以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態に相当する画像形成装置の全体構成図である。
図1に示す画像形成装置1000は、タンデム方式を採用した片面出力用のカラープリンタである。この画像形成装置1000には、図の矢印Bk方向,矢印Bc方向,矢印Bm方向,矢印By方向にそれぞれ回転する、電子写真方式用の積層型の像保持体61K,61C、61M,61Yが備えられている。また、各像保持体の周囲には、各像保持体を帯電する帯電装置65K,65C,65M,65Y、帯電された各像保持体上にレーザ光の照射によりブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色についての静電潜像を形成する露光部7K,7C,7M,7Y、各像保持体上の静電潜像を各色のトナーを含む現像剤で現像して各色の現像像を形成する現像器64K,64C,64M,64Y、各像保持体のクリーニングを行うクリーニング装置62K,62C,62M,62Yが備えられている。この画像形成装置1000では、上記の、帯電装置65K、像保持体61K、クリーニング装置62K、および現像器64Kは、一体化されてプロセスカートリッジ100Kの構成要素となっており、同様に、帯電装置65C、像保持体61C、クリーニング装置62C、現像器64Cの組、帯電装置65M、像保持体61M、クリーニング装置62M、現像器64Mの組、および、帯電装置65Y、像保持体61Y、クリーニング装置62Y、現像器64Yの組が、それぞれ一体化されてプロセスカートリッジ100C,100M,100Yの構成要素となっている。画像形成装置1000にこれら4つのプロセスカートリッジが組み込まれることにより、これらのプロセスカートリッジの構成要素である各部が画像形成装置1000に備えられることとなる。これらのプロセスカートリッジ100K,100C,100M,100Yが、本発明のプロセスカートリッジの一実施形態に相当する。
また、この画像形成装置1000には、各像保持体上で形成された各色の現像像の転写(1次転写)を受けて1次転写像を運搬する中間転写ベルト5、中間転写ベルト5への各色の現像像の1次転写が行われる1次転写ロール50K,50C,50M,50Y、用紙への2次転写が行われる2次転写ロール対9、用紙上の2次転写像の定着を行う定着器10、用紙を蓄えるトレイ1、4つの現像器にそれぞれの色成分のトナーをそれぞれ補給する、4つのトナーカートリッジ(不図示)も備えられている。ここで、中間転写ベルト5は、駆動ロール5aから駆動力を受けながら2次転写ロール9bと駆動ロール5aとに張架された状態で図の矢印A方向に循環移動する。
次に、この画像形成装置1000における画像形成の動作について説明する。
4つの像保持体61K,61C、61M,61Yは、帯電装置65K,65C,65M,65Yによりそれぞれ帯電され、さらに露光部7K,7C,7M,7Yから照射されるレーザ光を受けて各像保持体上に静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、現像器64K,64C,64M,64Yによってそれぞれの色のトナーを含む現像剤で現像されて現像像が形成される。このようにして形成された各色の現像像は、各色に対応した1次転写ロール50K,50C,50M,50Yにおいて、中間転写ベルト5上に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に順次転写(1次転写)されて重ね合わされていき、多色の1次転写像が形成される。そして、この多色の1次転写像は、中間転写ベルト5により2次転写ロール対9まで運搬されていく。一方、このような多色の1次転写像の形成と呼応して、用紙がトレイ1から取り出されて搬送ロール3によって搬送され、さらに位置あわせロール対8によって姿勢を整えられる。そして、2次転写ロール対9によって、上述の多色の1次転写像が、搬送されてきた用紙に転写(2次転写)され、さらに定着器10によって用紙上の2次転写像に定着処理が施される。定着処理後、定着像を有する用紙は、送出ロール対13を通過して、排紙トレイ2に排出される。
以上が、この画像形成装置1000における画像形成の動作についての説明である。
次に、この画像形成装置1000で採用されている帯電装置65K,65C,65M,65Yについて説明する。これら4つの帯電装置は、いずれも同様の構成を備えており、ここでは、これら各色用の帯電装置をまとめて帯電装置65として説明する。また、以下の説明においては、この帯電装置65によって帯電される像保持体を、図1の各色用の像保持体61K,61C,61M,61Yをまとめて像保持体61として説明する。
図2は、図1に示す帯電装置の一部分を表した外観図、図3は、図2の帯電装置の断面図である。
帯電装置65には、像保持体61に従動回転しながら像保持体61を帯電する帯電部材20と、帯電部材20に従動回転して帯電部材20表面に付着したトナーやトナーの外添剤を除去するクリーニング部材21が備えられている。なお、ここでは、クリーニング部材21は、帯電部材20に従動回転するものとして説明を行うが、本発明では、クリーニング部材のクリーニング性を向上させるため、帯電装置において、クリーニング部材が、帯電部材の回転速度とは異なる回転速度で回転するよう工夫されていてもよい。
帯電部材20およびクリーニング部材21は、細長い円柱状をしており、図2では、この円柱の一方の端の部分が、帯電装置65の他の構成要素とともに表されている。帯電装置65は、上述の帯電部材20およびクリーニング部材21に加え、これら帯電部材20とクリーニング部材21とを支持するベアリング23、ベアリング23に端が固定され、ベアリング23を像保持体61に向かって押しつけるスプリング23aを備えている。
ベアリング23は、導電性の材料で構成されており、帯電部材20とクリーニング部材21を支持する役割を果たす。また、このベアリング23は帯電電圧印加部200aから高圧電圧の印加を受けており、この高圧電圧の印加により帯電部材20と像保持体61との間に電位差が生じ、この状態で像保持体61が回転すると像保持体61の帯電が実現する。
スプリング23aは、ベアリング23を像保持体61に向かって押しつけることによって帯電装置65全体を像保持体61に押しつける役割を担っている。このようなスプリング23aの働きにより、帯電部材20と像保持体61とが圧接することになる。
ここで、帯電部材20および像保持体61に対するクリーニング部材21の相対的な配置について説明する。図3では、鉛直方向が、帯電部材20の断面の中心Oを通る点線の矢印で示されており、図に示すように、この点線は、帯電部材20の断面の円周と、帯電部材20の断面の中心Oよりも上側にある点Pで交わっている。また、帯電部材20の断面は、像保持体61の断面と点Qで接している。クリーニング部材21は、図に示すように、クリーニング部材21の断面の中心O’と帯電部材20の断面の中心Oとを結ぶ線分が、点Pから時計回りに点Qまで続く円弧と交わることがないように配置される。このように配置されることで、クリーニング部材21によって帯電部材20表面から除去されたトナーやトナーの外添剤が、帯電部材20上や像保持体61上に落下することが抑えられることとなる。
次に、クリーニング部材21について詳しく説明する。
クリーニング部材21は、クリーニング部材21のコアとなりベアリング23と接続されている円筒状のクリーニングロールシャフト21aと、クリーニングロールシャフト21aがベアリング23と接続されている付近を除いてクリーニングロールシャフト21aの外面を覆っているクリーニングロール21bとを有している。図2には、そのクリーニングロール21bに覆われていない、クリーニングロールシャフト21aがむきだしになった端部も示されている。クリーニングロールシャフト21aは、ベアリング23に支持されながらクリーニングロール21bと一体となって回転する部材であり、導電性の材料で構成されている。クリーニングロール21bは、帯電部材20と圧接しながら帯電部材20に対して従動回転し、この従動回転によって帯電部材20のクリーニングが行われる。クリーニングロール21bは、図3に示すように、発泡構造を有する高分子材料で構成されたクリーニングロール本体211と、クリーニングロール本体211の表面を被覆する被覆膜212とで構成されている。クリーニングロール本体211を構成する高分子材料は、帯電部材表面の付着物を掻き落としやすい、発泡構造を有する材料であり、こうした高分子材料としては、例えば、発泡ウレタンのような樹脂の発泡体を挙げることができる。
図4は、クリーニングロールの表面を表した図である。
図4のパート(a)には、クリーニングロール21bを、クリーニングロール21b外部から見たときの表面の様子が示されており、図4のパート(b)には、クリーニングロール21bの表面付近の断面の様子が示されている。クリーニングロール本体211が発泡構造を有する材料で構成されているために、クリーニングロール21bの表面は、微視的には、図4のパート(a)に示すように小さな孔がいくつも存在して凹凸形状となっており、被覆膜212が、図4のパート(b)に示すように、この凹凸形状が維持されるようにこの凹凸形状に沿ってクリーニングロール本体211を被覆している。このため、被覆膜212が存在していてもクリーニングロール21bが帯電部材表面の付着物を掻き落とす能力の障害になることはない。また、この被覆膜212は、架橋構造を有する樹脂材料中に導電性粒子が分散している構成を備えており、この導電性粒子の分散によってクリーニングロール21b表面に対して導電性が付与される。
一般に、発泡構造を有する高分子材料がクリーニングロール本体の材料として採用された場合には、クリーニング部材の製造過程で生じた、研磨粉などといった異物がクリーニングロール本体の内部に取り込まれていることが多い。クリーニング部材は、回転する帯電部材に常時当接しているために、その際の摩擦による静電気で異物が帯電(摩擦帯電)しやすく、帯電した異物が静電的な力によりクリーニング部材から帯電部材表面に移行して帯電部材表面に付着し、帯電部材の帯電性能を低下させることがある。そこで、クリーニング部材表面を、導電性粒子を含有する樹脂で被覆することでクリーニング部材表面を電荷が流れやすくして、異物の摩擦帯電を抑制することが考えられる。しかし、通常の樹脂で被覆すると、クリーニング部材表面の弾性が減少するためにクリーニング部材全体が変形してがたつきを起こしやすくなる。この結果、帯電装置全体が振動するようになり、振動による画質欠陥が生じることがある。
図3のクリーニングロール21bでは、導電性粒子をクリーニングロール21b表面に維持するために、架橋構造を有する特別な樹脂材料が採用されているので、この架橋構造のためにクリーニングロール21b表面は弾性を有するようになっている。この弾性により、クリーニングロール21b表面に沿った方向に応力がかかってクリーニングロール21bが変形しても元の状態に戻りやすく、帯電部材20がなめらかにクリーニングされることとなる。この結果、図1の画像形成装置1000では、上述した振動による画質欠陥が抑えられ、良好な画像形成が可能となっている。
また、この被覆膜212では、架橋構造を構成する架橋成分の重量の割合を表す架橋度が65%以上となっている。ここでいう架橋度とは、具体的には、下記の手順に従って測定される量である。
まず、クリーニングロール21bから、被覆膜212を含まないクリーニングロール本体211だけからなる20mm×20mm×20mmの立方体を切り出し、その重量を測定する。次に、その立方体表面を上述した被覆膜212で被覆する。そして、被覆後の立方体の重量を測定し、その重量から被覆前の立方体の重量、および導電性粒子といった、被覆膜212形成に用いられる添加物の重量を引くことで被覆膜212中の樹脂の全重量を求める。後述するように、被覆膜212を設けるにあたっては、溶液状態の樹脂材料が塗布され、さらに架橋構造を設けるための架橋反応を起こさせる処理が施される。そして、150℃に保たれた乾燥炉に30分間入れられて充分乾燥させた後、室温まで冷却される。上述の、被覆後の立方体の重量の測定は、この冷却の後に行われる。
次に、被覆膜212で被覆された立方体を、有機溶媒の一種であるアセトンに浸漬し、一晩放置する。その後、立方体を取り出し、大量のアセトンでよく洗浄した後にアセトンの残留がなくなるまで充分に乾燥し、乾燥後の立方体の重量を測定する。立方体がアセトンに浸漬される際には、立方体表面において架橋構造を構成している樹脂は、アセトンとの接触面積が大きくアセトンに溶解しやすい。そこで、被覆膜212を設けた後であってアセトンに浸漬する前の立方体の重量から、アセトンに浸漬して乾燥させた後の立方体の重量を引くことで、架橋構造を構成する架橋成分の重量が求められることとなる。
そして、この架橋成分の重量を、上述の、被覆膜212中の全樹脂の重量で割ることで、被覆膜212中の樹脂において架橋成分が占める割合を求めることができる、この割合をパーセントで表したものが架橋度である。すなわち、以下の示す式によって架橋度は求められる。
架橋度 = 100 × (架橋成分の重量)/(被覆膜中の樹脂の全重量)
架橋度が65%以上となっている被覆膜212は、架橋構造がかなり発達した被覆膜であり、クリーニングロール21bがこのような被覆膜212を備えることで、帯電部材20は、極めてなめらかにクリーニングされることとなる。この結果、図1の画像形成装置では、振動による画質欠陥が効果的に抑制される。
ここで、クリーニングロール21b表面に適度な弾性を持たせる上で、被覆膜212は、層の厚さが0.1μm以上100μm以下であることが好ましく、0.1μm以上50μm以下であることがさらに好ましい。
次に、被覆膜212を構成する材料について説明する。
クリーニングロール21bの被覆膜212は、導電性粒子を含有した樹脂が、熱や光や電子線によって化学反応を起こして架橋構造を持つことで形成される層であり、このように化学反応を起こして架橋構造を持つようになる樹脂としては、例えば、「架橋剤ハンドブック」(山下晋三・金子東助著,大成社,1981年出版)に記載されているものが挙げられる。具体的には、被覆膜212を構成する樹脂としては、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、イソシアネート樹脂、アミノ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、アセトグアナミン樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂、キシレン樹脂、フラン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ナイロン樹脂、といった樹脂のうち、上記の「架橋剤ハンドブック」に記載されている架橋方式を満たす、1種類、または複数種類の樹脂の組み合わせを用いることができる。また、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、不飽和ポリエステルなどのプラスチック系の樹脂や、ニトリルゴム、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレン酢酸ビニルゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、クロロスルフォン化ゴム、エピクロルヒドリンゴム、カルボキシルゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴムなどのゴム系の樹脂も用いることができる。
こうした樹脂の中でも、熱や光や電子線によって化学反応する官能基を有し、この官能基の化学反応によって3次元の架橋構造が構築される樹脂材料が、クリーニングロール21b表面に架橋構造を持たせるのが容易であり、上記の被覆膜212は、こうした官能基の化学反応によって構築された3次元の架橋構造を備えている。
また、被覆膜212に含まれる導電性粒子としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラックや、テトラエチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアンモニウム系化合物を用いたイオン導電剤の粒子が挙げられる。特に、安価で入手しやすいカーボンブラックが好ましく、上記の被覆膜212は、導電性粒子としてカーボンブラックを採用している。ここで、被覆膜212が導電性を有する程度の、充分な量の導電性粒子が被覆膜212に含有されており、被覆膜212の平均的な体積抵抗率は1010Ω・cm未満となっている。なお、体積抵抗率は、JIS−K−6911(1995)に準じて、円形電極(三菱油化(株)製ハイレスターIPのURプローブ:円柱状電極の外径Φ16mm、リング状電極部の内径Φ30mm、外径Φ40mm)を用い、22℃/55%RH環境下、電圧100V印加し、印加後5sec後の電流値を、アドバンテスト社製の微小電流計 R8340Aを用いることにより測定し、その電流値から得られた抵抗値から求めることができる。
