JP3917834B2 - カード用コネクタ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話、PCなど各種携帯情報端末、デジタルカメラ、デジタルAV機器などのメモリー対応機器に用いられる小型メモリーカードに使用される、カード用コネクタ装置の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
パーソナルコンピュータやデジタルカメラなどの電子機器の増設記録装置としてカード用コネクタ装置が一般的に使用されている。このカード用コネクタ装置の記憶媒体としてはPCカードやメモリーカードが広く使用さるようになってきている。
【0003】
このPCカードやメモリーカードをカード用コネクタ装置に挿着して必要な情報の書き込み、及び読み取りを行うものであるが、近年においては、小型のメモリーカードには、長いもの、短いもの、厚いもの、薄いものなど、形状の異なる色々な種類のメモリーカードが開発されており、これらに対応してカード用コネクタ装置も様々な種類のものが開発されている。
【0004】
この場合、カード用コネクタ装置としては1種類のメモリーカードにしか対応しておらず、通常、一つのカード用コネクタ装置には特定の一つのメモリーカードを挿着して使用するのが一般的となっていた。
しかしながら、近年では形状が類似している種類のメモリーカードの開発が行われてきており、この中でもカードの接触端子部の配列が同じで、厚みのみが異なる形状の2種類のメモリーカードが開発されている。そして、この類似している2種類のメモリーカードを同時に挿着可能なカード用コネクタ装置の開発も行われており、通常は、2種類のメモリーカードのどちらでも挿着可能な構成に成っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、上述した同じカード用コネクタ装置に挿入可能な2種類のメモリーカードには、カードの側縁部に凹部が形成されているカードと凹部が形成されていないカードとがある。凹部のあるカードは凹部のないカードの後継的な位置付けであり、凹部の形成されていないカードにはセキュリティ機能や静電気対策が施されていないものがあるが、凹部が形成されたカードはセキュリティ機能や静電気対策が施されたものとなっている。
かかる状況下において、コンポーネントとしてカードに対するセキュリティ機能や静電気対策が要求される場合に、凹部のあるカードと凹部のないカードの両方が挿入可能であるとすると、凹部のないカードに対するセキュリティの確保、静電気対策を採ることができないという問題が発生する。
【0006】
したがって、本発明では上述した問題点を解決するために、同じカード用コネクタ装置に挿入可能な2種類のメモリーカードのうち、凹部のないカードの挿入を不可として凹部のあるカードのみ挿着可能なカード用コネクタ装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明では第1の手段として、カードが挿着されるハウジングと、カードの挿入及び排出に伴いカードと係合してカードの挿入及び排出方向に移動可能に配設されたスライド部材と、このスライド部材に設けられ、カードの側縁部に形成された係止用凹部と係合離脱する係合部材とを備え、前記係合部材は弾性を有する金属板で形成され、前記ハウジングに、前記スライド部材の前記カードの挿入方向への移動を規制する規制部と、前記係合部材と係合する循環溝とを形成し、前記スライド部材が前記カードの挿入方向へ移動するのに伴って、前記循環溝の往路溝により前記係合部材が前記係止用凹部から離脱しないように規制すると共に、前記スライド部材が前記カードの排出方向へ移動するのに伴って、前記循環溝の復路溝により前記係合部材を前記係止用凹部から離脱する方向へ移動させることで前記係合部材が前記係止用凹部と係合しないように形成し、前記規制部を前記循環溝に連続して形成した規制用溝部で構成すると共に、前記係合部材に前記規制部と当接する当接部を形成し、前記当接部が前記循環溝及び規制用溝部に係合するようにし、前記カードの側縁部に前記係止用凹部が無い場合には、前記カードの側縁部に押圧され前記係合部材が自らの弾性により前記カードの挿入方向と交差する方向に移動するようにして、移動した前記係合部材の当接部が前記ハウジングに形成された前記規制用溝部と当接して前記スライド部材の前記カードの挿入方向への移動を規制するようにしたことを特徴とする。
