JP2017181590A - クリーニング部材、帯電装置、画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】像保持体12、及び像保持体12の表面を帯電させる帯電部材14を備える画像形成装置において、帯電部材14に接触して帯電部材14表面をクリーニングするクリーニング部材100であって、多孔質構造を有し、前記多孔質構造における各孔の直径の標準偏差が1以下であり、かつ多孔質構造において隣り合う孔同士の中心間距離の標準偏差が1以下である多孔質体を、帯電部材14との接触部に備えるクリーニング部材100。
【選択図】図11
Description
なお、帯電装置における帯電部材には、表面をクリーニングする観点でクリーニング部材を設けることが試されている。
請求項1に係る発明は、
像保持体、及び前記像保持体の表面を帯電させる帯電部材を備える画像形成装置において、前記帯電部材に接触して前記帯電部材表面をクリーニングし、
多孔質構造を有し、前記多孔質構造における各孔の直径の標準偏差が1以下であり、かつ前記多孔質構造において隣り合う孔同士の中心間距離の標準偏差が1以下である多孔質体を、前記帯電部材との接触部に備えるクリーニング部材。
前記多孔質体における前記多孔質構造は、各孔が規則性を持った配列を有する請求項1に記載のクリーニング部材。
前記多孔質体における前記規則性を持った配列は、1つの孔を6つの孔が六角形状に囲んだ構造が並んだ配列である請求項2に記載のクリーニング部材。
前記多孔質体が熱可塑性エラストマーを含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のクリーニング部材。
円筒状の芯体と、前記芯体の外周に樹脂基材層と、前記樹脂基材層の外周に前記多孔質体と、を備え、形状がロール状である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のクリーニング部材。
前記樹脂基材層と前記多孔質体との積層体が、前記芯体の外周面上において、前記芯体の軸方向の一端から他端にかけて螺旋状に配置された構造を有する請求項5に記載のクリーニング部材。
シート状の基材と、前記基材上に前記多孔質体と、を備え、形状がシート状である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のクリーニング部材。
像保持体の表面を帯電させる帯電部材と、
前記帯電部材に接触して前記帯電部材表面をクリーニングする、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のクリーニング部材と、を備える帯電装置。
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段であって、請求項8に記載の帯電装置を有する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
本実施形態に係るクリーニング部材は、像保持体、及び前記像保持体の表面を帯電させる帯電部材を備える画像形成装置において、前記帯電部材に接触して前記帯電部材表面をクリーニングするクリーニング部材である。
そして、前記帯電部材との接触部に多孔質構造を有する多孔質体を備え、この多孔質体は、前記多孔質構造における各孔の直径(孔径)の標準偏差が1以下であり、かつ前記多孔質構造において隣り合う孔同士の中心間距離(孔間隔)の標準偏差が1以下である。
この効果が奏される理由は、以下のように推察される。
ここで、孔径の標準偏差が前記の範囲を外れ、つまり孔径分布が広く孔径の大きさが不揃いであると、多孔質体における孔の部分が帯電部材へ接触する際、孔ごとに接触のし方や接触による圧力等に差が生じることとなる。そのため、帯電部材はクリーニング部材の接触する箇所によってクリーニングのされ方に差が生じるものと考えられ、その結果クリーニング性にムラが生じる。
また、孔間隔の標準偏差が前記の範囲を外れ、つまり各孔の配列が不規則的であると、多孔質体が帯電部材へ接触する際、箇所によって孔の部分が接触する頻度が異なる。そのため、帯電部材はクリーニング部材の接触する箇所によってクリーニングのされ方に差が生じるものと考えられ、その結果クリーニング性にムラが生じる。
これらのクリーニング性のムラによって、画像形成が繰り返された後においては、帯電部材の表面にトナー外添剤等のクリーニング対象物が筋状に蓄積することがある。
