JP3725634B2 - 自動変速機の変速操作入力装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動変速機、特に、変速段を予め設定されている変速特性に基づいて自動的に切り換えるオートレンジ等の他に、シフトレバーを所定方向に揺動させることにより変速段を切り換えるマニュアルレンジを有する自動変速機の変速操作入力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両用の自動変速機として、変速段を予め設定されている変速特性に基づいて自動的に切り換えるオートレンジ(以下「Dレンジ」という。)等の他に、シフトレバーを所定方向に揺動させることにより変速段を切り換えるマニュアルレンジ(以下「Mレンジ」という。)を備えたものが実用化されつつあり、このような自動変速機として、例えば特開平3−89075号公報に開示されたものがある。
【0003】
この自動変速機においては、シフトレバーを車体前後方向に延びる第1の切換通路内において揺動操作することにより、P(駐車)、R(後退)、N(中立)、D(ドライブ)、3(3速)、2(2速)、1(1速)のレンジが選択可能とされていると共に、シフトレバーをDレンジの選択位置から横方向に延びる横断通路を介して上記第1の切換通路と平行に設けられたMレンジ用の第2の切換通路に切り換え、この第2の切換通路内においてシフトレバーを中立位置から前方へ揺動することにより変速段が1段シフトアップし、逆に後方へ揺動することにより変速段が1段シフトダウンするように構成されている。
【0004】
また、このような、通常のレンジ選択用の第1の切換通路の側方にこれと平行してMレンジ用の第2の切換通路を設けた並列タイプの場合では、切換通路の全体形状ないしシフトレバーの動作領域の幅が広くなり、これに伴って変速操作装置の寸法が全体的に横方向に大きくなって、車体への取り付けや、周辺機器との間のレイアウトに支障を来すことになるので、車体前後方向に並ぶ通常レンジの選択位置の列の一端部にMレンジの選択位置を配置し、シフトレバーをこの列の当該端部まで操作したときにMレンジが選択されると共に、このMレンジの選択位置内におけるシフトレバーの前後方向の揺動操作により、変速段がシフトアップもしくはシフトダウンされるように直列タイプに構成することも考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、次のような解決すべき問題が残る。
【0006】
すなわち、上記公報にも開示されているように、Mレンジ用の第2の切換通路には、この第2の切換通路内におけるシフトレバーの中立位置を挟んで揺動方向の前後にシフトアップ用又はシフトダウン用の変速段切換スイッチが備えられ、この第2の切換通路内においてシフトレバーが前方又は後方に揺動されると、上記各切換スイッチがオン操作されて、変速段がそれぞれシフトアップもしくはシフトダウンされるようになっている。
【0007】
しかしながらその場合に、シフトレバーがDレンジ等の自動変速レンジから誤ってMレンジに入り、ここでシフトレバーを再び自動変速レンジに戻そうとして揺動操作等すると、該シフトレバーが上記変速段切換スイッチに触れて、運転者の意図しない手動変速が起こることが想定される。これを防止するための対策としては、シフトレバーに備えられたシフトピンを運転者がシフトボタンの押下で下動させたときに初めてシフトレバーを自動変速レンジからMレンジの選択位置に切り換えることが可能となるように構成することが考えられる。
【0008】
ところがその場合においても、上記公報に開示されている変速段切換スイッチのように、該スイッチが、直接、シフトレバーと当接してオン操作されるものにあっては、該シフトレバーが一旦Mレンジ選択位置に切り換えられると、次に、その状態でシフトレバーが前後動等されたときにやはりシフトレバーが上記変速段切換スイッチに触れるため、これから運転者が真に手動変速を行なおうとしてシフトレバーをMレンジに入れ、次にシフトボタンを離すのか、又は手動変速を行なおうとしてシフトレバーをMレンジに入れたが、手動変速を止めてシフトボタンを押下したままで再び自動変速モードに戻すのかに拘らず、Mレンジ内でのシフトレバーの揺動に伴って手動変速が起こり、後者の場合に、やはり運転者の意図しないところで変速段の切換えが発生することになる。したがって、運転者が手動操作でシフトボタンを押下してシフトピンを下動させなければシフトレバーがMレンジに切り換えられないように構成するだけでは対策としては不充分なのである。
【0009】
そこで、本発明は、Mレンジを有する自動変速機の変速操作入力装置における上記のような実情に対処するもので、運転者の意図しない手動変速が起こることを確実に防止することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明では次のような手段を用いる。
【0011】
まず、本願の特許請求の範囲の請求項1に記載した発明(以下「第1発明」という。)は、変速段を予め設定されている変速特性に基づいて自動で切り換える第1のレンジと手動で切り換える第2のレンジとを有する自動変速機の変速操作入力装置であって、第1レンジの選択位置と第2レンジの選択位置とを含む複数のレンジ選択位置が一列に配置されて、第2レンジ選択位置が第1レンジ選択位置に隣接して上記列の一端部に設けられ、且つ第2レンジ選択位置内におけるシフトレバーの上記列の方向と同じ方向への揺動操作によって変速段をシフトアップ又はシフトダウンさせる変速段切換手段が備えられていると共に、上記シフトレバーに、押し下げ操作されたときはシフトレバーの第1、第2のレンジ間移動を許容し、押し下げ操作が解除されたときにはシフトレバーの上記レンジ間移動を規制する規制部材が設けられ、上記第1レンジ選択位置と第2レンジ選択位置との間に、規制部材と協動してシフトレバーのレンジ間移動を規制する規制部が設けられ、上記変速段切換手段が、押し下げ操作が解除された規制部材を介して操作されると共に、シフトレバーを第2レンジ選択位置内において中立位置に付勢する中立付勢部材が備えられ、この中立付勢部材に、上記規制部が設けられていることを特徴とする。
【0014】
