JP3724938B2 - 制振構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、建築物などが地震動などの影響を受けないようにする建築物などにおける制振構造の改良に関する。
【0002】
【従来技術とその問題点】
建築物などが地震動などの影響を受けないようにする建築物などにおける制振構造としては、従来から種々の提案があるが、その中で、建築物などが自ら積極的に耐震性を有するようにするとの提案がある。
【0003】
すなわち、たとえば、図7に原理的に示す制振構造にあっては、一対のブレース部材11,12で正面形状をほぼV字状とするように形成されて左右に配在の柱A1,A2と上下に配在の横架材B1,B2とで形成される四角面に配在されるブレース1と、このブレース1に一端が接続されて上下の横架材B1,B2の位相する左右方向たる横方向の振動を減衰するダンパ2とを有してなるとしている。
【0004】
ちなみに、し示するところでは、ブレース1が建築物の一階の壁面に配在される場合を例にしたことから、上方の横架材B1が梁とされるのに対して下方の横架材B2が地面側とみなされる土台とされているが、ブレース1が建築物の中間階の壁面に配在される場合には、下方の横架材B2も上方の横架材B1と同様に梁とされるのはもちろんである。
【0005】
ところで、上記のブレース1は、適宜の相関距離を有する上端、すなわち、各ブレース部材11,12の上端が上方の横架材B1に連設されるのに対して収斂する下端、すなわち、各ブレース部材11,12の結合する下端が下方の横架材B2に近隣されるとしている。
【0006】
そして、ダンパ2は、一端がブレース1の収斂する下端、すなわち、下方の横架材B2に近隣する下端に接続されると共に、他端が下方の横架材B2に一体に保持された支持台Cに接続されてなるとしている。
【0007】
それゆえ、この従来例とされる提案にあっては、地震動などで建築物において上下の横架材B1,B2が位相する左右方向たる横方向に振動することになるとき、すなわち、図7中に矢印で示すように、下方の横架材B2が横方向に水平振動するときに、この振動をダンパ2が減衰して上方の横架材B2に伝播させないことが可能になる。
【0008】
その結果、建築物などが自ら積極的に耐震性を有することになり、建築物などが地震動などからの振動の影響を受けないことになると言い得る。
【0009】
しかしながら、上記した提案にあっては、下方の横架材B2に作用する水平振動が大きな振幅の場合には、ダンパ2による効果的な減衰作用を期待できるが、下方の横架材B2に作用する水平振動が小さな振幅の場合には、ダンパ2による効果的な減衰作用を期待できなくなる危惧がある。
【0010】
すなわち、上記したダンパ2を含めて、およそダンパにあっては、微小なストロークでの伸縮の際には、作動油の多量の流れが誘発されないためと作動油の圧縮性のとで、十分な大きさの減衰力の発生を期待できない特性がある。
【0011】
それゆえ、上記した従来提案としての制振構造にあっては、たとえば、地震動などに起因する建築物などにおける微幅の水平振動を減衰できなくなり、建築物など内の居住者などに不快感を与えたり、家具などの置物が微振動したりすることになる危惧がある。
【0012】
この発明は、上記した事情を鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、建築物などが地震動などに起因する微幅の水平振動の影響を受けないようにするのはもちろんのこと、その汎用性の向上を期待するのに最適となる制振構造を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、この発明の構成を、基本的には、一対のブレース部材で正面形状をほぼV字状とするように形成されて左右に配在の柱と上下に配在の横架材とで形成される四角面に配在されると共に適宜の相関距離を有する一対のブレース部材の上端が上方の横架材に連設されるのに対して収斂する下端が下方の横架材に近隣されるブレースと、このブレースに一端が接続されて上下の横架材の位相する左右方向たる横方向の振動を減衰するダンパとを有してなる制振構造において、下端が下方の横架材に連結されると共に上端が上方に延在される状態でブレースの下端に枢着部が枢着されてこの枢着部を中心にして上端の左右方向たる横方向への揺動が可能とされる揺動部材を有してなり、ダンパの一端が揺動部材の上端に接続されると共にダンパの他端がブレースを形成する一方のブレース部材に接続されてなり、かつ、揺動部材のブレースに対する枢着部とダンパの一端に対する接続部との距離が上記の枢着部と下方の横架材に対する連結部との距離より大きくなるように設定されてなるとする。