なお、被覆膜212には、導電性粒子の他にも、難燃剤、劣化防止剤、可塑剤などの添加物が配合されていてもよい。
また、図4のパート(a)に示すように、クリーニングロール21表面に存在する平均的な孔の直径(セル径)、すなわちクリーニングロール本体211表面の平均的な孔の直径は、100μm以上1.0mm以下である。セル径が100μm未満の場合、帯電ロールから除去した汚れがセルに堆積、目詰まりしクリーニング性が悪化し、画質不具合が生じる場合がある。またセル径が1.0mmを超える場合には、帯電ロール表面のクリーニングを均一に行うことができず、帯電ロール表面に汚れムラが生じてしまい、結果としてこれが画質欠陥となる場合がある。ここで、セル径とは光学顕微鏡で、クリーニング部材21の任意の3箇所について25mmの長さにおけるセルの直径を計数し個数平均値を算出したものを言う。
クリーニングロール本体211の高分子材料としては、ポリウレタン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン、メラミン樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、アクリロニロリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、酢酸セルロース、エポキシ、フェノール、イソプレンゴム(IR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレン、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)などの発泡体(フォーム)、エラストマーを挙げることができる。また、ナイロン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ブチルゴム、二トリルゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、シリコーンゴム、天然ゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴムなどの発泡体(フォーム)、エラストマーが採用されてもよい。これらの中で特にポリウレタン樹脂の発泡体(発泡ウレタン)が好ましい。ここで、発泡体は、一般に、主成分となるポリオールと、整泡剤と、触媒を用いて得ることができる。例えば、発泡ウレタンの場合は、ポリウレタンポリオールを、整泡剤等とを混合した後、加熱して硬化・発泡させることにより得ることができ、混合温度は、通常10℃以上90℃以下、望ましくは20℃以上60℃以下の範囲であり、混合時間は、通常10秒以上20分間以下、望ましくは30秒以上5分間以下である。発泡方法については、発泡剤を用いる方法、機械的な攪拌により気泡を混入する方法などを用いることができる。
ポリオールとしては、ポリウレタンポリオールの他にも、上記の発泡体の種類に対応して、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール等を用いることができる。これらのポリオールは単独でも2種以上を混合して用いても良い。
整泡剤としては、ジメチルシリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル等のシリコーン系界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが用いられる。
触媒としては、たとえば、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、トリエチレンジアミン(TEDA)、ビス(N,N−ジメチルアミノ−2−エチル)エーテル、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル(TOYOCAT−ET、東ソー社製)等のアミン系触媒や、酢酸カリウム、オクチル酸カリウム等のカルボン酸金属塩、ジブチル錫ジラウレート等の有機金属化合物等があげられる。クリーニングロール本体211の高分子材料として発泡ウレタンが採用される場合には、水発泡系ポリウレタンフォームの製造に適している点でアミン系触媒の使用が好ましい。なお、上記の反応触媒は単独で使用されてもよく、また2種以上を混合して使用されてもよい。ここで、触媒の使用量としては、ポリオールの量(後述するイソシアネートを加える場合は、ポリオールとイソシアネートとの合計量)に対し、0.01質量%以上5質量%以下であることが好ましく、より望ましくは0.05質量%以上3質量%以下であり、さらに望ましくは、0.1質量%以上1質量%以下である。なお、触媒を用いないと、クリーニングロール内に未反応のポリマーが残留して帯電部材との接触部においてしみ出すことがあるので、触媒を用いることが望ましい。なお、クリーニングロール本体211の高分子材料には、難燃剤、劣化防止剤、可塑剤などの添加物が配合されていてもよく、必要に応じて導電性粒子が添加されてもよい。
また、ポリオールと架橋するための架橋剤としてイソシアネートが用いられていてもよい。イソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、トリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、リジンエステルトシイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等を用いることができる。イソシアネートは、1種単独で用いられてもよいし、複数種併用されてもよい。
クリーニングロールシャフト21aの材料としては、導電性を有する材料であることが必要であり、鉄、銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム、ニッケルといった導電性を有する金属が好ましく、樹脂の基体に導電性粒子を分散させて導電性を持たせた材料も採用可能である。
なお、クリーニングロール21bは、発泡構造を有する高分子材料を成分とするクリーニングロール本体211と、被覆膜212とで構成されたクリーニングロールであるが、本発明のクリーニング部材は、クリーニングロールシャフト21aとの間で接着性を高めるための中間層が、クリーニングロール本体とクリーニングロールシャフト21aとの間に設けられていてもよい。
また、クリーニングロール21bの製造方法としては、金型に原料を注入して発泡させて、所望の形状の発泡ウレタンを芯材に被覆する方法、発泡ウレタンをスラブ成型して、所望の形状に研削等により加工した後、芯材に被覆する方法などが挙げられる。
次に、図2および図3に示す帯電部材20について詳しく説明する。
帯電部材20は、帯電部材20のコアとなり、ベアリング23と接続されている円筒状のシャフト20aと、図2に示すように、シャフト20aの円筒の両端付近を除いてシャフト20aの周面を覆っている帯電ロール20bとで構成されている。図2には、帯電ロール20bに覆われていない、シャフト20aがむきだしになった端部も示されている。シャフト20aは、導電性の部材であり、ベアリング23に支持されながら、帯電ロール20bと一体となって図1の像保持体61の回転に従動して回転する。図3に示すように、帯電ロール20bは、弾性層201、抵抗層202、表面層203の3つの層から構成されており、これら3つの層は、弾性層201、抵抗層202、表面層203の順にシャフト20aの外面に重なっている。弾性層201は、導電性粒子が混在した弾性性高分子材料からなる層であり、抵抗層202は、帯電ロール20bの抵抗値を調整するための層であって、導電性粒子が混在した導電性高分子材料によって形成されている。また、表面層203は、抵抗層202を保護するための層である。
シャフト20aの材料としては、導電性を有する材料であることが必要であり、鉄、銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム、ニッケルといった導電性を有する金属が好ましく、樹脂の基体に導電性粒子を分散させて導電性を持たせた材料も採用可能である。
弾性層201の材料としては、ゴム材料に、導電性粒子あるいは半導電性粒子を分散したものが用いられる。ゴム材料としてはEPDM、ポリブタジエン、天然ゴム、ポリイソブチレン、SBR、CR、NBR、シリコンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、SBS、熱可塑性エラストマー、ノルボーネンゴム、フロロシリコーンゴム、エチレンオキシドゴム等が用いられる。また、導電性粒子あるいは半導電性粒子としては、カーボンブラック、亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、クロム、チタニウム等の金属の粒子、ZnO−Al2O3、SnO2−Sb2O3、In2O3−SnO2、ZnO−TiO2、MgO−Al2O3、FeO−TiO2、TiO2、SnO2、Sb2O3、In2O3、ZnO、MgO等の金属酸化物の粒子が採用可能である。これらの材料は単独で用いられてもよく、あるいは2種以上混合して用いられてもよい。
抵抗層202の材料としては、結着樹脂に導電性粒子あるいは半導電性粒子を分散したものが用いられる。抵抗層202に用いられる結着樹脂としては、アクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、メトキシメチル化ナイロン、エトキシメチル化ナイロン、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリチオフェン樹脂、PFA、FEP、PET等のポリオレフィン樹脂、スチレンブタジエン樹脂等が用いられる。抵抗層202に用いられる導電性粒子あるいは半導電性粒子としては、弾性層201で用いられる導電性粒子あるいは半導電性粒子と同様のものが用いられる。また必要に応じてヒンダードフェノール、ヒンダードアミン等の酸化防止剤、クレー、カオリン等の充填剤や、シリコーンオイル等の潤滑剤が添加されてもよい。ここで、抵抗層202に用いられる導電性粒子あるいは半導電性粒子の量は、抵抗層202の抵抗率(体積抵抗率)が103Ωcm以上1014Ωcm以下となるように調節されることが必要であり、さらには、抵抗率(体積抵抗率)が105Ωcm以上1012Ωcm以下となることが望ましく、107Ωcm以上1012Ωcm以下となることが最も望ましい。
表面層203の材料としては、導電性のある樹脂層であれば特に限定されないが、抵抗層202の材料とほぼ同様のものが採用可能である。ここで、表面層203と抵抗層202とを合わせた厚さは0.01μm以上1000μm以下であればよく、望ましくは0.1μm以上500μm以下、さらに望ましくは0.5μm以上100μm以下がよい。なお、表面層は必要に応じて設けらればよく、図1の画像形成装置1000では、抵抗層202の上に表面層が存在しない帯電ロールが採用されてもよい。
また、帯電電圧印加部200aからベアリング23を介して帯電部材20に印加される電圧としては、直流成分に交流成分が重畳された電圧や、直流成分のみの電圧が採用可能であり、特に、直流成分のみの電圧が好ましい。電圧の大きさとしては、50V以上2000V以下が好ましく、特に100V以上1500V以下が最も好ましい。交流電圧を重畳する場合は、電圧の振幅の大きさが200V以上900V以下であればよく、400V以上800V以下が好ましい。中でも600V以上800V以下であることが最も好ましい。交流電圧の周波数は50Hz以上20kHz以下であればよく、100Hz以上5kHz以下であることが好ましい。
次に、図1に示す像保持体の構成について説明する。上述したように、図1の4つの像保持体61K,61C、61M,61Yは、いずれも同様の構成を備えており、これら各色用の像保持体をまとめて像保持体61として説明する。
図5は、図1に示す像保持体の層構造を表した模式的な断面図である。
図1に示す像保持体は、導電性の基体610の上に、像保持体への入射光が基体610表面で反射することを防止するための下引層611と、図1に示す像露光装置114K,114C,114M,114Yのレーザ光を受けて、電荷を有するキャリアを発生する電荷発生層612と、キャリアが輸送される電荷輸送層613と、像保持体61の最外層となり像保持体61を保護する保護層614とが、順次重なった構成を備えている。
基体610の材料としては、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼等の金属類が採用可能である。また、これらの金属や、金、バナジウム、酸化錫、酸化インジウム、ITO等でできた金属膜を貼り付けたプラスチックフィルムも採用可能であるし、導電性付与剤を塗布、または含浸させた紙、およびプラスチックフィルム等も基体610の材料として採用可能である。
基体610の表面は、図1の露光部7K,7C,7M,7Yにより照射されたレーザ光によって干渉縞が発生するのを防止するために、中心線平均粗さ(Ra)で0.04μm以上0.5μm以下に粗面化することが望ましい。基体610の表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.04μm未満であると、鏡面に近くなるので干渉防止効果が不十分となる傾向がある。他方、中心線平均粗さ(Ra)が0.5μmを越えると、被膜を形成しても画質が不十分となる傾向がある。非干渉光を光源に用いる場合には、干渉縞防止の粗面化は特に必要なく、基体610表面の凹凸による欠陥の発生が防げるため、より長寿命化に適する。粗面化の方法としては、研磨剤を水に懸濁させて支持体に吹き付けることによって行なう湿式ホーニング、又は回転する砥石に支持体を圧接し、連続的に研削加工を行なうセンタレス研削、陽極酸化処理等が望ましい。また、他の粗面化の方法としては、基体610表面を粗面化することなく、導電性又は半導電性粉体を樹脂中に分散させて、支持体表面上に層を形成し、その層中に分散させる粒子により粗面化する方法も好ましく用いられる。ここで、陽極酸化処理とは、アルミニウムを陽極とし電解質溶液中で陽極酸化することによりアルミニウム表面に酸化膜を形成する処理であり、電解質溶液としては、硫酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。しかし、そのままの多孔質陽極酸化膜は、化学的に活性であり、汚染され易く、環境による抵抗変動も大きい。そこで、陽極酸化膜の微細孔を加圧水蒸気又は沸騰水中(ニッケル等の金属塩を加えてもよい)で水和反応による体積膨張でふさぎ、より安定な水和酸化物に変える封孔処理を行う。陽極酸化膜の膜厚については、0.3μm以上15μm以下が望ましい。この膜厚が0.3μm未満であると、注入に対するバリア性が乏しく効果が不十分となる傾向がある。他方、15μmを超えると、繰り返し使用による残留電位の上昇を招く傾向がある。
また、基体610には、酸性水溶液による処理又はベーマイト処理が施されてもよい。リン酸、クロム酸およびフッ酸からなる酸性処理液による処理は以下のようにして実施される。先ず、酸性処理液を調整する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸およびフッ酸の配合割合は、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲が望ましい。処理温度は42℃以上48℃以下が望ましいが、処理温度を高く保つことにより、一層速く、かつ厚い被膜を形成することができる。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が望ましい。0.3μm未満であると、注入に対するバリア性が乏しく効果が不十分となる傾向がある。他方、15μmを超えると、繰り返し使用による残留電位の上昇を招く傾向がある。一方、ベーマイト処理は、90℃以上100℃以下の純水中に5分間以上60分間以下浸漬すること、又は90℃以上120℃以下の加熱水蒸気に5分間以上60分間以下接触させることにより行うことができる。被膜の膜厚は、0.1μm以上5μm以下が望ましい。これをさらにアジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等の被膜溶解性の低い電解質溶液を用いて陽極酸化処理してもよい。
次に、図5の下引層611について説明する。下引層611は、例えば、有機金属化合物や結着樹脂を含有する層である。下引層611は、必要に応じて設ければよく、本発明のプロセスカートリッジおよび画像形成装置では、下引層611が存在しない像保持体が採用されてもよい。