本実施形態に係るクリーニング部材は、前記の通り孔径の標準偏差及び孔間隔の標準偏差が前記範囲を満たし、つまり孔径分布が狭く孔径の大きさが揃っており、かつ各孔が規則的に配列している。そのため、上記クリーニング対象物の孔への取り込みの頻度もクリーニング部材の接触位置の違いによる差が小さくなり、つまり均一に近い状態で前記取り込みが行われる。その結果、孔への取り込み後の凝集及び吐き出しも、各孔ごとに高い均一性で行われる。よって、この観点からもクリーニング性能のクリーニング部材の接触位置による差が抑制され、クリーニングムラの発生を低減し得るものと考えられる。
次いで、本実施形態に係るクリーニング部材において帯電部材との接触部を構成し、多孔質構造を有する多孔質体について説明する。
多孔質体は、各孔の直径(孔径)の標準偏差が1以下である。この孔径の標準偏差は、さらに0.7以下であることが好ましく、0.3以下であることがより好ましい。
孔径の標準偏差が上記範囲であることは、孔径分布が狭くつまり孔径の大きさが揃っていることの指標といえる。孔径の標準偏差が上記範囲を超える多孔質体では、画像形成が繰り返された後において帯電部材表面にクリーニングのムラが生じる。
特に、平均孔径が1μm以上であることで、帯電部材表面のクリーニング性が向上する。一方、平均孔径が20μm以下であることで、効率的にトナーおよび外添材が孔に捕集されるとの利点が得られる。
多孔質体は、隣り合う孔同士の中心間距離(孔間隔)の標準偏差が1以下である。この孔間隔の標準偏差は、さらに0.7以下であることが好ましく、0.3以下であることがより好ましい。
孔間隔の標準偏差が上記範囲であることは、多孔質構造における各孔が規則的に配列していることの指標といえる。孔間隔の標準偏差が上記範囲を超える多孔質体では、画像形成が繰り返された後において帯電部材表面にクリーニングのムラが生じる。
特に、平均孔間隔が10μm以下であることで、帯電部材表面のクリーニング性が向上する。一方、平均径が0.5μm以上であることで、孔形状の強度が確保されるとの利点が得られる。
多孔質構造における各孔の配列は、各孔が規則性を持って配列されていることが好ましい。
なお、規則性を持った配列とは、各孔が一切の規則性を持たずにばらばらに散在している状態ではないことを表し、具体的な孔の配列としては、隣り合う全ての孔を中心点で結んだ場合に、3つ以上の複数の孔が結ばれた多角形状(例えば三角形状、四角形状、五角形状、六角形状等)の構造が存在しかつこれと同じ数(角)の多角形状の構造が複数並んだ配列(例えば六角形状の孔が複数並んだ配列等)が挙げられる。また、隣り合う全ての孔を中心点で結んだ場合に、1つの孔を3つ以上の複数の孔が多角形状(例えば三角形状、四角形状、五角形状、六角形状等)に囲んだ構造が存在しかつこれと同じ形状(1つの孔を同じ数(角)の孔が多角形状に囲んだ構造)が複数並んだ配列(例えば1つの孔を6つの孔が六角形状に囲んだ構造が複数並んだ配列等)が挙げられる。
図1は、本実施形態に係る多孔質体10の構造の一例を概略的に示している。また、図2は図1におけるa−a線概略断面図であり、図3は図1におけるb−b線概略断面図である。この多孔質体10は、表面に複数の孔12がハニカム状に配列された構造(ハニカム構造、つまり1つの孔を6つの孔が六角形状に取り囲みかつこの1つの孔と六角形状の6つの孔とが規則的に配列される構造)を有する。そして、各孔の直径(孔径)の標準偏差及び隣り合う孔同士の中心間距離(孔間隔)の標準偏差が、前述の範囲を満たしている。
以下、各工程について具体的に説明する。
まず、多孔質体を構成する有機化合物として熱可塑性エラストマーを含む有機溶媒溶液を支持体(膜形成用支持体、仮支持体)上に付与する。
膜形成用支持体としては特に制限はなく、目的に応じて選択し得る。例えば、ガラス、金属、シリコンウエハー等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリアミド、ポリエーテル、ポリスチレン、ポリエステルアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリエーテルケトン、ポリフッ化エチレン等の耐有機溶剤性に優れた有機材料;水、流動パラフィン、液状ポリエーテル等の液体、などが挙げられる。
多孔質体は、熱可塑性エラストマーを含むことが好ましい。
