JP2017181590A - クリーニング部材、帯電装置、画像形成装置 - Google Patents

クリーニング部材、帯電装置、画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】画像形成が繰り返された後における帯電部材表面でのクリーニングのムラが抑制されたクリーニング部材の提供。
【解決手段】像保持体12、及び像保持体12の表面を帯電させる帯電部材14を備える画像形成装置において、帯電部材14に接触して帯電部材14表面をクリーニングするクリーニング部材100であって、多孔質構造を有し、前記多孔質構造における各孔の直径の標準偏差が1以下であり、かつ多孔質構造において隣り合う孔同士の中心間距離の標準偏差が1以下である多孔質体を、帯電部材14との接触部に備えるクリーニング部材100。
【選択図】図11

Description

本発明は、クリーニング部材、帯電装置、画像形成装置に関する。
電子写真方式を用いた画像形成装置においては、先ず、感光体等からなる像保持体の表面を帯電装置によって帯電して電荷を形成し、画像信号を変調したレーザー光等で静電潜像を形成する。その後、帯電したトナーにより静電潜像を現像して可視化したトナー像が形成される。そして、トナー像を中間転写体を介して、あるいは直接記録紙等の被転写体に静電的に転写し、被転写体に定着することにより画像が得られる。
なお、帯電装置における帯電部材には、表面をクリーニングする観点でクリーニング部材を設けることが試されている。
例えば、特許文献1には、クリーニング部材としてのスポンジ材をローラ状に形成するとともに回転自在に配設し、帯電ローラの帯電面にスポンジ材を接触させ、圧縮量を確保し、帯電ローラが回転すると、スポンジ材1は圧縮量を確保した状態で従動回転する画像形成装置が開示されている。
また、特許文献2には、像保持体と、これに接触して該像保持体及び転写材にバイアス電圧を印加する接触型の弾性帯電手段とを備え、前記弾性帯電手段にスポンジ材からなるクリーニング手段を接触してなる画像形成装置が開示されている。
また、特許文献3には、芯金の外周に少なくとも弾性層を設けてなり、像保持体表面を帯電させる帯電ローラの表面をクリーニングする帯電ローラクリーニング機構であって、該帯電ローラクリーニング機構は、密度5kg/mから15kg/m、引っ張り強度1.7±0.5kg/cm、伸び率20%から40%の連続気泡構造を有する樹脂発泡体からなるクリーニングローラを備える帯電ローラクリーニング機構が開示されている。
また、特許文献4には、芯材は芯材の軸方向に渡って筒状とされており、この筒状の筒部へ円柱状の軸受部材が挿入されており、芯材の両端は、芯材の筒部が軸受部材に支持された清掃部材が開示されている。
特開平5−297690号公報 特許2847524号公報 特開2004−361916号公報 特開2011−145414号公報
像保持体、及び前記像保持体の表面を帯電させる帯電部材を備える画像形成装置において、帯電部材用のクリーニング部材として帯電部材との接触部に多孔質体を有するクリーニング部材が用いられる場合、画像形成が繰り返された後において、帯電部材表面に筋状のクリーニングムラが生じることがあった。
本発明の課題は、多孔質体における多孔質構造の各孔の直径の標準偏差が1を超えるとの要件、及び隣り合う孔同士の中心間距離の標準偏差が1を超えるとの要件の少なくとも一方を満たす場合に比べ、画像形成が繰り返された後における帯電部材表面でのクリーニングムラが抑制されたクリーニング部材を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
像保持体、及び前記像保持体の表面を帯電させる帯電部材を備える画像形成装置において、前記帯電部材に接触して前記帯電部材表面をクリーニングし、
多孔質構造を有し、前記多孔質構造における各孔の直径の標準偏差が1以下であり、かつ前記多孔質構造において隣り合う孔同士の中心間距離の標準偏差が1以下である多孔質体を、前記帯電部材との接触部に備えるクリーニング部材。
請求項2に係る発明は、
前記多孔質体における前記多孔質構造は、各孔が規則性を持った配列を有する請求項1に記載のクリーニング部材。
請求項3に係る発明は、
前記多孔質体における前記規則性を持った配列は、1つの孔を6つの孔が六角形状に囲んだ構造が並んだ配列である請求項2に記載のクリーニング部材。
請求項4に係る発明は、
前記多孔質体が熱可塑性エラストマーを含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のクリーニング部材。
請求項5に係る発明は、
円筒状の芯体と、前記芯体の外周に樹脂基材層と、前記樹脂基材層の外周に前記多孔質体と、を備え、形状がロール状である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のクリーニング部材。
請求項6に係る発明は、
前記樹脂基材層と前記多孔質体との積層体が、前記芯体の外周面上において、前記芯体の軸方向の一端から他端にかけて螺旋状に配置された構造を有する請求項5に記載のクリーニング部材。
請求項7に係る発明は、
シート状の基材と、前記基材上に前記多孔質体と、を備え、形状がシート状である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のクリーニング部材。
請求項8に係る発明は、
像保持体の表面を帯電させる帯電部材と、
前記帯電部材に接触して前記帯電部材表面をクリーニングする、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のクリーニング部材と、を備える帯電装置。
請求項9に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段であって、請求項8に記載の帯電装置を有する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
請求項1、2、3、4、5又は6に係る発明によれば、多孔質体における多孔質構造の各孔の直径の標準偏差が1を超えるとの要件、及び隣り合う孔同士の中心間距離の標準偏差が1を超えるとの要件の少なくとも一方を満たす場合に比べ、画像形成が繰り返された後における帯電部材表面でのクリーニングムラが抑制されたクリーニング部材が提供される。
請求項7、又は8に係る発明によれば、帯電部材用のクリーニング部材として、帯電部材との接触部に多孔質体を有し、かつ多孔質体における多孔質構造の各孔の直径の標準偏差が1を超えるとの要件、及び隣り合う孔同士の中心間距離の標準偏差が1を超えるとの要件の少なくとも一方を満たすクリーニング部材のみを備える場合に比べ、画像形成が繰り返された後における画像の濃度ムラの発生が抑制された帯電装置、又は画像形成装置が提供される。
本実施形態に係る多孔質膜の構成の一例を示す概略平面図である。 図1のa−a線概略断面図である。 図1のb−b線概略断面図である。 支持体上に熱可塑性エラストマーを含む溶液の膜が形成された状態を示す概略図である。 膜中の有機溶媒が揮発する状態を示す概略図である。 膜中の液滴から水分が揮発する状態を示す概略図である。 本実施形態に係るクリーニング部材を示す概略斜視図である。 本実施形態に係るクリーニング部材を示す概略側面図である。 本実施形態に係るクリーニング部材における多孔質体及び樹脂基材層を示す拡大断面図である。 (A)乃至(C)は本実施形態に係るクリーニング部材の製造方法の一例を示す工程図である。 本実施形態に係るクリーニング部材の他の一例を示す概略斜視図である。 本実施形態に係るクリーニング部材を用いた電子写真画像形成装置を示す概略構成図である。 本実施形態に係るクリーニング部材を用いたプロセスカートリッジを示す概略構成図である。 図10及び図11における帯電部材(帯電装置)周辺部分を拡大した概略構成図である。 本実施形態の他の一例に係るクリーニング部材を用いた電子写真画像形成装置の帯電部材(帯電装置)周辺部分を拡大した概略構成図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<クリーニング部材>
本実施形態に係るクリーニング部材は、像保持体、及び前記像保持体の表面を帯電させる帯電部材を備える画像形成装置において、前記帯電部材に接触して前記帯電部材表面をクリーニングするクリーニング部材である。
そして、前記帯電部材との接触部に多孔質構造を有する多孔質体を備え、この多孔質体は、前記多孔質構造における各孔の直径(孔径)の標準偏差が1以下であり、かつ前記多孔質構造において隣り合う孔同士の中心間距離(孔間隔)の標準偏差が1以下である。
なお、本実施形態においては、前記多孔質体が少なくとも帯電部材との接触部を構成する表面に複数の孔を有する多孔質構造を有し、かつこの表面における各孔が前記孔径の標準偏差及び前記孔間隔の標準偏差の要件を満たせばよい。
本実施形態によれば、クリーニング部材が上記の構成を有することにより、画像形成が繰り返された後においても帯電部材表面におけるクリーニングのムラが抑制される。その結果、画像の濃度ムラの発生が抑制される。
この効果が奏される理由は、以下のように推察される。
孔径の標準偏差及び孔間隔の標準偏差が前記範囲である多孔質体は、多孔質構造における各孔が規則的に配列していること、かつ孔径分布が狭くつまり孔径の大きさが揃っていることを表している。
ここで、孔径の標準偏差が前記の範囲を外れ、つまり孔径分布が広く孔径の大きさが不揃いであると、多孔質体における孔の部分が帯電部材へ接触する際、孔ごとに接触のし方や接触による圧力等に差が生じることとなる。そのため、帯電部材はクリーニング部材の接触する箇所によってクリーニングのされ方に差が生じるものと考えられ、その結果クリーニング性にムラが生じる。
また、孔間隔の標準偏差が前記の範囲を外れ、つまり各孔の配列が不規則的であると、多孔質体が帯電部材へ接触する際、箇所によって孔の部分が接触する頻度が異なる。そのため、帯電部材はクリーニング部材の接触する箇所によってクリーニングのされ方に差が生じるものと考えられ、その結果クリーニング性にムラが生じる。
