JP2004094101A - トナー搬送ローラ - Google Patents

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JP2004094101A JP2002257816A JP2002257816A JP2004094101A JP 2004094101 A JP2004094101 A JP 2004094101A JP 2002257816 A JP2002257816 A JP 2002257816A JP 2002257816 A JP2002257816 A JP 2002257816A JP 2004094101 A JP2004094101 A JP 2004094101A
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Hitoshi Kakii
柿井 仁志
Yoshie Takahashi
高橋 美江
Tadahiro Okabe
岡部 忠広
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Abstract

【課題】ローラ表面の毛羽立ちがないためトナー搬送量が安定し、寸法精度に優れたトナー搬送ローラ、また、ローラ表面のスキン層の破れによる耐久性及び異物の発生がなく、更に、トナーの流入し滞留することによるローラ硬度の上昇がないトナー搬送ローラを提供する。
【解決手段】芯金と、該芯金外周上のポリウレタンスポンジ層を有し、該ポリウレタンスポンジ層の表面に、該芯金の軸方向に両端部まで伸びた凸部と谷部からなる凹凸が複数形成されたトナー搬送ローラにおいて、該ポリウレタンスポンジ層の表面にはスキン層が形成されており、該谷部の幅が少なくとも20μmであり、凸部表面セルの開口面積比率p(%)と、谷部表面セルの開口面積比率b(%)が、下式の関係を満たすことを特徴とするトナー搬送ローラ。
p>b (p<100,b≧0)
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機やプリンタ等の画像形成装置に用いられる現像装置やクリーニング装置等に搭載されるトナー搬送ローラに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複写装置や画像記録装置、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置においては、電子写真感光体や静電記録誘電体等である像担持体上に形成した静電潜像を現像装置により現像して、トナー像として可視化することが行われているが、そのような現像装置においては、ホッパー内に収容された所定のトナー(現像剤)を像担持体側に供給するための、軟質の弾性ローラであるトナー搬送ローラが内蔵されている。
【0003】
ところで、このような現像装置におけるトナー搬送ローラには、例えば、特開平3−155575号公報に記載されているように、ポリウレタンフォーム(スポンジ)からなる弾性ローラが用いられてきており、また、そのような弾性ローラの製法としては、(A)スラブ発泡もしくは型発泡のフォーム材からローラ素材を切り出し、それに芯金を挿入た後、表面を研削して、ローラ形状に仕上げる方法、(B)芯金と一体で型内発泡した後、不要部分を研削して、ローラ形状に仕上げる方法、(C)ローラ形状の型内で、芯金と一体で発泡成形して、研削を行わない方法等が提案されている。
【0004】
しかしながら、これら従来の弾性ローラの製法においては、例えば、上記(A)方法や(B)方法の場合、製造工程の煩雑さや、研削によるローラ表面の毛羽立ち、寸法精度の不足等の問題がある。また、上記(C)方法の場合、そのような不具合はないものの、表面層(スキン層)が薄いために、トナー搬送ローラとして現像ローラに当接させ、回転させた際の摩擦抵抗によって破れ易く、耐久性が悪いという問題がある。
【0005】
もっとも、上記(C)方法により得られる弾性ローラの耐久性を向上させるためには、密度を上げスキン層を厚くしてフォーム強度を上げる、また、フォームの物性(抗張力、伸びや硬さ)を上げる、また、スキン層を形成し易いインテグラルスキンフォームにする、等の対策が考えられるが、いずれの対策もフォーム硬さを上昇させてしまうので、トナー搬送ローラに要求されるローラの柔軟性とその耐久性の両立は、極めて困難である。
【0006】
