本発明の実施の形態について以下に説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体表面に接触しながら該像保持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記像保持体に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記像保持体に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を被転写体に転写する転写手段と、トナー像を転写した後の前記像保持体の表面に残存するトナーを除去するトナー除去手段と、を備え、前記帯電手段が、表面粗さRzが2μm以上20μm以下の範囲である最表面層を有する帯電ロールを備え、前記トナーが、潤滑剤が外添付着しているトナーであることを特徴とする。
感光体(像保持体)の長寿命化を達成するためには、帯電ロールの経時汚染(主にトナーおよび外添剤)を抑制することと、感光体の膜磨耗を抑制することを両面で達成する必要がある。
帯電ロールの経時汚染を抑制するためには、クリーニング装置の適用、表面材質からの改善、表面の粗面化などのアプローチが既に提案されている。これらの施策は、感光体の磨耗を抑制するために、軟質の潤滑剤を供給しない場合においては、帯電ロールの汚染を抑制するという効果が発揮されるが、帯電ロールによる放電ストレス、放電生成物により、感光体の表面摩擦抵抗が増加することにより、感光体の膜磨耗が顕著で感光体の長寿命化が実現されない。
一方、感光体の膜磨耗を抑制するために、感光体に対して潤滑剤を供給することにより、帯電時に生じる感光体表面の摩擦抵抗の増加が抑制される。よって感光体の膜磨耗が抑制される。この潤滑剤は、一般的に軟質であり、感光体上に供給され、効果が発揮される。潤滑剤の供給方法としては、トナーに含有させて供給することにより、新たな装置を付加させることなく構成上、及びコスト上有利となる。ただし、長期にわたり経時使用した場合に、潤滑剤の帯電ロールへの付着ムラが発生し、帯電ロールの抵抗がムラになってしまい、画像ムラが発生し、感光体の長寿命化が実現されない。
上記の問題を解決するためには、トナーや無機外添剤(シリカやチタン)の帯電ロールへの付着を抑制しつつ、完全には除去しにくい潤滑剤の付着に対しても、画像欠陥を起こさない構成にすることが考えられる。
本実施形態に係る画像形成装置は、前記帯電手段が、表面粗さRzが2μm以上20μm以下の範囲である最表面層を有する帯電ロールとし、更に、前記トナーが、潤滑剤が外添付着しているトナーとすることにより、帯電するときに生じる感光体表面の摩擦抵抗増加が抑制され、更に、長期にわたり経時使用した場合においても、潤滑剤の帯電ロールへの付着ムラが抑制され、帯電ロールの抵抗がムラになることによる画像ムラが発生することが抑制される。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す模式図である。図1に示す画像形成装置100は、画像形成装置本体(図示せず)に、少なくとも帯電装置(帯電手段)21を備えるプロセスカートリッジ20と、静電潜像形成手段としての露光装置30と、転写手段としての転写装置40と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置30はプロセスカートリッジ20の開口部から電子写真感光体1(像保持体)に露光される位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体1に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体1に接する位置に配置されている。
プロセスカートリッジ20は、ケース内に電子写真感光体(像保持体)1とともに、帯電装置21、現像手段としての現像装置25、クリーニング装置(トナー除去手段)27および繊維状部材(平ブラシ状)29を、取り付けレールにより組み合わせて一体化したものである。なお、ケースには、露光のための開口部が設けられている。そして、帯電装置(帯電手段)21が、帯電ロール12とクリーニングロール10とにより構成されている。
ここで、クリーニングロール10は、次の条件で帯電ロール12に接して配設されることが好ましい。図11に示すように、帯電ロール12、クリーニングロール10、および電子写真感光体1の各軸と直交した断面において、帯電ロール12の軸点を通り重力方向に対して平行な線(図11における点線)と帯電ロール12の外周とが交差する位置のうち、帯電ロール12の軸点よりも重力方向上方側の位置をαとし、帯電ロール12と電子写真感光体1との接触位置をβとしたとき、クリーニングロール10は、当該クリーニングロール10と帯電ロール12との接触部γが、帯電ロール12の軸点よりも電子写真感光体1の配設位置側で位置αと位置βとで挟まれる帯電ロール12の外周T以外に位置するように配設することが好ましい。
このようにクリーニングロール10を配設することで、クリーニングロール10から脱落した異物が帯電ロール12および電子写真感光体1の上に落下することが防止される。このため、当該異物による電子写真感光体1への帯電不良が抑制されるので、画質上の色点発生が防止され、長期にわたり画質不良を防止する。
<帯電手段>
本実施形態における帯電手段は、表面の十点平均表面粗さRzが2μm以上20μm以下の範囲である帯電ロールを備える。以下、本実施形態における帯電手段を構成要素ごとに説明する。
(帯電ロール)
先ず、本実施形態における帯電ロールについて説明する。本実施形態における帯電ロールは、画像形成装置に備えられる像保持体の表面を帯電させる帯電部材であり、基材と、基材上に設けられ、かつ像保持体に接触する最表面層とを有することが好ましい。
また、帯電ロールは、基材と、基材上に設けられた最表面層とを少なくとも有するものが好ましく、その層構成は特に限定されず、基材上に直接最表面層を設けてもよく、基材と最表面層とにはさまれる弾性層など、1層以上の中間層を設けてもよい。
なお、本実施形態における帯電ロールは、基材表面に弾性層と、最表面層とをこの順に設けた層構成を有する帯電ロールであることが好ましい。
以下、本実施形態における帯電ロールについてより詳細に説明する。
[基材]
基材(支持体)は、帯電ロールの電極および支持部材として機能するもので、例えば、アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼などの金属または合金;クロム、ニッケルなど鍍金処理を施した鉄;導電性の樹脂などの導電性の材質で構成されたものを用いればよい。尚、本実施形態において、導電性とは、25℃における体積抵抗率が1×105Ωcm以下である場合をいう。また、後記半導電性とは、25℃における体積抵抗率が1×107Ωcm以上1×1013Ωcm以下である場合をいい、絶縁性とは、25℃における体積抵抗率が1×1014Ωcm以上である場合をいう。
[弾性層]
弾性層は、例えばゴム材中に導電剤を分散させることによって好ましく形成される。ゴム材としては、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ブチルゴム、ポリウレタン、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、天然ゴムなど、およびこれらのブレンドゴムなどが挙げられる。尚、本実施形態において、弾性層とはゴム状弾性を有する材料より構成される層をいい、導電剤とは抵抗を低くするための化合物をいう。
前記ゴム材は、上記の中でも、ポリウレタン、シリコーンゴム、EPDM、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、NBRおよびこれらのブレンドゴムが好ましい。これらのゴム材は発泡したものであっても無発泡のものであってもよい。
一方、導電剤としては、電子導電剤やイオン導電剤などが挙げられる。
電子導電剤としては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラック;熱分解カーボン;グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼などの各種導電性金属または合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ−酸化アンチモン固溶体、酸化スズ−酸化インジウム固溶体などの各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性高分子などの粉末が挙げられる。
また、イオン導電剤としては、例えば、テトラエチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアンモニウム塩;リチウム、マグネシウムなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属の金属塩などが挙げられる。
これらの導電剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、弾性層中に添加される導電剤の添加量は特に制限はないが、上記電子導電剤の場合は、ゴム材100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下の範囲であることが好ましく、15質量部以上25質量部以下の範囲であることがより好ましい。一方、上記イオン導電剤の場合は、ゴム材100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下の範囲であることが好ましく、0.5質量部以上3.0質量部以下の範囲であることがより好ましい。
弾性層の形成に際しては、この層を構成する導電剤、ゴム材、その他の成分(加硫剤や必要に応じて添加される発泡剤など)の各成分の混合方法や混合順序は特に限定されないが、一般的な方法としては、全成分をあらかじめタンブラー、Vブレンダーなどで混合し、押出機によってムラ無く溶融混合する方法などが挙げられる。
[最表面層]
次に、最表面層について説明する。本実施形態における帯電ロールは、表面の十点平均表面粗さRz(以下、単に「表面粗さRz」という。)が2μm以上20μm以下の範囲であり、最表面層の表面粗さRzが2μm以上20μm以下であることが好ましい。該最表面層の表面粗さRzが2μm未満であると、トナーや、トナーに外添している無機外添剤の帯電ロールへの付着が発生し、得られる画像にスジ状の画像欠陥が発生してしまう。一方、前記最表面層の表面粗さRzが20μmを超えると、異常放電により、長期使用において最表面層に割れが発生し、画像欠陥が発生してしまう。前記最表面層の表面粗さRzは、4μm以上18μm以下の範囲であることが好ましく、8μm以上15μm以下の範囲であることがより好ましい。
前記最表面層の表面粗さRz(十点平均粗さ)は、後述するように多孔質充填剤の粒径、多孔質充填剤の添加量、最表面層の厚みなどを調整することにより、制御される。
前記最表面層の表面粗さRz(十点平均粗さ)は、JIS B0601(1994)の方法により測定する。
帯電ロールの最表面層を構成する樹脂としては、特に制限はないが、例えば、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。
最表面層の主成分はポリアミド樹脂であることが好ましい。ポリアミド樹脂はトナーおよび外添剤などが付着しにくいため、耐汚染性が良好である。また、画像形成装置の像保持体との接触による摩擦帯電をおこし、像保持体を正に帯電させにくい。なお、ここで、「主成分」とは最表面層を構成する樹脂のうち50質量%以上のことをいう。この主成分のポリアミド樹脂は、最表面層に含まれる樹脂全体を100質量%とした場合に、50質量%以上99質量%以下の範囲で含まれていることが好ましく、60質量%以上99質量%以下の範囲で含まれていることがより好ましい。
前記ポリアミド樹脂としては、特に制限はないが、ポリアミド樹脂ハンドブック,福本修,8400(日刊工業新聞社)に記述のポリアミド樹脂が挙げられ、その中でも、浸漬法などの塗膜形成方法により最表面層を簡易に形成するなどの点から、メタノール、エタノールなどのアルコールに可溶なアルコール可溶性ポリアミド樹脂などの溶剤可溶性ポリアミド樹脂が好ましく、アルコール可溶性ポリアミド樹脂がより好ましい。
前記溶剤可溶性ポリアミド樹脂としては、例えば、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6,6、ナイロン6,10などのナイロンをアルコキシアルキル化したN−アルコキシアルキル化ナイロン、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6,6、ナイロン6,10などのうち少なくとも2つの共重合体である共重合ナイロンなどのアルコール可溶性ポリアミド樹脂が挙げられる。
前記アルコール可溶性ポリアミド樹脂としては、長期の帯電維持性により優れるなどの点からN−アルコキシメチル化ナイロンが好ましく、さらにはN−メトキシメチル化ナイロンがより好ましい。
前記ポリアミド樹脂の重量平均分子量は、1万以上10万未満であることが好ましい。ポリアミド樹脂の重量平均分子量が1万未満であると膜の強度が弱くなる場合があり、10万を超えると膜にムラが発生する場合がある。また、カーボンブラックなどの導電剤などの分散性が良好であるなどの点から、ポリアミド樹脂の重量平均分子量が上記範囲内で小さい方が好ましい。
前記最表面層は、主成分の樹脂以外の第2成分の樹脂として、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂およびベンゾグアナミン樹脂のうち少なくとも1つを含むことが好ましい。これらのうち、多孔質充填剤の分散性が良好であるなどの点から、ポリビニルアセタール樹脂が好ましい。主成分の樹脂に対する第2成分の樹脂は、樹脂全体を100質量%として、第2成分の樹脂の割合が0.01質量%以上50質量%以下の範囲が好ましく、0.1質量%以上40質量%以下の範囲がより好ましい。
この最表面層において、例えば、アルコール可溶性ポリアミド樹脂などのポリアミド樹脂と、第2成分の樹脂とを加熱などにより反応させて3次元架橋などの架橋を行わせてもよい。これにより、帯電ロールの耐久性が向上し、帯電ロールの表面の割れなどに起因する画像欠陥がほとんどなく、長期にわたって使用される。
ポリビニルアセタール樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールやアセトアセタールなどで変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂などが挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、酸由来構成成分と、アルコール由来構成成分とを含むポリエステル樹脂などが挙げられ、必要に応じてその他の成分を含有してもよい。
ポリエステル樹脂は、酸(ジカルボン酸)成分とアルコール(ジオール)成分とから合成されるものであり、本明細書において、「酸由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂の合成前には酸成分であった構成部位を指し、「アルコール由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂の合成前にはアルコール成分であった構成部位を指す。
酸由来構成成分は、脂肪族ジカルボン酸が好ましく、特に直鎖型のカルボン酸が好ましい。例えば、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸など、あるいはその低級アルキルエステルや酸無水物などが挙げられるが、これらに限定されない。
酸由来構成成分としては、脂肪族ジカルボン酸由来構成成分のほか、2重結合を持つジカルボン酸由来構成成分、スルホン酸基を持つジカルボン酸由来構成成分などの構成成分が含まれていることが好ましい。
なお、2重結合を持つジカルボン酸由来構成成分には、2重結合を持つジカルボン酸に由来する構成成分も含まれる。また、スルホン酸基を持つジカルボン酸由来構成成分には、スルホン酸基を持つジカルボン酸に由来する構成成分のほか、スルホン酸基を持つジカルボン酸の低級アルキルエステルまたは酸無水物などに由来する構成成分も含まれる。
2重結合を持つジカルボン酸としてはジカルボン酸が好ましく、ジカルボン酸としては、例えば、フマル酸、マレイン酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸などが挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物なども挙げられる。これらの中でも、コストなどの点で、フマル酸、マレイン酸などが好ましい。
アルコール構成成分としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9―ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ドデカンジオール、1,12−ウンデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されない。
必要に応じて含まれるその他の成分としては、2重結合を持つジオール由来構成成分、スルホン酸基を持つジオール由来構成成分などの構成成分である。
2重結合を持つジオールとしては、2−ブテン−1,4−ジオール、3−ブテン−1,6−ジオール、4−ブテン−1,8−ジオールなどが挙げられる。
スルホン酸基を持つジオールとしては、1,4−ジヒドロキシ−2−スルホン酸ベンゼンナトリウム塩、1,3−ジヒドロキシメチル−5−スルホン酸ベンゼンナトリウム塩、2−スルホ−1,4−ブタンジオールナトリウム塩などが挙げられる。
