JP4012708B2 - カード用コネクタ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話、PCなど各種携帯情報端末、デジタルカメラ、デジタルAV機器などのメモリー対応機器に用いられる小型メモリーカードに使用される、カード用コネクタ装置の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
パーソナルコンピュータやデジタルカメラなどの電子機器の増設記録装置としてカード用コネクタ装置が一般的に使用されている。このカード用コネクタ装置の記憶媒体としてはPCカードやメモリーカードが広く使用さるようになってきている。
【0003】
このPCカードやメモリーカードをカード用コネクタ装置に挿着して必要な情報の書き込み、及び読み取りを行うものであるが、カード用コネクタ装置には、カードを収容してカードの挿入方向へ移動可能なスライド部材を、カードの挿着位置に保持するロック機構を備えたものがある。この挿着位置に保持されたカードをカードの排出位置に排出させる場合には、ロックされたスライド部材のロックを解除することにより、スライド部材をカードの排出方向へ付勢している復帰ばねの付勢力によってスライド部材をカードの排出方向へ移動させることにより、カードをスライド部材と共に押し出すようにした構成のものが知られている。
【0004】
この場合、スライド部材はロック機構によってカードの挿着位置にロックされるが、カードは挿着位置ではコネクタ端子などの端子圧によって保持されているのみであり、カードが振動などによって抜け出してしまう虞があることから、カードの保持を確実にするために昨今では、カードを収容するスライド部材の内側面に弾性を有する係合突出部を形成し、この係合突出部を挿着位置に有るカードの係止用凹部と係合させることでカードを保持する構成が提案されている。
【0005】
また、メモリーカードには係止用凹部が設けられたタイプのものと、設けられていないタイプのものとがあり、通常、係止用凹部が設けられたタイプ用のカード用コネクタ装置では、2種類のメモリーカードのどちらでも挿着可能な構成になっている。
【0006】
そして、係止用凹部が設けられたタイプ用のカード用コネクタ装置に、係止用凹部が設けられていないタイプのカードを挿着する場合には、前記スライド部材に設けられた係合突出部は、カード側面で押圧されて弾性付勢されて外側に移動した状態でカードがカード挿着位置に保持されるものとなっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、上記構成において、係止用凹部が設けられたタイプのカードの保持をより高めたい場合がある。保持を高めるためには、弾性変形可能な係合突出部の構造を剛体に変え、スライド部材の移動と共に係合突出部を突出させて係止用凹部と係合するように構成しカードの係止用凹部から抜け難い構造にすればよいが、この場合には、係止用凹部が設けられていないカードを挿入した場合にも、スライド部材の移動に伴い剛体である係合突出部がカードの側面部へ突出するため、無理にカードを挿入した場合には、カード、あるいは係合突出部が破損してしまうという問題があった。
【0008】
したがって、本発明では上述した問題点を解決し、係止用凹部が設けられたタイプ、及び設けられていないタイプのカードの両方を挿着できるカード用コネクタ装置であって、係止用凹部が設けられたタイプの挿着位置におけるカードの保持を高めることができるカード用コネクタ装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明では第1の手段として、カードが挿着される収納部を有するハウジングと、カードの挿入及び排出に伴いカードと係合してカードの挿入及び排出方向に移動可能に配設されたスライド部材と、このスライド部材をカードの挿着位置にロックすると共に、前記スライド部材をロック位置から奥方へ移動させることによりロックを解除させるロックピン及びこのロックピンが摺動するハート型カム溝からなるロック手段とを備え、前記スライド部材には、カードの係止用凹部に係合する係合部材が設けられ、前記ハウジングには、前記スライド部材がカードの挿入方向へ移動するのに伴って、前記係合部材を前記収納部内へ突出する位置へ移動させて前記係止用凹部に係合させる第1規制溝