JP3994576B2 - トナー供給ロール - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は、トナー供給ロールの改良に係り、特に複写装置、画像記録装置、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置において、電子写真感光体や静電記録誘電体等からなる像担持体上に形成した静電潜像を現像して、可視化するのに使用される現像装置に内蔵され、所定のトナー(現像剤)を供給して、静電潜像が形成されている感光体の如き像担持体の表面において、目的とするトナー像を形成するために用いられるトナー供給ロールに関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、複写装置や画像記録装置、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置においては、電子写真感光体や静電記録誘電体等からなる像担持体上に形成した静電潜像を、現像装置の現像ロールから供給されるトナー(現像剤)により現像して、トナー像として可視化することが行なわれているが、そのような現像装置においては、また、ホッパー内に収容された所定のトナーを、現像ロールに供給し、更に像担持体側に供給するための、軟質の弾性ロールからなるトナー供給ロールが内蔵せしめられている。
【0003】
ところで、このような現像装置におけるトナー供給ロールには、例えば、特開平3−155575号公報等に明らかにされている如く、ポリウレタンフォーム(スポンジ)からなる弾性ロールが用いられてきているのであり、また、そのような弾性ロールの製法としては、(A)スラブ発泡若しくは型発泡のフォーム材からロール素材を切り出し、それに芯金を通した後、表面を研磨して、ロール形状に仕上げる方法、(B)芯金と一体で型内発泡した後、不要部分を研磨して、ロール形状に仕上げる方法、(C)ロール形状の型内で、芯金と一体で発泡成形し、研磨を行なわない方法等が提案されている。
【0004】
しかしながら、それら従来の弾性ロールの製法にあっては、各種の問題点が内在しており、例えば、上記の(A)方法や(B)方法においては、製造工程が煩雑であり、また研磨によるロール表面の毛羽立ち、寸法精度が悪い等の問題があり、一方上記の(C)の方法においては、そのような不具合はないものの、表面のスキン層が薄いために、トナー供給ロールとして使用する場合において、接触せしめられる相手たる現像ロールに対する摩擦抵抗にて破れ易く、耐久性が悪いという問題を内在している。
【0005】
尤も、かかる(C)の方法に従って得られる弾性ロールの耐久性を向上せしめて、その問題の解消を図るには、▲1▼密度を上げて、スキン層を厚くし、強度を上げる、▲2▼フォームの物性(抗張力、伸び、硬さ)を上げる、▲3▼表皮層(スキン層)を形成し易いインテグラルスキンフォームにする、等の手段を講ずることが考えられるが、それらの対策は、何れも、フォーム硬さが上昇する方向であり、このため、トナー供給ロールに要求されるロールの柔軟性とその耐久性の両立は、極めて困難である。
【0006】
また、現像装置におけるトナー供給ロールには、現像ロールに対してトナーを供給し、またその不要分を掻き取り、現像ロール上に均一にトナーを供給する機能が求められているが、前記(A)や(B)の方法において得られる弾性ロールにおけるロール表面の毛羽立ちは、トナー供給ロールとしてのトナー搬送量を不安定化し、画像不良の問題を惹起する他、ロール表面から毛羽が欠落した場合には、電子写真システムの他の部位に詰まる等の異物となり、画像不良や故障の原因となることとなる。
【0007】
更にまた、前記(C)の方法にて得られる弾性ロールにあっては、そのようなロールの表面に形成されるスキン層に破れが発生した場合において、スキン層破片の欠落による異物としての上記不具合が惹起されることに加えて、その破れた部分からトナーが入り込み、当該部分が硬くなって、ロール硬度が部分的に変化し、以てトナー搬送量が不安定となる問題も惹起されるようになるのである。
【0008】
一方、かかるトナー供給ロールにて供給されるトナーに関しては、画質の向上とプリントスピードの向上のニーズから、従来より、小粒径で低融点のものが用いられる傾向にあるが、それに伴ない、トナーが、帯電や長期放置によって、より凝集し易くなってきており、このために、現像ロール上に凝集、付着したトナーがトナー供給ロールにて掻き取られ得ず、かかる現像ロール表面に残存し(トナーのフィルミング)、それに起因して、画像上のムラが現れ、ゴースト等の問題となっている。即ち、現像ロールに対しては、トナー供給ロールが押し付けられて、該現像ロールと同一方向に回転せしめられることによって、それら両ロールの接触部においては、現像ロール表面に付着せるトナーをトナー供給ロールにて掻き取り、除去せしめる一方、現像ロール上には、新たに、均一にトナーが供給されるようになっているのであるが、前述の如く、現像ロール上に凝集、付着したトナーは、そのようなトナー供給ロールによる掻き取り作用にては充分に除去され得ず、そのまま現像ロール上に残存するトナーのフィルミング現象を惹起することとなり、そのために、現像ロール上の画像形成に関与するトナーの分布が不均一となって、ゴースト等として画像上のムラを惹起するようになるのである。
【0009】
なお、そのようなトナー供給ロールのトナーの掻き取り性を改良する方策としては、トナー供給ロール自体の硬度を高めたり、現像ロールへの圧接量を大きくする等の対策が考えられるが、何れの場合にあっても、掻き取り性は向上するものの、現像ロールとの摺擦力(摩擦力)が大きくなって、現像ロールの摩耗や傷が発生したり、トナーの劣化(細粒化)が促進されて、異常帯電が惹起されたりして、長期使用において、濃度低下、地汚れ等の画像不具合の問題を発生するようになるのである。また、トナー供給ロールを構成する発泡体のセル径を大きくすることも考えられるが、その場合にあっては、トナーがセル内に侵入し易くなるために、そのトナーが侵入した部位において硬化し、それによって、画像不具合を発生する恐れがある。