【0009】
また、第2の手段として、前記スライド部材と前記ハウジングとの間には、前記スライド部材をカードの挿着位置にロックすると共に、前記スライド部材をロック位置から一旦奥方へ移動させることによりロックを解除させてカードを前記スライド部材によって排出させるハート型カム溝と、このハート型カム溝に沿って摺動するロックピンとからなるロック手段が設けられていることを特徴とする。
また、第3の手段として、前記ハウジングに係止突部を形成し、前記係止突部は、前記スライド部材が前記カードの挿着位置へ移動するのに伴って、前記係合部材と係合して前記カードの排出方向への移動を規制し、前記循環溝は、前記スライド部材が前記カードの排出方向へ移動するのに伴って、前記係合部材を前記係止用凹部から離脱する方向へ移動させることで前記係合部材が前記係止突部と係合しないように形成したことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図1乃至図11に示す。図1はカード用コネクタ装置の平面図、図2は同じく縦断面図、図3はカード用コネクタ装置にカードを挿入した状態を示す平面図、図4はハウジングの平面図、図5はスライド部材の平面図、図6から図9はカードの挿入/排出時の動作状態を示し、図6はカードの排出位置(初期位置)を示す部分説明図、図7はカードの挿着位置(ロック位置)を示す部分説明図、図8はカードを排出させるために一旦押し込んだ位置(オーバーストローク位置)を示す部分説明図、図9はカードが排出される途上の状態を示す部分説明図、図10及び図11は係止用凹部がないカードの挿入時の動作状態を示し、図10はカードの挿入前(初期位置)を示す部分説明図、図11はカードの押し込み時を示す部分説明図である。
【0011】
図1乃至図5において、ハウジング1は、合成樹脂などの絶縁材で前方及び上方が開口された方形状の箱形に形成されている。このハウジング1の中央には、カードを収容するための収納部1aが設けられており、また、前記ハウジング1の前面には、前記収納部1aに連通するカード挿入部1bが形成されている。
【0012】
また、カード挿入部1bに対向する前記収納部1aの奥側には、収容されるカードの接触端子部(図示せず)と接触して、電子機器などの外部の回路基板上の回路パターンと接続されることで信号の伝送が行われる複数のコネクタ端子(図示せず)が並設されたものとなっている。また、前記収納部1aの両側部には、カードが挿入される際カードの側縁部をガイドして挿入を案内するガイド部1cが設けられている。
【0013】
前記ハウジング1の一側部には、前記収納部1aに並設して有底状の平坦部1dが設けられており、この平坦部1dに後述するスライド部材4がカードの挿入方向に移動可能に配設されるものとなっている。また、前記平坦部1dの中央には、後述するスライド部材4に設けられた係合部材5と係合する底面の高さが異なる複数の斜面や平面からなる環状の循環溝1eが形成されており、この循環溝1eに並列して同じく係合部材5と係合する突出した係止突部1fが設けられている。
【0014】
前記循環溝1eは、カードの挿入時に係合部材5が係合する往路溝1gと、カードの排出時に係合部材5が係合する復路溝1hとから形成されており、また、前記往路溝1gの前端部には、往路溝1gに連続して逆J字状をした規制用溝部1iが形成されている。この規制用溝部1iを設けることにより、カードの側縁部に係止用凹部のない本来挿着されないタイプのカードが挿入された場合には、係合部材5が前記規制用溝部1i内に案内されて規制されることで、後述するスライド部材4のカードの挿入方向への移動が規制されるようになっている。
【0015】
前記係止突部1fは、カードの挿入側から奥方に向かって立ち上がる傾斜面1jと、この傾斜面1jの後端側に形成された立壁面1kから形成されており、カードを挿入する際には係合部材5はスライド部材4と共にカードの挿着位置に移動する途中で前記傾斜面1jに沿って前記係止突部1fを乗り越えて、カードの挿着位置まで移動するようになっている。
【0016】
また、前記平坦部1dの一端側には、後述するスライド部材4をカードの挿着位置にロックさせる、略U字状の金属材からなるロックピン2の一端が軸支される軸孔1lが形成されており、この軸孔1lと対向する他端側には、後述するスライド部材4をカードの排出方向へ付勢する、コイル状の復帰ばね3が収容されるばね収容部1mが形成されている。