と、この第1規制溝に連結され、前記係止用凹部のないカードが挿入された時には、前記係合部材を前記収納部内へ突出させない位置へ移動させる第2規制溝とを形成し、前記係合部材は、前記スライド部材に固着される固定部と、前記カードの係止用凹部に係合される係止部と、この係止部を前記第1、及び第2規制溝に沿って前記収納部内へ突出する位置と突出しない位置とに可動させる弾性片部とから形成され、前記係止部に、前記第1、及び第2規制溝と摺動する摺動ピンを形成し、前記係止用凹部のあるカードが挿入された時には前記摺動ピンが前記第1規制溝の壁部と当接して、前記係止部が前記カードの係止用凹部から離脱するのを規制するようにしたことを特徴とする。
【0012】
また、第2の手段として、前記係止部には、カードの排出方向と直交する方向に係止縁部が形成されており、この係止縁部が前記係止用凹部の内側縁部と係合することにより前記カードの排出方向への移動を規制していることを特徴とする。
【0013】
また、第3の手段として、前記第1、及び第2規制溝には、お互いを連結する連結溝を形成し、カードの挿入及び排出時には前記摺動ピンが前記連結溝を通して前記第1規制溝と前記第2規制溝との間を移動可能に形成したことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図1乃至図9に示す。図1はカード用コネクタ装置の平面図、図2は同じく縦断面図、図3はカード用コネクタ装置にカードを挿入した状態を示す平面図、図4はハウジングの平面図、図5はスライド部材の平面図、図6及び図7はカードの挿入及び排出時の動作状態を示し、図6はカードの排出位置(初期位置)を示す部分説明図、図7はカードの挿着位置(ロック位置)を示す部分説明図、図8及び図9は係止用凹部がないカードの挿入及び排出時の動作状態を示し、図8はカードの排出位置(初期位置)を示す部分説明図、図9はカードの挿着位置(ロック位置)を示す部分説明図である。
【0015】
図1乃至図5において、ハウジング1は、合成樹脂などの絶縁材で前方及び上方が開口された方形状の箱形に形成されている。このハウジング1の中央には、カードを収容するための収納部1aが設けられており、また、前記ハウジング1の前面には、前記収納部1aに連通するカード挿入部1bが形成されている。
【0016】
また、カード挿入部1bに対向する前記収納部1aの奥側には、収容されるカードの接触端子部(図示せず)と接触して、電子機器などの外部の回路基板上の回路パターンと接続されることで信号の伝送が行われる複数のコネクタ端子(図示せず)が並設されたものとなっている。また、前記収納部1aの両側部には、カードが挿入される際カードの側縁部をガイドして挿入を案内するガイド部1cが設けられている。
【0017】
前記ハウジング1の一側部には、前記収納部1aに並設して有底状の平坦部1dが設けられており、この平坦部1dに後述するスライド部材4がカードの挿入方向に移動可能に配設されるものとなっている。また、前記平坦部1dの中央には、後述するスライド部材4に設けられた係合部材5と係合する略U字状をした溝部からなる規制溝1eが形成されている。
【0018】
前記規制溝1eには、U字状の前記規制溝1eの左側に位置し、カードの挿入方向へ直線状に形成された第1規制溝1fと、この第1規制溝1fの右側に位置し、同じくカードの挿入方向へ直線状に形成された第2規制溝1gと、前記第1、及び第2規制溝1f、1gの前端部をそれぞれ連結している広幅の連結溝1hとから形成されたものとなっている。
【0019】
また、カードの挿入時に後述するスライド部材4に設けられた係合部材5がそれぞれの前記規制溝1eと係合するようになっており、この場合、前記第1規制溝1fは、カードの側縁部に係止用凹部が設けられているタイプのカードが挿入された時に、係合部材5を前記ハウジング1の収納部1a内へ突出する位置へ移動させるものとなっており、また、前記第2規制溝1gは、カードの側縁部に係止用凹部が設けられていないタイプのカードが挿入された時に、係合部材5を前記ハウジング1の収納部1a内へ突出させない位置へ移動させるものとなっている。
【0020】
また、前記第1、及び第2規制溝1f、1gには、お互いの前端部を連結する幅広の連結溝1hが形成されており、カードの挿入、及び排出時には前記係合部材5が前記連結溝1hを通して前記第1規制溝1fと前記第2規制溝1gとの間を移動可能となるように形成されている。
