JP2010054709A - トナー供給ロールおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】トナー供給性能,トナー掻き取り性能,トナー劣化防止性能および長寿命化を全て満たすトナー供給ロールおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】軸体の外周面にスポンジ弾性層2が形成され、このスポンジ弾性層2の表面にスキン層2aが形成され、スポンジ弾性層2の表面に軸方向に延びる複数の凸条Tが周方向に所定のピッチで形成されており、凸条Tにおける角部および隣り合う凸条T間の凹溝Mにおける角部が曲面21,22に形成され、スポンジ弾性層2が軟質フォーム用ウレタン発泡材料からなっていて、スキン層2aが軟質に形成され、スポンジ弾性層2の表面には、スポンジ弾性層2を構成するセルにより形成されるセル開口が分布しており、上記スキン層2aの表面には、セル開口に由来する開口が開口率10%以下の割合で分布している。
【選択図】図2
【解決手段】軸体の外周面にスポンジ弾性層2が形成され、このスポンジ弾性層2の表面にスキン層2aが形成され、スポンジ弾性層2の表面に軸方向に延びる複数の凸条Tが周方向に所定のピッチで形成されており、凸条Tにおける角部および隣り合う凸条T間の凹溝Mにおける角部が曲面21,22に形成され、スポンジ弾性層2が軟質フォーム用ウレタン発泡材料からなっていて、スキン層2aが軟質に形成され、スポンジ弾性層2の表面には、スポンジ弾性層2を構成するセルにより形成されるセル開口が分布しており、上記スキン層2aの表面には、セル開口に由来する開口が開口率10%以下の割合で分布している。
【選択図】図2
Description
本発明は、複写機,プリンター等の電子写真装置に用いられるトナー供給ロールおよびその製造方法に関するものである。
一般に、電子写真装置に用いられるトナー供給ロールには、トナーを安定して現像ロールに供給するトナー供給性能に加え、現像ロールの外周面に余ったトナーを確実に掻き取るトナー掻き取り性能も求められている。そこで、トナー供給ロールは、通常、軸体の外周面にスポンジ(発泡体)弾性層が形成されたものとなっており、そのスポンジ弾性層の外周面に開口する多数のセル(凹部)により、上記トナー供給性能およびトナー掻き取り性能を発揮している。すなわち、上記多数のセル開口により、スポンジ弾性層の外周面を均一な粗面に形成し、それにより、トナーの搬送性を向上させ、トナー供給性能を発揮している。さらに、上記セル開口の開口縁が現像ロールの外周面に圧接した際に、そのセル開口の開口縁が現像ロールの外周面のトナーを掻き取ることにより、トナー掻き取り性能を発揮している。
さらに、最近では、上記トナー供給性能およびトナー掻き取り性能というトナー供給ロールの基本性能の向上に加えて、トナー劣化防止性能およびトナー供給ロールの長寿命化も要求されている。
そこで、例えば、スポンジ弾性層の外周面に軸方向に延びる複数の凸条が周方向に所定のピッチで形成されたもの(特許文献1参照)、スポンジ弾性層の外周面にスキン層が形成されたもの(特許文献2参照)、上記凸条における角部が曲面に形成されているもの(特許文献3参照)、隣り合う上記凸条間の凹溝における角部が曲面に形成されているもの(特許文献4参照)が提案されている。
特許第3536598号公報
特開2001−51492号公報
特開2006−91696号公報
特開2008−40256号公報
上記特許文献1の、スポンジ弾性層の外周面に上記凸条が形成されているトナー供給ロールでは、その凸条が現像ロールの外周面に圧接することにより、トナー掻き取り性能を向上させている。しかしながら、トナーが、スポンジ弾性層の外周面のセル開口からスポンジ弾性層内部に侵入してスポンジ弾性層内部に徐々に詰まり、スポンジ弾性層が徐々に硬化するという問題がある。スポンジ弾性層が硬化すると、現像ロール表面に圧接した際に、トナーにストレスを与え、トナーが劣化し易くなる。すなわち、スポンジ弾性層内にトナーが侵入することにより、トナー供給ロールの寿命が短くなり、その点で改善の余地があった。
また、上記特許文献2の、スポンジ弾性層の外周面にスキン層を形成したトナー供給ロールでは、そのスキン層の形成により、スポンジ弾性層の外周面において開口セルをなくし、スポンジ弾性層内部へのトナーの侵入を防止している。しかしながら、上記スキン層は、スポンジ弾性層の表面部分が硬化したものであるため、現像ロール表面に圧接した際に、そのスキン層がトナーにストレスを与え、トナーが劣化し易くなる。しかも、上記特許文献2のトナー供給ロールでは、上記のように、スポンジ弾性層の外周面に形成される開口セルをなくしているため、その開口セルによる上記トナー供給性能およびトナー掻き取り性能が発揮できない。