【0010】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、ロール表面の毛羽立ちのない、従ってトナー搬送量の不安定化の問題を解消した、寸法精度のよいトナー供給ロールを提供することにあり、また他の課題とするところは、ロール表面のスキン層の破れによって惹起される耐久性や異物の問題の解消を図り、更にはトナーの入り込みによるロール硬さの部分的な変化を抑制乃至は解消し得るトナー供給ロールを提供することにあり、更に異なる他の課題とするところは、現像ロール上のトナー掻き取り性を大幅に向上せしめてなるトナー供給ロールを提供することにある。
【0011】
【解決手段】
そして、そのような課題を解決するために、本発明にあっては、ロール軸となる長手棒状の芯金と、該芯金の周りに一体的に形成された、硬度が350g以下の軟質ポリウレタンフォーム層とからなり、且つ該ポリウレタンフォーム層の表層部に存在する各セルが、開口径が100〜800μmである開口部によって、それぞれ独立して外部に開口し、更にそれらセル開口部の開口全面積が該ポリウレタンフォーム層の表面の20%以上を占めているトナー供給ロールにして、かかるポリウレタンフォーム層の外周面が、ロール軸方向にスパイラル状に延びるように設けられた、ロール周方向に歯車形状の断面をもって延びる複数の凸条によって、凹凸表面構造とされていることを特徴とするトナー供給ロールを、その要旨とするものである。
【0012】
このように、本発明に従うトナー供給ロールにあっては、芯金の周りに、所定の軟質ポリウレタンフォーム層が一体的に形成されてなり、しかも、その表面には、セルの開口部が存在するものの、全体として、セル開口部は、ロール表面において、それぞれ、独立した形態において存在しており、従来の如き研磨加工が施された表面とされてはいないところから、毛羽が発生することがなく、それ故にロール表面の毛羽立ちによるトナー搬送量の不安定化の問題は全く惹起されることがなく、また画像不良の問題も惹起されることがないのであり、更に毛羽の欠落による異物の発生に基づくところの故障等の問題も全くなく、寸法精度のよいトナー供給ロールを得ることが出来るのである。
【0013】
しかも、この本発明に従うトナー供給ロールにあっては、そのポリウレタンフォーム層の外周面(外表面)が、ロール軸方向にスパイラル状に延びるように設けられた、ロール周方向に歯車形状の断面をもって延びる複数の凸条の存在によって、凹凸表面構造とされているところから、そのような外周面が現像ロールに対して押し付けられて回転せしめられることにより、そのスパイラル状の凹凸表面構造の故に、現像ロール上のトナーの掻き取りが極めて有利に為され得、更にはその掻き取られたトナーがロールより積極的に排出され得ることとなるのであり、以て、従来から問題とされていた、現像ロール上に残存するトナーに基づくところの画像上のムラの発生の問題を、効果的に解消せしめ得たのである。
【0014】
また、かかる本発明に従うトナー供給ロールの表面には、独立した所定の開口部がそれぞれ形成され、表層部の各セルが、それぞれの開口部を通じて独立して外部に開口せしめられているところから、従来のようなスキン層の薄い部分が存在しておらず、それ故にそのような薄い部分の破れによって惹起される異物の発生、更には耐久性の低下の問題等が惹起せしめられることがないのであり、更には表層部に存在する各セルが、それぞれのセルに対応して形成された開口部を通じて均一に開口せしめられているところから、トナーは、それら開口部を通じて、ロール表面から均一にロール内に入り、また外部に出るようになるのであって、それ故に、ロール表面における部分的な硬さのバラツキが生じ難く、従来のスキン層付きロールの如く、部分的なセルの破れ部分からのトナーの侵入により、部分的な硬化部分が発生するようなことも、効果的に抑制され得るのである。
【0015】
なお、このような本発明に従うトナー供給ロールにおいて、ポリウレタンフォーム層は、最終ロール形状を与える成形キャビティ内でのポリウレタン原料の発泡成形操作によって、芯金の周りに一体的に形成されていることが望ましく、これによって、目的とする外表面形状のポリウレタンフォーム層が、効果的に実現され得るのである。
【0016】
また、本発明に従うトナー供給ロールによれば、前記複数の凸条は、ロール軸に対して11°〜74°の傾斜角度をもって設けられており、更に、それら複数の凸条は、ロール周方向において0.1〜1.0mmの高さと0.2〜1.0mmの頂部幅と0.6〜2.0mmのピッチをもって設けられることとなる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明の構成について、更に具体的に明らかにすることとする。
【0018】
先ず、図1は、本発明に従うトナー供給ロールが用いられるフルカラーレーザービームプリンターの一例に係る概略構成を示す図であって、そこにおいて、2は感光体ドラムであり、この感光体ドラム2の周りに、感光体ドラム2の表面を帯電させる帯電ロール4と、画像情報をレーザー信号にて送り、感光体ドラム2上に静電潜像を形成せしめる露光機構部6と、感光体ドラム2表面に形成された静電潜像に対応するトナー像を現像する現像部8と、かかる感光体ドラム2上に現像されたトナー像が転写される転写ドラム10と、更には感光体ドラム2表面の転写残像や残存トナーを除去するクリーニング装置12が設けられている。そして、感光体ドラム2から転写ドラム10上に転写されたトナー像は、給紙装置14から供給される複写紙に対して、更に、転写ロール16にて転写せしめられた後、定着ロール18にて複写紙に定着せしめられるようになっている。