【0021】
また、前記平坦部1dの一端側には、後述するスライド部材4をカードの挿着位置にロックさせる、略U字状の金属材からなるロックピン2の一端が軸支される軸孔1iが形成されており、この軸孔1iと対向する他端側には、後述するスライド部材4をカードの排出方向へ付勢する、コイル状の復帰ばね3が収容されるばね収容部1jが形成されている。
【0022】
スライド部材4は、合成樹脂などの絶縁材から略L字状に形成されており、長方形状の基部4aと、この基部4aの先端側に交差する方向に延設されたカード受け部4bとを有している。このカード受け部4bは、前記ハウジング1の収納部1a内に突出されており、挿入される後述するカード7の前端縁と当接して前記スライド部材4をカードの挿入方向へ移動させるものとなっている。
【0023】
また、前記基部4aの中央下面側には、後述する係合部材5が揺動可能に保持される係合部材保持部4cが形成されており、この係合部材保持部4cには、係合部材5の固定部5aを支持する支持孔部4dが設けられている。また、前記基部4aの後端側上面には、複数の斜面や平面からなる環状のハート型カム溝4eが形成されている。このハート型カム溝4eに、前記ハウジング1の平坦部1dの一端側に軸支される前記ロックピン2の他端側が摺動することで、前記スライド部材4がカードの挿着位置にロックされ、また排出位置に移動されるものとなっている。
【0024】
また、前記基部4aの先端側には、前記ハウジング1のばね収容部1jに収容された、前記復帰ばね3の一端側が係止されるばね係止部4fが設けられており、前記復帰ばね3の付勢力によって前記スライド部材4はカードの排出方向へ付勢されるものとなっている。この時、前記ロックピン2と前記ハート型カム溝4eとの協同によって前記スライド部材4は、前記復帰ばね3の付勢力に抗してカードの挿着位置に保持されるものとなっている。
【0025】
係合部材5は、弾性を有する金属板を打ち抜き、複数箇所で折り曲げて弾性変形可能に形成されており、前記スライド部材4の係合部材保持部4cに揺動可能に保持されている。この係合部材5の一端部には、前記支持孔部4dに固着される固定部5aが設けられており、これと対向する他端部には、後述するカード7の係止用凹部7dに係合される鉤状をした係止部5bが形成されている。また、前記固定部5aと前記係止部5bの中間部には、板ばね状の弾性変形可能な弾性片部5cが折り曲げられて形成されている。
【0026】
そして、前記係合部材5が前記スライド部材4と共にカードの挿着位置に移動する途中において、前記弾性片部5cが弾性変形することにより、前記係止部5bを、前記規制溝1eに沿って前記ハウジング1の収納部1a内へ突出する位置と突出しない位置とに移動可能となるように形成されたものとなっている。
【0027】
また、鉤状をした前記係止部5bには、カードの排出方向と直交する方向に平行面からなる係止縁部5dが形成されており、この係止縁部5dがカード7の係止用凹部7dの内側縁部と係合することによりカードの排出方向への移動を規制するものとなっている。また、前記係止部5bには、前記規制溝1eを摺動する摺動ピン5eが形成されており、この摺動ピン5eが前記規制溝1eと係合、摺動することにより前記弾性片部5cが弾性変形されて、前記係止部5bとカード7の係止用凹部7dとの係合離脱を可能としている。
【0028】
また、カードの挿入時に、カードの側縁部に係止用凹部のないタイプのカードが挿入された場合には、カードの側縁部で前記係止部5bが押圧されて前記弾性片部5cが弾性変形することにより、前記摺動ピン5eが前記連結溝1hを通して前記規制溝1eの第2規制溝1g内に案内されるものとなる。この時、前記第2規制溝1gにより前記係止部5bが前記ハウジング1の収納部1a内へ突出しない位置へ案内されるものとなり前記スライド部材4はカードの挿入方向へ移動するものとなっている。
【0029】
カバー6は、導電性の金属板から形成されており、前記ハウジング1の上面側の開口部を覆うように、前記ハウジング1の上面側に取り付けられている。このカバー6の前端側には、円弧状の切り欠きからなるカード挿入部6aが形成されており、これに隣接する右前端部には、切り曲げることにより前記ハウジング1の平坦部1d側へ突出されたばね片6bが形成されている。このばね片6bは、前記ロックピン2に対応した位置に形成されており、前記ロックピン2を付勢することで、前記ロックピン2の他端側を前記スライド部材4のハート型カム溝4eと摺接させるようになっている。