次に、請求項2に記載した発明(以下「第2発明」という。)は、上記第1発明において、中立付勢部材は、シフトレバーを揺動方向の両側から中立位置に付勢する一対の揺動部材からなり、これらの揺動部材が、同一軸に揺動可能に支持され、且つ単一のバネ部材によってそれぞれシフトレバーの中立位置方向に付勢されていると共に、該シフトレバーが手動変速操作されたときは、その操作に連動していずれか一方の揺動部材が揺動し、変速段切換手段をシフトアップ操作又はシフトダウン操作させることを特徴とする。
【0015】
次に、請求項3に記載した発明(以下「第3発明」という。)は、上記第1発明において、規制部材と協動してシフトレバーのレンジ間移動を規制するガイドプレートが備えられ、中立付勢部材は、このガイドプレートにおけるシフトレバー側の面に設けられた凹陥部内に収容支持されていることを特徴とする。
【0016】
次に、請求項4に記載した発明(以下「第4発明」という。)は、上記第2発明において、ガイドプレートには、中立付勢部材の中立付勢位置を決定する位置決め部が設けられていることを特徴とする。
【0017】
次に、請求項5に記載した発明(以下「第5発明」という。)は、上記第3発明又は第4発明において、ガイドプレートには、中立付勢部材の動作を一定範囲内に規制する動作範囲規制部が設けられていることを特徴とする。
【0018】
次に、請求項6に記載した発明(以下「第6発明」という。)は、上記第3発明ないし第5発明のいずれかにおいて、ガイドプレートは、合成樹脂を一体成形したものであることを特徴とする。
【0019】
次に、請求項7に記載した発明(以下「第7発明」という。)は、上記第1発明において、第2レンジ選択位置内におけるシフトレバー操作に連動して該レバーの揺動面と平行な面内で揺動する揺動部材が備えられ、該揺動部材には、その揺動面と直交する方向で反シフトレバー側に突出する突出部が設けられていると共に、変速段切換手段は、上記シフトレバーの揺動面から所定量オフセットされて配置され、上記揺動部材の突出部によって変速段をシフトアップ又はシフトダウンさせるように操作されることを特徴とする。
【0021】
上記の手段を用いることにより、本願各発明はそれぞれ次のように作用する。
【0022】
まず、第1発明によれば、第2レンジ(Mレンジ)内でのシフトレバー操作によって変速段を切り換える変速段切換手段が備えられ、この切換手段が、押し下げ操作が解除され、その結果、上記第2レンジと、自動変速を達成する第1レンジ(Dレンジ)との間のシフトレバーの移動を規制する状態にある例えばシフトピン等の規制部材を介して操作されるので、単に、運転者がシフトレバーを第2レンジに移動させただけではなく、さらに、運転者がこの第2レンジ内で手動変速操作を行なおうと意図してシフトレバーを該第2レンジ内にロックし、この状態でシフトレバーを操作したときに初めて手動変速が実現することになる。これにより、シフトレバーが誤ってMレンジに入っても、運転者がシフトレバーを該Mレンジ内にロックする操作をしなければ手動変速が起きず、運転者の意図しない手動変速の発生が回避されることになる。
【0023】
その場合に、DレンジとMレンジとの間に設けられた規制部とピン部材との協動によりシフトレバーのレンジ間移動が規制されることになる。
【0024】
そして、シフトレバーを第2レンジ内において中立付勢する中立付勢部材に上記規制部が設けられているので、この規制部を別途DレンジとMレンジとの間に設ける場合に比べて部品点数を少なくすることができる。
【0025】
また、第2発明によれば、上記中立付勢部材がより具体化されて、シフトレバーは、同一軸に揺動可能に指示された一対の揺動部材によって揺動方向の両側から中立付勢されることになる。そして、その場合に、これらの揺動部材が、単一のバネ部材によってそれぞれシフトレバーの中立位置方向に付勢されているので、これらの揺動部材をそれぞれ専用のバネ部材で付勢する場合に比べて部品点数が少なくなると共に、さらに、この中立付勢部材を利用して、変速段切換手段をシフトアップ操作又はシフトダウン操作させるように構成したので、該切換手段を操作する部材を別途設ける場合に比べて部品点数が少なくなる。
【0026】
一方、第3発明によれば、中立付勢部材がシフトレバーのレンジ間移動を規制するガイドプレートにおけるシフトレバー側の面に設けられた凹陥部内に収容支持されているので、この中立付勢部材を支持するための部材を別途設ける必要がなくなって部品点数が少なくなると共に、シフトレバーと中立付勢部材との間の位置関係に誤差が少なくなってシフトレバーが中立付勢部材で正確に中立付勢されることになる。さらに、中立付勢部材がガイドプレートの凹陥部内に収容されているので、ガイドプレート全体の厚さないし強度を確保しながら、幅方向の寸法拡大が抑制されることになる。
【0027】
そして、第4発明によれば、上記ガイドプレートを利用して、中立付勢部材の中立付勢位置を決定する位置決め部を設けたので、この位置決め部を別途他の部材で構成する場合に比べて部品点数が少なくなる。
【0028】
さらに、第5発明によれば、上記ガイドプレートを利用して、中立付勢部材の動作を一定範囲内に規制する動作範囲規制部を設けたので、この動作範囲規制部を別途他の部材で構成する場合に比べて部品点数が少なくなる。
【0029】
また、第6発明によれば、上記ガイドプレートを合成樹脂の一体成形により構成したので、このガイドプレートに、中立付勢部材やシフトレバー等の支持部、中立付勢部材を収容する凹陥部、中立付勢部材の中立付勢位置を決定する位置決め部、及び中立付勢部材の動作範囲を規制する動作範囲規制部等を同時に形成することができ、相互の位置関係の誤差が低減されると共に、このガイドプレートの生産性が改善される。
【0030】
一方、第7発明によれば、変速段切換手段をシフトレバーの揺動面からオフセットして配置したうえで、シフトレバー操作と連動して揺動する揺動部材に突出部を設け、この突出部によって上記変速段切換手段が操作されるように構成したので、変速段切換手段がシフトレバーの操作面上になく、したがって両者の干渉が回避されて、シフトレバーを支障なく操作できることになる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0033】
図1は、この実施の形態に係る変速操作入力装置1の外観を示すもので、当該自動車の運転席側方の車体部材Xにはカバー2が取り付けられ、該カバー2に設けられた前後方向に細長い開口部2aからシフトレバー3の上部が突出されている。