【0019】
このレーザービームプリンターにおいて、現像部8は、フルカラープリントのために、シアン、イエロー、マゼンタ、ブラックの4色からなるトナー(ここでは、非磁性一成分現像剤が用いられている)を、それぞれ、別個に収容する現像ユニット20を有し、それら4つの現像ユニット20が90°の位相差を持って回転軸周りに配置されてなる構造を有し、かかる回転軸周りの1/4回転毎に、各現像ユニット20が感光体ドラム2に接して、それぞれの色相のトナー(カラー現像剤)を感光体ドラム2上に供給して、静電潜像の現像を行なうようになっている。
【0020】
また、かかる現像部8における各現像ユニット20は、図2に示される如く、ホッパー22内にカラー現像剤たるトナー(非磁性一成分現像剤)24を収容すると共に、該ホッパー22の下部に設けられたトナー供給ロール26と現像ロール28とが、所定の圧接量を以て相互に接触しつつ、互いに同一方向に回転せしめられることによって、そのような現像ロール28上に残留するトナー24をトナー供給ロール26にて掻き取りつつ、トナー供給ロール26との接触部から回転に伴ない離隔せしめられる側においては、かかる現像ロール28上に、ホッパー22内のトナー24が供給せしめられるようになっているのである。なお、この現像ロール28上に形成されるトナー層の厚さは、層形成ブレード30にて規制されるようになっている。そして、かかる現像ロール28は、先述の如く、現像部8の回転軸周りの1/4回転にて感光体ドラム2に接触せしめられ、現像ロール28上に形成されたトナー層にて、感光体ドラム2上の静電潜像が現像せしめられることとなるのである。
【0021】
ところで、本発明は、かくの如き構成のプリンターにおける現像部8の現像ユニット20に用いられるトナー供給ロール26を対象とするものであり、そのようなトナー供給ロール26を、芯金の周りに、例えば一体発泡成形手法等によって、所定の軟質ポリウレタンフォーム層を一体的に形成することによって構成すると共に、かかるポリウレタンフォーム層の表層部に存在する各セルが、所定開口径の開口部によって、それぞれ独立して外部に開口するように構成せしめ、更に、そのようなポリウレタンフォーム層の外周面を、ロール軸方向にスパイラル状に延びるように設けられた、ロール周方向に歯車形状の断面をもって延びる複数の凸条によって、凹凸表面構造としたところに、大きな特徴を有するものであって、その一例が、図3(a)に概略的に、更には図5(a)、(b)に詳細に示されている。
【0022】
すなわち、図3(a)において、トナー供給ロール26は、回転軸となる芯金32と、その周りに一体的に形成された、独立気泡型の発泡体構造の、所定厚さの軟質ポリウレタンフォーム層34とから構成されている。なお、このような構成のトナー供給ロール26は、有利には、芯金32の存在下において、最終ロール形状を与える成形キャビティ内でのポリウレタン原料の発泡成形操作によって得られ、そしてそれによって、後述する硬度が350g以下である軟質ポリウレタンフォーム層34が、芯金32の周りに、所定厚さにて一体的に形成されるのである。
【0023】
そして、このような一体発泡成形操作等にて、芯金32の周りに形成される、軟質ポリウレタンフォーム層34は、図3(a)におけるA部断面図として拡大して示されているように、その表面に、全体として連続した面を与えるスキン層36を有しているが、このスキン層36には、その直下に位置する各セル38を外部に連通せしめる開口部40が100〜800μmの開口径において独立して存在し、これによって、穴明きのスキン層36となっている。しかも、そのようなスキン層36における開口部40は、かかるスキン層36の厚さが最も薄くなるセル38の中央部に相当する部位に形成されているのであり、これによって、スキン層36の最も薄い部分がない形態とされているところから、スキン層の破れの問題、更にはその破れによる異物の混入等の問題が、効果的に解消され得ることとなる。
【0024】
なお、図4(a)、(b)及び(c)には、そのようなスキン層36に存在する開口部40の大きさが異なる3つの例が、それぞれ、その表面形態において示されているが、それらの図からも明らかな如く、スキン層36は、その開口部40の大きさによって、多少変化するものの、全体として連続した表面(平坦なロール面)を形成するものであり、そしてそれらセル38のスキン層36における開口全面積、換言すれば開口部40の合計面積が、スキン層36の表面の20%以上を占めるように構成され、これによって、スキン層36の薄い部分の存在が排除され、またポリウレタンフォーム層34の各セル38に対するトナーの出入りが均一化されて、部分的な硬さのバラツキが生じ難くなるのである。特に、このような開口部40の開口全面積の割合が20%よりも低くなると、トナー供給性能が低くなる問題に加えて、ポリウレタンフォーム層34内部にトナーが詰まり易く、これによって部分的な硬化が惹起されて、画像の悪化を招き易い問題を内在している。尤も、そのようなセル38の開口全面積のスキン層36表面に対する占有割合の上限は、適宜に決定されることとなるが、一般に80%以下、好ましくは70%以下とされる。
【0025】
しかも、このような本発明に従うトナー供給ロール26にあっては、そのポリウレタンフォーム層34におけるスキン層36の直下に位置する各セル38の開口部40は、図4の各図からも明らかな如く、略円形形状を呈しており、そしてそのような開口部40の存在による作用効果を充分に奏せしめるために、かかる開口部40の開口径は、先述の如く、100〜800μm、好ましくは200〜700μm程度とされる必要がある。けだし、開口部40の開口径が100μmよりも小さくなると、開口部40を通じてセル38内に侵入したトナーが出にくくなり、硬化が惹起されて、画像不具合が発生するからであり、また該開口径が800μmを越えるようになると、トナー供給量が減少して、濃度低下、スジ発生の問題を惹起するからである。
