JP6289089B2 - 発泡弾性ローラ及び電子写真用プロセスカートリッジ - Google Patents
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Description
〔1〕 回転軸となる芯金と該芯金の外周面に、少なくともポリオール、ポリイソシアネートを含有する原料組成物から同時形成された発泡弾性層であって、表層と一層以上の内層を有し、前記発泡弾性層の外周面から芯金に向かう直交方向での物性が、概略漸増もしくは漸減するセル構造を含む境界領域が存在する発泡弾性ローラにおいて、前記表層硬度が45g/cm2以上100g/cm2以下、前記発泡弾性層の硬度が20g/cm2以上45g/cm2未満、前記表層の通気量が40cc/cm2・sec以上100cc/cm2・sec以下、及び前記内層の通気量が1cc/cm2・sec以上20cc/cm2・sec未満であることを特徴とする発泡弾性ローラによる。
本発明は、回転軸となる芯金と芯金の外周面に、少なくともポリオール、ポリイソシアネートを含有する原料組成物からなる発泡弾性層が同時形成されており、前記発泡弾性層の外周面から芯金に向かう直行方向での物性のうち少なくとも一つが、概略漸増又は漸減する境界領域が存在する表層と一層以上の内層を有した発泡弾性ローラにおいて、前記表層硬度が45g/cm2以上100g/cm2以下、前記発泡弾性層の硬度が20g/cm2以上45g/cm2未満、前記表層の通気量が40cc/cm2・sec以上100cc/cm2・sec以下、及び前記内層の通気量が1cc/cm2・sec以上20cc/cm2・sec未満であることを特徴とする発泡弾性ローラである。
本発明における発泡弾性ローラは、表層硬度が45g/cm2以上100g/cm2以下である。表層硬度が45g/cm2未満であると、最外表面のセル骨格部の強度が低いことで、トナー掻き取り不足によるゴースト等の画像不良が発生する恐れがある。一方、100g/cm2より大きいと、現像ローラとの摺擦力(摩擦力)が大きくなってしまい、それによって画像不具合が発生する恐れがある。
表層硬度の測定方法は、まず、発泡弾性ローラ1を芯金5に向かう直交方向に幅10mmにカットし、図2に示すような測定片6を採取する。次に、圧縮試験機に板状押圧面を有する冶具7aを取り付ける。治具7aの幅8は、該表層の厚みよりやや狭い幅とする。次に、圧縮試験機(不図示)にて、温度23℃、相対湿度53%の環境下で、10mm/minの速度で冶具7aを移動させ、前記表層を1.1mm押圧変形させた。測定片6の発泡弾性層2の表層部分を芯金5と平行に押圧していく時の荷重−変形量曲線を測定した。このとき得られた荷重−変形量曲線から、押圧して変形量が1.0mmとなった時に表層にかかっている荷重(g)を求め、単位面積あたりの荷重を表層硬度(g/cm2)とする。
本発明においては、表層の通気量が40cc/cm2・sec以上100cc/cm2・sec以下であり、且つ内層の通気量が1cc/cm2・sec以上20cc/cm2・sec未満とすることで目的が達成される。好ましくは、表層の通気量が60cc/cm2・sec以上100cc/cm2・sec以下であり、且つ内層の通気量が10cc/cm2・sec以上20cc/cm2・sec未満である。表層の通気量が40cc/cm2・sec未満であると、表層の内部にトナーが入り込みにくくなることで、トナー供給量が少なくなり、濃度薄等の画像不良が発生し易くなる。表層の通気量が100cc/cm2・secよりも大きくなると、表層内部へのトナーの入り込みが多すぎてしまい、表層硬度が上昇し、現像ローラへの当接圧が大きくなることで、トナー劣化を促進することになる。
本発明において、発泡弾性層の外周面から芯金に向かう直交方向で、発泡弾性層の厚みに対し、表層の厚みは15〜40%が好ましく、20〜30%がより好ましい。
本発明において、表層を形成する少なくとも1つのポリオールの溶解度パラメータ(X)と、内層を形成する少なくとも1つの該ポリオールの溶解度パラメータ(Y)が関係式(1)を満たすことが好ましい。
式(1):|X−Y|≧0.06
d:密度
M:単位分子量
G:凝集エネルギー定数[(原子団・基に固有の定数)×(1分子当りの原子団・基の数)]
(金型等について)
本発明における発泡弾性ローラの製造方法について説明する。まず、成形金型としては、例えば図6に示すように、円筒状金型61と芯金5の保持部を有する上駒62と下駒63で形成されたローラ成型用金型60を用意する。下駒63には、注型機(不図示)より吐出されたポリウレタン発泡材料を受ける発泡材料受け部64を嵌合連結させ、注入孔65よりポリウレタン発泡材料を注入する構造であるものを使用することができる。
