JP3729357B2 - 減速機構付モータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、車両用パワーウインドモータとして利用される減速機構付モータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の減速機構付モータとしては、図5および図6に示すようなものがあった。
【0003】
図5に示す減速機構付モータ51は、モータ本体52と、モータ本体52にボルト55を用いて連結したギヤケース53と、減速機構54から構成されている。
【0004】
減速機構54は、モータ本体52の出力軸52aに設けたウォーム56と、ウォーム56に噛合っている減速ギヤ57と、減速ギヤ57に組付けた3つのダンパー58と、減速ギヤ57と同軸状に設けられるとともに各ダンパー58に係合するハブ59から構成されている。
【0005】
減速ギヤ57は、図6に示すように、中心に形成した挿通孔57bと外周の歯との間の部分を円周方向に120゜間隔で3つに仕切って、ハブ59側に開放された扇形状の仕切空間部57aを設けており、挿通孔57bには、図5に示す外部出力軸60が回転自在に挿通する。
【0006】
ダンパー58は、減速ギア57の仕切空間部57aに対応する扇形状をなすと共に、外周側円弧部分の側面の中央に切込み部58aが形成してある。
【0007】
ハブ59は、円形の薄板材から成るものであって、ダンパー58側に切り起こして成形した3つの突片59aを円周方向に等間隔で設けており、軸心部分には、図5に示す外部出力軸60の端部と非回転状態に連結するための軸孔59bが設けてあり、各突片59aをダンパー58の切込み部58aに係合させる。
【0008】
これらの構成を備えた減速機構付モータ51は、モータ本体52を駆動すると、モータ本体52の出力軸52aに設けたウォーム56を介して減速ギヤ57が回転し、減速ギヤ57の回転がダンパー58を介してハブ59に伝達され、ハブ59に連結した外部出力軸60が回転し、外部出力軸60に連結した図示しない被駆動体を駆動することとなる。
【0009】
また、被駆動体側における何らかの障害によって、外部出力軸60が拘束されると、外部出力軸60に連結しているハブ59が同時に停止する一方で減速ギヤ57が回転し続けようとすることとなり、それに伴って発生する衝撃力を、ハブ59と減速ギヤ57の間に設けたダンパー58を減速ギヤ57の回転方向に圧縮することによって吸収する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記したような従来の減速機構付モータ51にあっては、ダンパー58の切込み部58aに係合するハブ59の突片59aを切り起こすことにより成形しており、この切り起こしによってハブ59に開口部59cができているので、ダンパー58が衝撃吸収時に圧縮された際に、開口部59cからダンパー58の一部がはみ出し、これにより衝撃吸収能力が低下する恐れがあると共に、開口部59cの周縁によってダンパー58が摩耗し、ダンパー58の耐久性が低下する恐れがあるという問題があり、これらの問題点を解決することが従来の課題であった。
【0011】
【発明の目的】
本発明は、上記した従来の課題に鑑みてなされたもので、減速ギヤの回転をダンパーおよびハブを介して外部に伝達する減速機構付モータにおいて、ハブにおける突片の切り起こしによって形成された開口部からダンパーの一部のはみ出しを防ぐことができると共に、ダンパーの摩耗を防止して耐久性を向上させることができる減速機構付モータを提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係わる減速機構付モータは、モータ本体の出力軸に設けたウォームと、ウォームと噛合う減速ギヤと、減速ギヤの内部に設けたダンパーと、減速ギヤと同軸状に設けられるとともにその一部を切り起こすことにより成形した突片をダンパーに係合させ且つ外部出力軸に連結したハブを備えた減速機構付モータにおいて、ダンパーとハブの間に、突片の切り起こしにより形成されたハブの開口部を塞ぐカバーを設けるとともに、ダンパーに切込み部を形成し、カバーに該ダンパーの切込み部に係合する凸部を一体的に形成し、且つ、この凸部にはハブの突片を嵌挿させるための溝部が設けた構成としたことを特徴としており、このような減速機構付モータの構成を前述した従来の課題を解決するための手段としている。