【0026】
なお、かかる軟質ポリウレタンフォーム層34は、例示の如き各セル38が相互に独立した独立気泡型の構造であっても、また各セル38が相互に連通せる連続気泡型の構造であっても、何等差し支えないが、特に、独立気泡型の構造が有利に採用されることとなる。また、そのような軟質ポリウレタンフォーム層34を構成する各セル38のセル径は、開口部40の開口径よりも大きいものであって、一般に100〜1000μm程度、好ましくは300〜900μm程度とされることとなる。このセル径が小さいと、必然的に開口径が小さくなることとなって、トナーの詰まりによる部分的な硬化に基づくところの各種の問題が惹起され、またセル径が余りに大きくなっても、トナーが侵入し易くなって、著しい硬化が惹起され、画像不具合につながる問題がある。
【0027】
さらに、かかる本発明に従うトナー供給ロール26を構成する軟質ポリウレタンフォーム層34の外周面は、図5の(a)及び(b)に示されている如く、ロール軸方向にスパイラル状に延びるように設けられた複数の凸条35によって、螺旋状の凹凸表面構造とされているのであり、しかも、そのような凸条35は、その高さ(h)が0.1〜1.0mm、好ましくは0.2〜0.5mmとなるように、また、その頂部幅(w1 )が0.2〜1.0mm、好ましくは0.2〜0.5mmとなるように、更に、そのロール周方向におけるピッチ(p)が0.6〜2.0mm、好ましくは0.8〜1.5mmとなるように形成されているのである。
【0028】
けだし、凸条35の高さ(h)や頂部幅(w1 )やピッチ(p)が、余りにも小さくなり過ぎると、現像ロール28上のトナーの掻き取り性が悪化して、本発明の目的を充分に達成し得なくなるからであり、また、高さ(h)が1.0mmを越えるようになると、現像ロール28に対する圧接放置時において惹起されるヘタリにて、画像不具合が惹起されるようになるからであり、更に、ピッチ(p)が2.0mmを越えるようになると、凸条35間に位置する凹溝37部分において現像ロール28に対する摺擦力が低くなるために、現像ロール28上に形成されるトナー層の厚さが、当該凹溝37対応部分において薄くなり、筋状にトナー層の厚さが変化する、所謂ピッチムラが惹起されて、それが画像に現れる問題が発生するようになるからである。また、頂部幅(w1 )が1.0mmを越えるようになると、周長に占める凹溝37が小さくなり、トナー搬送能力の低下の問題が惹起されるようになる。
【0029】
そして、そのような複数の凸条35は、ロール軸方向にスパイラル状(螺旋状)に位置するように、ロール軸に対して所定の角度(α)をもって傾斜するように形成されるのであるが、本発明にあっては、一般に、ロール軸に対して11°〜74°、好ましくは30°〜74°の傾斜角度(α)をもって設けられることとなるのである。けだし、そのような傾斜角度(α)が、11°よりも小なる場合にあっては、そのようなスパイラル状の凸条35によるトナー掻き取り性能の向上効果を充分に奏し得なくなるからであり、また、74°を越えるような傾斜角度(α)となっても、トナー掻き取り性能の向上効果を充分に達成し得なくなるからである。
【0030】
なお、このようなポリウレタンフォーム層34の外周面に形成される複数の凸条35の形状としては、図5(b)に示される如く、ロール周方向に歯車形状の断面をもって延びる形態となる限りにおいて、各種の歯車形状が適宜に選択され得、そして、その選択された凸条35の形状によって、それら凸条35の隣接するものの間に形成される凹溝37の形状が決定されることとなる。また、そのような隣接する凸条35、35間に位置する凹溝37の溝幅(w2 :底部におけるもの)としては、一般に、0.2〜0.8mm程度とされることとなる。
【0031】
しかも、本発明にあっては、そのような軟質ポリウレタンフォーム層34は、その硬度が350g以下である必要があり、これよりも硬度が高くなると、現像ロール28へのトナー24の供給が悪化し、L/L(低温低湿:15℃×10%)耐久性試験後の画像が悪化する等の問題を惹起する。なお、ここで言う硬度とは、図6(a)及び(b)に示される如く、トナー供給ロール26を、その両端の芯金32部分において支持し、そしてそのポリウレタンフォーム層34を、50mm幅(厚さ:7mm)の板状押圧面を有する治具42にて、10mm/minの速度で押圧した時の、1mm変位(圧縮)時の荷重(g)にて表したものであって、その数値が大きくなる程、ポリウレタンフォーム層34の硬さが高い、即ち硬いことを示している。また、測定ポイントは、図示の如く、軸方向の2ヶ所×周方向の90°毎に4ヶ所の、計8ヶ所とし、その平均値において示されるものである。そして、このような硬度を有する軟質ポリウレタンフォーム層34は、原料の配合組成や成形型への投入量等の選択によって容易に実現されるものであり、特に、後述する如きパイプ型を成形型とすることによって、原料投入量に対応した硬度を実現することが出来る特徴がある。
【0032】
ところで、かくの如きロール表面構造を有する本発明に従うトナー供給ロール26の特徴は、また、前記した従来法によって得られるトナー供給ロールを示す図3(b)及び(c)のロール表面構造との対比からも、容易に理解し得るところである。
【0033】
