JP3736102B2 - ウレタンスポンジロール及びその製造方法 - Google Patents

ウレタンスポンジロール及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、ウレタンスポンジロール及びその製造方法に係り、特に複写装置、画像記録装置、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置におけるトナー供給ロール、現像ロール、クリーニングロール、転写ロール等として好適に用いられ得るウレタンスポンジロールと、それを有利に製造し得る方法に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、複写装置や画像記録装置、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置においては、電子写真感光体や静電記録誘電体等からなる像担持体上に形成した静電潜像を、現像装置の現像ロールから供給されるトナー(現像剤)により現像して、トナー像として可視化することが行なわれているが、そのような現像装置においては、また、ホッパー内に収容された所定のトナーを現像ロールに供給し、更に像担持体側に供給するための、軟質の弾性ロールからなるトナー供給ロールが内蔵せしめられており、更に、形成されたトナー像を転写紙に転写せしめるための転写ロールや、像担持体表面の転写残像や残存トナーを除去するためのクリーニング装置におけるクリーニングロールにも、所定の弾性ロールが用いられている。
【0003】
そして、このような画像形成装置において用いられる各種の弾性ロールの一つのタイプのものとして、ロール軸となる長手棒状の芯金の周りに、所定厚さのウレタンスポンジ層を有するウレタンスポンジロールが提案されている。例えば、特開平3−155575号公報や特開平6−301281号公報等には、かかるウレタンスポンジ層のセル径や1インチ当たりのセル数を規定したウレタンスポンジロールからなるトナー供給ロールが明らかにされており、また、特開平2−287576号公報や特開平4−55873号公報、特開平7−36273号公報等には、現像装置における現像ロールとして、ウレタンスポンジロールを用いることが明らかにされている。そして、特開平5−35110号公報には、トナー搬送ロール、帯電ロール、転写ロール、クリーニングロール等の、静電気的に対象物をコントロールする目的で用いられる導電性ロールに使用される、ロール用発泡体の製造方法として、ロール形状の成形型内において、芯金と一体で発泡成形せしめることにより、かかる芯金の周りに一体的にウレタンスポンジ層を形成せしめる手法も明らかにされている。
【0004】
さらに、本願出願人にあっても、先に、特開平9−274373号公報において、トナー供給ロール及びその製造方法として、芯金の周りに、硬度が350g以下の、連続した滑らかな表面を形成するスキン層を有する軟質のウレタンスポンジ層を形成し、且つ該スキン層の直下に位置する各セルが、それぞれ100〜800μmの開口径において、独立して外部に開口し、更にそれらセルの開口全面積がスキン層表面の20%以上を占めるように構成したウレタンスポンジロール、更にはそのようなウレタンスポンジロールを、最終ロール形状を呈する成形キャビティ内でのウレタンスポンジ原料の発泡成形操作により、製造する手法を明らかにした。
【0005】
ところで、このような従来の一体成形手法により製造されるウレタンスポンジロールにあっては、その表面層に存在する表面セルの大きさが均一ではなく、セルの配列も不規則なものであった。そして、そのような表面性状の故に、ウレタンスポンジロールを、前記した各種用途に用いた場合において、少なからぬ問題を発生することとなり、例えば、トナー供給ロールの場合にあっては、微細な表面セルのバラツキが、画像のムラとなって現れることがあり、特に高解像度、高画質の画像形成装置になればなる程、そのような問題の発生が顕著となるのである。また、転写ロールに用いた場合にあっては、そのロール表面に粗大なセルが存在すると、転写ムラとなって現れ易い問題となるのである。
【0006】
なお、かかるウレタンスポンジロールにおける表面セルの均一化を図るには、発泡成形されるウレタンスポンジ層におけるセル径を充分に小さくすることが考えられるが、そうすると、トナー供給ロールの場合にあっては、トナーの目詰まりが生じ易く、トナーの供給性能並びに掻き取り性能において、共に、問題を生じることとなるのである。特に、セル径が100〜500μmのウレタンスポンジ層を有するロールにおいて、そのようなセル径の範囲内で均一な表面セルを得ることは、一体発泡成形操作にて製造されるウレタンスポンジロールにあっては、非常に困難なことであったのである。
【0007】
また、発泡成形されるウレタンスポンジ層において、その表面セルが均一とならない原因は、ウレタンスポンジ原料混合時の巻き込みエアや発泡時の発生ガスが、成形型内において均一に分散し難いためであるところから、それらの均一分散性を確保するために、一般にシリコーン系等の整泡剤が用いられることとなるが、それによって、全体的にセルサイズを小さくすることは出来ても、均一性の点においては、未だ充分とは言えないものであった。このように、ウレタンスポンジ層における表面の粗大気泡やセルムラの発生は、一体成形手法においては有効な防止手段がなく、その製造時の歩留りを著しく悪化させているのが実情である。
【0008】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その課題とするところは、表面セルが均一で且つ規則的に配列している、表面特性に優れたウレタンスポンジロールを提供することにあり、また、そのような優れた特性を有するウレタンスポンジロールを容易に且つ工業的に有利に製造し得る方法を提供することにある。