【0017】
スライド部材4は、合成樹脂などの絶縁材から略L字状に形成されており、長方形状の基部4aと、この基部4aの先端側に交差する方向に延設されたカード受け部4bとを有している。このカード受け部4bは、前記ハウジング1の収納部1a内に突出されており、挿入される後述するカード7の前端縁と当接して前記スライド部材4をカードの挿入方向へ移動させるものとなっている。
【0018】
また、前記基部4aの中央下面側には、後述する係合部材5が揺動可能に保持される係合部材保持部4cが形成されており、この係合部材保持部4cには、係合部材5の固定部5aを支持する支持孔部4dが設けられている。また、前記基部4aの後端側上面には、複数の斜面や平面からなる環状のハート型カム溝4eが形成されている。このハート型カム溝4eに、前記ハウジング1の平坦部1dの一端側に軸支される前記ロックピン2の他端側が摺動することで、前記スライド部材4がカードの挿着位置にロックされ、また排出位置に移動されるものとなっている。
【0019】
また、前記基部4aの先端側には、前記ハウジング1のばね収容部1mに収容された、前記復帰ばね3の一端側が係止されるばね係止部4fが設けられており、前記復帰ばね3の付勢力によって前記スライド部材4はカードの排出方向へ付勢されるものとなっている。この時、前記ロックピン2と前記ハート型カム溝4eとの協同によって前記スライド部材4は、前記復帰ばね3の付勢力に抗してカードの挿着位置に保持されるものとなっている。
【0020】
係合部材5は、弾性を有する金属板を打ち抜き、複数箇所で折り曲げて弾性変形可能に形成されており、前記スライド部材4の係合部材保持部4cに揺動可能に保持されている。この係合部材5の一端部には、前記支持孔部4dに固着される固定部5aが設けられており、これと対向する他端部には、後述するカード7の係止用凹部7dに係合される鉤状をした係止部5bが形成されている。また、前記固定部5aと前記係止部5bの中間部には、板ばね状の弾性変形可能な第1、第2の弾性片部5c、5dが、互いに交差する方向に90度折り曲げられて形成されている。
【0021】
そして、前記係合部材5が前記スライド部材4と共にカードの挿着位置に移動する途中において、前記第1の弾性片部5cが弾性変形することにより、前記係止部5bが前記傾斜面1jに沿って前記係止突部1fを乗り越えて、カードの挿着位置まで移動することが可能となっている。また、前記第2の弾性片部5dにより、前記係止部5bが、前記循環溝1eに沿ってカード7の係止用凹部7dに対して係合離脱する方向へ弾性変形可能となるように形成されている。
【0022】
また、鉤状をした前記係止部5bには、カードの排出方向と直交する方向に平行面からなる係止縁部5eが形成されており、この係止縁部5eがカード7の係止用凹部7dの内側縁部と係合することによりカードの排出方向への移動を規制するものとなっている。また、前記係止部5bには、前記循環溝1eを摺動する摺動ピン5fが形成されており、この摺動ピン5fが前記循環溝1eと係合、摺動することにより前記第2の弾性片部5dが弾性変形されて、前記係止部5bとカード7の係止用凹部7dとの係合離脱を可能としている。また、前記係止部5bには、前記係止突部1fを乗り越える際に、前記傾斜面1iに当接してその摺動を容易にするための曲げ部を有する摺動部5gが形成されている。
【0023】
また、カードの挿入時に、カードの側縁部に係止用凹部のない本来挿着されないタイプのカードが挿入された場合には、カードの側縁部で前記係止部5bが押圧されて前記第2の弾性片部5dが弾性変形することにより、前記摺動ピン5fが前記循環溝1eの規制用溝部1i内に案内されるものとなる。この時、前記摺動ピン5fが前記規制用溝部1iの端縁に当接することとなり、前記規制用溝部1iと摺動ピン5fとで規制部と当接部を構成することで、前記スライド部材4がカードの挿入方向へ移動するのを規制するものとなっている。
【0024】
カバー6は、導電性の金属板から形成されており、前記ハウジング1の上面側の開口部を覆うように、前記ハウジング1の上面側に取り付けられている。このカバー6の前端側には、円弧状の切り欠きからなるカード挿入部6aが形成されており、これに隣接する右前端部には、切り曲げることにより前記ハウジング1の平坦部1d側へ突出されたばね片6bが形成されている。このばね片6bは、前記ロックピン2に対応した位置に形成されており、前記ロックピン2を付勢することで、前記ロックピン2の他端側を前記スライド部材4のハート型カム溝4eと摺接させるようになっている。
