JP3728179B2 - 振動ローラ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、路面の転圧施工等に使用される振動ローラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
転圧ローラは、道路やダム建設などの盛土の締固め施工や道路のアスファルト舗装の転圧施工などに使用されるものであり、一般に、鉄輪タイプの場合、転圧輪(以下、ロールという)の配設構造で大別すると、タンデム型(前後のロールが一列に配置された轍が同じ位置になる型式)とマカダム型(3輪のロールを有する型式)に分けられる。また、転圧ローラには振動装置を有するタイプのものがあり、このタイプはロールを振動させながら路面を転圧できるので路面を高密度に締固めることが可能であり、前記タンデム型、マカダム型にもそれぞれ振動装置を有するタイプ(以下、振動ローラという)が存在する。
【0003】
この内、マカダム型振動ローラの一従来例が実公平3−24647号公報に開示されている。図9にそのロール内部の概略構造を示す。車体51の側面にはロール52を回転させる走行用モータ53の固定部53aが取り付けられ、出力部53bはブラケット54,防振ゴム55を介してロール52に取り付けられる。符号56は振動装置であり、そのケースがロール52に取り付けられ、内部の起振軸(図示せず)は振動用モータ57に連結している。振動用モータ57の固定部57aは、車体51の上部からロール52の外側面を介してロール52の内部に入り込むブラケット58に取り付けられる。
【0004】
これらマカダム型振動ローラ、タンデム型振動ローラの使い分けとしては、アスファルト舗装等の路面を広範囲にわたって全面転圧する場合にはタンデム型振動ローラが使用され、新設路面同士の継ぎ目(ジョイント部)や新設路面と既設路面とのジョイント部を接合転圧する場合にはマカダム型振動ローラが使用されることが多い。
【0005】
この内、一方のタンデム型振動ローラを使用しての転圧施工においては、従来から次のような問題が指摘されがちであった。
(1)「転圧幅の問題」
通常、7〜9トンクラスのタンデム型振動ローラではその転圧幅(ロール幅)は約1.5m〜1.7mであり、この場合例えば車道の一車線分(通常、幅約3.8m)を転圧施工する場合には転圧レーンとして最低でも3レーンが必要となる。転圧レーンの数を減らすべくロール幅を大きくすることも考えられるが、ロール幅を大きくすると、例えばカーブなどにおいて車両を旋回させながら転圧したときに、カーブの外側に位置するロール端部において路面の引きずりが大きくなってしまい、舗装品質に支障をきたすおそれがある。ロールを複数に分割して差動機構(ディファレンシャル装置)を設けることで当該問題は解消されるが、構造が複雑となり、車両の製作コストのアップにもつながるので得策ではない。
【0006】
(2)「接地性の問題」
通常、車道は排水性の観点から図8に示す如く、センターラインを頂点として左右端部に向けて緩傾斜(一般に不陸と呼ばれる)をなすように舗装される場合が多い。このような車道を車線に沿ってタンデム型振動ローラで転圧施工した場合には、図8(a)からも判るように、ロール61の幅が長いのでロール61の両端部における接地性が悪くなりやすく、ロール61の中央部で転圧した路面とロール61の端部で転圧した路面との間において均一な締固めが行われないおそれがある。
【0007】
(3)「ロール径の問題」
一般に、ロール径を大きくすると、路面に対する接地性が良くなり、路面をより平滑に仕上げることが可能となる。しかし、タンデム型振動ローラの場合、ロールを大径化すると、運転席からの視界の悪化や車体の大型化を招くという問題がある。
【0008】
(4)「サイドオーバハングの問題」
タンデム型振動ローラでは、ロールの端面の外方にヨーク等の支持部材が位置するため、例えば、構造物の壁際ぎりぎりまで転圧施工する場合であっても、この支持部材の突出分(サイドオーバハング)だけロールを壁際まで寄せることができず、路面に未転圧の部位が残ってしまうことになる。このような場合、従来ではタンパ等の小型の締固め機でこの未転圧の部位を改めて締固め転圧するという工程が必要であった。
【0009】