【0034】
このシフトレバー3は、上記カバー2の開口部2aに沿って前後方向に操作されて、その操作位置により、前方からPレンジ、Rレンジ、Nレンジ、Dレンジ及びMレンジが選択されるようになっている。また、Mレンジの操作位置には、中立位置を中心として前後にシフトアップ位置及びシフトダウン位置がそれぞれ設けられている。そして、これらの操作位置を示す表示板4が上記カバー2における開口部2aの側方に設けられていると共に、該開口部2aは、シフトレバー3に係合されて該レバー3の操作に従って前後にスライドするスライドプレート5によって閉鎖されている。
【0035】
なお、このシフトレバー3は、パイプ部材3aによって本体が構成されていると共に、その中間部より上方の部分は被覆部材3bで覆われており、また上端の操作部3cには、シフト操作に対する規制を解除するための規制解除ボタン3dが設けられている。
【0036】
そして、シフトレバー3をDレンジの選択位置に操作したときは、変速段が予め設定された変速特性に基づいて切り換えられ、一方、シフトレバー3をMレンジの選択位置に操作したときには、該シフトレバー3をそのMレンジ選択位置内において中立位置を中心として前後のシフトアップ位置又はシフトダウン位置に揺動操作することにより、変速段が切り換えられるようになっている。ここでは、上記Dレンジにおける変速制御や、Pレンジ、Rレンジ、Nレンジにおける変速機の制御等については周知の技術に属するので、これ以上の詳しい説明は省略する。
【0037】
次に、変速操作入力装置1の上記カバー2より下方に配置された部分の構造を説明すると、図2及び図3に示すように、この装置1は、合成樹脂で成形されて、前後4か所のボルト穴11……11に挿通されるボルト(図示せず)により車体に取り付けられるベース部材10を有する。
【0038】
このベース部材10の中央部には下方へ突出する中空箱状の突出部12が設けられ、この突出部12の左右両側面に孔12a,12aが設けられていると共に、上記シフトレバー3を構成するパイプ部材3aの下端部には、逆T字状(図5参照)をなすように横方向に延びる同じくパイプ部材でなる支軸3eが固着されており、この支軸3eの左右両端部が上記突出部12の孔12a,12aにそれぞれ嵌合されて、シフトレバー3が該突出部12ないしベース部材10に前後に揺動可能に支持されている。
【0039】
そして、このベース部材10上には、シフトレバー3の位置決め機構、該シフトレバー3の各レンジ間での操作を規制する操作規制機構、該シフトレバー3がMレンジに操作されたことを検出するMレンジスイッチの操作機構、Mレンジ内におけるシフトレバー3に対する中立付勢機構及びシフトアップ、シフトダウン操作を検出するシフトアップスイッチ及びシフトダウンスイッチの操作機構等が配設されている。
【0040】
上記位置決め機構は、ベース部材10に設けられた位置決め部13と、シフトレバー3に取り付けられた位置決め用板バネ部材14とで構成されている。このうち、位置決め部13は、ベース部材10の上面中央部におけるシフトレバー3の突出部の前方に該ベース部材10に一体的に立設された前後方向の壁によって構成されていると共に、その上縁は上記シフトレバー3の揺動中心を中心とするほぼ円弧面とされ、この円弧面に前方からPレンジ用、Rレンジ用、Nレンジ用、Dレンジ用及びMレンジ用の位置決め凹部13p,13r,13n,13d,13mが設けられている。
【0041】
また、上記板バネ部材14は、シフトレバー3の本体を構成するパイプ部材3aにおける上記カバー2のやや下方位置に固着されたブラケット15に、ボルト16及び回り止めピン17を用いて後端部が固着されて前方へ延びていると共に、その前端部は係合部14aとされて、上記ベース部材10の位置決め部13における各凹部13p,13r,13n,13d,13mのうちのシフトレバー操作位置に対応する凹部に係合され、これにより、該シフトレバー3が各操作位置において位置決めされるようになっている。
【0042】
その場合に、位置決め部13におけるMレンジ用凹部13mは、Mレンジ内でシフトレバー3をシフトアップ及びシフトダウン操作可能なように前後にやや広い凹部とされていると共に、図4に拡大して示すように、このMレンジ用凹部13mの中央部には、後述するMレンジ内での中立位置に対応して上記係合部14aを係合させるための手動変速時用のディテント凹部13m’がさらに形成されている。
【0043】
なお、上記ブラケット15には、操作ケーブル18の後端部が連結されている。このケーブル18は、ベース部材10の前端部に取り付けられたケーブルガイド19を通って前方に延びて、図示しないインヒビタスイッチや、コントロールバルブユニットにおけるマニュアルバルブや、パーキング機構等に導かれ、これらにシフトレバー3の操作を伝達するようになっている。
【0044】
一方、シフトレバー3には、前述のレンジ間の操作規制機構、Mレンジスイッチの操作機構、シフトレバー3に対する中立付勢機構及びシフトアップ、シフトダウンスイッチの操作機構等を構成するシフトピン21が設けられている。
【0045】
このシフトピン21の取り付け構造を図5により説明すると、シフトレバー3の本体を構成するパイプ部材3aにおける上記ブラケット15の固着位置の直下方には、左右両側面に上下に長い長穴3f,3fがそれぞれ設けられていると共に、これらの長穴3f,3fにはシフトピン21が挿通されて、その両端部21a,21bがパイプ部材3aの左右両側に突出されている。ここで、該シフトピン21の左側の端部21aは丸棒の状態であるが、右側の端部21bは扁平に成形されている。
【0046】
このシフトピン21は、パイプ部材3a内に配置されて該パイプ部材3a内を上下に移動可能とされた支持部材22に中央部を支持されて、上記長穴3f,3fの範囲内で、該支持部材22と共に上下移動可能とされていると共に、パイプ部材3a内における支持部材22の下方には、該支持部材22及びシフトピン21を上方に付勢するリターンスプリング23が配設されており、また、該支持部材22の上方にはコイルを密に巻いてなるスプリング24がパイプ部材3a内に挿通され、シフトレバー3の上端の操作部3cにおけるボタン3dの押し込み操作により、該スプリング24を介して上記支持部材22及びシフトピン21が上記リターンスプリング23に抗して下方へ押し下げられるようになっている。