【0030】
尚、このカバー部材6は前記ハウジング1の収納部1aに配設された複数のコネクタ端子(図示せず)の上面を覆うように形成されており、外部からの輻射ノイズ等の侵入を防止するシールド板の役目も果たしている。
【0031】
カード7は、内部に集積回路(IC)が収納されており、記録媒体として広く使用されているものである。このカード7の一表面には、その一端側に複数の接触端子部(図示せず)が形成されており、この接触端子部が前記ハウジング1の収納部1aに配設された複数のコネクタ端子(図示せず)と接触することにより、外部に接続された電子機器との種々の情報処理が行われるものとなっている。
【0032】
また、前記カード7には、前端側の一隅部に、斜面状の切り欠き部7aが設けられている。前記カード7が前記スライド部材4に挿入された時、この切り欠き部7aと前端縁が、前記スライド部材4のカード受け部4bと係合することによって、前記スライド部材4が前記カード7の挿入に伴って挿入方向へ移動可能となるように形成されている。
【0033】
また、前記カード7の一側面部には、カードの書き込み禁止を示す識別部である凹溝部7bが形成され、この凹溝部7bにはスライド可能な識別子7cが設けられている。この識別子7cをスライド移動させることにより、前記凹溝部7bの位置を変更することができ、この位置に応じてカードへの書き込みの可否を変更することが可能となっている。
【0034】
また、前記カード7の他側面部には、係止用凹部7dが形成されている。この係止用凹部7dに、前記スライド部材4の係合部材保持部4cに揺動可能に保持された前記係合部材5の係止部5bが係合することで前記カード7を前記スライド部材4と共に、カードの挿着位置に保持させるものとなっている。
【0035】
次に、図6及び図7を用いて前記カード7をコネクタ装置に挿入する場合の動作を説明する。
【0036】
まず、初期の状態、すなわち前記カード7が排出位置にある場合には、前記スライド部材4は前記復帰ばね3の付勢力によりカードの排出方向へ付勢されている。この場合、前記カード7の接触端子部(図示せず)は前記ハウジング1のコネクタ端子(図示せず)とは離間している。この時、前記カード7は、前記係合部材5の係止部5bにより前記係止用凹部7dが係合されて前記スライド部材4に保持されたものとなっている。(図6)
【0037】
尚、この時には、前記係合部材5の係止部5bに設けられた前記摺動ピン5eは、前記規制溝1eの前端部に設けられた前記連結溝1h内を、前記係止用凹部7dから離脱する方向(反時計方向)へ移動可能となるように形成されており、この状態から前記カード7を取り出す場合には、カード7の取り出しに伴って前記係合部材5の弾性片部5cが自らの弾性力で撓むことによって前記摺動ピン5eが前記係止用凹部7dから離脱する方向(反時計方向)へ移動し、この移動に伴い前記係止部5bが前記係止用凹部7dから外れることによりカード7を容易に取り出すことが可能となっている。
【0038】
次に、前記カード7をカードの挿入方向へ押圧してやると、前記カード7の切り欠き部7aと前端縁が前記スライド部材4のカード受け部4bと係合することによって、前記スライド部材4が前記カード7の挿入に伴って挿入方向へ移動可能となり、前記復帰ばね3の付勢力に抗して前記スライド部材4がカードの挿入方向へ移動して、前記ロックピン2の他端部が前記ハート型カム溝4eをトレースしてロック位置すなわちカードの挿着位置にロックされる。(図7)
【0039】
この場合、前記カード7の接触端子部(図示せず)と前記ハウジング1に配設されたコネクタ端子(図示せず)とが接触するものとなる。この時、前記係合部材5の摺動ピン5eは、前記規制溝1eの第1規制溝1fに沿って横方向の動きが規制されてカードの挿入方向に移動するものとなる。
【0040】
この時、前記係合部材5の係止部5bは、前記係止部5bの摺動ピン5eが、前記規制溝1eの第1規制溝1fにより縦方向すなわちカードの挿入方向の移動のみに規制されていることから、前記係合部材5は前記摺動ピン5eが前記第1規制溝1fの壁部と当接して、横方向すなわち前記カード7の係止用凹部7dから離脱する方向へは回動することができず、前記カード7はカードの挿着位置に確実に保持されるものとなる。