これらのクリーニング性のムラによって、画像形成が繰り返された後においては、帯電部材の表面にトナー外添剤等のクリーニング対象物が筋状に蓄積することがある。
これに対し、本実施形態に係るクリーニング部材は、孔径の標準偏差及び孔間隔の標準偏差が前記範囲を満たし、つまり孔径分布が狭く孔径の大きさが揃っており、かつ各孔が規則的に配列している。そのため、多孔質体が帯電部材へ接触する際、孔ごとの接触のし方(例えば孔におけるどの部分がより強く接触するかなど)の違いや、接触圧力の差が小さくなり、各孔ごとの接触条件の均一性が高められる。また、帯電部材の表面における孔が接触する頻度の均一性も高められる。その結果、クリーニング部材の接触位置によるクリーニング性能の差の発生が抑制され、クリーニングムラの発生を低減し得るものと考えられる。
また、多孔質体を帯電部材に接触させてクリーニングを行う場合、クリーニング対象物であるトナー外添剤等が、多孔質体の表面に存在する孔に取り込まれる。孔に取り込まれたトナー外添剤等は、孔中で蓄積することで凝集されて凝集塊となり、この凝集塊が孔から吐き出されて帯電部材表面に再び移行し、その後別のクリーニング装置等で回収される、との機構によってもクリーニングが行われる。
本実施形態に係るクリーニング部材は、前記の通り孔径の標準偏差及び孔間隔の標準偏差が前記範囲を満たし、つまり孔径分布が狭く孔径の大きさが揃っており、かつ各孔が規則的に配列している。そのため、上記クリーニング対象物の孔への取り込みの頻度もクリーニング部材の接触位置の違いによる差が小さくなり、つまり均一に近い状態で前記取り込みが行われる。その結果、孔への取り込み後の凝集及び吐き出しも、各孔ごとに高い均一性で行われる。よって、この観点からもクリーニング性能のクリーニング部材の接触位置による差が抑制され、クリーニングムラの発生を低減し得るものと考えられる。
−多孔質体−
次いで、本実施形態に係るクリーニング部材において帯電部材との接触部を構成し、多孔質構造を有する多孔質体について説明する。
・孔の直径(孔径)
多孔質体は、各孔の直径(孔径)の標準偏差が1以下である。この孔径の標準偏差は、さらに0.7以下であることが好ましく、0.3以下であることがより好ましい。
孔径の標準偏差が上記範囲であることは、孔径分布が狭くつまり孔径の大きさが揃っていることの指標といえる。孔径の標準偏差が上記範囲を超える多孔質体では、画像形成が繰り返された後において帯電部材表面にクリーニングのムラが生じる。
孔の平均直径(孔径)は、1μm以上100μm以下であることが好ましく、1μm以上50μm以下であることがより好ましく、1μm以上20μm以下であることがさらに好ましく、5μm以上20μm以下であることがさらに好ましい。
特に、平均孔径が1μm以上であることで、帯電部材表面のクリーニング性が向上する。一方、平均孔径が20μm以下であることで、効率的にトナーおよび外添材が孔に捕集されるとの利点が得られる。
・孔同士の中心間距離(孔間隔)
多孔質体は、隣り合う孔同士の中心間距離(孔間隔)の標準偏差が1以下である。この孔間隔の標準偏差は、さらに0.7以下であることが好ましく、0.3以下であることがより好ましい。
孔間隔の標準偏差が上記範囲であることは、多孔質構造における各孔が規則的に配列していることの指標といえる。孔間隔の標準偏差が上記範囲を超える多孔質体では、画像形成が繰り返された後において帯電部材表面にクリーニングのムラが生じる。
隣り合う孔同士の平均孔間隔(中心間距離)は、0.1μm以上50μm以下であることが好ましく、0.3μm以上30μm以下であることがより好ましく、0.5μm以上10μm以下であることがさらに好ましい。
特に、平均孔間隔が10μm以下であることで、帯電部材表面のクリーニング性が向上する。一方、平均径が0.5μm以上であることで、孔形状の強度が確保されるとの利点が得られる。
なお、多孔質体における各孔の直径(孔径)、隣り合う孔同士の中心間距離(孔間隔)、及びこれらの標準偏差の算出は、光学顕微鏡、マイクロスコープ等で写真撮影し、それぞれの項目について20点測定し、その測定値から標準偏差を求めることで行なわれる。
各孔の直径(孔径)、隣り合う孔同士の中心間距離(孔間隔)、及びこれらの標準偏差が前記範囲を満たす多孔質体の製造については、後に詳述する。
・孔の配列
多孔質構造における各孔の配列は、各孔が規則性を持って配列されていることが好ましい。
なお、規則性を持った配列とは、各孔が一切の規則性を持たずにばらばらに散在している状態ではないことを表し、具体的な孔の配列としては、隣り合う全ての孔を中心点で結んだ場合に、3つ以上の複数の孔が結ばれた多角形状(例えば三角形状、四角形状、五角形状、六角形状等)の構造が存在しかつこれと同じ数(角)の多角形状の構造が複数並んだ配列(例えば六角形状の孔が複数並んだ配列等)が挙げられる。また、隣り合う全ての孔を中心点で結んだ場合に、1つの孔を3つ以上の複数の孔が多角形状(例えば三角形状、四角形状、五角形状、六角形状等)に囲んだ構造が存在しかつこれと同じ形状(1つの孔を同じ数(角)の孔が多角形状に囲んだ構造)が複数並んだ配列(例えば1つの孔を6つの孔が六角形状に囲んだ構造が複数並んだ配列等)が挙げられる。
これらの配列の中でも、1つの孔を6つの孔が六角形状に囲んだ構造が複数並んだ配列(以下、この構造を「ハニカム構造」と称す)が好ましい。
ここで、添付の図面を参照しながら、本実施形態に係る多孔質体の構造について具体的に説明する。
図1は、本実施形態に係る多孔質体10の構造の一例を概略的に示している。また、図2は図1におけるa−a線概略断面図であり、図3は図1におけるb−b線概略断面図である。この多孔質体10は、表面に複数の孔12がハニカム状に配列された構造(ハニカム構造、つまり1つの孔を6つの孔が六角形状に取り囲みかつこの1つの孔と六角形状の6つの孔とが規則的に配列される構造)を有する。そして、各孔の直径(孔径)の標準偏差及び隣り合う孔同士の中心間距離(孔間隔)の標準偏差が、前述の範囲を満たしている。
このような規則的な孔12の配列は、単層の場合には二次元的であり、複層の場合は三次元的にも規則性を有するものでもよい。この規則性は、二次元的には1つの孔12の周囲を複数(例えば、6つ)の孔12が取り囲むように配置され、三次元的には結晶構造の面心立方や六方晶のような構造を取って、孔12が最密充填のように配置することが多いが、製造条件によってはこれら以外の規則性を示すこともある。
本実施形態に係る多孔質体は、孔12が前記の条件を満たしていれば、その作製方法等は特に限定されないが、例えば、図1に示したようなハニカム構造を有する多孔質体10(以下「ハニカム構造膜」とも称す)であれば、自己組織化により好適に作製し得る。
このようなハニカム構造膜(多孔質体)10を製造する方法としては、例えば、熱可塑性エラストマーを含む有機溶媒溶液を支持体(膜形成用支持体、仮支持体)上に付与する工程(溶液付与工程)と、前記支持体上に付与した有機溶媒溶液の膜に液滴を形成させた後、前記有機溶媒及び前記液滴を蒸発させて前記液滴が蒸発した部分に孔が形成された膜とする工程(成膜工程)と、前記膜に含まれる前記熱可塑性エラストマーを架橋又は重合させる工程(架橋・重合工程)とを含む方法が挙げられる。
以下、各工程について具体的に説明する。
・溶液付与工程
まず、多孔質体を構成する有機化合物として熱可塑性エラストマーを含む有機溶媒溶液を支持体(膜形成用支持体、仮支持体)上に付与する。
前記膜形成用支持体は、多孔質体を形成するための仮支持体であり、多孔質体が形成された後には膜形成用支持体から剥離して使用し得る。
膜形成用支持体としては特に制限はなく、目的に応じて選択し得る。例えば、ガラス、金属、シリコンウエハー等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリアミド、ポリエーテル、ポリスチレン、ポリエステルアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリエーテルケトン、ポリフッ化エチレン等の耐有機溶剤性に優れた有機材料;水、流動パラフィン、液状ポリエーテル等の液体、などが挙げられる。
また、支持体の形状は特に限定されず、成膜すべき多孔質体の形状等に応じて決めればよく、例えば平板状の支持体を採用し得る。
(熱可塑性エラストマー)
多孔質体は、熱可塑性エラストマーを含むことが好ましい。
本実施形態でいう熱可塑性エラストマーとは、ゴム状弾性を有する熱可塑性樹脂のことであり、例として、ブタジエン系ポリマー、スチレン−ブタジエン系ポリマー、スチレン−イソプレン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、オレフィン系ポリマー、ウレタン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ニトリル系ポリマー、ポリアミド系ポリマーなどが挙げられる。これらは、溶解性、光学的物性、電気的物性、膜強度、弾性等の観点から、ホモポリマーとしてもよいし、コポリマーやポリマーブレンドの形態をとってもよい。これらのポリマーは2種以上のポリマーの混合物として用いてもよい。
本実施形態で使用する熱可塑性エラストマーとしては、特に、スチレン−イソプレンコポリマー及びスチレン−ブタジエンコポリマーの少なくとも一方を含むことが好ましい。
(両親媒性化合物)
本実施形態に係る多孔質体10を構成する有機化合物としては、上記のような熱可塑性エラストマーだけで膜を形成してもよいが、熱可塑性エラストマーと共に両親媒性化合物を用いることが好ましい。
前記両親媒性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて選択し得る。例えば、両親媒性ポリマーが使用される。
前記両親媒性ポリマーとしては、目的に応じて選択すればよく、例えば、主鎖骨格に対しに疎水性基を有する側鎖(疎水性側鎖)及び親水性基を有する側鎖(親水性側鎖)を併せ持つ両親媒性ポリマー(具体的にはポリアクリルアミドを主鎖骨格とし、疎水性側鎖としてドデシル基、親水性側鎖としてカルボキシル基を併せ持つ両親媒性ポリマー)、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロックコポリマーなどが挙げられる。