本実施形態でいう熱可塑性エラストマーとは、ゴム状弾性を有する熱可塑性樹脂のことであり、例として、ブタジエン系ポリマー、スチレン−ブタジエン系ポリマー、スチレン−イソプレン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、オレフィン系ポリマー、ウレタン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ニトリル系ポリマー、ポリアミド系ポリマーなどが挙げられる。これらは、溶解性、光学的物性、電気的物性、膜強度、弾性等の観点から、ホモポリマーとしてもよいし、コポリマーやポリマーブレンドの形態をとってもよい。これらのポリマーは2種以上のポリマーの混合物として用いてもよい。
本実施形態で使用する熱可塑性エラストマーとしては、特に、スチレン−イソプレンコポリマー及びスチレン−ブタジエンコポリマーの少なくとも一方を含むことが好ましい。
本実施形態に係る多孔質体10を構成する有機化合物としては、上記のような熱可塑性エラストマーだけで膜を形成してもよいが、熱可塑性エラストマーと共に両親媒性化合物を用いることが好ましい。
前記両親媒性ポリマーとしては、目的に応じて選択すればよく、例えば、主鎖骨格に対しに疎水性基を有する側鎖(疎水性側鎖)及び親水性基を有する側鎖(親水性側鎖)を併せ持つ両親媒性ポリマー(具体的にはポリアクリルアミドを主鎖骨格とし、疎水性側鎖としてドデシル基、親水性側鎖としてカルボキシル基を併せ持つ両親媒性ポリマー)、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロックコポリマーなどが挙げられる。
前記芳香族基としては、例えば、置換又は無置換の炭素数6以上50以下のアリール基等が好ましい。
これらの中では、単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CON(R3)−(R3は水素原子、メチル基、エチル基、又はプロピル基を表す。)、−N(R4)CO−、−SO2N(R4)−、−N(R4)SO2−等が特に好ましい。
前記アニオン性基としては、−COOM、−SO3M、−OSO3M、−PO(OM)2−OPO(OM)2が特に好ましい。なお、前記Mは、対カチオンを表し、第1族元素イオン(例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)、第2族元素イオン(例えば、マグネシウムイオン、カルシウムイオン等)、及びアンモニウムイオンのいずれかが好ましい。これらの中でも、ナトリウムイオン、カリウムイオンが特に好ましい。
前記カチオン性基としては、例えば、−NH3 +・X−、−NH2(R6)+・−、−NH(R6)2 +・X−、−N(R6)3 +・X−が挙げられる。
前記R6としては、炭素数1以上3以下のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、2−ヒドロキシエチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基等)を表し、メチル基、2−ヒドロキシエチル基が好ましい。
前記Xとしては、対アニオンを表し、例えば、ハロゲンイオン(例えば、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン等)、複合無機アニオン(例えば、水酸化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、燐酸イオン等)、及び有機化合物アニオン(例えば、シュウ酸イオン、蟻酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン等)が好ましく、塩素イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、酢酸イオンが特に好ましい。
本実施形態に係る多孔質体10を構成する材料として、前記熱可塑性エラストマー(又は前記熱可塑性エラストマー及び前記両親媒性ポリマー)に加え多官能モノマーを使用してもよい。
