JP3735790B2 - 撮影レンズのマウント構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は撮影レンズのマウント構造に係り、特に撮影レンズ鏡胴の後端部に形成されたバヨネット爪をカメラ本体のレンズ鏡胴受け座に着座させた後、マウントリングのねじ作用により挟み込んで固定する撮影レンズのマウント構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
撮影レンズをカメラ本体に着脱自在に装着するマウント構造の一つとして、バヨネットマウント構造が知られている。このマウント構造は、撮影レンズ側に3又は4個の爪が形成され、カメラ側のレンズ鏡胴受け座に前記爪に対応した切欠部を有したマウントリングが螺合連結されて成る。撮影レンズの爪を前記切欠部に合わせてカメラ本体のレンズ鏡胴受け座に着座させた後、前記マウントリングを回して、ねじの作用によって撮影レンズの爪を前記レンズ鏡胴受け座とマウントリングとで挟み込むことで撮影レンズがカメラ本体に装着される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のマウント構造では、マウントリングの回り止め手段が設けられていないため撮影レンズ装着後にマウントリングが緩む場合があり、撮影レンズの落下という事態を招くおそれがある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、簡単な構成でマウントリングの緩みを防止することができる撮影レンズのマウント構造を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記目的を達成する為に、カメラ本体に形成されたレンズ鏡胴受け座に撮影レンズ鏡胴の後端部を着脱自在に装着する撮影レンズのマウント構造において、撮影レンズ鏡胴の後端部周面に設けられた爪と、前記爪の形状に対応した切欠部が形成されるとともに、前記カメラ本体に螺合され、前記切欠部に沿って挿入された前記撮影レンズ鏡胴の爪をねじの作用によって固定し又はその固定を解除するマウントリングと、前記マウントリングの外周面に設けられ、該マウントリングの径方向に昇降自在に支持されたストッパー部材と、前記撮影レンズ鏡胴の外周面に形成された溝であって、前記マウントリングが前記爪を固定する固定位置に位置した状態で前記ストッパー部材の下方に設けられ、前記固定位置で前記ストッパー部材を前記マウントリングの径方向内側に向かって下降させた際に該ストッパー部材の先端部が嵌合し、前記マウントリングの周方向の回転を阻止する断面凹形状の溝とを備え、前記ストッパー部材の軸は、前記マウントリングの周面に形成されたねじ孔に螺合連結され、前記ストッパー部材をねじ込むことで該ストッパー部材の先端部が前記溝に嵌合するとともに、前記ストッパー部材の先端面が前記溝の底面に当接して撮影レンズ鏡胴を径方向外側から締めつけ、前記マウントリングの周方向の回転を阻止することを特徴としている。
【0005】
本発明によれば、撮影レンズ鏡胴をカメラ本体に装着する際に、ストッパー部材の先端部をマウントリングの内側から突出しないように退避させておき、撮影レンズ鏡胴の爪をマウントリングの切欠部に合わせて挿入し、撮影レンズをレンズ鏡胴受け座に着座させる。そして、マウントリングを周方向に回すことにより、マウントリングの内面とレンズ鏡胴受け座との間に挟まれた前記爪がマウントリングのねじの作用によって締めつけられ固定される。
【0006】
前記マウントリングを固定位置に回した後、ストッパー部材をマウントリングの径方向内側に下降させ、ストッパー部材の先端部をレンズ鏡胴の溝に嵌合させる。この状態では、マウントリングは前記溝の大きさの範囲で周方向の動きが規制され、マウントリングの自由な回転が阻止される。これにより、マウントリングの緩みを防止できる。
【0007】
また、ストッパー部材をマウントリングに螺合連結し、該ストッパー部材をねじ込むことでストッパー部材の先端部が前記溝に嵌合するように構成するとともに、このねじ込みによってストッパー部材の先端面を前記溝の底面に当接させて撮影レンズ鏡胴を径方向外側から押さえつければ、マウントリングの周方向の回転阻止を強化できる。かかる構成により、マウントリングの緩みを有効に防止できる。
【0008】
更に、前記ストッパー部材を、マウントリングを周方向に回転させるための回転操作部材と共用することにより、構成の簡略化を図ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係る撮影レンズのマウント構造の実施の形態について詳説する。