また、上記特許文献3の、上記凸条における角部が曲面に形成されているトナー供給ロールは、現像ロール表面に圧接した際に、上記凸条における曲面により、トナーへのストレスが低減され、トナーの劣化を防止することができる。しかしながら、隣り合う上記凸条間の凹溝における角部では、その角部にあるトナーが移動し難くなっているため、現像ロール表面に圧接した際に、トナーにストレスが加わり、トナーを劣化させる。
これとは逆に、上記特許文献4の、隣り合う上記凸条間の凹溝における角部が曲面に形成されているトナー供給ロールでは、現像ロール表面に圧接した際に、上記凹溝に形成された曲面により、その角部にあるトナーが移動し易くなっており、トナーへのストレスが低減され、トナーの劣化を防止することができる。しかしながら、上記凸条における角部では、現像ロール表面に圧接した際に、トナーにストレスが加わり、トナーを劣化させる。
このように、トナー供給ロールに要求される、上記トナー供給性能,トナー掻き取り性能,トナー劣化防止性能および長寿命化を全て満たすトナー供給ロールは未だ提案されていない。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、トナー供給性能,トナー掻き取り性能,トナー劣化防止性能および長寿命化を全て満たすトナー供給ロールおよびその製造方法の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、軸体と、この軸体の外周面に沿って形成されたスポンジ弾性層と、このスポンジ弾性層の表面に形成されたスキン層とを有し、上記スポンジ弾性層の表面に軸方向に延びる複数の凸条が周方向に所定のピッチで形成されているトナー供給ロールであって、上記凸条における角部および隣り合う上記凸条間の凹溝における角部が曲面に形成され、上記スポンジ弾性層が軟質フォーム用ウレタン発泡材料からなっていて、上記スキン層が軟質に形成され、上記スポンジ弾性層の表面には、スポンジ弾性層を構成するセルにより形成されるセル開口が分布しており、上記スキン層の表面には、上記セル開口に由来する開口が開口率10%以下の割合で分布しているトナー供給ロールを第1の要旨とする。
また、本発明は、型面に上記凸条に対応する凹溝が形成されている成形用型を用い、その成形用型内に軟質フォーム用ウレタン発泡材料を供給することにより、軸体の外周面に沿ってスポンジ弾性層を形成する上記トナー供給ロールの製造方法であって、上記スポンジ弾性層の形成に先立って、上記成形用型の型面に、離型剤としてポリエチレン系ワックスを被覆するトナー供給ロールの製造方法を第2の要旨とする。
本発明者は、トナー供給ロールのトナー供給性能,トナー掻き取り性能,トナー劣化防止性能および長寿命化を全て満たすようにすべく、多数のスポンジ弾性層のサンプルをつくり、そのスポンジ弾性層の表面状態について研究を重ねた。その結果、軟質フォーム用ウレタン発泡材料を用い、スポンジ弾性層を形成すると、スポンジ弾性層の表面に形成されるスキン層が軟質になることを突き止めた。そして、さらに研究を重ねた結果、上記スポンジ弾性層の表面に、軸方向に延びる複数の凸条を周方向に所定のピッチで形成し、上記凸条における角部および隣り合う上記凸条間の凹溝における角部を曲面に形成し、かつ、上記スキン層により、スポンジ弾性層表面に多数開口するセル開口を適宜塞ぎ、スキン層表面の開口の開口率を10%以下に設定すると、所期の目的を達成できることを見出し、本発明に到達した。
本発明のトナー供給ロールは、軟質フォーム用ウレタン発泡材料を用いてスキン層自体を軟質にするとともに、上記スキン層表面の開口率を10%以下に設定している。すなわち、スキン層の軟質化と上記開口率とにより、トナーがスキン層表面の開口を通ってスポンジ弾性層表面のセル開口からスポンジ弾性層の内部に侵入するのを有効に防止している。その結果、スポンジ弾性層内部でのトナー滞留に基づくスポンジ弾性層の硬度上昇を防止し、トナー供給ロールの長寿命化を図っている。ここで、上記スキン層表面の開口率を10%以下に設定すると、その開口自体によるトナー供給性能およびトナー掻き取り性能は若干低下するものの、スポンジ弾性層の表面に形成された複数の凸条が軟質でトナー供給ロールの回転に伴って変形し易くなって接触面積を増やすことにより、トナー供給性能およびトナー掻き取り性能をより発揮し、全体的に充分なトナー供給性能およびトナー掻き取り性能が得られるようになる。