上記多官能モノマーとしては、反応性の点から多官能(メタ)アクリレートが好ましい。前記多官能(メタ)アクリレートの例としては、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールカプロラクトン付加物へキサアクリレート又はこれらの変性物、エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、ウレタンアクリレートオリゴマー、N−ビニル−2−ピロリドン、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、又はこれらの変性物などが使用される。また、これらの多官能モノマーは耐擦傷性と柔軟性のバランスから、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光ラジカル重合開始剤としては、特に制限がなく、例えば、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−アルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族スルホニウム類が挙げられる。
前記アセトフェノン類としては、例えば、2,2−エトキシアセトフェノン、p−メチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンなどが挙げられる。
前記ベンゾイン類としては、例えば、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどが挙げられる。
前記ベンゾフェノン類としては、例えば、ベンゾフェノン、2,4−クロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、p−クロロベンゾフェノンなどが挙げられる。
前記ホスフィンオキシド類としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドなどが挙げられる。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、BASF社製のイルガキュア(登録商標)(651,184,907)等が好ましい例として挙げられる。
熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物、無機過酸化物、有機アゾ化合物、有機ジアゾ化合物、などが用い得る。
具体的には、前記有機過酸化物としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシドなどが挙げられる。前記無機過酸化物としては、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等が挙げられる。前記アゾ化合物としては、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(プロピオニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等が挙げられる。前記ジアゾ化合物としては、ジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
上記のような熱可塑性エラストマー等を含む有機化合物を溶解した有機溶媒溶液を支持体上に付与し、このポリマー溶液に微小な水滴粒子を形成させて成膜することで、図1に示したような多孔質体(ハニカム構造膜)が作製される。
上記の水滴粒子を形成させるため、溶媒は非水溶性であることが好ましい。該非水溶性溶媒としては、例えば、パーフルオロベンゼン、テトラクロロジフルオロエタン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル等のフッ素系有機溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン系有機溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;メチルイソブチルケトン等の非水溶性ケトン類;ジエチルエーテル等のエーテル類;二硫化炭素、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、又はこれらの溶媒を組み合わせた混合溶媒として使用しても構わない。
前記支持体上に付与した有機溶媒溶液の膜に液滴を形成させた後、前記有機溶媒及び前記液滴を蒸発させて前記液滴が蒸発した部分に孔12が形成された膜とする。
熱可塑性エラストマーを含む有機溶媒溶液を支持体46上に塗布した後、有機溶媒溶液の液膜40に液滴を形成させるための結露工程を施す。ここで、支持体46上の液膜40の表面温度は、塗布後、液膜40上又は液膜40中に形成される水滴44が凝固することを防ぐため、0℃以上に制御することが好ましい。
