JP3735230B2 - 板紙原紙及びこれを用いた紙容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、板紙原紙及びこれを用いた紙容器に関し、特に調理用材料が保護フィルム等によって密封状態で収納された紙容器を成形するための板紙原紙及びこれを用いた紙容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図9は電子レンジ等の調理用材料が収納された従来のプラスチック容器の外観斜視図であり、図10は図9のX−Xラインの断面図である。
【0003】
これらの図を参照して、密封容器65はコーナが丸められた矩形形状の底面部68と、底面部68の外周縁から立上る周壁部69と、周壁部69の上端縁から外方であって水平方向に延びるフランジ部70とからなる紙容器66と、紙容器66のフランジ部70にシール部71を介して貼付けられた保護フィルム67とから構成され、これらはいずれも合成樹脂により形成されている。紙容器66の内部には電子レンジ等で調理するための調理用材料が収納されており、この調理用材料は保護フィルム67によって密封状態で紙容器66に収納されている。
【0004】
使用に際しては、収納された内容物の水分等を保持するために、保護フィルム67を剥がさない状態で電子レンジ等の加熱装置にセットする。この状態で密封容器65内を加熱することによって内容物が短時間で加熱されて効率的に料理が仕上がるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の密封容器65では、加熱が進むと密封容器65内の内圧が上昇し、図10において2点鎖線で示されているように保護フィルム67が変化する。この状態で更に内圧が上昇すると、保護フィルム67が破裂してしまい内容物が飛び散る恐れがある。そこでこのような飛び散りを防止するために種々の対策が取られている。
【0006】
例えば、保護フィルム67に小さな蒸気抜き穴を形成する方法である。しかし、蒸気抜き穴を保護フィルム67に前もって形成するには保護フィルム67にパンチングで穴を開けることになるが、この場合の抜き滓処理を施す必要があり、又穴の大きさや形状に制約が生じる。又前もって保護フィルム67に穴を開けたままの状態に置くのは衛生的に好ましくないため、穴が開けられた保護フィルム67に更にそれを外装するためのシート等が必要となりコスト的に不利なものとなる。
【0007】
尚、電子レンジで加熱する直前に保護フィルム67に穴を開ける方法は、適切な大きさの穴となるかが不安定であり、場合によっては保護フィルム67が破裂する恐れもないとは言えない。
【0008】
又、保護フィルム67とフランジ部70とが接着されているシール部71の接着強度を部分的に弱くすることによって、図11のように保護フィルム67の一部分をフランジ部70から剥離させることによって内圧を逃がす方法がある。
【0009】
しかし、この方法では、シール部71の接着力の調整が複雑となり、やはり蒸気抜きの信頼性が欠ける恐れがある。
【0010】
更に、図12に示すように保護フィルム67を二層構造とする方法がある。すなわち、図12の(1)に示されているように紙容器66側の下層膜76は開口を設けないものとし、下層膜76に対して容器の外方側に所定の開口77が形成された上層膜75を貼付け、これらを保護フィルム67とするものである。このように保護フィルム67を構成すると、加熱によって容器内部の内圧が所定以上上昇すると、図12の(2)に示されているように、上層膜75の開口77に対応する部分の下層膜76が内圧によって破裂し、この破裂によって下層膜76の開口となった部分から蒸気等を外部に逃がそうとするものである。
【0011】
しかし、保護フィルム67をこのような二層構造とすると、1枚のシートによるものに比べてコストアップとなり、又、下層膜76の破裂強度を規定する適切な開口77を上層膜75に形成することが容易ではない。
【0012】
一方、近年廃棄処理における環境問題等から、上記のようなプラスチック容器に代えて紙をプレス成形した紙容器が注目されているが、このような紙容器であっても密封容器として使用した場合には上記と同様の問題を生じる。