このような問題に対し、仮にタンデム型振動ローラの代わりにマカダム型振動ローラを路面の全面転圧の施工に適用したと想定すると、以下に示す理由により有効であるものと期待される。先ず、(1)「転圧幅の問題」に関し、マカダム型振動ローラは、前輪或いは後輪のどちらか一方のロールが車体を挟んで左右一対に設けられる構造であることから、差動機構が既に設けられており、或いは差動機構の搭載が容易な構造であり、そのため転圧幅(3輪のロール幅の合計幅を指す、但し重なり幅は除く)を大きくしても旋回転圧時における路面の引きずりが極めて少ないという利点を持っている。このことから通常、9〜12トンクラスのマカダム型振動ローラの転圧幅は約2.1m前後と大きく、例えば、前記した車道の一車線分(幅約3.8m)を転圧施工する場合には転圧レーンとして2レーンで済むこととなる。
【0010】
また、(2)「接地性の問題」に関して、図8(a)に示したタンデム型振動ローラの場合に比べ、図8(b)に示すようにマカダム型振動ローラにて不陸のある路面を転圧した場合の方が、各ロール52の幅が小さいことから路面に対する接地性が良好となり、ロールの部位の違いに起因して路面の品質差が生じるおそれも少なくなる。
【0011】
さらに、(3)「ロール径の問題」に関しても、マカダム型振動ローラは、ロール52が車体51の両側に左右一対に軸装される構造であることから、ロール52を大径化しても中央に位置する車体51はその影響を受けず、したがって、運転席からの視界の悪化や車体の大型化という問題を考慮せずに済む。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
このように、マカダム型振動ローラを使用すれば以上に示した顕著な効果が期待される。しかしながら、路面を広範囲にわたって効率良く転圧する場合には、左右のロール52を含め全ロールを同時に振動させる必要があり、従来のマカダム型振動ローラではこの左右のロール52を同時に振動させることが次に示す理由により困難であった。
【0013】
図9を基に説明すると、マカダム型振動ローラは、車体51を挟んで軸装される左右のロール52の各幅がタンデム型振動ローラのロール幅に比してかなり小さく、それ故、前記した(1)「転圧幅の問題」や(2)「接地性の問題」に対して有効となることは既述したが、一方で、このロール52の幅が小さいという利点は、図9に矢印で示すように、路面の状態によっては、ロール52に、左右方向に揺動する振動(一般にロッキング振動と呼ばれる)を発生させやすいという問題も併せ持っている。このロッキング振動は、ロール径に対するロール幅の割合が小さければ小さいほど大きくなりやすく、タンデム型振動ローラのようにロール幅がかなり大きい場合にはほとんど発生しないが、マカダム型振動ローラのように、ロール幅が小さく、しかもロール52が車体51に片持ち支持される構造では、ロールの重心と振動中心が一致しない場合、ロッキング振動はさらに激しくなる。
【0014】
したがって、従来では、左右のロール52を同時に振動させると、防振ゴム55の介在にもかかわらず、ロッキング振動に起因する振動が車体51の左右両側面から伝わり、運転者が着席不能となるほどの大きな振動が運転席まで伝導するという問題や舗装路面に不陸が発生するという問題があった。そのため、従来のマカダム型振動ローラは、左右のロール52のどちらか一方のみを振動させ、前記したようにジョイント部の接合転圧など専ら局所的な路面転圧にのみ使用されてきたのである。
【0015】
また、従来のマカダム型振動ローラでは、防振ゴム55がロール52と一緒に回転するため、たわみ側が変わったり、それによりバネ上荷重が交番荷重となる問題がある。
【0016】
さらに、従来のマカダム型振動ローラでは、前記したタンデム型振動ローラにおける(4)「サイドオーバハング」と同様の問題がある。すなわち、図9において、ブラケット58がロール52から突出する分、ロール52を構造物等の壁際ぎりぎりまで寄せることができず、路面に未転圧の部位が残るという問題である。
【0017】
本発明は、以上のような問題を解決するために創作されたものであり、車体に片持ち支持された左右のロールを同時に振動させての転圧施工が可能となる振動ローラを提供することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を解決するため、車体に片持ち支持されて軸装されるロールを車体を挟んで左右一対に備え、該左右のロールごとに、ロールを振動させる振動装置と、該振動装置を駆動する振動用モータと、ロールを回転させる走行用モータとを有した振動ローラにおいて、前記各走行用モータの出力部にそれぞれ前記左右のロールが取り付けられ、前記各走行用モータの固定部が、防振手段を介して車体に取り付けた連結部材により、互いに連結固定される構成とした。また、前記連結部材は、車体内を左右方向に貫通するように配設されている構成とした。
【0019】
また、前記防振手段を車体の外側に配設した。
【0020】