【0009】
【解決手段】
そして、そのような課題を解決するために、本発明者らは、一体発泡成形手法によって、芯金の周りにウレタンスポンジ層を一体的に形成して、目的とするウレタンスポンジロールを製造せしめる手法について、種々検討を行なった結果、一体発泡成形時の成形型内面に、所定高さの凸条を規則的に設けることにより、かかる成形型内でウレタンスポンジ原料が発泡せしめられるときに、表面セルがそれら凸条間の凹所に沿って規則的に配列することを見出したのであり、その結果、発泡成形されるウレタンスポンジ層の表面に、粗大なセルが現れ難くなり、また、セルのサイズも均一に整えられ得て、著しく表面性に優れたウレタンスポンジロールを得ることが出来ることとなり、以て、本発明を完成するに至ったのである。
【0010】
すなわち、本発明は、ロール軸となる長手棒状の芯金と、該芯金の周りに一体的に形成されたウレタンスポンジ層とを有し、且つ該ウレタンスポンジ層の表層部に存在する各セルが、それぞれ独立して外部に開口せしめられてなる構造のウレタンスポンジロールにして、かかるウレタンスポンジ層の外周面に少なくとも50μm以上の深さにおいて設けられた、ロール軸方向に直線的に若しくはスパイラル状に延びる複数の溝部にて、凹凸表面構造が形成されると共に、隣り合う溝部間に形成された凸部の幅(W)と前記セルのサイズ(D)との比(W/D)が0.7以上、2.0未満となるように構成されて、少なくとも該凸部の表面セルが該凸部の延びる方向に規則的に配列せしめられている一方、前記溝部の幅が50〜300μmとされていることを特徴とするウレタンスポンジロールを、その要旨とするものである。
【0011】
なお、このような本発明に従うウレタンスポンジロールの一つの好ましい態様によれば、前記セルのサイズ(D)は、10〜1000μmの範囲内とされ、また、前記溝部の幅が、前記凸部の幅(W)以下とされることとなる。
【0012】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記ウレタンスポンジ層が、最終ロール形状を与える成形キャビティ内でのウレタンスポンジ原料の発泡成形操作によって、前記芯金の周りに一体的に形成せしめられて、目的とするウレタンスポンジロールが構成されることとなる。
【0013】
さらに、本発明に従うウレタンスポンジロールにおいては、トナー供給ロールとして好適に用いるために、前記ウレタンスポンジ層が350g以下の硬度を有すると共に、該ウレタンスポンジ層の表層部に存在する各セルの外部への開口径が100〜800μmであり、且つそれらセル開口部の開口全面積が該ウレタンスポンジ層表面の20%以上を占めるように構成されることとなる。
【0014】
そして、本発明は、上述の如き優れた特徴を有するトナー供給ロールを有利に製造し得る方法として、最終ロール形状を与える成形キャビティ内でのウレタンスポンジ原料の発泡成形操作によって、前述の如き構成のウレタンスポンジロールを製造する方法にして、前記成形キャビティにおけるロール外周面を形成する型内面に、前記凹凸表面構造を与える複数の溝部に対応した凸条が形成され、更に表面粗さ:Rzが5〜20μmとなるように調整されてなると共に、シリコーン系若しくは弗素系離型剤のコーティング層が設けられてなる成形型を用い、該成形型の成形キャビティ内に、ロール軸となる長手棒状の芯金を配置する一方、前記ウレタンスポンジ原料を導入して、発泡成形せしめることにより、該芯金の周りにウレタンスポンジ層を形成して、その表面セルをそれぞれ独立して外部に開口せしめる一方、前記凸条にて形成される複数の溝部によってロール表面に前記凹凸表面構造が形成されるようにしたことを特徴とするウレタンスポンジロールの製造方法をも、その要旨とするものである。
【0015】
このような、本発明に従うウレタンスポンジロールの製造手法によれば、所定の成形型を用いて、芯金の周りに所定のウレタンスポンジ層を一体発泡成形することにより、そのまま、目的とするウレタンスポンジロールを得ることが出来るのであって、何等の特別な操作も採用することなく、表面セルを均一なセルサイズにおいて、規則的に配列せしめてなるウレタンスポンジロールを、簡単に且つ工業的に有利に製造することが出来るのである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明の構成について、更に具体的に明らかにすることとする。
【0017】
先ず、図1は、本発明に従うウレタンスポンジロールが用いられるフルカラーレーザービームプリンターの一例に係る概略構成を示す図であって、そこにおいて、2は感光体ドラムであり、この感光体ドラム2の周りに、感光体ドラム2の表面を帯電させる帯電ロール4と、画像情報をレーザー信号にて送り、感光体ドラム2上に静電潜像を形成せしめる露光機構部6と、感光体ドラム2表面に形成された静電潜像に対応するトナー像を現像する現像部8と、かかる感光体ドラム2上に現像されたトナー像が転写される転写ドラム10と、更には、感光体ドラム2表面の転写残像や残存トナーを除去するクリーニング装置12が設けられている。そして、感光体ドラム2から転写ドラム10上に転写されたトナー像は、給紙装置14から供給される複写紙(転写紙)に対して、更に転写ロール16にて転写せしめられた後、定着ロール18にて複写紙に定着せしめられるようになっている。
【0018】
