JP3729697B2 - Icカード用コネクタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パーソナルコンピュータなどの記憶媒体などに用いられるPCカードや、デジタルカメラなどの電子機器などに使用されるCF(コンパクトフラッシュ)カードなどに使用される、ICカード用コネクタの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
パーソナルコンピュータの増設記録装置としてICカード用コネクタが一般的に使用されている。このICカード用コネクタの記憶媒体としてはICカードが広く使用さるようになってきている。
【0003】
このICカードをICカード用コネクタに挿着して必要な情報の書き込み、及び読み取りを行うが、このICカードを着脱する場合に、その操作性を向上させるために、ICカード用コネクタにはICカードを排出する時の排出機構を備えたものがある。
【0004】
この従来のICカードの排出機構としては、ICカードを搬送するスライド部材と、このスライド部材をICカードの挿着位置に保持させるロック部材と、このロック部材が解除された場合にはスライド部材を排出方向へ付勢するばね部材を設け、スライド部材の排出方向への移動に伴ってICカードが排出される時、このばね部材の付勢力でICカードが排出方向へ押し出される構造となったものが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のICカード用コネクタの構造においては、ロック部材を解除するのにソレノイドやモータなどを使用して自動的に解除する場合には、電気回路などの故障が発生するとロック部材を操作することができなくなり、ICカードを排出することができなくなるという問題があった。また、これを回避するために非常時以外ほとんど使用されないイマージェンシ機能(初期復帰機能)を設けることは、構造が複雑化し、コストアップになるという問題があった。
【0006】
したがって、本発明では上述した問題点を解決し、ICカードの排出機構を備えたICカード用コネクタの構造で、ICカードを排出するためのロック部材の自動解除手段が故障などで操作不能になっても、簡単な構造でロック部材の解除を可能にすると共に、廉価なイマージェンシ機能付きのICカード用コネクタを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明では第1の手段として、ハウジング内に着脱されるICカードの挿入及び排出方向にスライド移動可能なスライド部材と、このスライド部材を前記ICカードの排出方向へ付勢する復帰ばねと、この復帰ばねの付勢力に抗して前記スライド部材を、前記ICカードが挿着された位置に保持するロック部材と、このロック部材のロックを解除して前記スライド部材を前記ICカードの排出方向へ移動させる解除部材とを備え、前記ロック部材は、回動可能に支持され、前記スライド部材に係脱可能な係止部と、この係止部を前記スライド部材との係合状態から離脱する方向へ回動させる回動操作部と、前記スライド部材と当接可能な押圧操作部とを有し、前記スライド部材は、一端側に前記係止部に係合する係合突部と、前記押圧操作部と当接する押圧部とを有し、前記ICカードの挿入時、前記スライド部材がICカードの挿入方向に移動する際に、前記押圧部が前記押圧操作部を押圧して前記ロック部材を回動させることにより前記ICカードが挿着された位置で前記係止部を前記係合突部に係合させ、前記ICカードの排出時、初期位置にある前記解除部材が押圧操作されることで前記回動操作部が操作されて前記ロック部材が回動されることにより前記係止部と前記係合突部との係合が外れると共に、前記押圧操作部が前記押圧部をICカードの排出方向へ押圧するのに伴って前記復帰ばねの付勢力で前記スライド部材をICカードの排出方向へ移動させ、前記スライド部材がICカードの排出位置からICカードの排出方向へ移動するのに連動して、前記解除部材がICカードの排出方向へ移動されることにより初期位置へ復帰するようにしたことを特徴とする。
【0008】