ポリオールとしては、特に制限は無く、ポリウレタンフォームの原料として従来公知の各種ポリオールの中から適宜選択して使用することが出来る。例えば、一般に軟質ポリウレタンフォームの製造に用いられているポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール等の、公知のポリオール類の中から適宜選択して使用することができ、一種で又は二種以上を組み合せて用いても良い。なお、上記ポリオールのうち、ポリエーテルポリオールを用いると、耐湿熱耐久性に優れた軟質高弾性ポリウレタンフォームを製造するに好適である。
ポリイソシアネートとしては特に制限は無く、ポリウレタンフォームの原料として従来公知の各種ポリイソシアネートの中から、適宜選択して使用することが出来る。例えば2,4−および2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、およびカーボジイミド変成MDI、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ポリメリックポリイソシアネート等を、単独で、又は二種以上を組み合せて用いても良い。なお、ポリイソシアネートを公知の活性水素化合物の1種または2種以上と反応させることにより得られるイソシアネート基末端プレポリマーも、ポリイソシアネートとして使用することもできる。
触媒としては特に制限は無く、従来公知の各種触媒の中から適宜選択して使用することが出来る。トリエチレンジアミン、ジメチルエタノールアミン、ビス(ジメチルアミノ)エチルエーテル等、ポリウレタンフォーム製造の分野で従来公知の触媒が使用できる。
また、これらポリオール成分とポリイソシアネート成分とが配合されてなるポリウレタン原料には更に、従来と同様に架橋剤、発泡剤(水、低沸点物、ガス体等)、破泡剤等を添加することができる。さらには、導電付与剤も公知の物を使用することができる。例えば導電付与剤としては、カーボンブラック、グラファイト、酸化チタン、酸化錫などの導電性の金属酸化物、Cu、Agなどの金属、これら導電性材料を粒子表面に被覆して導電化した粒子などが挙げられる。これらの導電付与剤は単独、あるいは複数種を組み合せて用いることができる。特に、カーボンブラックは、比較的少量(質量比)の添加によって、所望の導電性を付与できる点で好ましい。その他添加剤として、難燃剤、減粘剤、顔料、安定剤、着色剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、酸化防止剤等を必要に応じて配合することが出来る。架橋剤としてはトリエタノールアミン、ジエタノールアミン等の従来公知のものが挙げられる。
〔1.発泡弾性ローラの作製〕
内面に離型剤が塗布された内径16.5mm、長さ260mmの鉄製の円筒状部材とステンレス製の芯金(外径5mm、長さ270mm)を上駒部材と下駒部材で保持し形成されたローラ成型用金型を準備した。下駒部材にはローラ成型用金型の内部に発泡材料を注入するための注入孔が設けられている。
まず、内面に離型剤が塗布された内径14.4mm、長さ260mmの鉄製の円筒状部材を使用し、実施例1の内層と同配合の発泡弾性層からなる直径14.0mmの発泡弾性ローラを作成した。この発泡弾性ローラを、実施例1と同様のローラ成形用金型内に配置した。次いで、実施例1の表層と同配合のポリウレタン発泡材料を発泡注入して、表層を形成せしめることにより、内層の周りに、表層を一体的に形成した二層構造の発泡弾性ローラを作製した。
比較例1と同様に、実施例1の内層と同配合の発泡弾性層からなる発泡弾性ローラを形成した。この発泡弾性層を直径14.0mmになるように研磨した後、研磨面にウレタン系接着剤(KU661、KU662、コニシ(株)製)を塗布した。一方、実施例1の表層と同配合の発泡弾性層からなる発泡弾性ローラを形成し、内径12.0mm、外径14mmの円筒状に切り出して、これを前記発泡弾性層に被覆、接着して、二層構造の発泡弾性ローラを作製した。
本実施例及び比較例において、以下に示す材料を使用し、各プレミックスポリオール成分の配合部数、及びポリイソシアネートのNCOインデックスを表1に示した。
(B):アクトコールEP−3033(商品名)三井化学(株)製、ポリエーテルポリオール、平均分子量6600、OH価34mgKOH/g、溶解度パラメータ8.60。
(C):アクトコールEP−550N(商品名)三井化学(株)製、ポリエーテルポリオール、平均分子量3100、OH価54mgKOH/g、溶解度パラメータ8.66。