具体的には、このレーザービームプリンターにおいて、現像部8は、フルカラープリントのために、シアン、イエロー、マゼンタ、ブラックの4色からなるトナー(ここでは、非磁性一成分現像剤が用いられている)を、それぞれ、別個に収容する現像ユニット20を有すると共に、それら4つの現像ユニット20が、90度の位相差を持って、回転軸周りに配置されてなる構造を有し、かかる回転軸周りの1/4回転毎に、各現像ユニット20が感光体ドラム2に接して、それぞれの色相のトナー(カラー現像剤)を感光体ドラム2上に供給して、静電潜像の現像を行なうようになっている。
【0019】
また、かかる現像部8における各現像ユニット20は、図2に示される如く、ホッパー22内にカラー現像剤たるトナー(非磁性一成分現像剤)24を収容すると共に、該ホッパー22の下部に設けられたトナー供給ロール26と現像ロール28とが、所定の圧接量を以て相互に接触しつつ、互いに同一方向に回転せしめられることによって、そのような現像ロール28上に残留するトナー24をトナー供給ロール26にて掻き取りつつ、トナー供給ロール26との接触部から回転に伴い離隔せしめられる側においては、かかる現像ロール28上に、ホッパー22内のトナー24が供給せしめられるようになっている。なお、この現像ロール28上に形成されるトナー層の厚さは、層形成ブレード30にて規制されるようになっている。そして、かかる現像ロール28は、先述の如く、現像部8の回転軸周りの1/4回転にて、感光体ドラム2に接触せしめられ、現像ロール28上に形成されたトナー層にて、感光体ドラム2上の静電潜像が現像せしめられることとなるのである。
【0020】
次いで、このようにして感光体ドラム2上の静電潜像を現像せしめて形成されるトナー像は、かかる感光体ドラム2に接して回転せしめられる転写ドラム10上に移行され、更に、転写ドラム10の回転に合わせて給紙装置14から供給される複写紙(転写紙)に対して、転写ドラム10と転写ロール16との挟圧下において転写され、その後、転写像は、定着ロール18による加熱加圧作用にて複写紙に定着せしめられるのである。
【0021】
ところで、本発明は、かくの如き構成のプリンターにおけるトナー供給ロール26、現像ロール28、転写ロール16、更にはクリーニング装置12におけるクリーニングロール等として用いられるウレタンスポンジロールを対象とするものであり、そのようなロールを、芯金の周りに、例えば一体発泡成形手法等によって、所定のウレタンスポンジ層を一体的に形成することによって構成すると共に、かかるウレタンスポンジ層の表層部に存在する各セルが、それぞれ独立して外部に開口するように構成せしめ、更に、そのようなウレタンスポンジ層の外周面を、ロール軸方向に直線的に若しくはスパイラル状に延びる所定深さの複数の溝部にて、凹凸表面構造と為し、且つそれら溝部の間に形成される凸部の幅とウレタンスポンジ層の表面セルサイズとの比を所定範囲に規制することによって、かかるウレタンスポンジ層の表面セルを規則的に配列せしめたところに、大きな特徴を有するものであって、その一例が、図3に概略的に示されている。
【0022】
すなわち、図3の(a)において、ウレタンスポンジロール32は、回転軸となる芯金34と、その周りに一体的に形成された、独立気泡型の発泡体構造の所定厚さのウレタンスポンジ層36とから構成されている。なお、このような構成のウレタンスポンジロール32は、有利には、芯金34の存在下において、最終ロール形状を与える成形キャビティ内でのウレタンスポンジ原料の発泡成形操作によって得られ、そしてそれによって、所定硬度のウレタンスポンジ層36が、芯金34の周りに、所定厚さにて、一体的に形成されるのである。
【0023】
そして、かかる一体発泡成形操作等にて、芯金34の周りに形成されるウレタンスポンジ層36は、図3の(a)におけるA−A断面の部分拡大図として、図3の(b)に示されている如く、ウレタンスポンジ層36の表層部に存在する各セル38が、スキン層の厚さが最も薄くなるセル38の中央部に相当する部位に形成された開口部40を通じて、それぞれ独立して外部に開口せしめられてなる構造を呈していると共に、ウレタンスポンジ層36の外周面には、ロール軸方向に直線的に延びる複数の溝部42が、ロール周方向に所定ピッチにおいて設けられていることによって、凹凸表面構造が形成されているのである。
【0024】
しかも、本発明にあっては、かかる凹凸表面構造において、溝部42が少なくとも50μm以上の深さにおいて設けられていると共に、そのような溝部42の隣り合うものの間に形成される凸部44の幅(ここでは、ロール周方向における長さ):Wとセル38のサイズ(平均セル径):Dとの比:W/Dが0.7以上、2.0未満となるように構成されており、これによって、図4の(a)に示されているように、少なくとも凸部44部分に位置する表面セル38が、かかる凸部44の延びる方向(ここではロール軸方向)に規則的に配設せしめられてなる構造が実現されているのである。
【0025】
なお、ここにおいて、ウレタンスポンジ層36の表面に凹凸表面構造を与える溝部42の深さ(d)が50μmよりも浅くなると、表面セル38を、そのような溝部42に沿って規則的に配列せしめることが困難となるのであり、そのために、本発明にあっては、少なくとも50μm以上、好ましくは100μm以上の溝深さ(d)において、溝部42が形成されることとなる。そして、この溝部42の深さ(d)の上限や、溝部42のロール周方向におけるピッチ(p)、更には溝部42の溝幅は、ウレタンスポンジロールの用途に応じて、適宜に決定されることとなるが、一般に、溝部42の深さ(d)の上限としては、3000μm以下、好ましくは1000μm以下とされ、また溝部42のロール周方向ピッチとしては、300〜3000μm、好ましくは500〜2000μmとなるようにされることとなる。
【0026】