また、第2の手段として、前記解除部材には、長尺状の切り欠き溝部を形成し、前記スライド部材には、この切り欠き溝部に嵌合される戻しアーム部を形成し、前記切り欠き溝部内に前記戻しアーム部をスライド移動可能に遊嵌したことを特徴とする。
【0009】
また、第3の手段として、前記戻しアーム部は、前記スライド部材が前記復帰ばねの付勢力で前記ICカードの排出位置に復帰した時、前記切り欠き溝部の一端部に当接し、前記ICカードの排出位置から前記ICカードを引き出した時、前記スライド部材が前記ICカードの排出方向へ移動して、前記戻しアーム部により前記解除部材が初期位置へ復帰するようにしたことを特徴とする。
【0010】
また、第4の手段として、前記ロック部材を固定部材に回動可能に支持させると共に、前記解除部材は、振動による移動を防ぐため、前記固定部材との間に摺動抵抗を持たせて配設したことを特徴とする。
【0011】
また、第5の手段として、前記固定部材には、対向したガイド壁を形成し、このガイド壁により前記解除部材を挟持して摺動抵抗を持たせたことを特徴とする。
【0012】
また、第6の手段として、前記固定部材を、前記ハウジング又は、このハウジングに取り付けられるフレームで形成したことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図1乃至図28に示す。図1は本発明のICカード用コネクタを示す平面図、図2はハウジングの平面図、図3は同じく正面図、図4はICカードの平面図、図5は同じく底面図、図6はスライド部材の平面図、図7は同じく側面図、図8はイジェクトアームの平面図、図9は同じく側面図、図10はスライドユニット部の説明図、図11はフレームの平面図、図12は同じく上面図、図13はロック部材の平面図、図14は解除部材の平面図、図15は同じく側面図、図16は解除部材とスライド部材との嵌合状態を示す説明図、図17はカバーの平面図、図18は同じく側面図である。
【0015】
図において、ハウジング1は、合成樹脂などの絶縁材で形成されており、このハウジング1には、内部に後述するICカード3が挿入され収納される収納部1aが設けられている。この収納部1aの内底部には、導電性の金属材からなる複数の接触端子2aが配設されており、この接触端子2aの他端側は、前記ハウジング1の外方へ導出されて、図示しない外部の回路基板などの回路パターンと接続される接続端子2bが形成されている。
【0016】
前記ハウジング1の一端側には、後述するフレーム4と係合してフレーム4を前記ハウジング1に取付けるための取付用凹部1bが形成されている。また、この取付用凹部1bに近接して、前記ハウジング1の一端側には切り欠き部1cが設けられており、この切り欠き部1cを設けることにより、後述するイジェクトアーム8の回動時に、このイジェクトアーム8の各アーム部8a、8bの回動を妨げないようにしている。
【0017】
ICカード3は、内部に集積回路(IC)が収納されており、記録媒体として広く使用されているものである。このICカード3の底面側には、その一端側に複数の接点部3aが形成されており、この接点部3aが前記ハウジング1の収納部1aに設けられた複数の接触端子2aと接触することにより、外部に接続された電子機器との種々の情報処理が行われるものとなっている。
また、前記ICカード3には、その一側部に、後述するイジェクトアーム8の第2のアーム部8bが係合される凹部3bが設けられている。
【0018】
フレーム4は、合成樹脂などの絶縁材で略方形に形成されており、このフレーム4の先端部には、前記ハウジング1の前記取付用凹部1bに係合して、前記ハウジング1と一体的に取付けられる、取付用突部4aを有する取付腕部4bが設けられている。また、前記フレーム4の周面部には後述するカバー11を係合する係合爪部4cが複数個設けられている。
また、このフレーム4の略中央部には凹状の平坦部4dが設けられており、この平坦部4dに後述するスライド部材7が配設されるものとなっている。この平坦部4dの下端部には、後述するコイルばね9が係止される係止凹部4eが設けられており、これと平行してスライド部材7の復帰用の復帰ばね5を係止するフック部4fが設けられている。