前記疎水性側鎖における疎水性基としては、アルキレン基、フェニレン基等の非極性基があり、エステル基、アミド基等の連結基を除いて、末端まで極性基やイオン性解離基などの親水性基を分岐しない構造であることが好ましい。該疎水性側鎖としては、例えば、アルキレン基を用いる場合には4つ以上のメチレンユニットからなることが好ましい。
前記親水性側鎖としては、アルキレン基等の連結部分を介して末端に極性基やイオン性解離基、又はオキシエチレン基などの親水性部分を有する構造であることが好ましい。
前記両親媒性化合物としては、前記両親媒性ポリマー以外のものも使用し得る。前記両親媒性ポリマー以外の両親媒性化合物としては、目的に応じて選択され、例えば界面活性剤などが好ましい。
前記界面活性剤としては、特に制限はないが、例えば、一般式(I)で表される化合物などが挙げられる。

ただし、前記一般式(I)中、Rは脂肪族基、脂環式化合物基、芳香族基、及びヘテロ環基のいずれかを表し、Rは脂肪族基、脂環式化合物基、芳香族基、ヘテロ環基、及び−L−Zのいずれかを表す。Q、Q、及びQはそれぞれ単結合、酸素原子、硫黄原子、及び−N(R)−のいずれかを表し、Rは水素原子及びRのいずれかを表す。Lは2価の連結基を表し、Zはイオン性の基を表す。なお、単結合とは、元素が存在しないことをいう。
前記一般式(I)中、Rで表される脂肪族基としては、例えば、直鎖又は分岐鎖の炭素数1以上40以下の無置換アルキル基、直鎖又は分岐鎖の炭素数1以上40以下の置換アルキル基、直鎖又は分岐鎖の炭素数2以上40以下の無置換アルケニル基、直鎖又は分岐鎖の炭素数2以上40以下の置換アルケニル基、直鎖又は分岐鎖の炭素数2以上40以下の無置換アルキニル基、直鎖又は分岐鎖の炭素数2以上40以下の置換アルキニル基等が好ましい。
前記一般式(I)中、Rで表される脂環式化合物基としては、例えば、置換又は無置換の炭素数3以上40以下のシクロアルキル基、置換又は無置換の炭素数4以上40以下のシクロアルケニル基等が好ましい。
前記芳香族基としては、例えば、置換又は無置換の炭素数6以上50以下のアリール基等が好ましい。
前記一般式(I)中、ヘテロ環基としては、例えば、置換又は無置換の炭素数4以上40以下の環状エーテル基、置換又は無置換の炭素数4以上40以下の含窒素環基等が好ましい。
これらの中でも、炭素数1以上24以下の、直鎖、環状、又は分岐鎖の無置換アルキル基、置換基の炭素数を除いた炭素数が1以上24以下の、直鎖、環状、又は分岐鎖の置換アルキル基、炭素数2以上24以下の、直鎖、環状、又は分岐鎖の無置換アルケニル基、炭素数2以上24以下の、直鎖、環状、又は分岐鎖の置換アルケニル基、炭素数6以上30以下の置換又は無置換のアリール基が特に好ましい。
前記一般式(I)中、Q、Q、及びQとしては、単結合、酸素原子、又は−N(R)−が好ましく、Q、Q、及びQの内の少なくとも2つ以上が酸素原子であることが特に好ましい。
前記一般式(I)中、Lとしては、下記一般式(II)で表される基が好ましい。

ただし、前記一般式(II)中、Y、Y、及びYは、それぞれ同じであっても異なっていてもよく、炭素数1以上40以下の置換又は無置換のアルキレン基、及び炭素数6以上40以下の置換又は無置換のアリーレン基のいずれかを表す。J、J、及びJは、それぞれ同じであっても異なっていてもよい2価の結合ユニットを表す。p、q、及びrは、それぞれ独立に、0以上5以下の整数を表す。sは、1以上10以下の整数を表す。a及びbは、それぞれ独立に、0以上50以下の整数を表す。
前記Y、Y、及びYにおける置換基としては、例えば、前記一般式(I)におけるRで例示した基の2価の基が挙げられる。具体的に、アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、1,4−シクロヘキシレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、2−メトキシ−1,3−プロピレン基等が好ましく、アリーレン基としては、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、3−クロロ−1,4−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基等が好ましい。これらの中でも、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、1,4−シクロヘキシレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基が特に好ましい。
前記J、J、及びJにおける2価の結合ユニットとしては、例えば、単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CON(R)−、−N(R)CO−、−CON(R)CO−、−N(R)CON(R)−、−OCON(R4)−、−N(R)COO−、−SO−、−SON(R)−、−N(R)SO−、−N(COR)−、−OP(=O)(OR)O−等が好ましい。なお、これらにおいて、Rは前記一般式(I)におけるのと同じ意を表し、Rは水素原子、炭素数1以上6以下の無置換アルキル基、及び置換基の炭素数を除いた炭素数が1以上6以下の置換アルキル基のいずれかを表し、RはRと同じ意を表すがそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。前記R及びRに置換し得る置換基としては、アリール基、アルコキシル基、ハロゲン原子等が挙げられる。
これらの中では、単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CON(R)−(Rは水素原子、メチル基、エチル基、又はプロピル基を表す。)、−N(R)CO−、−SON(R)−、−N(R)SO−等が特に好ましい。
前記p、q、及びrとしては、それぞれ独立に、0以上3以下の整数が好ましく、0又は1の整数が特に好ましい。前記sとしては、1以上5以下の整数が好ましく、1以上3以下の整数が特に好ましい。前記a及びbとしては、それぞれ独立に、0以上20以下の整数が好ましく、0以上10以下の整数が特に好ましい。
前記一般式(I)中、Zとしては、親水性のアニオン性又はカチオン性のイオン性基が好ましく、アニオン性基が特に好ましい。
前記アニオン性基としては、−COOM、−SOM、−OSOM、−PO(OM)−OPO(OM)が特に好ましい。なお、前記Mは、対カチオンを表し、第1族元素イオン(例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)、第2族元素イオン(例えば、マグネシウムイオン、カルシウムイオン等)、及びアンモニウムイオンのいずれかが好ましい。これらの中でも、ナトリウムイオン、カリウムイオンが特に好ましい。
前記カチオン性基としては、例えば、−NH ・X、−NH(R、−NH(R ・X、−N(R ・Xが挙げられる。
前記Rとしては、炭素数1以上3以下のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、2−ヒドロキシエチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基等)を表し、メチル基、2−ヒドロキシエチル基が好ましい。
前記Xとしては、対アニオンを表し、例えば、ハロゲンイオン(例えば、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン等)、複合無機アニオン(例えば、水酸化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、燐酸イオン等)、及び有機化合物アニオン(例えば、シュウ酸イオン、蟻酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン等)が好ましく、塩素イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、酢酸イオンが特に好ましい。
前記一般式(I)中、Rとしては、例えば、上記Rで例示した基、上記−L−Zで例示した基の中から選ばれる一価の基が挙げられる。Rで例示した基から選択される場合は、同一分子内に存在するRと同一構造であっても異なった構造であってもよい。また、−L−Zで例示した基から選択される場合も、同一分子内に存在する−L−Zと同一構造であっても異なった構造であってもよい。これらの中でも、Rで例示した基から選択される場合が特に好ましい。更に、RとRとの炭素数の合計が6以上80以下になることが好ましく、8以上50以下になる場合が特に好ましい。
また、前記疎水性側鎖と前記親水性側鎖との比率は、その大きさや非極性、極性の強さ、疎水性有機溶媒の疎水性の強さなどに応じて異なり一概には規定できないが、ユニット比(疎水性側鎖/親水性側鎖)は9.9/0.1乃至5.0/5.0が好ましい。また、コポリマーの場合、疎水性側鎖の親水性側鎖の交互重合体よりも、疎水性溶媒への溶解性に影響しない範囲で疎水性側鎖と親水性側鎖がブロックを形成するブロックコポリマーであることが好ましい。
前記熱可塑性エラストマー及び前記両親媒性化合物の数平均分子量(Mn)は、5,000以上10,000,000以下が好ましく、8,000以上1,000,000以下がより好ましい。
前記熱可塑性エラストマーと前記両親媒性化合物との組成比率(質量比率)は、前記両親媒性化合物が両親媒性ポリマーである場合は、99.9:0.1乃至25:75が好ましく、95:5乃至50:50がより好ましい。特に、両親媒性化合物の比率を0.1質量%以上とすれば、ハニカム構造がより容易に得られる。一方、両親媒性化合物の比率が50質量%以下とすることで、膜の安定性、特に力学的な安定性が得られる。
前記両親媒性化合物が両親媒性ポリマーでない場合は、前記熱可塑性エラストマーと前記両親媒性化合物との組成比率(質量比率)は、99.9:0.1乃至80:20が好ましい。前記両親媒性化合物の比率を0.1質量%以上とすれば、ハニカム構造をより容易に得られる。一方、前記両親媒性化合物の比率を20質量%以下とすれば、膜強度の低下が抑制される。