【0025】
尚、このカバー6は前記ハウジング1の収納部1aに配設された複数のコネクタ端子(図示せず)の上面を覆うように形成されており、外部からの輻射ノイズ等の侵入を防止するシールド板の役目も果たしている。
【0026】
カード7は、内部に集積回路(IC)が収納されており、記録媒体として広く使用されているものである。このカード7の一表面には、その一端側に複数の接触端子部(図示せず)が形成されており、この接触端子部が前記ハウジング1の収納部1aに配設された複数のコネクタ端子(図示せず)と接触することにより、外部に接続された電子機器との種々の情報処理が行われるものとなっている。
【0027】
また、前記カード7には、前端側の一隅部に、斜面状の切り欠き部7aが設けられている。前記カード7が前記スライド部材4に挿入された時、この切り欠き部7aと前端縁が、前記スライド部材4のカード受け部4bと係合することによって、前記スライド部材4が前記カード7の挿入に伴って挿入方向へ移動可能となるように形成されている。
【0028】
また、前記カード7の一側面部には、カードの書き込み禁止を示す識別部である凹溝部7bが形成され、この凹溝部7bにはスライド可能な識別子7cが設けられている。この識別子7cをスライド移動させることにより、前記凹溝部7bの位置を変更することができ、この位置に応じてカードへの書き込みの可否を変更することが可能となっている。
【0029】
また、前記カード7の他側面部には、係止用凹部7dが形成されている。この係止用凹部7dに、前記スライド部材4の係合部材保持部4cに揺動可能に保持された前記係合部材5の係止部5bが係合することで前記カード7を前記スライド部材4と共に、カードの挿着位置に保持させるものとなっている。
【0030】
次に、図6乃至図9を用いて前記カード7をコネクタ装置に挿入する場合の動作を説明する。
まず、初期の状態、すなわち前記カード7が排出位置にある場合には、前記スライド部材4は前記復帰ばね3の付勢力によりカードの排出方向へ付勢されている。この場合、前記カード7の接触端子部(図示せず)は前記ハウジング1のコネクタ端子(図示せず)とは離間している。この時、前記カード7は、前記係合部材5の係止部5bにより前記係止用凹部7dが係合されて前記スライド部材4に保持されたものとなっている。(図6)
【0031】
尚、この時には、前記係合部材5の係止部5bに設けられた前記摺動ピン5fは、前記循環溝1e内を前記係止用凹部7dから離脱する方向へ移動可能となるように形成されており、この状態から前記カード7を取り出す場合には、前記係合部材5の第2の弾性片部5dが撓むことによって前記摺動ピン5fが前記係止用凹部7dから離脱する方向へ移動し、この移動に伴い前記係止部5bが前記係止用凹部7dから外れることによりカード7を容易に取り出すことが可能となっている。
【0032】
次に、前記カード7をカードの挿入方向へ押圧してやると、前記カード7の切り欠き部7aと前端縁が前記スライド部材4のカード受け部4bと係合することによって、前記スライド部材4が前記カード7の挿入に伴って挿入方向へ移動可能となり、前記復帰ばね3の付勢力に抗して前記スライド部材4がカードの挿入方向へ移動して、前記ロックピン2の他端部が前記ハート型カム溝4eをトレースしてロック位置すなわちカードの挿着位置にロックされる。(図7)
【0033】
この場合、前記カード7の接触端子部(図示せず)と前記ハウジング1に配設されたコネクタ端子(図示せず)とが接触するものとなる。この時、前記係合部材5の摺動ピン5fは、前記循環溝1eに横方向の動きが規制されて前記往路溝1gに沿ってカードの挿入方向に移動するものとなるが、前記係止部5bは、前記摺動部5gが前記ハウジング1に設けられた係止突部1fの傾斜面1jを摺動して、前記弾性片部5cが自身のばね性によって弾性変形することにより前記係止突部1fを乗り越えて、カードの挿着位置まで移動することが可能となっている。
【0034】
この時、前記係合部材5の係止部5bは、前記ハウジング1に設けられた係止突部1fの立壁面1kに係合され、カードの排出方向への移動を規制されており、また、前記係止部5bの摺動ピン5fが、前記循環溝1eにより縦方向すなわちカードの挿入方向の移動のみに規制されていることから、前記係合部材5は横方向すなわち前記カード7の係止用凹部7dから離脱する方向へは回動することができず、前記カード7はカードの挿着位置に確実に保持されるものとなる。