フェノール樹脂としては、レゾルシン、ビスフェノールなど、フェノール、クレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニルフェノールなどの水酸基を1個含む置換フェノール類、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノンなどの水酸基を2個含む置換フェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールZなどのビスフェノール類、ビフェノール類などの、フェノール構造を有する化合物と、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドなどとを、酸またはアルカリ触媒下で反応させた、モノメチロールフェノール類、ジメチロールフェノール類、トリメチロールフェノール類などのモノマ、およびそれらの混合物、またはそれらがオリゴマ化されたもの、およびモノマとオリゴマの混合物であることが好ましい。
エポキシ樹脂としては、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマ、オリゴマ、ポリマ全般を言い、その分子量、分子構造を特に限定するものではないが、例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂(フェニレン骨格、ジフェニレン骨格などを有する)などが挙げられ、これらは単独で用いても混合して用いてもよい。これらの中でも、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂が好ましく、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂がさらに好ましく、ビスフェノール型エポキシ樹脂が特に好ましい。
メラミン樹脂およびベンゾグアナミン樹脂としては、メラミン構造またはグアナミン構造を有する化合物などが挙げられ、例えば、下記一般式(A)、(B)で示される化合物が挙げられる。一般式(A)、(B)で示される化合物は、例えば、メラミンまたはグアナミンと、ホルムアルデヒドとを用いて公知の方法(例えば、実験化学講座第4版、28巻、430ページ参照)で合成すればよい。
一般式(A)、(B)において、R1〜R7は、H、CH2OH、アルキルエーテル基を表す。
一般式(A)で示される化合物の具体例として、例示化合物:(A)−1乃至(A)−22が挙げられ、一般式(B)で示される化合物の具体例として、例示化合物:(B)−1乃至(B)−6で示す構造のものが挙げられるが、本実施形態はこれら例示化合物に限定されるものではない。また、これらは、単独で用いてもよいし、混合して用いてもよいが、混合、あるいは、オリゴマとして用いることにより、有機溶剤あるいは主成分の樹脂に対する溶解性が向上するため、より好ましい。
また、メラミン樹脂およびベンゾグアナミン樹脂としては、スーパーベッカミン(R)L−148−55、スーパーベッカミン(R)13−535、スーパーベッカミン(R)L−145−60、スーパーベッカミン(R)TD−126(以上、大日本インキ社製)、ニカラックBL−60、ニカラックBX−4000(以上、日本カーバイド社製)など(以上グアナミン樹脂)、スーパーメラミNo.90(日本油脂社製)、スーパーベッカミン(R)TD−139−60(大日本インキ社製)、ユーバン2020(三井化学)、スミテックスレジンM−3(住友化学工業)、ニカラックMW−30(日本カーバイド社製)など市販のものをそのまま用いてもよい。
前記最表面層は、前記表面粗さRzを2μm以上20μm以下にするために多孔質充填剤を含有することが好ましい。また、最表面層が多孔質充填剤を含有することにより、長期の使用に伴う疲労による最表面層表面の破壊の進展を抑制し、最表面層の割れの発生を抑制する。表層の割れの発生が抑制されることによって、この割れの部分へのトナーやトナーの外添剤などの付着あるいは堆積などにより、帯電ロールの表面抵抗にばらつきが生じて帯電性能が不安定化し画像欠陥が生じることが抑制される。したがって、帯電のムラが抑制され、帯電ロールの耐久性が向上して、長期にわたる帯電維持性に優れる。ここで、多孔質充填剤の「多孔質」とは、充填剤表面に、充填剤の直径に対して1/2以下の直径で、深さ方に0.001μm以上の空孔を有する材料のことをいう。「多孔質」であることは、FE−SEM(日本電子製、JSM−6700F)、加速電圧5kV、二次電子像を観察することにより確認する。深さ方向に0.001μm未満の場合は、耐久性が不十分となるおそれがある。
多孔質充填剤としては、上記定義の多孔質の材料であればよく特に制限はないが、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂および炭酸カルシウムのうち少なくとも1つであることが好ましい。
最表面層の主成分がポリアミド樹脂である場合、最表面層の主成分の樹脂への分散性が良好であるなどの点から、多孔質充填剤がポリアミド樹脂であることが好ましい。また、最表面層の主成分がN−アルコキシメチル化ナイロンである場合、N−アルコキシメチル化ナイロンとの架橋反応が起こる場合があるため、多孔質充填剤がポリアミド樹脂であることが好ましい。
また、多孔質充填剤は表面処理を施してもよい。表面処理剤としては所望の特性が得られるものであればよく、公知の材料から選択すればよい。表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、界面活性剤などが挙げられる。特に、シランカップリング剤はバインダーポリマとの良好な密着性を与えるため好ましく用いられる。さらにアミノ基を有するシランカップリング剤が好ましく用いられる。
アミノ基を有するシランカップリング剤としては、所望のバインダーポリマとの良好な密着性を得られるものであればいかなる物を用いてもよいが、具体例としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、シランカップリング剤は2種以上を混合して使用してもよい。前記アミノ基を有するシランカップリング剤と併用して用いてもよいシランカップリング剤の例としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシランなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
表面処理方法は公知の方法であればいかなる方法を使用してもよく、例えば、乾式法あるいは湿式法を用いればよい。
また、最表面層における多孔質充填剤の樹脂に対する含有量は、最表面層の表面粗さRzが2μm以上20μm以下になりやすい点で、樹脂全体を100として多孔質充填剤の含有率が、1質量%以上100質量%以下の範囲が好ましく、3質量%以上80質量%以下の範囲がより好ましい。
最表面層は、導電剤を含有することが好ましい。最表面層が導電剤を含有することにより、抵抗を調整しやすくなる。
導電剤としては、上記弾性層に含有される電子導電剤やイオン導電剤などの導電剤が挙げられる。これらのうち、導電剤としては、抵抗むらなどの点から、導電性高分子、カーボンブラックおよび酸化すずのうち少なくとも1つであることが好ましい。
これらの導電剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、最表面層中に添加される導電剤の添加量は特に制限はないが、上記電子導電剤の場合は、最表面層の主成分100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下の範囲であることが好ましく、3質量部以上30質量部以下の範囲であることがより好ましい。一方、上記イオン導電剤の場合は、最表面層の主成分100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下の範囲であることが好ましく、3質量部以上30質量部以下の範囲であることがより好ましい。
最表面層は、例えば、主成分の樹脂、多孔質充填剤、必要に応じて第2成分の樹脂、導電剤などを含む硬化性樹脂組成物を、弾性層などの表面に塗布した後、加熱乾燥するなどの方法によって形成する。最表面層において、加熱などにより、架橋反応が起こる。最表面層は、加熱乾燥時の硬化(架橋)を促進するために触媒を使用して架橋させた層であることが好ましい。触媒としては、酸触媒などを用いればよい。
酸触媒としては、例えば、酢酸、クロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、乳酸、クエン酸などの脂肪族カルボン酸、安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸などの芳香族カルボン酸、メタンスルホン酸、ドデシルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸(DNNSA)、ジノニルナフタレンジスルホン酸(DNNDSA)、フェノールスルホン酸などの脂肪族および芳香族スルホン酸類、リン酸などが用いられるが、触媒能、成膜性などの点から、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、リン酸が好ましい。
また、酸触媒としては、一定以上の温度をかけたときに触媒能力が高くなる、いわゆる、熱潜在性触媒を用いることで、硬化性樹脂組成物の液保管温度では触媒能が低く、硬化時に触媒能が高くなるため、硬化温度の低下と、硬化性樹脂組成物の保存安定性(分散安定性など)とが両立する。
熱潜在性触媒としては、例えば、有機スルホン化合物などをポリマで粒子状に包んだマイクロカプセル、ゼオライト等の空孔化合物に酸などを吸着させたもの、プロトン酸およびプロトン酸誘導体のうち少なくとも1つを塩基でブロックした熱潜在性プロトン酸触媒や、プロトン酸およびプロトン酸誘導体のうち少なくとも1つを一級または二級のアルコールでエステル化したもの、プロトン酸およびプロトン酸誘導体のうち少なくとも1つをビニルエーテル類およびビニルチオエーテル類のうち少なくとも1つでブロックしたもの、三フッ化ホウ素のモノエチルアミン錯体、三フッ化ホウ素のピリジン錯体などが挙げられる。
これらの中でも、触媒能、保管安定性、入手性、コストなどの点でプロトン酸およびプロトン酸誘導体のうち少なくとも1つを塩基でブロックした熱潜在性プロトン酸触媒が好ましい。
熱潜在性プロトン酸触媒のプロトン酸としては、硫酸、塩酸、酢酸、硫酸、ギ酸、硝酸、リン酸、スルホン酸、モノカルボン酸、ポリカルボン酸類、プロピオン酸、シュウ酸、安息香酸、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フタル酸、マレイン酸、ベンゼンスルホン酸、o−トルエンスルホン酸、m−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、ウンデシルベンゼンスルホン酸、トリデシルベンゼンスルホン酸、テトラデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸などが挙げられる。また、プロトン酸誘導体としては、スルホン酸、リン酸などのプロトン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩などの中和物、プロトン酸骨格が高分子鎖中に導入された高分子化合物(ポリビニルスルホン酸など)などが挙げられる。プロトン酸をブロックする塩基としては、アミン類などが挙げられる。
アミン類としては、特に制限はなく、1級、2級または3級アミンのいずれを使用してもよい。
1級アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、セカンダリーブチルアミン、アリルアミン、メチルヘキシルアミンなどが挙げられる。
2級アミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジn−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジn−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジt−ブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、N−イソプロピル−N−イソブチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、ジセカンダリーブチルアミン、ジアリルアミン、N−メチルヘキシルアミン、3−ピペコリン、4−ピペコリン、2,4−ルペチジン、2,6−ルペチジン、3,5−ルペチジン、モルホリン、N−メチルベンジルアミンなどが挙げられる。
3級アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリn−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリn−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリt−ブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリ(2−エチルヘキシル)アミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアリルアミン、N−メチルジアリルアミン、トリアリルアミン、N,N−ジメチルアリルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,2−ジアミノエタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’,N’−テトラアリル−1,4−ジアミノブタン、N−メチルピペリジン、ピリジン、4−エチルピリジン、N−プロピルジアリルアミン、3−ジメチルアミノプロパノール、2−エチルピラジン、2,3−ジメチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン、2,4−ルチジン、2,5−ルチジン、3,4−ルチジン、3,5−ルチジン、2,4,6−コリジン、2−メチル−4−エチルピリジン、2−メチル−5−エチルピリジン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N−エチル−3−ヒドロキシピペリジン、3−メチル−4−エチルピリジン、3−エチル−4−メチルピリジン、4−(5−ノニル)ピリジン、イミダゾール、N−メチルピペラジンなどが挙げられる。
熱潜在性触媒としては市販品のものを用いてもよい。市販品のものとしては、キングインダストリーズ社製の「NACURE2501」(トルエンスルホン酸解離、メタノール/イソプロパノール溶媒、pH6.0以上7.2以下、解離温度80℃)、「NACURE2107」(p−トルエンスルホン酸解離、イソプロパノール溶媒、pH8.0以上9.0以下、解離温度90℃)、「NACURE2500」(p−トルエンスルホン酸解離、イソプロパノール溶媒、pH6.0以上7.0以下、解離温度65℃)、「NACURE2530」(p−トルエンスルホン酸解離、メタノール/イソプロパノール溶媒、pH5.7以上6.5以下、解離温度65℃)、「NACURE2547」(p−トルエンスルホン酸解離、水溶液、pH8.0以上9.0以下、解離温度107℃)、「NACURE2558」(p−トルエンスルホン酸解離、エチレン/グリコール溶媒、pH3.5以上4.5以下、解離温度80℃)、「NACUREXP−357」(p−トルエンスルホン酸解離、メタノール溶媒、pH2.0以上4.0以下、解離温度65℃)、「NACUREXP−386」(p−トルエンスルホン酸解離、水溶液、pH6.1以上6.4以下、解離温度80℃)、「NACUREXC―2211」(p−トルエンスルホン酸解離、pH7.2以上8.5以下、解離温度80℃)、「NACURE5225」(ドデシルベンゼンスルホン酸解離、イソプロパノール溶媒、pH6.0以上7.0以下、解離温度120℃)、「NACURE5414」(ドデシルベンゼンスルホン酸解離、キシレン溶媒、解離温度120℃)、「NACURE5528」(ドデシルベンゼンスルホン酸解離、イソプロパノール溶媒、pH7.0以上8.0以下、解離温度120℃)、「NACURE5925」(ドデシルベンゼンスルホン酸解離、pH7.0以上7.5以下、解離温度130℃)、「NACURE1323」(ジノニルナフタレンスルホン酸解離、キシレン溶媒、pH6.8以上7.5以下、解離温度150℃)、「NACURE1419」(ジノニルナフタレンスルホン酸解離、キシレン/メチルイソブチルケトン溶媒、解離温度150℃)、「NACURE1557」(ジノニルナフタレンスルホン酸解離、ブタノール/2−ブトキシエタノール溶媒、pH6.5以上7.5以下、解離温度150℃)、「NACUREX49−110」(ジノニルナフタレンジスルホン酸解離、イソブタノール/イソプロパノール溶媒、pH6.5以上7.5以下、解離温度90℃)、「NACURE3525」(ジノニルナフタレンジスルホン酸解離、イソブタノール/イソプロパノール溶媒、pH7.0以上8.5以下、解離温度120℃)、「NACUREXP−383」(ジノニルナフタレンジスルホン酸解離、キシレン溶媒、解離温度120℃)、「NACURE3327」(ジノニルナフタレンジスルホン酸解離、イソブタノール/イソプロパノール溶媒、pH6.5以上7.5以下、解離温度150℃)、「NACURE4167」(リン酸解離、イソプロパノール/イソブタノール溶媒、pH6.8以上7.3以下、解離温度80℃)、「NACUREXP−297」(リン酸解離、水/イソプロパノール溶媒、pH6.5以上7.5以下、解離温度90℃、「NACURE4575」(リン酸解離、pH7.0以上8.0以下、解離温度110℃)などが挙げられる。
これらの熱潜在性触媒は1種単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