有機溶媒溶液中の熱可塑性エラストマーと両親媒性ポリマーの両者を合わせたポリマー濃度は0.02質量%以上20質量%以下が好ましく、0.05質量%以上10質量%以下がより好ましい。前記ポリマー濃度が0.02質量%以上であれば、得られる多孔質体10の力学強度が得られ、また孔12のサイズの均一性や配列の均一性を高められ、孔径の標準偏差及び孔間隔の標準偏差を前述の範囲に容易に制御し得る。一方、20質量%以下とすることで、ハニカム構造が容易に得られる。
(多官能モノマー)
本実施形態に係る多孔質体10を構成する材料として、前記熱可塑性エラストマー(又は前記熱可塑性エラストマー及び前記両親媒性ポリマー)に加え多官能モノマーを使用してもよい。
上記多官能モノマーとしては、反応性の点から多官能(メタ)アクリレートが好ましい。前記多官能(メタ)アクリレートの例としては、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールカプロラクトン付加物へキサアクリレート又はこれらの変性物、エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、ウレタンアクリレートオリゴマー、N−ビニル−2−ピロリドン、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、又はこれらの変性物などが使用される。また、これらの多官能モノマーは耐擦傷性と柔軟性のバランスから、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記両親媒性ポリマーが分子内に重合性基を有する重合性(架橋性)ポリマーである場合には、前記熱可塑性エラストマー及び前記両親媒性ポリマーの重合性基と反応しうる重合性の多官能モノマーを併用することも好ましい。
前記エチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、例えば、光ラジカル重合開始剤又は熱ラジカル重合開始剤の存在下、電離放射線の照射又は加熱によって行い得る。
(光ラジカル重合開始剤)
光ラジカル重合開始剤としては、特に制限がなく、例えば、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−アルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族スルホニウム類が挙げられる。
前記アセトフェノン類としては、例えば、2,2−エトキシアセトフェノン、p−メチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンなどが挙げられる。
前記ベンゾイン類としては、例えば、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどが挙げられる。
前記ベンゾフェノン類としては、例えば、ベンゾフェノン、2,4−クロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、p−クロロベンゾフェノンなどが挙げられる。
前記ホスフィンオキシド類としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドなどが挙げられる。
前記光ラジカル重合開始剤としては、最新UV硬化技術(P.159,発行人;高薄一弘,発行所;(株)技術情報協会,1991年発行)にも種々の例が記載されており、ここに記載されているものを使用してもよい。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、BASF社製のイルガキュア(登録商標)(651,184,907)等が好ましい例として挙げられる。
前記光ラジカル重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1質量部以上15質量部以下の範囲で使用することが好ましく、1質量部以上10質量部以下の範囲で使用することがより好ましい。
なお、前記光ラジカル重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーのケトン、チオキサントン、などが挙げられる。
(熱ラジカル重合開始剤)
熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物、無機過酸化物、有機アゾ化合物、有機ジアゾ化合物、などが用い得る。
具体的には、前記有機過酸化物としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシドなどが挙げられる。前記無機過酸化物としては、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等が挙げられる。前記アゾ化合物としては、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(プロピオニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等が挙げられる。前記ジアゾ化合物としては、ジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
(溶媒)
上記のような熱可塑性エラストマー等を含む有機化合物を溶解した有機溶媒溶液を支持体上に付与し、このポリマー溶液に微小な水滴粒子を形成させて成膜することで、図1に示したような多孔質体(ハニカム構造膜)が作製される。
上記の水滴粒子を形成させるため、溶媒は非水溶性であることが好ましい。該非水溶性溶媒としては、例えば、パーフルオロベンゼン、テトラクロロジフルオロエタン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル等のフッ素系有機溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン系有機溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;メチルイソブチルケトン等の非水溶性ケトン類;ジエチルエーテル等のエーテル類;二硫化炭素、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、又はこれらの溶媒を組み合わせた混合溶媒として使用しても構わない。
上記有機溶媒溶液を支持体上に付与する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、スライド法、エクストリュージョン法、バー法、グラビア法、などが挙げられる。また、支持体を前記有機溶媒溶液中に浸漬させて支持体表面上に有機溶媒溶液を付与してもよい。
・成膜工程
前記支持体上に付与した有機溶媒溶液の膜に液滴を形成させた後、前記有機溶媒及び前記液滴を蒸発させて前記液滴が蒸発した部分に孔12が形成された膜とする。
図4A〜図4Cは、成膜工程を模式的に示している。
熱可塑性エラストマーを含む有機溶媒溶液を支持体46上に塗布した後、有機溶媒溶液の液膜40に液滴を形成させるための結露工程を施す。ここで、支持体46上の液膜40の表面温度は、塗布後、液膜40上又は液膜40中に形成される水滴44が凝固することを防ぐため、0℃以上に制御することが好ましい。
図4Aに示すように、結露工程では、風中の水分42が液膜40上で結露して液滴44となる。このように液膜40の表面に液滴44を形成して成膜を行う環境としては、相対湿度が40%以上95%以下の範囲にあることが好ましい。前記相対湿度を40%以上とすれば、液滴44の凝結が容易に行なえ、また95%以下であれば、環境の制御が容易であり、均一性高く成膜し得る。
また、前記成膜を行う環境として、相対湿度のほかに風量が均一に近い定常風を当てることが好ましい。風速は0.05m/s以上20m/s以下が好ましい。前記風速が0.05m/s以上であれば、環境の制御が容易であり、また、20m/s以下であれば、支持体46上に付与した溶液の表面の乱れが発生することを抑制し、均一性の高い膜を得やすい。
また、定常風を当てる方向は、支持体面に対して0°以上90°以下のいずれの方向であっても製造し得るが、ハニカム構造の均一性を高めるためには0°以上60°以下が好ましい。
成膜の際に液膜40上に送り込む気体としては、例えば、空気のほか、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスを用いてもよい。なお、基体に対して事前にフィルターを通過させるなどの除塵処置を施すことが好ましい。雰囲気中の塵は水蒸気の凝結核となって成膜に影響を及ぼすため、製造現場(周囲)にも除塵設備等を設置することが好ましい。
成膜を行う環境は、市販の定露点湿度発生装置等を用いるなどして厳密に管理することが好ましい。風量は送風装置等で均一に近い状態に制御し、外気による影響を防ぐために閉鎖された空間を用いることが好ましい。また、室内は気体が層流にて置換されるよう気体の導入出路及び成膜環境を設定しておくことが好ましい。更に、膜の品質を管理するために温度、湿度、流量等の計測器による観測を行うことが好ましい。これらの特性(特に湿度、流量)を管理することで、孔径及び膜厚を高精度に制御し得る。
図4Bに示すように、乾燥工程で乾燥風が液膜(高分子膜)40に送られると、有機溶媒48が高分子膜40より揮発する。このとき、液滴44からも水分が揮発するが、有機溶媒48の揮発速度の方が速い。そのため、液滴44は、有機溶媒48の揮発に伴い表面張力により均一性の高い形態となる。
更に乾燥が進行すると、図4Cに示すように高分子膜40中の液滴44が水蒸気50として揮発する。高分子膜40中から液滴44が蒸発すると、液滴44が蒸発した部分に孔12が形成され、図1〜図3に示した規則性を持った配列の孔を有する多孔質構造(例えばハニカム構造)の多孔質体10が得られる。
なお、本実施形態に係る多孔質体(ハニカム構造膜)10の形態は特に限定されるものではないが、上記のように結露によって液滴を形成した後、液滴等を蒸発させる方法によれば、結露や乾燥の条件を制御することにより、隣接する孔12の距離(孔間隔)や孔の直径(孔径)、それらの標準偏差を前述の範囲に制御し得る。