【0041】
また、前記前記係止部5bには、カードの排出方向と直交する方向に平行面からなる前記係止縁部5dが形成されており、この係止縁部5dが前記カード7の係止用凹部7dの内側縁部と係合することによりカードの排出方向への移動を規制するように形成されていることから、より確実に前記カード7をカードの挿着位置に保持することが可能となっている。
【0042】
次に、前記カード7を排出する場合には、図7の状態から、更に前記カード7を奥方すなわちカードの挿入方向へ押圧してやると、前記スライド部材4が奥方へ移動して前記ロックピン2の他端部が前記ハート型カム溝4eのロック部から外れる。そして、前記カード7への押圧を解除すると、前記スライド部材4は前記復帰ばね3の付勢力によってカードの排出位置である初期位置へ復帰するものとなる。(図6)
【0043】
このように、前記スライド部材4と前記ハウジング1との間には、前記スライド部材4をカードの挿着位置にロックすると共に、前記スライド部材4をロック位置から一旦奥方へ移動させることによりロック状態を解除させて、前記カード7を前記スライド部材4によって排出させるための前記ハート型カム溝4eと、このハート型カム溝4eに沿って摺動する前記ロックピン2とからなるロック手段が設けられているので、簡単な構造で、前記カード7をカードの挿着位置にロックできると共に、前記カード7をカードの排出位置に円滑に排出させることができるものとなっている。
【0044】
次に、図8及び図9を用いて、カードの側縁部に係止用凹部のないタイプのカード8がコネクタ装置に挿入された場合の動作を説明する。
【0045】
まず、初期の状態、すなわち前記カード8が排出位置にある場合には、前記スライド部材4は前記復帰ばね3の付勢力によりカードの排出方向へ付勢されている。この場合、前記カード7の時と同じく前記カード8の接触端子部(図示せず)は前記ハウジング1のコネクタ端子(図示せず)とは離間している。この時、前記係合部材5の係止部5bは前記カード8の側縁部によって押圧され、カードの挿入方向とは交差する方向に付勢されて前記弾性片部5cのばね性により反時計方向に弾性変形されたものとなっている。そして、前記係止部5bに設けられた前記摺動ピン5eが、前記規制溝1eの前端部の連結溝1hに沿って前記第2規制溝1g方向に移動した状態となっている。(図8)
【0046】
次に、この状態から前記カード8をカードの挿入方向へ押圧してやると、前記カード8の切り欠き部8aと前端縁が前記スライド部材4のカード受け部4bと係合することによって、前記スライド部材4が前記復帰ばね3の付勢力に抗して前記カード8の挿入に伴って挿入方向へ移動する。この時、前記係合部材5の係止部5bに設けられた前記摺動ピン5eが、前記規制溝1eの連結溝1hから前記第2規制溝1gへと移動され、前記スライド部材4が前記カード8の挿入に伴って挿入方向へ移動可能となり、前記復帰ばね3の付勢力に抗して前記スライド部材4がカードの挿入方向へ移動して、前記ロックピン2の他端部が前記ハート型カム溝4eをトレースしてロック位置すなわちカードの挿着位置にロックされる。(図9)
【0047】
この場合、前記カード8の接触端子部(図示せず)と前記ハウジング1に配設されたコネクタ端子(図示せず)とが接触するものとなる。この時、前記係合部材5の摺動ピン5eは、前記規制溝1eの第2規制溝1gに沿って横方向の動きが規制されてカードの挿入方向に移動するものとなる。
【0048】
この時、前記係合部材5の係止部5bは、前記係止部5bの摺動ピン5eが、前記規制溝1eの第2規制溝1gにより縦方向すなわちカードの挿入方向の移動のみに規制されていることから、前記係合部材5は横方向すなわち前記カード8に向かう方向(時計方向)へは回動することができず、前記カード8は前記係合部材5の係止部5bとは当接されずカードの挿着位置に確実に保持されるものとなる。
【0049】
このように、カードの側縁部に係止用凹部のないタイプのカード8がコネクタ装置に挿入された場合においても、前記規制溝1eの前端側に設けられた前記連結溝1hを通して前記第2規制溝1gに、前記係合部材5の係止部5bに設けられた前記摺動ピン5eを案内することにより、前記係合部材5を弾性変形させて前記カード8と前記係合部材5の係止部5bとの当接を回避させるようにしたことから、前記カード8のコネクタ装置への挿入を可能にして、コネクタ装置のカードの挿着位置へ挿着されるものとしている。