熱潜在性触媒の配合量は硬化性樹脂組成物溶液中の固形分100質量部に対して、0.01質量%以上20質量%以下の範囲であることが好ましく、0.1質量%以上10質量%以下の範囲がより好ましい。20質量%を超える添加量であると、加熱処理後に異物となって析出する場合があり、0.01質量%未満では触媒活性が低くなる場合がある。
最表面層の膜厚は、帯電ロールとしての摩耗による耐久性を考慮すると厚いほうがよいが、最表面層の表面粗さRzが2μm以上20μm以下になりやすい点、像保持体への帯電能(厚くしすぎると像保持体への帯電能が悪くなる場合がある)を考慮すると、0.01μm以上1,000μm以下の範囲が好ましく、0.1μm以上500μm以下の範囲がより好ましく、0.5μm以上100μm以下の範囲がさらに好ましい。
最表面層の製造方法としては、支持部材の上に浸漬塗布法、スプレー塗布法、真空蒸着法、プラズマ法などで形成すればよいが、これらの方法において製造しやすさなどの点では浸漬塗布法が有利である。
(クリーニング部材)
本実施形態における帯電手段は、帯電ロールの外表面を清掃する清掃部材としてのクリーニング部材を備えることが好ましい。該クリーニング部材は、芯材と、芯材の外周面上に設けられる弾性層とを有し、弾性層は発泡体を含んで構成されることが好ましい。さらに、その弾性層を塗布した塗布層を有していてもよい。また、必要に応じて、芯材と弾性層とにはさまれるホットメルト接着剤などを用いた中間層、弾性層などを設けてもよい。
発泡体を含む弾性層を塗布することにより、帯電ローラを使用することによる利点を維持するとともに、トナー、紙粉、その他の異物の付着による帯電ローラの汚染、これに起因する画像流れ、画像ボケなどの画像欠陥を回避する。また、クリーニング部材に導電性を付与し、かつニップ時のひずみが発生しないで良好な帯電機能を維持するばかりでなく、帯電ローラ、像保持体を損傷することを防止する。
本実施形態に係るクリーニング部材の形状としては、特に限定されるものではないが、ロール状、ブラシ状、パッド(板)状などが挙げられる。これらの中でも帯電ロールにかかるストレスがより少ないロール状(いわゆるクリーニングロール)であることが好ましいが、本実施形態における帯電ロールを用いれば、帯電ロールによりストレスのかかるパッド(板)状のクリーニング部材を用いても、長期間の使用の場合においても帯電ロールの表面の割れなどに起因する画像欠陥を抑制し、クリーニング部材のコストが減少する。
次に、クリーニング部材の各部材について説明する。
芯材について説明する。芯材としては、一般には鉄、銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム、ニッケルなどの成形品を用いればよい。また、芯材としては、粒子などを分散した樹脂成形品などを用いてもよい。
クリーニング部材の弾性層を構成する材料としては、所望の特性が得られるものであればいかなる材料を使用してもよい。たとえば、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン樹脂、ナイロン樹脂、メラミン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ブチルゴム、ニトリルゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、シリコーンゴム、天然ゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴムなどの発泡体(フォーム)などが挙げられる。これらの中で特にポリウレタン発泡体が好ましい。
クリーニング部材の弾性層を構成するポリウレタン発泡体は、例えば、少なくともポリオール、整泡剤、および反応触媒を用いて得られたものである。
ポリオールとしては、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオールなどを用いればよい。これらのポリオールは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
また、ポリオールと架橋するために、イソシアネートを使用してもよい。イソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、トリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、リジンエステルトシイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネートなどを用いればよい。イソシアネートは、1種単独で用いてもよいし、複数種併用してもよい。
反応触媒としては、たとえば、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、トリエチレンジアミン(TEDA)、ビス(N,N−ジメチルアミノ−2−エチル)エーテル、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル(TOYOCAT−ET、東ソー社製)などのアミン系触媒や、酢酸カリウム、オクチル酸カリウムなどのカルボン酸金属塩、ジブチル錫ジラウレートなどの有機金属化合物などが挙げられる。これらのなかでも水発泡系ポリウレタンフォームの製造に適している点で、アミン系触媒の使用が好ましい。これらの反応触媒は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
整泡剤としては、ジメチルシリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイルなどのシリコーン系界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などを用いればよい。
触媒の使用量としては、ポリオールとイソシアネートとの合計量に対し、0.01質量%以上5質量%以下の範囲が好ましく、0.05質量%以上3質量%以下の範囲がより好ましく、0.1質量%以上1質量%以下の範囲がさらに好ましい。触媒を用いない場合、クリーニングロールに、未反応のポリマが残留し、帯電ロールとの接触部において、滲み出すことにより、画像欠陥が生ずる場合がある。
次に、その他の配合物について説明する。その他の配合物としては、導電剤が挙げられる。導電剤としては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラックなどのカーボン導電剤や、テトラエチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアンモニウム系化合物などのイオン導電剤などが挙げられる。
その他の配合物としては、難燃剤、劣化防止剤、可塑剤などの添加剤も挙げられる。なお、これらその他の配合物は、1種単独で用いてもよいし、複数種併用してもよい。これらの添加剤は単独で用いても、また複数同時に用いてもよい。
本実施形態において、発泡体の形態として、発泡セルのセル数(個/25mm)が20個以上200個以下の範囲であることが好ましい。20個未満あるいは200個を超える場合、帯電ロールのクリーニング性能を満足できないことがある。
ポリウレタン発泡体の製造方法について説明する。ポリウレタン発泡体の製造方法については、特に制限はなく、常法によればよいが、その一例を示せば次のとおりである。まず、原料として、ポリウレタンポリオールと、整泡剤と、触媒と、必要に応じて導電剤などと、を混合した後、加熱して反応硬化させることにより、ポリウレタン発泡体を得る。
原料を混合する際の温度や時間については特に制限はないが、混合温度は、通常10℃以上90℃以下の範囲、好ましくは20℃以上60℃以下の範囲である。混合時間は、通常10秒以上20分間以下、好ましくは30秒以上5分間以下程度である。また、加熱して反応硬化させる際、従来公知の方法により、発泡させることにより、ポリウレタン発泡体を得る。
ここで、発泡方法については特に制限はなく、発泡剤を用いる方法、機械的な撹拌により気泡を混入する方法など、いずれの方法を用いてもよい。
次に、クリーニング部材の製造方法について説明する。クリーニングロールの製造方法としては、例えば、金型に原料を注入して発泡させて、所望の形状のポリウレタン発泡体を芯材に被覆する方法、ポリウレタン発泡体をスラブ成型して、所望の形状に研削などにより加工した後、芯材に被覆する方法などが挙げられる。
(帯電装置)
図5は、本実施形態における帯電手段の一例を示す概略構成図である。帯電装置(帯電手段)21は、被帯電部材(例えば像保持体)を帯電させるための帯電ロール12と、帯電ロール12の外周面に接して配設されるクリーニングロール(クリーニング部材)10とを有している。そして、帯電ロール12として、最表面層(既述の最表面層)14を有する帯電ロールを適用している。
クリーニングロール10は、その外周面(弾性層表面)を、例えば、帯電ロール12の最表面層14に接離自在の状態で接する。また、帯電ロール12の軸方向に往復移動自在に設置されてもよい。これにより、クリーニングを必要としない場合(例えば、画像形成装置が長時間停止している場合など)、帯電ロール12からクリーニングロール10を離間させた状態に置くとともに、帯電ロール12表面をクリーニングする。
クリーニングロール10は、帯電ロール12と接するときは、帯電ロール12に押圧された状態で配置され、帯電ロール12の回転に伴い回転するようになっている。これにより、帯電ロール12へのスクラッチキズなどの発生を防止する。
帯電装置21では、クリーニングロール10により、帯電ロール12の表面をクリーニングしつつ、帯電ロール12により被帯電部材(例えば像保持体)を帯電する。
そして、前述した帯電ロールを適用することで、最表面層の割れの発生が抑制されることによって、この割れの部分へのトナーやトナーの外添剤などの付着あるいは堆積などにより、帯電ロールの表面抵抗にばらつきが生じて帯電性能が不安定化し画像欠陥が生じることを抑制する。また、帯電ロール12の表面の耐久性が高く、クリーニングロール10の帯電ロール12への押圧力を高めるため、帯電ロール12のクリーニングをより良好に行う。
ここで、クリーニングロール10は、次の条件で帯電ロール12に接して配設されることが好ましい。図11に示すように、帯電ロール12、クリーニングロール10、および電子写真感光体1の各軸と直交した断面において、帯電ロール12の軸点を通り重力方向に対して平行な線(図11における点線)と帯電ロール12の外周とが交差する位置のうち、帯電ロール12の軸点よりも重力方向上方側の位置をαとし、帯電ロール12と電子写真感光体1との接触位置をβとしたとき、クリーニングロール10は、当該クリーニングロール10と帯電ロール12との接触部γが、帯電ロール12の軸点よりも電子写真感光体1の配設位置側で位置αと位置βとで挟まれる帯電ロール12の外周T以外に位置するように配設することが好ましい。
このようにクリーニングロール10を配設することで、クリーニングロール10から脱落した異物が帯電ロール12および電子写真感光体1の上に落下することが防止される。このため、当該異物による電子写真感光体1への帯電不良が抑制されるので、画質上の色点発生が防止され、長期にわたり画質不良を防止する。
次に、電子写真感光体1について説明する。図6は、本実施形態に係る画像形成装置で用いる電子写真感光体の一例を示す模式断面図である。図6に示す電子写真感光体1は、支持体2と、感光層3とから構成されている。感光層3は、支持体2上に、下引層4、電荷発生層5、電荷輸送層6および保護層7がこの順序で積層された構造を有している。
また、図7〜図10は、それぞれ電子写真感光体の他の例を示す模式断面図である。図7,図8に示す電子写真感光体は、図6に示す電子写真感光体と同様に電荷発生層5と電荷輸送層6とに機能が分離された感光層3を備えるものである。また、図9,図10は、電荷発生材料と電荷輸送材料とを同一の層(単層型感光層8)に含有するものである。
図7に示す電子写真感光体1は、支持体2上に電荷発生層5、電荷輸送層6および保護層7が順次積層された構造を有するものである。また、図8に示す電子写真感光体1は、支持体2上に下引層4、電荷輸送層6、電荷発生層5、保護層7が順次積層された構造を有するものである。
また、図9に示す電子写真感光体1は、支持体2上に下引層4、単層型感光層8および保護層7が順次積層された構造を有するものである。また、図10に示す電子写真感光体1は、支持体2上に単層型感光層8および保護層7が順次積層された構造を有するものである。
なお、図6〜図10に示す電子写真感光体において、下引き層4は必ずしも設けられなくてもよい。
電子写真感光体1が備える感光層は、電荷発生材料と電荷輸送材料とを同一の層に含有する単層型感光層、または電荷発生材料を含有する層(電荷発生層)と電荷輸送材料を含有する層(電荷輸送層)とを別個に設けた機能分離型感光層のいずれであってもよい。機能分離型感光層の場合、電荷発生層と電荷輸送層の積層順序はいずれが上層であってもよい。なお、機能分離型感光層の場合、それぞれの層がそれぞれの機能を満たせばよいという機能分離を行うため、より高い機能を実現する。
電子写真感光体1としては、特に限定されず、公知のものが適用されてもよいが、以下、代表例として、最表面層が保護層7である図6に示す電子写真感光体1に基づいて、各要素について説明する。
支持体2としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金などの金属または合金を用いて構成される金属板、金属ドラム、金属ベルトなどが挙げられる。また、支持体2としては、導電性ポリマ、酸化インジウムなどの導電性化合物やアルミニウム、パラジウム、金などの金属または合金を塗布、蒸着またはラミネートした紙、プラスチックフィルム、ベルトなどを使用すればよい。
支持体2の表面は、レーザ光を照射する際に生じる干渉縞を防止するために、中心線平均粗さ(Ra)で0.04μm以上0.5μm以下に粗面化することが好ましい。支持体2の表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.04μm未満であると、鏡面に近くなるので干渉防止効果が不十分となる傾向がある。一方、中心線平均粗さ(Ra)が0.5μmを超えると、被膜を形成しても画質が不十分となる傾向がある。非干渉光を光源に用いる場合には、干渉縞防止の粗面化は特に必要なく、支持体2表面の凹凸による欠陥の発生が防げるため、より長寿命化に適する。
粗面化の方法としては、研磨剤を水に懸濁させて支持体に吹き付けることによって行う湿式ホーニング、または回転する砥石に支持体を圧接し、連続的に研削加工を行うセンタレス研削、陽極酸化処理などが挙げられる。
また、他の粗面化の方法として、支持体2の表面を粗面化することなく、導電性または半導電性粉体を樹脂中に分散させて、支持体表面上に層を形成し、その層中に分散させる粒子により粗面化する方法を用いてもよい。
上記陽極酸化処理は、アルミニウムを陽極とし電解質溶液中で陽極酸化することによりアルミニウム表面に酸化膜を形成するものである。電解質溶液としては、硫酸溶液、シュウ酸溶液などが挙げられる。しかし、そのままの多孔質陽極酸化膜は、化学的に活性であり、汚染され易く、環境による抵抗変動も大きい。そこで、陽極酸化膜の微細孔を加圧水蒸気または沸騰水中(ニッケルなどの金属塩を加えてもよい)で水和反応による体積膨張でふさぎ、より安定な水和酸化物に変える封孔処理を行ってもよい。
陽極酸化膜の膜厚については、0.3μm以上15μm以下が好ましい。この膜厚が0.3μm未満であると、注入に対するバリア性が乏しく効果が不十分となる傾向がある。一方、15μmを超えると、繰り返し使用による残留電位の上昇を招く傾向がある。
また、支持体2には、酸性水溶液による処理またはベーマイト処理を施してもよい。リン酸、クロム酸およびフッ酸を含む酸性処理液による処理は、例えば以下のようにして実施すればよい。まず、酸性処理液を調整する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸およびフッ酸の配合割合は、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲が好ましい。処理温度は42℃以上48℃以下が好ましいが、処理温度を高く保つことにより、一層速く、かつ厚い被膜を形成する。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が好ましい。0.3μm未満であると、注入に対するバリア性が乏しく効果が不十分となる傾向がある。一方、15μmを超えると、繰り返し使用による残留電位の上昇を招く傾向がある。
ベーマイト処理は、例えば、90℃以上100℃以下の純水中に5分間以上60分間以下浸漬すること、または90℃以上120℃以下の加熱水蒸気に5分間以上60分間以下接触させることにより行えばよい。被膜の膜厚は、0.1μm以上5μm以下が好ましい。これをさらにアジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩などの被膜溶解性の低い電解質溶液を用いて陽極酸化処理してもよい。
下引層4は、支持体2上に形成される。下引層4は、例えば、有機金属化合物および結着樹脂のうち少なくとも1つを含有して構成される。
有機金属化合物としては、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤などの有機ジルコニウム化合物、チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤などの有機チタン化合物、アルミニウムキレート化合物、アルミニウムカップリング剤などの有機アルミニウム化合物のほか、アンチモンアルコキシド化合物、ゲルマニウムアルコキシド化合物、インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物、マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物、スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物、アルミニウムシリコンアルコキシド化合物、アルミニウムチタンアルコキシド化合物、アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物などが挙げられる。