また、前記走行用モータを、貫通孔を有した中空の構造からなるモータとし、該走行用モータを挟んで車体側に前記振動用モータを、ロール側に前記振動装置を配設して、該振動装置を駆動するための駆動部材を前記貫通孔に貫通させて前記振動用モータに連結する構成とした。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本形態では振動ローラをマカダム型の振動ローラとして説明するが、本発明はこれに限られることなく、「車体に片持ち支持されて軸装されるロールを車体を挟んで左右一対に備え、該左右のロールごとに、ロールを振動させる振動装置と、該振動装置を駆動する振動用モータと、ロールを回転させる走行用モータとを有した」振動ローラであれば、いかなる型式の振動ローラであっても良い。図1(a)はマカダム型振動ローラの側面図、図1(b)は同正面図、図2は要部を示す正面説明図、図3は同側面説明図、図4は同斜視図、図5(a)は走行用モータを側面から見た構造断面図、図5(b)は走行用モータを正面から見たピストン部の構造断面図である。
【0022】
図1において、マカダム型振動ローラRは、前輪として2輪、後輪として1輪のロールを備えており、車体1の上部に運転席C,Cが配置されている。図示したタイプは一般にアーティキュレート式と呼ばれ、後輪のロール2が、車体1にセンターピン3を介して接続した上面視コ字形状のヨーク4に両側から支持されて軸装された構造であり、通常、車両の操向は油圧シリンダ(図示せず)にてセンターピン3を支点として車体1とヨーク4を互いに旋回させることにより行う。
【0023】
前輪側のロール5は、車体1を挟んで左右一対として配置されており、それぞれ車体1に片持ち支持されて軸装されている。図2に示すように、各ロール5には振動装置6が内蔵されており、それぞれに対応して振動装置6を駆動する振動用モータ7及びロール5を回転させる走行用モータ8が設けられる。これら振動用モータ7及び走行用モータ8として本形態では油圧モータとしている。なお、後輪のロール2にも振動装置が内蔵されているが、このロール2は前記したようにヨーク4に両側から支持されて軸装されるロールであり、そのヨーク4への取り付け構造として本形態では公知の態様を採用しているため、以下ではその説明は省略してある。
【0024】
図2において、前記振動装置6,振動用モータ7及び走行用モータ8は、車体1側から振動用モータ7,走行用モータ8,振動装置6の順で、すなわち、走行用モータ8を挟んで車体1側に振動用モータ7,ロール5側(ロール5の外側面側)に振動装置6が配設されている。
【0025】
ロール5の内周面には、車体1側寄りから円板状の第1鏡板9,第2鏡板10が互いに離間するように固設されており、振動装置6はこの第1鏡板9,第2鏡板10間においてロール5と同芯状にレイアウトされる。取り付けの一例としては、図2にも示すように、第1鏡板9の中心部に貫通孔を形成し、振動装置6を内蔵する起振機ケース11をこの貫通孔の縁部においてボルト12により締結固定する。本形態における振動装置6は一軸偏心式であり、起振機ケース11内には、軸受13,13を介して、振動装置6を構成する偏心錘14及びこの偏心錘14を固設した起振軸15がロール5と同芯状となるように回転自在に軸支されている。
【0026】
走行用モータ8として本形態では貫通孔16(図5(a)参照)を有した中空で無軸の構造からなるモータとしてあり、その一例として多行程型のラジアルピストンモータ17としている。このラジアルピストンモータ17は薄型でかつ低速高トルクを発生する公知の油圧モータであり、図5(a)に示すように、筐体を形成する固定部18内に、軸受19を介して出力部20が回転可能に支持されている。出力部20には、図5(b)に示すように、断面円形の薄型のシリンダブロック21が固定されており、このシリンダブロック21の外周部には、周方向に等間隔で複数のシリンダ22が形成され、シリンダ22内には先端部にローラ23を有するピストン24が、シリンダブロック21の径方向に移動自在に挿入されている。ローラ23が当接する固定部18の内面には、カム面25が形成される。なお、図5(a)の符号26はディスクブレーキを示す。
【0027】
したがって、圧油ポートを介して各シリンダ22内に圧油が流入することにより、ピストン24がシリンダ22内を移動し、該移動時にローラ23が前記カム面25を押し付けることにより、その反力で出力部20が回転するようになっている。多行程型のラジアルピストンモータ17は以上の構造からなるため、出力部20を無軸とすることができ、すなわち、正面視した断面形状がリング形状を呈する出力部とすることができるため、その中央部に貫通孔16を形成できることとなる。
