JP3727833B2 - 生ごみ処理機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば一般家庭の厨房より排出される厨芥等の生ごみを、好気性微生物を利用して分解処理する生ごみ処理機に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、一般家庭にあって、生ごみを分解処理する生ごみ処理機が実用に供されている。この種の生ごみ処理機は、処理槽内に例えば杉のおが屑を分解媒体剤として収容しておき、これに生ごみを収納して撹拌するとともに、生ごみ全体に空気を充分に供給し、且つ適切な温度および湿度に維持すべくヒータや換気ファンを通電作動させる。これにより生ごみは徐々に発酵分解されるが、使用するにつれ好気性の菌(微生物)が増殖し上記分解媒体剤に着床して棲息し、所謂微生物が含まれた基材が構成される。
【0003】
従って、生ごみは斯かる基材による分解処理が促進され、その多くが水蒸気や炭酸ガスとなって発散されることにより、生ごみは減量される。
また、従来では上記のような生ごみ処理機の使用に際しては、生ごみを上記処理槽内に投入した後、その生ごみ量の「多い」・「少ない」を判断基準として、これに応じた運転モードを選択設定して、上記基材の撹拌や、ヒータおよび換気ファン等を異なる運転制御するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記構成の生ごみ処理機では運転中に嫌な臭いが発生し易く、しかも強い臭気でユーザーへ与える不快感を大きくしていた。その理由の一つに、処理槽内の基材は常に均一の活性状態ではないことによる。即ち、基材は生ごみの量とか種類に影響を受けて水分率が変化して湿り度合が異なり、或は分解処理後の生成物が蓄積してこれが湿った状態になることから、微生物にとっても常に最適の環境下にあるとは言えない。換言すれば、基材の本来望むべく良好な状態以外に、例えば乾き過ぎとか湿り過ぎの状態にあることも往々にある。
【0005】
しかるに従来では、例えば今、基材が乾きぎみの状態にあっても、生ごみ量が多い場合にはヒータによる温度制御は高温度に設定され、基材は益々乾燥傾向に助長されて、特に生ものが急激に乾燥されるときの異臭が強く発生することにいなる。しかも、この乾燥状態の基材はさらさらの粉末状態になって、換気ファンの風により飛散し易い憂いも有していた。
【0006】
また、逆に基材がやや湿り過ぎの状態にある場合でも、生ごみ量が少ないと判断された場合には、従来ではヒータによる温度制御は低温度に設定されるため湿った状態が続き所謂生乾きの異臭が大量に発生することとなり、しかもいずれも微生物の活動が鈍くて基材としての活性化が不充分で、臭気によるユーザーに与える不快感は大きかった。そのほか、このような基材の活性状態たる湿り度合(水分率)の変化は、気候とか使用条件等による影響も考えられる。
【0007】
更には、上記したように生ごみ処理機は、基材(分解媒体剤)を新規に収容したばかりの使用初期では、基材としての分解処理が充分に機能しない上に、投入された生ごみにより特に多くの臭気発生を伴うなど、やはり不快感を与える問題を有していた。この要因の一つに、使用前の基材の搬送とか保管状態が原因と考えられる。即ち、基材は一般に気密性の搬送袋に収納密封され、しかも乾燥した状態に梱包されて搬送および保管状態にある。従って、該基材の使用初期では適切な活性状態にないため、生ごみの分解処理が充分に機能しないことにある。
【0008】
尚、予め微生物を混入した基材を用意して、上記搬送袋に封入した使用例も見られるが、上記のように基材(この場合、微生物)には空気の補給がなく、しかも乾燥状態に近いため、微生物は休眠状態にある。従って、使用初期には適切な水分の補給など調整が必要で、すぐには活発な分解活動は望めず、このような微生物の働きが活発にならないうちに生ごみが投入されることにより、分解不能で嫌な臭気を発生することとなっていた。