また、多孔質体(ハニカム構造膜)10の厚みTも特に限定されず、クリーニング部材の態様等に応じて決めればよいが、強度、取り扱い性等の点から、通常は0.1μm以上1.0mm以下が好ましい。
上記のような方法によれば、図1〜図3に示したように、孔12が多孔質体10の厚み方向に規則正しく貫通し、さらに、隣接する貫通孔12同士が多孔質体10の面内方向にも貫通した多孔質体(ハニカム構造膜)10が得られる。
なお、本実施形態に係る多孔質体10の構造はこのような構造に限定されず、例えば各孔12が膜の片面のみで開口している構造としてもよい。例えば、膜の材料となるポリマー濃度を高めることにより、膜の片面(支持体側)では、各孔12が貫通していない肉厚の層が設けられる。この場合、膜の片面側に形成される肉厚の層の厚みは例えば500μm以下としてもよい。
・架橋・重合工程
上記のように多数の孔12を有する多孔質体10を形成した後、多孔質体10に含まれている熱可塑性エラストマーを架橋又は重合させる。
前記の工程により成膜した多孔質体10に対し、例えば電子線、紫外線等を照射することにより、膜本体14を構成している熱可塑性エラストマーが架橋又は重合される。
電子線又は紫外線の線量は、10mJ/cm以上3000mJ/cm以下の範囲が好ましい。電子線又は紫外線の線量が、10mJ/cm以上であれば、熱可塑性エラストマーの架橋又は重合が良好に進行し、また3000mJ/cm以下であれば、ポリマーの分解が抑制され、強度の高い多孔質体が得られる。
ここで、多孔質体10に含まれている熱可塑性エラストマーは50%以上を架橋又は重合させることが好ましい。多孔質体10に含まれる熱可塑性エラストマーの架橋度が50%以上となると破断強度が上昇し、架橋又は重合していないものに比べ、延伸したときの伸び率を保ったまま、破断時の強度を例えば1.5倍以上に高められる。そのため、多孔質体10中の熱可塑性エラストマーの架橋度は、50%以上であることが好ましく、65%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。
なお、本実施形態における熱可塑性エラストマーの架橋度とは、架橋前熱可塑性エラストマーの良溶媒に対し、架橋後の溶解しない部分の質量百分率のことをいう。多孔質体10に含まれている熱可塑性エラストマーの架橋又は重合の度合いは、例えば照射する電子線又は紫外線の線量等により制御し得る。
また、本実施形態に係る多孔質体10は、その面方向に延伸した時の引張弾性率が20MPa以上2GPa以下であることが好ましく、100MPa以上2GPa以下であることがより好ましく、200MPa以上1.5GPa以下であることがさらに好ましい。上記引張弾性率が20MPa以上であれば、延伸後、多孔質の構造(例えばハニカム構造)が崩れることが抑制される。また、上記引張弾性率が2GPa以下であれば、柔軟性が高く、延伸時の伸び率の低下が抑制される。
上記の引張弾性率については、例えば、前記した熱可塑性エラストマーの架橋又は重合の割合により制御し得る。一般的に、多孔質体10中の熱可塑性エラストマーの架橋度を高くすれば引張弾性率も高くなり、架橋度を低くすれば引張弾性率も低くなる。なお、上記引張弾性率は、面方向での引張荷重を、膜厚測定機(MITUTOYO社製、DIGIMATIC MICROMETER)で測定した膜厚から算出される、見かけの断面積で割ることにより導出し得る。
以上の工程を経て製造された多孔質体10は、膜本体14を構成している熱可塑性エラストマーの一部が架橋又は重合されており、高い弾性及び柔軟性を保持するとともに、機械的強度も高い多孔質体10となる。また、上記のような方法によれば、特別な装置や手段を用いることなく、高品質な多孔質体10を容易に製造し得る。
−クリーニング部材の態様−
本実施形態に係るクリーニング部材は、帯電部材との接触部に前記多孔質体を備えていればよく、他の態様は特に限定されない。具体的には、ロール状のクリーニング部材、シート状のクリーニング部材等が挙げられる。
(ロール状クリーニング部材)
ロール状クリーニング部材としては、例えば、円筒状の芯体と、前記芯体の外周に樹脂基材層と、前記樹脂基材層の外周に前記多孔質体と、を備え、形状がロール状であるクリーニング部材が挙げられる。
なお、芯体の外周面上に設けられる樹脂基材層及び多孔質体は、芯体の外周面の一部を覆うよう芯体の軸方向の一端から他端にかけて螺旋状に巻き付いた構造であってもよいし、芯体の外周面のうち帯電部材と接触する領域を全面覆うように円筒状に巻き付いた構造であってもよい。
・樹脂基材層及び多孔質体が螺旋状に巻き付いたロール状クリーニング部材
ここで、芯体の外周面の一部を覆うよう芯体の軸方向の一端から他端にかけて樹脂基材層及び多孔質体が螺旋状に巻き付いたロール状クリーニング部材(以下単に「螺旋状クリーニング部材」とも称す)を例に挙げて、ロール状クリーニング部材を説明する。
図5は、本実施形態に係る螺旋状クリーニング部材を示す概略斜視図である。図6は、本実施形態に係る螺旋状クリーニング部材の概略平面図である。図7は、本実施形態に係る螺旋状クリーニング部材における多孔質体及び樹脂基材層を示す拡大断面図である。
なお、図7は、図5のA−A断面図、つまり、多孔質体及び樹脂基材層の螺旋方向に対して直交方向に沿った断面図である。
本実施形態に係る螺旋状クリーニング部材100は、図5〜図7に示すように、芯体100Aと、樹脂基材層100Cと、多孔質体100Bと、を備えたロール状の部材である。
多孔質体100B及び樹脂基材層100Cは、芯体の外周面に、芯体の一端から他端にかけて、短冊状の多孔質体100B及び樹脂基材層100C(以下、この両者を指して「短冊状部材」と称する)が螺旋状に巻き回されて形成されている。具体的には、短冊状部材(多孔質体100B及び樹脂基材層100C)は、芯体100Aの一端から他端にかけて、芯体100Aを螺旋軸とし、短冊状部材を間隔を持って螺旋状に巻き回された状態で配置されている。
ここで、短冊状部材を芯体100Aに巻き付けて、芯体100Aの外周面に短冊状部材(多孔質体100B及び樹脂基材層100C)を螺旋状に配置する場合、芯体100Aの外周面に短冊状部材を巻き付ける際に、その長手方向(巻き付け方向)に予め定められた張力を付与することが好ましい。
以下、各部材について説明する。
・芯体
芯体100Aに用いる材質としては、金属(例えば、快削鋼又はステンレス鋼等)、又は樹脂(例えば、ポリアセタール樹脂(POM)等)が挙げられる。なお、材質及び表面処理方法等は目的に応じ選択するのが好ましい。
特に、芯体100Aが金属で構成される場合メッキ処理を施すのが好ましい。また、樹脂等で導電性を有さない材質の場合、メッキ処理等の一般的な処理により加工して導電化処理を行ってもよいし、そのまま使用してもよい。
・接着層
芯体100Aと樹脂基材層100Cとの間に、接着層を介してもよい。
接着層としては、芯体100Aと樹脂基材層100Cとを接着し得るものであれば、特に制限はないが、例えば、両面テープ、その他接着剤により構成される。
・樹脂基材層
樹脂基材層100Cの材料としては、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリプロピレン等の樹脂材料、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、エピクロルヒドリンゴム(ECO)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、塩素化ポリイソプレンゴム、イソプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、水素添加ポリブタジエンゴム、ブチルゴム等のゴム材料等が挙げられ、これらを1種類又は2種類以上ブレンドしてなる材料が挙げられる。
これらの中でも、耐久性、接着性の観点で、ポリイミド、又はポリウレタンがより好ましい。
また、樹脂基材層100Cには、添加剤を添加してもよく、例えば触媒、硬化剤、可塑剤、及び加硫促進剤等の添加剤が挙げられる。
・短冊状部材(多孔質体及び樹脂基材層)
短冊状部材(多孔質体100B及び樹脂基材層100C)は、螺旋状に配置されているが、具体的には、螺旋角度θが10°以上65°以下(好ましくは20°以上50°以下)、螺旋幅R1が3mm以上25mm以下(好ましくは3mm以上10mm以下)であることがよい。また、螺旋ピッチR2がmm以上25mm以下(好ましくは15mm以上22mm以下)であることがよい。
短冊状部材は、被覆率(短冊状部材の螺旋幅R1/[短冊状部材の螺旋幅R1+短冊状部材の螺旋ピッチR2:(R1+R2)])は、20%以上70%以下であることがよく、好ましくは25%以上55%以下である。
この被覆率を70%以下とすることで、短冊状部材における多孔質体100Bが被クリーニング部材に接触する時間が短縮され、クリーニング部材の表面に付着する付着物が被クリーニング部材へ再汚染する傾向を低減し得る。一方、被覆率が20%以上であることで、短冊状部材の厚み(肉厚)が安定し、清掃能力を向上し得る。
なお、図6に示すように、螺旋角度θとは、短冊状部材の長手方向P(螺旋方向)とクリーニング部材の軸方向Q(芯体軸方向)とが交差する角度(鋭角)を意味する。
螺旋幅R1とは、短冊状部材の、螺旋状クリーニング部材100の軸方向Q(芯体軸方向)に沿った長さを意味する。
螺旋ピッチR2とは、短冊状部材の、螺旋状クリーニング部材100の軸方向Q(芯体軸方向)に沿った、隣合う短冊状部材間の長さを意味する。
多孔質体100Bの厚み(幅方向中央部での厚み)は、例えば、1μm以上20μm以下がよく、好ましくは2μm以上10μm以下であり、より好ましくは3μm以上10μm以下である。
特に、多孔質体100Bの厚みが1μm以上であることで、多孔質体100Bの強度が得られ多孔質体100Bが有する孔の形状が安定し、清掃能力を向上し得る。一方、多孔質体100Bの厚みが10μm以下であることで、捕集したトナー、外添剤のはきだし性を向上し得る。
樹脂基材層100Cの厚み(幅方向中央部での厚み)は、例えば、10μm以上300μm以下がよく、好ましくは15μm以上200μm以下であり、より好ましくは20μm以上150μm以下である。