【0047】
そして、上記ベース部材10におけるシフトレバー3の操作経路の前方に向かって左側の側方には、上記シフトピン21によって操作されるMレンジスイッチの操作機構が備えられている。
【0048】
この機構は、図6に拡大して示すように、シフトレバー3の上記側方におけるMレンジの操作位置の近傍においてベース部材10に立設された支持プレート31と、該支持プレート31のシフトレバー3側の面の上部にピン32を介して中央部が揺動自在に支持された操作レバー33と、上記ピン32に巻き付けられて両端が支持プレート31と操作レバー33とにそれぞれ係止されていることにより、該操作レバー33を図6のA方向に付勢するツルマキバネ34とを有すると共に、上記支持プレート31における操作レバー33の後端部33aの下方にMレンジスイッチ35が取り付けられている。なお、支持プレート31には、上記ツルマキバネ34による操作レバー33のA方向の揺動を所定位置で規制するためのストッパ部31aが設けられている。
【0049】
そして、操作レバー33の前端部33bが、シフトレバー3がMレンジに操作されたときに上記シフトピン21の左側の端部21aに係合し、該シフトピン21が上記ボタン3dの押し込み操作の解除により長穴3fに沿って上方へ移動するときに、該操作レバー33が上記ツルマキバネ34の付勢力に抗して反A方向に揺動され、後端部33aが上記Mレンジスイッチ35をON操作するようになっている。
【0050】
なお、この場合に、シフトピン21が当接する上記操作レバー33の前端部33bは前後方向において所定の長さに延設されて、後述するシフトレバー3のMレンジ内での手動変速操作時に、常に、この前端部33bとシフトピン21とが当接し続け、その結果、安定してシフトレバー3がMレンジ内にあることが検出できるようになっている。
【0051】
また、ベース部材10におけるシフトレバー3の操作経路の前方に向って右側の側方には、図7に拡大して示すように、その経路に沿ってガイドプレート41が該ベース部材10に一体的に立設され、このガイドプレート41と、シフトレバー3に備えられたシフトピン21とにより、前述のシフト操作規制機構が構成されている。
【0052】
上記ガイドプレート41は、シフトレバー3側の面の前部に設けられた厚肉部42を有し、この厚肉部42に、上記シフトピン21の右側の端部21bと係合することにより、シフトレバー3のPレンジ位置からRレンジ位置側への操作を規制する第1規制面42aと、Rレンジ位置からPレンジ位置側への移動を規制する第2規制面42bと、Nレンジ位置側からRレンジ位置への移動を規制する第3規制面42cとが設けられて、シフトレバー3のこれらのレンジ間での操作を規制するようになっている。そして、上記ボタン3dの押し込み操作により、前述のスプリング24及び支持部材22を介してシフトピン21が下方に押し下げられたときに、この規制が解除されて、シフトレバー3の上記操作が許容されるようになっている。
【0053】
さらに、このガイドプレート41のシフトレバー3側の面には、前部に設けられた上記の厚肉部42に加えて、後部にも厚肉部43が設けられ、これらの厚肉部42,43の間が凹陥部44とされていると共に、この凹陥部44を利用して、Mレンジ内でのシフトレバー3に対する中立付勢機構と、シフトアップ、シフトダウンスイッチの操作機構とが設けられている。
【0054】
これらの機構は、上記凹陥部44内に配置された前後一対の第1,第2カム部材51,52を用いて構成されており、これらのカム部材51,52によってMレンジ位置に操作されたシフトレバー3を中立位置に保持すると共に、該レバー3が中立位置から前後のシフトアップ位置またはシフトダウン位置に操作されたときには、いずれかのカム部材を介してシフトアップスイッチ53もしくはシフトダウンスイッチ54を操作するようになっている。
【0055】
上記一対のカム部材51,52のうち、後方に配置されたシフトダウン用の第2カム部材52の上端部にはガイドプレート41側に突出するピン部52aが一体的に設けられており、また、前方に配置されたシフトアップ用の第1カム部材51の上端部には穴51aが設けられて、上記第2カム部材52のピン部52aが第1カム部材51の穴51aに挿通された上で、ガイドプレート41に設けられた穴に嵌合されて抜け止めされており(図5参照)、これにより、両カム部材51,52が上端部における共通の支点を中心として、下部がそれぞれ前後に揺動可能に支持されている。また、第2カム部材52の上記ピン部52aには、ツルマキバネ55が巻き付けられ、その両端部が両カム部材51,52に設けられた係止穴51b,52bに係止されて、これらのカム部材51,52が互いに接近する方向B,C、即ち第1カム部材51は後方、第2カム部材52は前方に付勢されている。
【0056】
そして、ガイドプレート41の凹陥部44内における両カム部材51,52に挟まれた位置には、シフトレバー3側へ突出する中央ストッパ部45が設けられて、該ストッパ部45の前後両面で、上記ツルマキバネ55の付勢力によるカム部材51,52の互いに接近する方向B,Cへの揺動を規制するようになっている。
【0057】
また、第1カム部材51の下端部には、肉盛りにより補強された下方への突出部51cが設けられ、シフトレバー3がDレンジ側からMレンジ側へ操作されたときに、シフトピン21が該突出部51cに当接すると共に、このカム部材51は上記中央ストッパ部45によって後方への揺動が規制されているから、シフトレバー3のMレンジ側への操作が阻止されるようになっている。
【0058】
そして、シフトピン21が押し下げられたときに、該シフトピン21と上記第1カム部材51の突出部51cとの当接が回避されて、シフトレバー3のMレンジ側への操作が許容されるようになっており、また、このMレンジ位置でシフトピン21の押し下げ操作を解除すれば、該シフトピン21は中央ストッパ部45により互いに接近する方向への揺動が規制された第1,第2カム部材51,52の間の間隙内に進入し、シフトピン21がこの間隙内に位置する状態が、シフトレバー3のMレンジ内における中立位置とされている。
【0059】