【0013】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、密封容器として用いた場合において、効率的に内圧の上昇を停止し、且つ製造コスト的に不利とはならない紙容器のための板紙原紙及びこれを用いた紙容器を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、密封のための保護シートが貼付けられるフランジ部を有する紙容器をプレス成形するための板紙原紙において、フランジ部が成形される部分にスリットが形成されたことを特徴とするものである。
【0015】
このように構成すると、プレス成形によってスリットの対向辺の隙間が広がることになる。
【0016】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、紙容器はコーナが丸められた矩形形状の底面部と、底面部の外周から立上る周壁部と、周壁部の上端部から外方に向かって水平方向に延びるフランジ部とからなり、スリットは板紙原紙の外周縁にほぼ平行に形成され、且つ底面部の外周のうち、直線部に対応するフランジ部の一部と、曲線部に対応するフランジ部の他の一部との境界を跨いで形成されるものである。
【0017】
このように構成すると、プレス成形時におけるスリットの対向辺の隙間の広がり程度が安定する。
【0018】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の構成において、スリットは、更にフランジ部の一部において形成されるものである。
【0019】
このように構成すると、フランジ部の一部に形成されたスリットの対向辺の隙間は大きく広がらない。
【0020】
請求項4記載の発明は、請求項2記載の発明の構成において、スリットは更にフランジ部の一部において形成され、フランジ部の一部において形成されたスリットと板紙原紙の外周縁との間の部分は、プレス成形によって突出部が形成されるものである。
【0021】
このように構成すると、突出部の形成によってフランジ部の一部に形成されたスリットの対向辺の隙間が確実に広がるものである。
【0022】
請求項5記載の発明は、密封のための保護シートが貼付けられたフランジ部を有する紙容器において、フランジ部に開口が形成されたことを特徴とするものである。
【0023】
このように構成すると、紙容器内の内圧の増加による保護フィルムの剥離が開口まで達すると紙容器内部と外部とが開口を介して導通する。
【0024】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明の構成において、開口は舟型形状を有し、且つその長手方向はフランジ部の外周縁にほぼ平行となっている。
【0025】
このように構成すると、保護シートの剥離によって開口全体が紙容器内部と外部との導通に寄与する。
【0026】
請求項7記載の発明は、密封のための保護シートが貼付けられ、少なくとも直線帯状のフランジ部を有する紙容器において、フランジ部にその外周縁にほぼ平行なスリットが形成されたことを特徴とするものである。
【0027】
このように構成すると、紙容器内の内圧の増加による保護シートの剥離がスリットまで達すると、スリットの外方部分のフランジ部が保護シートともに持ち上げられる。
【0028】
請求項8記載の発明は、請求項5から請求項7のいずれかに記載の発明の構成において、保護シートは、フランジ部に対してヒートシールによって貼付けられる保護フィルムを含むものである。
【0029】
請求項9記載の発明は、請求項5から請求項7のいずれかに記載の発明の構成において、保護シ−トはフランジ部に対して接着剤によって貼付けられる保護フィルムを含むものである。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、プレス成形によってスリットの隙間が広がるので、紙の抜き滓を生じることなく効率的に紙容器のフランジ部に開口が形成されるものである。
【0031】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、スリットの隙間の広がり程度が安定するので、紙容器のフランジ部に所望の大きさの開口が安定して形成される。
【0032】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加えて、スリットの隙間が大きくは広がらないので、フランジ部の一部の幅は成形後においてあまり変化しないため、その部分の保護シートの貼付けが容易となる。
【0033】
請求項4記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加えて、突出部によってスリットの隙間が確実に広がるため、フランジ部の一部にも安定した開口が形成される。