【0013】
【発明の作用】
本発明に係わる減速機構付モータでは、モータ本体の駆動力が、出力軸、ウォーム、減速ギヤ、ダンパ、ハブおよび外部出力軸の順で伝達されており、外部出力軸が拘束されると、ハブが停止し、これに伴う衝撃をハブと減速ギヤとの間でダンパーを圧縮することによって吸収する。この時、当該減速機構付モータでは、ハブとダンパーの間に、突片の切り起こしにより形成されたハブの開口部を塞ぐカバーを設けているので、開口部からダンパーの一部がはみ出すことが防止され、また、開口部の周縁によってダンパーが削れるような事態も防止される。
【0014】
【実施例】
以下、本発明を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1ないし図3は本発明に係わる減速機構付モータの一実施例を示したものである。
【0016】
図1および図2に示す減速機構付モータ1は、モータ本体2と、モータ本体2の出力軸2a側にボルト5を用いて連結したギヤケース3と、減速機構4から構成されている。
【0017】
減速機構4は、モータ本体2の出力軸2aに設けたウォーム6と、ウォーム6に噛合っている減速ギヤ7と、減速ギヤ7に組込んだ3つのダンパー8と、減速ギヤ7と同軸状に設けられ且つ各ダンパー8に係合するハブ9から構成されており、ダンパー8とハブ9の間には、ハブ9と同軸状に設けられ且つ低摩擦材よりなるカバー10が設けてある。また、ハブ9には外部出力軸11が連結してある。
【0018】
減速ギヤ7は、図3に示すように、中心に形成した挿通孔7bと外周の歯との間の部分を円周方向に120゜間隔で3つに仕切って、ハブ9側に開放された扇形状の仕切空間部7a,7a,7aを設けており、挿通孔7bには、図1および図2に示す外部出力軸11が回転自在に挿通される。
【0019】
ダンパー8は、仕切空間部7aに対応した扇形状をなすと共に、外周円弧部分の中央に切込み部8aが形成してある。
【0020】
ハブ9は、円形の薄板材から成るものであって、ダンパー8側に切り起こして成形した3つの突片9aを円周方向に等間隔で設けていると共に中心には、外部出力軸11の端部と非回転状態に連結するための軸孔9bが設けてあり、各突片9aをダンパー8の切込み部8aに係合させる。
【0021】
カバー10は、金属または樹脂の円形の薄板状部材から形成され、好ましくは、カバー10のダンパー8と当接する面がハブ9のダンパー8と対向する面より滑らかな面に形成され、より好ましくは、低摩擦材の円形の薄板状部材から形成される。また、低摩擦材としては、例えばポリ四フッ化エチレン(商品名;テフロン)を材料とすることが考えられる。
【0022】
また、カバー10は、ハブ9の各突片9aがそれぞれ嵌挿するための溝部10aを設けている。また、カバー10の中心には、外部出力軸11を回転自在に挿通させる挿通孔10bが設けてある。上記カバー10は、組付け状態において、突片9aの切り起こしによってハブ9に形成された開口部9cを閉塞する。
【0023】
図4は、本発明に係わる減速機構付モータの他の実施例における減速ギヤ7、ダンパー8、カバー20およびハブ9を示しており、カバー20以外は先の実施例における減速機構付モータ1と同じである。
【0024】
このカバー20は、各ダンパー8の切込み部8aにそれぞれ係合する3つの凸部20bを円周方向に等間隔でかつダンパー8側の面に一体的に設けている。また、各凸部20bには、ハブ9の各突片9aをそれぞれ嵌挿させるための溝部20aが設けてある。さらに、カバー20の中心には、外部出力軸を回転自在に挿通させる挿通孔20cが設けてある。このカバー20は、組付け状態において、突片9aの切り起こしによってハブ9に形成された開口部9cを閉塞する。
【0025】
このような構成を備えた減速機構付モータ1は、モータ本体2の駆動によってウォーム6を介して減速ギヤ7が回転し、減速ギヤ7の回転によってダンパー8を介してカバー10または20およびハブ9が回転し、ハブ9に連結した外部出力軸11を駆動することとなる。
【0026】