また、現像装置におけるトナー搬送ローラには、現像ローラに対してトナーを供給し、またその不要分を掻き取り、現像ローラ上に均一にトナーを供給する機能が求められているが、前記(A)や(B)の方法により得られる弾性ローラにおけるローラ表面の毛羽立ちは、トナー搬送ローラとしてのトナー搬送量を変動させるため、画像不良を起こす他、ローラ表面から毛羽が破れて脱落した場合には、電子写真システムの他の部位に詰まるなど、画像不良や故障の原因となることがある。
【0007】
更にまた、前記(C)方法により得られる弾性ローラにおいては、ローラ表面に形成されるスキン層に破れが発生した場合、スキン層破片の脱落による異物が、前記(A)や(B)の方法における上記不具合が起きることに加えて、その破れた部分からトナーが入り込み、当該部分が硬くなって、ローラ全体としてのローラ硬度が不均一になり、それによってトナー搬送量が不安定となる問題も起きることがある。
【0008】
しかも、トナー搬送ローラである弾性ローラが、独立気泡型の発泡体構造を発現するポリウレタンフォームにより形成される場合、得られたローラは、現像ローラに対して押し付け、回転させて使用されるので、その使用中に揉まれることとなり、これによって、前記(A)、(B)及び(C)のいずれの方法により得られた弾性ローラであっても、発泡体内部のセル膜が破れて通気性が高くなり、そしてその破れた部位からトナーが入り込んで、ローラ硬度が部分的に変化して、それによってトナーの搬送特性、ひいては画像特性に悪影響を及ぼすようになる。
【0009】
トナー搬送ローラのセル膜の破れ、また、毛羽の脱落による不具合を解消すべく、特開平9−274373号公報には、セル開口部の開口全面積がスキン層表面の20%以上を占めることによって、トナーの供給・剥ぎ取り性を向上させ、また、各セル膜の最も薄くなる部分がそれぞれ開口しているため、セル膜の破片が脱落する問題がなく、また、各セルが開口していることにより、トナーの出入りが適切に行われることが記載されている。
【0010】
しかしながら、この構成では、スキン層の開口部はあるものの、トナー搬送ローラの断面が円形であるため、現像剤供給部材との当接面にすべりが生じ、トナー掻き取り性において不十分であった。
【0011】
また、特開平11−38749号公報には、上記すべりが生じ、トナー掻き取り性において不十分であるという問題を、セル開口部の開口全面積がスキン層表面の20%以上を占め、かつ、ローラ表面が凹凸構造であり、ローラ表面全域のセルが均一に開口している構成により解決している。
【0012】
しかしながら、この構成においても、ローラの硬度の上昇を起こすという問題が依然として残っていた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、ローラ表面の毛羽立ちがないため、トナー搬送量が安定しており、寸法精度の良いトナー搬送ローラを提供することにある。また、本発明の目的は、ローラ表面のスキン層の破れによる耐久性の低下や異物の生成という問題点を解消し、更に、トナーの流入・滞留によるローラ硬度の上昇を抑制または防止し得るトナー搬送ローラを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、芯金と、該芯金外周上のポリウレタンスポンジ層を有し、該ポリウレタンスポンジ層の表面に、該芯金の軸方向に両端部まで伸びた凸部と谷部からなる凹凸が複数形成されたトナー搬送ローラにおいて、
該ポリウレタンスポンジ層の表面にはスキン層が形成されており、該谷部の幅が少なくとも20μmであり、
(凸部に存在する表面セルの全表面積/凸部の全表面積)で表される凸部表面セルの開口面積比率p(%)と、(谷部に存在する表面セルの全表面積/谷部の全表面積)で表される谷部表面セルの開口面積比率b(%)が、下式の関係を満たすことを特徴とするトナー搬送ローラである。
【0015】
p>b (p<100,b≧0)
【0016】
また、本発明において、上記式が、更に下式の関係を満たせば、トナーの掻き取り性、供給性は、更に良好なものとなる。
【0017】
p>20
【0018】
また、本発明において、上記式が、更に下式の関係を満たせば、トナーの掻き取り性、供給性は、更に良好なものとなる。
【0019】
p−b≧5
【0020】
また、本発明において、上記式が、更に下式の関係を満たせば、トナーの掻き取り性、供給性は、更に良好なものとなる。