【0028】
そして、ラジアルピストンモータ17は、その貫通孔16の空芯がロール5の回転軸芯と同芯状となるように配設され、出力部20側はボルト27により起振機ケース11に締結固定される。前記した振動装置6の起振軸15の一端側は起振機ケース11から突出してラジアルピストンモータ17の貫通孔16内に挿通し、カップリング28を介して振動用モータ7の出力軸7bと連結している。
【0029】
さて、本発明は、左右のロール5を走行用モータ8を介して連結部材29により連結固定し、連結部材29を防振手段30を介して車体1に取り付けることを主な特徴とするものである。本形態の連結部材29は図2,4にも示すように、矩形状の板材からなる左右一対の取付け板31,31、L字形状に折曲げ加工された左右一対のブラケット32,32及び左右方向に延出する前後一対の連結板33,33から構成される。取付け板31は車体1の外側において車体1の側板部1aと平行となるように配設され、その車体1に対向する面側にはブラケット32が、その一面側が取付け板31と間隔をもって平行となるように溶接等により固着されている。そして、ブラケット32を両側から挟むようにして連結板33の端部が前後一対として取付け板31に直交するように溶接等により固着されている。車体1の両側板部1aには切欠き1bが形成されていて、連結板33はこの切欠き1bを通って車体1内を左右方向に貫通するように配設される。なお、連結板33,33間には補強板33aが掛け渡されるように固着される。
【0030】
取付け板31の中央部には孔31a(図5(a)参照)が穿設されており、ラジアルピストンモータ17はこの孔31aを挿通し、固定部18が取付け板31にボルト34により締結固定される。また、ブラケット32には孔32a(図2参照)が穿設されており、振動用モータ7の出力軸7aがこの孔32aを通ってラジアルピストンモータ17の貫通孔16に挿通し、前記したようにカップリング28により起振軸15と連結している。振動用モータ7の筐体部はブラケット32にボルト35により締結固定される。
【0031】
以上により、振動装置6を内蔵した左右のロール5は、各々走行用モータ8を介して連結部材29により連結固定されることとなる。なお、連結部材29としては、所定の剛性を有するものであればその形状等は特に限定されるものではない。そして、連結部材29は防振手段30を介して車体1に取り付けられ、本形態では取付け板31の四隅部を円柱形状の防振ゴム36を介して車体1の側板部1aに取り付けている。防振ゴム36は取付け板31,側板部1aにそれぞれボルト等により取り付けられる。
【0032】
本発明の作用について説明すると、先ず走行用モータ8(ラジアルピストンモータ17)においては、前記したように各シリンダ19内に圧油が流入することにより、固定部18に対し出力部20が回転し、この出力部20に固定されるロール5が回転することにより路面の転圧が行われる。また、振動用モータ7に圧油が供給されると、カップリング28を介して起振軸15が回転し、偏心錘14により起振力が発生してロール5が振動する。
【0033】
このとき、左右のロール5を同時に振動させた場合であっても、所定の剛性を有した連結部材29により互いに連結固定されていることから、左右のロール5は中間部位が抜けただけの単一の幅広なロールとみなすことができ、図9に示したようなロッキング振動の発生が起きにくくなる。したがって、車体1にはロッキング振動に起因する大きな振動力が伝わることもなく、運転席Cに着座した運転者にとっては、通常のタンデム型の振動ローラで転圧施工している場合と同程度の振動のみが伝わることになり、また、路面も平滑に仕上がることになる。このように本発明によれば、左右のロール5を同時に振動させての転圧作業が可能となり、後輪のロール2も併せて振動させることで、ジョイント部の締固め施工だけではなく通常のタンデム型振動ローラと同様の転圧施工、すなわち路面全面の転圧施工が行えるようになる。
【0034】
さらに、防振手段30(防振ゴム36)は、回転することなく車体1に対して固定的に取り付けられることから、従来の問題点、つまり防振ゴムがロールと一緒に回転することによってたわみ側が変わったり、バネ上荷重が交番荷重になるという問題が防止される。このため防振手段30に要する強度が軽減されることとなり、また、その使用寿命も長くなる。
【0035】