【0050】
上記実施例の構成によれば、カードが挿着される前記ハウジング1にカードの挿入及び排出に伴いカードと係合してカードの挿入及び排出方向に移動可能に配設される前記スライド部材4に、前記カード7の係止用凹部7dに係合する前記係合部材5を設けると共に、前記ハウジング1には、前記スライド部材4がカードの挿入方向へ移動するのに伴って、前記係合部材5を前記収納部1a内へ突出する位置へ移動させて前記係止用凹部7dに係合させる前記第1規制溝1fと、この第1規制溝1fに連結され、前記係止用凹部7dのないカード8が挿入された時には、前記係止部材5を前記収納部1a内へ突出させない位置へ移動させる前記第2規制溝1gとを形成するようにしたので、前記係止用凹部7dのないカード8が挿入された場合でも、前記係合部材5は前記収納部1a内へ突出しない位置に移動するため、前記係合部材5と前記カード8が当接して破損することを防止することができ、且つ、前記係止用凹部7dのあるカード7を挿着する場合には挿着位置での保持をより一層高めることが可能となっている。
【0051】
また、前記係合部材5は、前記スライド部材4に固着される前記固定部5aと、前記カード7の係止用凹部7dに係合される前記係止部5bと、この係止部5bを前記第1、及び第2規制溝1f、1gに沿って前記収納部1a内へ突出する位置と、突出しない位置とに弾性変形可能に可動させる前記弾性片部5cとから形成したことから、前記係合部材5と前記カード7の係止用凹部7dとの係合離脱を、前記第1、及び第2規制溝1f、1gと、この第1、及び第2規制溝1f、1gに沿って弾性変形可能な弾性片から構成したので、簡単な構成でカードの係合離脱を確実に行うことができるものとなっている。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のカード用コネクタ装置は、カードが挿着される収納部を有するハウジングと、カードの挿入及び排出に伴いカードと係合してカードの挿入及び排出方向に移動可能に配設されたスライド部材と、このスライド部材をカードの挿着位置にロックすると共に、スライド部材をロック位置から奥方へ移動させることによりロックを解除させるロックピン及びこのロックピンが摺動するハート型カム溝からなるロック手段とを備え、スライド部材には、カードの係止用凹部に係合する係合部材が設けられ、ハウジングには、スライド部材がカードの挿入方向へ移動するのに伴って、係合部材を収納部内へ突出する位置へ移動させて係止用凹部に係合させる第1規制溝と、この第1規制溝に連結され、係止用凹部のないカードが挿入された時には、係止部材を収納部内へ突出させない位置へ移動させる第2規制溝とを形成したことから、係止用凹部のないカードが挿入された場合でも、係合部材は収納部内へ突出しない位置に移動するため、係合部材とカードが当接して破損することを防止することができ、且つ、係止用凹部のあるカードを挿着する場合には挿着位置での保持をより一層高めることが可能となる。
【0053】
また、係合部材は、スライド部材に固着される固定部と、カードの係止用凹部に係合される係止部と、この係止部を第1、及び第2規制溝に沿って収納部内へ突出する位置と突出しない位置とに可動させる弾性片部とから形成したことから、係合部材とカードの係止用凹部との係合離脱を、第1、及び第2規制溝と、この第1、及び第2規制溝に沿って弾性変形可能な弾性片から構成したので、簡単な構成でカードの係合離脱を確実に行うことができる。
【0054】
また、係止部に、第1、及び第2規制溝と摺動する摺動ピンを形成し、カードの挿着時には摺動ピンが第1規制溝の壁部と当接して、係止部がカードの係止用凹部から離脱するのを規制するようにしたことから、係合部材は摺動ピンが第1規制溝の壁部と当接して、横方向すなわちカードの係止用凹部から離脱する方向へは回動することができないため、カードをカードの挿着位置に確実に保持することができる。
【0055】
また、係止部には、カードの排出方向と直交する方向に係止縁部が形成されており、この係止縁部が係止用凹部の内側縁部と係合することによりカードの排出方向への移動を規制していることから、係合部材とカードとはカードの排出方向と直交する縁面部同士で係合されることとなり、更に確実にカードを保持することができる。