【0035】
また、前記前記係止部5bには、カードの排出方向と直交する方向に平行面からなる前記係止縁部5eが形成されており、この係止縁部5eが前記カード7の係止用凹部7dの内側縁部と係合することによりカードの排出方向への移動を規制するように形成されていることから、より確実に前記カード7を挿着位置に保持することが可能となっている。
【0036】
また、この場合、前記スライド部材4も前記係止部5bと前記係止突部1fとの係合によりカードの排出方向への移動が規制されていることから、前記スライド部材4にカードの排出方向への無理な力が加わったとしても、前記ハート型カム溝4eに係合しているロックピン2に無理な力が加わることが無くなるので、ロックピン2のロックの外れや変形などを防止することができるものとなっている。
【0037】
次に、前記カード7を排出する場合には、図7の状態から、更に前記カード7を奥方すなわちカードの挿入方向へ押圧してやると、前記スライド部材4が奥方へ移動して前記ロックピン2の他端部が前記ハート型カム溝4eのロック部から外れる。これと共に、前記係合部材5の係止部5bも前記係止突部1fから外れて、前記摺動ピン5fが前記循環溝1eに沿って奥方へ移動して往路溝1gから復路溝1hへと移動するものとなる。(図8)
【0038】
そして、前記カード7への押圧を解除すると、前記スライド部材4は前記復帰ばね3の付勢力によってカードの排出位置である初期位置へ復帰するものとなる。この時、前記係止部5bの摺動ピン5fが前記循環溝1eの復路溝1hへと移動することにより、前記第2の弾性片部5dが自身のばね性によって弾性変形し、前記係止部5bが前記カード7の係止用凹部7dから外れると共に、前記ハウジング1の係止突部1fを迂回することで前記スライド部材4はカードの排出位置へ移動されるものとなっている。(図9)
【0039】
このように、前記スライド部材4と前記ハウジング1との間には、前記スライド部材4をカードの挿着位置にロックすると共に、前記スライド部材4をロック位置から一旦奥方へ移動させることによりロック状態を解除させて、前記カード7を前記スライド部材4によって排出させるための前記ハート型カム溝4eと、このハート型カム溝4eに沿って摺動する前記ロックピン2とからなるロック手段が設けられているので、簡単な構造で、前記カード7をカードの挿着位置にロックできると共に、前記カード7をカードの排出位置に円滑に排出させることができるものとなっている。
【0040】
次に、図10及び図11を用いて、カードの側縁部に係止用凹部のない本来挿着されないタイプのカード8がコネクタ装置に挿入された場合の動作を説明する。
【0041】
まず、初期の状態、すなわち前記カード8が排出位置にある場合には、前記スライド部材4は前記復帰ばね3の付勢力によりカードの排出方向へ付勢されている。この場合、前記カード7の時と同じく前記カード8の接触端子部(図示せず)は前記ハウジング1のコネクタ端子(図示せず)とは離間している。この時、前記係合部材5の係止部5bは前記カード8の側縁部によって押圧され、カードの挿入方向とは交差する方向に付勢されて前記第2の弾性片部5dのばね性により反時計方向に弾性変形されたものとなっている。そして、前記係止部5bに設けられた前記摺動ピン5fが、前記循環溝1eの前端部に沿って前記規制用溝部1i内に移動した状態となっている。(図10)
【0042】
次に、この状態から前記カード8をカードの挿入方向へ押圧してやると、前記カード8の切り欠き部8aと前端縁が前記スライド部材4のカード受け部4bと係合することによって、前記スライド部材4が前記復帰ばね3の付勢力に抗して前記カード8の挿入に伴って挿入方向へ移動する。この時、前記係合部材5の係止部5bに設けられた前記摺動ピン5fが、前記規制溝部1iの端縁に当接することとなり、この当接により、前記スライド部材4はカードの挿入方向への移動が規制され、これと共に、前記カード8の挿入も規制されるものとなる。(図11)
【0043】
このように、カードの側縁部に係止用凹部のない本来挿着されないタイプのカード8がコネクタ装置に挿入された場合には、前記循環溝1eの前端部に形成された前記規制用溝部1iと、前記係合部材5の係止部5bに設けられた前記摺動ピン5fとで、規制部と当接部を構成することにより、前記カード8のコネクタ装置への挿入を規制して、本来挿着されないタイプのカード8の挿着を不可能としている。