左右のロール5及びロール2の振動のON―OFFは、運転席C回りに設けたスイッチ(図示せず)、例えば各振動モード別に切り換え可能なロータリスイッチ等により行われる。振動モードとしては、本来のジョイント部など局所的な転圧施工としてのモードである▲1▼右側のロール5のみを振動させるモード、▲2▼左側のロール5のみを振動させるモード、そして、広範囲にわたる路面の転圧施工として▲3▼左右のロール5,5及び後輪のロール2の全てを振動させるモード、などである。勿論必要に応じて、左右のロール5,5のみ、或いは後輪のロール2のみを振動させるモードを加えても差し支えない。
【0036】
なお、通常のタンデム型振動ローラに対し、本発明を実施したマカダム型振動ローラRの主な利点は以下の通りである。
(1)車両の旋回転圧時においては、左右のロール5が互いに差動して路面を転圧することから、路面の引きずりが少なく、路面を平坦、且つ平滑に仕上げることができる。
(2)転圧方向と直交する方向に関して不陸のある路面においても、各ロール5或いはロール2が路面の傾斜角度に追従して接地されるので、路面を均一に仕上げることができる。
(3)転圧幅が大きくなるので、転圧レーンの回数が少なくて済み、転圧施工の作業効率が向上する。
(4)車体1を大型化させることなく、つまり運転席Cからの視界や製作コスト等を犠牲にすることなく、ロール5を大径化でき、路面を良好に仕上げることができる。
【0037】
次いで、本形態のように、防振手段30を車体1の外側に配設すれば以下のような効果が奏される。図6は本発明の第1変形例を示す図であり、防振手段30(防振ゴム36)を車体1の内部に配設した態様を示している(連結部材29の形状も若干異なっている)。本例は、車体1の内部スペースに余裕がある場合には適用可能であるが、通常、車体1内には車両走行用のエンジンや油圧配管等が密に搭載されているため、防振手段30を車体1内に位置させると、防振手段30自体やエンジン等の搭載装置の形状、レイアウト設計に大きな制約が加わることになる。しかし、防振手段30を車体1の外側に配設することで当該問題も解消され、既存の機種車両を容易に本発明に係る振動ローラに適用できるようになる。
【0038】
本形態では、連結部材29を車体1の内部下方において貫通させた態様となっているが、もしこの部位にも油圧配管等が存在している場合には、連結部材29を車体1に貫通させることなく、車体1の外部下方において延設させる態様としても良い。
【0039】
さらに、本形態のように、走行用モータ8を、貫通孔16を有した中空の構造からなるモータとし、走行用モータ8を挟んで車体1側に振動用モータ7を、ロール5側に振動装置6を配設して、振動装置6を駆動するための駆動部材(起振軸15自体やカップリング28,振動用モータ7の出力軸7a等)を貫通孔16に貫通させて振動用モータ7に連結する構成(当該構成を以下、構成Aという)とすることで、以下のような効果が奏される。
【0040】
図7は本発明の第2変形例を示す図であり、前記した実公平3−24647号公報にも開示されているように、振動用モータ7をロール5の外側面寄りに位置させた場合を示す。走行用モータ8の出力部41b側はブラケット42を介してロールの内周に固着された鏡板44に取り付けられ、固定部41a側は取付け板31及び連結板33からなる連結部材29に取り付けられる。連結部材29は取付け板31の部位にて防振ゴム36を介して車体1の側板部1aに取り付けられる。鏡板44には振動装置6を内蔵した起振機ケース45が取り付けられ、起振軸15が振動用モータ7に連結している。
【0041】
この場合、振動用モータ7の筐体は回転させることなく車体1に取り付ける必要があることから、どうしてもロール5の外側面を迂回するブラケット37が必要な構造となり、このブラケット37の突出量(サイドオーバハング)の存在によりロール5を壁際まで寄せることができないという問題点については既述した通りである。しかし、構成Aとすることにより、ロール5の外側面から突出するブラケットが不要な構造となるため、構造物の壁際ぎりぎりまでロール5を寄せて路面の転圧を行え、転圧施工の作業効率が向上し、均一な舗装品質を得ることができるようになる。
【0042】
また、構成Aとすれば、振動用モータ7は車体1側に配設され、ロール5内には振動装置6と走行用モータ8のみが配設されることになるので、振動装置6(起振機ケース11等)に関するロール5の幅方向の占有寸法を大きくとることができ、振動装置の大型化が可能となる他、例えばギア伝達による二軸式の振動装置とすることも可能になるなど、限られたロール5の内部空間においての振動装置6の設計の自由度が拡がり、様々なニーズに応じて振動装置のバリエーションを増やすことができる。
【0043】