【0014】
それゆえ、下方の横架材に作用する微幅の水平振動が揺動部材によって大きな振幅に拡大されてダンパに伝播されることになり、したがって、ダンパが大きいストロークで伸縮されて、十分な大きさの減衰力を発生し、所定の減衰作用をすることになる。
【0015】
そして、下方の横架材に作用する水平振動の振幅が大きくなる場合には、ダンパが最伸縮されて言わば棒状になり、その結果、この制振構造が単なるブレースを有するのみと同様になり、下方の横架材に作用する水平振動に対して建築物自体が耐震性を具有することになる。
【0016】
そして、上記の構成において、より具体的には、揺動部材の下端がこの揺動部材の前後方向の揺動を許容する球面構造下に下方の横架材に連結されてなると共に、揺動部材における枢着部がこの揺動部材の前後方向の揺動を許容する球面構造に設定されてなるとするのが好ましい。
【0017】
これによって、上下に配在の横架材が位相する前後方向に水平振動することになるときに、ブレースおよび揺動部材に無理な応力を発生させないようにすることが可能になり、このブレースおよび揺動部材における変形が招来されることを阻止できることになる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、図示したところに基づいて、この発明を説明するが、図1に原理的に示すように、この発明による制振構造は、ブレース1と、ダンパ2と、揺動部材3とを有してなる。
【0019】
そして、図1中に矢印で示すように、下方の横架材B2が左右方向となる横方向に水平振動するときに、この水平振動の振幅を揺動部材3が拡大してダンパ2に伝達し、したがって、ダンパ2が大きなストロークで伸縮して大きい減衰力を発生し得るように設定されてなるとしている。
【0020】
なお、この制振構造は、図2に示すように、建築物が複数階建てとされる場合には、各階の壁面に配在されるのはもちろんのこと、いわゆる長手方向に直交などする方向たるいわゆる短手方向の壁面にも配在されるのが常態とされる。
【0021】
この制振構造について、以下に説明すると、まず、ブレース1は、図1に示すように、一対のブレース部材11,12で正面形状をほぼV字状とするように形成されて左右に配在の柱A1,A2と上下に配在の横架材B1,B2とで形成される四角面に配在されるように設定されている。
【0022】
このとき、ブレース1は、適宜の相関距離を有する上端、すなわち、各ブレース部材11,12の上端が上方の横架材B1に連設されるのに対して、収斂する下端、すなわち、各ブレース部材11,12の結合する下端が下方の横架材B2に近隣されるように配在されるとしている。
【0023】
つぎに、ダンパ2は、一端が後述する揺動部材3の上端に接続されると共に、他端が上記のブレース1を形成する一方のブレース部材12に接続されてなり、ブレース1に接続のシリンダ体21に対して揺動部材3に接続のロッド体22が出没する際に、すなわち、その伸縮時に所定の大きさの減衰力を発生するように設定されている。
【0024】
ちなみに、このダンパ2の構成については、所定の減衰作用を実現する限りにおいては、自由に設定されて良いことはもちろんである。
【0025】
さらに、揺動部材3は、上記の左右のブレース1の下半側の間に挟まれるような状態に配在されてなるもので、下端が下方の横架材B2に連結されると共に、上端が上方に延在される状態でブレース1の下端に枢着部Sが枢着されてこの枢着部Sを中心にして上端の左右方向たる横方向への揺動を可能とするように設定されている。
【0026】
そしてまた、この揺動部材3は、そのブレース1に対する枢着部Sとダンパ2の一端に対する接続部(符示せず)との距離L2が上記の枢着部Sと下方の横架材B2に対する連結部(符示せず)との距離L1より大きくなるように設定されてなるとする。
【0027】
このとき、距離L1と距離L2との関係についてだが、可能な限りに大きな倍率となるのが良く、その限りにおいてダンパ2を大きいストロークで伸縮させることが可能になり、効果的な減衰作用を期待できることになる。
【0028】
それゆえ、以上のように設定された制振構造にあっては、地震動などで建築物において上下の横架材B1,B2が位相する左右方向たる横方向に振動することになるとき、すなわち、図1中に矢印で示すように、下方の横架材B2が横方向に水平振動するときに、揺動部材3の下端が下方の横架材B2と共に横方向に同じ幅で水平振動することになる。