図1は、本発明に係る撮影レンズのマウント構造が適用される放送用カメラの先端部の側面断面図、図2は正面図である。尚、図2中カメラハウジングは省略されている。
【0010】
図1に示すように、カメラハウジング12の先端部には、レンズ鏡胴受け座14、及びマウントリング16が設けられている。マウントリング16はレンズ鏡胴受け座14の外周に形成されたねじ部15に螺合連結されており、前記レンズ鏡胴受け座14に図示せぬ撮影レンズ鏡胴の後端部を嵌入した後、マウントリング16を約1/6回転(60度)回すことにより、前記撮影レンズ鏡胴がカメラ本体に着脱自在に装着される。
【0011】
レンズ鏡胴受け座14の後端には、防塵を兼ねた赤外カット(IR)フィルター18(又はローパスフィルター)が保持されるとともに、前記レンズ鏡胴受け座14の後方には、色分解プリズム20を支持する支持台(不図示)が形成されたプリズムハウジング22が前記レンズ鏡胴受け座14に密着して配置される。
プリズムハウジング22の内側には、光量補正(ND)フィルター24及び色温度変換(CC)フィルター26を保持したフィルター保持枠28がピン30を介して回動自在に設けられている。フィルター保持部材28の中心軸部にはギア32が形成され、該ギア32は、連結ギア34を介してフィルター切替ツマミ36の軸に固着されたギヤ38に連結されている。
【0012】
前記フィルター切替ツマミ36を回転操作すると、該ツマミの軸端に固着されたギア38が回転し、その回転力が連結ギア34を介してフィルター保持部材28に伝達され、フィルター保持部材28がピン30を中心に回動する。この回動によって色分解プリズム20の手前に配置される光学フィルターを変更できるようになっている。
【0013】
NDフィルター24及びCCフィルター26を保持したフィルター保持部材28の後方は防塵カバー40(マスク兼用防塵カバー)で包囲され、前記NDフィルター24等の光学フィルターに塵埃が付着するのを防止している。この防塵カバー40には色分解プリズム20へ進入する光の範囲を規制する開口部42が形成され、該開口部42の内周面は防塵カバー40の肉厚方向に対して、光の進入面側から出射面側に向かって開口面積が広がるように傾斜面が形成される。
【0014】
また、この防塵カバー40の全体は黒アルマイト処理されており、かかる構成により、正規の光路以外の光路で進入する光(不要光)を除去し、ゴースト、フレアの発生を防止している。尚、本実施の形態では、不要光遮断用のマスクを防塵カバーと一体化しているが、これに限らず、防塵カバーと別体に形成したマスク部材を防塵カバーの開口部に接着させてもよい。
【0015】
防塵カバー40の後方には、ゴム枠(又はスポンジ枠)44を介して色分解プリズム20が配置される。前記ゴム枠44が防塵カバー40と色分解プリズム20の入射面との間に密着して配設されることにより、色分解プリズム20の入射面への塵埃の混入が防止されている。
色分解プリズム20は3つのプリズム、即ち、光の入射側から第1、第2、第3プリズムから構成される。第1プリズム51の光束出射面には、青色(BLUE)成分のみを反射するダイクロイックコートが施され、第2プリズム52の光束出射面には赤色(RED)成分のみを反射するダイクロイックコートが施されている。
【0016】
色分解プリズム20に入射した光束のうち、第1プリズム51の光束出射面でBLUE成分が反射され、このBLUE成分反射光は第1プリズム51のBLUEチャンネル出射面から出射され青色トリミングフィルタ55を透過してBLUE成分以外の色要素を除去された後、図示しないCCD上に結像される。
BLUE成分以外の残りの光束は、第1プリズム51を通過して第2プリズム52に入射し、第2プリズム52の光束出射面のダイクロイックコートによってRED成分のみが反射される。このRED反射光は、第2プリズム52の入射面で全反射され、第2プリズム52のREDチャンネルの出射面から出射し、赤トリミングフィルタ56を透過してRED成分以外の色要素が除去された後、図示しないCCD上に結像する。
【0017】
残る緑色(GREEN)成分は、第3プリズム53のGREENチャンネルの出射面から出射し、緑トリミングフィルタ57を透過してGREEN成分以外の色要素が除去された後、図示しないCCD上に結像する。
続いて、撮影レンズのマウント構造について説明する。