【0009】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、従ってその目的は、基材の活性状態に沿った運転モードに容易で正確に選択設定し得るとともに、分解処理時の臭気の発生を軽減し、常に基材を利用した分解処理性能を有効に発揮できる生ごみ処理機を提供するにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の生ごみ処理機は、生ごみを好気性微生物を混入した基材により分解処理する処理槽と、投入された生ごみと前記基材とを撹拌する撹拌体と、前記処理槽内の基材に対し加熱するヒータ、および空気を供給する換気ファンと、これらヒータおよび換気ファンを制御し異なる運転モードを選択設定可能なスイッチ手段とを有し、前記スイッチ手段は、前記基材の活性状態に応じて運転モードを選択設定可能とし、前記処理槽内に投入された生ごみを分解処理するようにしたものにおいて、前記処理槽の上部開口部には、これを開閉する蓋体を有し、この蓋体の裏面に、基材の活性状態を例示するとともにこの活性状態に基づき前記スイッチ手段の設定の仕方につき付記された説明書を備え付けたことを特徴とする(請求項1の発明)。
【0011】
斯かる構成によれば、蓋体を開放したとき自然に説明書を視認することができ、且つその下方に位置する処理槽内の基材との照合が極めて容易にできる。これにより、基材の状態に応じた運転モードが容易で正確に得られるので、微生物が活動し易い環境下で生ごみの分解処理を効率良く実行でき、従来の生ごみの量に応じた設定の仕方の如き基材の活性状態を更に悪化するようなおそれは生じない。従って、基材の活性化および生ごみの分解処理が有効に行われ、これに伴い臭気も大幅に軽減でき、快適に生ごみの処理ができて、使い勝手も良い生ごみ処理機を提供できる。
【0012】
そして、請求項1記載のものにおいて、スイッチ手段による運転モードは、基材の活性状態が「良好」に基づく「普通」と、その前後に位置付けされた「乾いている」と「湿っている」との少なくとも3段階に応じて選択設定可能としたことを特徴とする(請求項2の発明)。
【0013】
斯かる構成によれば、基材の活性状態が「良好」と、その前後における各状態との3段階とすることで、実態に即した基材の状態を適切に確認できて微生物の好ましい環境作りに有効で、且つ基材の有効利用ができることに伴い生ごみの分解処理および臭気の改善に極めて有利である。
【0016】
また、請求項1記載のものにおいて、基材は、おが屑等の分解媒体剤と好気性微生物とを混合してなり、該基材を搬送保管等するため、防水性で僅かの空気を通すことが可能な搬送袋に収納したことを特徴とする(請求項3の発明)。
【0017】
斯かる構成によれば、基材に含まれる好気性微生物が空気や水分等の補給を受けることができて、搬送袋内に活動可能な状態で収納保管できる。従って、新たに補給した基材による使用初期から生ごみの分解処理が有効にでき、初期に発生し易い強い臭気をも有効に軽減することができる。
【0018】
そして、請求項3記載のものにおいて、基材を収納する搬送袋は、ポリエチレン製の袋に適数個の小孔を設けた構成としたことを特徴とする(請求項4の発明)。
【0019】
斯かる構成によれば、防水性のポリエチレン袋を利用して小孔を設けるだけの簡易な構成にて搬送袋を提供できるとともに、そのほか上記請求項3の発明と共通の効果を有する。
【0020】
また、請求項1記載のものにおいて、基材に含まれる好気性微生物は、豚の腸内細菌と土壌菌とよりなることを特徴とする(請求項5の発明)。
【0021】
斯かる構成によれば、特には吉草酸(動物臭)やiso酪酸(屎尿臭),iso酪酸(屎尿臭)および酢酸(酸臭)などの嫌な臭気を大幅に減少することができる点で極めて有効である。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を示す図1ないし図7に基づき説明する。
まず、図2には生ごみ処理機の開蓋状態における全体構成を示しており、矩形箱状の外郭1の内部には上部を開口した処理槽2を設け、この開口部2aを開閉する蓋体3を回動可能に設けている。外郭1の上面である上記蓋体3の側方には、操作パネル4が形成されていて、これには図3に拡大して示したようにスイッチ手段としての押し釦型のスイッチ5、および詳細には後述する基材15の活性状態たる湿り度合を「乾いている」,「普通」,「湿っている」の3段階を表示するとともに、各々に対応した表示ランプ6,7,8を設けている。
【0023】
そのほか、基材15の交換時期を点滅して知らせるランプ9や、ほかに適宜の表示を施している。尚、上記スイッチ5は、押し釦を押すごとに基材15の3段階の状態に対応する表示ランプ6,7,8が順次切り換わるとともに、図示しない制御装置に基づき後述する異なる運転モードの選択設定が行われ且つ実行される。