下引層611に含まれる有機金属化合物としては、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤等の有機ジルコニウム化合物、チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤等の有機チタン化合物、アルミニウムキレート化合物、アルミニウムカップリング剤等の有機アルミニウム化合物のほか、アンチモンアルコキシド化合物、ゲルマニウムアルコキシド化合物、インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物、マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物、スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物、アルミニウムシリコンアルコキシド化合物、アルミニウムチタンアルコキシド化合物、アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物等が挙げられる。ここで、有機金属化合物としては、残留電位が低く良好な電子写真特性を示すため、特に有機ジルコニウム化合物、有機チタニル化合物、有機アルミニウム化合物が好ましく使用される。
また、結着樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリイミド、カゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸等の公知のものが挙げられる。これらを2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて適宜設定することができる。
また、下引層611には、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス2メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を含有させてもよい。
また、下引層611中には、低残留電位化や環境安定性の観点から、電子輸送性顔料を混合/分散して使用することもできる。電子輸送性顔料としては、特開昭47−30330号公報に記載のペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料、また、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子等の電子吸引性の置換基を有するビスアゾ顔料やフタロシアニン顔料等の有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機顔料が挙げられる。これらの顔料の中では、ペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、酸化亜鉛又は酸化チタンが、電子移動性が高いので好ましく使用される。また、これらの顔料の表面は、分散性、電荷輸送性を制御する目的で上記カップリング剤や、結着樹脂等で表面処理してもよい。電子輸送性顔料は多すぎると下引層611の強度を低下させ、塗膜欠陥の原因となるため、下引層611の固形分全量を基準として望ましくは95質量%以下、より望ましくは90質量%以下である。また、下引層611には、電気特性の向上や光散乱性の向上等の目的により、各種の有機化合物の微粉末若しくは無機化合物の微粉末を添加することが望ましい。特に、酸化チタン、酸化亜鉛、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、リトポン等の白色顔料やアルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料としての無機顔料やポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、スチレン樹脂粒子等が有効である。添加微粉末の体積平均粒子径は、0.01μm以上2μm以下のものが望ましい。微粉末は必要に応じて添加されるが、その添加量は下引層611の固形分全量を基準として、10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、30質量%以上80質量%以下であることがより望ましい。
下引層611は上述した各構成材料を含有する下引層形成用塗布液が基体610上に塗布されることで形成される。下引層形成用塗布液に使用される有機溶剤としては、有機金属化合物や結着樹脂を溶解し、また、電子輸送性顔料を混合および/又は分散したときにゲル化や凝集を起こさないものであればよい。有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常のものが挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。各構成材料の混合および/又は分散方法は、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、振動ボールミル、コロイドミル、ペイントシェーカー超音波等を用いる常法が適用される。混合および/又は分散は有機溶剤中で行われる。下引層611を形成する際の塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法を用いることができる。乾燥は、通常、溶剤を蒸発させ、成膜可能な温度で行われる。特に、酸性溶液処理、ベーマイト処理を行った基体610は、基材の欠陥隠蔽力が不十分となり易いため、下引層611を形成することが望ましい。ここで、下引層611の厚さは、望ましくは0.01μm以上30μm以下、より望ましくは0.05μm以上25μm以下である。
次に、電荷発生層612について説明する。
電荷発生層612は、電荷発生材料を含む層であり、必要に応じて結着樹脂が含まれていてもよい。
電荷発生材料としては、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、ピロロピロール顔料、フタロシアニン顔料等の有機顔料や三方晶セレン、酸化亜鉛等の無機顔料等公知のものを使用可能である。特に、波長が380nm以上500nm以下のレーザ光を用いる場合には、電荷発生材料としては、金属および無金属フタロシアニン顔料、三方晶セレン、ジブロモアントアントロン等が望ましい。その中でも、特開平5−263007号公報および特開平5−279591号公報に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン、特開平5−98181号公報に開示されたクロロガリウムフタロシアニン、特開平5−140472号公報および特開平5−140473号公報に開示されたジクロロスズフタロシアニン、特開平4−189873号公報および特開平5−43813号公報に開示されたチタニルフタロシアニンが特に望ましい。また、上記のヒドロキシガリウムフタロシアニンの中でも特に、分光吸収スペクトルで、810nm以上839nm以下に吸収極大を有し、一次粒子径が0.10μm以下であり、且つ、BET法による比表面積値が45m2/g以上であるものが望ましい。
結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択することができる、また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシランなどの有機光導電性ポリマーから選択することもできる。望ましい結着樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの結着樹脂は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
電荷発生層612は、電荷発生材料の蒸着、あるいは、電荷発生材料および結着樹脂を含有する電荷発生層形成用塗布液の塗布により形成される。電荷発生層612を、電荷発生層形成用塗布液を用いて形成する場合、電荷発生材料と結着樹脂の配合比(質量比)は、10:1乃至1:10の範囲が望ましい。電荷発生層形成用塗布液に、上記各構成材料を分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の通常の方法を用いることができる。この際、分散によって顔料の結晶型が変化しない条件が必要とされる。さらにこの分散の際、粒子を望ましくは0.5μm以下、より望ましくは0.3μm以下、さらに望ましくは0.15μm以下の粒子サイズにすることが有効である。分散に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。電荷発生層形成用塗布液を用いて電荷発生層612を形成する際には、塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法を用いることができる。
ここで、電荷発生層612の厚さは、望ましくは0.1μm以上5μm以下、より望ましくは0.2μm以上2.0μm以下である。
次に、電荷輸送層613について説明する。
電荷輸送層613は、電荷輸送材料、結着樹脂、および高分子電荷輸送材を含有する層である。電荷輸送材料としては、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等の電子輸送性化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の正孔輸送性化合物が挙げられるが、特にこれらに限定されない。これらの電荷輸送材料は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。また、電荷輸送材料としては、モビリティーの観点から、下記一般式(I)、(II)、又は(III)で示される化合物が望ましい。
上記式(I)中、R16は水素原子又はメチル基を、n10は1又は2を表す。また、Ar6およびAr7はそれぞれ独立に置換もしくは未置換のアリール基、−C6H4−C(R38)=C(R39)(R40)、又は、−C6H4−CH=CH−CH=C(Ar)2を表し、置換基としてはハロゲン原子、炭素数が1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、又は炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基が挙げられる。また、R38、R39、R40は水素原子、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアリール基を、Arは置換又は未置換のアリール基を示す。
上記式(II)中、R17およびR17’はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基又は炭素数1以上5以下のアルコキシ基を、R18、R18’、R19およびR19’はそれぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、炭素数1又は2のアルキル基で置換されたアミノ基、置換若しくは未置換のアリール基、−C(R38)=C(R39)(R40)、又は、−CH=CH−CH=C(Ar)2を、R38、R39およびR40はそれぞれ独立に水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又は置換若しくは未置換のアリール基を、Arは置換又は未置換のアリール基を表す。また、n2およびn3はそれぞれ独立に0以上2以下の整数を表す。
上記式(III)中、R21は水素原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、置換若しくは未置換のアリール基、又は、−CH=CH−CH=C(Ar)2を表す。Arは、置換又は未置換のアリール基を表す。R22、R23はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、炭素数1又は2のアルキル基で置換されたアミノ基、又は置換若しくは未置換のアリール基を表す。
電荷輸送層613に用いる結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂等が挙げられる。これらの結着樹脂は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。電荷輸送材料と結着樹脂との配合比(質量比)は、10:1乃至1:5が望ましい。
また、高分子電荷輸送材としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等の電荷輸送性を有する公知のものを用いることができる。特に、特開平8−176293号公報や特開平8−208820号公報に示されているポリエステル系高分子電荷輸送材は、高い電荷輸送性を有しており、特に望ましいものである。
ここで、電荷輸送層613は、上記構成材料を含有する電荷輸送層形成用塗布液を塗布することで形成される。電荷輸送層形成用塗布液の溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロンゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状若しくは直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤が挙げられる。これらは1種を単独で或いは2種以上を混合して用いることができる。電荷輸送層形成用塗布液の塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法を用いることができる。電荷輸送層613の厚さは、望ましくは5μm以上50μm以下、より望ましくは10μm以上30μm以下である。
次に、保護層614について説明する。保護層614は、樹脂により構成される層である。保護層614は、必要に応じて設ければよく、本発明のプロセスカートリッジおよび画像形成装置では、保護層614が存在しない像保持体が採用されてもよい。
保護層614を構成する樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン、特開平8−176293号公報や特開平8−208820号公報に示されているポリエステル系高分子電荷輸送材など高分子電荷輸送材が挙げられる。これらの中でも、フェノール樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、熱硬化性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂およびポリベンズイミダゾール樹脂などの熱硬化性樹脂が望ましい。特に、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シロキサン樹脂、ウレタン樹脂が好ましく、これらの樹脂により構成される保護層614は、これらの樹脂又はその前駆体を主成分とする塗布液の塗布により形成され、この塗布された塗布液は、塗布後の乾燥の際に同時に加熱処理を行うことで硬化する。
保護層614を構成するフェノール樹脂としては、モノメチロールフェノール類、ジメチロールフェノール類若しくはトリメチロールフェノール類のモノマー、それらの混合物、それらがオリゴマー化されたもの、又はそれらモノマーとオリゴマーの混合物が採用可能である。このようなフェノール樹脂は、具体的には、レゾルシン、ビスフェノール、フェノール、クレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニルフェノール等の水酸基を1個含む置換フェノール類、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン等の水酸基を2個含む置換フェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールZ等のビスフェノール類、ビフェノール類等、フェノール構造を有する化合物と、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド等とを、酸触媒又はアルカリ触媒下で反応させることで得られるものである。フェノール樹脂としては、一般にフェノール樹脂として市販されているものを使用できる。また、フェノール樹脂としては、レゾール型フェノール樹脂が望ましい。なお、本明細書では、分子の構造単位の繰り返しが2以上20以下程度の比較的大きな分子をオリゴマーといい、それ以下のものをモノマーという。ここで、上記の酸触媒としては、硫酸、パラトルエンスルホン酸、リン酸等が用いられる。また、上記のアルカリ触媒としては、NaOH、KOH、Ca(OH)2、Ba(OH)2等のアルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物やアミン系触媒が用いられる。アミン系触媒としては、アンモニア、ヘキサメチレンテトラミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。塩基性触媒を使用した場合には、残留する触媒によりキャリアが著しくトラップされ、電子写真特性を悪化させる傾向がある。そのため、酸で中和するか、シリカゲル等の吸着剤や、イオン交換樹脂等と接触させることにより不活性化又は除去することが望ましい。