また、本発明にあっては、少なくとも凸部44におけるセル38の規則的な配列を実現する上において、溝部42間に形成される凸部44の幅(W)とセルサイズ(D)との比(W/D)を規制することが必要であり、そのような比(W/D)が、0.7未満の場合にあっては、表面セル38が凸部44に沿って配列し難くなるのであり、また、2.0以上となると、凸部44には、セル38が2個以上入るようになるために、図4(b)に示される如く、セルの規則的配列性が充分でなく、セルサイズも余り均一とはならない問題がある。
【0027】
さらに、溝部42の形状としては、特に限定されることはなく、V字形状、矩形形状、円弧形状等の各種の形状において、ウレタンスポンジ層36の表面に形成されるものであり、また、溝部42の形成方向としても、例示の如きロール軸方向に直線的(平行)な方向が採用される場合の他、ロール軸方向にスパイラル状に延びる方向であっても、何等差し支えなく、そのようなスパイラル状の溝部(42)にて形成される、ロール軸方向にスパイラル状に延びる凸部(44)にあっても、その表面セルの規則的な配列が有利に実現される。
【0028】
なお、ウレタンスポンジ層36表面の溝部42においては、溝部42間に位置する凸部44部分に比して、表面セル38の配列の制御が充分に行ない難いものであるところから、その幅(ロール周方向における長さ)は、凸部44の幅(W)以下とされることが望ましく、中でも、出来るだけ狭いことが望ましく、そのために、本発明にあっては、50〜300μmの範囲の値が採用されることとなる。
【0029】
そして、このような本発明に従うウレタンスポンジロール32において、ウレタンスポンジ層36を構成する各セル38の平均セル径であるセルサイズ(D)は、開口部40の開口径よりも大きいものであって、一般に10〜1000μm程度、好ましくは50〜800μm程度とされることとなる。なお、このようなセルサイズの範囲において、ウレタンスポンジロール32の用途に応じて望ましいセルサイズが適宜に決定されるものであり、例えば、トナー供給ロールやクリーニングロールにあっては、好適には100〜500μm程度のセル径(D)が採用され、また現像ロールや転写ロールにあっては、50〜250μm程度のセル径(D)が採用される。また、かかるウレタンスポンジ層36は、例示の如き各セル38が相互に独立した独立気泡型の構造であっても、また各セル38が相互に連通せる連続気泡型の構造であっても、何等差支えないが、特に、独立気泡型の構造が有利に採用されるのである。
【0030】
ところで、かくの如き構成のウレタンスポンジロール32がトナー供給ロールとして用いられる場合にあっては、前記ウレタンスポンジ層36は、好ましくは、350g以下の硬度を有する軟質層として形成されると共に、該ウレタンスポンジ層36の表層部に存在する各セル38の外部への開口部40の開口径が、100〜800μmであり、且つそれらセル開口部40の開口全面積が、ウレタンスポンジ層36表面の20%以上を占めるように、構成されることとなる。
【0031】
因みに、トナー供給ロールに用いられるウレタンスポンジロール32のウレタンスポンジ層36の硬度が350gよりも高くなると、現像ロールへのトナーの供給が悪化し、L/L(低温、低湿:15℃×10%)耐久性試験後の画像が悪化する等の問題を惹起するからである。なお、ここで言う硬度とは、図5(a)及び(b)に示される如く、ウレタンスポンジロール32を、その両端の芯金34部分において支持し、そしてそのウレタンスポンジ層36を50mm幅(厚さ:7mm)の板状押圧面を有する治具46にて、10mm/minの速度で押圧したときの、1mm変位(圧縮)時の荷重(g)にて表したものであって、その数値が大きくなる程、ウレタンスポンジ層36の硬さが高い、即ち硬いことを示している。また、測定ポイントは、図示の如く、軸方向の2ヶ所×周方向の90度毎に4ヶ所の計8ヶ所とし、その平均値が、ウレタンスポンジ層36の硬度とされる。
【0032】
また、かかるウレタンスポンジ層36の表面セル38の開口部40の開口径が100μmよりも小さくなると、開口部40を通じてセル38内に侵入したトナーが出にくくなり、硬化が惹起されて、画像不具合が発生する一方、かかる開口径が800μmを越えるようになると、トナー供給量が減少して、濃度低下やスジ発生の問題を惹起するところから、トナー供給ロールとしてのウレタンスポンジロール32におけるウレタンスポンジ層36の表面セル38の開口部40の開口径は、上述の如く、100〜800μm、好ましくは200〜700μm程度とされることとなる。
【0033】
さらに、そのようなウレタンスポンジ層36における表面セル38の開口部40の開口全面積、換言すれば開口部40の合計面積が、ウレタンスポンジ層36表面の20%以上を占めるように構成されることによって、トナー供給ロールとして用いた場合において、ウレタンスポンジ層36の各セル38に対するトナーの出入りが均一化されて、部分的な硬さのバラツキが生じ難くなる。これに対して、この開口部40の開口全面積の割合が20%よりも低くなると、トナー供給性能が低くなる問題に加えて、ウレタンスポンジ層36内部にトナーが詰まり易く、これによって部分的な硬化が惹起されて、画像の悪化を招き易い問題を内在する。尤も、そのようなセル38の開口全面積のウレタンスポンジ層36表面に対する占有割合の上限は、適宜に決定されることとなるが、一般に80%以下、好ましくは70%以下とされる。
【0034】