そして、シフトレバー3がこの位置から前方に操作されると、シフトピン21を介して前側の第1カム部材51がツルマキバネ55に抗して前方(反B方向)へ揺動されると共に、該カム部材51は前方へ所定量揺動した位置で、ガイドプレート41の前側の厚肉部42の後面に設けられた前側ストッパ部42dに当接し、この位置でシフトレバー3のMレンジ位置内での前方への操作が規制されるようになっている。
【0060】
また、シフトレバー3が中立位置から後方に操作されると、シフトピン21を介して後側の第2カム部材52が同じくツルマキバネ55に抗して後方(反C方向)へ揺動されると共に、該カム部材52も後方へ所定量揺動した位置で、ガイドプレート41の後側の厚肉部43の前面に設けられた後側ストッパ部43dに当接し、この位置でシフトレバー3のMレンジ位置内での後方への操作が規制されるようになっている。そして、このシフトレバー3の前後の操作規制位置が、Mレンジ内でのシフトアップ位置及びシフトダウン位置とされている。
【0061】
さらに、図8に示すように、一対のカム部材51,52のガイドプレート41側の面には棒状のスイッチ操作部51d,52dがそれぞれ突設され、その先端部がガイドプレート41に設けられた長穴46,47を貫通して該プレート41の背面側に突出している。そして、このガイドプレート41の背面に、シフトレバー3のシフトアップ位置及びシフトダウン位置への操作を検出する前述のシフトアップスイッチ53及びシフトダウンスイッチ54が前後に取り付けられており、シフトレバー3のシフトアップ位置への操作により第1カム部材51が前方へ揺動されたときには、該カム部材51のスイッチ操作部51dの先端がシフトアップスイッチ53の接片53aを押圧して該スイッチ53をONし、シフトレバー3のシフトダウン位置への操作により第2カム部材52が後方へ揺動されたときには、該カム部材52のスイッチ操作部52dの先端がシフトダウンスイッチ54の接片54aを押圧して、該スイッチ54をONするようになっている。
【0062】
次に、この変速操作入力装置1の作用を説明する。
【0063】
シフトレバー3の上端の操作部3cに備えられた規制解除ボタン3dを押していないときは、該シフトレバー3の下部に設けられたシフトピン21は長穴3f,3fの上方に位置する。この状態では、図7に示すように、Dレンジ位置とNレンジ位置との間ではシフトピン21の移動が規制されないので、シフトレバー3をこれらのレンジ間で自由に操作することができるが、NレンジからRレンジへは、シフトピン21がガイドプレート41における厚肉部42の第3規制面42cに当接することによりシフトレバー3の操作が規制される。また、シフトレバー3がPレンジ位置にあるときも、シフトピン21が上記ガイドプレート41の厚肉部42における第1規制面42aに当接してRレンジやDレンジ側への操作が規制される。
【0064】
また、規制解除ボタン3dを半ば押し込んだ状態では、シフトピン21が長穴3f,3fの中間位置まで押し下げられ、Nレンジ位置からRレンジ側への操作が可能となるが、この状態ではシフトピン21が第2規制面42bに当接するので、Rレンジ位置からPレンジ位置への操作は規制される。そして、上記規制解除ボタン3dをさらに押し込んでシフトピン21を長穴3f,3fの下部まで移動させれば、上記Rレンジ位置からPレンジ位置への操作及びPレンジ位置からRレンジ側への操作も可能となる。
【0065】
一方、シフトピン21が長穴3f,3fの上部に位置する状態では、Dレンジ側からMレンジ側へシフトレバー3を操作したときに、該シフトピン21が前側の第1カム部材51における下方への突出部51cに当接すると共に、このカム部材51はガイドプレート41に設けられた中央ストッパ部45に当接して後方への揺動が阻止されているから、シフトレバー3のMレンジ側への操作が阻止されることになる。これにより、Nレンジ等の前方に位置するレンジからDレンジへの操作時に、シフトレバー3が誤ってMレンジまで操作される、といった誤操作が防止されることになる。
【0066】
そして、Dレンジにおいて規制解除ボタン3dを押し込み操作してシフトピン21を押し下げると、該シフトピン21と上記突出部51cとの当接が回避されるので、シフトレバー3のMレンジ側への操作が可能となる。
【0067】
また、このMレンジ位置で上記ボタン3dの押し込み操作を解除すれば、シフトピン21がツルマキバネ55により互いに接近する方向に付勢されている第1,第2カム部材51,52の間の間隙に進入し、この位置で両カム部材51,52間に保持されることにより、シフトレバー3がMレンジの中立位置に保持されることになる。
【0068】
そして、このときシフトピン21の上方への移動により該ピン21の左側の端部21aがMレンジスイッチ操作機構における操作レバー33の前端部33bを押し上げることにより、該レバー33が反A方向に揺動して、その後端部33aがMレンジスイッチ35をON操作することになり、このスイッチ35からのON信号により、当該自動変速機のコントロールユニットがMレンジに操作されたことを検知する。
【0069】
つまり、シフトレバー3のMレンジへの操作後、規制解除ボタン3dの押し込み操作を解除することにより、Mレンジ内でのシフトレバー3の操作による手動変速が可能な状態となり、したがって、シフトレバー3のMレンジへの操作のみで変速が可能となる場合のような、運転者の意図しない変速が行われるといった不都合が防止され、当該変速操作入力装置1ないし変速機としての信頼性が確保される。
【0070】
さらに、このMレンジ位置でシフトレバー3を上記の中立位置から前方のシフトアップ位置に操作すれば、前側の第1カム部材51が前方へ揺動して、該カム部材51の操作部51dがガイドプレート41の背面の前側に配置されたシフトアップスイッチ53をON操作し、逆に後方のシフトダウン位置に操作すれば、後側の第2カム部材52が後方へ揺動して、該カム部材52の操作部52dが同じくガイドプレート41の背面の後側に配置されたシフトダウンスイッチ54をON操作する。そして、これらのスイッチ53,54からの信号が上記コントロールユニットに入力されることにより、該コントロールユニットは変速段を1段、シフトアップまたはシフトダウンするように変速指令を出力する。
【0071】