また、前記平坦部4dの上端側には、後述するロック部材6を係止する係止軸4gが設けられており、また、前記平坦部4dの中央には後述するスライド部材7の摺動突起7gが摺動する摺動溝部4hが設けられ、一側部には後述する解除部材10を挟持する一対のガイド壁4i、4iが形成されたものとなっている。
【0019】
また、前記平坦部4dにはループ状のカム溝部4jが設けられている。このカム溝部4jには、後述するスライド部材7に係合されたイジェクトアーム8に設けられたカムピン8dが摺動され、このカムピン8dがスライド部材7の移動に伴って前記カム溝部4j内を移動することにより、イジェクトアーム8の回動が規制されるものとなっている。
【0020】
ロック部材6は合成樹脂などの絶縁材で略T字状に形成されており、このロック部材6の中央には、前記フレーム4の係止軸4gに係止される係止孔6aと、後述するスライド部材7に係脱可能な係止部6bが形成されている。また、この係止孔6aを挟んで対向する一端側には、前記係止部6bとスライド部材7との係合状態を離脱する方向へ前記ロック部材6を回動させるための回動操作部6cが形成されている。この回動操作部6cの他端側には、後述するスライド部材7に当接し、スライド部材7がICカードの挿入方向に移動した時に、その動きに連動して前記係止部6bをスライド部材7に係合させると共に、前記回動操作部6cが操作された時には、その動きに連動してスライド部材7をICカードの排出方向へ押圧するための押圧操作部6dが形成されている。
【0021】
スライド部材7は合成樹脂などの絶縁材で形成されており、このスライド部材7の一端側には前記ロック部材6の係止部6bと係合される係合突部7aが設けられ、更に先端側が前記ロック部材6の押圧操作部6dと当接される押圧部7bとなっている。また、このスライド部材7の中央には、前記フレーム4に係止される前記復帰ばね5の一端側が係止されるフック部7cが形成され、このフック部7cの上面側には、外方へ突出して設けられた後述する解除部材10に嵌合される戻しアーム部7dが形成されている。
また、前記スライド部材7の略中央部には開口部7eが設けられており、この開口部7eの中央には、後述するイジェクトアーム8が回動可能に取付けられる軸部7fが突出して設けられている。また、前記スライド部材7の両端部には前記フレーム4の摺動溝部4hに摺動される摺動突起7gが形成されている。
前記スライド部材7は、前記フレーム4の平坦部4d内に配設され、前記復帰ばね5によって、前記フレーム4上を上下方向、即ち前記ICカード3の挿入、排出方向へ移動可能となるように取り付けられるものとなっている。
【0022】
イジェクトアーム8は、合成樹脂などの絶縁材で略円盤状に形成されており、このイジェクトアーム8には、円盤状の外形から外方へ延出された、第1及び第2のアーム部8a、8bが形成されている。この第1のアーム部8aは、前記ICカード3の挿入時に、前記ICカード3の前端部に係合されるように設けられている。また、前記第2のアーム部8bは、その先端部の形状が略円形とされており、前記ICカード3の一側部に形成された凹部3bと係合され、この凹部3b内を回動しながら係脱されるように設けられている。
【0023】
前記イジェクトアーム8には、その中央部に、軸孔8cが設けられており、この軸孔8cが、前記スライド部材7に形成された前記軸部7fに挿通されることにより、前記イジェクトアーム8は、前記軸部7fの回りに回動可能となるように取付けられるものとなっている。また、前記イジェクトアーム8の一側面部には、前記フレーム4に設けられた前記カム溝部4h内を移動するピン状のカムピン8dが設けられている。(図10)
【0024】
コイルばね9は、金属線材からなる圧縮ばねで、前記フレーム4の係止凹部4eに収納され、前記スライド部材7がICカードの排出方向に移動した時のストッパーとしての役目と、前記スライド部材7を挿入方向へ付勢する付勢部材としての役目とを兼ね備えている。
【0025】