さらに、上記のようにスキン層自体を軟質なものとし、かつ、上記凸条における角部を曲面に形成することにより、その凸条における曲面でのトナーへの圧力を緩和し、トナーの劣化を防止している。また、隣り合う上記凸条間の凹溝における角部を曲面に形成することにより、その凹溝における曲面でのトナーの移動を容易にしてトナーへのストレスを低減し、トナーの劣化を防止している。しかも、上記凸条における角部を曲面に形成し、かつ、上記凹溝における角部を曲面に形成することにより、スキン層に対するストレスも低減し、スキン層が破損を防止している。これにより、スポンジ弾性層表面においてセル開口を適宜に塞いでトナーの侵入を防止するという、スキン層による効果を、長期にわたって維持し、トナー供給ロールの長寿命化を図っている。以上のように、本発明のトナー供給ロールは、トナー供給性能,トナー掻き取り性能,トナー劣化防止性能および長寿命化を全て満たすことができる。
特に、上記凸条の高さが0.1〜0.7mmの範囲内に、上記凸条の形成ピッチが0.5〜1.5mmの範囲内にそれぞれ設定されている場合には、トナー供給性能およびトナー掻き取り性能がより優れたものになる。
また、下記(A)により測定した荷重で示される、上記スキン層が形成されているスポンジ弾性層の表面硬度が、2.45N以下になっている場合には、スポンジ弾性層の表面硬度がより適正になり、トナーの劣化をより防止することができる。
(A)スポンジ弾性層をスキン層の表面から、50mm×50mmの板体にて、10mm/minの速度で押圧したときの、1mm変位時の荷重を測定する。
(A)スポンジ弾性層をスキン層の表面から、50mm×50mmの板体にて、10mm/minの速度で押圧したときの、1mm変位時の荷重を測定する。
そして、本発明のトナー供給ロールの製造方法は、スポンジ弾性層の形成に先立って、成形用型の型面に、離型剤としてポリエチレン系ワックスを被覆することにより、スキン層が形成され難く、開口し易い軟質フォーム用ウレタン発泡材料を用いても、スポンジ弾性層表面に分布するセル開口を適宜塞いだ状態にすることができ、そのセル開口に由来する、スキン層表面の開口の開口率を10%以下に設定することができる。
つぎに、本発明の実施の形態を図面にもとづいて詳しく説明する。
図1は、本発明のトナー供給ロールの一実施の形態を示している。このトナー供給ロールは、軸体1の外周面にスポンジ弾性層2が形成されており、このスポンジ弾性層2の外周面には、複数の凸条Tが、ロールの中心軸と平行に、周方向に一定のピッチで形成されている。上記凸条Tは、略均一高さ、略均一幅に形成され、スポンジ弾性層2の一端縁から他端縁まで連続したものとなっている。上記凸条Tの、トナー供給ロールの軸に直交する断面形状は、図2に拡大して示すように、この実施の形態では、台形状になっており、凸条Tの頂面から両側面に至る部分(凸条Tにおける角部)がなだらかな曲面21に形成されている。さらに、隣り合う凸条Tの間の凹溝Mにおいても、上記凸条Tの両側面(凹溝Mの両側面)から凹溝Mの底面に至る部分(凹溝Mにおける角部)がなだらかな曲面22に形成されている。また、上記スポンジ弾性層2は、軟質フォーム用ウレタン発泡材料からなっていて、その表面(凸条Tの表面および凹溝Mの表面)には、軟質なスキン層2aが形成されている。上記スポンジ弾性層2の表面には、スポンジ弾性層2を構成するセルにより形成されるセル開口が分布しており、上記スキン層2aは、スポンジ弾性層2表面に多数開口するセル開口を適宜塞いでいる。これにより、上記スキン層2aの表面では、上記セル開口に由来する開口が開口率10%以下の割合で分布した状態になっている(図2ではスキン層2a表面の開口の開口率が0%を超えるものを図示している。スキン層2a表面の開口の開口率が0%のものは図3に示す)。なお、図1では、理解を容易にするために、上記凸条Tを大きく図示するとともに、その本数を少なく図示しており、図2では、円周方向を水平方向に図示している。
より詳しく説明すると、上記凸条Tおよび凹溝Mの寸法は、トナー供給性能およびトナー掻き取り性能をより優れたものにする観点から、凸条Tの頂面の幅aが0.3〜0.5mmの範囲内、高さbが0.1〜0.7mmの範囲内、凸条Tの形成ピッチcが0.5〜1.5mmの範囲内、凸条Tにおける曲面21および凹溝Mにおける曲面22の曲率半径dが0.1〜0.3mmの範囲内にそれぞれ設定されることが好ましい。より好ましくは、トナー供給性能およびトナー掻き取り性能がさらに優れたものになる観点から、凸条Tの高さbが0.2〜0.5mmの範囲内、凸条Tの形成ピッチcが0.7〜1.3mmの範囲内にそれぞれ設定される。