【0024】
また図2には、上記処理槽2の内部には撹拌体10がモータ11および図示しない減速機構を介して低速回転可能に設けられ、該処理槽2内に収容された基材15と投入された生ごみ(図示せず)とを撹拌混合する。また、処理槽2内方を臨む開口部2a周縁に位置して排気フィルタ12が設けられ、外郭1の上部内方に配設された換気ファン13を通して図示しないダクトを経て外郭1背面の排気口に連通している。この換気ファン13は、図示しない吸気口(蓋体3の隙間からでも可)より処理槽2内に空気を取り込み、基材15と充分に接触させた後、排気フィルタ12を経て外部に排出される。
【0025】
更には、処理槽2の周壁には面状にヒータ14が配設され、該処理槽2を介して内部の基材15とともに投入された生ごみを適切な温度に制御可能にしている。少なくともこれらヒータ14および換気ファン13は、前記スイッチ5による設定内容に応答して、ヒータ14による温度制御および換気ファン12による送風量が制御された運転モードが実行される(詳細は後述する)。
尚、外郭1の正面下部にはカバー部材16が着脱可能に被着され、具体的構成の説明は省略するが処理槽2内の基材15を交換するとき、該カバー部材16を外して内部の基材15を取り出すことができる構成としている。
【0026】
そして、前記蓋体3の裏面には、図1に示すように基材15の湿り度合に応じて例えば三つの異なる活性状態A,B,Cを例示すべく写真撮影したカラー写真と、この各状態A,B,Cに基づく運転内容の設定(スイッチ5)の仕方につき説明が付記された説明書17が貼付され備え付けられている。
旦し、今図1に示す説明書17では、写真に代えて模式的に基材15の夫々の活性状態を図示化している。具体的には、本実施例では基材15を所謂3段階に区分した状態A,B,Cを示し、夫々「乾きぎみ」,「良好」,「ベタつきぎみ」の各状態に対応して示している。そして、実際の写真ではその湿り度合により同色系の濃淡色の変化が見られるが、これを図1では破線による斜線密度にて表わし、また生ごみの分解状態(D1,D2,D3)を実線にて概略開示したものである。因に、湿り度合が大きい(状態写真C)ほど濃色で生ごみが分解されずにそのまま残った状態(D3)を示しており、反対に湿り度合が少なく乾きぎみ(状態写真A)の場合では淡色の粉末状(D1)を呈している。
【0027】
従って、ユーザーは現在の基材15の活性状態を見て蓋体3の裏面に貼付された説明書17の状態写真A,B,Cと対比することにより、その基材15の状態に相応したスイッチ5の設定の仕方が確認でき、前記した「乾いている」,「普通」,「湿っている」のうちから選択操作すれば良く、本構成では状態A,B,Cに対し、スイッチ5による前記表示ランプ6,7,8が夫々対応した位置設定にある。
【0028】
しかるに、このスイッチ5により選択的に設定される異なる運転モードの内容については、本実施例では図4に示す通りヒータ14による温度制御、および換気ファン13による送風量の調整が図示しない制御装置にて行われ、これは基材15に含まれる微生物が活動し易くする上で特に関連する要件設定にあって、好ましくは適切な条件たる水分率約50%前後を目指した運転が実行される。この場合、撹拌体10による撹拌動作はいずれも一定の間欠的駆動が実行される。
斯くして、この図4には湿り度合が大きいほどヒータ14による温度は高めに制御され、且つ換気ファン13による風量も多くして、基材15の適正化を図るとともに生ごみの水分蒸発量を多くして、早期に適正な環境を形成して微生物の活性化を促すようにしている。
【0029】
次いで、図5は使用前の基材15を搬送したり保管するに有効な搬送袋18について示したもので、この搬送袋18は例えば防水性のポリエチレン製の袋18aに直径約1mm前後の小孔19を基材15の収納量に応じて数個から数十個の適数個設けている。従って、基材15を搬送袋18内に収納しシールド18bすることにより、ユーザーにとって基材15の取扱いが容易となるばかりか、これに含まれた好気性微生物が活動し易い水分率約50%前後に極力保つべく、常に空気の補給ができる構成としている。
また、図6および図7は、本実施例の基材15に含まれた微生物として、豚の腸内細菌と土壌菌とを採用するとともに、この場合における臭気の発生量を測定したもので、特には従来の基材との対比により臭気の低減効果を確認したもので、詳細は作用説明の項にて後述する。