【0021】
b<95
【0022】
なお、本発明において、上記式が、更に下式の関係を満たせば、トナーの掻き取り性、供給性は、更に良好なものとなる。
【0023】
p/b>1.5
【0024】
更には、本発明のトナー搬送ローラの望ましい態様によれば、前記ポリウレタンスポンジ層の凸部に存在する表面セルと谷部に存在する表面セルの開口径を、いずれも50〜1000μmとすることによって、トナー搬送ローラによるトナーの掻き取り、供給が効果的に行われ、所望の画像が得られる。
【0025】
本発明のトナー搬送ローラにおいては、芯金の周りに所定のポリウレタンスポンジ層が、好ましくは一体発泡成形により形成され、しかもその表面にセルの開口部が存在するものの、全体として連続した滑らかな表面を形成するスキン層が存在しており、研削加工が施された表面とは異なり、ローラ表面に毛羽立ちが発生することに起因するトナー搬送量の変動は起きず、従って画像不良も発生せず、更に毛羽の欠落に起因する異物の発生による故障等は起きず、寸法精度のよいトナー搬送ローラを得ることができる。
【0026】
しかも、本発明のトナー搬送ローラは、表面のスキン層の厚さが最も薄くなる部位である、スキン層を形成する各セルの中央部に、ほぼ独立した開口部が形成されるため、各セルが独立して外部に開口している。従って、本発明のトナー搬送ローラには、スキン層の薄い部分の破れによって起き異物の発生、更には耐久性の低下の問題等が起きない。更に、ローラ表面に、(凸部に存在する表面セルの全表面積/凸部の全表面積)で表される凸部表面セルの開口面積比率p(%)と、(谷部に存在する表面セルの全表面積/谷部の全表面積)で表される谷部表面セルの開口面積比率b(%)が、p>bの関係を満足することから、トナーは、この開口部を通じて、ローラ表面から適度にローラ内に流入し、また外部に出る。従って、本発明のトナー搬送ローラでは、ローラ表面における部分的な硬さのバラツキが生じることはなく、また、表面セルの肉厚の薄い箇所での破れ部分を通じてセル内に浸入したトナーが、逃げ場の少ないセル構造でないため、トナーの滞留はなく、部分的な硬化は進行しない。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の構成をより詳しく説明する。
【0028】
図1は、本発明のトナー搬送ローラが用いられるフルカラーレーザービームプリンターの一例を示す概略構成図である。感光体ドラム2の周りに、感光体ドラム2の表面を帯電させる帯電ローラ4と、画像情報をレーザー信号により感光体ドラム2上に静電潜像を形成する露光機構部6と、感光体ドラム2表面に形成された静電潜像に対応するトナー像を現像する現像部8と、感光体ドラム2上に現像されたトナー像を転写する転写ドラム10と、感光体ドラム2表面の転写残像や残存トナーを除去するクリーニング装置12が設けられている。感光体ドラム2から転写ドラム10上に転写されたトナー像は、給紙装置14から供給される複写紙に、転写ローラ16により転写した後、定着ローラ18により複写紙に定着される。
【0029】
このレーザービームプリンターにおいて、現像部8はフルカラープリントのために、シアン、イエロー、マゼンタ、ブラックの4色のトナー(ここでは、非磁性一成分現像剤が用いられている)を、別個に収容する現像ユニット20を有し、それら4つの現像ユニット20が90°の位相差を持って回転軸周りに配置されてなる構造を有し、回転軸周りの1/4回転毎に、各現像ユニット20が感光体ドラム2に接して、4色の色相のトナー(カラー現像剤)を感光体ドラム2上に供給して、静電潜像の現像を行う。
【0030】
また、現像部8における各現像ユニット20は、図2に示されるように、ホッパー22内にカラー現像剤であるトナー24を収容すると共に、ホッパー22の下部に設けられたトナー搬送ローラ26と現像ローラ28とが、相互に接触して回転していく。現像ローラ28上にホッパー22内のトナー24が供給される。この現像ローラ28上に形成されるトナー層の厚さは、トナー規制ブレード30にて規制される。現像ローラ28は、現像部8の回転軸周りの1/4回転にて感光体ドラム2に接触されるため、現像ローラ28上に形成されたトナー層により感光体ドラム2上の静電潜像が現像される。
【0031】