【0034】
請求項5記載の発明は、紙容器内の内圧の増加によって開口を介して内部と外部とは導通するため、容器内部の内圧の増加は停止され、保護シートの破れや完全な剥離が防止される。そのため、紙容器内の調理物等の内容物が外部へ飛び散る恐れがなく使い勝手が向上する。
【0035】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明の効果に加えて、開口全体が容器内部と外部との導通に寄与するため、紙容器内の内圧の制御が安定して行われる。
【0036】
請求項7記載の発明は、保護シートの剥離がスリットまで達するとスリットの対向辺に段差が生じ、この間の隙間を介して紙容器の内部と外部とが導通する。従って、内圧の増加が停止され保護フィルムの破れや完全な剥離が防止される。そのため、紙容器内の調理物等が外部へ飛び散る恐れがなく、使い勝手が向上する。
【0037】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明の第1の実施の形態による紙容器をプレス成形するための打ち抜き板紙原紙の外観形状を示した図である。
【0038】
図を参照して、板紙原紙13は、例えば通常の白板紙、コートボール紙、又は、耐水耐油処理を施した板紙原紙及び合成紙等から構成されており、又、使用目的に応じて樹脂フィルムを板紙に張り合わせたものや、樹脂押し出し、樹脂コーティングした板紙等を組み合わせて用いることもできる。
【0039】
板紙原紙13の外周は、その四角が丸く仕上げられた長方形形状を有している。図で破線で示された内方部が紙容器の底の部分に対応する底面部14であり、底面部14の対向辺から外方の部分が、成形容器の側壁部分に対応する一対の周壁部15a,周壁部15b及び一対の周壁部16a,周壁部16bを構成している。底面部14のコーナ部分から外方の部分は、成形容器の側壁コーナ部分に対応する部分として周壁コーナ部17a〜周壁コーナ部17dとなっている。
【0040】
尚、周壁コーナ部17a〜周壁コーナ部17dには、外方へ放射状に延びる複数の線条18が形成されているが、これは板紙原紙13をプレス加工した際の周壁コーナ部分に生じる皺を吸収するためのものである。
【0041】
尚、一対の周壁部15a,周壁部15bの外方部分は成形後には、周壁部に連続するフランジ部となるが、この部分に板紙原紙13の外周縁に沿ってほぼ平行に第1スリット19a,第1スリット19bが形成されている。同様に一対の周壁部16a,周壁部16b及び周壁コーナ部17a〜周壁コーナ部17dの各々の外方部分も成形後に周壁部につながるフランジ部を構成する。
【0042】
そして周壁部15aのフランジ部に相当する部分と周壁コーナ部17aのフランジ部に相当する部分との境界部を跨ぐように第2スリット20aが形成されている。同様に周壁部15bと周壁コーナ部17bとの境界部には第2スリット20bが、周壁部15bと周壁コーナ部17cとの境界部には第2スリット20cが、周壁部15aと周壁コーナ部17dとの境界部には第2スリット20dが各々形成されている。
【0043】
更に、周壁部16aと周壁コーナ部17aとの境界部にも第3スリット21aが、周壁部16aと周壁コーナ部17bとの境界部には第3スリット21bが、更に周壁部16bと周壁コーナ部17cとの境界部には第3スリット21cが、周壁部16bと周壁コーナ部17dとの境界部には第3スリット21dが各々形成されている。尚これらのスリットは各々底面部14の表面からその裏面まで完全に貫通するように形成されているものである。
【0044】
図2は図1に示された板紙原紙13をプレス成形によって形成した紙容器の外観形状を示した斜視図である。
【0045】
図を参照して、紙容器23はその四隅が丸く仕上げられた長方形形状の底面部14と、底面部14の周縁から斜め上方に立上げられた一対の周壁部15a,周壁部15b,一対の周壁部16a,周壁部16b及びこれらの接続部となる四隅の周壁部15a〜周壁部15dと、これらの周壁部の上方端縁から水平方向に延びるように形成されるフランジ部22とから構成される。
【0046】