保護層614を構成するメラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂としては、メチロール基がそのままのメチロールタイプ、メチロール基がすべてアルキルエーテル化されたフルエーテルタイプ、又はフルイミノタイプ、メチロールとイミノ基の混合タイプなど種々のものが使用できる。これら中でも、塗布液の安定性の観点から、エーテルタイプのものが望ましい。
保護層614を構成するウレタン樹脂としては、多官能イソシアネート、イソシアヌレート又はこれらをアルコールやケトンでブロックしたブロックイソシアネートなどが使用できる。これらの中でも、塗布液の安定性の観点から、ブロックイソシアネート又はイソシアヌレートが好ましく、これらは本発明の電子写真像保持体用添加物と過熱架橋するので望ましい。
保護層614を構成する熱硬化性シリコーン樹脂としては、後述の一般式(IV)で示される化合物などから誘導される樹脂を使用できる。
以上説明してきた、保護層614の構成材料となる樹脂は単独で用いられてもよいが、2種以上混合して用いられてもよい。
また、保護層614には、残留電位を下げるために導電性粒子または電荷輸送材料が添加されてもよい。導電性粒子としては、金属、金属酸化物の粒子およびカーボンブラック等が挙げられる。これらの中でも、金属又は金属酸化物がより望ましい。金属としては、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、銀およびステンレス等、又はこれらの金属をプラスチックの粒子の表面に蒸着したもの等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズ、およびアンチモンをドープした酸化ジルコニウム等が挙げられる。これらは単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。2種以上を組み合わせて用いる場合は、単に混合しても、固溶体や融着の形にしてもよい。導電性粒子の平均粒径は保護層614の透明性の観点から、0.3μm以下が好ましく、0.1μm以下が特に望ましい。
また、保護層614を形成する樹脂には、保護層614の強度や、膜としての保護層614の膜抵抗といった種々の物性をコントロールするために、下記一般式(IV)で示される化合物が添加されてもよい。
ここで、上記式(IV)中、R50は水素原子、アルキル基又は置換若しくは未置換のアリール基を、Qは加水分解性基を、cは1以上4以下の整数を表す。上記一般式(IV)で表される化合物の具体例としては以下のようなシランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等の四官能性アルコキシシラン(c=4);メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロアルキルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトシキシラン等の三官能性アルコキシシラン(c=3);ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン等の二官能性アルコキシシラン(c=2);トリメチルメトキシシラン等の1官能アルコキシシラン(c=1)等を挙げることができる。膜としての保護層614の強度を向上させるためには3および4官能のアルコキシシランが好ましく、可とう性、成膜性を向上させるためには1および2官能のアルコキシシランが望ましい。また、主にこれらのカップリング剤より作製されるシリコン系ハードコート剤も用いることができる。市販のハードコート剤としては、KP−85、X−40−9740、X−40−2239(以上、信越シリコーン社製)、およびAY42−440、AY42−441、AY49−208(以上、東レダウコーニング社製)等を用いることができる。
また、保護層614を形成する樹脂には、保護層614の強度を高めるために、下記一般式(V)に示すような2つ以上のケイ素原子を有する化合物を用いることも望ましい。
ここで、上記式(V)中、Bは2価の有機基を、R51は水素原子、アルキル基又は置換若しくは未置換のアリール基を、Qは加水分解性基を、dは1以上3以下の整数を表す。上記一般式(V)で表される化合物としては、より具体的には、下記に示す表1の化合物(V−1)から化合物(V−16)までを、望ましい化合物として挙げることができる。表1においては、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。
さらに、膜特性のコントロール、液寿命の延長等のため、アルコール系、ケトン系溶剤に可溶な樹脂を添加してもよい。このような樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールやアセトアセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルアセタール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂(たとえば積水化学社製エスレックB、K等)、ポリアミド樹脂、セルロ−ス樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。特に、電気特性を向上させる観点から、ポリビニルアセタール樹脂が望ましい。
また、保護層614を形成する樹脂には、保護層614の放電ガス耐性、機械強度、耐傷性、粒子分散性、粘度コントロール、トルク低減、磨耗量コントロール、ポットライフの延長等の目的で種々の樹脂を添加することができる。例えば、アルコールに溶解する樹脂を更に加えることが望ましい。アルコール系溶剤に可溶な樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールやアセトアセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルアセタール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂(たとえば積水化学社製エスレックB、K等)、ポリアミド樹脂、セルロ−ス樹脂等が挙げられる。特に、電気特性を向上させる観点から、ポリビニルアセタール樹脂が望ましい。
また、保護層614を形成する樹脂の質量平均分子量は2000以上100000以下が好ましく、5000以上50000以下がさらに望ましい。質量平均分子量は2000より小さいと所望の効果が得られなくなる傾向があり、100000より大きいと溶解度が低くなり添加量が限られてしまったり、塗布時に製膜不良の原因になったりする傾向がある。添加量は1質量%以上40質量%以下が好ましく、さらに望ましくは1質量%以上30質量%以下であり、5質量%以上20質量%以下が最も望ましい。添加量が1質量%よりも少ない場合は所望の効果が得られにくくなり、40質量%よりも多くなると高温高湿下での画像ボケが発生しやすくなる恐れがある。
また、保護層614のポットライフの延長、膜特性のコントロールのため、保護層614には、下記一般式(VI)で表される繰り返し構造単位を持つ環状化合物、若しくはその化合物からの誘導体を含有させることが望ましい。
ここで、上記式(VI)中、A1およびA2は、それぞれ独立に一価の有機基を表す。一般式(VI)で表される繰り返し構造単位を持つ環状化合物としては、市販の環状シロキサンを挙げることができる。具体的には、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシクロシロキサン類、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリフェニルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチル−1,3,5,7,9−ペンタフェニルシクロペンタシロキサン等の環状メチルフェニルシクロシロキサン類、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン等の環状フェニルシクロシロキサン類、3−(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシクロトリシロキサン等のフッ素原子含有シクロシロキサン類、メチルヒドロシロキサン混合物、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、フェニルヒドロシクロシロキサン等のヒドロシリル基含有シクロシロキサン類、ペンタビニルペンタメチルシクロペンタシロキサン等のビニル基含有シクロシロキサン類等の環状のシロキサン等を挙げることができる。これらの環状シロキサン化合物は1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。
また、保護層614には、電子写真像保持体表面の耐汚染物付着性、潤滑性、硬度等を制御するために、保護層614を構成する上述の樹脂に、各種の粒子を添加することもできる。例えば、ケイ素原子含有粒子を添加することが可能である。ケイ素原子含有粒子とは、構成元素にケイ素を含む粒子であり、具体的には、コロイダルシリカおよびシリコーン粒子等が挙げられる。ケイ素原子含有粒子として用いられるコロイダルシリカは、体積平均粒子径が望ましくは1nm以上100nm以下、より望ましくは10nm以上30nm以下であり、酸性若しくはアルカリ性の水分散液、或いはアルコール、ケトン、エステル等の有機溶媒中に分散させたものから選ばれ、一般に市販されているものを使用することができる。硬化性樹脂組成物中のコロイダルシリカの固形分含有量は、特に限定されるものではないが、成膜性、電気特性、強度の面から硬化性樹脂組成物中の固形分全量を基準として望ましくは0.1質量%以上50質量%以下の範囲、より望ましくは0.1質量%以上30質量%以下の範囲で用いられる。ケイ素原子含有粒子として用いられるシリコーン粒子は、球状で、体積平均粒子径が望ましくは1nm以上500nm以下、より望ましくは10nm以上100nm以下であり、シリコーン樹脂粒子、シリコーンゴム粒子およびシリコーン表面処理シリカ粒子から選ばれ、一般に市販されているものを使用することができる。シリコーン粒子は、化学的に不活性で、樹脂への分散性に優れる小径粒子であり、さらに十分な特性を得るために必要とされる含有量が低いため、架橋反応を阻害することなく、電子写真像保持体の表面性状を改善することができる。即ち、強固な架橋構造中に均一に取り込まれた状態で、電子写真像保持体表面の潤滑性、撥水性を向上させ、長期間にわたって良好な耐磨耗性、耐汚染物付着性を維持することができる。硬化性樹脂組成物中のシリコーン粒子の含有量は、硬化性樹脂組成物中の固形分全量を基準として望ましくは0.1質量%以上30質量%以下の範囲であり、より望ましくは0.5質量%以上10質量%以下の範囲である。
また、その他の粒子としては、4フッ化エチレン、3フッ化エチレン、6フッ化プロピレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のフッ素系粒子や”第8回ポリマー材料フォーラム講演予稿集 p89”に示されるような、フッ素樹脂と水酸基を有するモノマーを共重合させた樹脂からなる粒子、ZnO−Al2O3、SnO2−Sb2O3、In2O3−SnO2、ZnO−TiO2、MgO−Al2O3、FeO−TiO2、TiO2、SnO2、In2O3、ZnO、MgO等の半導電性金属酸化物を挙げることができる。
また、保護層614には、保護層614の電子写真像保持体表面の耐汚染物付着性、潤滑性、硬度等を制御するために、シリコーンオイル等のオイルを添加することもできる。シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、フェニルメチルシロキサン等のシリコーンオイル、アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、カルビノール変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン等の反応性シリコーンオイル等を挙げることができる。これらは、保護層614を形成するための硬化性樹脂組成物中に予め添加してもよいし、像保持体を作製後、減圧、或いは加圧下等で含浸処理してもよい。
また、保護層614には、可塑剤、表面改質剤、酸化防止剤、光劣化防止剤等の添加剤を含有することもできる。可塑剤としては、例えば、ビフェニル、塩化ビフェニル、ターフェニル、ジブチルフタレート、ジエチレングリコールフタレート、ジオクチルフタレート、トリフェニル燐酸、メチルナフタレン、ベンゾフェノン、塩素化パラフィン、ポリプロピレン、ポリスチレン、各種フルオロ炭化水素等が挙げられる。
また、保護層614には、ヒンダートフェノール、ヒンダートアミン、チオエーテル又はホスファイト部分構造を持つ酸化防止剤を添加することができ、環境変動時の電位安定性・画質の向上に効果的である。酸化防止剤としては以下のような化合物が挙げられる。例えば、ヒンダートフェノール系の酸化防止剤としては、「Sumilizer BHT−R」、「Sumilizer MDP−S」、「Sumilizer BBM−S」、「Sumilizer WX−R」、「Sumilizer NW」、「Sumilizer BP−76」、「Sumilizer BP−101」、「Sumilizer GA−80」、「Sumilizer GM」、「Sumilizer GS」といった住友化学社製の酸化防止剤や、「IRGANOX1010」、「IRGANOX1035」、「IRGANOX1076」、「IRGANOX1098」、「IRGANOX1135」、「IRGANOX1141」、「IRGANOX1222」、「IRGANOX1330」、「IRGANOX1425WL」、「IRGANOX1520L」、「IRGANOX245」、「IRGANOX259」、「IRGANOX3114」、「IRGANOX3790」、「IRGANOX5057」、「IRGANOX565」といったチバスペシャリティーケミカルズ社製の酸化防止剤や、「アデカスタブAO−20」、「アデカスタブAO−30」、「アデカスタブAO−40」、「アデカスタブAO−50」、「アデカスタブAO−60」、「アデカスタブAO−70」、「アデカスタブAO−80」、「アデカスタブAO−330」といった旭電化製の酸化防止剤が挙げられる。ヒンダートアミン系の酸化防止剤としては、「サノールLS2626」、「サノールLS765」、「サノールLS770」、「サノールLS744」といった三共ライフテック社製の酸化防止剤や、「チヌビン144」、「チヌビン622LD」といったチバスペシャリティーケミカルズ社製の酸化防止剤や、「マークLA57」、「マークLA67」、「マークLA62」、「マークLA68」、「マークLA63」といった旭電化製の酸化防止剤や、住友化学社製の「スミライザーTPS」が挙げられる。また、チオエーテル系の酸化防止剤としては、住友化学社製の「スミライザーTP−D」が挙げられ、ホスファイト系の酸化防止剤としては、「マーク2112」、「マークPEP・8」、「マークPEP・24G」、「マークPEP・36」、「マーク329K」、「マークHP・10」といった旭電化製の酸化防止剤が挙げられる。ヒンダートフェノール、ヒンダートアミン、チオエーテル又はホスファイト部分構造を持つ酸化防止剤の中でも、特にヒンダートフェノール、ヒンダートアミン系酸化防止剤が望ましい。さらに、これらは架橋膜を形成する材料と架橋反応可能な例えばアルコキシシリル基等の置換基で変性してもよい。