また、定常風を当てる方向は、支持体面に対して0°以上90°以下のいずれの方向であっても製造し得るが、ハニカム構造の均一性を高めるためには0°以上60°以下が好ましい。
上記のように多数の孔12を有する多孔質体10を形成した後、多孔質体10に含まれている熱可塑性エラストマーを架橋又は重合させる。
前記の工程により成膜した多孔質体10に対し、例えば電子線、紫外線等を照射することにより、膜本体14を構成している熱可塑性エラストマーが架橋又は重合される。
電子線又は紫外線の線量は、10mJ/cm2以上3000mJ/cm2以下の範囲が好ましい。電子線又は紫外線の線量が、10mJ/cm2以上であれば、熱可塑性エラストマーの架橋又は重合が良好に進行し、また3000mJ/cm2以下であれば、ポリマーの分解が抑制され、強度の高い多孔質体が得られる。
なお、本実施形態における熱可塑性エラストマーの架橋度とは、架橋前熱可塑性エラストマーの良溶媒に対し、架橋後の溶解しない部分の質量百分率のことをいう。多孔質体10に含まれている熱可塑性エラストマーの架橋又は重合の度合いは、例えば照射する電子線又は紫外線の線量等により制御し得る。
上記の引張弾性率については、例えば、前記した熱可塑性エラストマーの架橋又は重合の割合により制御し得る。一般的に、多孔質体10中の熱可塑性エラストマーの架橋度を高くすれば引張弾性率も高くなり、架橋度を低くすれば引張弾性率も低くなる。なお、上記引張弾性率は、面方向での引張荷重を、膜厚測定機(MITUTOYO社製、DIGIMATIC MICROMETER)で測定した膜厚から算出される、見かけの断面積で割ることにより導出し得る。
本実施形態に係るクリーニング部材は、帯電部材との接触部に前記多孔質体を備えていればよく、他の態様は特に限定されない。具体的には、ロール状のクリーニング部材、シート状のクリーニング部材等が挙げられる。
ロール状クリーニング部材としては、例えば、円筒状の芯体と、前記芯体の外周に樹脂基材層と、前記樹脂基材層の外周に前記多孔質体と、を備え、形状がロール状であるクリーニング部材が挙げられる。
ここで、芯体の外周面の一部を覆うよう芯体の軸方向の一端から他端にかけて樹脂基材層及び多孔質体が螺旋状に巻き付いたロール状クリーニング部材(以下単に「螺旋状クリーニング部材」とも称す)を例に挙げて、ロール状クリーニング部材を説明する。
なお、図7は、図5のA−A断面図、つまり、多孔質体及び樹脂基材層の螺旋方向に対して直交方向に沿った断面図である。
多孔質体100B及び樹脂基材層100Cは、芯体の外周面に、芯体の一端から他端にかけて、短冊状の多孔質体100B及び樹脂基材層100C(以下、この両者を指して「短冊状部材」と称する)が螺旋状に巻き回されて形成されている。具体的には、短冊状部材(多孔質体100B及び樹脂基材層100C)は、芯体100Aの一端から他端にかけて、芯体100Aを螺旋軸とし、短冊状部材を間隔を持って螺旋状に巻き回された状態で配置されている。
芯体100Aに用いる材質としては、金属(例えば、快削鋼又はステンレス鋼等)、又は樹脂(例えば、ポリアセタール樹脂(POM)等)が挙げられる。なお、材質及び表面処理方法等は目的に応じ選択するのが好ましい。
特に、芯体100Aが金属で構成される場合メッキ処理を施すのが好ましい。また、樹脂等で導電性を有さない材質の場合、メッキ処理等の一般的な処理により加工して導電化処理を行ってもよいし、そのまま使用してもよい。
芯体100Aと樹脂基材層100Cとの間に、接着層を介してもよい。
接着層としては、芯体100Aと樹脂基材層100Cとを接着し得るものであれば、特に制限はないが、例えば、両面テープ、その他接着剤により構成される。
樹脂基材層100Cの材料としては、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリプロピレン等の樹脂材料、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、エピクロルヒドリンゴム(ECO)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、塩素化ポリイソプレンゴム、イソプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、水素添加ポリブタジエンゴム、ブチルゴム等のゴム材料等が挙げられ、これらを1種類又は2種類以上ブレンドしてなる材料が挙げられる。