上記スポンジ弾性層2は、型成形により、軟質フォーム用ウレタン発泡材料を発泡させることにより形成される。そのうち、成形用型の型面に接触する部分が、上記材料に由来して軟質なスキン層2aに形成される。そのスキン層2aが形成されているスポンジ弾性層2の表面硬度は、トナーの劣化をより防止する観点から、下記(A)により測定される荷重が2.45N以下になるような表面硬度であることが好ましい。なお、上記スポンジ弾性層2は、連泡性でも独泡性でもよい。
(A)図4(a),(b)に示すように、トナー供給ロールAを、その両端の軸体1部分において支持し、その状態で、スポンジ弾性層2を、板状押圧面〔50mm×50mm×7mm(厚さ)〕を有する治具Bにて、10mm/minの速度で押圧し、その時の、1mm変位時の荷重を測定する。
(A)図4(a),(b)に示すように、トナー供給ロールAを、その両端の軸体1部分において支持し、その状態で、スポンジ弾性層2を、板状押圧面〔50mm×50mm×7mm(厚さ)〕を有する治具Bにて、10mm/minの速度で押圧し、その時の、1mm変位時の荷重を測定する。
上記スキン層2aは、上記スポンジ弾性層2を型成形した際に、スポンジ弾性層2の表面に多数開口するセル開口を適宜塞ぎ、スキン層2a表面の開口の開口率を10%以下にする。上記スキン層2a表面の開口の開口率は、スキン層2aの表面を電子顕微鏡等で観察し、開口の面積と開口以外(開口していない部分)の面積とを画像処理装置等により実測することにより確認することができる。なお、上記スキン層2aの厚みは、上記開口の開口率を10%以下に設定し易くなる観点から、5μm以上50μm以下に設定することが好ましい。
このようなトナー供給ロールを実機(複写機等)に組み込み、その実機を作動させる(複写等を行う)と、そのトナー供給ロールは、現像ロールに摺接しながら回転する。この摺接開始時に、トナー供給ロールから現像ロールにトナーが供給され、摺接終了時に、現像ロール表面のトナーがトナー供給ロールにより掻き取られる。このような摺接状態において、上記凸条Tは軟質であることから変形し易く、現像ロールとの接触面積が増える。このため、トナー供給性能およびトナー掻き取り性能をより発揮することができる。
そして、上記トナー供給およびトナー掻き取りが長時間行われても、上記トナー供給ロールは、スキン層2a自体が軟質であるとともに、そのスキン層2a表面の開口の開口率が10%以下に設定されているため、トナーがスキン層2a表面の開口を通ってスポンジ弾性層2の表面のセル開口からスポンジ弾性層2の内部に侵入するのを防止することができる。その結果、トナーがスポンジ弾性層2の内部に溜まることがなく、トナー滞留に基づくスポンジ弾性層2の硬度上昇が防止され、トナー供給ロールの長寿命化を図ることができる。
また、上記凸条Tでは、角部が曲面21に形成され、しかも、その表面のスキン層2aが軟質に形成されているため、上記現像ロールとの摺接状態において、上記凸条Tにおける曲面21でのトナーへの圧力を緩和し、トナーの劣化を防止することができる。また、上記凹溝Mでは、角部が曲面22に形成されているため、上記現像ロールとの摺接状態において、上記凹溝Mにおける曲面でのトナーの移動を容易にしてトナーへのストレスを低減し、トナーの劣化を防止することができる。
さらに、上記凸条Tにおける角部が曲面21に形成され、かつ、上記凹溝Mにおける角部が曲面22に形成されることにより、スキン層2aに対するストレスも低減される。このため、スキン層2aが破損し難くなり、スポンジ弾性層2表面においてセル開口を適宜に塞いでトナーの侵入を防止するという、スキン層2aによる効果を、長期にわたって維持することができる。その結果、トナー供給ロールの長寿命化を図ることができる。
上記トナー供給ロールは、例えば、つぎのようにして製造することができる。
まず、スポンジ弾性層2を形成するための成形用型を準備する。この成形用型は、型面(内周面)に、上記凸条Tに対応する凹溝が形成された円筒状のものとなっている。そして、上記成形用型の型面に、離型剤としてポリエチレン系ワックスを被覆する。
ついで、軸体1を準備し、その軸体1の外周面に、必要に応じて接着剤等を塗布し、これを上記成形用型の中空部に同軸的に設置し、密封する。なお、上記軸体1は、中実でも中空でもよく、その形成材料としては、例えば、鉄,ステンレス,アルミニウム等の金属材料、またはポリアセタール(POM),アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS),ポリカーボネート,ナイロン等のプラスチックがあげられる。