解除部材10は、金属性の板材で略Z字状に形成されており、この解除部材10の両端側は平坦状に屈曲され、この一端側に前記ロック部材6の回動操作部6cに当接して前記ロック部材6を回動させる解除操作部10aが形成され、他端側に外部から治具などで操作される治具操作部10bが形成されている。また、前記解除部材10の中央には、長尺状の切り欠き溝部10cが形成されており、この切り欠き溝部10c内に前記スライド部材7の戻しアーム部7dがスライド移動可能なように嵌合されるものとなっている。
また、前記解除部材10は、前記スライド部材7と共に前記フレーム4に組み込まれ、前記フレーム4の一対のガイド壁4i、4iに挟持されており、このガイド壁4iとの摺動抵抗を持たせることにより、外部からの電子機器などに加わる振動などにより容易に動かないように構成されている。
【0026】
カバー11は、金属性の板材から形成されており、このカバー11には平板状の上板部11aと、この上板部11aから直角に折り曲げられ、前記フレーム4の係合爪部4cに係合される複数の係止窓部11bを有する側板部11c、11cが形成されている。前記カバー11は、前記フレーム4の開口部を覆うように前記フレーム4の上面側に取り付けられるものとなっている。
【0027】
次に、上述したICカード用コネクタの動作を図19乃至図28で説明する。図19乃至図28は、本発明のICカード用コネクタの挿入/排出時の動作状態を示す説明図で、図19はハウジングにICカードを挿入する初期の状態を示す説明図、図20はICカードの挿入途上の状態を示す説明図、図21は同じくICカードの挿入途上でスライド部材とロック部材が係合する直前の状態を示す説明図、図22はICカードの挿入が終了した状態を示す説明図、図23は同じくICカードの挿入終了時でスライド部材がロックされた状態を示す説明図、図24はロックされたスライド部材が解除される状態を示す説明図、図25はスライド部材のロックが解除部材で強制解除される状態を示す説明図、図26はICカードが排出位置まで排出された状態を示す説明図、図27はICカードの排出位置からICカードを手前に引いた状態を示す説明図、図28はICカードと第2のアーム部との係合が外れてICカードを排出する状態を示す説明図である。
【0028】
まず、前記ハウジング1の収納部1aに前記ICカード3を挿入する。この時、前記イジェクトアーム8の前記第1のアーム部8aが前記ICカード3の前端部に当接し、前記第1のアーム部8aはICカードの挿入方向に押圧されることになる。(図19)
【0029】
この時、前記イジェクトアーム8のカムピン8dは、前記フレーム4の前記カム溝部4jによりその動きが規制されていることから、前記第1のアーム部8aはICカードの挿入方向へは回動されずに、前記スライド部材7は前記復帰ばね5の付勢力に抗してICカードの挿入方向へ移動する。この時、前記イジェクトアーム8に設けられた前記カムピン8dが前記フレーム4に設けられた前記カム溝部4j内を移動することなり、前記イジェクトアーム8はICカードの挿入方向へ規制された状態で一定距離だけ回動する。(図20)
【0030】
更に、前記復帰ばね5の付勢力に抗して前記ICカード3を挿入方向に押圧すると、前記スライド部材7はICカードの挿入方向へ移動し、前記カムピン8dは、前記カム溝4j内を移動する。この時、前記イジェクトアーム8はICカードの挿入方向へ一定距離だけ回動し、この回動により前記第2のアーム部8bが前記ICカード3の凹部3bに係合する。この時、前記ICカード3の前記接点部3aは前記ハウジング1の接触端子2aと接触される。この時、前記ロック部材6は前記スライド部材7の移動に伴い反時計回りに若干回動する。(図21)
【0031】
次に、更に前記ICカード3を挿入方向に押圧すると、前記カムピン8dは、更に前記カム溝4jに沿ってICカードの挿入方向へ移動し、前記ICカード3が前記ハウジング1の収納部1aの内縁部に当接した時点で挿入が停止され、前記ICカード3の前記ハウジング1への挿着が完了する。これに伴い前記スライド部材7及び前記イジェクトアーム8の移動も停止される。この時、前記スライド部材7の先端側の前記押圧部7bが前記ロック部材6の押圧操作部6dに当接し、前記押圧操作部6dを押圧して時計方向へ回動させることから、前記ロック部材6の前記係止部6bは前記スライド部材7の係合突部7aと確実に対峙された状態となる。(図22)