【0044】
上記実施例の構成によれば、前記ハウジング1に設けられた前記循環溝1eに、前記スライド部材4の挿入方向への移動を規制する規制部となる前記規制用溝部1iを形成すると共に、前記スライド部材4に設けられた係合部材5に、前記規制用溝部1iと当接する当接部となる前記摺動ピン5fを形成して、前記係合部材5を、挿入されるカードの側縁部に前記係止用凹部7dが有るか否かによってカードの挿入方向と交差する方向に移動可能に設けるようにしてあるので、カードの側縁部に前記係止用凹部7dが無い場合には、前記係合部材5がカードの挿入方向と交差する方向(反時計方向)に移動することにより、前記摺動ピン5fが前記循環溝1eに形成された前記規制用溝部1iと当接して前記スライド部材4の挿入方向への移動を規制することから、カードの側縁部に前記係止用凹部7dが形成されていない前記カード8、すなわち静電気に弱いタイプのカードを挿入した場合には、前記スライド部材4の挿入方向への移動が規制されるため、挿着が不可能となっている。
【0045】
これに対して、カードの側縁部に前記係止用凹部7dが形成されている前記カード7、すなわちセキュリティ機能の充実したカードの挿着は可能となっているため、種類の異なる類似したカードの誤挿入を防止してカードが破壊するのを防ぐことができるものとなっている。
【0046】
また、前記ハウジング1には、前記スライド部材4がカードの排出方向へ移動するのに伴って、前記係合部材5と係合してこの係合部材5の係止部5bを前記カード7の係止用凹部7dから離脱する方向へ移動させる前記循環溝1eを設けると共に、この循環溝1eに連続して前記規制用溝部1iを形成してこの規制用溝部1iを規制部として構成したので、規制部を別に設けることなく、前記係合部材5を前記係止用凹部7dから離脱する方向へ移動させる前記循環溝1eを利用した簡易な構造で前記スライド部材4の挿入方向への移動を規制することができるものとなっている。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のカード用コネクタ装置は、カードが挿着されるハウジングと、カードの挿入/排出に伴いカードと係合してカードの挿入/排出方向に移動可能に配設されたスライド部材と、このスライド部材に設けられ、カードの側縁部に形成された係止用凹部と係合離脱する係合部材とを備え、ハウジングに、スライド部材の挿入方向への移動を規制する規制部を形成すると共に、係合部材に規制部と当接する当接部を形成し、係合部材は、カードの側縁部に係止用凹部が有るか否かによってカードの挿入方向と交差する方向に移動可能に設けられ、カードの側縁部に係止用凹部が無い場合には、係合部材がカードの挿入方向と交差する方向に移動することにより、当接部がハウジングに形成された規制部と当接してスライド部材の挿入方向への移動を規制するようにしたことから、カードの側縁部に係止用凹部が形成されていないカード、すなわち静電気に弱いタイプのカードを挿入した場合には、スライド部材の挿入方向への移動が規制されるため、挿着できず、係止用凹部が形成されているカード、すなわちセキュリティ機能の充実したカードのみ挿着が可能となるため、種類の異なる類似したカードの誤挿入を防止してカードが破壊するのを防ぐことができる。
【0048】
また、ハウジングには、スライド部材がカードの排出方向へ移動するのに伴って、係合部材と係合してこの係合部材を係止用凹部から離脱する方向へ移動させる循環溝を設けると共に、この循環溝に連続して規制用溝部を形成し、この規制用溝部を規制部としたことから、規制部を別に設けることなく、係合部材を係止用凹部から離脱する方向へ移動させる循環溝を利用した簡易な構造でスライド部材の挿入方向への移動を規制することができる。
【0049】
また、スライド部材とハウジングとの間には、スライド部材をカードの挿着位置にロックすると共に、スライド部材をロック位置から一旦奥方へ移動させることによりロックを解除させてカードをスライド部材によって排出させるハート型カム溝と、このハート型カム溝に沿って摺動するロックピンとからなるロック手段が設けられていることから、簡単な構造で、カードを挿着位置にロックできると共に、カードを排出位置に円滑に排出させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるカード用コネクタ装置を示す平面図である。