なお、多孔質体100B及び樹脂基材層100Cの厚みは、例えば、次のようにして測定する。
レーザー測定機(株式会社ミツトヨ社製レーザースキャンマイクロメータ、型式:LSM6200)を用いて、クリーニング部材の周方向は固定した状態で、1mm/sのトラバース速度にてクリーニング部材の長手方向(軸方向)へスキャンさせて多孔質体100B及び樹脂基材層100Cの厚みのプロファイルの測定を行う。その後、周方向に位置をずらし同様の測定を行う(周方向位置は120°間隔、3箇所)。このプロファイルを基に多孔質体100B及び樹脂基材層100Cの厚みの算出を行う。あるいは、シートを裁断し、断面をマイクロスコープで観察し膜厚を測定してもよい。
次に、この短冊状部材(多孔質体100B及び樹脂基材層100C)が芯体100Aの外周上に螺旋状に巻き付けられた螺旋状クリーニング部材100の製造方法について説明する。
図8は、本実施形態に係る螺旋状クリーニング部材100の製造方法の一例を示す工程図である。なお、図8では、樹脂基材層100Cが接着層(両面テープ)100Dを介して芯体100A状に設けられた例を示す。
まず、目的の厚みとなるように加工した多孔質体100B用のシート材及び樹脂基材層100C用のシート材を準備する。この多孔質体100B用のシート材を樹脂基材層100C用のシート材に貼り付け(例えば接着剤を用いて貼り付け)ることで、短冊状部材用のシート材を得る。
次いで、この短冊状部材用のシート状部材の片面に、例えば両面テープ100Dを貼り付けた後、打ち抜き型により当該部材を打ち抜いて、図8(A)に示すように、目的とする幅及び長さの短冊状部材(多孔質体100B及び樹脂基材層100C)を得る。
次に、図8(B)に示すように、両面テープ100Dが付いた面を上方にして短冊状部材を配置し、この状態で両面テープ100Dの剥離紙の一端を剥がし、当該剥離紙を剥離した両面テープ100D上に芯体100Aの一端部を載せる。
次に、図8(C)に示すように、両面テープ100Dの剥離紙を剥がしながら、目的とする速度で芯体100Aを回転させて、芯体100Aの外周面に短冊状部材を螺旋状に巻き付けていき、芯体100Aの外周面に螺旋状に配置された短冊状部材(多孔質体100B及び樹脂基材層100C)を有する螺旋状クリーニング部材100を得る。
ここで、多孔質体100B及び樹脂基材層100Cとなる短冊状部材を芯体100Aに巻き付ける際、芯体100Aの軸方向に対して、短冊状部材の長手方向が目的の角度(螺旋角度)となるように、短冊状部材に位置を合わせればよい。また、芯体100Aの外径は、例えばφ3mm以上φ6mm以下にすることがよい。
短冊状部材を芯体100Aに巻き付ける際に付与する張力は、芯体100Aと短冊状部材の両面テープ100Dとの間に隙間ができない程度であることがよく、過度に張力を付与しないことがよい。具体的には、例えば、元の短冊状部材の長さに対して0%超え5%以下の伸びになる張力とすることがよい。
・樹脂基材層及び多孔質体が円筒状に巻き付いたロール状クリーニング部材
また、本実施形態に係るロール状のクリーニング部材は、芯体の外周面上に設けられる樹脂基材層及び多孔質体が、芯体の外周面のうち帯電部材と接触する領域を全面覆うように円筒状に巻き付けられたロール状クリーニング部材(以下単に「円筒状クリーニング部材」とも称す)であってもよい。
図9は、本実施形態に係る円筒状クリーニング部材を示す概略斜視図である。なお、図9では円筒状クリーニング部材110がロール状の帯電部材14に接触して配置される状態が示されている。
図9に示される円筒状クリーニング部材110は、芯体110Aと、樹脂基材層110Cと、多孔質体110Bと、を備えたロール状の部材である。多孔質体110B及び樹脂基材層110Cは、芯体110Aの外周面のうち帯電部材14と接触する領域を全面覆うように円筒状に配置されている。
また、多孔質体110Bには前述の多孔質体が用いられる。
図9に示される円筒状クリーニング部材110に用いられる芯体110A及び樹脂基材層110Cの材料としては、図5〜図7に示される螺旋状クリーニング部材100Aにおいて芯体100A及び樹脂基材層100Cの材料として挙げた材料が用いられる。好ましい例も同様である。
また、芯体110Aと樹脂基材層110Cとの間に接着層を介してもよく、この接着層としては、螺旋状クリーニング部材100Aにおいて接着層に用いられる前述の材料が用いられる。
多孔質体110Bの厚みは、例えば、1μm以上20μm以下がよく、好ましくは2μm以上10μm以下であり、より好ましくは3μm以上10μm以下である。
特に、多孔質体110Bの厚みが1μm以上であることで、多孔質体110Bの強度が得られ多孔質体110Bが有する孔の形状が安定し、清掃能力を向上し得る。一方、多孔質体110Bの厚みが10μm以下であることで、捕集したトナー、外添剤のはきだし性を向上し得る。
樹脂基材層110Cの厚みは、例えば、10μm以上300μm以下がよく、好ましくは15μm以上200μm以下であり、より好ましくは20μm以上150μm以下である。
(画像形成装置等)
次いで、本実施形態に係るクリーニング部材を用いた画像形成装置について図面に基づいて説明する。
図10は、本実施形態に係るクリーニング部材として、前述の樹脂基材層100C及び多孔質体100Bが芯体100Aに螺旋状に巻き付いたロール状クリーニング部材(螺旋状クリーニング部材)を用いた画像形成装置を示す概略構成図である。
本実施形態に係るクリーニング部材を用いた画像形成装置10は、例えば、図10に示すように、タンデム方式のカラーの画像形成装置である。本実施形態に係るクリーニング部材を用いた画像形成装置10の内部には、感光体(像保持体)12や帯電部材14や現像装置等が、イエロー(18Y)、マゼンタ(18M)、シアン(18C)、及び黒(18K)が各色毎にプロセスカートリッジ(図11参照)として備えられている。このプロセスカートリッジは、画像形成装置10に脱着される構成となっている。
感光体12としては、例えば、表面に有機感材等よりなる感光体層が被覆された直径が25mmの導電性円筒体が用いられ、図示しないモータにより、150mm/secのプロセススピードで回転駆動される。
感光体12の表面は、感光体12表面に配置された帯電部材14によって帯電された後、帯電部材14より感光体12の回転方向下流側に、露光装置16から出射されるレーザービームによって画像露光が施され、画像情報に応じた静電潜像が形成される。
感光体12上に形成された静電潜像は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の現像装置19Y、19M、19C、19Kによって現像され、各色のトナー像となる。
例えば、カラーの画像を形成する場合、各色の感光体12の表面には、帯電、露光、現像の各工程が、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応して行なわれ、各色の感光体12の表面には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応したトナー像が形成される。
感光体12上に順次形成されるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、支持ロール40、42で張力が付与されつつ内周面から支持された用紙搬送ベルト20を介して感光体12と転写装置22が接する箇所にて、感光体12の外周に用紙搬送ベルト20上を搬送される記録用紙24へ転写される。さらに、感光体12上からトナー像が転写された記録用紙24は、定着装置64へと搬送され、この定着装置64によって加熱、加圧されてトナー像が記録用紙24上に定着される。その後、片面プリントの場合には、トナー像が定着された記録用紙24は、排出ロール66によって画像形成装置10の上部に設けられた排出部68上にそのまま排出される。
なお、記録用紙24は、用紙収納容器28から取出ローラ30により取り出され、搬送ロール32、34により用紙搬送ベルト20まで搬送される。
一方、両面プリントの場合には、定着装置64により第一面(表面)にトナー像が定着された記録用紙24を、排出ロール66によって排出部68上にそのまま排出せずに、排出ロール66によって記録用紙24の後端部を狭持した状態で、排出ロール66を逆転させるとともに、記録用紙24の搬送径路を両面用の用紙搬送路70に切り替え、この両面用の用紙搬送路70に配設された搬送ロール72によって、記録用紙24の表裏を反転した状態で、再度、用紙搬送ベルト20上へ搬送して、記録用紙24の第二面(裏面)に感光体12上からトナー像を転写する。そして、記録用紙24の第二面(裏面)のトナー像を定着装置64によって定着させ、記録媒体24(被転写体)を排出部68上に排出する。
なお、トナー像の転写工程が終了した後の感光体12の表面は、感光体12が1回転する毎に、感光体12の表面であって、転写装置22が接する箇所よりも感光体12の回転方向下流側に配置された清掃ブレード80によって、残留トナーや紙粉などが除去され、次の画像形成工程に備えるようになっている。
ここで、図12に示すごとく、帯電部材14は、例えば、導電性芯体14Aの周囲に発泡弾性層14Bが形成されたロールであり、芯体14Aは回転自在に支持されている。帯電部材14の感光体12と反対側には、帯電部材14のクリーニング部材100が接触して、帯電装置(ユニット)を構成している。このクリーニング部材100として、本実施形態に係るクリーニング部材100が用いられる。
ここでは、クリーニング部材100を帯電部材14へ常時接触させ、帯電部材14と従動させて使用する方法に関して説明を行うが、クリーニング部材100は常時接触させて従動による仕様でもよいし、帯電部材14のクリーニング時のみ接触させ従動する仕様でもよい。また、クリーニング部材100は、帯電部材14のクリーニング時のみ接触させ、別駆動により帯電部材14に対して周速差を付けても構わない。
帯電部材14は芯体14Aの両端へ荷重Fをかけて感光体12へ押付け、発泡弾性層14Bの周面に沿って弾性変形してニップ部を形成している。更に、クリーニング部材100は芯体100Aの両端へ荷重F’をかけて帯電部材14へ押付け、多孔質体100B及び樹脂基材層100Cが帯電部材14の周面に沿って弾性変形してニップ部を形成することで、帯電部材14の撓みを抑えて、帯電部材14と感光体12の軸方向のニップ部を形成している。