そして、上記成形用型の型面と軸体1との間に、上記スポンジ弾性層2形成用の軟質フォーム用ウレタン発泡材料を注入した後、加熱し、発泡硬化させ、スポンジ弾性層2を形成する。これにより、成形用型の型面の凹溝が転写されて、上記スポンジ弾性層2の表面に上記凸条Tが形成されるとともに、上記軟質のスキン層2aが形成される。その後、脱型する。このようにして、上記トナー供給ロールを製造することができる。
本発明のトナー供給ロールの他の実施の形態として、上記凸条Tを、ロールの中心軸に対して0°を超え45°以下の角度で傾斜するよう螺旋状に形成してもよい。上記螺旋状の凸条Tの形成は、型面に螺旋状の凹溝を形成した成形用型を用いてスポンジ弾性層2を形成することにより行われる。それ以外の部分は、図1に示す実施の形態(凸条Tが中心軸と平行、すなわち凸条Tの傾斜角度が0°になっている形態)と同様である。
この実施の形態では、凸条Tが螺旋状になって軸方向に延びているため、現像ロールに対して、凸条Tは、その一部分で圧接する(点接触状に圧接する)ようになり、両ロールの回転に伴って、凸条Tの圧接部分がトナー供給ロールの軸方向に順次移動し、凸条Tの圧接が連続的となる。このため、両ロールの振動および回転むらを防止することができる。
なお、上記各実施の形態では、スポンジ弾性層2の表面に形成する凸条Tの断面形状を台形状としたが、凸条Tの断面形状は、長方形状,正方形状等の他の四角形でもよいし、また、三角形状でもよいし、五角形状以上の多角形でもよい。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。但し、本発明は、実施例に限定されるわけではない。
〔軸体〕
直径5mmのSUM22製中実円柱状の軸体を準備した。
直径5mmのSUM22製中実円柱状の軸体を準備した。
〔スポンジ弾性層の形成材料の調製〕
ポリエーテルポリオール(三井化学社製、EP−553)90重量部、ポリマーポリオール(三井化学社製、POP−93)10重量部、ジエタノールアミン2重量部、シリコン整泡剤(日本ユニカー社製、L−5309)3重量部、水2重量部、アミン触媒(花王社製、カオライザーNo.31)0.5重量部、アミン触媒(東ソー社製、トヨキャットHX−35)0.1重量部、DBTDL0.1重量部、およびイソシアネート(住友バイエルウレタン社製、スミジュールVT−80)30.5重量部を配合してスポンジ弾性層の形成材料を調製した。
ポリエーテルポリオール(三井化学社製、EP−553)90重量部、ポリマーポリオール(三井化学社製、POP−93)10重量部、ジエタノールアミン2重量部、シリコン整泡剤(日本ユニカー社製、L−5309)3重量部、水2重量部、アミン触媒(花王社製、カオライザーNo.31)0.5重量部、アミン触媒(東ソー社製、トヨキャットHX−35)0.1重量部、DBTDL0.1重量部、およびイソシアネート(住友バイエルウレタン社製、スミジュールVT−80)30.5重量部を配合してスポンジ弾性層の形成材料を調製した。
〔トナー供給ロールの製造〕
内周面(型面)に断面台形状の凹溝が形成された円筒状の成形用型を準備した。そして、その型面に、離型剤としてポリエチレン系ワックス(中京油脂社製、N−800)を塗布した。つぎに、その成形用型に上記軸体を同軸的にセットし、成形空間内に上記スポンジ弾性層の形成材料を充填した後、その成形用型をオーブン内に入れ、発泡硬化させる(60℃×30分間)ことにより、上記軸体の外周面にスポンジ弾性層(外径16mm)を形成した。このスポンジ弾性層の表面には、厚み25μmのスキン層が形成され、スポンジ弾性層表面のセル開口に由来する、スキン層表面の開口の開口率は10%であった。上記スキン層の厚みは、トナー供給ロールの断面を電子顕微鏡で見て、任意の10ヶ所で測定し、それらの平均値をとった。上記スキン層表面の開口の開口率は、スキン層の表面を電子顕微鏡で観察し、開口の面積と開口以外(開口していない部分)の面積とを画像処理装置により実測し算出した。また、上記スポンジ弾性層の外周面には、断面台形状の複数の凸条がロールの中心軸と平行に、周方向に所定のピッチ0.5mmで形成されており、上記凸条および隣り合う凸条の間の凹溝の寸法は、凸条の頂面の幅が0.3mm、高さが0.1mm、凸条における曲面および凹溝における曲面の曲率半径が0.1mmであった。上記凸条および凹溝の各寸法は、トナー供給ロールの断面を電子顕微鏡で見て、任意の10個の凸条および凹溝について測定し、それらの平均値をとった。