そして、この場合においても、上記第1、第2のカム部材51,52が、規制解除ボタン3dの押し込み操作が解除されて上動したシフトピン21によって揺動されるようになっているので、例えばシフトレバー3をDレンジ側に戻そうとして、規制解除ボタン3dを押し込んだ状態では、シフトレバー3をいくら揺動しても変速が起こらず、したがって、運転者の意図しない変速が防止されて、当該変速操作入力装置1ないし変速機としての信頼性が確保される。
【0072】
ところで、上記のような構成の変速操作入力装置1によれば、Nレンジ等の前方に位置するレンジからDレンジへの操作時に、シフトレバー3が誤ってMレンジまで操作されることが防止されることになるが、その場合に、この誤操作は、Mレンジ内でシフトレバー3を中立位置に付勢する前側の第1カム部材51を介して、ガイドプレート41に設けられた中央ストッパ部45によって阻止されることになる。
【0073】
つまり、一般的には、シフトレバーのDレンジからMレンジへの誤操作を防止するためには、Mレンジ側への大きな操作力を受け止めるための十分な厚さを有する障壁部をシフトレバーのDレンジ位置とMレンジ位置との間に設けなければならず、そのため、Dレンジ位置とMレンジ位置との間隔が広くなり、ひいては当該装置の前後方向の寸法が増大することになるのであるが、上記のようにシフトレバー3の中立付勢用のカム部材51を利用してMレンジ側への誤操作を阻止するようにしたので、上記のような障壁部を設ける場合の前後方向の寸法の増大が回避される。
【0074】
また、Mレンジ側への操作力は最終的には十分な強度を有するガイドプレート41に受け止められるので、長期の使用にあっても、上記のような誤操作が確実に防止されると共に、この誤操作防止用にシフトレバー3の中立付勢用のカム部材51とそのストッパ部45とを用いるだけであるから、誤操作防止用の専用の部材を備えたり、ガイドプレートに専用の部分を設けたりする必要がなく、構造が簡素化されることになる。
【0075】
ここで、上記のように、Mレンジ位置への誤操作の防止にカム部材を用いれば、例えばガイドプレートに障壁部を設ける場合にも、Mレンジ位置への操作力を分担することができるので、その厚さを薄くでき、したがって、この場合も、障壁部のみで誤操作を防止する場合より、前後方向の寸法を短縮することができる。
【0076】
さらに、上記の構成によれば、一対のカム部材51,52はガイドプレート41における前後の厚肉部42,43の間の凹陥部44に収納された状態で支持されているから、ガイドプレート41の厚さや強度を確保しながら、カム部材51,52を含む中立付勢機構全体の幅方向の寸法を抑制することができ、当該装置1の幅方向寸法も短縮されることになる。
【0077】
そして、本来シフトピン21と協働してシフトレバー3の所定のレンジ間の操作を規制するためのガイドプレート41に上記カム部材51,52を支持させると共に、該ガイドプレート41の前側の厚肉部42の後面及び後側の厚肉部43の前面を利用して、一対のカム部材51,52の前方及び後方への揺動をそれぞれ所定範囲で規制するストッパ部42d,43dを構成したので、上記カム部材51,52の支持やその揺動の規制等をそれぞれ別部材によって行う場合より部品点数が少なくなると共に、構造が簡素化されることになり、また、このガイドプレート41自体が合成樹脂製のベース部材10に一体的に成形されているので、この点でも部品点数が少なくなる。
【0078】
さらに、一対のカム部材51,52によりシフトレバー3をMレンジ内の中立位置に付勢する際に、所定のレンジ間での操作を規制するためのシフトピン21を利用して付勢するようにしたから、カム部材51,52による中立位置への付勢力をシフトレバー3に伝達する部材と、該シフトレバー3の操作を規制する部材とが兼用されることになる。また、シフトレバー3を中立位置に付勢する一対のカム部材51,52により、シフトアップスイッチ53及びシフトダウンスイッチ54をそれぞれ操作するようにしたので、Mレンジ内でのシフトレバー3の操作に連動して上記スイッチ53,54を操作するための部材を別途設ける必要がなく、しかも、一対のカム部材51,52は1本のツルマキバネ55によりシフトレバー3を中立位置に保持するように付勢されるようになっており、これらの点でも部品点数が削減されて、当該変速操作入力装置1がきわめて簡素に構成されることになる。
【0079】
そして、上記の中立付勢用のカム部材51,52でシフトアップスイッチ53及びシフトダウンスイッチ54を操作するに際し、カム部材51,52をガイドプレート41のシフトレバー3側の面に配置する一方、上記スイッチ53,54はガイドプレート41の背面側に配置し、カム部材51,52に設けた操作部51d,52dを該プレート41を貫通させて背面側に突出させるように構成したから、上記スイッチ53,54がシフトレバー3の操作面外に配置されて該シフトレバー3の操作の邪魔になることがなくなり、しかも、上記のようにカム部材51,52によりシフトレバー3の操作に連動して確実に操作されることになる。
【0080】
また、上記シフトピン21はシフトレバー3の左右両側に突出し、Mレンジにおいては、一方の端部21aでMレンジスイッチ35をON操作すると共に、他方の端部21bで中立付勢用のカム部材51,52を介してシフトアップスイッチ53及びシフトダウンスイッチ54を操作するようになっているから、該シフトピン21には両端部に荷重が作用することになる。これにより、一端側にのみ荷重が作用する場合のシフトピン21のこじれ等が防止され、該シフトピン21の耐久性が向上して、良好な操作性が長期にわたって維持されることになる。
【0081】
なお、ここで、前述のカバー2及び該カバー2の開口部2aを閉鎖するスライドプレート5の構造について説明する。
【0082】
図3、図5に示すように、カバー2は上部カバー61と下部カバー62とで中空状に構成され、上部カバー61における開口部2aの一側方に前述の操作位置表示板4が取り付けられていると共に、その下方には該表示板4を下方から照明するランプ63が備えられている。そして、開口部2aの左右両側部に沿って上下のカバー61,62間に隙間が設けられ、この隙間にスライドプレート5の左右両側部が係合されていると共に、該プレート5の中央に設けられた穴5aにシフトレバー3のパイプ部材3aが挿通され、シフトレバー3の操作により該スライドプレート5が前後にスライドするようになっている。
【0083】