すなわち、図3(b)に示されるトナー供給ロール26′は、前記した従来法(A)又は(B)にて製造されたものであって、芯金32′の周りに設けられたポリウレタンフォーム層34′は、研磨加工によって、その表面が毛羽立ったものとなっているのであり、そしてその毛羽44が脱落することにより、異物の原因となる問題に加えて、寸法精度も正確なものとはならないのである。また、図3(c)は、前記した従来法(C)にて得られたトナー供給ロール26″であって、芯金32″の周りに形成されたポリウレタンフォーム層34″の表面には、拡大して示されている如く、スキン層46が形成されているものの、そのようなスキン層46の直下に位置する各セル38″は、外部に対して開口しておらず、そのようなセル38″の中央部に相当するスキン層46部位の厚さが薄くなっており、そのために、当該部位における破れが発生し易く、そしてその破れによって、スキン層46の破片の欠落による異物の発生の問題が惹起されることとなり、またその破れた部分からトナーが入り込み、その部分が硬くなる等の問題を惹起するのである。
【0034】
しかるに、本発明に従う図3(a)に示されるトナー供給ロール26にあっては、連続した滑らかな面を与えるスキン層36の存在により、ロールの寸法精度が向上すると共に、そのようなスキン層36には、それのセル38の直上の最も薄くなる部分(セル中央部相当部位)に開口部40が設けられていることによって、ロール表面の毛羽立ちや毛羽の欠落、スキン層破片の欠落等の問題が惹起されることがないのであり、また部分的に破れたスキン層の破れ部位からセル内にトナーが入り込み、その部分が硬くなることによって惹起されるロール硬度の部分的な変化の問題等も、全く解消されるに至ったのである。
【0035】
しかも、本発明にあっては、図5(a)や(b)に示される如く、ポリウレタンフォーム層34の外面には、ロール軸方向にスパイラル状に(螺旋状に)延びる、所定高さの凸条35の複数が、ロール周方向に所定ピッチをもって設けられて、凹凸表面構造の外周面とされているところから、そのような凹凸表面構造のトナー供給ロール26が、図2における如く、現像ロール28に対して押圧されて、同じ方向に回転せしめられることによって、現像ロール28上に付着せるトナー24は、トナー供給ロール26の表面の凹凸構造にて、効果的に掻き取られ得ると共に、凸条35のスパイラル形状によって、掻き取られたトナーが、ローラー外に効果的に排出せしめられ得て、除去されるようになるのであり、以て現像ロール28上には、トナー24の残留が極力排除され、そしてそのようなロール表面に対して、トナー24がトナー供給ロール26にて新たに供給されて、所定のトナー層が形成されることとなるのであって、それ故に、画像上のムラが惹起される問題は、悉く解消され得ることとなったのである。
【0036】
ここにおいて、上記の如き本発明に従うトナー供給ロール26は、当業者間において認識されている公知の各種の手法に従って容易に製造され得るものであるが、本発明においては、特に、以下の如き手法が有利に採用され、それによって、ポリウレタン原料の一体発泡成形と同時に形成される軟質ポリウレタンフォーム層34の表面のスキン層36に、その直下の各セル38を独立して外部に連通せしめる開口部40をそれぞれ形成せしめる一方、ポリウレタンフォーム層34の外周面に、ロール軸方向に延びる螺旋状の複数の凸条35を、ロール周方向に所定ピッチで設けて、凹凸表面構造としたトナー供給ロール26が、一挙に製造され得るのである。
【0037】
すなわち、かかる手法は、最終ロール形状を与える成形キャビティ内でのポリウレタン原料の発泡成形操作によって、目的とするトナー供給ロールを製造するに際して、そのような成形キャビティにおけるロール外周面を形成する型内面にトナー供給ロール26の凹凸表面構造を与える凸条35に対応した凹溝を形成し、且つ表面粗さ:Rzが5〜20μmとなるように調整してなると共に、そのような型内面に、シリコーン系若しくは弗素系離型剤からなるコーティング層を設けてなる成形型を用いて、ポリウレタン原料の発泡成形を行なう方法であり、かかる成形型の成形キャビティ内に、芯金32を配置すると共に、ポリウレタン原料を導入して発泡成形せしめることにより、かかる芯金32の周りに、軟質ポリウレタンフォーム層34を形成せしめる一方、かかるポリウレタンフォーム層34の表面にスキン層36を形成し、更に表層部に位置するセル、換言すればスキン層36直下のセル38のそれぞれを、外部に開口せしめる開口部40を、表面のスキン層36を貫通するように形成せしめると同時に、ポリウレタンフォーム層34の外表面に、型内面の軸方向の螺旋状凹溝を転写せしめて、ロール軸方向に螺旋状に延びる凸条35を形成せしめるようにするのである。
【0038】
そして、このような成形型を用いることにより、その型内面(ロール外周面を形成する成形キャビティ内周面)に形成される、シリコーン系若しくは弗素系離型剤からなるコーティング層の溌水作用乃至は表面張力等の作用に加えて、型内面の表面粗さ(Rz)が所定粗さとされていることにより、液状のポリウレタン原料の発泡成形にて生じるセルの型内面に最も近接する部分、換言すればスキン層の厚さが最も薄くなるセル中央部相当部位に、ポリウレタン原料の不存在部分が生じ、これによって、形成されるポリウレタンフォーム層34表面のスキン層36に開口部40が生じ、この開口部40を通じて、セル38が外部に開口するようになるのであり、また、成形キャビティのロール外周面を形成する型内面に設けられた軸方向の螺旋状の凹溝によって、ポリウレタンフォーム層34の外表面には、ロール軸方向に延びる螺旋状の凸条35が形成されることとなるのである。
【0039】
なお、ここで用いられる成形型は、前述の如く、その成形キャビティにおけるロール周面を形成する型内面(キャビティ内面)において、目的とする凹凸表面構造を構成する複数の凸条35を与える凹溝が、成形キャビティの軸方向にスパイラル状に延びる形態において設けられてなるものであり、またそのような凹溝にて形成される凹凸形状の型内面の表面粗さ(Rz)が5〜20μmとなるように調整されるのであるが、そのような表面粗さ(Rz)は、一般にショットブラスト加工等の公知の粗面化加工を施すことによって、容易に実現されることとなる。かかる型内面の表面粗さ(Rz)が、5μmよりも小さくなると、発泡成形されるポリウレタンフォーム層34の表面のスキン層36に対して、開口部40を充分な大きさにおいて形成し難くなるのであり、また20μmよりも大きくなると、脱型不具合、具体的にはスキン層がやぶれ、フォーム層の破断等という問題を惹起する。