有機金属化合物としては、残留電位が低く良好な電子写真特性を示すため、特に有機ジルコニウム化合物、有機チタニル化合物、有機アルミニウム化合物を用いることが好ましい。
結着樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリイミド、カゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸などの公知のものが挙げられる。これらを2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定すればよい。
また、下引層4には、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス2−メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤を含有させてもよい。
また、下引層4中には、低残留電位化や環境安定性などの観点から、電子輸送性顔料を混合、分散して使用してもよい。電子輸送性顔料としては、特開昭47−30330号公報に記載のペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料などの有機顔料、また、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子などの電子吸引性の置換基を有するビスアゾ顔料やフタロシアニン顔料などの有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタンなどの無機顔料が挙げられる。
これらの顔料の中では、ペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、酸化亜鉛または酸化チタンが、電子移動性が高いなどの点で好ましい。
また、これらの顔料の表面は、分散性、電荷輸送性などを制御する目的で上記カップリング剤や、結着樹脂などで表面処理してもよい。
電子輸送性顔料は多すぎると下引層4の強度を低下させ、塗膜欠陥の原因となる場合があるため、下引層4の固形分全量を基準として好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下で使用される。
また、下引層4には、電気特性の向上や光散乱性の向上などの目的により、各種の有機化合物の粉末または無機化合物の粉末を添加することが好ましい。特に、酸化チタン、酸化亜鉛、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、リトポンなどの白色顔料やアルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどの体質顔料としての無機顔料やポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、スチレン樹脂粒子などが有効である。
添加粉末の体積平均粒子径は、0.01μm以上2μm以下のものが好ましい。粉末は必要に応じて添加されるが、その添加量は下引層4の固形分全量を基準として、10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、30質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
下引層4は、例えば、上述した各構成材料を含有する下引層形成用塗布液を用いて形成される。下引層形成用塗布液に使用される有機溶剤としては、有機金属化合物や結着樹脂を溶解し、また、電子輸送性顔料を混合または分散したときにゲル化や凝集を起こさないものであることが好ましい。
有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエンなどの通常のものが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
各構成材料の混合または分散方法としては、例えば、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、振動ボールミル、コロイドミル、ペイントシェーカ超音波などを用いる常法が適用される。混合または分散は、例えば有機溶剤中で行われる。
下引層4を形成する際の塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法などの通常の方法を用いればよい。
乾燥は、通常、溶剤を蒸発させ、成膜される温度で行われる。特に、酸性溶液処理、ベーマイト処理を行った支持体2は、基材の欠陥隠蔽力が不十分となり易いため、下引層4を形成することが好ましい。
下引層4の膜厚は、好ましくは0.01μm以上30μm以下、より好ましくは0.05μm以上25μm以下である。
電荷発生層5は、電荷発生材料、さらには必要に応じて結着樹脂を含んで構成される。
電荷発生材料は、ビスアゾ、トリスアゾなどのアゾ顔料、ジブロモアントアントロンなどの縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、ピロロピロール顔料、フタロシアニン顔料などの有機顔料や三方晶セレン、酸化亜鉛などの無機顔料など公知のものを使用すればよい。電荷発生材料としては、特に、380nm以上500nm以下の露光波長の光源を用いる場合には、金属および無金属フタロシアニン顔料、三方晶セレン、ジブロモアントアントロンなどが好ましい。その中でも、特開平5−263007号公報および特開平5−279591号公報に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン、特開平5−98181号公報に開示されたクロロガリウムフタロシアニン、特開平5−140472号公報および特開平5−140473号公報に開示されたジクロロスズフタロシアニン、特開平4−189873号公報および特開平5−43813号公報に開示されたチタニルフタロシアニンが特に好ましい。
また、上記のヒドロキシガリウムフタロシアニンの中でも特に、分光吸収スペクトルで、810nm以上839nm以下に吸収極大を有し、一次粒子径が0.10μm以下であり、かつ、BET法による比表面積値が45m2/g以上であるものが好ましい。
結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択すればよい。また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシランなどの有機光導電性ポリマから選択してもよい。好ましい結着樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体など)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂などの絶縁性樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの結着樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
電荷発生層5は、例えば、電荷発生材料の蒸着により、または電荷発生材料および結着樹脂を含有する電荷発生層形成用塗布液により形成される。電荷発生層5を、電荷発生層形成用塗布液を用いて形成する場合、電荷発生材料と結着樹脂の配合比(質量比)は、10:1以上1:10以下の範囲が好ましい。
電荷発生層形成用塗布液に、上記各構成材料を分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法などの通常の方法を用いればよい。この際、分散によって顔料の結晶型が変化しない条件が好ましい。さらにこの分散の際、粒子を好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.3μm以下、さらに好ましくは0.15μm以下の粒子サイズにすることが有効である。
分散に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエンなどの通常の有機溶剤が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
電荷発生層形成用塗布液を用いて電荷発生層5を形成する際には、塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法などの通常の方法を用いればよい。
電荷発生層5の膜厚は、好ましくは0.1μm以上5μm以下、より好ましくは0.2μm以上2.0μm以下である。
電荷輸送層6は、電荷輸送材料および結着樹脂を含有して、または高分子電荷輸送材を含有して構成される。
電荷輸送材料としては、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノンなどのキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノンなどのフルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物などの電子輸送性化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物などの正孔輸送性化合物が挙げられるが、特にこれらに限定されない。これらの電荷輸送材料は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
また、電荷輸送材料としては、移動度(モビリティ)の観点から、下記一般式(a−1)、(a−2)または(a−3)で示される化合物が好ましい。
上記式(a−1)中、R16は水素原子またはメチル基を、n10は1または2を示す。また、Ar6およびAr7はそれぞれ独立に置換もしくは未置換のアリール基、−C6H4−C(R38)=C(R39)(R40)、または、−C6H4−CH=CH−CH=C(Ar)2を示し、置換基としてはハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、または炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基が挙げられる。また、R38、R39、R40は水素原子、置換または未置換のアルキル基、置換または未置換のアリール基を、Arは置換または未置換のアリール基を示す。
上記式(a−2)中、R17およびR17’はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基または炭素数1以上5以下のアルコキシ基を、R18、R18’、R19およびR19’はそれぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、炭素数1以上2以下のアルキル基で置換されたアミノ基、置換もしくは未置換のアリール基、−C(R38)=C(R39)(R40)、または、−CH=CH−CH=C(Ar)2を、R38、R39およびR40はそれぞれ独立に水素原子、置もしくは未置換のアルキル基、または置換もしくは未置換のアリール基を、Arは置換または未置換のアリール基を示す。また、n2およびn3はそれぞれ独立に0以上2以下の整数を示す。
上記式(a−3)中、R21は水素原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、または、−CH=CH−CH=C(Ar)2を示す。Arは、置換または未置換のアリール基を示す。R22、R23はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、炭素数1以上2以下のアルキル基で置換されたアミノ基、または置換もしくは未置換のアリール基を示す。
電荷輸送層6に用いる結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂などが挙げられる。これらの結着樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。電荷輸送材料と結着樹脂との配合比(質量比)は、10:1以上1:5以下が好ましい。
また、高分子電荷輸送材としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシランなどの電荷輸送性を有する公知のものを用いればよい。特に、特開平8−176293号公報や特開平8−208820号公報に示されているポリエステル系高分子電荷輸送材は、高い電荷輸送性を有しており、特に好ましいものである。
高分子電荷輸送材はそれだけでも電荷輸送層6の構成材料として使用してよいが、上記結着樹脂と混合して成膜してもよい。
電荷輸送層6は、例えば、上記構成材料を含有する電荷輸送層形成用塗布液を用いて形成される。電荷輸送層形成用塗布液の溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノンなどのケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテルなどの環状または直鎖状のエーテル類などの通常の有機溶剤が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
電荷輸送層形成用塗布液の塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法などの通常の方法を用いればよい。
電荷輸送層6の膜厚は、好ましくは5μm以上50μm以下、より好ましくは10μm以上30μm以下である。
感光層3には、画像形成装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、または光、熱による感光体の劣化を防止するなどの目的で、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤などの添加剤を添加してもよい。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノンおよびそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物などが挙げられる。光安定剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジンなどの誘導体が挙げられる。
また、感光層3には、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減などを目的として、少なくとも1種の電子受容性物質を含有させてもよい。
電子受容性物質としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸などが挙げられる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系や、Cl、CN、NO2などの電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に好ましい。
保護層7は、例えば、以下の樹脂により構成すればよい。樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン、特開平8−176293号公報や特開平8−208820号公報に示されているポリエステル系高分子電荷輸送材などの高分子電荷輸送材を用いればよい。これらのうち、フェノール樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、熱硬化性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂およびポリベンズイミダゾール樹脂などの熱硬化性樹脂が好ましい。これらのうち、特に、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シロキサン樹脂、ウレタン樹脂が好ましく用いられ、例えば、これらの樹脂またはその前駆体を主成分として含む塗布液を塗布後、溶剤を乾燥させる工程において同時に加熱処理を行い、硬化させ不溶の硬化膜を形成する。
フェノール樹脂としては、モノメチロールフェノール類、ジメチロールフェノール類もしくはトリメチロールフェノール類のモノマ、それらの混合物、それらがオリゴマ化されたもの、またはそれらモノマとオリゴマの混合物などが挙げられる。このフェノール樹脂は、例えば、レゾルシン、ビスフェノールなど、フェノール、クレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニルフェノールなどの水酸基を1個含む置換フェノール類、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノンなどの水酸基を2個含む置換フェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールZなどのビスフェノール類、ビフェノール類など、フェノール構造を有する化合物と、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドなどとを、酸触媒またはアルカリ触媒下で反応させることで得られるものである。フェノール樹脂としては、一般にフェノール樹脂として市販されているものを使用してもよい。また、フェノール樹脂としては、レゾール型フェノール樹脂が好ましい。なお、本明細書では、分子の構造単位の繰り返しが2以上20以下程度の比較的大きな分子をオリゴマといい、それ以下のものをモノマという。
上記酸触媒としては、例えば、硫酸、パラトルエンスルホン酸、リン酸などが用いられる。また、アルカリ触媒としては、例えば、NaOH、KOH、Ca(OH)2、Ba(OH)2などのアルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物やアミン系触媒などが用いられる。