感光体12は、図示しないモータによって矢印X方向に回転駆動され、感光体12の回転により帯電部材14が矢印Y方向に従動回転する。また、帯電部材14の回転によりクリーニング部材100が矢印Z方向に従動回転する。
−帯電部材の構成−
以下、帯電部材の説明をするが、以下の構成に限定されるものではない。
帯電部材の構成としては、特に限定されるものではないが、例えば、芯体、発泡弾性層、若しくは発泡弾性層の代わりに樹脂層を有する構成が挙げられる。発泡弾性層は単層構成からなるものであってよく、複数の機能を持った複数の異なる層からなる積層構成であってもよい。更には、発泡弾性層の上に表面処理を行ってもよい。
芯体の材質としては快削鋼、ステンレス鋼等を使用し、摺動性等の用途に応じて材質及び表面処理方法は選択するのが好ましい。また、メッキ処理するのが好ましい。導電性を有さない材質の場合、メッキ処理等一般的な処理により加工して導電化処理を行ってもよいし、そのまま使用してもよい。
発泡弾性層は導電性発泡弾性層とするが、導電性発泡弾性層は、例えば、弾性を有するゴム等の弾性材、導電性発泡弾性層の抵抗を調整するカーボンブラックやイオン導電材等の導電材、軟化剤、可塑剤、硬化剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、シリカ又は炭酸カルシウム等の充填剤等、通常ゴムに添加され得る材料を加えてもよい。通常ゴムに添加される材料を添加した混合物を、導電性の芯体の周面に被覆することにより形成される。抵抗値の調整を目的とした導電剤として、マトリックス材に配合されるカーボンブラックやイオン導電剤等の電子及びイオンの少なくとも一方を電荷キャリアとして電気伝導する材料を分散したもの等が用いられる。また、弾性材は発泡体であってもかまわない。
導電性発泡弾性層を構成する弾性材としては、例えばゴム材中に導電剤を分散させることによって形成される。ゴム材としては、例えば、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム及びこれらのブレンドゴムが好適に挙げられる。これらのゴム材は発泡したものであっても無発泡のものであってもよい。
導電剤としては、電子導電剤やイオン導電剤が用いられる。電子導電剤の例としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属又は合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ−酸化アンチモン固溶体、酸化スズ−酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;などの粉末が挙げられる。また、イオン導電剤の例としては、テトラエチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム等のオニウム類の過塩素酸塩、塩素酸塩等;リチウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩等;が挙げられる。
これらの導電剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その添加量は特に制限はないが、電子導電剤の場合は、ゴム材100質量部に対して、1質量部以上60質量部以下の範囲であることが好ましく、一方、イオン導電剤の場合は、ゴム材100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下の範囲であることが好ましい。
帯電部材の表面は、表面層を形成させてもよい。表面層の材料としては、樹脂、ゴム等の何れを用いてもよく特に限定するものではない。例えば、ポリフッ化ビニリデン、4フッ化エチレン共重合体、ポリエステル、ポリイミド、共重合ナイロンが好適に挙げられる。
共重合ナイロンは、610ナイロン、11ナイロン、12ナイロン、の内のいずれか1種又は複数種を重合単位として含むものであって、この共重合体に含まれる他の重合単位としては、6ナイロン、66ナイロン等が挙げられる。ここで、610ナイロン、11ナイロン、12ナイロンよりなる重合単位が共重合体中に含まれる割合は、質量比で合わせて10%以上であるのが好ましい。
高分子材料は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、当該高分子材料の数平均分子量は、1,000以上100,000以下の範囲であることが好ましく、10,000以上50,000以下の範囲であることがより好ましい。
また表面層には導電性材料を含有させ、抵抗値を調整してもよい。該導電性材料としては、粒径が3μm以下であるものが好ましい。
また、抵抗値の調整を目的とした導電剤として、マトリックス材に配合されるカーボンブラックや導電性金属酸化物粒子、あるいはイオン導電剤等の電子及びイオンの少なくとも一方を電荷キャリアとして電気伝導する材料を分散したもの等を用いてもよい。
導電剤のカーボンブラックとして、具体的には、オリオンエンジニアドカーボンズ社製の「スペシャルブラック350」、同「スペシャルブラック100」、同「スペシャルブラック250」、同「スペシャルブラック5」、同「スペシャルブラック4」、同「スペシャルブラック4A」、同「スペシャルブラック550」、同「スペシャルブラック6」、同「カラーブラックFW200」、同「カラーブラックFW2」、同「カラーブラックFW2V」、キャボット社製「MONARCH1000」、同「MONARCH1300」、同「MONARCH1400」、同「MOGUL−L」、同「REGAL400R」等が挙げられる。
カーボンブラックはpH4.0以下が好ましい。
抵抗値を調整するための導電性粒子である導電性金属酸化物粒子は、酸化錫、アンチモンがドープされた酸化錫、酸化亜鉛、アナターゼ型酸化チタン、ITO等の導電性を有した粒子で、電子を電荷キャリアとする導電剤あれば何れも用いることができ、特に限定されるものではない。これらは、単独で用いても2種類以上を併用してもよい。好ましくは酸化錫、アンチモンドープがされた酸化錫、アナターゼ型酸化チタンであり、更に、酸化錫、アンチモンドープがされた酸化錫が好ましい。
さらに、表面層には、フッ素系あるいはシリコーン系の樹脂が好適に用いられる。特に、フッ素変性アクリレートポリマーで構成されることが好ましい。また、表面層の中に粒子を添加してもよい。また、アルミナやシリカ等の絶縁性粒子を添加して、帯電部材の表面に凹部を付与し、感光体との摺擦時の負担を小さくして帯電部材と感光体相互の耐磨耗性を向上させてもよい。
帯電部材の外径としては8mm以上16mm以下が好ましい。また、外径の測定方法としては市販のノギスやレーザー方式外径測定装置を用いて測定される。
帯電部材のマイクロ硬度は45°以上60°以下が好ましい。低硬度化する為には可塑剤添加量を増量する方法、シリコーンゴム等の低硬度の材料を使用する方法等が考えられる。
帯電部材のマイクロ硬度は高分子計器株式会社製MD−1型硬度計にて測定される。
なお、本実施形態に係るクリーニング部材を用いた画像形成装置では、感光体(像保持体)、帯電装置(帯電部材とクリーニング部材とのユニット)、現像装置、清掃ブレード(クリーニング装置)を備えたプロセスカートリッジを説明したが、これに限られず、帯電装置(帯電部材とクリーニング部材とのユニット)を備え、その他必要により、感光体(像保持体)、露光装置、転写装置、及び現像装置、清掃ブレード(クリーニング装置)から選択されるものを備えたプロセスカートリッジとしてもよい。なお、これら装置や部材をカートリッジ化せず、画像形成装置に直接配置した形態であってもよい。
また、本実施形態に係るクリーニング部材を用いた画像形成装置は、上記構成に限られず、中間転写方式の画像形成装置等、周知の画像形成装置を採用してもよい。
また、本実施形態に係るクリーニング部材としては、ロール状のクリーニング部材だけでなく、前述の通りシート状のクリーニング部材等も用い得る。
ここで、シート状のクリーニング部材を用いた画像形成装置用の帯電装置について、図を用いて説明する。
図13は、本実施形態に係るシート状クリーニング部材を用いた電子写真画像形成装置の帯電部材(帯電装置)周辺部分を拡大した概略構成図である。
図13に示されるシート状クリーニング部材120は、帯電部材14へ常時接触するよう固定されている。そして、帯電部材14が矢印Y方向に回転駆動することによってシート状クリーニング部材120が帯電部材14表面に摺動し、クリーニングが行われる。
ただし、シート状クリーニング部材120を帯電部材14に接触させる態様はこの態様には限られず、例えば帯電部材14のクリーニング時のみ帯電部材14に接触しクリーニングが不要のとき(例えば帯電部材14が回転駆動していないとき)には帯電部材14に対し離間する仕様でもよい。
シート状クリーニング部材120としては、図13に示すように、シート状の基材120Cと、基材上に積層されたシート状の多孔質体120Bと、を備えた態様が挙げられる。なお、多孔質体120Bには前述の多孔質体が用いられる。
基材120Cの材料としては、前述のロール状クリーニング部材において樹脂基材層の材料として挙げた材料が用いられる。好ましい例も同様である。
多孔質体120Bの厚みは、例えば、1μm以上20μm以下がよく、好ましくは2μm以上10μm以下であり、より好ましくは3μm以上10μm以下である。
基材120Cの厚みは、例えば、10μm以上300μm以下がよく、好ましくは15μm以上200μm以下であり、より好ましくは20μm以上150μm以下である。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔多孔質体の作製〕
・多孔質体1
スチレン−イソプレンコポリマー(SIS5200P、JSR社製)と、下記(A)に示す両親媒性ポリマーと、を質量比で36:1の割合で混合した塩化メチレン溶液(ポリマー濃度として、0.28質量%)5.5mLを調製した。