(D):ニューポールPE75(商品名)三洋化成工業(株)製、ポリエーテルポリオール。質量平均分子量4100、OH価32mgKOH/g、溶解度パラメータ8.73。
(E):アクトコールEP−240(商品名)三井化学(株)製、ポリエーテルポリオール、平均分子量7200、OH価23mgKOH/g、溶解度パラメータ8.55。
(F):L−3415(商品名)モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、シリコーン整泡剤。
(G):L−3629(商品名)モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、シリコーン整泡剤。
(H):TOYOCAT−ET(商品名)東ソー(株)製、ウレタン発泡用泡化触媒、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル。
(I):TEDA−L33(商品名)東ソー(株)製、ウレタン発泡用樹脂化触媒、トリエチレンジアミン。
(J):発泡剤(水)
(K):コスモネートTM20(商品名)三井化学(株)製、ポリイソシアネート混和物(MDI/TDI=20/80(質量比))、NCO%=45
得られた発泡弾性ローラをトナー供給ローラとして使用し、画像評価を行った。なお、画像評価は次のように行った。トナー供給ローラを市販のレーザープリンタ(HP社製、Color Laser Jet CP3525dn)のトナーカートリッジに組み込み、15℃、10%RHに1日間保管後に、複写機にセットし、15℃、10%RH環境下において、通常の複写機用普通紙を用いて1%印字画出し10000枚の耐久試験を行った後、さらに、通常の複写機用普通紙を用いて耐久試験後画出しを行った。
◎:濃度ムラが観察されず、極めて良好である。
○:濃度ムラが殆ど観察されず良好である。
△:濃度ムラがやや見られるが、使用するには気にならない程度である。
×:濃度ムラが観察され、使用不可である。
◎:濃度薄が観察されず、極めて良好である。
○:濃度薄が殆ど観察されず良好である。
△:濃度薄がやや見られるが、使用するには気にならない程度である。
×:濃度薄が観察され、使用不可である。
◎:ゴーストが観察されず、極めて良好である。
○:ゴーストが殆ど観察されず良好である。
△:ゴーストがやや見られ、使用するには気にならない程度である。
×:ゴーストが観察され、使用不可である。
2…発泡弾性層
3…表層
4…内層
5…芯金
6…測定片
7a、7b…板状押圧面を有する治具
8…板状押圧面を有する治具の幅
9…吸引ノズル
10…通気度測定部位
11…流量計
12…圧力計
13…吸引ポンプ
14…吸引パイプ
60…ローラ成型用金型
61…円筒状金型
62…上駒
63…下駒
64…発泡材料受け部
65…注入孔
20…下部に配置するポリウレタン発泡材料(下部PUF)
21…上部に配置するポリウレタン発泡材料(上部PUF)
31…画像形成体
32…帯電ローラ
33…電源
34…画像露光光
35…現像手段
35a…現像ローラ
35b…トナー供給ローラ(発泡弾性ローラ1)
36…クリーニング手段
37…転写手段
38…転写材
41…プロセスカートリッジ
42…レール
Claims (4)
- 回転軸となる芯金と該芯金の外周面に、少なくともポリオール、ポリイソシアネートを含有する原料組成物から同時形成された発泡弾性層であって、表層と一層以上の内層を有し、前記発泡弾性層の外周面から芯金に向かう直交方向での物性が、概略漸増もしくは漸減するセル構造を含む境界領域が存在する発泡弾性ローラにおいて、
表層硬度が45g/cm2以上100g/cm2以下、発泡弾性層の硬度が20g/cm2以上45g/cm2未満であり、且つ該表層の通気量が40cc/cm2・sec以上100cc/cm2・sec以下であり、前記内層の通気量が1cc/cm2・sec以上20cc/cm2・sec未満であることを特徴とする発泡弾性ローラ。 - 前記発泡弾性層の外周面から芯金に向かう直交方向で、前記発泡弾性層の厚みに対し、前記表層の厚みが15〜40%であることを特徴とする請求項1に記載の発泡弾性ローラ。
- 請求項1または2に記載の発泡弾性ローラからなるトナー供給ローラ。
- 電子写真画像形成装置に用いられる電子写真用プロセスカートリッジにおいて、請求項3に記載のトナー供給ローラを含むことを特徴とする電子写真用プロセスカートリッジ。
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