ここにおいて、かくの如き本発明に従うウレタンスポンジロール32は、当業者間において認識されている公知の各種の手法に従って、容易に製造され得るものであるが、本発明においては、特に、以下の如き手法が有利に採用され、それによって、ウレタンスポンジ原料の一体発泡成形と同時に形成されるウレタンスポンジ層36の表層部に、その表面の各セル38を独立して外部に連通せしめる開口部40をそれぞれ形成せしめる一方、ウレタンスポンジ層36の外周面に、ロール軸方向に直線的に或いはスパイラル状に延びる複数の溝部42を、ロール周方向に所定ピッチで形成して、凹凸表面構造としたウレタンスポンジロール32が、一挙に製造され得るのである。
【0035】
すなわち、かかる手法は、最終ロール形状を与える成形キャビティ内でのウレタンスポンジ原料の発泡成形操作によって、目的とするウレタンスポンジロールを製造するに際して、そのような成形キャビティにおけるロール外周面を形成する型内面に、ウレタンスポンジロール32の凹凸表面構造を与える溝部32に対応した凸条を形成し、且つ表面粗さ:Rzが5〜20μmとなるように調整してなると共に、そのような型内面に、シリコーン系若しくは弗素系離型剤からなるコーティング層を設けてなる成形型を用いて、ウレタンスポンジ原料の発泡成形を行なう方法であり、かかる成形型の成形キャビティ内に、芯金34を配置すると共に、ウレタンスポンジ原料を導入して発泡成形せしめることにより、かかる芯金34の周りに、所定のウレタンスポンジ層36を形成せしめる一方、該ウレタンスポンジ層36の表面にスキン層を形成し、更に表層部に位置するセル38、換言すれば表面セルのそれぞれを外部に開口せしめる開口部40を、表面のスキン層を貫通するように形成すると同時に、ウレタンスポンジ層36の外表面に、型内面の軸方向の凸条を転写せしめて、ロール軸方向に直線的に或いは螺旋状に延びる溝部42を形成せしめるようにするのである。
【0036】
そして、このような成形型を用いることにより、その型内面(ロール外周面を形成する成形キャビティ内周面)に形成されるシリコーン系若しくは弗素系離型剤からなるコーティング層の溌水作用乃至は表面張力等の作用に加えて、型内面の表面粗さ(Rz)が所定粗さとされていることにより、液状のウレタンスポンジ原料の発泡成形にて生じるセルの型内面に最も近接する部分、換言すればスキン層の厚さが最も薄くなるセル中央部相当部位に、ウレタンスポンジ原料の不存在部分が生じ、これによって、形成されるウレタンスポンジ層36表面のスキン層に開口部40が生じ、この開口部40を通じて、表面セル38が外部に開口するようになるのであり、また、成形キャビティのロール外周面を形成する型内面に設けられた軸方向の凸条によって、ウレタンスポンジ層36の外表面には、ロール軸方向に延びる溝部42が形成されることとなるのである。
【0037】
なお、ここで用いられる成形型は、前述の如く、その成形キャビティにおけるロール周面を形成する型内面(キャビティ内面)において、目的とする凹凸表面構造を構成する複数の溝部42を与える凸条が、成形キャビティの軸方向に直線的に(或いはスパイラル状に)延びる形態において設けられてなるものであり、また、そのような凸条にて形成される凹凸形状の型内面の表面粗さ(Rz)が5〜20μmとなるように調整されるのであるが、そのような表面粗さ(Rz)は、一般に、ショットブラスト加工等の公知の粗面化加工を施すことによって、容易に実現されることとなる。なお、この型内面の表面粗さ(Rz)が、5μmよりも小さくなると、発泡成形されるウレタンスポンジ層36の表面のスキン層に対して、開口部40を充分な大きさにおいて形成し難くなるのであり、また、20μmより大きくなると、脱型不具合、具体的にはスキン層の破れ、スポンジ層の破断等という問題を惹起する。
【0038】
また、かかる成形型の成形キャビティ内面(型内面)に対して、溝部42に対応する凸条を形成するに際しても、従来から公知の各種の手法が適宜に採用され得るものであって、例えば、型内面をエッチング加工、放電加工(ワイヤカット)、ブローチ加工等による加工を施したり、電鋳めっきによって形状転写することにより、更には鋳造によって形状転写する等の手法によって、目的とする型内面形状が実現されることとなる。
【0039】
そして、このようにして、目的とするウレタンスポンジロール32の外周面形状に対応した型内面構造(凹凸表面構造)とされると共に、表面粗さ(Rz)が5〜20μmとなるように調整されてなる型内面に対して、そこに形成されるシリコーン系若しくは弗素系離型剤からなるコーティング層は、何れも、公知のシリコーン系若しくは弗素系離型剤、例えば変性シリコーン樹脂や弗素樹脂乃至は変性弗素樹脂を離型有効成分として含む離型剤を用いて形成され、その際、そのようなコーティング層の厚さは、一般に、1〜10μm程度とされることとなる。このコーティング層の厚さが薄くなり過ぎると、コーティング層の機能を充分に発揮し得なくなるからであり、また、厚くなり過ぎると、発泡成形して得られるウレタンスポンジ層36の凹凸表面構造の形態が悪化するようになるからである。また、前記シリコーン系若しくは弗素系離型剤は、有利には、型内面に塗布された後、加熱硬化せしめられ、以て被膜強度の向上せしめられたコーティング層とされることとなる。
【0040】
ところで、上記した本発明に従う方法においては、具体的には、図6に示される如きパイプ形状を呈する型構造を有する成形型、所謂パイプ型が好適に用いられて実施され、そこでは、そのパイプ形状の内部が、ウレタンスポンジロール32の最終ロール形状を与える成形キャビティとされているのである。
【0041】