また、保護層614を構成する樹脂として、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などの架橋構造を有する樹脂が採用された場合、樹脂の作成の際に用いられた触媒を除去するために、該樹脂をメタノール、エタノール、トルエン、酢酸エチルなどの適当な溶剤に溶解させ、水洗、貧溶剤を用いた再沈殿などの処理を行うか、例えば、以下に例示する材料を用いて処理することが望ましい。かかる材料としては、アンバーライト15、アンバーライト200C、アンバーリスト15E(以上、ローム・アンド・ハース社製)、ダウエックスMWC−1−H、ダウエックス88、ダウエックスHCR−W2(以上、ダウ・ケミカル社製)、レバチットSPC−108、レバチットSPC−118(以上、バイエル社製)、ダイヤイオンRCP−150H(三菱化成社製)、スミカイオンKC−470、デュオライトC26−C、デュオライトC−433、デュオライト−464(以上、住友化学工業社製)、ナフィオン−H(デュポン社製)などの陽イオン交換樹脂;アンバーライトIRA−400、アンバーライトIRA−45(以上、ローム・アンド・ハース社製)などの陰イオン交換樹脂;Zr(O3PCH2CH2SO3H)2,Th(O3PCH2CH2COOH)2などのプロトン酸基を含有する基が表面に結合されている無機固体;スルホン酸基を有するポリオルガノシロキサンなどのプロトン酸基を含有するポリオルガノシロキサン;コバルトタングステン酸、リンモリブデン酸などのヘテロポリ酸;ニオブ酸、タンタル酸、モリブデン酸などのイソポリ酸;シリカゲル、アルミナ、クロミア、ジルコニア、CaO、MgOなどの単元系金属酸化物;シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、ゼオライト類などの複合系金属酸化物;酸性白土、活性白土、モンモリロナイト、カオリナイトなどの粘土鉱物;LiSO4,MgSO4などの金属硫酸塩;リン酸ジルコニア、リン酸ランタンなどの金属リン酸塩;LiNO3,Mn(NO3)2などの金属硝酸塩;シリカゲル上にアミノプロピルトリエトキシシランを反応させて得られた固体などのアミノ基を含有する基が表面に結合されている無機固体;アミノ変性シリコーン樹脂などのアミノ基を含有するポリオルガノシロキサンなどが挙げられる。
また、保護層614には、硬度、接着性、可とう性などの膜特性の調整のために、ポリグリシジルメタクリレート、グリシジルビスフェノール類、フェノールエポキシ樹脂などのエポキシ含有化合物、テレフタル酸、マレイン酸、ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸など、又はそれらの無水物を添加してもよい。添加量としては、本発明の電子写真像保持体用添加物1質量部に対し、望ましくは0.05質量部以上1質量部以下、より望ましくは0.1質量部以上0.7質量部以下で用いられる。
さらに、保護層614には、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂を所望の割合で混合することもできる。これにより、電荷輸送層613との接着性、熱収縮やハジキによる塗布膜欠陥などを抑制することもできる。
上述したように、保護層614は、以上の各構成材料を含有する保護層形成用塗布液を電荷輸送層613上に塗布して硬化させることで、保護層614は形成される。この保護層形成用塗布液には、必要に応じてメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等の溶媒が使用される。また、これらの他、種々の溶媒が使用できるが、電子写真像保持体の生産に一般的に使用されるディップ塗布法を適用するためには、アルコール系又はケトン系溶剤、或いはそれらの混合系溶剤が好ましくい。また、沸点は50℃以上150℃以下のものが好ましく、任意に混合して使用することができる。溶媒量は任意に設定できるが、少なすぎると析出しやすくなるため、保護層形成用塗布液中に含まれる固形分の合計1質量部に対し0.5質量部以上30質量部以下が好ましく、1質量部以上20質量部以下がより望ましい。
また、保護層614を構成する樹脂として架橋構造を持たせる場合には、保護層形成用塗布液に硬化触媒を使用してもよい。硬化触媒としては、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタンのようなビススルホニルジアゾメタン類、メチルスルホニルp−トルエンスルホニルメタンのようなビススルホニルメタン類、シクロヘキシルスルホニルシクロヘキシルカルボニルジアゾメタンのようなスルホニルカルボニルジアゾメタン類、2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルホニル)プロピオフェノンのようなスルホニルカルボニルアルカン類、2−ニトロベンジルp−トルエンスルホネートのようなニトロベンジルスルホネート類、ピロガロールトリスメタンスルホネートのようなアルキルおよびアリールスルホネート類(g)ベンゾイントシレートのようなベンゾインスルホネート類、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミドのようなN−スルホニルオキシイミド類、(4−フルオロベンゼンスルホニルオキシ)−3,4,6−トリメチル−2−ピリドンのようなピリドン類、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチル−1−(3−ビニルフェニル)−エチル−4−クロロベンゼンスルホネートのようなスルホン酸エステル類、トリフェニルスルホニウムメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネートのようなオニウム塩類などの光酸発生剤や、プロトン酸或いはルイス酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸とトリアルキルホスフェートの混合物、スルホン酸エステル類、リン酸エステル類、オニウム化合物、および、無水カルボン酸化合物などが好ましく挙げられる。ここで、プロトン酸或いはルイス酸をルイス塩基で中和した化合物としては、ハロゲノカルボン酸類、スルホン酸類、硫酸モノエステル類、リン酸モノおよびジエステル類、ポリリン酸エステル類、ホウ酸モノおよびジエステル類等を、アンモニア、モノエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピペリジン、アニリン、モルホリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の各種アミン若しくはトリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、トリアルキルホスファイト、トリアリールホスファイトで中和した化合物、さらには酸−塩基ブロック化触媒として市販されているネイキュア2500X、4167、X−47−110、3525、5225(以上キングインダストリー社製)等が挙げられる。また、ルイス酸をルイス塩基で中和した化合物としては、例えばBF3、FeCl3、SnCl4、AlCl3、ZnCl2等のルイス酸を上記のルイス塩基で中和した化合物が挙げられる。また、オニウム化合物としては、トリフェニルスルホニウムメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネートなどが挙げられる。また、無水カルボン酸化合物としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸、無水ラウリン酸、無水オレイン酸、無水ステアリン酸、無水n−カプロン酸、無水n−カプリル酸、無水n−カプリン酸、無水パルミチン酸、無水ミリスチン酸、無水トリクロロ酢酸、無水ジクロロ酢酸、無水モノクロロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水ヘプタフルオロ酪酸等が挙げられる。ルイス酸の具体例としては、例えば、三フッ化ホウ素、三塩化アルミニウム、塩化第一チタン、塩化第二チタン、塩化第一鉄、塩化第二鉄、塩化亜鉛、臭化亜鉛、塩化第一スズ、塩化第二スズ、臭化第一スズ、臭化第二スズ等の金属ハロゲン化物、トリアルキルホウ素、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルハロゲン化アルミニウム、モノアルキルハロゲン化アルミニウム、テトラアルキルスズ等の有機金属化合物、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム、ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトナト)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジブチル・ビス(アセチルアセトナト)スズ、トリス(アセチルアセトナト)鉄、トリス(アセチルアセトナト)ロジウム、ビス(アセチルアセトナト)亜鉛、トリス(アセチルアセトナト)コバルト等の金属キレート化合物、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズエステルマレート、ナフテン酸マグネシウム、ナフテン酸カルシウム、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸鉄、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸ジルコニウム、ナフテン酸鉛、オクチル酸カルシウム、オクチル酸マンガン、オクチル酸鉄、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸ジルコニウム、オクチル酸スズ、オクチル酸鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸鉛等の金属石鹸が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの触媒の使用量は特に制限されないが、保護層形成用塗布液中に含まれる固形分の合計100質量部に対して0.1質量部以上20質量部以下が好ましく、0.3質量部以上10質量部以下が特に好ましい。
保護層形成用塗布液を電荷輸送層613上に塗布する場合、塗布方法としては、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法を用いることができる。そして、塗布後、塗膜を乾燥させることで保護層614が形成される。なお、塗布の際には1回の塗布により必要な膜厚が得られない場合、複数回重ね塗布すことにより必要な膜厚を得ることができる。複数回の重ね塗布を行なう場合、加熱処理は塗布の度に行なってもよいし、複数回重ね塗布した後でもよい。架橋構造を有する樹脂を用いて保護層614を形成する場合、架橋させる際には硬化温度は望ましくは100℃以上170℃以下、より望ましくは100℃以上160℃以下である。また、硬化時間は、望ましくは30分℃以上2時間以内、より望ましくは30分以上1時間以内であり、加熱温度を他段階に変化させてもよい。架橋反応を行う雰囲気としては、窒素、ヘリウム、アルゴンなどのいわゆる酸化に対して不活性なガス雰囲気下で行うことにより、電気特性の悪化を防止することができる。不活性ガス雰囲気下で架橋反応を行う場合には、空気雰囲気下よりも硬化温度を高く設定することができ、硬化温度は望ましくは100℃以上180℃以下、より望ましくは110℃以上160℃以下である。また、硬化時間は、望ましくは30分以上2時間以内、より望ましくは30分以上1時間以内である。
また、保護層614の膜厚は、0.5μm以上15μm以下が好ましく、1μm以上10μm以下がより好ましく、1μm以上5μm以下がさらに好ましい。
保護層614の25℃における酸素透過係数は、4×1012fm/s・Pa以下であることが好ましく、3.5×1012fm/s・Pa以下であることがより好ましく、3×1012fm/s・Pa以下であることがさらに好ましい。ここで、酸素透過係数は一般に層の酸素ガス透過のし易さを表す尺度であるが、層の物理的な隙間の存在の程度を表す尺度ともみなすこともできる。なお、ガスの種類が変われば透過率の絶対値は変わるものの、検体となる層間で大小関係の逆転は殆どない。したがって、酸素透過係数は、一般的なガス透過のし易さを表現する尺度と解釈してよい。保護層614の25℃における酸素透過係数が上記の範囲にある場合には、保護層614においてガスが浸透しにくい。したがって、画像形成プロセスにより生じる放電生成物の浸透が抑制され、保護層614に含有される化合物の劣化が抑制され、電気特性を高水準に維持することができ、高画質化、長寿命化に有効である。
以上が図1の画像形成装置1に備えられている像保持体61の説明である。次に、図1の画像形成装置1において使用されるトナーについて説明する。
図1の画像形成装置1において使用されるトナーは、平均形状係数SF1(SF1=ML2/A×π/4×100、ここでMLは粒子の最大長を表し、Aは粒子の投影面積を表す)が、100以上140以下のトナーである。ここで、平均形状係数(SF1)とは、スライドガラス上に載置したトナー粒子の像を、ビデオカメラを通じて、光学顕微鏡により測定し、画像解析装置(LUZEXIII、NIRECO社製)に取り込み、トナーの最大長(ML)、および投影面積(A)を算出し、これらの値を上記式に代入して形状係数が求められるものである。また、平均形状係数は、任意の100個のトナー粒子における上記式より算出された形状係数の平均値である。図1の画像形成装置1において使用されるトナーとしては、体積平均粒子径が2μm以上12μm以下であることが好ましく、3μm以上12μm以下であることがより好ましく、3μm以上9μm以下であることがさらに好ましい。このような平均形状係数および体積平均粒子径を満たすトナーを用いられることにより、高い現像、転写性、および高画質の画像を得ることができる。図1の画像形成装置1において使用されるトナーは、上記平均形状係数および体積平均粒子径を満足する範囲のものであれば特に製造方法により限定されるものではないが、図1の画像形成装置1において使用されるトナーは、例えば、結着樹脂、着色剤および離型剤、必要に応じて帯電制御剤等を加えて混練、粉砕、分級する混練粉砕法;混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力又は熱エネルギーにて形状を変化させる方法;結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤および離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法;結着樹脂を得るための重合性単量体と、着色剤および離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法;結着樹脂と、着色剤および離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液とを水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等により製造され得る。また、上記方法で得られたトナーをコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法等、公知の方法を使用することも可能である。なお、トナーの製造方法としては、形状制御、粒度分布制御の観点から水系溶媒にて製造する懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法が好ましく、乳化重合凝集法が特に好ましい。
図1の画像形成装置1において使用されるトナーのトナー母粒子は、結着樹脂、着色剤および離型剤からなり、必要であれば、シリカや帯電制御剤といった外添剤を添加することで作製される。トナー母粒子に使用される結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類等の単独重合体および共重合体、ジカルボン酸類とジオール類との共重合によるポリエステル樹脂等が挙げられる。また、他の結着樹脂として、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル樹脂等も挙げることができる。さらに、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等も挙げることができる。また、トナー母粒子に使用される着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を代表的なものとして例示することができる。トナー母粒子に使用される離型剤としては、低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロピィシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等を代表的なものとして例示することができる。また、トナー母粒子に使用される帯電制御剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤を用いることができる。湿式製法でトナーを製造する場合、イオン強度の制御と廃水汚染の低減の点で水に溶解しにくい素材を使用することが好ましい。また、トナーとしては、磁性材料を内包する磁性トナーおよび磁性材料を含有しない非磁性トナーのいずれであってもよい。
図1の画像形成装置1において使用されるトナーとしては、上記のトナー母粒子および上記の外添剤をヘンシェルミキサー又はVブレンダー等で混合することによって製造することができる。また、トナー母粒子を湿式にて製造する場合は、湿式にて外添することも可能である。