また、外部出力軸11に連結した被駆動体側の何らかの障害によって外部出力軸11が拘束されると、外部出力軸11に連結しているハブ9が同時に停止する一方で、減速ギヤ7が回転し続けようとすることとなり、それに伴って発生する衝撃力を、ハブ9に係合しているカバー10または20と減速ギヤ7の間に設けたダンパー8を減速ギヤ7の回転方向に圧縮することにより吸収し、ハブ9およびカバー10に対して減速ギヤ7がある程度回転した状態で停止する。
【0027】
このとき、減速機構付モータ1では、ハブ9とダンパー8との間に、突片9aの切り起こしによって形成されたハブ9の開口部9cを塞ぐカバー10または20を設けているので、開口部9cからダンパー8の一部がはみ出すようなことが全くなく、ダンパー8の圧縮による衝撃吸収機能が維持され、また、開口部9cの周縁によってダンパー8が削られるような事態も防止されることとなる。更に、カバー20を採用した場合は、該カバー20に一体的に形成した各凸部20bがダンパー8の各切込み部8aにそれぞれ係合するとともに、この各凸部20bに設けた溝部20aにハブ9の各突片9aが嵌挿されるので、ハブ9の各突片9aが直接ダンパー8の各切込み部8aに係合することがない。このため、ダンパー8の耐久性を著しく向上させることができる。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係わる減速機構付モータによれば、減速ギヤの回転をダンパーおよびハブを介して外部に伝達する減速機構付モータにおいて、ハブとダンパーの間に、ハブの突片の成形によってできた開口部を塞ぐカバーを設けたことにより、外部出力軸の拘束による衝撃を吸収するためにダンパーが圧縮された際に、開口部からダンパーの一部がはみ出すことがなく、衝撃吸収機能を良好に維持することができ、また、開口部の周縁によってダンパーが削られることがない。そして、カバーにハブの突片が嵌挿する溝部を有する凸部を一体的に設けると共に、この凸部をダンパーの切込み部に係合させることにより、ハブの突片がダンパーに対して不具合を生じさせることなくダンパーの耐久性を著しく向上させることができるという極めて優れた効果が得られることとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる減速機構付モータの一実施例を示す部分破断状態の説明図である。
【図2】図1のA−A線位置での拡大断面説明図である。
【図3】本発明に係わる減速機構付モータの一実施例における減速ギヤ、ダンパー、カバーおよびハブの組立て要領を説明する斜視図である。
【図4】本発明に係わる減速機構付モータの他の実施例における減速ギヤ、ダンパー、カバーおよびハブの組立て要領を説明する斜視図である。
【図5】従来における減速機構付モータを示す部分破断状態の説明図である。
【図6】従来における減速機構付モータの減速ギヤ、ダンパーおよびハブの組立て要領を説明する斜視図である。
【符号の説明】
1 減速機構付モータ
2 モータ本体
2a 出力軸
6 ウォーム
7 減速ギヤ
8 ダンパー
8a 切込み部
9 ハブ
9a 突片
9c 開口部
10,20 カバー
10a,20a 溝部
20b 凸部
11 外部出力軸
Claims (1)
- モータ本体の出力軸に設けたウォームと、ウォームと噛合う減速ギヤと、減速ギヤの内部に設けたダンパーと、減速ギヤと同軸状に設けられるとともにその一部を切り起こすことにより成形した突片を前記ダンパーに係合させ且つ外部出力軸に連結したハブを備えた減速機構付モータにおいて、前記ダンパーと前記ハブの間に、前記突片の切り起こしにより形成された該ハブの開口部を塞ぐカバーを設けるとともに、前記ダンパーに切込み部を形成し、前記カバーに該ダンパーの切込み部に係合する凸部を一体的に形成し、且つ、この凸部には前記ハブの突片を嵌挿させるための溝部が設けてあることを特徴とする減速機構付モータ。
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1995
- 1995-11-09 JP JP29143395A patent/JP3729357B2/ja not_active Expired - Fee Related
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