【0029】
そして、このときに、揺動部材3は、ブレース1に対する枢着部Sを回動中心にして上端を逆方向となる横方向に揺動することになるが、この揺動部材3において、ブレース1に対する枢着部Sとダンパ2の一端に対する接続部との距離L2が上記の枢着部Sと下方の横架材B2に対する連結部との距離L1より大きくなるように設定されてなるとするから、下方の横架材B2の微幅の水平振動の振幅を、すなわち、揺動部材3の下端の微幅の水平振動の振幅を揺動部材3の上端で大幅に拡大することになる。
【0030】
そしてまた、この振幅が拡大された揺動部材3の上端における揺動がダンパ2に伝播されることになり、したがって、ダンパ2は、大きいストロークで伸縮されることなって、所定の大きい減衰力を発生することになり、その結果、地震動などに起因する建築物などにおける微幅の水平振動が減衰されることになる。
【0031】
一方、下方の横架材B2に作用する水平振動の振幅が大きい場合には、ダンパ2の伸縮ストロークが最大になり、したがって、ダンパ2は、最伸縮されて言わば棒状になり、その結果、この制振構造が一対のブレース材11,12からなる単なるブレース1を有するのみと同様になり、この限りにおいて、下方の横架材B2に作用する水平振動に対して建築物自体が耐震性を具有することになる。
【0032】
その結果、下方の横架材B2に作用する水平振動の振幅が微幅の場合には、建築物などが地震動などからの水平振動の影響を受けないことになり、また、下方の横架材B2に作用する水平振動の振幅が大きくなる場合には、建築物などが自ら積極的に耐震性を有することになり、したがって、建築物など内の居住者などに不快感を与えたり、家具などの置物が微振動したりすることを阻止し得ることになる。
【0033】
また、この制振構造にあっては、ブレース1を構成する一対のブレース材11,12が前記した図7に示す従来例における一対のブレース材11,12に比較すればその拡開角度を小さくして、ブレース1を言わば細幅にするように設定することで、この制振構造全体をコンパクト化し得ることになり、したがって、この制振構造が壁面に配在される場合に、いたずらな面積の占有がなく、壁面に、たとえば、出入り口や窓などの開口部を形成する場合の妨げになる可能性を少なくすることにもなる。
【0034】
以上のように設定されたこの発明による制振構造は、たとえば、図3に示すように具体化されるが、これについて少し説明すると、まず、ブレース1を形成する一対のブレース材11,12は、H型鋼などの型材からなり、図3中で左右方向となる横方向への外力作用に対して変形しないなどの所定の機械的強度を有するように形成されている。
【0035】
そして、図示しないブレース材11,12の上端、すなわち、ブレース1の上端は、ブラケットの配在下などで溶接などによって上方の横架材B1に固定状態に連設されるとしており、各ブレース材11,12の収斂する下端は、溶接などによって連結プレート13に固定状態に連設されて一体化され、この連結プレート13がブレース1の下端を構成するとしている。
【0036】
なお、各ブレース材11,12の収斂する下端間には、連結プレート13に溶接などによって固定状態に連設された補強リブ14が同じく溶接などによって固定状態に連設されているが、所定の機械的強度が保障されるのであれば、この補強リブ14の配設が省略されても良いことはもちろんである。
【0037】
上記の連結プレート13は、揺動部材3を枢着させる連結ブラケット15を有しており、この連結ブラケット15には揺動部材3の中間部を枢支させる枢着ピン16が装着されるとしているが、この枢着ピン16については後述する。
【0038】
連結ブラケット15は、図示する実施の形態では、図4および図5に示すように、取付フランジ15aを有しており、この取付フランジ15aがナット15bの利用で連結プレート13に固定状態に連結結されている。
【0039】
ところで、図示する実施の形態のブレース1は、前記した図7に示す従来の制振構造におけるブレース1と比較すると、言わば細幅になるように形成されてなるとしているが、このように形成することで、各ブレース材11,12における絶対長さが従来例の場合より短くなり、したがって、重量やコストの低減が可能になる点で有利となる。
【0040】
ただ、このように細幅に形成すると、横方向からの外力作用に弱くなる傾向があるから、図示する実施の形態では、各ブレース材11,12の上端側が上方の横架材B1に固定状態に連設される補強ブラケット17によって補強されるとしている(図1参照)。
【0041】