ここでは、トナー搬送ローラ26は現像部8の現像ユニット20として用いている。トナー搬送ローラ26を、芯金の周りに、一体発泡成形によって所定の軟質ポリウレタンスポンジ層を形成することにより、ポリウレタンスポンジ層が、連続した滑らかな表面を形成するスキン層を有する。図4に示されるように、スキン層の表面セルが開口部を通じて外部に開口し、更に凸部80セルの開口面積比率よりも、谷部82セルの開口面積比率が低い。なお、図3に凸部80、谷部82が示されている。
【0032】
開口面積比率とは、凸部の場合、凸部80スキン層全面積に対する凸部80セル全開口面積の割合を百分率で表し、谷部の場合、谷部80スキン層全面積に対する凸部80セル全開口面積の割合を百分率で表したものである。
【0033】
計測する凸部80、谷部82及びセル開口部の面積は、例えば、光学顕微鏡や電子顕微鏡等の写真映像から算出する。また、セルの開口径もこれらにより計測する。ただし、形状が表出され、その寸法が計測できる手段であれば、前記の装置の利用に限られない。
【0034】
図4(a)において、トナー搬送ローラ26は、回転軸となる芯金32と、その周りに一体的に形成された、連続気泡型の所定厚さの軟質ポリウレタンスポンジ層34とから構成されている。なお、このような構成のトナー搬送ローラ26は、芯金32の存在下において、所定の金型内でのポリウレタン原料の発泡成形によって得られ、ポリウレタンスポンジ層34が、芯金32の周りに所定厚さにて一体的に形成されている。
【0035】
図4(a)に示される軟質ポリウレタンスポンジ層34は、図中のX−X断面を部分拡大して図4(b)に示されているように、その表面に全体として連続した滑らかな面を与えるスキン層36を有しているが、このスキン層36には表面セル38を外部に連通する開口部40が、好ましくは50〜1000μmの開口径で独立して存在する穴明き上のスキン層36となっている。スキン層36における開口部40は、スキン層36の厚さが最も薄くなるセル38の中央部に相当する部位に形成されているため、破れによる異物の混入等の問題が、効果的に解消される。
【0036】
スキン層36は、全体として連続した滑らかな表面(平坦なローラ面)を形成するものといえる。セル38のスキン層36における凸部80セルの開口面積比率pと、谷部82セルの開口面積比率bとの関係が、p>bとなるように構成され、これによって、谷部82セルからのトナーの流入が効果的に抑制されて、ローラの硬度上昇が生じ難くなるのである。
【0037】
pとbがp>bの関係を満たさない場合、すなわちp≦bである場合、トナー供給性能が低くなり、また谷部のトナーが増加し、スポンジ層34内部にトナーが詰まり易くなり、このことによりローラ表面が部分的に硬化することに起因して、画像が悪化する。セル38の開口全面積のスキン層36表面に対する割合の上限は、好ましくは95%以下、より好ましくは80%以下である。
【0038】
また、トナー搬送ローラ表面の谷部82の円周方向の長さは、20μm以上であることが好ましい。谷部82の長さが20μm未満であると、谷部82そのものが存在しない構造に近くなり、そのことによって、図3を参照すれば凸部80セルは開口のみとなり、ローラ中に過剰にトナーが流入し、ローラの部分的硬化を起こすため好ましくない。逆に、谷部82長さが極端に長すぎると、凹凸の少な過ぎる円形のローラに近い形状になり、また谷部セルが開口し易くなるためローラの硬度上昇が起こり、本発明の効果が得られにくくなる。谷部82の長さは好ましくは3000μm以下、より好ましくは1000μm以下である。
【0039】
本発明のトナー搬送ローラ26では、ポリウレタンスポンジ層34におけるスキン層36表面のセル38の開口部40は本発明の作用効果を充分に奏するために、開口部40の開口径が、好ましくは50〜1000μm、より好ましくは100〜800μmである。
【0040】
開口部40の開口径が50μmよりも小さくなると、スキン層が開口していないのに近い状態となるため、現像ローラとの間に滑りが生じトナーを掻き取れず、また、開口径が小さいためにトナーが流入しにくく、現像ローラへのトナー供給も不十分になるため、所望の画像濃度が得られないなどの画像不良が発生するので好ましくない。
【0041】
一方、該開口径が1000μmを越えると、トナーの流入よりも流出が多くなるためにトナー供給量が減少し、画像濃度低下などの画像不良を起こすため好ましくない。
【0042】