【0030】
次に、上記構成のものの作用について述べる。
今、図2に示すように処理槽2内には、おが屑や場合によってはもみがら等を混合した分解媒体剤に、豚の腸内細菌および土壌菌よりなる好気性の微生物を混入してなる基材15を収容してある。この状態から、まず蓋体3を回動開放して、内部の基材15の活性状態を目で確認するととともに、蓋体3の裏面に貼付された説明書17(図1参照)の各状態写真A,B,Cと対比する。
【0031】
その結果、例えば「乾きぎみ」の状態写真Aと最も類似することが確認された場合には、該説明書17に記載の指示通り処理槽2内に必要水量散水して湿らせた後、操作パネル4の押し釦型のスイッチ5を操作し「乾いている」に選択設定する。この場合、スイッチ5は後で操作することとして設定位置を確認記憶しておくことでも良いし、上記の如くスイッチ5を操作しても、蓋体3が開放状態にあるので少なくともモータ11による撹拌体10は回転駆動されない。そして、この状態で図示しない生ごみを処理槽2内に投入し、蓋体3を閉鎖する。
【0032】
このように蓋体3が閉鎖されると、上記スイッチ5による設定入力を受けて、図示しない制御装置により予め記憶されたプログラムに基づき運転制御される。即ち、本実施例では図4に示したように「乾いている」の運転モードが実行されるもので、ヒータ14による温度制御は低温度(例えば21°C)に制御されるとともに、換気ファン13による送風量は抑えられて少風量に制御される。この場合、撹拌体10は、スイッチ5の設定位置に関係なく、常に間欠的に一定の回転速度(低速)で駆動される。
【0033】
これに伴い、処理槽2内の基材15は、過乾燥となることが抑えられ好気性微生物が活動し易い適切な水分率に近づける作用をなし、且つ当初の乾きぎみの基材15や乾燥物の一部(粉末状)が排気流に乗じて排出されたり、排気フィルタ12に付着して空気の流れを阻害したり早期目詰まりするのを抑制できる。
【0034】
上記に対し、基材15の活性状態が図1の説明書17に例示するように「良好」な状態にあると判断された場合には、スイッチ5の操作により図2や図4に示す「普通」の運転モードに設定されて実行され、処理槽2内の基材15はヒータ14および換気ファン13により微生物の活動し易い現環境を維持すべく適切な温度や水分率に保たれる。
【0035】
また、同様に基材15が「ベタつきぎみ」の状態であると判断された場合には、図4の「湿っている」の運転モードに設定され、ヒータ14による高温度の制御および換気ファン13による多い風量に制御された運転内容が実行されて、やはり微生物の活動し易い環境に近づけるべく運転制御される。従って、生ごみを基材15の活性状態に応じた適切な分解処理が可能となり、併せて嫌な臭気の発生も有効に抑えることができる。
【0036】
尚、本実施例によれば上記したように基材15が「良好」(普通)以外のずれた状態の場合にあっても、設定された運転モードに基づき微生物が活動し易い方向(例えば水分率50%前後)に向けて是正されるので、使用するうちにより良い環境下に近づき、通常の使用では基材15は「良好」(普通)の状態で利用できるケースが多くなり、それだけ効率良く且つ臭気が少ない生ごみの処理ができる点でも極めて好都合である。
【0037】
一方、基材15を新たに補給したい場合には、本構成の搬送袋18に収納されている基材15を採用するだけで良く、取扱いが容易であるとともに、特には使用初期から微生物による活発な分解活動が期待できる。即ち、搬送袋18には収納量に応じた適数個の小孔19(直径約1mm)が設けられて、防水性を有するが僅かの空気を通すことを可能としているので、収納された基材15中の好気性微生物を活性状態にしておくための水分率や新鮮な空気を小孔19を介して補給可能となる。ただ、実用に際して基材15の状態によっては処理槽2内に収容した後、必要に応じ水分を僅か補給してやっても良く、少なくとも従来の休眠状態に梱包されていた基材の利用に比して当初より分解処理が可能で、使用初期の分解不能時期に発生し易い強い臭気を有効に抑えることができる。
【0038】