さらに、走行用モータ8を多行程型のラジアルピストンモータ17とすることにより、以下のような効果が奏される。当該モータが薄型で且つ低速高トルクを発生するモータであることは既述したが、低速高トルクであることからロール5への適用においては減速機が不要になるという利点が生じることになり、したがって走行用モータ8に関してのロール5の幅方向の占有寸法を小さくできるようになる。よって、前記したように振動用モータ7が車体1側に配設されるという構造と相まって、振動装置6に関するロール5の幅方向の占有寸法をさらに大きくとることが可能となり、振動装置6の設計の自由度がより一層拡がることになる。
【0044】
以上、本発明について変形例も含め好適な実施形態を説明したが、本発明はこれらの形態に限られることなく、各構成要素の形状やレイアウト等についてその趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば次のような効果が奏される。
(1)各走行用モータの出力部にそれぞれ左右のロールが取り付けられ、各走行用モータの固定部が、防振手段を介して車体に取り付けた連結部材により、互いに連結固定される構成とすることにより、ロッキング振動の発生が抑えられることとなり、左右のロールを同時に振動させての転圧作業が可能となる。したがって、後輪のロールも併せて振動させることで、路面を広範囲にわたり効率良く高密度に締固め転圧できることとなる。
(2)また、防振手段を車体の外側に配設すれば、車体内に収装される車両走行用のエンジンや油圧配管等のレイアウト設計の自由度が大きくなる。
(3)さらに、走行用モータを、貫通孔を有した中空の構造からなるモータとして、走行用モータを挟んで車体側に振動用モータを、ロール側に振動装置を配設して、振動装置を駆動するための駆動部材を貫通孔に貫通させて振動用モータに連結する構成とすれば、サイドオーバハングをなくすことができ、構造物の壁際ぎりぎりまでロールを寄せて路面の転圧を行え、転圧施工の作業効率が向上し、均一な舗装品質を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)はマカダム型振動ローラの側面図、図1(b)は同正面図である。
【図2】本発明の要部を示す正面説明図である。
【図3】本発明の要部を示す側面説明図である。
【図4】本発明の要部を示す斜視図である。
【図5】図5(a)は走行用モータを側面から見た構造断面図、図5(b)は走行用モータを正面から見たピストン部の構造断面図である。
【図6】本発明の第1変形例を示す正面説明図である。
【図7】本発明の第2変形例を示す正面説明図である。
【図8】図8(a)は左右方向に不陸のある路面をタンデム型振動ローラにて転圧した場合を示す正面説明図、図8(b)は同路面をマカダム型振動ローラにて転圧した場合を示す正面説明図である。
【図9】従来のマカダム型振動ローラにおけるロール内部の概略構造を示す説明図である。
【符号の説明】
R マカダム型振動ローラ
1 車体
2 ロール(後輪)
5 ロール(前輪)
6 振動装置
7 振動用モータ
8 走行用モータ
11 起振機ケース
14 偏心錘
15 起振軸
17 ラジアルピストンモータ
18 固定部
20 出力部
29 連結部材
30 防振手段
36 防振ゴム

Claims (4)

  1. 車体に片持ち支持されて軸装されるロールを車体を挟んで左右一対に備え、該左右のロールごとに、ロールを振動させる振動装置と、該振動装置を駆動する振動用モータと、ロールを回転させる走行用モータとを有した振動ローラにおいて、
    前記各走行用モータの出力部にそれぞれ前記左右のロールが取り付けられ、
    前記各走行用モータの固定部が、防振手段を介して車体に取り付けた連結部材により、互いに連結固定される構成としたことを特徴とする振動ローラ。
  2. 前記連結部材は、車体内を左右方向に貫通するように配設されていることを特徴とする請求項1に記載の振動ローラ。
  3. 前記防振手段を車体の外側に配設したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の振動ローラ。
  4. 前記走行用モータを、貫通孔を有した中空の構造からなるモータとし、該走行用モータを挟んで車体側に前記振動用モータを、ロール側に前記振動装置を配設して、該振動装置を駆動するための駆動部材を前記貫通孔に貫通させて前記振動用モータに連結する構成としたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の振動ローラ。
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