【0040】
また、かかる成形型の、成形キャビティ内面(型内面)に対して、凸条35に対応する凹溝を形成するに際しても、従来から公知の各種の手法が適宜に採用され得るものであって、例えば、型内面をエッチング加工、放電加工(ワイヤカット)、ヘリカルブローチ加工等による螺旋溝入れ切削加工を施したり、電鋳めっきによって形状転写することにより、更には鋳造によって形状転写する等の手法によって、目的とする型内面形状が実現されることとなる。更に、パイプ型を縦に二分割し、それぞれの内面に対して、目的とする螺旋溝形状の電極を用いて放電加工を行ない、その後、その分割されたパイプ型を結合して、或いは結合することなく、縦分割金型として用いて、前記したポリウレタンフォーム層34の発泡成形操作を実施することも可能である。
【0041】
そして、このようにして、目的とするトナー供給ロール26の外周面形状に対応した型内面構造(凹凸表面構造)とされると共に、表面粗さ(Rz)が5〜20μmとなるように調整されてなる型内面に対して、そこに形成されるシリコーン系若しくは弗素系離型剤からなるコーティング層は、何れも、公知のシリコーン系若しくは弗素系離型剤、例えば変性シリコーン樹脂や弗素樹脂乃至は変性弗素樹脂を離型有効成分として含む離型剤を用いて形成され、その際、そのようなコーティング層の厚さは、一般に、1〜10μm程度とされることとなる。このコーティング層の厚さが薄くなり過ぎると、コーティング層の機能を充分に発揮し得なくなるからであり、また厚くなり過ぎると、発泡成形して得られるポリウレタンフォーム層34の凹凸表面構造の形態が悪化するようになるからである。また、前記シリコーン系若しくは弗素系離型剤は、有利には、型内面に塗布された後、加熱硬化せしめられ、以て皮膜強度の向上せしめられたコーティング層とされることとなる。
【0042】
ところで、上記した本発明に従う方法においては、具体的には、図7に示される如きパイプ形状を呈する型構造を有する成形型、所謂パイプ型が好適に用いられて実施され、そこでは、そのパイプ形状の内部が、トナー供給ロール26の最終ロール形状を与える成形キャビティとされているのである。
【0043】
すなわち、図7(a)において、成形型50は、トナー供給ロール26の軟質ポリウレタンフォーム層34の軸方向長さに略等しい長さのパイプ52と、該パイプ52の両端に取り付けられて、それぞれの端部を閉塞するキャップ54、54とから構成されており、パイプ52内に芯金32をセットせしめた状態下において、該パイプ52の両端をキャップ54、54にて閉塞すると共に、それらキャップ54、54にて芯金32を支持せしめることによって、パイプ52内に、目的とするトナー供給ロール26の最終ロール形状(外径)を与える成形キャビティ56が形成されるようになっている。
【0044】
そして、このような成形型50の型内面を構成するパイプ52の内面が、図7(b)に拡大して示されるように、目的とするトナー供給ロール26の外表面の凹凸構造を与える凸条35に対応せる凹溝58が、パイプ軸方向に螺旋状に延びるように設けられていると共に、パイプ52の内面全体が所定の表面粗さ(Rz)となるように加工され、更に、そのようなパイプ52の内面に、シリコーン系若しくは弗素系離型剤からなるコーティング層60が所定厚さで形成されているのである。
【0045】
また、かかる本発明に従うトナー供給ロール26の製造に際して、成形型(50)の成形キャビティ(56)内に導かれて、発泡成形操作によって、軟質ポリウレタンフォーム層34を与えるポリウレタン原料は、従来と同様な液状のものであって、型内で発泡硬化する、従来から公知の反応性原料(ポリオール成分とポリイソシアネート成分との配合物)の何れもが、特に限定されることなく、適宜に選択使用されることとなる。
【0046】
例えば、そのような液状のポリウレタン原料を構成するポリオール成分としては、一般に軟質ポリウレタンフォームの製造に用いられている、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール等の公知のポリオール類の何れもが用いられ得、また、ポリイソシアネート成分としては、公知の少なくとも2官能以上のポリイソシアネートの全てが用いられ得、例えば2,4−及び2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、オルトトルイジンジイソシアネート(TODI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、及びカーボジイミド変成MDI、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ポリメリックポリイソシアネート等が、単独で、又は併用して使用され得るものである。
【0047】
また、これらポリオール成分とポリイソシアネート成分とが配合されてなるポリウレタン原料には、更に、従来と同様に、架橋剤、発泡剤(水、低沸点物質、ガス体等)、界面活性剤、触媒等が、目標とする発泡成形後のポリウレタンフォーム層34の構造、即ち独立気泡型の発泡体構造を生ぜしめ易い公知の配合となるように、適宜に添加されて、反応性の発泡原料とされるが、また、そのような原料には、必要に応じて難燃剤や充填剤、更にはトナー供給ロールに所望の導電性を付与するための導電性付与剤や、帯電防止剤等も、従来と同様に添加せしめられる。
【0048】