【0032】
次に、前記ICカード3への押圧を解除すると、前記スライド部材7は前記復帰ばね5の付勢力により、ICカードの排出方向へ僅かだけ戻され、この時、前記係合突部7aが前記ロック部材6の前記係止部6bと係合することでその位置に前記スライド部材7がロックされる。(図23)
【0033】
このように、前記ICカード3の挿入時に、前記スライド部材7がICカードの挿入方向へ移動して、前記スライド部材7の押圧部7bが、前記ロック部材6の押圧操作部6dを押圧し前記ロック部材6を時計方向へ回動させることから、前記ロック部材6の係止部6bと前記スライド部材7の係合突部7aとが確実に対峙された状態となり、前記スライド部材7をICカードの挿着位置にロックすることが確実に行えるものとなっている。
【0034】
次に、前記ハウジング1に挿着した前記ICカード3を排出する場合には、前記ICカード3の挿着状態(図23)から、前記ロック部材6の回動操作部6cを、図示しないソレノイドやモータなどで電気的に操作し、反時計方向へ回動させてやると、前記ロック部材6の前記係止部6bが、前記スライド部材7の係合突部7aから外れ、前記スライド部材7は前記復帰ばね5の付勢力によりICカードの排出方向へと移動される。この時、前記ロック部材6の押圧操作部6dが前記スライド部材7の押圧部7bをICカードの排出方向へ押圧することから、例え前記復帰ばね5の復帰力に対して前記スライド部材7の静的摩擦が大きかったとしても、前記スライド部材7は確実にICカードの排出方向へと移動されるものとなる。(図24)
【0035】
もし万が一、電気回路の故障などの原因で前記ロック部材6を回動させることができない時には、前記フレーム7に取り付けられた前記解除部材10を操作することで前記ロック部材6を回動させることが可能となっている。この場合、前記ICカード3の挿着状態(図23)から、前記ロック部材6の回動操作部6cを、前記解除部材10の解除操作部10aで、反時計方向へ回動させてやると、前記ロック部材6の前記係止部6bが、前記スライド部材7の係合突部7aから外れ、前記スライド部材7は前記復帰ばね5の付勢力によりICカードの排出方向へと移動される。この時、前記解除部材10は図示しない電子機器のパネルの内部に収納されているが、パネルに設けられた小孔などから治具などを挿入し前記解除部材10の治具操作部10bを押圧することにより容易に前記ロック部材6を回動させることが可能となっている。(図25)
また、この時、図16に示すように前記解除部材10と前記スライド部材7とは、お互いに前記切り欠き溝部10cと前記戻しアーム部7dとがスライド移動可能なように遊嵌されており、前記スライド部材7の戻しアーム部7dは前記解除部材10の移動を妨げないように形成されている。
【0036】
前記スライド部材7がICカードの排出方向へ移動するのに伴い、前記カムピン8dは前記カム溝4jに沿って、ICカードの排出方向へ移動されることとなり、前記イジェクトアーム8はその回動が規制された状態で前記スライド部材7と共にICカードの排出方向へ移動する。そして、前記コイルばね9の端部に前記スライド部材7の後端部が当接することにより、前記スライド部材7の移動が停止され、前記ICカード3は排出位置に停止されるものとなる。(図26)
【0037】
この時、前記第2のアーム8bは、前記ICカード3の凹部3bに係合しており、前記カムピン8dは前記カム溝4jでその回動が規制されていることから、前記ICカード3は、前記第2のアーム部8bに係合された状態で前記スライド部材7と共に排出方向へ移動することとなる。この時、前記ICカード3の前記接点部3aは前記ハウジング1の接触端子2aとの接触が解除される。(図26)
【0038】
この場合、前記ICカード3は、前記凹部3bに前記第2のアーム部8bが係合され、前記カムピン8dは前記カム溝4jでその回動が規制されていることから、ICカードの挿着状態からICカードの排出方向へ前記スライド部材7が移動する途中において、前記ICカード3が前記ハウジング1の収納部1aから飛び出すことを防止することができる。