すなわち、図6(a)において、成形型50は、ウレタンスポンジロール32のウレタンスポンジ層36の軸方向長さに略等しい長さのパイプ52と、該パイプ52の両端に取り付けられて、それぞれの端部を形成するキャップ54、54とから構成されており、パイプ52内に芯金34をセットせしめた状態下において、該パイプ52の両端をキャップ54、54にて閉塞すると共に、それらキャップ54、54にて、芯金34を支持せしめることによって、パイプ52内に、目的とするウレタンスポンジロール32の最終ロール形状(外径を与える成形キャビティ:56)が形成されるようになっている。
【0042】
そして、このような成形型50の型内面を構成するパイプ52の内面が、図6(b)に拡大して示されるように、目的とするウレタンスポンジロール32の外表面の凹凸構造を与える溝部42に対応する凸条58が、パイプ軸方向に直線的に或いはスパイラル状に延びるように設けられていると共に、パイプ52の内面全体が、所定の表面粗さ(Rz)となるように加工され、更にそのようなパイプ52の内面に、シリコーン系若しくは弗素系離型剤からなるコーティング層60が、所定厚さで形成されているのである。
【0043】
また、かかる本発明に従うウレタンスポンジロール32の製造に際して、上述の如き成形型50の成形キャビティ56内に導かれて、発泡成形操作によって、所定のウレタンスポンジ層36を与えるウレタンスポンジ原料は、従来と同様な液状のものであって、型内で発泡硬化する、従来から公知の反応性原料(ポリオール成分とポリイソシアネート成分との配合物)の何れもが、特に限定されることなく、適宜に選択使用されることとなる。
【0044】
例えば、そのような液状のウレタンスポンジ原料を構成するポリオール成分としては、通常のウレタンスポンジの製造に用いられているポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール等の公知のポリオール類の何れもが用いられ得、また、ポリイソシアネート成分としては、公知の少なくとも2官能以上のポリイソシアネートの全てが用いられ得、例えば2,4−及び2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、オルトトルイジンジイソシアネート(TODI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、及びカーボジイミド変性MDI、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ポリメリックポリイソシアネート等が、単独で、または併用して使用され得るものである。
【0045】
また、これらポリオール成分とポリイソシアネート成分とが配合されてなるウレタンスポンジ原料には、更に、従来と同様に、架橋剤、発泡剤(水、低沸点物質、ガス体等)、整泡剤、界面活性剤、触媒等が、目標とする発泡成形後のウレタンスポンジ層36の構造、即ち独立気泡型の発泡体構造を生ぜしめ易い公知の配合となるように、適宜に添加されて、反応性の発泡原料とされるが、また、そのような原料には、必要に応じて難燃剤や充填剤、更には所望の導電性を付与するための導電性付与剤や帯電防止剤等も、従来と同様に添加せしめられる。
【0046】
特に、本発明に従うウレタンスポンジ層36の発泡構造において、そのセルサイズ(D)は、公知の各種の手法によって制御され、例えば成形型50の成形キャビティ56内へのウレタンスポンジ原料の注入量によって制御される他、発泡剤や整泡剤の配合量等によって、制御されることとなる。具体的には、先に規定せる如きセルサイズを実現するために、発泡剤として水を用いる場合にあっては、その配合量が少なくなると、生成するセルが細かくなるところから、一般に、0.1〜5phrの範囲内において配合され、また整泡剤の場合にあっては、それは、0.1〜3phrの割合において配合され、更に、原料注入量としては、一般に0.05〜0.5g/cm3 程度の割合とされることとなる。
【0047】
そして、このような液状のウレタンスポンジ原料は、例えば、図6の(a)に示される如き成形型50の成形キャビティ56内に注入されて、従来と同様にして、発泡成形せしめられることとなるが、その際、発泡倍率としては、一般に、5倍〜20倍程度とされる。このような発泡成形操作にて、成形型50の型内面に設けた凸条58にて形成された溝部42により付与される凹凸表面構造を有するウレタンスポンジロール32が得られるが、そのようなウレタンスポンジロール32を成形型50から取り出した状態のものにおいて、そのロール表面の表層部には、その表面セル38を外部に開口せしめる独立した開口部40が、成形型50の型内面(パイプ52内面)の特性によって、所定大きさにおいて形成されていると共に、少なくとも溝部42間に存在する凸部44部位の表面セル38が、かかる凸部44の延びる方向に規則的に配列せしめられているのである。なお、このようなウレタンスポンジ層36の発泡成形後に、公知のクラッシングを適宜実施しても良く、例えば、所定圧力の圧縮空気等を吹き付ける方法が有利に採用される。また、独立気泡型のウレタンスポンジ層36を成形する場合には、発泡方法として、機械発泡が望ましいと共に、そのようなクラッシング時の空気圧を小さくすることが望ましい。
【0048】
本発明は、このようにして、発泡成形して得られたウレタンスポンジロールを、そのまま、トナー供給ロールとして、また現像ロール、転写ロール、クリーニングロール等として用いて、前記したプリンターを構成するものであり、それによって、そのようなウレタンスポンジロール32のロール表面特性によって、優れた特徴を発揮するのである。例えば、トナー供給ロールや転写ロールとして用いた場合にあっては、表面セルの不均一性から生じる性能のムラが著しく改善されることとなるのである。即ち、表面セルが均一に且つ規則的に並んでいることにより、トナー供給性能やトナー掻き取り性能が極めて安定化せしめられ、高精度の画像が得られるのである。また、転写ロールにあっても、表面の粗大なセルが発生せず、またセルが規則的に並んでいるために、転写性能が全面に亘って均一となる等の特徴を発揮するのである。