従来の方法(A)または(B)により製造されたトナー搬送ローラは、芯金の周りに設けられたポリウレタンスポンジ層が、研削加工によって表面が毛羽立った状態となり、毛羽が脱落した場合には、異物となり、また正確な寸法精度は得られ難くなる。また、従来の方法(C)により製造されたトナー搬送ローラは、芯金の周りに形成されたポリウレタンスポンジ層の表面にスキン層が形成されているものの、スキン層表面のセルは、外部に対して開口していなため、セルの中央部の層厚が薄いので、該箇所で破れが発生し易く、スキン層の破片の脱落による異物の発生が起き、また破れた部分からセル内にトナーが流入するため、部分的な硬化発生する。
【0043】
図4(b)及び(c)に示されるように、トナー搬送ローラの場合、滑らかな連続した面を形成するスキン層36の存在により、ローラの寸法精度が向上すると共に、スキン層36にはセル38の最も薄くなる部分(セル中央部相当部位)に開口部40が形成されることにより、ローラ表面の毛羽立ちや毛羽の脱落、またスキン層の破片の脱落が起きにくく、またスキン層の破れた部分を通じてセル内にトナーが流入することによる部分的な硬化も発生しない。
【0044】
トナー搬送ローラ26を製造するには、例えば、ローラ成形型50を用いてポリウレタン原料の発泡成形を行う。ローラ成形型50のパイプ型52内面には、予めトナー搬送ローラ26の前記凹凸形状を形成しておく。パイプ型52の内面にローラ谷部82に対応する凹凸形状を形成するに際には、従来から公知の各種の手法が用いればよく、パイプ型52内面をエッチング加工、放電加工(ワイヤカット)、ブローチ加工等による加工を施したり、電鋳めっきによって形状転写することにより、鋳造によって形状転写する等の手法によって、概略図5(b)に示すような型内面形状を形成する。
【0045】
パイプ上の型52の中心線となる位置に芯金32を配置し、パイプ型52内にウレタンスポンジ原料を投入し発泡成形することにより、芯金32の外周に軟質ポリウレタンスポンジ層34を形成する。次いで、ポリウレタンスポンジ層34の表面部位ににスキン層36を形成し、更に表層部に位置するセル38を外部に開口させる。
【0046】
この際、ウレタンスポンジ原料がパイプ型52内に投入されてから、パイプ型52内面の谷部(トナー搬送ローラ26の凸部80に相当する部分)には接しいない段階で、円形の断面形状を保って軸方向に発泡させていく。次いで、未硬化状態のウレタンスポンジがパイプ状の型の円周外郭部に行き渡ってパイプ型52内面の谷部を埋める。
【0047】
この時点では、樹脂硬化反応がある程度進んでいるので、前記凸部80の分だけ膨張する際に、セル膜が引き伸ばされ、破膜する。この際、樹脂硬化反応を泡化反応よりも先行するような配合処方にすることにより、凸部80セル開口率よりも谷部82セル開口率が低くすることができる。
【0048】
図5(a)において、ローラ成形型50は、トナー搬送ローラ26の軟質ポリウレタンスポンジ層34の軸方向長さに略等しい長さのパイプ型52と、該パイプ型52の両端に取り付けられて、それぞれの端部を閉塞するキャップ54、54とから構成されており、パイプ型52内に芯金32を配置した後、パイプ型52の両端をキャップ54、54により閉塞すると共に、それらキャップ54、54により、芯金32を支持することによって、ローラ成形型50が形成される。
【0049】
ポリウレタン原料はローラ成形型50内に投入された後、発泡成形操作によって、軟質ポリウレタンスポンジ層34になる。ポリウレタン原料としては、従来公知の液状性原料(ポリオール成分とポリイソシアネート成分との配合物)のいずれも使用できる。
【0050】
ポリウレタン原料のポリオール成分としては、一般に軟質ポリウレタンフォームの製造に用いられている、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール等の公知のポリオール類の何れも用いることができ、またポリイソシアネート成分としては、公知の少なくとも2官能以上のポリイソシアネートの全てが用いることができ、例えば2、4−及び2、6−トリレンジイソシアネート(TDI)、オルトトルイジンジイソシアネート(TODI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、4、4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、及びカーボジイミド変成MDI、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ポリメリックポリイソシアネート等が、単独で使用、または併用することができる。