短冊状部材(多孔質体100B及び樹脂基材層100C)は、螺旋状に配置されているが、具体的には、螺旋角度θが10°以上65°以下(好ましくは20°以上50°以下)、螺旋幅R1が3mm以上25mm以下(好ましくは3mm以上10mm以下)であることがよい。また、螺旋ピッチR2がmm以上25mm以下(好ましくは15mm以上22mm以下)であることがよい。
この被覆率を70%以下とすることで、短冊状部材における多孔質体100Bが被クリーニング部材に接触する時間が短縮され、クリーニング部材の表面に付着する付着物が被クリーニング部材へ再汚染する傾向を低減し得る。一方、被覆率が20%以上であることで、短冊状部材の厚み(肉厚)が安定し、清掃能力を向上し得る。
螺旋幅R1とは、短冊状部材の、螺旋状クリーニング部材100の軸方向Q(芯体軸方向)に沿った長さを意味する。
螺旋ピッチR2とは、短冊状部材の、螺旋状クリーニング部材100の軸方向Q(芯体軸方向)に沿った、隣合う短冊状部材間の長さを意味する。
特に、多孔質体100Bの厚みが1μm以上であることで、多孔質体100Bの強度が得られ多孔質体100Bが有する孔の形状が安定し、清掃能力を向上し得る。一方、多孔質体100Bの厚みが10μm以下であることで、捕集したトナー、外添剤のはきだし性を向上し得る。
レーザー測定機(株式会社ミツトヨ社製レーザースキャンマイクロメータ、型式:LSM6200)を用いて、クリーニング部材の周方向は固定した状態で、1mm/sのトラバース速度にてクリーニング部材の長手方向(軸方向)へスキャンさせて多孔質体100B及び樹脂基材層100Cの厚みのプロファイルの測定を行う。その後、周方向に位置をずらし同様の測定を行う(周方向位置は120°間隔、3箇所)。このプロファイルを基に多孔質体100B及び樹脂基材層100Cの厚みの算出を行う。あるいは、シートを裁断し、断面をマイクロスコープで観察し膜厚を測定してもよい。
図8は、本実施形態に係る螺旋状クリーニング部材100の製造方法の一例を示す工程図である。なお、図8では、樹脂基材層100Cが接着層(両面テープ)100Dを介して芯体100A状に設けられた例を示す。
次いで、この短冊状部材用のシート状部材の片面に、例えば両面テープ100Dを貼り付けた後、打ち抜き型により当該部材を打ち抜いて、図8(A)に示すように、目的とする幅及び長さの短冊状部材(多孔質体100B及び樹脂基材層100C)を得る。
また、本実施形態に係るロール状のクリーニング部材は、芯体の外周面上に設けられる樹脂基材層及び多孔質体が、芯体の外周面のうち帯電部材と接触する領域を全面覆うように円筒状に巻き付けられたロール状クリーニング部材(以下単に「円筒状クリーニング部材」とも称す)であってもよい。
図9は、本実施形態に係る円筒状クリーニング部材を示す概略斜視図である。なお、図9では円筒状クリーニング部材110がロール状の帯電部材14に接触して配置される状態が示されている。
また、多孔質体110Bには前述の多孔質体が用いられる。
また、芯体110Aと樹脂基材層110Cとの間に接着層を介してもよく、この接着層としては、螺旋状クリーニング部材100Aにおいて接着層に用いられる前述の材料が用いられる。
特に、多孔質体110Bの厚みが1μm以上であることで、多孔質体110Bの強度が得られ多孔質体110Bが有する孔の形状が安定し、清掃能力を向上し得る。一方、多孔質体110Bの厚みが10μm以下であることで、捕集したトナー、外添剤のはきだし性を向上し得る。
次いで、本実施形態に係るクリーニング部材を用いた画像形成装置について図面に基づいて説明する。
なお、記録用紙24は、用紙収納容器28から取出ローラ30により取り出され、搬送ロール32、34により用紙搬送ベルト20まで搬送される。
ここでは、クリーニング部材100を帯電部材14へ常時接触させ、帯電部材14と従動させて使用する方法に関して説明を行うが、クリーニング部材100は常時接触させて従動による仕様でもよいし、帯電部材14のクリーニング時のみ接触させ従動する仕様でもよい。また、クリーニング部材100は、帯電部材14のクリーニング時のみ接触させ、別駆動により帯電部材14に対して周速差を付けても構わない。
以下、帯電部材の説明をするが、以下の構成に限定されるものではない。
共重合ナイロンは、610ナイロン、11ナイロン、12ナイロン、の内のいずれか1種又は複数種を重合単位として含むものであって、この共重合体に含まれる他の重合単位としては、6ナイロン、66ナイロン等が挙げられる。ここで、610ナイロン、11ナイロン、12ナイロンよりなる重合単位が共重合体中に含まれる割合は、質量比で合わせて10%以上であるのが好ましい。