内周面(型面)に断面台形状の凹溝が形成された円筒状の成形用型を準備した。そして、その型面に、離型剤としてポリエチレン系ワックス(中京油脂社製、N−800)を塗布した。つぎに、その成形用型に上記軸体を同軸的にセットし、成形空間内に上記スポンジ弾性層の形成材料を充填した後、その成形用型をオーブン内に入れ、発泡硬化させる(60℃×30分間)ことにより、上記軸体の外周面にスポンジ弾性層(外径16mm)を形成した。このスポンジ弾性層の表面には、厚み25μmのスキン層が形成され、スポンジ弾性層表面のセル開口に由来する、スキン層表面の開口の開口率は10%であった。上記スキン層の厚みは、トナー供給ロールの断面を電子顕微鏡で見て、任意の10ヶ所で測定し、それらの平均値をとった。上記スキン層表面の開口の開口率は、スキン層の表面を電子顕微鏡で観察し、開口の面積と開口以外(開口していない部分)の面積とを画像処理装置により実測し算出した。また、上記スポンジ弾性層の外周面には、断面台形状の複数の凸条がロールの中心軸と平行に、周方向に所定のピッチ0.5mmで形成されており、上記凸条および隣り合う凸条の間の凹溝の寸法は、凸条の頂面の幅が0.3mm、高さが0.1mm、凸条における曲面および凹溝における曲面の曲率半径が0.1mmであった。上記凸条および凹溝の各寸法は、トナー供給ロールの断面を電子顕微鏡で見て、任意の10個の凸条および凹溝について測定し、それらの平均値をとった。
上記実施例1において、成形用型の内周面に形成した凹溝の寸法を変えることにより、スポンジ弾性層の外周面に形成される凸条の高さを0.2mm、凸条の形成ピッチを0.7mm、凸条における曲面および凹溝における曲面の曲率半径を0.2mmとした。それ以外は、上記実施例1と同様にした。
上記実施例1において、成形用型の内周面に形成した凹溝の寸法を変えることにより、スポンジ弾性層の外周面に形成される凸条の頂面の幅を0.5mm、凸条の高さを0.5mm、凸条の形成ピッチを1.3mm、凸条における曲面および凹溝における曲面の曲率半径を0.2mmとした。それ以外は、上記実施例1と同様にした。
上記実施例1において、成形用型の内周面に形成した凹溝の寸法を変えることにより、スポンジ弾性層の外周面に形成される凸条の頂面の幅を0.5mm、凸条の高さを0.7mm、凸条の形成ピッチを1.5mm、凸条における曲面および凹溝における曲面の曲率半径を0.3mmとした。それ以外は、上記実施例1と同様にした。
上記実施例3において、発泡硬化させる温度条件を60℃から50℃に変更することにより、スキン層表面の開口の開口率を0%にした。それ以外は、上記実施例3と同様にした。
〔比較例1〕
上記実施例3において、成形用型の型面に塗布する離型剤をフッ素樹脂系のもの(セイケミカル社製、モールドスパットMR−K671)に変えてスポンジ弾性層を形成した。その結果、スキン層表面の開口の開口率が40%になった。それ以外は、上記実施例3と同様にした。
上記実施例3において、成形用型の型面に塗布する離型剤をフッ素樹脂系のもの(セイケミカル社製、モールドスパットMR−K671)に変えてスポンジ弾性層を形成した。その結果、スキン層表面の開口の開口率が40%になった。それ以外は、上記実施例3と同様にした。
〔比較例2〕
上記実施例3において、成形用型の内周面に形成した凹溝の角部を曲面加工していないもの(角部のままのもの)に変えることにより、スポンジ弾性層の外周面に形成される凸条における角部および凹溝における角部が曲面に形成されていないものとした。その角部の曲率半径は0.1mmよりも非常に小さく、測定できなかった。それ以外は、上記実施例3と同様にした。
上記実施例3において、成形用型の内周面に形成した凹溝の角部を曲面加工していないもの(角部のままのもの)に変えることにより、スポンジ弾性層の外周面に形成される凸条における角部および凹溝における角部が曲面に形成されていないものとした。その角部の曲率半径は0.1mmよりも非常に小さく、測定できなかった。それ以外は、上記実施例3と同様にした。
〔比較例3〕
上記実施例4において、成形用型の内周面に形成した凹溝の角部を曲面加工していないもの(角部のままのもの)に変えることにより、スポンジ弾性層の外周面に形成される凸条における角部および凹溝における角部が曲面に形成されていないものとした。その角部の曲率半径は0.1mmよりも非常に小さく、測定できなかった。それ以外は、上記実施例4と同様にした。