【0049】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記した具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
【0050】
先ず、成形型としては、図6(a)に示される如きパイプ型(50)を用い、その型内面に相当する金属製パイプ(52)の内面に対して、ブローチ加工を施して、図3に示される如き、ロール軸方向に直線的に延びる複数の溝部(42)によって凹凸表面構造のウレタンスポンジ層(36)を与える、該溝部(42)に対応した凸条(58)を、各種のサイズにおいて形成した。そして、このブローチ加工されたパイプ型(50)の型内面に対して、ショットブラスト加工を施し、その表面を、表面粗さ:Rzが10μmとなるように粗面化した後、シリコーン系離型剤(変性シリコーン樹脂を主成分とし、樹脂固形分が3〜5%の溶液)を用いてコーティングを行ない、更に加熱硬化せしめることにより、各種の凸条(58)が形成された型内面に、シリコーン系離型剤の硬化層(厚さ:5μm)を形成せしめた。
【0051】
一方、FA−718(三洋化成工業株式会社製ポリエーテルポリオール、OH価=28)90重量部、POP−31−28(三井東圧化学株式会社製ポリマーポリオール、OH価=28)10重量部、カオライザーNo.31(花王株式会社製3級アミン触媒)0.5重量部、トヨキャットHX−35(東ソー株式会社製3級アミン触媒)0.05重量部、水(発泡剤)2重量部、L−5309(日本ユニカー株式会社製シリコーン系整泡剤)2重量部、スミジュール44V−20(住友バイエルウレタン株式会社製クルードMDI、NCO%=31)8.8重量部、及びTDI−80(三井東圧化学株式会社製TDI、NCO%=48)20.5重量部を配合せしめることにより、目的とするウレタンスポンジ原料を調製した。なお、No.7〜10のウレタンスポンジロールの製造例においては、セルサイズを調整するために、整泡剤の種類及び量を適宜変更した。
【0052】
次いで、かくの如き配合組成のウレタンスポンジ原料を用いて、前記した型内面の凸条(58)の配設形態が種々異なる成形型(50)にて、従来と同様にして発泡成形することにより、芯金(34)の周りに、それぞれ、生じた複数の溝部(42)によって所定の凹凸表面構造を呈するウレタンスポンジ層(36)を一体的に形成せしめてなる、各種のウレタンスポンジロール(32)を得た。なお、得られた各種のウレタンスポンジロール(32)におけるウレタンスポンジ層(36)は、何れも、硬度が190g、表面セル(38)の開口径(平均)が350μm、開口率が58%のものであった。
【0053】
そして、この得られた各種のウレタンスポンジロール(32)について、そのウレタンスポンジ層(36)の表面に形成された、ロール軸方向に直線的に延びる溝部(42)の深さ(d)及びそれら溝部間に位置する凸部(44)の幅(W)を、それぞれ調べ、更には、表面セル(38)の均一性と規則的な配列性について、目視にて観察して評価すると共に、更に、そのようなウレタンスポンジロール(32)をトナー供給ロールとして用いて、画像評価試験を行ない、画像ムラの発生の有無について調べた。そして、それらの結果を、下記表1に併せ示した。
【0054】
なお、表面セル(38)の均一性や規則的配列性の目視評価にあっては、その良好なものを○、不充分なものを×として、表した。また、画像評価試験における画像ムラは、それぞれのウレタンスポンジロールを、トナー供給ロールとして市販のレーザープリンターに組み込み、画像出しを行ない、得られた画像を観察して、画像ムラがない場合には○、それがある場合には△、更に、それが著しい場合には×として、評価した。
【0055】
【表1】
Figure 0003736102
【0056】
かかる表1の結果より明らかなように、本発明に従うNo.3〜No.5のウレタンスポンジロールをトナー供給ロールとして用いた場合にあっては、何れも、表面セル(38)の均一性や規則的配列性に優れたものであると共に、画像ムラ等の画像上の欠陥も何等惹起せしめるものではなかった。これに対して、溝部(42)の深さ(d)が浅い場合(No.1)や、凸部(44)の幅(W)とセルサイズ(D)との比(W/D)が小さ過ぎたり(No.2)、大き過ぎたり(No.6)した場合にあっては、表面セル(38)の均一性や規則的配列性が劣るようになり、また画像ムラ等の問題を惹起していることが認められる。
【0057】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に従うウレタンスポンジロールにあっては、芯金の周りに一体的に形成されたウレタンスポンジ層の表層部に存在する各セルが、それぞれ、独立して外部に開口せしめられていると共に、ロール軸方向に直線的に若しくはスパイラル状に延びる複数の溝部にて、凹凸表面構造とされ、且つ隣り合う溝部間に形成された凸部部位を少なくとも含んで、その表層部のセルが、かかる凸部の延びる方向に均一に規則的に配列せしめられてなる構造とされているところに、大きな特徴を有するものであり、これによって、その用途において、優れた機能を奏するのである。例えば、トナー供給ロールの用途においては、トナー供給性能やトナー掻き取り性能、更にはトナー保持性が向上されて、高精度の画像が実現されたり、転写ロールの用途においては、転写性能の均一性が効果的に高められ得るのである。
【0058】