底面部14の外周のうち長手方向の直線部の部分、すなわち周壁部15a,周壁部15bが接続する部分のフランジ部22の一部には、第1開口25a,第1開口25bが形成されている。この第1開口25a,第1開口25bは図1で示された第1スリット19a,第1スリット19bによって形成されたものである。又、フランジ部22のコーナ部分と直線部分との境界を跨ぐように第2開口26a〜第2開口26d及び第3開口27a〜第3開口27dの各々が舟型形状に形成されている。尚、第2開口26a〜第2開口26dは図1で示された第2スリット20a〜第2スリット20dによって形成されたものであり、第3開口27a〜第3開口27dは図1の第3スリット21a〜第3スリット21dによって形成されたものである。尚、これらの開口と図1に示されたスリットの関係については後述する。
【0047】
図3は図2のIII−IIIラインの断面図に対応するものであり、紙容器23の容器内部を密封すべき樹脂フィルム等の保護シートをフランジ部22に貼付けた状態を示したものである。
【0048】
図3の(1)に示されているように、保護フィルム33はフランジ部22に対してシール部34を介して貼付けられている。尚、保護フィルム33のフランジ部22への貼付けはこの実施の形態においてはヒートシールによってシール部34を形成しているが、単に接着剤をシール部34として塗布し、保護フィルム33とフランジ部22とを貼付けるようにしてもよい。
【0049】
ここでフランジ部22には第2開口26cが形成されているが、この第2開口26cは第2スリット20cを構成する一対の対向辺31の隙間がプレス成形時によって広がって形成されたものである。尚、この状態においては第3スリット21の上面全面にシール部34が形成されているため、紙容器23の内部は保護フィルム33によって外部に対して密封された状態を維持している。
【0050】
次に、この紙容器23を電子レンジ等によって加熱した状態を想定する。保護フィルム33によって密閉された紙容器23内を加熱すると、容器内部の内圧が上昇する。これによって図3の(2)に示されているように、内圧によって矢印で示されているように保護フィルム33を押し上げようとする力が加わる。これによってシール部34の内方部分は剥離が始まって剥離部分35が形成され、剥離部分35は徐々にフランジ部22の第2開口26cに近づくように広がることになる。
【0051】
更に加熱が進み、内圧が増加すると保護フィルム33を押し上げようとする力がより大きくなり、剥離部分35がフランジ部22の第2開口26cに達することになる。この状態を示したのが図3の(3)である。すなわち剥離部分35が第2開口26cに達すると、容器内部と容器外部とは第2開口26cを介して導通状態となる。このため内圧の増加を生じさせる内部の蒸気等は、この第2開口26cを介して外部へ排出されることになる。
【0052】
これによって加熱が続行していたとしても、それ以上の内圧の増加を防止することができる。従って、剥離部分35の拡大はそれ以上進まず、残ったシール部34を介して保護フィルム33の外方端部とフランジ部22の第2開口26cより外方端部とは接着状態が保たれたままとなる。このようにして、保護フィルム33がフランジ部22から完全に剥離したり、あるいは保護フィルム33が破裂したりして内容物が外部へ飛び散るような現象を生じることはない。
【0053】
図4は図2のIV−IVラインの断面図であって、保護シートである保護フィルム33をシール部34を介してフランジ部22に接着した状態を示した断面図である。
【0054】
図4の(1)に示されているように、第1スリット19bを構成する対向辺37によって形成された第1開口25bの開口幅は図3で示された第2開口26cに比べて小さなものである。この開口の幅の大小の理由については後述する。この場合であっても図4の(2)に示されているように、加熱による内圧の増加によって保護フィルム33が持ち上げられようとして剥離部分35が拡大する。
【0055】
そして更に内圧が増加して剥離部分35が第1開口25bの位置まで達すると、図4の(3)に示されているようにフランジ部22の第1開口25bより外方部分、すなわち外方フランジ部40の部分はシール部34を介して保護フィルム33の持ち上げに伴って上方に移動することになる。このように外方フランジ部40が上方に持ち上げられるのは、図2に示されているように第1開口25bの形成長さが長いため、外方フランジ部40がその両端を支点として上下方向に移動が容易となるためである。
【0056】
このように外方フランジ部40が上方に移動することによってフランジ部22の第1開口25bより内方部分、すなわち内方フランジ部41の外方部分と外方フランジ部40の内方部分との間に開口38が形成される。これによって容器内部の内圧増加をもたらす蒸気等は開口38を介して外部へ放出される。その結果、保護フィルム33は外方フランジ部40にその外周端部が保持された状態でそれ以上の内圧の増加を防止する。