上記実施例4において、成形用型の内周面に形成した凹溝の角部を曲面加工していないもの(角部のままのもの)に変えることにより、スポンジ弾性層の外周面に形成される凸条における角部および凹溝における角部が曲面に形成されていないものとした。その角部の曲率半径は0.1mmよりも非常に小さく、測定できなかった。それ以外は、上記実施例4と同様にした。
〔比較例4〕
上記実施例3において、スポンジ弾性層の形成材料の調製に用いられる成分のうち、ポリエーテルポリオールとポリマーポリオールとを、スキンフォーム用のものに変えた。すなわち、ポリエーテルポリオールを三井化学社製のEP−828に変え、ポリマーポリオールを三井化学社製のPOP−31−28に変えた。その結果、スポンジ弾性層の表面硬度が上昇した。それ以外は、上記実施例3と同様にした。
上記実施例3において、スポンジ弾性層の形成材料の調製に用いられる成分のうち、ポリエーテルポリオールとポリマーポリオールとを、スキンフォーム用のものに変えた。すなわち、ポリエーテルポリオールを三井化学社製のEP−828に変え、ポリマーポリオールを三井化学社製のPOP−31−28に変えた。その結果、スポンジ弾性層の表面硬度が上昇した。それ以外は、上記実施例3と同様にした。
〔成形性〕
上記実施例1〜5および比較例1〜4の各トナー供給ロールを製造した際に、スポンジ弾性層表面に形成されるスキン層の破損発生率が20%未満のものを○、20%以上のものを×と評価し、下記の表1,2に併せて表記した。
上記実施例1〜5および比較例1〜4の各トナー供給ロールを製造した際に、スポンジ弾性層表面に形成されるスキン層の破損発生率が20%未満のものを○、20%以上のものを×と評価し、下記の表1,2に併せて表記した。
〔スポンジ弾性層の表面硬度〕
得られた実施例1〜5および比較例1〜4の各トナー供給ロールのスポンジ弾性層の表面硬度を、図4(a),(b)に示すようにして測定した。すなわち、トナー供給ロールAを、その両端の軸体1部分において支持し、その状態で、スポンジ弾性層2を、板状押圧面〔50mm×50mm×7mm(厚さ)〕を有する治具Bにて、10mm/minの速度で押圧し、その時の、1mm変位時の荷重を測定した。測定ポイントは、軸方向の両側2ヶ所×周方向の90°毎に4ヶ所の、計8ヶ所とし、その平均値を上記表面硬度として示した。
得られた実施例1〜5および比較例1〜4の各トナー供給ロールのスポンジ弾性層の表面硬度を、図4(a),(b)に示すようにして測定した。すなわち、トナー供給ロールAを、その両端の軸体1部分において支持し、その状態で、スポンジ弾性層2を、板状押圧面〔50mm×50mm×7mm(厚さ)〕を有する治具Bにて、10mm/minの速度で押圧し、その時の、1mm変位時の荷重を測定した。測定ポイントは、軸方向の両側2ヶ所×周方向の90°毎に4ヶ所の、計8ヶ所とし、その平均値を上記表面硬度として示した。
〔トナー耐侵入性〕
実施例1〜5および比較例1〜4の各トナー供給ロールを市販のレーザービームプリンターに組み込み、1000枚の画像出しを行った後、トナー供給ロールを取り出し、そのスポンジ弾性層の表面硬度を、上記と同様にして〔図4(a),(b)参照〕測定した。その結果、画像出し前後の硬度変化を比較し、画像出し後の硬度上昇が、スポンジ弾性層全体的に0.294N未満のものを○、局所的に0.294N以上の硬度上昇があったものを△、全体的に0.294N以上の硬度上昇があったものを×と評価し、下記の表1,2に併せて表記した。
実施例1〜5および比較例1〜4の各トナー供給ロールを市販のレーザービームプリンターに組み込み、1000枚の画像出しを行った後、トナー供給ロールを取り出し、そのスポンジ弾性層の表面硬度を、上記と同様にして〔図4(a),(b)参照〕測定した。その結果、画像出し前後の硬度変化を比較し、画像出し後の硬度上昇が、スポンジ弾性層全体的に0.294N未満のものを○、局所的に0.294N以上の硬度上昇があったものを△、全体的に0.294N以上の硬度上昇があったものを×と評価し、下記の表1,2に併せて表記した。
〔トナー供給性能〕
画像出し5枚目(初期)の画像および上記1000枚の画像出しを行った後(耐久後)の画像について、その画像濃度を反射濃度計(マクベス社製)を用いて測定した。その結果、画像濃度が1.1以上のもの、濃度むらがない(画像濃度差が0.03未満)ものをトナー供給性能に非常に優れるとして◎、画像濃度が1.0以上1.1未満のもの、濃度むらが小さい(画像濃度差が0.03以上0.05未満)ものをトナー供給性能に優れるとして○、画像濃度が1.0未満のもの、画像濃度にトナー供給ロール形状起因のピッチむらがあるものをトナー供給性能に劣るとして×と評価し、下記の表1,2に併せて表記した。