【0051】
また、これらポリオール成分とポリイソシアネート成分とが配合されたポリウレタン原料には、更に、架橋剤、発泡剤(水、低沸点物、ガス体等)、整泡剤(界面活性剤)及び触媒等を所望のポリウレタンスポンジ層34の構造、即ち、連続または独立の気泡を生じさせるように添加して、反応性の発泡原料とする。ただし、ポリウレタン原料の反応性を考慮する必要があり、ポリウレタンフォームの反応は樹脂化と泡化の競争反応であるので、ローラ凸部80のセル開口比率よりも谷部82のセル開口比率を低くするために、泡化反応よりも樹脂化反応を先行させる必要がある。ポリイソシアネート成分の一部をプレポリマー化することによって樹脂硬化反応を先行させたり、強力な樹脂硬化能を有する触媒を用いたり、逆に反応活性が低い泡化触媒を用いるなど、種々の手段を適宜選択することができる。
【0052】
また、ポリウレタン原料には、必要に応じて難燃剤や充填剤、更にはトナー搬送ローラに所望の導電性を付与するための導電性付与剤や帯電防止剤等が添加される。
【0053】
そして、このような液状のポリウレタン原料は、図5(a)に示されるようなローラ成形型50内に投入され、発泡成形する。その際の発泡倍率としては、一般に5倍〜20倍程度である。発泡成形操作により開口径が50〜1000μmであって、凸部80セルの開口面積比率と、谷部82セルの開口面積比率との関係が、p>bである開口部40を有する軟質ポリウレタンスポンジ層34が、芯金32の周りに一体的に形成されてなるトナー搬送ローラ26が得られる。ローラ成形型50から取り出したトナー搬送ローラ26は、スキン層36の表面のセル38には外部に独立に開口した開口部40が所望の大きさで形成される。
【0054】
本発明においては、このようにして発泡成形して得られたトナー搬送ローラ26を用いて、前記した現像ユニット20を構成するため、研削工程等の煩雑な工程が要なくなり、極めて簡便にトナー搬送ローラを製造することができ、また、寸法精度の向上や、ローラ表面の毛羽立ち、スキン層の破れ、更には異物の混入等の問題点が解消される。
【0055】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する。
【0056】
[実施例1]
ローラ成形型50として、内面に軸方向に伸びる凹凸形状を有するパイプ型52と、その両端部に嵌める金属製キャップ54,54を用意した。パイプ型52内面の凹凸形状はブローチ加工により断面形状を概略図5(b)のようにした。また、図3に示される寸法において、A=560μm、B=560μm、C1=280μm、C2=280μm、D=560μm、最大内径=16mmとした。
【0057】
ウレタンスポンジ層の原料としては、ポリオール、架橋剤、整泡剤、樹脂化系触媒、泡化系触媒、発泡剤、イソシアネートを配合し、フリー発泡時のクリームタイムが10秒、ライズタイムが180秒となるようにした。
【0058】
パイプ型52内径方向中央に予め芯金を配置し、パイプ型52内にウレタンスポンジ原料を混合・攪拌したものを金型に投入し、金型両端部のキャップ54,54を嵌めて型を閉じ、雰囲気温度60℃に設定された電気炉内にローラ成形型50を置いた。
【0059】
10分後に、電気炉からローラ成形型50を取り出し、トナー搬送ローラ26を脱型した。
【0060】
ローラ表面の様子をビデオマイクロスコープVH−6200(キーエンス社製)にて観察し、セル開口比率を算出したところ、凸部80のセル開口比率p=84(%)、谷部82のセル開口比率b=63(%)、セル平均開口径=450(μm)であった。
【0061】
このトナー搬送ローラ26を、フルカラーレーザービームプリンタのシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各トナーカートリッジに組み込み、連続耐久用のテキストページを連続5000枚の耐久試験を行い、その途中で1000枚出力ごとに各色のハーフトーン画像を出力し、画像の評価を行った。
【0062】
[実施例2]
ライズタイムが240秒となるように配合を変更した以外は実施例1と同様の方法でトナー搬送ローラを作成し、p=82(%)、b=10(%)、セル平均開口径=410(μm)であるトナー搬送ローラを得た。このローラについて、実施例1と同様の方法で画像評価を行った。