アミン系触媒としては、アンモニア、ヘキサメチレンテトラミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。塩基性触媒を使用した場合には、残留する触媒によりキャリアが著しくトラップされ、電子写真特性を悪化させる傾向がある。そのため、酸で中和するか、シリカゲルなどの吸着剤や、イオン交換樹脂などと接触させることにより不活性化または除去することが好ましい。
メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂としては、メチロール基がそのままのメチロールタイプ、メチロール基がすべてアルキルエーテル化されたフルエーテルタイプ、またはフルイミノタイプ、メチロールとイミノ基の混合タイプなど種々のものを使用すればよい。これら中でも、塗布液の安定性の観点から、エーテルタイプのものが好ましい。例えば、一般式(A)、(B)で示される化合物が挙げられる。一般式(A)、(B)で示される化合物は、例えば、メラミンまたはグアナミンと、ホルムアルデヒドとを用いて公知の方法(例えば、実験化学講座第4版、28巻、430ページ参照)で合成すればよい。
一般式(A)、(B)において、R1〜R7は、H、CH2OH、アルキルエーテル基を表す。
一般式(A)で示される化合物としては、具体的には以下の例示化合物:(A)−1乃至(A)−22で示す構造のものが挙げられ、一般式(B)で示される化合物としては、具体的には以下の例示化合物:(B)−1乃至(B)−6で示す構造のものが挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、混合して用いてもよいが、混合、あるいは、オリゴマとして用いることにより、有機溶剤あるいはメインポリマに対する溶解性が向上するため、より好ましい。
また、メラミン樹脂およびベンゾグアナミン樹脂としては、スーパーベッカミン(R)L−148−55、スーパーベッカミン(R)13−535、スーパーベッカミン(R)L−145−60、スーパーベッカミン(R)TD−126(以上、大日本インキ社製)、ニカラックBL−60、ニカラックBX−4000(以上、日本カーバイド社製)など(以上グアナミン樹脂)、スーパーメラミNo.90(日本油脂社製)、スーパーベッカミン(R)TD−139−60(大日本インキ社製)、ユーバン2020(三井化学)、スミテックスレジンM−3(住友化学工業)、ニカラックMW−30(日本カーバイド社製)など市販のものをそのまま用いてもよい。
ウレタン樹脂としては、多官能イソシアネート、イソシアヌレートまたはこれらをアルコールやケトンでブロックしたブロックイソシアネートなどを使用すればよい。これらの中でも、塗布液の安定性の観点から、ブロックイソシアネートまたはイソシアヌレートが好ましく、これらは本実施形態の画像形成装置に用いる電子写真感光体用添加物と加熱架橋するので好ましい。
シリコーン樹脂としては、後述の一般式(X)で示される化合物などから誘導される樹脂を使用すればよい。
これらの樹脂は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
保護層7には、残留電位を下げるために導電性粒子を添加してもよい。導電性粒子としては、金属、金属酸化物およびカーボンブラックなどが挙げられる。これらの中でも、金属または金属酸化物がより好ましい。金属としては、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、銀およびステンレスなど、またはこれらの金属をプラスチックの粒子の表面に蒸着したものなどが挙げられる。金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズ、およびアンチモンをドープした酸化ジルコニウムなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせて用いる場合は、単に混合しても、固溶体や溶融の形にしてもよい。導電性粒子の平均粒径は保護層7の透明性の観点から、0.3μm以下が好ましく、0.1μm以下が特に好ましい。
また、保護層7を形成するための硬化性樹脂組成物には、保護層7の強度、膜抵抗などの種々の物性をコントロールするために、下記一般式(X)で示される化合物を添加してもよい。
Si(R50)(4−c)Qc (X)
(上記式(X)中、R50は水素原子、アルキル基または置換もしくは未置換のアリール基を、Qは加水分解性基を、cは1以上4以下の整数を示す。)
上記一般式(X)で示される化合物の具体例としては以下のシランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどの四官能性アルコキシシラン(c=4);メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロアルキルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトシキシランなどの三官能性アルコキシシラン(c=3);ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシランなどの二官能性アルコキシシラン(c=2);トリメチルメトキシシランなどの1官能アルコキシシラン(c=1)などが挙げられる。膜の強度を向上させるためには3および4官能のアルコキシシランが好ましく、可とう性、成膜性を向上させるためには1および2官能のアルコキシシランが好ましい。
また、主にこれらのカップリング剤より作製されるシリコーン系ハードコート剤を用いてもよい。市販のハードコート剤としては、KP−85、X−40−9740、X−40−2239(以上、信越シリコーン社製)、およびAY42−440、AY42−441、AY49−208(以上、東レダウコーニング社製)などを用いればよい。
また、保護層7を形成するための硬化性樹脂組成物には、保護層7の強度を高めるために、下記一般式(XI)に示す2つ以上のケイ素原子を有する化合物を用いることも好ましい。
B−(Si(R51)(3−d)Qd)2 (XI)
(上記式(XI)中、Bは2価の有機基を、R51は水素原子、アルキル基または置換もしくは未置換のアリール基を、Qは加水分解性基を、dは1以上3以下の整数を示す。)
上記一般式(XI)で示される化合物としては、より具体的には、下記化合物(XI−1)〜(XI−16)が好ましいものとして挙げられる。Meはメチル基を示し、Etはエチル基を示す。
さらに、膜特性のコントロール、液寿命の延長などのため、アルコール系、ケトン系溶剤などに可溶な樹脂を添加してもよい。この樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールやアセトアセタールなどで変性された部分アセタール化ポリビニルアセタール樹脂などのポリビニルアセタール樹脂(たとえば積水化学社製エスレックB、Kなど)、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。特に、電気特性を向上させるなどの観点から、ポリビニルアセタール樹脂が好ましい。
また、放電ガス耐性、機械強度、耐傷性、粒子分散性、粘度コントロール、トルク低減、磨耗量コントロール、ポットライフの延長などの目的で種々の樹脂を添加してもよい。本実施形態においては、アルコールに溶解する樹脂をさらに加えることが好ましい。アルコール系溶剤に可溶な樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールやアセトアセタールなどで変性された部分アセタール化ポリビニルアセタール樹脂などのポリビニルアセタール樹脂(たとえば積水化学社製エスレックB、Kなど)、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂などが挙げられる。特に、電気特性を向上させるなどの観点から、ポリビニルアセタール樹脂が好ましい。
上記樹脂の重量平均分子量は2,000以上100,000以下が好ましく、5,000以上50,000以下がさらに好ましい。重量平均分子量は2,000より小さいと所望の効果が得られなくなる傾向があり、100,000より大きいと溶解度が低くなり添加量が限られてしまったり、塗布時に製膜不良の原因になったりする傾向がある。添加量は1質量%以上40質量%以下が好ましく、さらに好ましくは1質量%以上30質量%以下であり、5質量%以上20質量%以下が最も好ましい。添加量が1質量%よりも少ない場合は所望の効果が得られにくくなり、40質量%よりも多くなると高温高湿下での画像ボケが発生しやすくなるおそれがある。また、上記の樹脂は単独で用いてもよいが、それらを混合して用いてもよい。
また、ポットライフの延長、膜特性のコントロールなどのため、下記一般式(XII)で示される繰り返し構造単位を持つ環状化合物、またはその化合物からの誘導体を含有させることが好ましい。
上記式(XII)中、A1およびA2は、それぞれ独立に一価の有機基を示す。
一般式(XII)で示される繰り返し構造単位を持つ環状化合物としては、市販の環状シロキサンが挙げられる。具体的には、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンなどの環状ジメチルシクロシロキサン類、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリフェニルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチル−1,3,5,7,9−ペンタフェニルシクロペンタシロキサンなどの環状メチルフェニルシクロシロキサン類、ヘキサフェニルシクロトリシロキサンなどの環状フェニルシクロシロキサン類、3−(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシクロトリシロキサンなどのフッ素原子含有シクロシロキサン類、メチルヒドロシロキサン混合物、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、フェニルヒドロシクロシロキサンなどのヒドロシリル基含有シクロシロキサン類、ペンタビニルペンタメチルシクロペンタシロキサンなどのビニル基含有シクロシロキサン類などの環状のシロキサンなどが挙げられる。これらの環状シロキサン化合物は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
さらに、電子写真感光体表面の耐汚染物付着性、潤滑性、硬さなどを制御するために、保護層7を形成するための硬化性樹脂組成物には、各種粒子を添加してもよい。
粒子の一例として、ケイ素原子含有粒子が挙げられる。ケイ素原子含有粒子とは、構成元素にケイ素を含む粒子であり、具体的には、コロイダルシリカおよびシリコーン粒子などが挙げられる。ケイ素原子含有粒子として用いられるコロイダルシリカは、体積平均粒子径が好ましくは1nm以上100nm以下、より好ましくは10nm以上30nm以下であり、酸性もしくはアルカリ性の水分散液、またはアルコール、ケトン、エステルなどの有機溶媒中に分散させたものから選ばれ、一般に市販されているものを使用してもよい。硬化性樹脂組成物中のコロイダルシリカの固形分含有量は、特に限定されるものではないが、成膜性、電気特性、強度などの面から硬化性樹脂組成物中の固形分全量を基準として好ましくは0.1質量%以上50質量%以下の範囲、より好ましくは0.1質量%以上30質量%以下の範囲で用いられる。
ケイ素原子含有粒子として用いられるシリコーン粒子は、好ましくは実質的に球状で、体積平均粒子径が好ましくは1nm以上500nm以下、より好ましくは10nm以上100nm以下であり、シリコーン樹脂粒子、シリコーンゴム粒子およびシリコーン表面処理シリカ粒子から選ばれ、一般に市販されているものを使用してもよい。
シリコーン粒子は、化学的に不活性で、樹脂への分散性に優れる小径粒子であり、さらに、特性を得るために必要とされる含有量が低いため、架橋反応をほとんど阻害することなく、電子写真感光体の表面性状を改善する。すなわち、強固な架橋構造中に実質的に均一に取り込まれた状態で、電子写真感光体表面の潤滑性、撥水性などを向上させ、長期間にわたって良好な耐磨耗性、耐汚染物付着性などを維持する。硬化性樹脂組成物中のシリコーン粒子の含有量は、硬化性樹脂組成物中の固形分全量を基準として、好ましくは0.1質量%以上30質量%以下の範囲であり、より好ましくは0.5質量%以上10質量%以下の範囲である。
また、その他の粒子としては、4弗化エチレン、3弗化エチレン、6弗化プロピレン、弗化ビニル、弗化ビニリデンなどのフッ素系粒子や”第8回ポリマ材料フォーラム講演予稿集 p89”に示されるような、フッ素樹脂と水酸基を有するモノマを共重合させた樹脂を含んで構成される粒子、ZnO−Al2O3、SnO2−Sb2O3、In2O3−SnO2、ZnO−TiO2、ZnO−TiO2、MgO−Al2O3、FeO−TiO2、TiO2、SnO2、In2O3、ZnO、MgOなどの半導電性金属酸化物などが挙げられる。
また、電子写真感光体表面の耐汚染物付着性、潤滑性、硬さなどを制御するために、シリコーンオイルなどのオイルを添加してもよい。シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、フェニルメチルシロキサンなどのシリコーンオイル、アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、カルビノール変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサンなどの反応性シリコーンオイルなどが挙げられる。これらは、保護層7を形成するための硬化性樹脂組成物中に予め添加してもよいし、感光体を作製後、減圧、あるいは加圧下などで含浸処理してもよい。
また、可塑剤、表面改質剤、酸化防止剤、光劣化防止剤などの添加剤を含有させてもよい。可塑剤としては、例えば、ビフェニル、塩化ビフェニル、ターフェニル、ジブチルフタレート、ジエチレングリコールフタレート、ジオクチルフタレート、トリフェニル燐酸、メチルナフタレン、ベンゾフェノン、塩素化パラフィン、ポリプロピレン、ポリスチレン、各種フルオロ炭化水素などが挙げられる。
また、ヒンダートフェノール、ヒンダートアミン、チオエーテルまたはホスファイト部分構造を持つ酸化防止剤を添加することができ、環境変動時の電位安定性・画質の向上などに効果的である。
酸化防止剤としては以下のような化合物が挙げられる。例えば、ヒンダートフェノール系としては、「Sumilizer BHT−R」、「Sumilizer MDP−S」、「Sumilizer BBM−S」、「Sumilizer WX−R」、「Sumilizer NW」、「Sumilizer BP−76」、「Sumilizer BP−101」、「Sumilizer GA−80」、「Sumilizer GM」、「Sumilizer GS」(以上、住友化学社製)、「IRGANOX1010」、「IRGANOX1035」、「IRGANOX1076」、「IRGANOX1098」、「IRGANOX1135」、「IRGANOX1141」、「IRGANOX1222」、「IRGANOX1330」、「IRGANOX1425WL」、「IRGANOX1520L」、「IRGANOX245」、「IRGANOX259」、「IRGANOX3114」、「IRGANOX3790」、「IRGANOX5057」、「IRGANOX565」(以上、チバスペシャリティーケミカルズ社製)、「アデカスタブAO−20」、「アデカスタブAO−30」、「アデカスタブAO−40」、「アデカスタブAO−50」、「アデカスタブAO−60」、「アデカスタブAO−70」、「アデカスタブAO−80」、「アデカスタブAO−330」(以上、アデカ製)、ヒンダートアミン系としては、「サノールLS2626」、「サノールLS765」、「サノールLS770」、「サノールLS744」(以上、三共ライフテック社製)、「チヌビン144」、「チヌビン622LD」(以上、チバスペシャリティーケミカルズ社製)、「マークLA57」、「マークLA67」、「マークLA62」、「マークLA68」、「マークLA63」(以上、アデカ製)、「スミライザーTPS」(以上、住友化学社製)、チオエーテル系としては、「スミライザーTP−D」(以上、住友化学社製)、ホスファイト系としては、「マーク2112」、「マークPEP・8」、「マークPEP・24G」、「マークPEP・36」、「マーク329K」、「マークHP・10」(以上、アデカ製)などが挙げられ、特にヒンダートフェノール、ヒンダートアミン系酸化防止剤が好ましい。さらに、これらは架橋膜を形成する材料と架橋される例えばアルコキシシリル基などの置換基で変性してもよい。
さらに、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などの架橋構造を有する樹脂から、合成時の触媒を除去するために、該樹脂をメタノール、エタノール、トルエン、酢酸エチルなどの適当な溶剤に溶解させ、水洗、貧溶剤を用いた再沈殿などの処理を行うか、例えば、以下に例示する材料を用いて処理することが好ましい。かかる材料としては、アンバーライト15、アンバーライト200C、アンバーリスト15E(以上、ローム・アンド・ハース社製)、ダウエックスMWC−1−H、ダウエックス88、ダウエックスHCR−W2(以上、ダウ・ケミカル社製)、レバチットSPC−108、レバチットSPC−118(以上、バイエル社製)、ダイヤイオンRCP−150H(三菱化成社製)、スミカイオンKC−470、デュオライトC26−C、デュオライトC−433、デュオライト−464(以上、住友化学工業社製)、ナフィオン−H(デュポン社製)などの陽イオン交換樹脂;アンバーライトIRA−400、アンバーライトIRA−45(以上、ローム・アンド・ハース社製)などの陰イオン交換樹脂;Zr(O3PCH2CH2SO3H)2、Th(O3PCH2CH2COOH)2などのプロトン酸基を含有する基が表面に結合されている無機固体;スルホン酸基を有するポリオルガノシロキサンなどのプロトン酸基を含有するポリオルガノシロキサン;コバルトタングステン酸、リンモリブデン酸などのヘテロポリ酸;ニオブ酸、タンタル酸、モリブデン酸などのイソポリ酸;シリカゲル、アルミナ、クロミア、ジルコニア、CaO、MgOなどの単元系金属酸化物;シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、ゼオライト類などの複合系金属酸化物;酸性白土、活性白土、モンモリロナイト、カオリナイトなどの粘土鉱物;LiSO4,MgSO4などの金属硫酸塩;リン酸ジルコニア、リン酸ランタンなどの金属リン酸塩;LiNO3,Mn(NO3)2などの金属硝酸塩;シリカゲル上にアミノプロピルトリエトキシシランを反応させて得られた固体などのアミノ基を含有する基が表面に結合されている無機固体;アミノ変性シリコーン樹脂などのアミノ基を含有するポリオルガノシロキサンなどが挙げられる。