【図2】本発明の同じくカード用コネクタ装置を示す縦断面図である。
【図3】本発明のカード用コネクタ装置にカードを挿入した状態を示す平面図である。
【図4】本発明のカード用コネクタ装置のハウジングを示す平面図である。
【図5】本発明のカード用コネクタ装置のスライド部材を示す平面図である。
【図6】本発明のカード用コネクタ装置のカードの排出位置(初期位置)を示す部分説明図である。
【図7】本発明のカード用コネクタ装置のカードの挿着位置(ロック位置)を示す部分説明図である。
【図8】本発明のカード用コネクタ装置のカードを排出させるために一旦押し込んだ位置(オーバーストローク位置)を示す部分説明図で有る。
【図9】本発明のカード用コネクタ装置のカードが排出される途上の状態を示す部分説明図である。
【図10】本発明のカード用コネクタ装置の係止用凹部がないカードの挿入前(初期位置)を示す部分説明図である。
【図11】本発明のカード用コネクタ装置の係止用凹部がないカードの押し込み時を示す部分説明図である。
【符号の説明】
1 ハウジング
1a 収納部
1b カード挿入部
1c ガイド部
1d 平坦部
1e 循環溝
1f 係止突部
1g 往路溝
1h 復路溝
1i 規制用溝部(規制部)
1j 傾斜面
1k 立壁部
1l 軸孔
1m ばね収容部
2 ロックピン
3 復帰ばね
4 スライド部材
4a 基部
4b カード受け部
4c 係合部材保持部
4d 支持孔部
4e ハート型カム溝
4f ばね係止部
5 係合部材
5a 固定部
5b 係止部
5c 第1の弾性片部
5d 第2の弾性片部
5e 係止縁部
5f 摺動ピン(当接部)
5g 摺動部
6 カバー
6a カード挿入部
6b ばね片
7,8 カード
7a,8a 切り欠き部
7b 凹溝部
7c 識別子
7d 係止用凹部
Claims (3)
- カードが挿着されるハウジングと、カードの挿入及び排出に伴いカードと係合してカードの挿入及び排出方向に移動可能に配設されたスライド部材と、このスライド部材に設けられ、カードの側縁部に形成された係止用凹部と係合離脱する係合部材とを備え、前記係合部材は弾性を有する金属板で形成され、前記ハウジングに、前記スライド部材の前記カードの挿入方向への移動を規制する規制部と、前記係合部材と係合する循環溝とを形成し、前記スライド部材が前記カードの挿入方向へ移動するのに伴って、前記循環溝の往路溝により前記係合部材が前記係止用凹部から離脱しないように規制すると共に、前記スライド部材が前記カードの排出方向へ移動するのに伴って、前記循環溝の復路溝により前記係合部材を前記係止用凹部から離脱する方向へ移動させることで前記係合部材が前記係止用凹部と係合しないように形成し、前記規制部を前記循環溝に連続して形成した規制用溝部で構成すると共に、前記係合部材に前記規制部と当接する当接部を形成し、前記当接部が前記循環溝及び規制用溝部に係合するようにし、前記カードの側縁部に前記係止用凹部が無い場合には、前記カードの側縁部に押圧され前記係合部材が自らの弾性により前記カードの挿入方向と交差する方向に移動するようにして、移動した前記係合部材の当接部が前記ハウジングに形成された前記規制用溝部と当接して前記スライド部材の前記カードの挿入方向への移動を規制するようにしたことを特徴とするカード用コネクタ装置。
- 前記スライド部材と前記ハウジングとの間には、前記スライド部材をカードの挿着位置にロックすると共に、前記スライド部材をロック位置から一旦奥方へ移動させることによりロックを解除させてカードを前記スライド部材によって排出させるハート型カム溝と、このハート型カム溝に沿って摺動するロックピンとからなるロック手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載のカード用コネクタ装置。
- 前記ハウジングに係止突部を形成し、前記係止突部は、前記スライド部材が前記カードの挿着位置へ移動するのに伴って、前記係合部材と係合して前記カードの排出方向への移動を規制し、前記循環溝は、前記スライド部材が前記カードの排出方向へ移動するのに伴って、前記係合部材を前記係止用凹部から離脱する方向へ移動させることで前記係合部材が前記係止突部と係合しないように形成したことを特徴とする請求項1記載のカード用コネクタ装置。
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