カーボンブラックはpH4.0以下が好ましい。
帯電部材のマイクロ硬度は高分子計器株式会社製MD−1型硬度計にて測定される。
ここで、シート状のクリーニング部材を用いた画像形成装置用の帯電装置について、図を用いて説明する。
図13に示されるシート状クリーニング部材120は、帯電部材14へ常時接触するよう固定されている。そして、帯電部材14が矢印Y方向に回転駆動することによってシート状クリーニング部材120が帯電部材14表面に摺動し、クリーニングが行われる。
ただし、シート状クリーニング部材120を帯電部材14に接触させる態様はこの態様には限られず、例えば帯電部材14のクリーニング時のみ帯電部材14に接触しクリーニングが不要のとき(例えば帯電部材14が回転駆動していないとき)には帯電部材14に対し離間する仕様でもよい。
シート状クリーニング部材120としては、図13に示すように、シート状の基材120Cと、基材上に積層されたシート状の多孔質体120Bと、を備えた態様が挙げられる。なお、多孔質体120Bには前述の多孔質体が用いられる。
・多孔質体1
スチレン−イソプレンコポリマー(SIS5200P、JSR社製)と、下記(A)に示す両親媒性ポリマーと、を質量比で36:1の割合で混合した塩化メチレン溶液(ポリマー濃度として、0.28質量%)5.5mLを調製した。
これを多孔質体1とする。
熱可塑性エラストマーの架橋度(%)=[乾燥残渣質量(熱可塑性エラストマー分)]/[理論熱可塑性エラストマー分]×100・・・式(1)
多孔質体1の破断時の荷重は70gf、このときの伸度は700%であり、引張弾性率は900MPaであった。
多孔質体1の作製において調製した塩化メチレン溶液中に、イルガキュア(登録商標)907(BASF社製)を0.5質量%加えた。また、スチレン−イソプレンコポリマーをスチレン−ブタジエンコポリマー(TR2827、JSR社製)に代えて、多孔質体1と同様にして多孔質膜を得た。
これを多孔質体2とする。
(クリーニングロール1の作製)
前記多孔質体1を、ポリイミドシート(宇部興産社製、製品名:ユーピレックス25S、厚み25μm)の上に両面テープで貼り付けた。
これを、厚み(幅方向中央部での厚み)25μm、幅10mm、長さ356mmの短冊になるように切り出した。
得られた短冊を、両面テープに貼り付けた離型紙が下に向くよう水平な台上に置き、上部から加熱したステンレス鋼を用いて、短冊(両面テープを除く発泡ポリウレタンで構成された短冊)全体の厚みが62%となるように圧縮した。
次に、圧縮後の短冊を、金属芯体(外径φ6mm、全長331mm)へ、巻き付け角度40°で、短冊全長が0%を超え5%以下程度伸びるように張力を付与しつつ巻き付けて、螺旋状に配置した。
このようにして、クリーニング部材としてのクリーニングロール1を得た。
(クリーニングロール2の作製)
実施例1において、多孔質体1を多孔質体2に変更した以外は、同様にしてクリーニングロール2を作製した。
(クリーニングシート3の作製)
前記多孔質体1を、ポリイミドシート(宇部興産社製、製品名:ユーピレックス125S、厚み125μm)の上に両面テープで貼り付けた。これを、厚み125μm、幅30mm、長さ350mmのシート状になるように切り出し、クリーニングシート3を作製した。
(比較用クリーニングロール1の作製)
実施例1において、ポリイミドシート上に多孔質体1を貼り付けず、つまり最表面が多孔質体ではないポリイミドシートである短冊を用いた以外は、同様にして比較用クリーニングロール1を作製した。
(比較用クリーニングロール2の作製)
実施例1において、短冊をイノアック・コーポレーション製の多孔質フォーム(モルトプレンSM−55)に変更した以外は、同様にして比較用クリーニングロール2を作製した。
(帯電ロールの作製)
−発泡弾性層の形成−
下記混合物をオープンロールで混練りし、SUS416からなる直径6mmの導電性支持体表面に、厚さ3mmとなるように円筒状に被覆し、内径18.0mmの円筒型の金型に入れ、170℃で30分間加硫させ、金型から取り出した後、研磨し円筒状の導電性発泡弾性層Aを得た。
・ゴム材・・・・100質量部
(エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、Gechron3106:日本ゼオン(株)製)
・導電剤(カーボンブラック アサヒサーマル:旭カーボン社製)・・・25質量部