また、硬さ、接着性、可とう性などの膜特性の調整のために、ポリグリシジルメタクリレート、グリシジルビスフェノール類、フェノールエポキシ樹脂などのエポキシ含有化合物、テレフタル酸、マレイン酸、ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸など、またはそれらの無水物など添加してもよい。添加量としては、本実施形態の電子写真感光体用添加物1質量部に対し、好ましくは0.05質量部以上1質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上0.7質量部以下で用いられる。
さらに、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体など)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂などの絶縁性樹脂を所望の割合で混合してもよい。これにより、電荷輸送層6との接着性、熱収縮やハジキによる塗布膜欠陥などを抑制する。
保護層7は、例えば、上述した各構成材料を含有する保護層形成用塗布液を用いて形成される。すなわち、例えば、保護層形成用塗布液を電荷輸送層6上に塗布して硬化させることで、保護層7は形成される。
保護層形成用塗布液には、必要に応じてメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;テトラヒドロフラン;ジエチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル類などの溶媒を使用してもよい。また、これらの他、種々の溶媒を使用してもよいが、電子写真感光体の生産に一般的に使用される浸漬塗布法を適用するためには、アルコール系またはケトン系溶剤、あるいはそれらの混合系溶剤が好ましい。また、沸点は50℃以上150℃以下のものが好ましく、任意に混合して使用してもよい。溶媒量は任意に設定すればよいが、少なすぎると析出しやすくなるため、保護層形成用塗布液中に含まれる固形分の合計1質量部に対し0.5質量部以上30質量部以下が好ましく、1質量部以上20質量部以下がより好ましい。
さらに、架橋する際には、保護層形成用塗布液に硬化触媒を使用してもよい。硬化触媒としては、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン等のビススルホニルジアゾメタン類、メチルスルホニルp−トルエンスルホニルメタン等のビススルホニルメタン類、シクロヘキシルスルホニルシクロヘキシルカルボニルジアゾメタン等のスルホニルカルボニルジアゾメタン類、2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルホニル)プロピオフェノン等のスルホニルカルボニルアルカン類、2−ニトロベンジルp−トルエンスルホネート等のニトロベンジルスルホネート類、ピロガロールトリスメタンスルホネート等のアルキルおよびアリールスルホネート類(g)ベンゾイントシレート等のベンゾインスルホネート類、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド等のN−スルホニルオキシイミド類、(4−フルオロベンゼンスルホニルオキシ)−3,4,6−トリメチル−2−ピリドン等のピリドン類、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチル−1−(3−ビニルフェニル)−エチル−4−クロロベンゼンスルホネート等のスルホン酸エステル類、トリフェニルスルホニウムメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート等のオニウム塩類などの光酸発生剤や、プロトン酸あるいはルイス酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸とトリアルキルホスフェートの混合物、スルホン酸エステル類、リン酸エステル類、オニウム化合物、および、無水カルボン酸化合物などが好ましく挙げられる。
プロトン酸あるいはルイス酸をルイス塩基で中和した化合物としては、ハロゲノカルボン酸類、スルホン酸類、硫酸モノエステル類、リン酸モノおよびジエステル類、ポリリン酸エステル類、ホウ酸モノおよびジエステル類などを、アンモニア、モノエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピペリジン、アニリン、モルホリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの各種アミンまたはトリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、トリアルキルホスファイト、トリアリールホスファイトで中和した化合物、さらには酸−塩基ブロック化触媒として市販されているネイキュア2500X、4167、X−47−110、3525、5225(商品名、キングインダストリー社製)などが挙げられる。また、ルイス酸をルイス塩基で中和した化合物としては、例えばBF3、FeCl3、SnCl4、AlCl3、ZnCl2などのルイス酸を上記のルイス塩基で中和した化合物などが挙げられる。
オニウム化合物としては、トリフェニルスルホニウムメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネートなどが挙げられる。
無水カルボン酸化合物としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸、無水ラウリン酸、無水オレイン酸、無水ステアリン酸、無水n−カプロン酸、無水n−カプリル酸、無水n−カプリン酸、無水パルミチン酸、無水ミリスチン酸、無水トリクロロ酢酸、無水ジクロロ酢酸、無水モノクロロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水ヘプタフルオロ酪酸などが挙げられる。
ルイス酸の具体例としては、例えば、三フッ化ホウ素、三塩化アルミニウム、塩化第一チタン、塩化第二チタン、塩化第一鉄、塩化第二鉄、塩化亜鉛、臭化亜鉛、塩化第一スズ、塩化第二スズ、臭化第一スズ、臭化第二スズなどの金属ハロゲン化物、トリアルキルホウ素、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルハロゲン化アルミニウム、モノアルキルハロゲン化アルミニウム、テトラアルキルスズなどの有機金属化合物、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム、ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトナト)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジブチル・ビス(アセチルアセトナト)スズ、トリス(アセチルアセトナト)鉄、トリス(アセチルアセトナト)ロジウム、ビス(アセチルアセトナト)亜鉛、トリス(アセチルアセトナト)コバルトなどの金属キレート化合物、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズエステルマレート、ナフテン酸マグネシウム、ナフテン酸カルシウム、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸鉄、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸ジルコニウム、ナフテン酸鉛、オクチル酸カルシウム、オクチル酸マンガン、オクチル酸鉄、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸ジルコニウム、オクチル酸スズ、オクチル酸鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸鉛などの金属石鹸が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの触媒の使用量は特に制限されないが、保護層形成用塗布液中に含まれる固形分の合計100質量部に対して0.1質量部以上20質量部以下が好ましく、0.3質量部以上10質量部以下が特に好ましい。
保護層形成用塗布液を電荷輸送層6上に塗布する場合、塗布方法としては、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法などの通常の方法を用いればよい。そして、例えば、塗布後、塗膜を乾燥させることで保護層7が形成される。
なお、塗布の際には1回の塗布により予め定められた膜厚が得られない場合、複数回重ね塗布することにより、予め定められた膜厚を得てもよい。複数回の重ね塗布を行う場合、加熱処理は塗布の度に行ってもよいし、複数回重ね塗布した後でもよい。
架橋構造を有する樹脂を用いて保護層7を形成する場合、架橋させる際には硬化温度は好ましくは100℃以上170℃以下、より好ましくは100℃以上160℃以下である。また、硬化時間は、好ましくは30分以上2時間以下、より好ましくは30分以上1時間以下であり、加熱温度を多段階に変化させてもよい。
架橋反応を行う雰囲気としては、窒素、ヘリウム、アルゴンなどのいわゆる酸化に対して不活性なガス雰囲気下で行うことにより、電気特性の悪化を防止してもよい。不活性ガス雰囲気下で架橋反応を行う場合には、空気雰囲気下よりも硬化温度を高く設定してもよく、硬化温度は好ましくは100℃以上180℃以下、より好ましくは110℃以上160℃以下である。また、硬化時間は、好ましくは30分以上2時間以下、より好ましくは30分以上1時間以下である。
保護層7の膜厚は、0.5μm以上15μm以下が好ましく、1μm以上10μm以下がより好ましく、1μm以上5μm以下がさらに好ましい。
保護層7の25℃における酸素透過係数は、4×1012fm/s・Pa以下であることが好ましく、3.5×1012fm/s・Pa以下であることがより好ましく、3×1012fm/s・Pa以下であることがさらに好ましい。
ここで、酸素透過係数は層の酸素ガス透過のし易さを表す尺度であるが、見方を変える
と、層の物理的な隙間率の代用特性と捕らえてもよい。なお、ガスの種類が変われば透過率の絶対値は変わるものの、検体となる層間で大小関係の逆転はほとんどない。したがって、酸素透過係数は、一般的なガス透過のし易さを表現する尺度と解釈してよい。
つまり、保護層7の25℃における酸素透過係数が上記条件を満たす場合には、保護層7においてガスが浸透しにくい。したがって、画像形成プロセスにより生じる放電生成物の浸透が抑制され、保護層7に含有される化合物の劣化が抑制され、電気特性を高水準に維持し、高画質化、長寿命化などに有効である。
なお、電子写真感光体1において、単層型感光層を構成する場合、単層型感光層は、電荷発生材料と結着樹脂を含有して形成される。電荷発生材料としては機能分離型感光層における電荷発生層に使用されるものと同様のものを、結着樹脂としては機能分離型感光層における電荷発生層および電荷輸送層に用いられる結着樹脂と同様のものを用いればよい。単層型感光層中の電荷発生材料の含有量は、単層型感光層における固形分全量を基準として好ましくは10質量%以上85質量%以下、より好ましくは20質量%以上50質量%以下である。単層型感光層には、光電特性を改善するなどの目的で電荷輸送材料や高分子電荷輸送材料を添加してもよい。その添加量は単層型感光層における固形分全量を基準として5質量%以上50質量%以下とすることが好ましい。また、塗布に用いる溶剤や塗布方法は、上記各層と同様のものを用いればよい。単層型感光層の膜厚は、5μm以上60μm以下程度が好ましく、10μm以上50μm以下とすることがさらに好ましい。
また、本実施形態において、電子写真感光体1は、最表面層が後述するトナーに外添付着する潤滑剤と同材料からなる粒子(同材料、例えば潤滑剤がポリテトラフルオロエチレンであり、電子写真感光体1の最表面層がポリテトラフルオロエチレンの粒子を含む。)を含有することが、外添付着する潤滑剤が効率よく感光体上に塗布され、潤滑剤が帯電ロールまで到達する量が減るため、画像欠陥が発生しないという効果が顕著になる点で好ましい。また、この場合の潤滑剤と同じ素材の粒子を含有の最表面層における含有量は、画像欠陥が発生しないという効果がより顕著になる点で1質量%以上20質量%が好ましく、3質量%以上12質量%がより好ましい。尚、以上の説明は、最表面層が保護層である場合について説明したが、最表面層は保護層に限定されず、例えば、保護層を設けず、最表面層が電荷輸送層であってもよい。この場合電荷輸送層がトナーに外添付着する潤滑剤と同材料からなる粒子を含有することが好ましい。
次に、現像装置25について説明する。現像装置25は、電子写真感光体1上の静電潜像を現像してトナー像を形成するものである。
現像装置25に使用されるトナーについて説明する。
前記トナーは、潤滑剤が外添付着しているトナーであることを特徴とする。尚、以下の説明において、潤滑剤、外添剤等を外添させる前のトナーをトナー母粒子という。
上記のように、本実施形態に係るトナーは、潤滑剤が外添付着しているトナーである。ここで潤滑剤が外添付着しているとは、トナー母粒子に外添させた潤滑剤が、トナー母粒子から離れずに付着している状態をいい、本実施形態では潤滑剤を外添させたトナーの、現像器に投入する前の状態において、前記トナーへの外添付着率が、70個数%以上100個数%以下(好ましくは80個数%以上100個数%以下)である状態をいう。尚、上記潤滑剤のトナーへの外添付着率は、現像器に投入する前の状態のトナー表面を電子顕微鏡にて観察し、トナーに付着している潤滑剤の個数と、トナーから離れて単独で存在する潤滑剤の個数と数えることにより測定する。尚、この測定は、視野内に1乃至2個のトナーが観察できる状態で20箇所以上の観察を行う。具体的には、潤滑剤のトナーへの外添付着率をK、トナーに付着している潤滑剤の個数をX、トナーから離れて単独で存在する潤滑剤の個数をYとそれぞれ定義すると、潤滑剤のトナーへの外添付着率Kは、下記式で求められる。
・ K(個数%) = X / ( X + Y ) × 100
前記潤滑剤がトナー母粒子に外添付着している潤滑剤となるためには、「−」帯電している潤滑剤であることが好ましい。ここで、「−」帯電している潤滑剤とは、500Vの直流電圧を印加した5mm間隔の導電平板間に、画像形成装置で使用する状態の現像剤10gを自重落下させた場合に、マイナスの電極に付着する潤滑剤の量が自重落下させた現像剤に含まれる量に対して5%未満であることをいう。
上記「−」帯電している潤滑剤としては、フッ素系樹脂の粒子、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンフルオライト(PVDF)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)が挙げられ、フッ素系樹脂(フッ素原子を含む樹脂)の粒子が好ましく、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の粒子であることがより好ましい。
また、前記潤滑剤がトナー母粒子に外添付着している潤滑剤となるためには、潤滑剤の粒径が0.01μm以上2μm以下であることが好ましく、0.2μm以上1μm以下であることが好ましい。該粒径は粉砕等により粒径をそろえてもよい。尚、潤滑剤の粒径は、界面活性剤等により、一次粒子に分散した状態でコールターマルチサイザーにて測定する。
前記トナーにおける潤滑剤の添加量は、長期にわたり経時使用した場合においても、画像ムラが発生することが抑制されるという効果が顕著になる点で、0.05質量%以上1質量%以下が好ましく、0.1質量%以上0.5質量%以下がより好ましい。前記トナーにおける潤滑剤の添加量は、電子顕微鏡にて観察を行い、トナー及び潤滑剤の個数、大きさを計測し、比重を勘案して求める。具体的には、下記式により、トナーにおける潤滑剤の添加量Rを求める。ここで、ρ1は潤滑剤の比重を、ρ2はトナー母粒子の比重を、Aは潤滑剤の個数を、Bはトナー母粒子の個数を、Dは潤滑剤の平均粒径(μm)を、Eはトナー母粒子の平均粒径(μm)をそれぞれ示す。なおトナーにおける潤滑剤の添加量は、任意の100個のトナーにおける下記式より算出された形状係数の平均値である。
・R=(ρ1×A×π×D3/6)/(ρ2×B×π×E3/6)×100
前記トナー母粒子としては、平均形状係数SF1(SF1=(ML2/A)×(π/4)×100(ここでMLは粒子の最大長(μm)を表し、Aは粒子の投影面(μm2)を表す)が100以上150以下であることが好ましく、100以上140以下であることがより好ましい。平均形状係数(SF1)は、スライドガラス上に置いたトナー母粒子の像を、ビデオカメラを通じて、光学顕微鏡により測定し、画像解析装置(LUZEXIII、NIRECO社製)に取り込み、トナー母粒子の最大長(ML)、および投影面積(A)を算出し、これらの値を上記式に代入して形状係数が求められる。なお平均形状係数は、任意の100個のトナー母粒子における上記式より算出された形状係数の平均値である。