一方、図9に示すように、上記操作位置表示板4には、シフトレバー3の各選択レンジ位置応じて「P」、「R」、「N」、「D」、「M」の文字が付されていると共に、これらの文字の開口部2a側の側方には表示窓4p,4r,4n,4d,4mがそれぞれ設けられている。これらの表示窓のうち、「P」〜「D」の文字の側方に設けられた表示窓4p〜4dは前後一列に配列されているのに対し、「M」の側方に設けられた表示窓4mは、上記列に対して開口部2a側にオフセットされた位置に設けられている。
【0084】
また、スライドプレート5における操作位置表示板4側の側部には、前後方向の長さが長い第1段の突出部5bと、該突出部5bからさらに当該側方へ突出する前後方向の長さが短い第2段の突出部5cとが設けられて、これらの突出部5b,5cが例えば赤色等に着色されている。そして、第1段目の突出部5bが、左右方向の位置で、操作位置表示板4における「M」の文字の側方の表示窓4mの位置に対応し、第2段目の突出部5cが、「P」〜「D」の文字の側方に設けられた表示窓4p〜4dの列に対応位置するようになっている。
【0085】
したがって、シフトレバー3がMレンジに操作されているときには、そのレンジ内で該シフトレバー3が前後に操作されても、Mレンジ用の第1段目の突出部5bは前後方向に長いので、常に着色部が当該表示窓4mの全体に表示されている状態が維持されると共に、Mレンジ以外では、この第1段目の突出部5bは、他のレンジの表示窓4p〜4dの列に対してオフセットされているから、これらの表示窓4p〜4dに現れることはなく、これらの表示窓4p〜4dには第2段目の突出部5cが現れることになる。その場合に、この第2段目の突出部は前後方向の寸法が短いので、各窓4p〜4dの間隔が狭くても、2つの表示窓に同時に着色部が現れたりすることがない。
【0086】
次に、図10に示すMレンジスイッチ操作機構の他の構成例について説明すると、この例では、ベース部材10′に立設される支持プレート31′が該ベース部材10′に一体的に成形されていると共に、この支持プレート31′の前部に2つの長穴31a′,31a′が設けられ、これらの長穴31a′,31a′に操作部材33′に設けられた2つの突起33a′,33a′がそれぞれ係合されて、該操作部材33′が上下にスライド可能に支持されている。
【0087】
そして、この操作部材33′の前方に延びる係合部33b′が、Mレンジに操作されたシフトレバー3′におけるシフトピン21′の端部に係合され、該シフトピン21′が上方へ移動したときに、操作部材33′も上方へスライドされ、このとき、支持プレート31′の後部に取り付けられたMレンジスイッチ35′の接片35a′がON操作されるようになっている。したがって、この操作機構によっても、図6に示すものと同様に、Mレンジスイッチ35′が操作されることになる。
【0088】
そして、この図10の操作部材33′の係合部33b′の下面、又は図6の操作レバー33の前端部33bの下面に、例えば、図11に示すように、シフトピン21が係合するようなディテント凹部70を設けるようにしてもよい。このように構成することにより、運転者が真にMレンジにおいて手動変速を行なおうと意図してシフトピン21の押し下げ操作を解除したときに初めて該シフトピン21がこのディテント凹部70と係合することになり、シフトレバー3と揺動時用ディテント凹部70とが不必要に係合することが回避される。また、この場合、ディテント凹部70が、もともとMレンジスイッチ35を起動させるために備えられた操作部材33又は33’であるから、別途、このディテント凹部70を形成する部材を備える必要がなくなる。
【0089】
なお、この図11に示す例では、上記凹部70が操作部材33の中央部にのみ形成され、シフトレバー3が中立位置にあるときにシフトピン21がこのディテント凹部70に嵌り込んで、該中立位置から前後動されるときに操作感が得られるようになっているが、これに限らず、ディテント凹部をシフトアップ位置又はシフトダウン位置に対応する部位に設けても、また、中立位置とこれらのシフト位置に対応する全ての部位に設けてもよい。
【0101】
【発明の効果】
以上のように本願の第1発明によれば、Mレンジ内でのシフトレバー操作によって変速段を切り換える変速段切換手段が備えられ、この切換手段が、押し下げ操作が解除され、その結果、上記Mレンジと、自動変速を達成するDレンジとの間のシフトレバーの移動を規制する状態のピン部材を介して操作されるので、単に、運転者がシフトレバーをMレンジに移動させただけではなく、さらに、運転者がこのMレンジ内で手動変速操作を行なおうと意図してシフトレバーを該Mレンジ内にロックし、この状態でシフトレバーを操作したときに初めて手動変速が実現することになる。これにより、シフトレバーが誤ってMレンジに入っても、運転者がシフトレバーを該Mレンジ内にロックする操作をしなければ手動変速が起きず、運転者の意図しない手動変速の発生が回避されることになる。
【0102】
その場合に、DレンジとMレンジとの間に設けられた規制部とピン部材との協動によりシフトレバーのレンジ間移動が規制されることになる。
【0103】
そして、シフトレバーをMレンジ内において中立付勢する中立付勢部材に上記規制部が設けられているので、この規制部を別途DレンジとMレンジとの間に設ける場合に比べて部品点数を少なくすることができる。
【0104】
また、第2発明によれば、上記中立付勢部材がより具体化されて、シフトレバーは、同一軸に揺動可能に指示された一対の揺動部材によって揺動方向の両側から中立付勢されることになる。そして、その場合に、これらの揺動部材が、単一のバネ部材によってそれぞれシフトレバーの中立位置方向に付勢されているので、これらの揺動部材をそれぞれ専用のバネ部材で付勢する場合に比べて部品点数が少なくなると共に、さらに、この中立付勢部材を利用して、変速段切換手段をシフトアップ操作又はシフトダウン操作させるように構成したので、該切換手段を操作する部材を別途設ける場合に比べて部品点数が少なくなる。
【0105】
一方、第3発明によれば、中立付勢部材がシフトレバーのレンジ間移動を規制するガイドプレートにおけるシフトレバー側の面に設けられた凹陥部内に収容支持されているので、この中立付勢部材を支持するための部材を別途設ける必要がなくなって部品点数が少なくなると共に、シフトレバーと中立付勢部材との間の位置関係に誤差が少なくなってシフトレバーが中立付勢部材で正確に中立付勢されることになる。さらに、中立付勢部材がガイドプレートの凹陥部内に収容されているので、ガイドプレート全体の厚さないし強度を確保しながら、幅方向の寸法拡大が抑制されることになる。