【0063】
[実施例3]
パイプ型52の谷部82長さ寸法Aを140μmとした以外は実施例1と同様の方法でトナー搬送ローラ2作成し、p=85(%)、b=76(%)、セル平均開口径=450(μm)であるトナー搬送ローラを得た。このローラについて、実施例1と同様の方法で画像評価を行った。
【0064】
[実施例4]
クリームタイムが8秒、ライズタイムが200秒となるように配合を変更した以外は実施例1と同様の方法でトナー搬送ローラを作成し、p=90(%)、b=84(%)、セル平均開口径=480(μm)であるトナー搬送ローラ26を得た。このローラについて、実施例1と同様の方法で画像評価を行った。
【0065】
[比較例1]
クリームタイムが5秒、ライズタイムが300秒となるように配合を変更した以外は実施例1と同様の方法でトナー搬送ローラを作成し、p=86(%)、b=86(%)、セル平均開口径=460(μm)であるトナー搬送ローラを得た。このローラについて、実施例1と同様の方法で画像評価を行った。
【0066】
[比較例2]
パイプ型52の谷部82長さ寸法Aを0とした以外は実施例1と同様の方法でトナー搬送ローラを作成し、p=84(%)、セル平均開口径=450(μm)であるトナー搬送ローラを得た。このローラについて、実施例1と同様の方法で画像評価を行った。なお、本例では谷部82がないので、bの値は存在しない。
【0067】
[比較例3]
パイプ型内面の凹凸がない以外は実施例1と同様の方法でトナー搬送ローラを作成し、p=85(%)、セル平均開口径=450(μm)であるトナー搬送ローラを得た。このローラについて、実施例1と同様の方法で画像評価を行った。なお、本例ではローラ表面に凹凸がないので、p及びbの値は存在しないが、便宜上ローラ表面全域のセル開口比率をpとした。
【0068】
[比較例4]
フリー発泡として実施例1のローラとほぼ同じ密度、セル径、セル数となるような配合とし、スラブ用発泡ボックス内でスラブを作成し、ウレタンスポンジ層を切り出して芯金に圧入し、外径が16mmとなるようにゴムローラ用研削機にて研削してトナー搬送ローラを作成し、表面のセルの平均開口径=380(μm)であるトナー搬送ローラを得た。このローラについて、実施例1と同様の方法で画像評価を行った。なお、本例では、ローラの表面にスキン層による連続面が形成されているとはいえない。
【0069】
以上の実施例と比較例のトナー搬送ローラを画像評価した結果を表1にまとめた。なお、表中の画像評価に関する項目は、5000枚出力後のチェック時における評価である。画像濃度における○は所定の濃度が得られことを、×は画像濃度が薄いことを示す。画像濃度ムラにおける○はムラが発生しなかったことを、×はムラが発生したことを示す。縦白スジにおける○はスジが発生しなかったことを、×はスジが発生したことを示す。いずれにおいても、××は、×よりも顕著な画像不良が発生したことを示す。
【0070】
【表1】
Figure 2004094101
【0071】
以上の表に示した通り、本発明における実施例の画像評価結果は、耐久の最終チェック(5000枚通紙時)まで非常に良好なものであった。また、クリームタイム、ライズタイムなどの泡化・樹脂化反応速度に関する要素や、パイプ型52の谷部寸法Aを変更しても、本発明の提案する範囲にある限り、何らの問題もないことが分かる。
【0072】
一方、比較例1のように、ローラ凸部80セル開口率と、同じく谷部82セル開口率が同等である場合、3000枚通紙後のチェック時に、ハーフトーン画像濃度が薄くなり、画像濃度のムラが表れた。その後、耐久枚数が進むにつれて、画像は徐々に悪化していった。これは谷部82セル開口率が高過ぎるため、トナーがローラ中に過剰に入り込み、ローラ硬度が上昇したことによるものであろう。そして、現像ローラ上のトナーの掻き取り、供給性が悪化したことによるものと考えられる。この例から、樹脂化反応と泡化反応のバランスを必要に応じて適宜調節し、凸部80と谷部82のセル開口率の関係をp>bとするべきであることが分かる。
【0073】
また、比較例2のように、ローラ谷部82長さ寸法が20μm未満である場合は、ローラ凸部80と谷部82の開口率がほぼ同等となっている。結果として、1000枚通紙後のチェック時に、ハーフトーン画像を出力したところ、画像全体の濃度が薄くなったり、また濃度にムラが発生したりした。これも比較例1と同様、トナー搬送ローラにトナーが入り込みすぎ、ローラの硬度が上昇したことによるものと考えられる。