また、本実施例では、おが屑等の分解媒体剤と微生物として豚の腸内細菌と土壌菌とを混合してなる基材15を採用したので、各種の臭気成分に対して従来より遥かにその濃度を低下させることができた。即ち、図6および図7は、臭気成分とその濃度変化をガスクロマト質量分析計で側定した結果を示したもので、測定条件は、基材1gを純水10mlに溶解させて溶出成分を分析するとともに、ベースラインからのピーク面積で成分量を測定した。尚、ここで測定した従来基材は、先の従来技術で述べた杉のおが屑のみを用いたものである。
【0039】
斯くして、図6に示した数値結果および図7(a),(b)に示したクロマトグラムから明らかなように、本実施例の基材15によれば、n酪酸やiso酪酸そして吉草酸は検出できず(ND)、従来に比し酢酸(酸臭)における約1/8から吉草酸(動物臭)の約1/220強の減少効果が確認され、嫌な臭いが少ない快適な生ごみ処理が実行できる。
このようにして、処理槽2内で基材15により分解処理された生ごみは、大半が水蒸気と炭酸ガスとなって発散され、換気ファン13による空気の吸排に伴い排気フィルタ12を経て図示しない排気口から排出される。従って、投入された生ごみは、大幅に減量となり残った分解生成物は有機肥料として活用できる。
【0040】
このように本実施例によれば、次のような効果を有する。
生ごみを微生物が含まれた基材15を利用して処理槽2内で分解処理するに際して、基材15の活性状態たる湿り度合に基づき微生物が活動し易い環境作りに有効な温度および送風条件を制御した運転モード(図4参照)を選択実行できるようにしたので、現状に沿った適切な条件下で基材15による分解処理性能を充分に引き出すことができ、従来のように生ごみの量に応じた運転モードの設定の仕方では、基材の状態が無視されて更に過乾燥状態となったり、更に湿った状態になったりする不具合が生じて、微生物の活性化が阻害され、或はそのために強い臭気が発生したりしてユーザーに不快感を与えていたが、本実施例ではそのような憂いを大幅に軽減し、快適なごみ処理ができるようになった。
【0041】
加えて、上記したように従来の設定の仕方では基材が「良好」(普通)状態でない場合には、更にずれた傾向に移行して分解処理が不充分となるのに対し、本実施例によれば「良好」(普通)以外のずれた状態の場合にも、設定された運転モードに基づき微生物が活動し易い方向(例えば水分率50%前後)に向けて是正され、従って、使用するうちにより良い環境下に近づき、通常の使用では基材15は「良好」(普通)状態で利用できるケースが多くなり、それだけ効率良く且つ臭気が少ない生ごみ処理が可能となる。
【0042】
しかも、基材15の活性状態を判断して確認するには、現実に即したカラー写真等を例示した説明書17を用意して対比できるようにし、これを蓋体3を開放したとき当然の如く視野に入る蓋体3の裏面に貼付して、処理槽2内の基材15との照合が容易にできるようにした。従って、何ら特別の作業とか操作をすることなく基材15の状態が確認でき、例えば図示しないが製品の取扱説明書中に掲載した場合のように、これを逐一用意するような煩わしさも要しない。
【0043】
斯くして、基材15の活性状態を容易に且つ正確に確認できるので、スイッチ手段たる押し釦型のスイッチ5により適切な運転モードを選択設定でき、使い勝手の良い生ごみ処理機を提供できる。また、その運転モードは、本実施例では基材15の活性状態が図1の説明書17のBに示す「良好」な状態ではスイッチ5による「普通」の運転モードとし、その前後に位置付けされたA「乾燥ぎみ」およびC「ベタつきぎみ」の状態では、夫々「乾いている」および「湿っている」の運転モードとする3段階に選択設定したことで、実態に即した適切な分解処理が可能な運転モードが得られる。
尚、本実施例では図4に示したように、3段階の異なる運転モードはヒータ14および換気ファン13を調整した制御によるものであるが、これに撹拌体10の駆動制御を適宜組合わせるようにしても良い。
【0044】
一方、基材15の保管および搬送用のための搬送袋18を、微生物が活動可能な状態のまま収納できるように、防水性で僅かの空気が通ることができるようにしており、例えば防水性のポリエチレン製の袋18aであれば、その収納量に応じた小孔19を適数個形成する程度の簡単な構成にて提供できる。これによって、基材15への水分率や空気の補給を可能ならしめ、混入された微生物を活動状態に有効に維持できる。従って、新たに補給された基材15による生ごみの分解処理は使用初期から有効に機能するので、従来のように乾燥した休眠状態のものの使い始めに発生し易かった強い臭気も大幅に軽減できる。