【0039】
次に、この状態から更に前記ICカード3を引き出すと、前記スライド部材7は前記コイルばね9の付勢力に抗して手前側に移動し、前記カムピン8dは前記カム溝4jに沿って初期位置へと移動し、前記イジェクトアーム8はICカードの排出方向へ回動が可能な状態となる。(図27)
【0040】
更に、この状態から前記ICカード3を引き出すと、前記イジェクトアーム8は、前記ICカード3の排出方向へ回動される。この時、前記イジェクトアーム8のICカードの排出方向への回動に伴って、前記第2のアーム部8bは、前記ICカード3の前記凹部3bとの係合が外れることとなり、前記ICカード3は前記ハウジング1の前記収納部1aから排出される。この時、前記スライド部材7は、前記コイルばね9の付勢力でICカードの挿入方向へ移動し、初期の状態の位置に戻るものとなる。(図28)
【0041】
この時、図16に示すように前記解除部材10と前記スライド部材7とは、お互いに前記切り欠き溝部10cと前記戻しアーム部7dによって嵌合されており、前記スライド部材7がICカードの排出位置に移動され停止した時(図26)、前記戻しアーム部7dが前記切り欠き溝部10cの一端部と当接するように形成されていることから、前記スライド部材7がICカードの排出位置からICカードの排出方向へ移動するのに連動して、前記解除部材10はICカードの排出方向へ移動されることにより初期位置に復帰するものとなる。(図27)
【0042】
このように、前記解除部材10は、ICカード3を引き出す時の前記スライド部材7の移動に連動させて初期位置に復帰するように構成されていることから、前記解除部材10の復帰用ばねなどを別途設ける必要がなく、構成を簡単にできる。
また、前記解除部材10は、前記フレーム4のガイド壁4iに挟持して摺動抵抗を持たせるように形成していることから、外部の振動などで容易に移動してしまう虞がなく、がたつきなどの発生を防止するための構造を別途設ける必要がなく、構成の簡略化が図れると共に、不慮のロック解除などの誤動作の発生を防止できるものとなっている。
【0043】
尚、上記実施例においては、前記接点部3a、前記接触端子2aが面接点タイプのICカード用コネクタで説明したが、ピン/ソケットタイプのICカード用コネクタにも適用できるのはもちろんである。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のICカード用コネクタは、ロック部材は、回動可能に支持され、スライド部材に係脱可能な係止部と、この係止部をスライド部材との係合状態から離脱する方向へ回動させる回動操作部と、スライド部材と当接可能な押圧操作部とを有し、スライド部材は、一端側に係止部に係合する係合突部と、押圧操作部と当接する押圧部とを有し、ICカードの挿入時、スライド部材がICカードの挿入方向に移動する際に、押圧部が押圧操作部を押圧してロック部材を回動させることによりICカードが挿着された位置で係止部を係合突部に係合させ、ICカードの排出時、初期位置にある解除部材が押圧操作されることで回動操作部が操作されてロック部材が回動されることにより係止部と係合突部との係合が外れると共に、押圧操作部が押圧部をICカードの排出方向へ押圧するのに伴って復帰ばねの付勢力でスライド部材をICカードの排出方向へ移動させ、スライド部材がICカードの排出位置からICカードの排出方向へ移動するのに連動して、解除部材がICカードの排出方向へ移動されることにより初期位置へ復帰するようにしたことから、電気回路の故障などの原因でロック部材を回動させることができない時でも、電子機器のパネルの内部に収納されている解除部材を、パネルに設けられた小孔などから治具などを挿入し操作することでロック部材を回動させることが可能となり、ICカードを排出させることができる。また、解除部材は、ICカードを引き出す時のスライド部材の移動に連動させて初期位置に復帰するように構成されていることから、解除部材の復帰用ばねなどを別途設ける必要がなく、構成を簡単にできる。
【0045】