次いで、外気の影響を受けない閉鎖空間にて4℃に保温したガラス基板上に、前記塩化メチレン溶液を全量展開し、相対湿度73%の恒湿空気を定常流量でガラス基板面に吹きつけ、塩化メチレンを蒸発させることにより、多孔質膜を得た。この多孔質膜に、UV照射を100mJ/cmで行うことにより、前記熱可塑性エラストマー(スチレン−イソプレンコポリマー)を架橋させた。
これにより、孔が規則的に配列した多孔質構造であり、かつ1つの孔を6つの孔が取り囲んだハニカム構造状の多孔質体が得られた。なお、平均孔径3.5μm、孔径の標準偏差0.5、隣り合う孔同士の中心間距離1.7μm、中心間距離の標準偏差0.5、平均膜厚5.2μm、架橋度61%であった。
これを多孔質体1とする。
なお、熱可塑性エラストマーの架橋度は、塩化メチレンを溶媒に用いて熱可塑性エラストマーの不溶解分から下記式(1)より算出した。
熱可塑性エラストマーの架橋度(%)=[乾燥残渣質量(熱可塑性エラストマー分)]/[理論熱可塑性エラストマー分]×100・・・式(1)
また、テンシロン引張試験機(ORIENTEC RTC−1210A)により、破断時の荷重、伸度、及び引張弾性率を求めた。
多孔質体1の破断時の荷重は70gf、このときの伸度は700%であり、引張弾性率は900MPaであった。
・多孔質体2
多孔質体1の作製において調製した塩化メチレン溶液中に、イルガキュア(登録商標)907(BASF社製)を0.5質量%加えた。また、スチレン−イソプレンコポリマーをスチレン−ブタジエンコポリマー(TR2827、JSR社製)に代えて、多孔質体1と同様にして多孔質膜を得た。
これにより、孔が規則的に配列した多孔質構造であり、かつ1つの孔を6つの孔が取り囲んだハニカム構造状の多孔質体が得られた。なお、平均孔径2.7μm、孔径の標準偏差0.08、隣り合う孔同士の中心間距離1.3μm、中心間距離の標準偏差0.1、平均膜厚4.1μm、架橋度88%であった。
これを多孔質体2とする。
多孔質体2の破断時の荷重は60gf、このときの伸度は580%であり、引張弾性率は1160MPaであった。
<実施例1>
(クリーニングロール1の作製)
前記多孔質体1を、ポリイミドシート(宇部興産社製、製品名:ユーピレックス25S、厚み25μm)の上に両面テープで貼り付けた。
これを、厚み(幅方向中央部での厚み)25μm、幅10mm、長さ356mmの短冊になるように切り出した。
得られた短冊を、両面テープに貼り付けた離型紙が下に向くよう水平な台上に置き、上部から加熱したステンレス鋼を用いて、短冊(両面テープを除く発泡ポリウレタンで構成された短冊)全体の厚みが62%となるように圧縮した。
次に、圧縮後の短冊を、金属芯体(外径φ6mm、全長331mm)へ、巻き付け角度40°で、短冊全長が0%を超え5%以下程度伸びるように張力を付与しつつ巻き付けて、螺旋状に配置した。
このようにして、クリーニング部材としてのクリーニングロール1を得た。
<実施例2>
(クリーニングロール2の作製)
実施例1において、多孔質体1を多孔質体2に変更した以外は、同様にしてクリーニングロール2を作製した。
<実施例3>
(クリーニングシート3の作製)
前記多孔質体1を、ポリイミドシート(宇部興産社製、製品名:ユーピレックス125S、厚み125μm)の上に両面テープで貼り付けた。これを、厚み125μm、幅30mm、長さ350mmのシート状になるように切り出し、クリーニングシート3を作製した。
<比較例1>
(比較用クリーニングロール1の作製)
実施例1において、ポリイミドシート上に多孔質体1を貼り付けず、つまり最表面が多孔質体ではないポリイミドシートである短冊を用いた以外は、同様にして比較用クリーニングロール1を作製した。
<比較例2>
(比較用クリーニングロール2の作製)
実施例1において、短冊をイノアック・コーポレーション製の多孔質フォーム(モルトプレンSM−55)に変更した以外は、同様にして比較用クリーニングロール2を作製した。
なお、上記イノアック・コーポレーション製の多孔質フォームは、孔が不規則的に配列した多孔質構造であり、平均孔径450μm、孔径の標準偏差118、隣り合う孔同士の中心間距離388μm、中心間距離の標準偏差98、膜厚500μmであった。
[評価]
(帯電ロールの作製)
−発泡弾性層の形成−
下記混合物をオープンロールで混練りし、SUS416からなる直径6mmの導電性支持体表面に、厚さ3mmとなるように円筒状に被覆し、内径18.0mmの円筒型の金型に入れ、170℃で30分間加硫させ、金型から取り出した後、研磨し円筒状の導電性発泡弾性層Aを得た。
・ゴム材・・・・100質量部
(エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、Gechron3106:日本ゼオン(株)製)
・導電剤(カーボンブラック アサヒサーマル:旭カーボン社製)・・・25質量部
・導電剤(ケッチェンブラックEC:ライオン社製)・・・8質量部
・イオン導電剤(過塩素酸リチウム)・・・1質量部
・加硫剤(硫黄、200メッシュ:鶴見化学工業社製)・・・1質量部
・加硫促進剤(ノクセラーDM:大内新興化学工業社製)・・・2.0質量部
・加硫促進剤(ノクセラーTT:大内新興化学工業社製)・・・0.5質量部
−表面層の形成−
下記混合物をビーズミルにて分散し得られた分散液Aを、メタノールで希釈し、導電性発泡弾性層Aの表面に浸漬塗布した後、140℃で15分間加熱乾燥し、厚さ4μmの表面層を形成し、導電性ロールを得た。これを帯電ロールとした。
・高分子材料・・・100質量部
(共重合ナイロン、アミランCM8000:東レ社製)
・導電剤・・・30質量部
(アンチモンドープ酸化スズ、SN−100P:石原産業社製)
・溶剤(メタノール)・・・500質量部
・溶剤(ブタノール)・・・240質量部
(クリーニング性評価:画像濃度ムラ評価)
カラー複写機(DocuCentre−IV C2260:富士ゼロックス社製)における帯電ロールのクリーニング部材として、前記実施例及び比較例より得たクリーニングロール又はクリーニングシートをドラムカートリッジ内に装着した。なお、クリーニングロールの場合には帯電ロールに対して常時接触して従動回転するよう装着し、一方クリーニングシートの場合には帯電ロールに対して常時接触するよう固定して装着した。
その後、以下の方法でクリーニング性評価(画像濃度ムラ評価)試験を行った。評価試験は、30℃、75RH%の環境下で、A4用紙状に画像平均密度5%の画質パターンを10,000枚及び100,000枚印字した後に、濃度30%のハーフトーン画像を出力し、帯電ロールのクリーニングムラによる濃度ムラ(クリーニング性)をX−rite404を用いてランダムに10点の画像濃度を測定し、その最大値と最小値の差から以下の基準に基づいてクリーニング性を評価した。
−クリーニング性評価:判断基準−
G0:最大値と最小値の差が0.05以下
G1:最大値と最小値の差が0.05より大きく0.10以下
G2:最大値と最小値の差が0.10より大きく0.15以下
G3:最大値と最小値の差が0.15より大きい
上記結果から、本実施例は、比較例に比べ、クリーニング性評価が良好であることがわかる。
10 多孔質体、12 孔、14 膜本体、10 画像形成装置、16 露光装置、19Y、19M、19C、19K 現像装置、20 用紙搬送ベルト、22 転写装置、24 記録媒体、40 液膜(高分子膜)、46 支持体、64 定着装置、66 排出ロール、68 排出部、70 用紙搬送路、72 搬送ロール、80 清掃ブレード、100 クリーニング部材、100A 芯体、100B 樹脂基材層、100C 多孔質体、100D 接着層(両面テープ)

Claims (9)

  1. 像保持体、及び前記像保持体の表面を帯電させる帯電部材を備える画像形成装置において、前記帯電部材に接触して前記帯電部材表面をクリーニングし、
    多孔質構造を有し、前記多孔質構造における各孔の直径の標準偏差が1以下であり、かつ前記多孔質構造において隣り合う孔同士の中心間距離の標準偏差が1以下である多孔質体を、前記帯電部材との接触部に備えるクリーニング部材。
  2. 前記多孔質体における前記多孔質構造は、各孔が規則性を持った配列を有する請求項1に記載のクリーニング部材。
  3. 前記多孔質体における前記規則性を持った配列は、1つの孔を6つの孔が六角形状に囲んだ構造が並んだ配列である請求項2に記載のクリーニング部材。
  4. 前記多孔質体が熱可塑性エラストマーを含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のクリーニング部材。
  5. 円筒状の芯体と、前記芯体の外周に樹脂基材層と、前記樹脂基材層の外周に前記多孔質体と、を備え、形状がロール状である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のクリーニング部材。
  6. 前記樹脂基材層と前記多孔質体との積層体が、前記芯体の外周面上において、前記芯体の軸方向の一端から他端にかけて螺旋状に配置された構造を有する請求項5に記載のクリーニング部材。
  7. シート状の基材と、前記基材上に前記多孔質体と、を備え、形状がシート状である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のクリーニング部材。
  8. 像保持体の表面を帯電させる帯電部材と、
    前記帯電部材に接触して前記帯電部材表面をクリーニングする、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のクリーニング部材と、を備える帯電装置。
  9. 像保持体と、
    前記像保持体の表面を帯電する帯電手段であって、請求項8に記載の帯電装置を有する帯電手段と、
    帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
    前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
    前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
    を備える画像形成装置。
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