【0045】
また、基材15に含まれる微生物として、本実施例では豚の腸内細菌および土壌菌とよりなしたので、図6および図7に開示したような吉草酸(動物臭)やiso酪酸(屎尿臭)などの嫌な臭気を大幅に減少することができる点で極めて有効である。
尚、本発明は上記し且つ図面に示した実施例にのみ限定されるものではなく、例えば基材の活性状態に応じて適宜に自動化へ展開することも可能であるし、そのほかスイッチ手段の具体的構成や、搬送袋にしても空気の呼吸(補給)が可能で防水性に富んだ材質であれば良いなど、実施に際して本発明の要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。
【0046】
【発明の効果】
本発明の生ごみ処理機は以上説明したように、生ごみを微生物を混入した基材を利用して処理槽2内で分解処理するに際して、基材の活性状態に基づき適切な運転モードを選択実行できるようにしたものである。即ち、微生物が活動し易い環境となすべく温度および送風条件を現状に沿って適切に制御し、基材による分解処理を効率良く実行できるようにしたもので、従来の如き生ごみの量に応じた運転モードの設定の仕方では、基材の状態が無視されて更に過乾燥状態となったり、逆に更に湿った状態になったりする不具合が生じて、微生物の活性化が阻害されたり、そのために強い臭気が発生したりしてユーザーに不快感を与えていたが、本実施例ではそのような憂いを大幅に軽減し、快適なごみ処理ができるようになった。
【0047】
加えて、上記したように従来の設定の仕方では基材が「良好」(普通)以外のずれた状態にあっては、更にずれた傾向に移行して分解処理が不充分となるおそれがあったのに対し、本実施例によれば「良好」(普通)以外のずれた状態の場合にも、選択設定された運転モードに基づき微生物が活動し易い方向(例えば水分率50%前後)に向けて是正され、従って、使用するうちにより良い環境下に近づき、通常の使用では基材は「良好」(普通)の状態で利用できるケースが多くなり、それだけ効率良く且つ臭気が少ない生ごみの処理ができるなど、実用に快適な生ごみ処理機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す説明書の拡大図
【図2】生ごみ処理機全体の概略構成を示す斜視図
【図3】操作パネルの拡大平面図
【図4】運転モードの設定内容を示す説明図
【図5】搬送袋の平面図
【図6】臭気成分を測定し濃度変化(数値)を表わした図
【図7】図6のクロマトグラム
【符号の説明】
1は外郭、2は処理槽、3は蓋体、5はスイッチ(スイッチ手段)、6,7,8は表示ランプ、10は撹拌体、13は換気ファン、14はヒータ、15は基材、17は説明書、18は搬送袋、および19は小孔を示す。
Claims (5)
- 生ごみを好気性微生物を混入した基材により分解処理する処理槽と、投入された生ごみと前記基材とを撹拌する撹拌体と、前記処理槽内の基材に対し加熱するヒータ、および空気を供給する換気ファンと、これらヒータおよび換気ファンを制御し異なる運転モードを選択設定可能なスイッチ手段とを有し、前記スイッチ手段は、前記基材の活性状態に応じて運転モードを選択設定可能とし、前記処理槽内に投入された生ごみを分解処理するようにしたものにおいて、
前記処理槽の上部開口部には、これを開閉する蓋体を有し、この蓋体の裏面に、基材の活性状態を例示するとともにこの活性状態に基づき前記スイッチ手段の設定の仕方につき付記された説明書を備え付けたことを特徴とする生ごみ処理機。 - スイッチ手段による運転モードは、基材の活性状態が「良好」に基づく「普通」と、その前後に位置付けされた「乾いている」と「湿っている」との少なくとも3段階に応じて選択設定可能としたことを特徴とする請求項1記載の生ごみ処理機。
- 基材は、おが屑等の分解媒体剤と好気性微生物とを混合してなり、該基材を搬送保管等するため、防水性で僅かの空気を通すことが可能な搬送袋に収納したことを特徴とする請求項1記載の生ごみ処理機。
- 基材を収納する搬送袋は、ポリエチレン製の袋に適数個の小孔を設けた構成としたことを特徴とする請求項3記載の生ごみ処理機。
- 基材に含まれる好気性微生物は、豚の腸内細菌と土壌菌とよりなることを特徴とする請求項1記載の生ごみ処理機。
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