図2に示されているように、レンズ鏡胴受け座14の上部中央には、後述する回転止めのピン72が挿入されるガイド穴17が形成され、該レンズ鏡胴受け座14の外側に設けられたマウントリング16の前面には後述するバヨネットリング74の爪の形状に対応した切欠部19が形成されている。
【0018】
また、前記マウントリング16の周面にはストッパー部材を兼ねた回転レバー60が設けられている。回転レバー60の軸は、マウントリング16の側面に径方向に形成されたねじ孔62に螺合され、このねじの作用によってマウントリング16の径方向に昇降可能に設けられている(図3参照)。
マウントリング16のねじ孔62の上部(外周面側)は、ねじ径よりも大きい径の座グリ部63(ねじ山の形成されていない部分)が形成されている。この座グリ部63とねじ部の境界の段差に回転レバー60の軸の段差部61が当接することで、回転レバー60の締め込み終端が規制される。
【0019】
回転レバー60は、マウントリング16を周方向に回転させる操作ツマミとしての役割を果たすとともに、後述するストッパー溝76に嵌合してマウントリング16の緩み防止用のストッパー部材の役割を果たしている(図4、図6参照)。
図4は、撮影レンズ鏡胴の外観斜視図である。撮影レンズ鏡胴70の後端部には、回転止めピン72、バヨネットリング(爪)74、及びストッパー溝76が設けられている。前記回転止めピン72は、カメラ側のレンズ鏡胴受け座14に形成されたガイド穴17に嵌合され、撮影レンズ鏡胴70の周方向の回転が防止される。
【0020】
バヨネットリング74は、撮影レンズ鏡胴70の周面に沿って120度毎の間隔で3つの爪が形成されている(図3参照)。
ストッパー溝76は、前記バヨネットリング74よりも前方に設けられ、前記マウントリング16によって撮影レンズ鏡胴70が固定された際に前記回転レバー60が位置する位置に形成されている。即ち、マウントリング16が前記バヨネットリング74を固定する固定位置に回動した時に、回転レバー60の真下にストッパー溝76が存在するようになっている。
【0021】
そして、前記バヨネットリング74がマウントリング16によって固定された状態で前記回転レバー60がマウントリング16の径方向内側に向かってねじ込まれることにより、回転レバー60の先端部がストッパー溝76に進入する。前記ストッパー溝76は、マウントリング16の固定位置の許容範囲に応じて、回転レバー60の先端部の径よりもやや大きめに形成される。
【0022】
次に、上記の如く構成された撮影レンズのマウント構造の作用について説明する。
撮影レンズ鏡胴70をカメラ本体に装着する場合には、先ず、レンズ鏡胴受け座14に設けられたガイド穴17とマウントリング16の切欠部19の配置関係が、撮影レンズ鏡胴70の回転止めピン72とバヨネットリング74の爪の配置関係と一致するように、回転レバー60をマウントリング16の周方向に操作して、マウントリング16を装着準備位置に位置させる(図3)。
【0023】
そして、撮影レンズ鏡胴70の後端に形成された回転止めピン72をレンズ鏡胴受け座14のガイド穴17に挿入するとともに、バネヨットリング74の爪をマウントリング16の切欠部19に合わせて挿入し、撮影レンズ鏡胴70をレンズ鏡胴受け座14に着座させる。
このとき、回転レバー60の先端部が撮影レンズ鏡胴70の周面に接触しないように、回転レバー60をマウントリング16の径方向上方に退避させておき、回転レバー60の先端部がマウントリング16の内側から突出しないようにしておく。
【0024】
撮影レンズ鏡胴70をレンズ鏡胴受け座14に着座させた後、回転レバー60を持ってマウントリング16を右ねじ回転方向に約60度回す。図5には、マウントリング16を60度回転させた状態の要部断面が示されている。マウントリング16はレンズ鏡胴受け座14にねじ部15を介して螺合されているので、該マウントリング16が右ねじ方向に回転するとねじの作用によってバヨネットリング74がレンズ鏡胴受け座14の端面とマウントリング16の内側の端面との間に挟み込まれ、撮影レンズ鏡胴70はカメラ本体に固定される。
【0025】
次いで、回転レバー60を軸中心に右ねじ回転方向に回してねじ込むことにより、回転レバー60がマウントリング16の径方向内側に向かって下降する。そして、図6に示すように回転レバー60の先端部は撮影レンズ鏡胴70のストッパー溝76に嵌入し、該回転レバー60の先端面がストッパー溝76の底面に当接する。こうして、回転レバー60は撮影レンズ鏡胴70を径方向外側から締めつけ、前記マウントリング16の周方向の回転が阻止される。また、図7に示すように、マウントリング16は前記ストッパー溝76の大きさ(W)の範囲で周方向の動きが規制され、マウントリング16の自由な回転が阻止される。これにより、マウントリング16の緩みを防止できる。
