバー)
15 索動ケーブル
15a 索動ケーブルの一端(索動ケーブルの変速操作レバー側の端部)
16 アウタケーブル
17 インナケーブル
21 ラック(調整機構)
22 ピニオン(調整機構)
22a 傾斜角度調整ノブ(操作部)
35 アクチュエータ(モータ)
θ 変速操作レバーの傾斜角度

Claims (3)

  1. アウタケーブル及び該アウタケーブル内に挿通されたインナケーブルをそなえトランスミッションと変速操作レバーとを繋ぐ索動ケーブルと、
    該索動ケーブルの該変速操作レバー側の端部を、該アウタケーブルと該インナケーブルとの相対的な位置関係を保持したまま移動させることにより該変速操作レバーの傾斜角度を調整可能な調整機構とをそなえている
    ことを特徴とする、変速操作レバー傾斜角度調整装置。
  2. 該調整機構が、操作部と、互いに噛合する一対のラック及びピニオンとをそなえて構成され、
    該ラック及び該ピニオンの一方が該アウタケーブルと結合されるとともに該ラック及び該ピニオンの他方が該操作部に接続され、
    該操作部での操作により、該ラック及び該ピニオンの該一方が、該アウタケーブルとともに一体となって移動するように構成されている
    ことを特徴とする、請求項1記載の変速操作レバー傾斜角度調整装置。
  3. 該調整機構が、互いに噛合する一対のラック及びピニオンと、該ピニオンを駆動しうるアクチュエータとをそなえ、
    該アクチュエータが、運転席の位置及びステアリング位置の少なくとも一方からの情報に基づいて該ピニオンを駆動するように構成されている
    ことを特徴とする、請求項1記載の変速操作レバー傾斜角度調整装置。
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