【0106】
そして、第4発明によれば、上記ガイドプレートを利用して、中立付勢部材の中立付勢位置を決定する位置決め部を設けたので、この位置決め部を別途他の部材で構成する場合に比べて部品点数が少なくなる。
【0107】
さらに、第5発明によれば、上記ガイドプレートを利用して、中立付勢部材の動作を一定範囲内に規制する動作範囲規制部を設けたので、この動作範囲規制部を別途他の部材で構成する場合に比べて部品点数が少なくなる。
【0108】
また、第6発明によれば、上記ガイドプレートを合成樹脂の一体成形により構成したので、このガイドプレートに、中立付勢部材やシフトレバー等の支持部、中立付勢部材を収容する凹陥部、中立付勢部材の中立付勢位置を決定する位置決め部、及び中立付勢部材の動作範囲を規制する動作範囲規制部等を同時に形成することができ、相互の位置関係の誤差が低減されると共に、このガイドプレートの生産性が改善される。
【0109】
一方、第7発明によれば、変速段切換手段をシフトレバーの揺動面からオフセットして配置したうえで、シフトレバー操作と連動して揺動する揺動部材に突出部を設け、この突出部によって上記変速段切換手段が操作されるように構成したので、変速段切換手段がシフトレバーの操作面上になく、したがって両者の干渉が回避されて、シフトレバーを支障なく操作できることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る変速操作入力装置におけるシフトレバー及びその周辺の外観図である。
【図2】 同装置の平面図である。
【図3】 同じく側面図である。
【図4】 Mレンジ用ディテント凹部の拡大図である。
【図5】 図3のa−a線による断面図である。
【図6】 Mレンジスイッチ操作機構の拡大側面図である。
【図7】 図2のb−b線に沿ってみたガイドプレート及びその周辺の拡大側面図である。
【図8】 図6のc−c線に沿う断面図である。
【図9】 カバー及びスライドプレートを示す平面図である。
【図10】 Mレンジスイッチ操作機構の他の実施の形態を示す側面図である。
【図11】 Mレンジスイッチ操作機構内に手動変速用のディテント凹部を設けた例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 変速操作入力装置
3 シフトレバー
10 ベース部材
21 シフトピン
33 操作レバー
35 Mレンジスイッチ
41 ガイドプレート
51,52 カム部材
53 シフトアップスイッチ
54 シフトダウンスイッチ
Claims (7)
- 変速段を予め設定されている変速特性に基づいて自動で切り換える第1のレンジと手動で切り換える第2のレンジとを有する自動変速機の変速操作入力装置であって、第1レンジの選択位置と第2レンジの選択位置とを含む複数のレンジ選択位置が一列に配置されて、第2レンジ選択位置が第1レンジ選択位置に隣接して上記列の一端部に設けられ、且つ第2レンジ選択位置内におけるシフトレバーの上記列の方向と同じ方向への揺動操作によって変速段をシフトアップ又はシフトダウンさせる変速段切換手段が備えられていると共に、上記シフトレバーに、押し下げ操作されたときはシフトレバーの第1、第2のレンジ間移動を許容し、押し下げ操作が解除されたときにはシフトレバーの上記レンジ間移動を規制する規制部材が設けられ、上記第1レンジ選択位置と第2レンジ選択位置との間に、規制部材と協動してシフトレバーのレンジ間移動を規制する規制部が設けられ、上記変速段切換手段が、押し下げ操作が解除された規制部材を介して操作されると共に、シフトレバーを第2レンジ選択位置内において中立位置に付勢する中立付勢部材が備えられ、この中立付勢部材に、上記規制部が設けられていることを特徴とする自動変速機の変速操作入力装置。
- 中立付勢部材は、シフトレバーを揺動方向の両側から中立位置に付勢する一対の揺動部材からなり、これらの揺動部材が、同一軸に揺動可能に支持され、且つ単一のバネ部材によってそれぞれシフトレバーの中立位置方向に付勢されていると共に、該シフトレバーが手動変速操作されたときは、その操作に連動していずれか一方の揺動部材が揺動し、変速段切換手段をシフトアップ操作又はシフトダウン操作させることを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の変速操作入力装置。
- 規制部材と協動してシフトレバーのレンジ間移動を規制するガイドプレートが備えられ、中立付勢部材は、このガイドプレートにおけるシフトレバー側の面に設けられた凹陥部内に収容支持されていることを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の変速操作入力装置。
- ガイドプレートには、中立付勢部材の中立付勢位置を決定する位置決め部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の自動変速機の変速操作入力装置。
- ガイドプレートには、中立付勢部材の動作を一定範囲内に規制する動作範囲規制部が設けられていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の自動変速機の変速操作入力装置。
- ガイドプレートは、合成樹脂を一体成形したものであることを特徴とする請求項3ないし請求項5のいずれかに記載の自動変速機の変速操作入力装置。
- 第2レンジ選択位置内におけるシフトレバー操作に連動して該レバーの揺動面と平行な面内で揺動する揺動部材が備えられ、該揺動部材には、その揺動面と直交する方向で反シフトレバー側に突出する突出部が設けられていると共に、変速段切換手段は、上記シフトレバーの揺動面から所定量オフセットされて配置され、上記揺動部材の突出部によって変速段をシフトアップ又はシフトダウンさせるように操作されることを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の変速操作入力装置。
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