【0026】
尚、装着した撮影レンズ鏡胴70をカメラ本体から外す場合には、上述の装着手順と逆の手順を行う。即ち、回転レバー60を緩めて、ストッパー溝76から退避させ、マウントリング16を緩める方向に60度回す。そして、バネヨットリング74の爪とマウントリング16の切欠部19とを合わせて、撮影レンズ鏡胴70をレンズ鏡胴受け座14から離脱させる。
【0027】
上記実施の形態では、本発明を放送用カメラに適用した場合を例に説明したが、これに限らず、ビデオカメラ、写真用カメラ等にも適用することができる。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る撮影レンズのマウント構造によれば、マウントリングの外周面に径方向に昇降可能なストッパー部材を設け、マウントリングを固定位置に回した後、ストッパー部材をマウントリングの径方向内側に向けて下降させ、ストッパー部材の先端部を撮影レンズ鏡胴の溝に嵌合させるようにしたので、マウントリングの自由な回転を阻止できる。これにより、マウントリングの緩みを防止でき、撮影レンズの落下等の事故を防ぐことができる。
【0029】
また、本発明の他の態様によれば、ストッパー部材をマウントリングに螺合連結し、該ストッパー部材をねじ込むことでストッパー部材の先端部が前記溝に嵌合するように構成するとともに、このねじ込みによってストッパー部材の先端面を前記溝の底面に当接させて撮影レンズ鏡胴を径方向外側から押さえつけれるように構成したので、マウントリングの緩みを一層効果的に防止できる。
【0030】
更に、ストッパー部材をマウントリングの回転操作部材と共用することにより、構成の簡略化を図ることができ、設計、製造も容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る撮影レンズのマウント構造が適用される放送用カメラの先端部の側面断面図
【図2】図1に示した放送用カメラの先端部の正面図
【図3】マウントリングの構成を示す一部断面を含む要部正面図
【図4】撮影レンズ鏡胴の外観斜視図
【図5】撮影レンズのマウント構造の作用を説明するために用いた要部側面断面図
【図6】撮影レンズのマウント構造の作用を説明するために用いた要部側面断面図
【図7】撮影レンズのマウント構造の作用を説明するために用いた要部正面断面図
【符号の説明】
14…レンズ鏡胴受け座
15…ねじ部
16…マウントリング
19…切欠部
20…色分解プリズム
22…プリズムハウジング
60…回転レバー(ストッパー部材)
62…ねじ孔
70…撮影レンズ鏡胴
74…バヨネットリング(爪)
76…ストッパー溝
Claims (2)
- カメラ本体に形成されたレンズ鏡胴受け座に撮影レンズ鏡胴の後端部を着脱自在に装着する撮影レンズのマウント構造において、
撮影レンズ鏡胴の後端部周面に設けられた爪と、
前記爪の形状に対応した切欠部が形成されるとともに、前記カメラ本体に螺合され、前記切欠部に沿って挿入された前記撮影レンズ鏡胴の爪をねじの作用によって固定し又はその固定を解除するマウントリングと、
前記マウントリングの外周面に設けられ、該マウントリングの径方向に昇降自在に支持されたストッパー部材と、
前記撮影レンズ鏡胴の外周面に形成された溝であって、前記マウントリングが前記爪を固定する固定位置に位置した状態で前記ストッパー部材の下方に設けられ、前記固定位置で前記ストッパー部材を前記マウントリングの径方向内側に向かって下降させた際に該ストッパー部材の先端部が嵌合し、前記マウントリングの周方向の回転を阻止する断面凹形状の溝とを備え、
前記ストッパー部材の軸は、前記マウントリングの周面に形成されたねじ孔に螺合連結され、前記ストッパー部材をねじ込むことで該ストッパー部材の先端部が前記溝に嵌合するとともに、前記ストッパー部材の先端面が前記溝の底面に当接して撮影レンズ鏡胴を径方向外側から締めつけ、前記マウントリングの周方向の回転を阻止することを特徴とする撮影レンズのマウント構造。 - 前記ストッパー部材は、マウントリングを周方向に回転させるための回転操作部材と共用されることを特徴とする請求項1の撮影レンズのマウント構造。
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