また、図1の画像形成装置1において使用されるトナーには滑性粒子が添加されてもよい。滑性粒子としては、グラファイト、二硫化モリブデン、滑石、脂肪酸、脂肪酸金属塩等の固体潤滑剤や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を有するシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪族アミド類やカルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツロウのような動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物、石油系ワックス、およびそれらの変性物が使用できる。これらは、1種を単独で、又は2種以上を併用して使用できる。但し、体積平均粒径としては0.1μm以上10μm以下の範囲が好ましく、上記化学構造のものを粉砕して、粒径をそろえてもよい。トナーへの添加量は望ましくは0.05質量%以上2.0質量%以下、より望ましくは0.1質量%以上1.5質量%以下の範囲である。
また、図1の画像形成装置1において使用されるトナーには、電子写真像保持体表面の付着物、劣化物除去の目的等で、無機粒子、有機粒子、該有機粒子に無機粒子を付着させた複合粒子等を加えることができる。ここで、無機粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化スズ、酸化テルル、酸化マンガン、酸化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の各種無機酸化物、窒化物、ホウ化物等が好適に使用される。また、上記無機粒子を、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネート等のチタンカップリング剤、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトエリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤等で処理を行ってもよい。また、シリコーンオイル、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩によって疎水化処理したものも好ましく使用される。
また、有機粒子としては、スチレン樹脂粒子、スチレンアクリル樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、ウレタン樹脂粒子等を挙げることができる。
図1の画像形成装置1において使用されるトナーに加えられる粒子の粒子径は、体積平均平均粒子径で望ましくは5nm以上1000nm以下、より望ましくは5nm以上800nm以下、さらに望ましくは5nm以上700nm以下である。体積平均粒子径が、上記下限値未満であると、研磨能力に欠ける傾向があり、他方、上記上限値を超えると、電子写真像保持体表面に傷を発生しやすくなる傾向がある。また、上述した粒子と滑性粒子との添加量の和が0.6質量%以上であることが好ましい。
また、図1の画像形成装置1において使用されるトナーには、以上の他にも、粉体流動性、帯電制御等のための1次粒径が40nm以下の小径無機酸化物や、付着力低減や帯電制御のための1次粒径が40nmより大きい大径の無機酸化物を添加することが好ましい。これらの無機酸化物粒子は公知のものを使用できるが、精密な帯電制御を行なう為にはシリカと酸化チタンを併用することが好ましい。また、小径無機粒子については表面処理することにより、分散性が高くなり、粉体流動性を上げる効果が大きくなる。さらに、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩や、ハイドロタルサイト等の無機鉱物を添加することも放電精製物を除去するために好ましい。
また、図1の画像形成装置1においてトナーを運ぶためのキャリアとしては、鉄粉、ガラスビーズ、フェライト粉、ニッケル粉又はそれ等の表面に樹脂塗布を施したものが使用される。また、キャリアとの混合割合は、適宜設定することができる。
以上が、図1の画像形成装置1、および図1の画像形成装置1を構成する各構成要素の説明である。
なお、本発明のプロセスカートリッジおよび画像形成装置では、図5に示す層構造とは異なる層構造を有する像保持体が採用されてもよい。以下では、このような像保持体について説明する。
図6〜図9は、図5に示す像保持体の変形例である像保持体の層構造を表した図である。
図6〜図9においては、図5に示す像保持体61の構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明は省略する。
図6に示す像保持体6101は、図5に示す像保持体61において電荷発生層612と電荷輸送層613の位置が入れ替わった像保持体であり、図7に示す像保持体6102は、図5に示す像保持体61において下引層611が存在していない像保持体である。また、図8に示す像保持体6103は、図5に示す像保持体61において電荷発生層612と電荷輸送層613が一体となった感光層612’を備えた像保持体であり、この感光層612’が、図5に示す電荷発生層612の役割と電荷輸送層613の役割の両方を担っている。図9に示す像保持体6104は、図8に示す像保持体6103において下引層611が存在していない像保持体である。図8および図9に示す像保持体6103,6104の感光層612’においては、感光層612’は、上述した電荷発生材料と結着樹脂を含有して形成される。すなわち、電荷発生材料としては電荷発生層612に使用されるものと同様のものを用いることができ、結着樹脂としては電荷発生層612および電荷輸送層613に用いられる結着樹脂と同様のものを用いることができる。感光層612’中の電荷発生材料の含有量は、電荷発生層612における固形分全量を基準として望ましくは10質量%以上85質量%以下、より望ましくは20質量%以上50質量%以下である。感光層612’には、光電特性を改善する等の目的で電荷輸送材料や高分子電荷輸送材料を添加してもよい。その添加量は単層型感光層における固形分全量を基準として5質量%以上50質量%以下とすることが好ましい。また、塗布に用いる溶剤や塗布方法は、上記各層と同様のものを用いることができる。感光層612’の厚さは、5μm以上50μm以下が好ましく、10μm以上40μm以下であることがさらに好ましい。
また、この感光層612’には、画像形成装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、又は光、熱による像保持体の劣化を防止する目的で、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等の添加剤を添加することができる。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノンおよびそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等が挙げられる。光安定剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジン等の誘導体が挙げられる。また、感光層612’には、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として、少なくとも1種の電子受容性物質を含有させることができる。電子受容物質としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等を挙げることができる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系や、Cl、CN、NO2等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に望ましい。
像保持体の層構造としては、図5〜図7に示す像保持体61,6101,6102のように、電荷発生層612の役割と電荷輸送層613とに機能分離がされている像保持体の方が、電荷発生層612と電荷輸送層613が一体となった感光層612’を備えた像保持体に比べ、これら2つの層がそれぞれの機能に特化することで高機能な像保持体となり、より好ましい像保持体である。
図6〜図9に示す像保持体を、図1に示す画像形成装置1および画像形成装置1内の各色用のプロセスカートリッジ100K,100Y,100M,100Cにおける像保持体61の代わりに採用することで、本発明の画像形成装置およびプロセスカートリッジの他の実施形態が実現する。像保持体が異なる点を除けば、これらの実施形態における画像形成装置およびプロセスカートリッジは、図1に示す画像形成装置1および画像形成装置1内の各色用のプロセスカートリッジと同じであり、ここではその説明は省略する。
以上説明した画像形成装置では、図1に示すように、タンデム方式が採用されていたが本発明の画像形成装置では、ロータリー方式が採用されてもよい。以下では、ロータリー方式を採用した本発明の画像形成装置の別の実施形態について説明する。
図10は、本発明の画像形成装置の別の実施形態に相当するロータリー方式の画像形成装置の概略構成を示す図である。
図10に示す画像形成装置1000’は、ロータリー方式を採用したカラープリンタである。図10においては、図1に示す画像形成装置1000の構成要素と同じ構成要素については同一の符号が付されている。この画像形成装置1000’には、像保持体61および中間転写ベルト5’が備えられている。像保持体61は、上述したように、図1の像保持体61K,61C、61M,61Y(すなわち、図2および図5の像保持体61)と同じ像保持体であり、画像形成時には図の矢印X方向に回転する。中間転写ベルト5’は、バックアップロール60a,60b,60cに張架された無端状のベルト部材であり、画像形成時には、像保持体61に従動して図の矢印Y方向に循環移動する。また、中間転写ベルト5’を挟んで像保持体61と対向する位置に1次転写ロール40aが配設されており、さらにその下方(図の下側)には、2次転写ロール40bが設けられている。これらは、それぞれ1次転写バイアス電圧印加部41a,2次転写バイアス電圧印加部41bからバイアス電圧の印加を受けている。
像保持体61の周囲には、現像ロータリー64’、帯電装置65、露光部7、クリーニング装置62が配設されている。図10に示す帯電装置65は、像保持体61に接触しながら像保持体を帯電する接触型の帯電装置であり、図1の画像形成装置1000が有する帯電装置65K,65C,65M,65Y(すなわち、図2および図3に示す帯電装置65)と同じ帯電装置である。現像ロータリー64’は、ブラック(BK)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の有色トナーをそれぞれ有する現像剤を収容した現像器641〜644が周方向に沿って配置された回転式の複合現像器であり、現像ロータリー64’の回転により、像保持体61に近接して現像を行う現像器を切り換えることができる。各有色トナーは負極に帯電する帯電特性を有するものであり、各有色トナーには、潤滑剤や転写助剤やクリーニング助剤といったトナー粒子よりも小さな外添剤粒子が添加されている。露光部7は、像保持体61の表面に向けてレーザ光を照射する役目を担い、クリーニング装置62は、像保持体61上のトナーを除去する役目を担っている。
次に、この画像形成装置1000’における画像形成の動作について説明する。
この画像形成装置1000’では、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの4色の画像信号を有する、1つ以上の画像を表した画像情報の入力を受けて画像形成を行う。これらの画像信号が入力されると、像保持体61が回転を開始し、この回転する像保持体61の表面を、帯電装置65が帯電する。そして、入力された4色の画像信号のうち、まずシアンの画像信号に応じたレーザ光が露光部7から像保持体61に向けて照射され、この照射によって像保持体61表面に、周囲より電位の高くなった静電潜像が形成される。また、現像ロータリー64’の回転により、シアントナーを収納した現像器644が像保持体61に近接して、静電潜像をシアントナーで現像する。この静電潜像の現像の際には、シアントナーを収納した現像器644が、不図示の現像バイアス印加部によりバイアス電圧の印加を受けて、その電位が、静電潜像の電位よりも低く像保持体61の電位よりは高い電位となる。このため、現像器644のシアントナーは、静電潜像とシアントナーを収納した現像器644との間の電位差により、現像器644を離れて静電潜像に付着して静電潜像が現像され、像保持体61上にシアン現像像が形成される。
次いで、形成されたシアン現像像は、1次転写ロール40aによって、像保持体61から中間転写ベルト5’に1次転写され、中間転写ベルト5’上にシアン転写像が形成される。この1次転写の際には、1次転写ロール40aの電位が、シアン現像像が位置する像保持体61上の電位よりも高い電位となるよう、1次転写ロール40aに対して1次転写バイアス電圧印加部41aがバイアス電圧の印加を行うことで、上記の1次転写が実現する。
像保持体61の上には、1次転写されずに残った残留トナーや外添剤粒子などの残留物が存在するが、これらの残留物は、クリーニング装置62によって像保持体61から除去される。
クリーニング装置62による残留物の除去が行われた後、再び、像保持体61の表面が、帯電装置65により一様に帯電され、現像ロータリー64’の回転により、今度はマゼンタトナーを収納した現像器643が像保持体61に近接し、上述のシアン現像像の形成と同様にしてマゼンタ現像像が形成される。このマゼンタ現像像の形成は、中間転写ベルト5’の上のシアン転写像が1次転写後にバックアップロール60a,60b,60cを通過して1次転写ロール40aの位置に戻ってきたときに、形成されたマゼンタ現像像がシアン転写像の上に重ねて1次転写されるように、タイミングを合わせて行われる。マゼンタ現像像がシアン転写像の上に重ねて1次転写されてマゼンタ転写像が形成された後、イエロー現像像,ブラック現像像についても同様にして形成されて、マゼンタ転写像およびシアン転写像に重ねて1次転写される。この結果、中間転写ベルト5’には、シアン,マゼンタ,イエロー,ブラックの各色の1次転写像が1つに重なり合った多色1次転写像が形成される。
続いて、この多色1次転写像は、2次転写ロール40bとバックアップロール60cとで挟まれた位置において、トレイ1から給紙ロール3’によって送り出されてきた用紙上に2次転写され、2次転写像が形成される。この2次転写の際には、2次転写ロール40bの電位が、多色1次転写像が位置する中間転写ベルト5’上の電位よりも高い電位となるよう、2次転写ロール40bに対して2次転写バイアス電圧印加部41bがバイアス電圧の印加を行うことで、上記の2次転写が実現する。
多色1次転写像の2次転写を受けた用紙は、図10において2次転写ロール40bの右方向に離れた位置に備えられている定着器10により、熱および圧力を加えられて2次転写像の定着処理が施される。そして、定着処理が施された用紙は、矢印で示すように画像形成装置の右方向に出力される。
図10の画像形成装置1000’においても、図2および図3に示す帯電装置65を備えることで、帯電装置65が有する帯電部材20(図2および図3参照)は、クリーニング部材21(図2および図3参照)によりなめらかにクリーニングされ、クリーニング部材21の振動による画質欠陥は回避される。この結果、図10の画像形成装置1000’においても良好な画像形成が可能となっている。帯電装置65、および帯電装置65に備えられたクリーニング部材21については、図2〜図4およびこれらの図の説明を参照することとしてここではその説明は省略する。
以上説明した画像形成装置1000,1000’は、カラーの画像形成装置であったが、本発明の画像形成装置は、モノクロの画像形成装置であってもよい。以下では、本発明の画像形成装置のさらに別の実施形態であるモノクロの画像形成装置、およびこのモノクロの画像形成装置に採用されるとともに、本発明のプロセスカートリッジの別の実施形態にも相当するプロセスカートリッジについて説明する。
図11は、本発明の画像形成装置のさらに別の実施形態に相当するモノクロの画像形成装置の概略構成を示す図である。