・導電剤(ケッチェンブラックEC:ライオン社製)・・・8質量部
・イオン導電剤(過塩素酸リチウム)・・・1質量部
・加硫剤(硫黄、200メッシュ:鶴見化学工業社製)・・・1質量部
・加硫促進剤(ノクセラーDM:大内新興化学工業社製)・・・2.0質量部
・加硫促進剤(ノクセラーTT:大内新興化学工業社製)・・・0.5質量部
下記混合物をビーズミルにて分散し得られた分散液Aを、メタノールで希釈し、導電性発泡弾性層Aの表面に浸漬塗布した後、140℃で15分間加熱乾燥し、厚さ4μmの表面層を形成し、導電性ロールを得た。これを帯電ロールとした。
・高分子材料・・・100質量部
(共重合ナイロン、アミランCM8000:東レ社製)
・導電剤・・・30質量部
(アンチモンドープ酸化スズ、SN−100P:石原産業社製)
・溶剤(メタノール)・・・500質量部
・溶剤(ブタノール)・・・240質量部
カラー複写機(DocuCentre−IV C2260:富士ゼロックス社製)における帯電ロールのクリーニング部材として、前記実施例及び比較例より得たクリーニングロール又はクリーニングシートをドラムカートリッジ内に装着した。なお、クリーニングロールの場合には帯電ロールに対して常時接触して従動回転するよう装着し、一方クリーニングシートの場合には帯電ロールに対して常時接触するよう固定して装着した。
その後、以下の方法でクリーニング性評価(画像濃度ムラ評価)試験を行った。評価試験は、30℃、75RH%の環境下で、A4用紙状に画像平均密度5%の画質パターンを10,000枚及び100,000枚印字した後に、濃度30%のハーフトーン画像を出力し、帯電ロールのクリーニングムラによる濃度ムラ(クリーニング性)をX−rite404を用いてランダムに10点の画像濃度を測定し、その最大値と最小値の差から以下の基準に基づいてクリーニング性を評価した。
−クリーニング性評価:判断基準−
G0:最大値と最小値の差が0.05以下
G1:最大値と最小値の差が0.05より大きく0.10以下
G2:最大値と最小値の差が0.10より大きく0.15以下
G3:最大値と最小値の差が0.15より大きい
Claims (9)
- 像保持体、及び前記像保持体の表面を帯電させる帯電部材を備える画像形成装置において、前記帯電部材に接触して前記帯電部材表面をクリーニングし、
多孔質構造を有し、前記多孔質構造における各孔の直径の標準偏差が1以下であり、かつ前記多孔質構造において隣り合う孔同士の中心間距離の標準偏差が1以下である多孔質体を、前記帯電部材との接触部に備えるクリーニング部材。 - 前記多孔質体における前記多孔質構造は、各孔が規則性を持った配列を有する請求項1に記載のクリーニング部材。
- 前記多孔質体における前記規則性を持った配列は、1つの孔を6つの孔が六角形状に囲んだ構造が並んだ配列である請求項2に記載のクリーニング部材。
- 前記多孔質体が熱可塑性エラストマーを含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のクリーニング部材。
- 円筒状の芯体と、前記芯体の外周に樹脂基材層と、前記樹脂基材層の外周に前記多孔質体と、を備え、形状がロール状である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のクリーニング部材。
- 前記樹脂基材層と前記多孔質体との積層体が、前記芯体の外周面上において、前記芯体の軸方向の一端から他端にかけて螺旋状に配置された構造を有する請求項5に記載のクリーニング部材。
- シート状の基材と、前記基材上に前記多孔質体と、を備え、形状がシート状である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のクリーニング部材。
- 像保持体の表面を帯電させる帯電部材と、
前記帯電部材に接触して前記帯電部材表面をクリーニングする、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のクリーニング部材と、を備える帯電装置。 - 像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段であって、請求項8に記載の帯電装置を有する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
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