また、ロック部材は、回動可能に支持され、スライド部材に係脱可能な係止部と、この係止部をスライド部材との係合状態から離脱する方向へ回動させる回動操作部とを備え、解除部材により回動操作部が押圧されることで係止部が回動し、スライド部材との係合が解除されるようにしたことから、スライド部材を確実にICカードの排出方向へと移動させることが可能となる。
【0046】
また、解除部材には、長尺状の切り欠き溝部を形成し、スライド部材には、この切り欠き溝部に嵌合される戻しアーム部を形成し、切り欠き溝部内に戻しアーム部をスライド移動可能に遊嵌したことから、スライド部材の戻しアーム部は解除部材の移動を妨げることがないため、確実にロック解除が行える。
【0047】
また、戻しアーム部は、スライド部材が復帰ばねの付勢力でICカードの排出位置に復帰した時、切り欠き溝部の一端部に当接し、ICカードの排出位置からICカードを引き出した時、スライド部材がICカードの排出方向へ移動して、戻しアーム部により解除部材が初期位置へ復帰するようにしたことから、スライド部材がICカードの排出位置からICカードの排出方向へ移動するのに連動して、解除部材は初期位置に復帰するため、解除部材の復帰用ばねなどを別途設ける必要がなく、構成を簡単にできる。
【0048】
また、ロック部材を固定部材に回動可能に支持させると共に、解除部材は、振動による移動を防ぐため、固定部材との間に摺動抵抗を持たせて配設したことから、外部の振動などで容易に移動してしまう虞がなく、不慮のロック解除などの誤動作の発生を防止できる。
【0049】
また、固定部材には、対向したガイド壁を形成し、このガイド壁により解除部材を挟持して摺動抵抗を持たせたことから、がたつきなどの発生を防止するための構造を別途設ける必要がなく、構成の簡略化が図れる。
【0050】
また、固定部材を、ハウジング又は、このハウジングに取り付けられるフレームで形成したことから、構成が簡単で廉価対応が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるICカード用コネクタを示す平面図である。
【図2】本発明の同じくハウジングを示す平面図である。
【図3】本発明の同じくハウジングを示す正面図である。
【図4】本発明の同じくICカードを示す平面図である。
【図5】本発明の同じくICカードを示す底面図である。
【図6】本発明の同じくスライド部材を示す平面図である。
【図7】本発明の同じくスライド部材を示す側面図である。
【図8】本発明の同じくイジェクトアームを示す平面図である。
【図9】本発明の同じくイジェクトアームを示す側面図である。
【図10】本発明の同じくスライドユニット部を示す説明図である。
【図11】本発明の同じくフレームを示す平面図である。
【図12】本発明の同じくフレームを示す上面図である。
【図13】本発明の同じくロック部材を示す平面図である。
【図14】本発明の同じく解除部材を示す平面図である。
【図15】本発明の同じく解除部材を示す側面図である。
【図16】本発明の同じく解除部材とスライド部材との嵌合状態を示す説明図である。
【図17】本発明の同じくカバーを示す平面図である。
【図18】本発明の同じくカバーを示す側面図である。
【図19】本発明のハウジングにICカードを挿入する初期の状態を示す説明図である。
【図20】本発明の同じくICカードの挿入途上の状態を示す説明図である。
【図21】本発明の同じくICカードの挿入途上でスライド部材とロック部材が係合する直前の状態を示す説明図である。
【図22】本発明のICカードの挿入が終了した状態を示す説明図である。
【図23】本発明の同じくICカードの挿入終了時でスライド部材がロックされた状態を示す説明図である。
【図24】本発明のロックされたスライド部材が解除される状態を示す説明図である。
【図25】本発明のスライド部材のロックが解除部材で強制解除される状態を示す説明図である。
【図26】本発明のICカードが排出位置まで排出された状態を示す説明図である。
【図27】本発明のICカードの排出位置からICカードを手前に引いた状態を示す説明図である。