図11に示す画像形成装置1000’’は、電子写真方式を採用したモノクロの片面出力プリンタである。図11においては、図1に示す画像形成装置1000の構成要素と同じ構成要素については同一の符号が付されている。図11の画像形成装置1000’’は、図の矢印Z方向に回転する像保持体61と、像保持体61に接触しながら回転することで像保持体61を帯電する帯電装置65とを備えている。これら像保持体61および帯電装置65は、図1の画像形成装置1000の像保持体61K,61C、61M,61Y(すなわち、図2および図5の像保持体61)および帯電装置65K,65C,65M,65Y(すなわち、図2および図3に示す帯電装置65)と同じものである。また、この画像形成装置1000’’には、像保持体61に向けてレーザ光を発し、像保持体61上に、周囲より電位の高くなった静電潜像を形成する露光部7、静電潜像にモノクロ(黒)のトナーを付着させて現像することで現像像を形成する現像器64、現像像が形成された像保持体61に、搬送されてくる用紙を押圧することで現像像の転写を行う転写ロール50、用紙上に転写された転写像に対し熱および圧力を加えることで転写像の用紙への定着を行う定着器10、像保持体61に接触し、現像像の転写後に像保持体61に付着したまま残留したトナーや外添剤粒子などの残留物を除去するクリーニング装置62も備えられている。この画像形成装置1000’’では、上記の、帯電装置65および像保持体61は、いずれも図11に垂直な方向に延びたロール状であってこれらのロールの両端は、いずれも支持部材100aに、ロールが回転可能な様態で支持されている。また、この支持部材100aには、上記の、クリーニング装置62および現像器64も接続されており、このように帯電装置65、像保持体61、クリーニング装置62、および現像器64が支持部材100aに一体化されることで、プロセスカートリッジ100’が構成されている。画像形成装置1000’’にこのプロセスカートリッジ100’が組み込まれることにより、これらのプロセスカートリッジ100’の構成要素である各部が画像形成装置1000’’に備えられることとなる。このプロセスカートリッジ100’が、本発明のプロセスカートリッジの一実施形態に相当する。
この画像形成装置1000’’には、ブラックのトナーが蓄えられた不図示のトナーカートリッジが備えられており、このトナーカートリッジにより現像器64にトナーの補給が行われる。また、現像像が転写されるために用いられる用紙は、トレイ1の中に蓄えられており、ユーザから画像形成が指示されるとトレイ1から搬送されて、転写ロール50において現像像の転写が行われた後、図の左方向に向かって搬送されていく。図11においては、この時の用紙搬送路が、左向きの矢印で示す経路として示されており、用紙はこの用紙搬送路を通って定着器10において、用紙上に転写された転写像の定着が行われた後、左方向に排出される。
図11の画像形成装置1000’においても、図2および図3に示す帯電装置65を備えることで、帯電装置65が有する帯電部材20(図2および図3参照)は、クリーニング部材21(図2および図3参照)によりなめらかにクリーニングされ、クリーニング部材21の振動による画質欠陥は回避される。この結果、図11の画像形成装置1000’’においても良好な画像形成が可能となっている。帯電装置65、および帯電装置65に備えられたクリーニング部材21については、図2〜図4およびこれらの図の説明を参照することとしてここではその説明は省略する。
以下では、以上説明した帯電装置を画像形成装置に備えることで、帯電装置の帯電性能の不安定化や帯電装置の振動によって発生する画質欠陥が抑えられることを、具体的な実施例および比較例に基づいて説明する。
(実施例1)
実施例1の画像形成装置は、図1に示す画像形成装置1000において、帯電装置65が有する帯電部材20およびクリーニング部材21として以下に述べる帯電部材およびクリーニング部材を採用し、像保持体61の代わりに、保護層614が存在しない点を除き像保持体61と同一の像保持体を採用した画像形成装置である。
−クリーニング部材−
実施例1で用いられるクリーニング部材は、発泡ポリウレタン材料である、イノアックコーポレーション社製「RR80」がロール形状に加工されてなるクリーニングロール本体と、外径φ5mmで長さ230mmのステンレス製(SUS303)のクリーニングロールシャフトとを備えている。このクリーニングロール本体は、クリーニングロールシャフトの両端5mmの部分を除きクリーニングロールシャフト周面に、ホットメルト接着剤により貼り付けられており、クリーニングロール本体の外径φは9mmである。また、このクリーニングロール本体表面の平均的な孔の直径(セル径)は500μmである。このクリーニングロール本体表面に、以下に説明する方法により被覆膜を形成し、クリーニング部材を完成させた。
まず、被覆膜本体の樹脂としてポリウレタン樹脂(バイヒドールXP2429:住友バイエルウレタン社製)100質量部、架橋剤としてイソシアネート樹脂(バイヒジュール3100:住友バイエルウレタン社製)30質量部、導電性粒子としてカーボンブラック4質量部を含むカーボンブラック分散体(EP510BLACK:大日精化社製)10質量部とを配合して被覆膜用の塗布液を作製した。
次に、上記の、クリーニングロールシャフトに貼り付けられたクリーニングロール本体を、この塗布液が収容されている容器中に入れ、クリーニングロール本体内部から出てくる空気の泡が無くなるまで超音波処理を行った。
そして、表面に塗布液が塗布されたクリーニングロール本体およびクリーニングロールシャフトを上記の容器から引き上げて、上述の「架橋剤ハンドブック」(山下晋三・金子東助著,大成社,1981年出版)に記載されている方式に従って150℃に設定された乾燥機中に30分間入れることにより、架橋構造を持つよう化学反応を起こさせた。上述した方法で架橋度を測定したところ、架橋度は88%であった。
実施例1で用いられるクリーニング部材について、被覆膜本体の樹脂、被覆膜の架橋剤の種類と量、被覆膜中のカーボンブラック分散体の量、被覆膜における架橋度、およびクリーニング部材のセル径と形状を下記表2に示す。
−帯電部材−
実施例1で用いられる帯電部材は、外径φ8mmで長さ240mmのシャフト(Ni無電解メッキ処理SUM)の周面を、帯電ロールが覆った構成を備えている。この帯電ロールは、上記のシャフトの上に、フェノール系の導電性接着剤で貼り付けられている。この帯電ロールは、弾性層および表面層からなり、これらの層の組成および厚さは、下記表3の配合量Cの欄に記載されている通りである。ここで、この帯電ロールの弾性層が、図3の弾性層201の役割を兼ねており、この帯電ロールの表面層が、図3の抵抗層202および表面層20の2つの層の役割を兼ねている。また、表2においても、実施例1で用いられる帯電ロールが、配合量Cの欄に記載されている組成および層の厚さを有することが記載されている。
−像保持体−
実施例1で用いられる像保持体は、下記の方法によって製造された像保持体である。
まず、ホーニング処理を施した外径Φ84mmの円筒状アルミニウム基材を準備した。
次に、ジルコニウム化合物(商品名:オルガチックスZC540、マツモト製薬社製)を100質量部、シラン化合物(商品名:A1100、日本ユニカー社製)を10質量部、イソプロパノールを400質量部、及びブタノールを200質量部を混合し、下引層形成用塗布液を得た。この塗布液をアルミニウム基材上に浸漬塗布し、150℃で10分間加熱乾燥し、厚さ0.1μmの下引層を形成した。
次に、CuKα特性X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が、7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に強い回折ピークを持つヒドロキシガリウムフタロシアニンを1質量部、ポリビニルブチラール(エスレックBM−S、積水化学社製)を1質量部、及び酢酸n−ブチルを100質量部を混合し、さらにガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時間処理して分散し、電荷発生層形成用塗布液を得た。この塗布液を下引層上に浸漬塗布し100℃で10分間加熱乾燥し、厚さ約0.15μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記式(VII)で示される電荷輸送材料2質量部、上記式(VIII)で示される構造単位を有する高分子化合物(粘度平均分子量50,000)3質量部、及びクロロベンゼン20質量部を混合し、電荷輸送層形成用塗布液を得た。得られた電荷輸送層形成用塗布液を、上記電荷発生層上に浸漬塗布法で塗布して110℃で40分加熱し、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。このようにして、ホーニング処理が施されたアルミニウム基材上に、下引層、電荷発生層及び電荷輸送層が形成された像保持体が作製された。
この実施例1の画像形成装置を用いて、所定のモノクロのハーフトーン画像を用紙10万枚に連続出力を行う出力テストを行った。なお、この出力テストにおいては像保持体の帯電は、帯電電圧の大きさが800Vの直流電圧方式を採用した。
連続出力開始時に出力された画像と、連続出力終了時に出力された画像とにおいて、目視で画像乱れの程度をチェックした。画像乱れは、帯電装置の帯電性能が不安定化したときや、帯電装置が振動しているときによく発生する画質欠陥である。このため、画像乱れによる画質への影響をチェックすることで、帯電部材をクリーニングするクリ−ニング部材のクリーニング性や、帯電装置の振動の程度が調べられる。特に、連続出力終了時では、像保持体の帯電が繰り返し行われたためにクリーニング部材内の研磨粉といった異物が摩擦帯電して帯電部材表面に付着しやすく、帯電部材の帯電性能を低下させる原因になりやすい。
画質の評価は、下記のカテゴリーに分けて行った。
◎:画像乱れが全く発生していない。
○:画質上全く問題にならない程度のきわめて微小な画像乱れが発生している。
△:画質上大きな問題とはならない程度の画像乱れが発生している
×:画質上問題となる程度の画像乱れが発生している。
××:画質上きわめて大きな問題となる程度の画像乱れが発生している。
実施例1の画像形成装置による、上記の出力テストの結果を表2に示す。
(実施例2)
実施例2の画像形成装置は、クリーニング部材の被覆膜の構成が異なる点を除き、実施例1の画像形成装置と同一の画像形成装置である。この実施例2のクリーニング部材の被覆膜が実施例1の被覆膜と異なる点は、被覆膜本体の樹脂としてポリエステル樹脂(MD1400:東洋紡社製)100質量部が採用されて被覆膜の架橋度が92%となっている点であり、その他の点については、実施例1の被覆膜と同じである。
実施例2で用いられる帯電装置について、被覆膜本体の樹脂、被覆膜の架橋剤の種類と量、被覆膜中のカーボンブラック分散体の量、被覆膜における架橋度、クリーニング部材のセル径と形状、および帯電ロールの種類(表3参照)を表2に示す。
この実施例2の画像形成装置を用いて実施例1で行ったのと同じ出力テストを行った。実施例2の画像形成装置による、上記の出力テストの結果を表2に示す。
(実施例3)
実施例3の画像形成装置は、クリーニング部材の被覆膜の構成が異なる点を除き、実施例1の画像形成装置と同一の画像形成装置である。この実施例3のクリーニング部材の被覆膜が実施例1の被覆膜と異なる点は、被覆膜本体の樹脂としてアクリル樹脂(バイヒドールVPLS2058:住友バイエルウレタン社製)100質量部が採用されて被覆膜の架橋度が86%となっている点であり、その他の点については、実施例1の被覆膜と同じである。
実施例3で用いられる帯電装置について、被覆膜本体の樹脂、被覆膜の架橋剤の種類と量、被覆膜中のカーボンブラック分散体の量、被覆膜における架橋度、クリーニング部材のセル径と形状、および帯電ロールの種類(表3参照)を表2に示す。
この実施例3の画像形成装置を用いて実施例1で行ったのと同じ出力テストを行った。実施例3の画像形成装置による、上記の出力テストの結果を表2に示す。
(実施例4)
実施例4の画像形成装置は、クリーニング部材の被覆膜の構成が異なる点を除き、実施例1の画像形成装置と同一の画像形成装置である。この実施例4のクリーニング部材の被覆膜が実施例1の被覆膜と異なる点は、被覆膜本体の樹脂としてエポキシ樹脂(EM−101−50:ADEKA社製)100質量部が採用されて被覆膜の架橋度が79%となっている点であり、その他の点については、実施例1の被覆膜と同じである。
実施例4で用いられる帯電装置について、被覆膜本体の樹脂、被覆膜の架橋剤の種類と量、被覆膜中のカーボンブラック分散体の量、被覆膜における架橋度、クリーニング部材のセル径と形状、および帯電ロールの種類(表3参照)を表2に示す。
この実施例4の画像形成装置を用いて実施例1で行ったのと同じ出力テストを行った。実施例4の画像形成装置による、上記の出力テストの結果を表2に示す。
(実施例5)
実施例5の画像形成装置は、クリーニング部材の被覆膜の構成が異なる点を除き、実施例1の画像形成装置と同一の画像形成装置である。この実施例5のクリーニング部材の被覆膜が実施例1の被覆膜と異なる点は、被覆膜本体の樹脂としてポリアミド樹脂(トレジンEF30T:ナガセケムテックス社製)100質量部が採用されており、被覆膜の架橋度が67%となっている点であり、その他の点については、実施例1の被覆膜と同じである。
実施例5で用いられる帯電装置について、被覆膜本体の樹脂、被覆膜の架橋剤の種類と量、被覆膜中のカーボンブラック分散体の量、被覆膜における架橋度、クリーニング部材のセル径と形状、および帯電ロールの種類(表3参照)を表2に示す。
この実施例5の画像形成装置を用いて実施例1で行ったのと同じ出力テストを行った。実施例5の画像形成装置による、上記の出力テストの結果を表2に示す。
(実施例6)
実施例6の画像形成装置は、クリーニング部材の形状が異なる点を除き、実施例1の画像形成装置と同一の画像形成装置である。この実施例6のクリーニング部材の形状は、パッド形状をしており、実施例6のクリーニング部材は、実施例1で上述した「RR80」(イノアックコーポレーション社製)が20mm×20mm×250mmのパッド形状に加工されてなるクリーニング部材本体の上に、実施例1と同一の被覆膜が形成されたものである。
実施例6で用いられる帯電装置について、被覆膜本体の樹脂、被覆膜の架橋剤の種類と量、被覆膜中のカーボンブラック分散体の量、被覆膜における架橋度、クリーニング部材のセル径と形状、および帯電ロールの種類(表3参照)を表2に示す。
この実施例6の画像形成装置を用いて実施例1で行ったのと同じ出力テストを行った。実施例6の画像形成装置による、上記の出力テストの結果を表2に示す。
(実施例7)
実施例7の画像形成装置は、帯電ロールの種類(表3参照)が異なる点を除き、実施例1の画像形成装置と同一の画像形成装置である。この実施例7の帯電ロールは弾性層および表面層からなり、これらの層の組成および厚さは、表3の配合量Bの欄に記載されている通りである。
実施例7で用いられる帯電装置について、被覆膜本体の樹脂、被覆膜の架橋剤の種類と量、被覆膜中のカーボンブラック分散体の量、被覆膜における架橋度、クリーニング部材のセル径と形状、および帯電ロールの種類(表3参照)を表2に示す。
この実施例7の画像形成装置を用いて実施例1で行ったのと同じ出力テストを行った。実施例7の画像形成装置による、上記の出力テストの結果を表2に示す。
(実施例8)
実施例8の画像形成装置は、帯電ロールの種類(表3参照)が異なる点を除き、実施例1の画像形成装置と同一の画像形成装置である。この実施例8の帯電ロールは弾性層および表面層からなり、これらの層の組成および厚さは、表3の配合量Aの欄に記載されている通りである。
実施例8で用いられる帯電装置について、被覆膜本体の樹脂、被覆膜の架橋剤の種類と量、被覆膜中のカーボンブラック分散体の量、被覆膜における架橋度、クリーニング部材のセル径と形状、および帯電ロールの種類(表3参照)を表2に示す。
この実施例8の画像形成装置を用いて実施例1で行ったのと同じ出力テストを行った。実施例8の画像形成装置による、上記の出力テストの結果を表2に示す。
なお、実施例8の画像形成装置において像保持体を、最外層にさらに保護層を設けた像保持体(図5参照)に代えた画像形成装置を用いて、同じ出力テストを行ったところ、実施例8の結果と全く同じ結果が得られた。ここで、この保護層を有する像保持体は、実施例1で説明した像保持体の製造方法に、以下の保護層を設ける工程がさらに追加された製造方法に従って製造されたものである。
レゾール型フェノール樹脂(PL−2211、群栄化学製)を7質量部、及びメチルフェニルポリシロキサン0.03質量部を準備し、これらをイソプロパノ−ル15質量部およびメチルエチルケトン5質量部の混合液中に溶解させて、保護層形成用塗布液を得た。この塗布液を浸漬塗布法で、電荷輸送層上に塗布し、130℃で40分乾燥させ、厚さ3μmの保護層を形成した。
(実施例9)
実施例9の画像形成装置は、クリーニング部材の被覆膜に含まれるカーボンブラックの分散体の量と、クリーニング部材のセル径が異なる点を除き、実施例1の画像形成装置と同一の画像形成装置である。この実施例9のクリーニング部材の被覆膜には、カーボンブラック分散体が0.2質量部含まれており、この点を除き、実施例9のクリーニング部材の被覆膜は、実施例1のクリーニング部材の被覆膜と同じである。また、実施例9のクリーニング部材は、実施例1における「RR80」(イノアックコーポレーション社製)の代わりに、発泡ポリウレタン材料である「RSC」(イノアックコーポレーション社製)がロール形状に加工されてなるクリーニングロール本体が採用されており、セル径が120μmとなっている。