【0057】
図5は図3で示された第2開口26cの形成工程について説明するための図であって、図1で示した板紙原紙13をプレス成形した際の周壁部15b及びフランジ部22の変化を模式的に示した図である。
【0058】
図5の(1)に示されているように、上部型部材43には紙容器23の周壁部15bの内面形状に対応する凸部45が形成されており、下部型部材44には、紙容器23の周壁部15bの外面形状に対応する凹部46が形成されている。そして、上部型部材43と下部型部材44との間に、板紙原紙13の周壁部15bの外方部分が位置するように板紙原紙13を配置する。
【0059】
この状態で、上部型部材43及び下部型部材44によって板紙原紙13を上下方向から加圧すると、板紙原紙13は図5の(2)に示されたような形状に変化する。すなわち周壁部15bの内方部分は、上部型部材43の凸部45及び下部型部材44の凹部46の形状に沿って変形し周壁部15bが形成される。このとき凸部45及び凹部46の外面形状に周壁部15bが沿うように変形するため、板紙原紙13は容器の中心側(図で言えば左側)に引き込まれることになる。しかしフランジ部22の部分は上部型部材43と下部型部材44とによって上下方向から加圧されているため、第2スリット20cを構成する一対の対向辺31の内、容器内方側の辺が移動し、これによって第2開口26cが形成されることになる。
【0060】
このようにして第2スリット20cによって第2開口26cが形成されることになるが、この第2開口26cによってプレス成形時における周壁部15bに加わる引張力が緩和されることにもなる。すなわち、プレス成形時における周壁部15b部分の引張による破れを防止するとともに、所定の開口幅の第2開口26cを抜き滓を生じることなく形成することが可能となる。
【0061】
尚、このプレス成形時における引込み力は、容器のコーナ部分において特に大きなことが判明している。一方、容器の直線部分においてはその引込み力はあまり過大とならないため、フランジ部22の直線部に形成された第1開口25a,第1開口25bは、あまり開口幅が大きな開口とはならないことになる。従ってこのようなプレス成形時におけるスリットと開口幅との関係から、図1で示したようなコーナ部と直線部との境界に跨るような位置にスリット20a〜20d及び21a〜21dを形成すると開口幅が過大とはならず又安定した開口幅を確保することが容易となる。
【0062】
図6はこの発明の第2の実施の形態による紙容器の外観斜視図であり、図7は図6のVII−VIIラインの断面図である。
【0063】
これらの図を参照して、フランジ部22の直線部分はコーナ部分や他の直線部分に対してその幅が広い幅広フランジ部50a,幅広フランジ部50bとなっている。幅広フランジ部50aの外方部分には突出部51a,突出部51bが形成され、その内方部分には開口52a,開口52bが形成されている。同様に幅広フランジ部50bの外方部分には突出部54a,突出部54bが形成され、その内方部分には開口55a,開口55bが形成されている。そして図7に示されているように保護シートとしての保護フィルム33は突出部54aの内方部分においてシール部34を介して幅広フランジ部50bに貼付けられている。
【0064】
開口55は、板紙原紙の段階において形成されたスリット56を構成する対向辺57の隙間が広がることによって形成されているが、先の実施の形態とは異なり幅広フランジ部50bのような直線部分のフランジ部であっても大きな開口となっている。これはプレス成形時にスリット56の外方部に突出部54aを形成することによってスリット56の外方部分が突出部54aの成形に伴なって外方に引き込まれるためである。
【0065】
これによって突出部54aは保護フィルム33の外方端部の位置決めの基準となるとともに、スリット56から開口幅の広い開口55を形成することに寄与する。このように形成された開口55によって他の開口部分と同様に容器内部の過大な内圧の増加を防止することが可能となる。
【0066】
図8はこの発明の第3の実施の形態による紙容器の一部であって、周壁部とフランジ部との構造を示した断面図である。
【0067】