【0074】
また、比較例3は、ローラ表面の凹凸形状自体をなくしたものであるが、これも比較例1と同様の画像不良が、1000枚通紙後のチェック時に発生した。この例では、ローラが凹凸形状ではないため、比較例2よりも画像濃度薄、また画像濃度ムラが顕著に表れた。
【0075】
比較例4はローラ表面に研削加工を施したものであるが、1000枚通紙後のチェック時にハーフトーン画像濃度が著しく薄くなり、画像濃度ムラも発生した。これも比較例1の結果と同様の現象と考えられる。また、通紙方向に何条もの縦白スジが走った。現像ユニットを分解して観察したところ、現像ローラとトナー規制ブレードとの間にトナー搬送ローラと同一成分の異物が発見された。これは恐らくローラの製造の際にローラ中に残った研削屑が、耐久中に脱落したものであると考えられる。
【0076】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、従来技術と異なり、ローラ表面のセル開口率について谷部より凸部を高くしたことにより、トナーの過剰な流入・滞留によるローラ硬度の上昇と、それに基づく画像不良の問題点、更には表面の毛羽立ちに起因する毛羽の欠落による異物発生等の問題点がに解消された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトナー搬送ローラを備えた一例のフルカラーレーザープリンターの概略機構図である。
【図2】図1における現像ユニットの一つの拡大断面図である。
【図3】本発明のトナー搬送ローラ表面の凸部、谷部及び凸部の谷部の寸法を定義する概念図である。
【図4】本発明のトナー搬送ローラの一例を示す説明図であって、(a)は本発明のトナー搬送ローラの斜視図示し、(b)は表面のセル構造を示す、(a)のX−X拡大断面図であり、また(c)は表面構造を示す部分拡大断面図である。
【図5】本発明のトナー搬送ローラの製造において用いられるローラ成形型の一例を示す説明図であり、(a)はローラ成形型に芯金を組み込んだ状態の、型の中心線を通る任意の面で切断した断面図であり、(b)は(a)の構成部品であるパイプ型の、型の中心線に垂直な任意の面で切断した断面図である。
【符号の説明】
2 感光体ドラム
4 帯電ローラ
6 露光機構部
8 現像部
10 転写ドラム
12 クリーニング装置
14 給紙装置
16 転写ローラ
18 定着ローラ
20 現像ユニット
22 ホッパー
24 トナー
26 トナー搬送ローラ
28 現像ローラ
30 トナー規制ブレード
32 芯金
34 ポリウレタンスポンジ層
36 スキン層
38 セル
40 開口部
50 ローラ成形型
52 パイプ型
54 キャップ
80 ローラ凸部
82 ローラ谷部

Claims (6)

  1. 芯金と、該芯金外周上のポリウレタンスポンジ層を有し、該ポリウレタンスポンジ層の表面に、該芯金の軸方向に両端部まで伸びた凸部と谷部からなる凹凸が複数形成されたトナー搬送ローラにおいて、
    該ポリウレタンスポンジ層の表面にはスキン層が形成されており、該谷部の幅が少なくとも20μmであり、
    (凸部に存在する表面セルの全表面積/凸部の全表面積)で表される凸部表面セルの開口面積比率p(%)と、(谷部に存在する表面セルの全表面積/谷部の全表面積)で表される谷部表面セルの開口面積比率b(%)が、下式の関係を満たすことを特徴とするトナー搬送ローラ。
    p>b (p<100,b≧0)
  2. 前記pと前記bが、更に下式の関係を満たす請求項1に記載のトナー搬送ローラ。
    p>20
  3. 前記pと前記bが、更に下式の関係を満たす請求項1または2に記載のトナー搬送ローラ。
    p−b≧5
  4. 前記pと前記bが、更に下式の関係を満たす請求項1乃至3のいずれかに記載のトナー搬送ローラ。
    b<95
  5. 前記pと前記bが、更に下式の関係を満たす請求項1乃至4のいずれかに記載のトナー搬送ローラ。
    p/b>1.5
  6. 前記凸部に存在する表面セルと前記谷部に存在する表面セルの開口径が、いずれも50〜1000μmである請求項1乃至5のいずれかに記載のトナー搬送ローラ。
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