実施例9で用いられる帯電装置について、被覆膜本体の樹脂、被覆膜の架橋剤の種類と量、被覆膜中のカーボンブラック分散体の量、被覆膜における架橋度、クリーニング部材のセル径と形状、および帯電ロールの種類(表3参照)を表2に示す。
この実施例9の画像形成装置を用いて実施例1で行ったのと同じ出力テストを行った。実施例9の画像形成装置による、上記の出力テストの結果を表2に示す。
(実施例10)
実施例10の画像形成装置は、クリーニング部材の被覆膜に含まれるカーボンブラックの分散体の量と、クリーニング部材のセル径が異なる点を除き、実施例1の画像形成装置と同一の画像形成装置である。この実施例10のクリーニング部材の被覆膜には、カーボンブラック分散体が0.2質量部含まれており、この点を除き、実施例9のクリーニング部材の被覆膜は、実施例1のクリーニング部材の被覆膜と同じである。また、実施例10のクリーニング部材は、下記のようにして製造されたセル径980μmのクリーニング部材である。
まず、ポリエーテルポリオール(サンニックスFA226;三洋化学工業社製)100質量部、シリコーン系製泡剤(SZ−1142;日本ユニカー社製)1質量部、発泡剤として水20質量部、触媒としてビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル(TOYOCAT−ET;東ソー社製)とオクチル酸錫(中京油脂社製)をそれぞれ0.2質量部ずつ、イソシアネート(TDI)(T−80;日本ポリウレタン社製)47質量部を、高速攪拌機を用いて25℃の温度下で10秒間混合した。次に、この混合液を金属製のトレーに移し発泡を行い、一晩室温で放置しウレタンフォーム(ウレタン発泡体)を得た。得られたウレタンフォームを、実施例1のクリーニングロール本体と同じ大きさに成形して実施例1のクリーニングロールシャフトと同一のクリーニングロールシャフトの周面にホットメルト接着剤により貼り付けた。そして、実施例1と同様にして被覆膜を形成した。
実施例10で用いられる帯電装置について、被覆膜本体の樹脂、被覆膜の架橋剤の種類と量、被覆膜中のカーボンブラック分散体の量、被覆膜における架橋度、クリーニング部材のセル径と形状、および帯電ロールの種類(表3参照)を表2に示す。
この実施例10の画像形成装置を用いて実施例1で行ったのと同じ出力テストを行った。実施例10の画像形成装置による、上記の出力テストの結果を表2に示す。
(実施例11)
実施例11の画像形成装置は、クリーニング部材の被覆膜に含まれるカーボンブラックの分散体の量が異なる点を除き、実施例1の画像形成装置と同一の画像形成装置である。この実施例11のクリーニング部材の被覆膜には、カーボンブラック分散体が0.2質量部含まれており、この点を除き、実施例9のクリーニング部材の被覆膜は、実施例1のクリーニング部材の被覆膜と同じである。
実施例11で用いられる帯電装置について、被覆膜本体の樹脂、被覆膜の架橋剤の種類と量、被覆膜中のカーボンブラック分散体の量、被覆膜における架橋度、クリーニング部材のセル径と形状、および帯電ロールの種類(表3参照)を表2に示す。
この実施例11の画像形成装置を用いて実施例1で行ったのと同じ出力テストを行った。実施例11の画像形成装置による、上記の出力テストの結果を表2に示す。
(実施例12)
実施例12の画像形成装置は、クリーニング部材の被覆膜の構成が異なる点を除き、実施例1の画像形成装置と同一の画像形成装置である。この実施例12のクリーニング部材の被覆膜が実施例1の被覆膜と異なる点は、被覆膜本体の樹脂としてエポキシ樹脂(EM−101−50:ADEKA社製)100質量部、架橋剤としてベンゾグアナミン樹脂(ニカラックBL−60:日本カーバイト社製)20質量部、被覆膜中のカーボンブラック分散体の量として0.2質量部が採用されて被覆膜の架橋度が79%となっている点であり、その他の点については、実施例1の被覆膜と同じである。
実施例12で用いられる帯電装置について、被覆膜本体の樹脂、被覆膜の架橋剤の種類と量、被覆膜中のカーボンブラック分散体の量、被覆膜における架橋度、クリーニング部材のセル径と形状、および帯電ロールの種類(表3参照)を表2に示す。
この実施例12の画像形成装置を用いて実施例1で行ったのと同じ出力テストを行った。実施例12の画像形成装置による、上記の出力テストの結果を表2に示す。
(実施例13)
実施例13の画像形成装置は、クリーニング部材の被覆膜の構成が異なる点を除き、実施例1の画像形成装置と同一の画像形成装置である。この実施例13のクリーニング部材の被覆膜が実施例1の被覆膜と異なる点は、被覆膜本体の樹脂としてポリアミド樹脂(トレジンEF30T:ナガセケムテックス社製)100質量部、架橋剤としてメラミン樹脂(ニカラックMW−30M:日本カーバイト社製)30質量部、被覆膜中のカーボンブラック分散体の量として0.2質量部が採用されて被覆膜の架橋度が67%となっている点であり、その他の点については、実施例1の被覆膜と同じである。
実施例13で用いられる帯電装置について、被覆膜本体の樹脂、被覆膜の架橋剤の種類と量、被覆膜中のカーボンブラック分散体の量、被覆膜における架橋度、クリーニング部材のセル径と形状、および帯電ロールの種類(表3参照)を表2に示す。
この実施例13の画像形成装置を用いて実施例1で行ったのと同じ出力テストを行った。実施例13の画像形成装置による、上記の出力テストの結果を表2に示す。
(実施例14)
実施例14の画像形成装置は、クリーニング部材の被覆膜の構成が異なる点を除き、実施例1の画像形成装置と同一の画像形成装置である。この実施例14のクリーニング部材の被覆膜が実施例1の被覆膜と異なる点は、被覆膜本体の樹脂としてアクリル樹脂(バイヒドールVPLS2058(住友バイエルウレタン社製)100質量部、架橋剤としてメラミン樹脂(ニカラックMW−30M:日本カーバイト社製)30質量部、被覆膜中のカーボンブラック分散体の量として0.2質量部が採用されて被覆膜の架橋度が86%となっている点であり、その他の点については、実施例1の被覆膜と同じである。
実施例14で用いられる帯電装置について、被覆膜本体の樹脂、被覆膜の架橋剤の種類と量、被覆膜中のカーボンブラック分散体の量、被覆膜における架橋度、クリーニング部材のセル径と形状、および帯電ロールの種類(表3参照)を表2に示す。
この実施例14の画像形成装置を用いて実施例1で行ったのと同じ出力テストを行った。実施例14の画像形成装置による、上記の出力テストの結果を表2に示す。
(実施例15)
実施例15の画像形成装置は、クリーニング部材の被覆膜の構成が異なる点を除き、実施例1の画像形成装置と同一の画像形成装置である。この実施例14のクリーニング部材の被覆膜が実施例1の被覆膜と異なる点は、被覆膜本体の樹脂としてポリエステル樹脂(MD1400:東洋紡社製)100質量部、架橋剤としてイソシアネート樹脂(バイヒジュール3100:住友バイエルウレタン)10質量部が採用されて被覆膜の架橋度が25%となっている点であり、その他の点については、実施例1の被覆膜と同じである。
実施例15で用いられる帯電装置について、被覆膜本体の樹脂、被覆膜の架橋剤の種類と量、被覆膜中のカーボンブラック分散体の量、被覆膜における架橋度、クリーニング部材のセル径と形状、および帯電ロールの種類(表3参照)を表2に示す。
この実施例15の画像形成装置を用いて実施例1で行ったのと同じ出力テストを行った。実施例15の画像形成装置による、上記の出力テストの結果を表2に示す。
(比較例1)
比較例1の画像形成装置は、クリーニング部材において被覆膜が存在しない点を除き、実施例1の画像形成装置と同一の画像形成装置である。
比較例1で用いられる帯電装置について、クリーニング部材のセル径と形状、および帯電ロールの種類(表3参照)を表2に示す。
この比較例1の画像形成装置を用いて実施例1で行ったのと同じ出力テストを行った。比較例1の画像形成装置による、上記の出力テストの結果を表2に示す。
(比較例2)
比較例2の画像形成装置は、クリーニング部材において被覆膜が存在しない点を除き、実施例9の画像形成装置と同一の画像形成装置である。
比較例2で用いられる帯電装置について、クリーニング部材のセル径と形状、および帯電ロールの種類(表3参照)を表2に示す。
この比較例2の画像形成装置を用いて実施例1で行ったのと同じ出力テストを行った。比較例2の画像形成装置による、上記の出力テストの結果を表2に示す。
(比較例3)
比較例3の画像形成装置は、クリーニング部材において被覆膜が存在しない点を除き、実施例10の画像形成装置と同一の画像形成装置である。
比較例3で用いられる帯電装置について、クリーニング部材のセル径と形状、および帯電ロールの種類(表3参照)を表2に示す。
この比較例3の画像形成装置を用いて実施例1で行ったのと同じ出力テストを行った。比較例3の画像形成装置による、上記の出力テストの結果を表2に示す。
(比較例4)
比較例4の画像形成装置は、クリーニング部材において被覆膜が存在しない点と、セル径が80μmのクリーニング部材が用いられている点を除き、実施例1の画像形成装置と同一の画像形成装置である。比較例4で用いられるクリーニング部材は、下記のようにして製造されたクリーニング部材である。
まず、ポリエーテルポリオール(サンニックスFA226;三洋化学工業社製)100質量部、シリコーン系製泡剤(SZ−1142;日本ユニカー社製)5質量部、発泡剤として水4質量部、触媒としてビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル(TOYOCAT−ET;東ソー社製)とオクチル酸錫(中京油脂社製)を0.2質量部ずつ、イソシアネート(TDI)(T−80;日本ポリウレタン社製)47質量部を、高速攪拌機を用いて25℃の温度下で10秒間混合した。次に、この混合液を金属製のトレーに移し発泡を行い、一晩室温で放置しウレタンフォーム(ウレタン発泡体)を得た。得られたウレタンフォームを、実施例1のクリーニングロール本体と同じ大きさに成形して実施例1のクリーニングロールシャフトと同一のクリーニングロールシャフトの周面にホットメルト接着剤により貼り付けた。
比較例4で用いられる帯電装置について、クリーニング部材のセル径と形状、および帯電ロールの種類(表3参照)を表2に示す。
この比較例4の画像形成装置を用いて実施例1で行ったのと同じ出力テストを行った。比較例4の画像形成装置による、上記の出力テストの結果を表2に示す。
《結果の考察》
クリーニング部材における被覆膜の有無を除けば、他の条件は同一の実施例1と比較例1とを比べると、被覆膜が存在しない比較例1では、連続出力終了時において画質上問題となる程度の画像乱れが発生している(評価は×)のに対し、被覆膜が存在する実施例1では、連続出力終了時において画像乱れが全く発生していない(評価は◎)。同様に、クリーニング部材における被覆膜の有無を除けば、他の条件は同一の実施例9と比較例2とを比べると、被覆膜が存在しない比較例2では、連続出力終了時において画質上きわめて大きな問題となる程度の画像乱れが発生している(評価は××)のに対し、被覆膜が存在する実施例9では、連続出力終了時において画像乱れが全く発生していない(評価は◎)。同様に、クリーニング部材における被覆膜の有無を除けば、他の条件は同一の実施例10と比較例3とを比べると、被覆膜が存在しない比較例3では、連続出力時開始時および連続出力終了時の両方において画質上きわめて大きな問題となる程度の画像乱れが発生している(評価は××)のに対し、被覆膜が存在する実施例10では、連続出力時開始時では画像乱れが全く発生しておらず(評価は◎)、連続出力終了時でも微小な画像乱れが発生している程度に留まっている(評価は○)。以上の実施例1と比較例1との比較、実施例9と比較例2との比較、および実施例10と比較例3との比較から、実施例1、実施例9,実施例10のように被覆膜を設けることで、帯電装置の振動を抑えつつ、クリ−ニング部材のクリーニング性を向上させることができるということがわかる。
次に、被覆膜本体の樹脂の種類だけが互い異なり、このため架橋度が互いに異なる実施例1,実施例2,実施例3,実施例4,実施例5の結果を考察すると、これらの実施例ではいずれも架橋度65%以上に達しており、連続出力時開始時および連続出力終了時の両方において画像乱れが全く発生していない(評価は◎)という結果が得られている。一方、架橋剤の樹脂の種類だけが互い異なり、このため架橋度が互いに異なる実施例2と実施例15とを比較すると、架橋度が25%であって架橋度が65%を下回っている実施例15では連続出力終了時において微小な画像乱れが発生している(評価は○)のに対し、架橋度が92%の実施例2では連続出力終了時においても画像乱れが全く発生していない(評価は◎)。これら異なる実施例1,実施例2,実施例3,実施例4,実施例5、および実施例15の結果から架橋度としては65%以上あることが望ましいということがわかる。
また、クリ−ニング部材のセル径だけが互いに異なる実施例9,実施例10、および実施例11の間で比較を行うと、セル径が980μmの実施例10では連続出力終了時において微小な画像乱れが発生している(評価は○)のに対し、セル径が120μmの実施例9およびセル径が500μmの実施例11では連続出力終了時においても画像乱れが全く発生していない(評価は◎)。また、クリ−ニング部材のセル径だけが互いに異なる比較例1,比較例2、および比較例4の間で比較を行うと、セル径が80μmの比較例4では連続出力開始時においてすでに画質上問題となる程度の画像乱れが発生している(評価は×)のに対し、セル径が120μmの比較例2およびセル径が500μmの比較例1では連続出力開始時において画像乱れが全く発生していない(評価は◎)。以上の実施例9,実施例10、および実施例11の間での比較、および、比較例1,比較例2、および比較例4の間での比較から、クリ−ニング部材のセル径としては100μm以上1.0mm以下であることが、クリーニング性の観点から望ましいということがわかる。
次に、クリ−ニング部材の形状だけが互いに異なる実施例1と実施例6とを比較すると、クリ−ニング部材の形状がパッド状の実施例6では連続出力終了時において微小な画像乱れが発生している(評価は○)のに対し、クリ−ニング部材の形状がロール状の実施例1では連続出力終了時においても画像乱れが全く発生していない(評価は◎)。このことからクリ−ニング部材の形状としてはロール状であることが、クリーニング性の観点から望ましいということがわかる。
次に、架橋度は79%で同じであるがカーボンブラックの分散体の量が互いに異なる実施例4と実施例12とを比較すると、カーボンブラックの分散体の量が0.2質量部と小さい実施例12では連続出力終了時において微小な画像乱れが発生している(評価は○)のに対し、カーボンブラックの分散体の量が10質量部の実施例4では連続出力終了時においても画像乱れが全く発生していない(評価は◎)。同様に、架橋度は67%で同じであるがカーボンブラックの分散体の量が互いに異なる実施例5と実施例13とを比較すると、カーボンブラックの分散体の量が0.2質量部と小さい実施例13では連続出力終了時において微小な画像乱れが発生している(評価は○)のに対し、カーボンブラックの分散体の量が10質量部の実施例5では連続出力終了時においても画像乱れが全く発生していない(評価は◎)。同様に、架橋度は86%で同じであるがカーボンブラックの分散体の量が互いに異なる実施例3と実施例14とを比較すると、カーボンブラックの分散体の量が0.2質量部と小さい実施例14では連続出力終了時において微小な画像乱れが発生している(評価は○)のに対し、カーボンブラックの分散体の量が10質量部の実施例3では連続出力終了時においても画像乱れが全く発生していない(評価は◎)。以上の実施例4と実施例12との比較、実施例5と実施例13との比較、および実施例3と実施例14との比較から、導電性粒子の量としては、カーボンブラック4質量部およびカーボンブラック分散体10質量部以上であると、研磨粉といった異物の摩擦帯電を抑制する効果が高いということがわかる。
以上の考察をまとめると、被覆膜を設けることで、帯電装置の振動を抑えつつ、クリ−ニング部材のクリーニング性を向上させることができるということが結論できる。特に、被覆膜の架橋度が65%以上であり、セル径が100μm以上1.0mm以下であって、さらにロール状のクリ−ニング部材を採用することによって高いクリーニング性が実現されるということも結論される。また、被覆膜に十分な量のカーボンブラック(カーボンブラック4質量部およびカーボンブラック分散体10質量部以上)が存在すると研磨粉といった異物の摩擦帯電を抑制する効果が高いということがわかる。
以上が本発明の実施形態の説明である。
なお、以上の説明では、画像形成装置は用紙の片面に画像を出力するものであったが、本発明の画像形成装置は、用紙の両面に画像を出力するものであってもよい。