図を参照して、この実施の形態においてはフランジ部22の外方部に縁巻61が形成されている。この縁巻61の形成によってフランジ部22は外方にも引き込まれることになるため、板紙原紙の段階で形成されたスリットによって、フランジ部22における形成位置にかかわらず開口幅の大きな開口62を形成することが可能となる。
【0068】
尚、上記の実施の形態では、板紙原紙にプレス成形時の自然皺を吸収するための複数の線条が形成されているが、本発明にとっては必ずしも必要なものではない。
【0069】
又、上記の実施の形態では、形成されたスリットは略直線状となっているが、曲線状であっても良く、更に板紙原紙の外周縁の形状に沿ったような形状であっても良い。そして、スリットの大きさは、フランジ部における形成位置や、保護シートの接着強度等に応じて選定すれば良い。
【0070】
更に、上記の実施の形態では、角型の紙容器を対象としているが、円形や楕円形等の他の形状の紙容器にも同様に適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態による板紙原紙の外観形状を示した図である。
【図2】図1で示された板紙原紙をプレス成形して形成された紙容器の外観形状を示した図である。
【図3】図2のIII−IIIラインの断面図に対応したものであって、保護フィルムが貼付けられた状態を示した断面図である。
【図4】図2のIV−IVラインの断面図に対応した図であって、保護フィルムが貼付けられた状態を示した断面図である。
【図5】図3で示された周壁部及びフランジ部のプレス成形による変化を模式的に示した図である。
【図6】この発明の第2の実施の形態による紙容器の外観形状を示した図である。
【図7】図6のVII−VIIラインの断面図である。
【図8】この発明の第3の実施の形態による紙容器の一部であって、周壁部及びフランジ部の構造を示した断面図である。
【図9】従来の密封型容器の外観形状を示した斜視図である。
【図10】図9のX−Xラインの断面図である。
【図11】従来の密封型容器における蒸気抜き構造の一例を示した断面図である。
【図12】従来の密封型容器における蒸気抜きの他の構造を示した断面図である。
【符号の説明】
13…板紙原紙
14…底面部
15,16…周壁部
17…周壁コーナ部
19…第1スリット
20…第2スリット
21…第3スリット
22…フランジ部
23…紙容器
25…第1開口
26…第2開口
27…第3開口
33…保護フィルム
50…幅広フランジ部
51,54…突出部
56…スリット
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
Claims (9)
- 密封のための保護シートが貼付けられるフランジ部を有する紙容器をプレス成形するための板紙原紙において、
前記フランジ部が成形される部分に、スリットが形成されたことを特徴とする、板紙原紙。 - 前記紙容器はコーナが丸められた矩形形状の底面部と、前記底面部の外周から立上る周壁部と、前記周壁部の上端縁から外方に向かって水平方向に延びるフランジ部とからなり、
前記スリットは、板紙原紙の外周縁にほぼ平行に形成され、且つ前記底面部の外周のうち、直線部に対応する前記フランジ部の一部と、曲線部に対応する前記フランジ部の他の一部との境界を跨いで形成される、請求項1記載の板紙原紙。 - 前記スリットは、更に前記フランジ部の前記一部において形成される、請求項2記載の板紙原紙。
- 前記スリットは、更に前記フランジ部の前記一部において形成され、前記フランジ部の前記一部において形成されたスリットと板紙原紙の外周縁との間の部分は、プレス成形によって突出部が形成される、請求項2記載の板紙原紙。
- 密封のための保護シートが貼付けられたフランジ部を有する紙容器において、
前記フランジ部に開口が形成されたことを特徴とする、紙容器。 - 前記開口は舟型形状を有し、且つその長手方向は前記フランジ部の外周縁にほぼ平行である、請求項6記載の紙容器。
- 密封のための保護シートが貼付けられ、少なくとも直線帯状のフランジ部を有する紙容器において、
前記フランジ部にその外周縁にほぼ平行なスリットが形成されたことを特徴とする、紙容器。 - 前記保護シートは、前記フランジ部に対してヒートシールによって貼付けられた保護フィルムを含む、請求項5から請求項7のいずれかに記載の紙容器。
- 前記保護シートが、前記フランジ部に対して接着剤によって貼付けられた保護フィルムを含む、請求項5から請求項7のいずれかに記載の紙容器。
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