【図28】本発明のICカードと第2のアーム部との係合が外れてICカードを排出する状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 ハウジング
1a 収納部
1b 取付用凹部
1c 切り欠き部
2a 接触端子
2b 接続端子
3 ICカード
3a 接点部
3b 凹部
4 フレーム
4a 取付用突部
4b 取付腕部
4c 係合爪部
4d 平坦部
4e 係止凹部
4f フック部
4g 係止軸
4h 摺動溝部
4i ガイド壁
4j カム溝部
5 復帰ばね
6 ロック部材
6a 係止孔
6b 係止部
6c 回動操作部
6d 押圧操作部
7 スライド部材
7a 係合突部
7b 押圧部
7c フック部
7d 戻しアーム部
7e 開口部
7f 軸部
7g 摺動突起
8 イジェクトアーム
8a 第1のアーム部
8b 第2のアーム部
8c 軸孔
8d カムピン
9 コイルばね
10 解除部材
10a 解除操作部
10b 治具操作部
10c 切り欠き溝部
11 カバー
11a 上板部
11b 係止窓部
11c 側板部
Claims (6)
- ハウジング内に着脱されるICカードの挿入及び排出方向にスライド移動可能なスライド部材と、このスライド部材を前記ICカードの排出方向へ付勢する復帰ばねと、この復帰ばねの付勢力に抗して前記スライド部材を、前記ICカードが挿着された位置に保持するロック部材と、このロック部材のロックを解除して前記スライド部材を前記ICカードの排出方向へ移動させる解除部材とを備え、前記ロック部材は、回動可能に支持され、前記スライド部材に係脱可能な係止部と、この係止部を前記スライド部材との係合状態から離脱する方向へ回動させる回動操作部と、前記スライド部材と当接可能な押圧操作部とを有し、前記スライド部材は、一端側に前記係止部に係合する係合突部と、前記押圧操作部と当接する押圧部とを有し、前記ICカードの挿入時、前記スライド部材がICカードの挿入方向に移動する際に、前記押圧部が前記押圧操作部を押圧して前記ロック部材を回動させることにより前記ICカードが挿着された位置で前記係止部を前記係合突部に係合させ、前記ICカードの排出時、初期位置にある前記解除部材が押圧操作されることで前記回動操作部が操作されて前記ロック部材が回動されることにより前記係止部と前記係合突部との係合が外れると共に、前記押圧操作部が前記押圧部をICカードの排出方向へ押圧するのに伴って前記復帰ばねの付勢力で前記スライド部材をICカードの排出方向へ移動させ、前記スライド部材がICカードの排出位置からICカードの排出方向へ移動するのに連動して、前記解除部材がICカードの排出方向へ移動されることにより初期位置へ復帰するようにしたことを特徴とするICカード用コネクタ。
- 前記解除部材には、長尺状の切り欠き溝部を形成し、前記スライド部材には、この切り欠き溝部に嵌合される戻しアーム部を形成し、前記切り欠き溝部内に前記戻しアーム部をスライド移動可能に遊嵌したことを特徴とする請求項1記載のICカード用コネクタ。
- 前記戻しアーム部は、前記スライド部材が前記復帰ばねの付勢力で前記ICカードの排出位置に復帰した時、前記切り欠き溝部の一端部に当接し、前記ICカードの排出位置から前記ICカードを引き出した時、前記スライド部材が前記ICカードの排出方向へ移動して、前記戻しアーム部により前記解除部材が初期位置へ復帰するようにしたことを特徴とする請求項2記載のICカード用コネクタ。
- 前記ロック部材を固定部材に回動可能に支持させると共に、前記解除部材は、振動による移動を防ぐため、前記固定部材との間に摺動抵抗を持たせて配設したことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のICカード用コネクタ。
- 前記固定部材には、対向したガイド壁を形成し、このガイド壁により前記解除部材を挟持して摺動抵抗を持たせたことを特徴とする請求項4記載のICカード用コネクタ。
- 前記固定部材を、前記ハウジング又は、このハウジングに取り付けられるフレームで形成したことを特徴とする請求項4、又は5記載のICカード用コネクタ。
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