さらに、トナー母粒子としては、体積平均粒子径が2μm以上12μm以下であることが好ましく、3μm以上12μm以下であることがより好ましく、3μm以上9μm以下であることがさらに好ましい。この平均形状係数および体積平均粒子径を満たすトナー母粒子を用いることにより、高い現像、転写性、および高画質の画像が得られる。
トナー母粒子は、特に製造方法により限定されるものではないが、例えば、結着樹脂、着色剤および離型剤、必要に応じて帯電制御剤などを加えて混練、粉砕、分級する混練粉砕法;混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力または熱エネルギにて形状を変化させる方法;結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤および離型剤、必要に応じて帯電制御剤などの分散液とを混合し、凝集、加熱溶融させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法;結着樹脂を得るための重合性単量体と、着色剤および離型剤、必要に応じて帯電制御剤などの溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法;結着樹脂と、着色剤および離型剤、必要に応じて帯電制御剤などの溶液とを水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法などにより製造されるトナー母粒子が使用される。
また、上記方法で得られたトナー母粒子をコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法など、公知の方法を適用してもよい。なお、トナー母粒子の製造方法としては、形状制御、粒度分布制御の観点から水系溶媒にて製造する懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法が好ましく、乳化重合凝集法が特に好ましい。
トナー母粒子は、例えば、結着樹脂、着色剤および離型剤を含み、必要であれば、シリカや帯電制御剤を含有して構成される。
トナー母粒子に使用される結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレンなどのスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレンなどのモノオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシルなどのα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテルなどのビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類などの単独重合体および共重合体、ジカルボン酸類とジオール類との共重合によるポリエステル樹脂などが挙げられる。
特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル樹脂などが挙げられる。さらに、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックスなどが挙げられる。
また、着色剤としては、マグネタイト、フェライトなどの磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3などが代表的なものとして挙げられる。
離型剤としては、低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロピィシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックスなどが代表的なものとして挙げられる。
また、帯電制御剤としては、公知のものを使用すればよく、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤などを用いればよい。湿式製法でトナーを製造する場合、イオン強度の制御と廃水汚染の低減などの点で水に溶解しにくい素材を使用することが好ましい。また、トナー母粒子としては、磁性材料を内包する磁性トナーおよび磁性材料を含有しない非磁性トナーのいずれであってもよい。
現像装置25に用いるトナーとしては、上記トナー母粒子および上記潤滑剤等をヘンシェルミキサーまたはVブレンダーなどで混合することによって製造すればよい。また、トナー母粒子を湿式にて製造する場合は、湿式にて外添してもよい。
また、前記トナー母粒子には、電子写真感光体表面の付着物、劣化物除去の目的などで、無機粒子、有機粒子、該有機粒子に無機粒子を付着させた複合粒子などを加えてもよい。
無機粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化スズ、酸化テルル、酸化マンガン、酸化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素などの各種無機酸化物、窒化物、ホウ化物などが好ましく使用される。
また、上記無機粒子を、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネートなどのチタンカップリング剤、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトエリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤などで処理を行ってもよい。また、シリコーンオイル、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの高級脂肪酸金属塩によって疎水化処理したものなども好ましく使用される。
有機粒子としては、スチレン樹脂粒子、スチレンアクリル樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、ウレタン樹脂粒子などが挙げられる。
粒子径としては、体積平均粒子径で好ましくは5nm以上1000nm以下、より好ましくは5nm以上800nm以下、さらに好ましくは5nm以上700nm以下のものが使用される。体積平均粒子径が、上記下限値未満であると、研磨能力に欠ける傾向があり、一方、上記上限値を超えると、電子写真感光体表面に傷を発生しやすくなる傾向がある。また、上述した粒子と滑性粒子との添加量の和が0.6質量%以上であることが好ましい。
トナーに添加されるその他の無機酸化物としては、粉体流動性、帯電制御などのため、1次粒径が40nm以下の小径無機酸化物を用い、さらに付着力低減や帯電制御などのため、それより大径の無機酸化物を添加することが好ましい。これらの無機酸化物粒子は公知のものを使用すればよいが、精密な帯電制御を行うためにはシリカと酸化チタンとを併用することが好ましい。また、小径無機粒子については表面処理することにより、分散性が高くなり、粉体流動性を上げる効果が大きくなる。さらに、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩や、ハイドロタルサイトなどの無機鉱物を添加することも放電精製物を除去するために好ましい。
また、前記トナーはキャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよく、該キャリアとしては、鉄粉、ガラスビーズ、フェライト粉、ニッケル粉またはそれらの表面に樹脂コーティングを施したものなどが使用される。また、キャリアとの混合割合は、任意に設定すればよい。
クリーニング装置27は、例えば、繊維状部材(ロール形状)27aと、クリーニングブレード(ブレード部材)27bとを備える。
クリーニング装置27は、繊維状部材27aおよびクリーニングブレード27bが設けられているが、クリーニング装置としてはどちらか一方を備えるものでもよい。繊維状部材27aとしては、ロール形状の他に歯ブラシ状としてもよい。また、繊維状部材27aは、クリーニング装置本体に固定してもよく、回転されるように支持されていてもよく、さらに感光体軸方向にオシレーション(振動)されるように支持されていてもよい。繊維状部材27aとしては、ポリエステル、ナイロン、アクリルなどや、トレシー(東レ社製)などの極細繊維を含んで構成された布状のもの、ナイロン、アクリル、ポリオレフィン、ポリエステルなどの樹脂繊維を基材状または絨毯状に植毛したブラシ状のものなどが挙げられる。また、繊維状部材27aとしては、上述したものに、導電性粉末やイオン導電剤を配合して導電性を付与したり、繊維一本一本の内部または外部に導電層が形成されたものなどを用いてもよい。導電性を付与した場合、その抵抗値としては繊維単体で102Ω以上109Ω以下のものが好ましい。また、繊維状部材27aの繊維の太さは、好ましくは30d(デニール)以下、より好ましくは20d以下であり、繊維の密度は好ましくは2万本/inch2以上、より好ましくは3万本/inch2以上である。
クリーニング装置27には、クリーニングブレード、クリーニングブラシなどにより、感光体表面の付着物(例えば、放電生成物)を除去することが求められる。この目的を長期にわたって達成すると共にクリーニング部材の機能を安定化させるために、クリーニング部材には、金属石鹸、高級アルコール、ワックス、シリコーンオイルなどの潤滑性物質(潤滑成分)を供給することが好ましい。
例えば、繊維状部材27aとしてロール状のものを用いる場合、金属石鹸、ワックスなどの潤滑性物質と接触させ、電子写真感光体表面に潤滑成分を供給することが好ましい。クリーニングブレード27bとしては、通常のゴムブレードが用いられる。このようにクリーニングブレード27bとしてゴムブレードを使用する場合には、電子写真感光体表面に潤滑成分を供給することは、ブレードの欠けや磨耗を抑制することに特に効果的である。
以上説明したプロセスカートリッジ20は、画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。
露光装置30としては、帯電した電子写真感光体1を露光して静電潜像を形成させるものであればよい。また、露光装置30の光源としては、LED(light emitting diode)アレイ、走査型レーザ露光光源、マルチビーム方式の面発光レーザなどを用いることが好ましい。
転写装置40としては、電子写真感光体1上のトナー像を被転写媒体(中間転写体50)に転写するものであればよく、例えば、ロール形状の通常使用されるものが使用される。
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴムなどのベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体50の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いてもよい。なお、この中間転写体を備えていない直接転写方式の画像形成装置もある。
なお、被転写媒体とは、電子写真感光体1上に形成されたトナー像を転写する媒体であれば特に制限はない。例えば、電子写真感光体1から直接、紙などに転写する場合は紙などが被転写媒体であり、また、中間転写体50を用いる場合には中間転写体が被転写媒体になる。
図2は、本実施形態に係る画像形成装置の他の例を示す模式図である。図2に示す画像形成装置110は、電子写真感光体1が画像形成装置本体に固定され、帯電装置21、現像装置25およびクリーニング装置27がそれぞれカートリッジ化されており、それぞれ帯電カートリッジ、現像カートリッジ、クリーニングカートリッジとして独立して備えられている。
画像形成装置110においては、電子写真感光体1とそれ以外の各装置が分離されており、帯電装置21、現像装置25およびクリーニング装置27が画像形成装置本体にビス、かしめ、接着または溶接などにより固定されることなく、引き出し、押しこみによる操作にて脱着される。
耐磨耗性に優れる電子写真感光体を用いた場合、カートリッジ化することが不要となる場合がある。したがって、帯電装置21、現像装置25またはクリーニング装置27をそれぞれ本体にビス、かしめ、接着または溶接などにより固定されることなく、引き出し、押しこみによる操作にて脱着する構成とすることで、1プリント当りの部材コストを低減する。また、これらの装置のうち2つ以上を一体化したカートリッジとして着脱してもよく、それにより1プリント当りの部材コストをさらに低減する。
なお、画像形成装置110は、帯電装置21、現像装置25およびクリーニング装置27がそれぞれカートリッジ化されている以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
図3は、本実施形態に係る画像形成装置の他の例を示す模式図である。画像形成装置120は、プロセスカートリッジ20を4つ搭載したタンデム方式の画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ20がそれぞれ並列になるように配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体を使用する構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
図4は、本実施形態に係る画像形成装置の他の例を示す模式図である。図5に示した画像形成装置130は、1つの電子写真感光体で複数の色のトナー画像を形成させる、いわゆる4サイクル方式の画像形成装置である。画像形成装置130は、駆動装置(図示せず)により、予め定められた回転速度で図中の矢印Aの方向に回転される感光体ドラム1を備えており、感光体ドラム1の上方には、感光体ドラム1の外周面を帯電させる帯電装置21が設けられている。
また、帯電装置21の上方には面発光レーザアレイを露光光源として備える露光装置30が配置されている。露光装置30は、光源から射出される複数本のレーザビームを、形成すべき画像に応じて変調すると共に、主走査方向に偏向し、感光体ドラム1の外周面上を感光体ドラム1の軸線と平行に走査させる。これにより、帯電した感光体ドラム1の外周面上に静電潜像が形成される。
感光体ドラム1の側方には現像装置25が配置されている。現像装置25は回転するように配置されたロール状の収容体を備えている。この収容体の内部には4個の収容部が形成されており、各収容部には現像器25Y,25M,25C,25Kが設けられている。現像器25Y,25M,25C,25Kは各々現像ロール26を備え、内部に各々イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),黒(K)の色のトナーを貯留している。
画像形成装置130での画像の形成は、感光体ドラム1が4回画像形成することにより行われる。すなわち、感光体ドラム1が4回画像形成する間、帯電装置21は、感光体ドラム1の外周面の帯電、露光装置30は、形成すべきカラー画像を表すY,M,C,Kの画像データのうちの何れかに応じて変調したレーザビームを感光体ドラム1の外周面上で走査させることを、感光体ドラム1が1回画像形成する毎にレーザビームの変調に用いる画像データを切替えながら繰り返す。また現像装置25は、現像器25Y,25M,25C,25Kの何れかの現像ロール26が感光体ドラム1の外周面に対応している状態で、外周面に対応している現像器を作動させ、感光体ドラム1の外周面に形成された静電潜像を特定の色に現像し、感光体ドラム1の外周面上に特定色のトナー像を形成させることを、感光体ドラム1が各色の画像形成する毎に、静電潜像の現像に用いる現像器が切り替わるように収容体を回転させながら繰り返す。これにより、感光体ドラム1が1回画像形成する毎に、感光体ドラム1の外周面上には、Y,M,C,Kのトナー像が順次形成されることになる。
また、感光体ドラム1の下方には無端の中間転写ベルト50が配設されている。中間転写ベルト50はロール51,53,55に巻掛けられており、外周面が感光体ドラム1の外周面に接触するように配置されている。ロール51,53,55は図示しないモータの駆動力が伝達されて回転し、中間転写ベルト50を図5の矢印B方向に回転させる。
中間転写ベルト50を挟んで感光体ドラム1の反対側には転写装置(転写器)40が配置されており、感光体ドラム1の外周面上に順次形成されたY,M,C,Kのトナー像は1色ずつ転写装置40によって中間転写ベルト50の画像形成面に転写され、最終的には、Y,M,C,Kの画像が中間転写ベルト50上に積層される。
また、感光体ドラム1を挟んで現像装置25の反対側には、感光体ドラム1の外周面に潤滑剤供給装置31およびクリーニング装置27が配置されている。感光体ドラム1の外周面上に形成されたトナー像が中間転写ベルト50に転写されると、潤滑剤供給装置31により感光体ドラム1の外周面に潤滑剤が供給され、当該外周面のうち転写されたトナー像を保持していた領域がクリーニング装置27により清浄化される。
中間転写ベルト50よりも下方側には用紙受け60が配置されており、用紙受け60内には記録材料(被転写媒体)としての用紙Pが複数枚積層された状態で収容されている。用紙受け60上方には取り出しロール61が配置されており、取り出しロール61による用紙Pの取り出し方向下流側にはロール対63、ロール65が順に配置されている。積層状態で最上方に位置している記録紙は、取り出しロール61が回転されることにより用紙受け60から取り出され、ロール対63、ロール65によって搬送される。
また、中間転写ベルト50を挟んでロール55の反対側には転写装置42が配置されている。ロール対63、ロール65によって搬送された用紙Pは、中間転写ベルト50と転写装置42はさまれるように送り込まれ、中間転写ベルト50の画像形成面に形成されたトナー像が転写装置42によって転写される。転写装置42よりも用紙Pの搬送方向下流側には、定着ロール対を備えた定着装置44が配置されており、トナー像が転写された用紙Pは、転写されたトナー像が定着装置44によって溶融定着された後に画像形成装置130の機体外へ排出され、排紙用紙受け(図示せず)上に配置される。