また、本発明に従うウレタンスポンジロールの製造方法によれば、所定の成形型を用いた一体発泡成形によって、目的とするウレタンスポンジロールが直接的に得られることとなり、何等の加工も施す必要がないところから、その製造工程が極めて簡略化され得ることとなったのであり、また、得られるウレタンスポンジロールも、寸法精度のより向上したものとなったのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るウレタンスポンジロールが用いられるフルカラーレーザープリンターの機構を明らかにする概略説明図である。
【図2】図1における現像ユニットの一つを拡大して示す断面説明図である。
【図3】本発明に従うウレタンスポンジロールの一例を示す説明図であって、(a)は、その全体斜視説明図であり、(b)は、(a)におけるA−A断面の部分拡大説明図である。
【図4】セル配列形態の異なるウレタンスポンジロールの表面構造を示す説明図であって、(a)は、本発明に従うウレタンスポンジロールの表面構造を示す部分拡大説明図であり、(b)は、本発明の規定から外れたウレタンスポンジロールの表面構造を示す部分拡大説明図である。
【図5】ウレタンスポンジロールのウレタンスポンジ層の硬度の測定方法を示す説明図であって、(a)は平面説明図、また(b)は左側面説明図である。
【図6】本発明に従うウレタンスポンジロールの製造方法において用いられる成形型の一例を示すものであって、(a)は、そのような成形型の縦断面説明図であり、(b)は、(a)におけるC−C断面の拡大説明図である。
【符号の説明】
2 感光体ドラム 4 帯電ロール
6 露光機構部 8 現像部
10 転写ドラム 12 クリーニング装置
14 給紙装置 16 転写ロール
18 定着ロール 20 現像ユニット
22 ホッパー 24 トナー
26 トナー供給ロール 28 現像ロール
30 層形成ブレード 32 ウレタンスポンジロール
34 芯金 36 ウレタンスポンジ層
38 セル 40 開口部
42 溝部 44 凸部
46 治具 50 成形型
52 パイプ 54 キャップ
56 成形キャビティ 58 凸条
60 コーティング層

Claims (7)

  1. ロール軸となる長手棒状の芯金と、該芯金の周りに一体的に形成されたウレタンスポンジ層とを有し、且つ該ウレタンスポンジ層の表層部に存在する各セルが、それぞれ独立して外部に開口せしめられてなる構造のウレタンスポンジロールにして、
    かかるウレタンスポンジ層の外周面に少なくとも50μm以上の深さにおいて設けられた、ロール軸方向に直線的に若しくはスパイラル状に延びる複数の溝部にて、凹凸表面構造が形成されると共に、隣り合う溝部間に形成された凸部の幅(W)と前記セルのサイズ(D)との比(W/D)が0.7以上、2.0未満となるように構成されて、少なくとも該凸部の表面セルが該凸部の延びる方向に規則的に配列せしめられている一方、前記溝部の幅が50〜300μmとされていることを特徴とするウレタンスポンジロール。
  2. 前記セルのサイズ(D)が、10〜1000μmである請求項1記載のウレタンスポンジロール。
  3. 前記溝部の幅が、前記凸部の幅(W)以下とされている請求項1又は2に記載のウレタンスポンジロール。
  4. 前記ウレタンスポンジ層が、最終ロール形状を与える成形キャビティ内でのウレタンスポンジ原料の発泡成形操作によって、前記芯金の周りに一体的に形成されている請求項1乃至3の何れかに記載のウレタンスポンジロール。
  5. ロール軸となる長手棒状の芯金と、該芯金の周りに一体的に形成されたウレタンスポンジ層とを有し、且つ該ウレタンスポンジ層の表層部に存在する各セルが、それぞれ独立して外部に開口せしめられてなる構造のウレタンスポンジロールにして、
    かかるウレタンスポンジ層の外周面に少なくとも50μm以上の深さにおいて設けられた、ロール軸方向に直線的に若しくはスパイラル状に延びる複数の溝部にて、凹凸表面構造が形成されると共に、隣り合う溝部間に形成された凸部の幅(W)と前記セルのサイズ(D)との比(W/D)が0.7以上、2.0未満となるように構成されて、少なくとも該凸部の表面セルが該凸部の延びる方向に規則的に配列せしめられている一方、該ウレタンスポンジ層が350g以下の硬度を有すると共に、該ウレタンスポンジ層の表層部に存在する各セルの外部への開口径が100〜800μmであり、且つそれらセル開口部の開口全面積が該ウレタンスポンジ層表面の20%以上を占めていることを特徴とする、トナー供給ロールとして用いられるウレタンスポンジロール。
  6. 最終ロール形状を与える成形キャビティ内でのウレタンスポンジ原料の発泡成形操作によって、前記請求項1乃至5の何れかに記載のウレタンスポンジロールを製造する方法にして、
    前記成形キャビティにおけるロール外周面を形成する型内面に、前記凹凸表面構造を与える複数の溝部に対応した凸条が形成され、更に表面粗さ:Rzが5〜20μmとなるように調整されてなると共に、シリコーン系若しくは弗素系離型剤のコーティング層が設けられてなる成形型を用い、該成形型の成形キャビティ内に、ロール軸となる長手棒状の芯金を配置する一方、前記ウレタンスポンジ原料を導入して、発泡成形せしめることにより、該芯金の周りにウレタンスポンジ層を形成して、その表面セルをそれぞれ独立して外部に開口せしめる一方、前記凸条にて形成される複数の溝部によってロール表面に前記凹凸表面構造が形成されるようにしたことを特徴とするウレタンスポンジロールの製造方法。
  7. 前記成形型が、パイプ型である請求項6記載のウレタンスポンジロールの製造方法。
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