そして、このような液状のポリウレタン原料は、例えば、図7の(a)に示される如き成形型50の成形キャビティ56内に注入されて、従来と同様にして、発泡成形せしめられることとなるが、その際、発泡倍率としては、一般に、5倍〜20倍程度とされる。このような発泡成形操作にて、硬度が350g以下であり、且つ開口径が100〜800μmであって、開口全面積が20%以上である開口部40を有するポリウレタンフォーム層34に対して、ロール軸方向にスパイラル状に延びるように設けられた、所定の凹溝35にて凹凸表面構造が付与されたトナー供給ロール26が得られるが、そのようなトナー供給ロール26を成形型50から取り出した状態のままにおいて、そのロール表面のスキン層36には、その直下の各セル38を外部に開口せしめる独立した開口部40が、成形型50の型内面(パイプ52内面)の特性によって、所定大きさにおいて形成されているのである。なお、このようなポリウレタンフォーム層34の発泡成形後に、公知のクラッシングを適宜実施してもよく、例えば、所定の圧力の圧縮空気等を吹き付ける方法が、有利に採用される。また、独立気泡型のポリウレタンフォーム層34を成形する場合には、発泡方法として機械発泡が望ましいと共に、そのようなクラッシング時の空気圧を小さくすることが望ましい。
【0049】
本発明は、このようにして発泡成形して得られたトナー供給ロール26をそのまま用いて、前記した現像ユニット20を構成するものであり、それ故に、従来の如き、研磨工程等の面倒な工程も採用する必要がなく、極めて簡便にトナー供給ロールを製造することが出来、また、寸法精度の向上は勿論、ロール表面の毛羽立ち、スキン層の破れ、更には異物の混入の問題を効果的に解消することが出来ると共に、現像ロール上のトナー掻き取り性が大幅に向上せしめられたトナー供給ロールと為し得たのである。
【0050】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記した具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが理解されるべきである。
【0051】
先ず、成形型としては、図7(a)に示される如きパイプ型(50)を用い、その型内面に相当する金属製パイプ(52)の内面に対して、ヘリカルブローチによる螺旋溝入れ切削加工を施して、図5に示される如き、ロール軸方向に螺旋状に延びる複数の凸条(35)によって凹凸表面構造のポリウレタンフォーム層(34)を与える、前記凸条(35)に対応した凹溝(58)を、各種の傾斜角度(α)において形成した。そして、このヘリカルブローチ加工されたパイプ型(50)の型内面に対して、ショットブラスト加工を施し、その表面を、表面粗さ:Rzが10μmとなるように粗面化した後、シリコーン系離型剤(変性シリコーン樹脂を主成分とし、樹脂固形分が3〜5%の溶液)を用いてコーティングを行ない、更に加熱硬化せしめることにより、各種の傾斜角度(α)の凹溝(58)が形成された型内面に、シリコーン系離型剤の硬化層(厚さ:5μm)を形成せしめた。
【0052】
一方、FA−718(三洋化成工業株式会社製ポリエーテルポリオール、OH価=28)90重量部、POP−31−28(三井東圧化学株式会社製ポリマーポリオール、OH価=28)10重量部、カオライザーNo.1(花王株式会社製三級アミン触媒)0.5重量部、トヨキャットHX−35(東ソー株式会社製三級アミン触媒)0.05重量部、水:2重量部、SZ−1313(日本ユニカー株式会社製シリコーン系整泡剤)2重量部、スミジュール44V−20(住友バイエルウレタン株式会社製クルードMDI、NCO%=31)8.8重量部、及びTDI−80(三井東圧化学株式会社製TDI、NCO%=48)20.5重量部を配合せしめて、目的とするポリウレタン原料を調製した。
【0053】
次いで、かくの如き配合組成のポリウレタン原料を用いて、前記した型内面の凹溝(58)の配設形態が種々異なる成形型(50)にて、従来と同様にして発泡成形することにより、芯金(32)の周りに、それぞれ、生じた螺旋状の複数の凸条(35)によって所定の凹凸表面構造を呈する軟質ポリウレタンフォーム層(34)を一体的に形成せしめてなる、各種のトナー供給ロール(26)を得た。なお、得られた各種のトナー供給ロール(26)における軟質ポリウレタンフォーム層(34)は、何れも、硬度が190g、セル径が390〜700μm、開孔(口)率が63.7%、開口径が330〜620μmのものであった。また、かかるポリウレタンフォーム層(34)の表面に形成された、ロール軸芯に対して、所定の傾斜角度(α)をもって延びる螺旋状の凸条(35)の高さ(h)は0.3mm、その頂部幅(w1 )は0.5mm、ロール周方向におけるピッチ(p)は1.3mmであった。
【0054】
そして、この得られた各種のトナー供給ロール(26)について、それを用いた画像評価試験を行ない、球形トナーを用いた条件(1)又は通常の異形粉砕トナーを用いた条件(2)における、ゴースト及びフィルミングの発生状況をそれぞれ調べて、それらの結果を、下記表1、表2に併せ示した。
【0055】
なお、かかる画像評価試験におけるフィルミング発生の有無の評価は、それぞれのトナー供給ロールを組み込んでなるトナーカートリッジを市販の複写機にセットして、15℃×10%RH環境下において画像出しすることにより、行なった。即ち、7%印字画出しを2000枚行なった後、最大濃度でベタ黒コピーを取った直後のハーフトーン画出し画像で、現像ロールピッチのフィルミング跡の有無を調べ、フィルミング跡の発生が全くないものを◎とする一方、フィルミング跡の発生が極めて著しいものを××として、それらの間を7段階に分けて官能評価を行なった。
【0056】