また、本実施形態に係る画像形成装置は、非画像形成するときにトナーの供給量が不足している部分へ、トナーを供給するトナーバンド形成手段を有することが好ましい。トナーバンド形成手段を有することで、トナーが電子写真感光体1にまんべんなく供給され、長期にわたり経時使用した場合においても、潤滑剤の帯電ロールへの付着ムラが抑制され、画像ムラが発生することが抑制された画像が得られるという効果が顕著になる。
なお、本実施形態のプロセスカートリッジ、および本実施形態の画像形成装置の構成としては、特に限定されるわけではなく、公知の構成とすればよい。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は
、以下の実施例に限定されるものではない。
<感光体の作製>
(感光体1の作製)
まず、ホーニング処理を施した外径Φ30mmの円筒状アルミニウム基材を準備した。次に、ジルコニウム化合物(商品名:オルガチックスZC540、マツモト製薬社製)を100質量部、シラン化合物(商品名:A1100、日本ユニカー社製)を10質量部、イソプロパノールを400質量部、およびブタノールを200質量部混合し、下引層形成用塗布液を得た。この塗布液をアルミニウム基材上に浸漬塗布し、150℃で10分間加熱乾燥し、膜厚0.1μmの下引層を形成した。
次に、CuKα特性X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が、7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°に強い回折ピークを持つヒドロキシガリウムフタロシアニンを1質量部、ポリビニルブチラール(エスレックBM−S、積水化学社製)を1質量部、および酢酸n−ブチルを100質量部を混合し、さらにガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間処理して分散し、電荷発生層形成用塗布液を得た。この塗布液を下引層上に浸漬塗布し100℃で10分間加熱乾燥し、膜厚0.15μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記式(VI−1)で示される電荷輸送材料を2質量部、下記式(VI−2)で示される構造単位を有する高分子化合物(nは繰り返し数を示す。粘度平均分子量50,000)を3質量部、およびクロロベンゼンを20質量部と混合し、電荷輸送層形成用液を得た。
得られた電荷輸送層形成用液に、ポリテトラフルオロエチレン粒子ルブロンL2(ダイキン工業)を、電荷輸送層形成用液に含まれる電荷輸送材料(VI−1)と高分子化合物(VI−2)の合計質量100質量部に対して、12質量部になるよう加え、高圧液体衝突分散法によって分散し、電荷輸送層用塗布液を得た。この電荷輸送層用塗布液を上記電荷発生層上に浸漬塗布法で塗布して110℃で40分加熱し、膜厚34μmの電荷輸送層を形成した。以上のように、ホーニング処理が施されたアルミニウム基材上に、下引層、電荷発生層および電荷輸送層が形成された感光体1を得た。
(感光体2の作製)
感光体1の作製において、電荷輸送層形成用液に加えるポリテトラフルオロエチレン粒子ルブロンL2(ダイキン工業)の量を、電荷輸送層形成用液に含まれる電荷輸送材料(VI−1)と高分子化合物(VI−2)の合計質量100質量部に対して、8質量部に変更したこと以外は感光体1の作製と同様にして、感光体2を得た。
(感光体3の作製)
感光体1の作製において、電荷輸送層形成用液に加えるポリテトラフルオロエチレン粒子ルブロンL2(ダイキン工業)の量を、電荷輸送層形成用液に含まれる電荷輸送材料(VI−1)と高分子化合物(VI−2)の合計質量100質量部に対して、3質量部に変更したこと以外は感光体1の作製と同様にして、感光体3を得た。
(感光体4の作製)
感光体1の作製において、電荷輸送層形成用液をポリテトラフルオロエチレン粒子を加えずに調製し、そのまま電荷発生層上に浸漬塗布法で塗布して、110℃で40分加熱し、膜厚34μmの電荷輸送層を形成したこと以外は感光体1の作製と同様にして、感光体4を得た。
<帯電部材用クリーニングロールの作製>
ウレタンフォーム(ポリウレタンEP70:セル径50μm、硬度320N:イノアックコーポレーション社製)をカットし、SUS303を材質とする外径φ5mm、長さ230mmの芯材を挿入し、ホットメルト接着剤で芯材とウレタンフォームを接着した後、芯材両端からそれぞれ5mm位置までのウレタンフォームを切り落とし、弾性ロール素材を得た。研削処理し、外径φ9mmの帯電部材用クリーニングロールを得た。
<帯電ロールの作製>
[接着層及び弾性層の形成]
カーボンブラック(ケッチェンブラックEC、ライオン社製)4質量部をプライマー(XJ150、ロード・ファー・イースト社製)100質量部に分散し、これをSUS303を材質とする直径8mmの導電性支持体表面に塗布して、1層目の接着層を形成した。更にカーボンブラック(ケッチェンブラックEC、ライオン社製)4質量部をプライマー(Chelok258、ロード・ファー・イースト社製)100質量部に分散し、これを1層目の接着層表面に塗布して、2層目の接着層を形成した。
更に、表2に示した組成の混合物(表2の配合比は質量部)をオープンロールで混練りし、これをプレス成形機を用いて2層目の接着層表面に形成し、直径12.5mmのロールを形成した。その後、研磨により直径12mmの弾性ロールを得た。
[最表面層の形成]
(帯電ロール1)
表3の帯電ロール1の欄に示した組成の混合物(表3に記載の配合比は質量部)15質量部をメタノール85質量部で希釈し、ビーズミルにて分散し得られた分散液を、前記弾性ロールの表面に浸漬塗布した後、140℃で30分間加熱して架橋させ、乾燥し、厚さ10μmの最表面層を形成し、帯電ロール1を得た。なお、表3に記載のポリアミド樹脂粒子1は2001UDNAT1(平均粒子径5μm、アルケマ製)である。
(帯電ロール2)
多孔質充填剤として、ポリアミド樹脂粒子1の代わりに、ポリアミド樹脂粒子2(2002DNAT1、平均粒子径20μm、アルケマ製)を用いた以外は、帯電ロール1と同様にして帯電ロール2を得た。
(帯電ロール3)
多孔質充填剤として、ポリアミド樹脂粒子1の代わりに、ポリアクリル樹脂粒子1(MBP−8、平均粒子径8μm、積水化成品製)を用いた以外は、帯電ロール1と同様にして帯電ロール3を得た。
(帯電ロール4)
表3の帯電ロール4の欄に示した組成の混合物(表3に記載の配合比は質量部)15質量部をメタノール85質量部で希釈し、ビーズミルにて分散し得られた分散液を、前記作製した弾性ロールの表面に浸漬塗布した後、140℃で30分間加熱して架橋させ、乾燥し、厚さ10μmの表面層を形成し、帯電ロール4を得た。
(帯電ロール5)
表3の帯電ロール5の欄に示した組成の混合物(表3に記載の配合比は質量部)15質量部をメタノール85質量部で希釈し、ビーズミルにて分散し得られた分散液を、前記作製した弾性ロールの表面に浸漬塗布した後、140℃で30分間加熱して架橋させ、乾燥し、厚さ10μmの表面層を形成し、帯電ロール5を得た。
(帯電ロール6)
表3の帯電ロール6の欄に示した組成の混合物(表3に記載の配合比は質量部)15質量部をメタノール85質量部で希釈し、ビーズミルにて分散し得られた分散液を、実施例1で作製した導電性弾性ロールAの表面に浸漬塗布した後、140℃で30分間加熱して架橋させ、乾燥し、厚さ10μmの表面層を形成し、帯電ロール6を得た。
作製した帯電ロール1乃至6の詳細、及び下記方法で作製した表面粗さRzを表3に示す。
[表面粗度Rzの測定]
表面層の表面粗度Rzは、JIS B0601(1994)の方法により測定した。測
定装置としては、東京精密株式会社製、サーフコム1400を用いた。測定条件は、カッ
トオフ:0.8mm、測定長:2.4mm、トラバーススピード:0.3mm/secを
用いた。
<トナーの作製>
(トナー1作製)
[樹脂分散液1の調製]
・スチレン:360g
・n−ブチルアクリレート:40g
・アクリル酸:6g
・ドデカンチオール:24g
・4臭化炭素:4g
以上の成分を混合溶解したものを、非イオン性界面活性剤ノニポール400 6g及びアニオン性界面活性剤ネオゲンSC10gをイオン交換水550gに溶解したものに、フラスコ中で分散、乳化し10分間混合しながら、これに過硫酸アンモニウム4gを溶解したイオン交換水50gを投入し、窒素置換を行った。その後フラスコを攪拌しながらオイルバスで内容物が70℃になるまで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。これにより中心径160nm、ガラス転移点59℃、Mw(重量平均分子量)13500のアニオン性の樹脂分散液1を得た。
[樹脂分散液2の調製]
・スチレン:300g
・n−ブチルアクリレート:100g
・アクリル酸:8g
以上の成分を混合溶解したものを、非イオン性界面活性剤ノニポール400 6g及びアニオン性界面活性剤ネオゲンSC12gをイオン交換水550gに溶解したものに、フラスコ中で分散、乳化し10分ゆっくりと混合しながら、これに過硫酸アンモニウム3gを溶解したイオン交換水50gを投入し、窒素置換を行った。その後フラスコを攪拌しながらオイルバスで内容物が70℃になるまで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。これにより中心径100nm、ガラス転移点54℃、Mw45万のアニオン性の樹脂分散液2を得た。
[顔料分散液1の調製]
・カーボンブラックモーガルL(キャボット):50g
・非イオン性界面活性剤ノニポール400:5g
・イオン交換水:200g
以上の成分を混合溶解し、ホモジナイザー(IKAウルトラタラックス)により10分間分散し、中心粒径250nmの顔料分散液1を得た。
[離型剤分散液1の調製]
・パラフィンワックス HNP0190(融点85℃日本精蝋):50g
・カチオン性界面活性剤サニゾール 50(花王):5g
・イオン交換水:200g
以上の成分を95℃に加熱して、IKA製ウルトラタラックスT50にて分散後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、中心径520nmのワックス分散液を得た。
[凝集粒子Aの作製]
・樹脂分散液1:130g
・樹脂分散液2:70g
・顔料分散液:30g
・離型剤分散液:40g
・サニゾール B50:1.5g
以上の成分を丸型ステンレス製フラスコ中で、ウルトラタラックスT50にて混合分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを攪拌しながら48℃まで加熱した。48℃で40分保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、約5μmの凝集粒子が生成していることが確認された。ここに樹脂分散液1を緩やかに75g追加し、さらに加熱用オイルバスの温度を上げて50℃で1時間保持した。光学顕微鏡にて観察すると、約6.2μmの凝集粒子が生成していることが確認された。
その後、ここにネオゲンSC3gを追加した後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて攪拌を継続しながら105℃まで加熱し、4時間保持した。冷却後、ろ過し、イオン交換水で充分洗浄して凝集粒子Aを得た。得られた凝集粒子Aをコールターカウンターで粒径を測定すると6.2μm、体積粒度分布の指標である体積GSDは,1.25であった。また、形状係数SFを測定したところ121であった。
この凝集粒子Aを乾燥して取り出し、この凝集粒子A100質量部に対して平均粒径12nmのシリカ粒子を0.5質量部および平均粒径40nmのシリカ粒子を1.0質量部およびポリテトラフルオロエチレン粒子であるルブロンL2(ダイキン工業)0.3質量部を添加し、ヘンシェルミキサーにて混合してトナー1を得た。得られたトナー1について既述の方法で潤滑剤のトナーへの外添付着率を測定したところ90%であった(ルブロンL2のほとんどが粒径0.2μm以上1μm以下の範囲でトナーに外添付着した状態であった。)。
(トナー2の作製)
トナー1の作製において、ルブロンL2の添加量を0.05質量部に変えた以外はトナー1の作製と同様にしてトナー2を得た。得られたトナー2について既述の方法で潤滑剤のトナーへの外添付着率を測定したところ100%であった(ルブロンL2が粒径0.2μm以上1μm以下の範囲でトナーに外添付着した状態であった。)。
(トナー3の作製)
トナー1の作製において、ルブロンL2の添加量を0.2質量部に変えた以外はトナー1の作製と同様にしてトナー3を得た。得られたトナー3について既述の方法で潤滑剤のトナーへの外添付着率を測定したところ95%であった(ルブロンL2のほとんどが粒径0.2μm以上1μm以下の範囲でトナーに外添付着した状態であった。)。
(トナー4の作製)
トナー1の作製において、ルブロンL2の添加量を0.8質量部に変えた以外はトナー1の作製と同様にしてトナー4を得た。得られたトナー4について既述の方法で潤滑剤のトナーへの外添付着率を測定したところ75%であった(ルブロンL2の大半が粒径0.2μm以上1μm以下の範囲でトナーに外添付着した状態であったが、粒径1μm以上2μm未満の範囲で一部トナーから遊離したものもあった。)。
(トナー5の作製)
トナー1の作製において、ルブロンL2の添加量を1.5質量部に変えた以外はトナー1の作製と同様にしてトナー5を得た。得られたトナー5について既述の方法で潤滑剤のトナーへの外添付着率を測定したところ70%であった(ルブロンL2の大半が粒径0.2μm以上1μm以下の範囲でトナーに外添付着した状態であったが、粒径1μm以上2μm未満の範囲で一部トナーから遊離したものもあった。)。
(トナー6の作製)
トナー1の作製において、ルブロンL2の0.3質量部添加を、ポリテトラフルオロエチレン粒子ルブリカントL173(旭硝子社製)0.2質量添加に代えた以外はトナー1の作製と同様にしてトナー6を得た。得られたトナー6について既述の方法で潤滑剤のトナーへの外添付着率を測定したところ85%であった(ルブロンL2のほとんどが粒径0.2μm以上1μm以下の範囲でトナーに外添付着した状態であった。)。
(トナー7の作製)
トナー6の作製において、ルブリカントL173の添加量を0.8質量部に変えた以外はトナー1の作製と同様にしてトナー7を得た。得られたトナー7について既述の方法で潤滑剤のトナーへの外添付着率を測定したところ75%であった(ルブロンL2の大半が粒径0.2μm以上1μm以下の範囲でトナーに外添付着した状態であったが、粒径1μm以上2μm未満の範囲で一部トナーから遊離したものもあった。)。
(トナー8の作製)
トナー6の作製において、ルブリカントL173の添加量を1.0質量部に変えた以外はトナー1の作製と同様にしてトナー8を得た。得られたトナー8について既述の方法で潤滑剤のトナーへの外添付着率を測定したところ70%であった(ルブロンL2の大半が粒径0.2μm以上1μm以下の範囲でトナーに外添付着した状態であったが、粒径1μm以上2μm未満の範囲で一部トナーから遊離したものもあった。)。
(トナー9の作製)
トナー1の作製において、ルブロンL2の添加量を0.3質量部に変えた以外はトナー1の作製と同様にしてトナー9を得た。得られたトナー9について既述の方法で潤滑剤のトナーへの外添付着率を測定したところ100%であった(ルブロンL2が粒径0.2μm以上1μm以下の範囲でトナーに外添付着した状態であった。)。
(トナー10の作製)
トナー1の作製において、ルブロンL2を添加しなかったこと以外はトナー1の作製と同様にしてトナー11を得た。
<現像剤の作製>
ニーダーにMn−Mgフェライト(平均粒径50μm:パウダーテック社製:形状係数SF1=120)を1,000部投入し、パーフルオロオクチルメチルアクリレート−メチルメタクリレート共重合体(重合比率20:80、Tg72℃、重量平均分子量72,000:綜研化学(株)製)150部をトルエン700部に溶かした溶液を加え、25℃で20分混合した後、70℃に過熱して減圧乾燥した後、取り出し、コートキャリアを得た。さらに得られたコートキャリアを75μm目開きのメッシュでふるい、粗粉を除去してキャリアを得た。このキャリア100質量部と、上記のトナー1乃至11を7質量部それぞれと、をVブレンダーにいれ、20分間撹拌し、電子写真用現像剤1乃至11をそれぞれ得た。
<実施例1〜15、比較例1〜3>
表3に示す帯電ロール、感光体、現像剤それぞれを、DocuCentreIII C3300に装着し、印字率5%の文字/絵柄混在チャートでA4用紙に5,000枚ごとに高温高湿環境(28℃、85%RH)、低温低湿環境(10℃、15%RH)を交互に繰り返す条件下でトータル50,000枚印字した。更に50,000枚印字した後に、低温低湿環境にて前記DocuCentreIII C3300で50%ハーフトーン画像を印刷したときの画像乱れを以下の基準で判定した。さらに、トータル80,000枚後、120,000枚後も同様に評価を実施した。その結果を表3に示す。尚、表3には、画像欠陥等の概況と共に、下記基準で評価した○〜××の結果を示す。また、画像欠陥が現れた場合、評価後の画像形成装置を分解し、原因を究明した。その結果も表3に示す。
なお、実施例2は本発明の範囲外である。
○:画像欠陥が現れなかった。
△:僅かな画像欠陥が現れたが、問題のないレベルであった。
×:画像欠陥が現れた。
××:画像欠陥が現れた。
[評価条件]
また、上記評価は、以下の条件で行った。
帯電電位:−700V、露光部電位:−300V、現像電位:−600V
現像印加バイアス:Vpp:1.2kV、周波数:8.3kHz 、Duty:65%
ブレード押圧力:2.8gf/mm
プロセススピード:175mm/sec
帯電ロール印加バイアス:9Khz、1.8KVpp (AC)、−740V(DC)