【0056】
また、第1、及び第2規制溝には、お互いを連結する連結溝を形成し、カードの挿入及び排出時には摺動ピンが連結溝を通して第1規制溝と第2規制溝との間を移動可能に形成したことから、規制溝の前端側に設けられた連結溝を通して第2規制溝に、摺動ピンを案内することにより、カードと係合部材との当接を回避させるようにしたので、カードの側縁部に係止用凹部のないタイプのカードをコネクタ装置へ挿着することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるカード用コネクタ装置を示す平面図である。
【図2】本発明の同じくカード用コネクタ装置を示す縦断面図である。
【図3】本発明のカード用コネクタ装置にカードを挿入した状態を示す平面図である。
【図4】本発明のカード用コネクタ装置のハウジングを示す平面図である。
【図5】本発明のカード用コネクタ装置のスライド部材を示す平面図である。
【図6】本発明のカード用コネクタ装置のカードの排出位置(初期位置)を示す部分説明図である。
【図7】本発明のカード用コネクタ装置のカードの挿着位置(ロック位置)を示す部分説明図である。
【図8】本発明のカード用コネクタ装置の係止用凹部のないカードを用いた場合のカードの排出位置(初期位置)を示す部分説明図である。
【図9】本発明のカード用コネクタ装置の係止用凹部のないカードを用いた場合のカードの挿着位置(ロック位置)を示す部分説明図である。
【符号の説明】
1 ハウジング
1a 収納部
1b カード挿入部
1c ガイド部
1d 平坦部
1e 規制溝
1f 第1規制溝
1g 第2規制溝
1h 連結溝
1i 軸孔
1j ばね収容部
2 ロックピン
3 復帰ばね
4 スライド部材
4a 基部
4b カード受け部
4c 係合部材保持部
4d 支持孔部
4e ハート型カム溝
4f ばね係止部
5 係合部材
5a 固定部
5b 係止部
5c 弾性片部
5d 係止縁部
5e 摺動ピン
6 カバー
6a カード挿入部
6b ばね片
7,8 カード
7a,8a 切り欠き部
7b 凹溝部
7c 識別子
7d 係止用凹部

Claims (3)

  1. カードが挿着される収納部を有するハウジングと、カードの挿入及び排出に伴いカードと係合してカードの挿入及び排出方向に移動可能に配設されたスライド部材と、このスライド部材をカードの挿着位置にロックすると共に、前記スライド部材をロック位置から奥方へ移動させることによりロックを解除させるロックピン及びこのロックピンが摺動するハート型カム溝からなるロック手段とを備え、前記スライド部材には、カードの係止用凹部に係合する係合部材が設けられ、前記ハウジングには、前記スライド部材がカードの挿入方向へ移動するのに伴って、前記係合部材を前記収納部内へ突出する位置へ移動させて前記係止用凹部に係合させる第1規制溝と、この第1規制溝に連結され、前記係止用凹部のないカードが挿入された時には、前記係合部材を前記収納部内へ突出させない位置へ移動させる第2規制溝とを形成し、前記係合部材は、前記スライド部材に固着される固定部と、前記カードの係止用凹部に係合される係止部と、この係止部を前記第1、及び第2規制溝に沿って前記収納部内へ突出する位置と突出しない位置とに可動させる弾性片部とから形成され、前記係止部に、前記第1、及び第2規制溝と摺動する摺動ピンを形成し、前記係止用凹部のあるカードが挿入された時には前記摺動ピンが前記第1規制溝の壁部と当接して、前記係止部が前記カードの係止用凹部から離脱するのを規制するようにしたことを特徴とするカード用コネクタ装置。
  2. 前記係止部には、カードの排出方向と直交する方向に係止縁部が形成されており、この係止縁部が前記係止用凹部の内側縁部と係合することにより前記カードの排出方向への移動を規制していることを特徴とする請求項1記載のカード用コネクタ装置。
  3. 前記第1、及び第2規制溝には、お互いを連結する連結溝を形成し、カードの挿入及び排出時には前記摺動ピンが前記連結溝を通して前記第1規制溝と前記第2規制溝との間を移動可能に形成したことを特徴とする請求項記載のカード用コネクタ装置。
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