また、ゴースト評価については、15℃×10%RH環境下における画像出しにより、7%印字画出しを2000枚行ない、更にゴースト評価用画像の画出しを行なって、ゴースト現象の発生の有無を調べた。なお、ゴーストのレベルについて、5段階の官能評価を実施し、その結果を下記表2に示すが、その評価においては、◎がゴースト発生の認められないものである一方、××は、ゴースト不良の発生が顕著であることを示し、それらの間を5段階に分けている。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
かかる表1、表2の結果より明らかなように、本発明に従うNo.2〜No.7のトナー供給ロールにあっては、現像ロール上のトナーが掻き取りにくい条件(1)の場合においても、ゴースト及びフィルミング性にて示される画像評価において、優れた結果をもたらし、それによってトナーの掻き取り性能も優れているものであることを認めたが、従来の研磨品であるNo.9のトナー供給ロールや、軟質ポリウレタンフォーム層(34)の表面に凸条(35)が設けられていない、通常の滑らかな外周面を呈するNo.10のトナー供給ロールにあっては、著しいゴーストが認められ、またフィルミング性も悪いことから、それらのトナー供給ロールは、トナーの掻き取り性能において、著しく劣るものであった。更に、No.11のトナー供給ロールは、ロール軸方向に直線的に延びる凸条(35)をロール外周面に設けて、凹凸表面構造としたものではあるが、そのような構造を採用しても、ゴーストやフィルミング性において、今一つ充分でなく、本発明に従うトナー供給ロールよりも、トナーの掻き取り性能において、劣るものであることを認めた。
【0060】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に従うトナー供給ロールにあっては、芯金の周りに一体的に形成された軟質ポリウレタンフォーム層の表面にそれぞれ独立した開口部が形成されて、表層部に存在する各セルが外部に独立して開口せしめられている構造を採用するものであるところから、ロール表面の毛羽立ちの問題、それに基づく画像不良の問題、更には毛羽の欠落による異物発生の問題等が、効果的に解消され得ることとなったのであり、しかも、そのような軟質ポリウレタンフォーム層の外周面が、ロール軸方向にスパイラル状に延びるように設けられた、ロール周方向に歯車形状の断面をもって延びる複数の凸条によって、凹凸表面構造とされていることによって、現像ロール上のトナー掻き取り性が大幅に向上せしめられ、以て、画像上におけるムラの発生等の問題を有利に解消せしめ得たのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るトナー供給ロールが用いられるフルカラーレーザープリンターの機構を明らかにする概略説明図である。
【図2】図1における現像ユニットの一つを拡大して示す断面説明図である。
【図3】本発明及び従来のトナー供給ロールの一例をそれぞれ示す部分拡大説明図であって、(a)は本発明に従うトナー供給ロールの一例を示すものであり、(b)及び(c)は、それぞれ、従来法によって得られるトナー供給ロールの一例を示している。
【図4】本発明に従うトナー供給ロールの軟質ポリウレタンフォーム層の表面に形成された開口部の開口形態を示すロール表面説明図であり、(a)、(b)及び(c)は、それぞれ、開口部の開口径の異なる例を示している。
【図5】本発明に従うトナー供給ロールの一例を示すものであって、(a)は、その拡大斜視説明図であって、(b)は、ロール横断面における軟質ポリウレタンフォーム層のスパイラル状の溝を示す部分拡大説明図である。
【図6】トナー供給ロールの軟質ポリウレタンフォーム層の硬度の測定手法を示す説明図であって、(a)は平面説明図、また(b)は左側面説明図である。
【図7】本発明に従うトナー供給ロールの製造法において用いられる成形型の一例を示すものであって、(a)はそのような成形型の縦断面説明図であり、(b)は(a)におけるC−C断面の拡大説明図である。
【符号の説明】
2 感光体ドラム
4 帯電ロール
6 露光機構部
8 現像部
10 転写ドラム
12 クリーニング装置
14 給紙装置
16 転写ロール
18 定着ロール
20 現像ユニット
22 ホッパー
24 トナー(非磁性一成分現像剤)
26、26′、26″ トナー供給ロール
28 現像ロール
30 層形成ブレード
32、32′、32″ 芯金
34、34′、34″ ポリウレタンフォーム層
35 凸条
36、46 スキン層
37、58 凹溝
38、38′、38″ セル
40 開口部
42 治具
44 毛羽
50 成形型
52 パイプ
54 キャップ
56 成形キャビティ
60 コーティング層
Claims (1)
- ロール軸となる長手棒状の芯金と、該芯金の周りに一体的に形成された、硬度が350g以下の軟質ポリウレタンフォーム層とからなり、且つ該ポリウレタンフォーム層の表層部に存在する各セルが、開口径が100〜800μmである開口部によって、それぞれ独立して外部に開口し、更にそれらセル開口部の開口全面積が該ポリウレタンフォーム層の表面の20%以上を占めているトナー供給ロールにして、前記ポリウレタンフォーム層が、成形型の最終ロール形状を与える成形キャビティ内でのポリウレタン原料の発泡成形操作によって、前記芯金の周りに一体的に形成されていると共に、かかるポリウレタンフォーム層の外周面が、ロール軸に対して11°〜74°の傾斜角度をもってロール軸方向にスパイラル状に延びるように設けられた、複数の台形状の凸条と複数の逆台形状の凹溝とのロール周方向における交互の配列によって、歯車形状の断面形態を呈する凹凸表面構造とされており、且つ該複数の凸条が、ロール周方向において、0.1〜1.0mmの高さと0.2〜1.0mmの頂部幅と0.6〜2.0mmのピッチをもって設けられ、更に該複数の凹溝が、0.2〜0.8mmの溝底幅をもって設けられていることを特徴とするトナー供給ロール。
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