画像出し5枚目(初期)の画像および上記1000枚の画像出しを行った後(耐久後)の画像について、その画像濃度を反射濃度計(マクベス社製)を用いて測定した。その結果、画像濃度が1.1以上のもの、濃度むらがない(画像濃度差が0.03未満)ものをトナー供給性能に非常に優れるとして◎、画像濃度が1.0以上1.1未満のもの、濃度むらが小さい(画像濃度差が0.03以上0.05未満)ものをトナー供給性能に優れるとして○、画像濃度が1.0未満のもの、画像濃度にトナー供給ロール形状起因のピッチむらがあるものをトナー供給性能に劣るとして×と評価し、下記の表1,2に併せて表記した。
〔トナー掻き取り性能〕
画像出し5枚目(初期)の画像および上記1000枚の画像出しを行った後(耐久後)の画像について、濃淡むらを目視により確認した。その結果、濃淡むらがないものを◎、濃淡むらが非常に小さいものを○、濃淡むらが明確に確認できるものを×と評価し、下記の表1,2に併せて表記した。
画像出し5枚目(初期)の画像および上記1000枚の画像出しを行った後(耐久後)の画像について、濃淡むらを目視により確認した。その結果、濃淡むらがないものを◎、濃淡むらが非常に小さいものを○、濃淡むらが明確に確認できるものを×と評価し、下記の表1,2に併せて表記した。
〔スキン層の耐破損性〕
上記1000枚の画像出しを行った後、トナー供給ロールを取り出し、スキン層の状態を目視により確認した。その結果、スキン層に破損がないものを○、破損があるものを×と評価し、下記の表1,2に併せて表記した。
上記1000枚の画像出しを行った後、トナー供給ロールを取り出し、スキン層の状態を目視により確認した。その結果、スキン層に破損がないものを○、破損があるものを×と評価し、下記の表1,2に併せて表記した。
上記結果から、実施例1〜5のトナー供給ロールは、比較例1〜4と比較して、トナー供給性能,トナー掻き取り性能等に優れていることがわかる。
2 スポンジ弾性層
2a スキン層
21,22 曲面
T 凸条
M 凹溝
2a スキン層
21,22 曲面
T 凸条
M 凹溝
Claims (4)
- 軸体と、この軸体の外周面に沿って形成されたスポンジ弾性層と、このスポンジ弾性層の表面に形成されたスキン層とを有し、上記スポンジ弾性層の表面に軸方向に延びる複数の凸条が周方向に所定のピッチで形成されているトナー供給ロールであって、上記凸条における角部および隣り合う上記凸条間の凹溝における角部が曲面に形成され、上記スポンジ弾性層が軟質フォーム用ウレタン発泡材料からなっていて、上記スキン層が軟質に形成され、上記スポンジ弾性層の表面には、スポンジ弾性層を構成するセルにより形成されるセル開口が分布しており、上記スキン層の表面には、上記セル開口に由来する開口が開口率10%以下の割合で分布していることを特徴とするトナー供給ロール。
- 上記凸条の高さが0.1〜0.7mmの範囲内に、上記凸条の形成ピッチが0.5〜1.5mmの範囲内にそれぞれ設定されている請求項1記載のトナー供給ロール。
- 下記(A)により測定した荷重で示される、上記スキン層が形成されているスポンジ弾性層の表面硬度が、2.45N以下になっている請求項1または2記載のトナー供給ロール。
(A)スポンジ弾性層をスキン層の表面から、50mm×50mmの板体にて、10mm/minの速度で押圧したときの、1mm変位時の荷重を測定する。 - 型面に上記凸条に対応する凹溝が形成されている成形用型を用い、その成形用型内に軟質フォーム用ウレタン発泡材料を供給することにより、軸体の外周面に沿ってスポンジ弾性層を形成する請求項1記載のトナー供給ロールの製造方法であって、上記スポンジ弾性層の形成に先立って、上記成形用型の型面に、離型剤としてポリエチレン系ワックスを被覆することを特徴とするトナー供給ロールの製造方法。
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Cited By (2)
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- 2008-08-27 JP JP2008218320A patent/JP2010054709A/ja active Pending
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