もっとも、この補強ブラケット17でブレース1を補強する場合には、逆に言えば、各ブレース材11,12を特注品でなく、JIS規格品などの汎用の型鋼を利用して形成することが可能になり、その限りにおいては、この制振構造における生産性の向上を期待でき、また、全体コストの低減を図れる利点がある。
【0042】
なお、各ブレース材11,12の上端側において、所定の機械的強度が保障されるのであれば、この補強ブラケット17の配設が省略されても良いことはもちろんである。
【0043】
つぎに、揺動部材3は、下端が下方の横架材B2に連結されてこの下方の横架材B2における水平振動を伝播させるためには、いわゆる下端側が枢支されていて、上端側が揺動可能なように形成されていればその形状が特定される必要はないが、下端側の水平振動を増幅してダンパ2を作動させることを考慮すると、所定の機械的強度を有するように形成されることが肝要となる。
【0044】
そこで、図示する実施の形態では、図3に示すように、上端部分を除いて全体に広幅に形成して変形を防止し得るようにする一方で、いわゆる収容スペースの関係からダンパ2との干渉を避けるように上端部分を徐々に細幅にすると共に曲げるように形成するとしている。
【0045】
ところで、この揺動部材3の下端は、下方の横架材B2に連結されるとしているが、その連結の際に揺動部材3の左右方向の揺動を実現可能にする限りには、その連結態様は自由に選択されて良い。
【0046】
ただ、この実施の形態にあっては、後述するように、揺動部材3は、左右方向だけでなく前後方向の揺動をも許容するように設定されるとすることから、図5に示すように、球面構造下に連結されてなるとしている。
【0047】
少し説明すると、まず、揺動部材3の下端は、図3および図4に示すように、浅い角U字状に形成された保持フレーム31に嵌装されてなると共に、図5に示すように、この保持フレーム31に連結ピン32の螺合部32aが螺合されてロックナット31aの利用で定着されている。
【0048】
そして、この連結ピン32における球部32bが下方の横架材B2に、たとえば、図5中に略示するように、ボルト利用で定着される基台33に保持されてなるとしている。
【0049】
それゆえ、この連結ピン32にあっては、揺動部材3の左右方向の揺動だけでなく、前後方向の揺動をも可能にすることになり、たとえば、この制振構造が前記した図2に示すように配在されるとする場合に、図2中に矢印で示す方向に建築物が水平振動するときに、いわゆる直交する方向に配在されている制振構造におけるブレース1に枢着の揺動部材3が前後方向に倒れるようになることが許容されることになり、この揺動部材3およびブレース1の変形を阻止し得ることになる。
【0050】
なお、上記の基台33は、図示するところでは、あらかじめ半割態様に形成されていて、連結ピン32における球部32bを把持した状態下に図示しないボルト利用で固定化され、その状態で下方の横架材B2に定着されるように形成されていて、この制振構造のいわゆる取り付けおよび取り外しの各作業を容易にするよう配慮しているが、基本的には、自由な態様に形成されて良いのはもちろんである。
【0051】
一方、揺動部材3の下端は、図4に示すように、いわゆる割り構造に形成されていて、ボルト34の螺合で前記した枢着ピン16を安定状態に保持し得るように配慮されている。
【0052】
そして、この揺動部材3の下端は、前述したように、浅い角U字状に形成された保持フレーム31に嵌装されてなるとしているが、その際に、図4中に略示するように、この保持フレーム31の外側からのボルトの螺合で一体化が図られるとして、この保持フレーム31からの揺動部材3の下端の脱落を阻止するとしている。
【0053】
上記の枢着ピン16は、その本質的な機能からすれば、揺動部材3の左右方向の揺動を可能にするように単なるピンで形成されていても足りるが、前述したように、この実施の形態にあっては、揺動部材3が左右方向だけでなく前後方向の揺動をも許容するように設定されるとすることから、図5に示すように、球面構造を形成するように設定されている。
【0054】
すなわち、枢着ピン16における中央球部16aは、前記した割り構造に形成の揺動部材3の下端がボルト34の螺合で締め付けられることで、所定位置に定着されるとしている。
【0055】
そして、枢着ピン16における両端部は、前記した連結ブラケット15を貫通して外側に突出する螺条部16bに設定されていて、この螺条部16bへのナット16cの螺合で、連結ブラケット15との一体化が図られるとしている。
【0056】
それゆえ、この枢着ピン16にあっても、前記した連結ピン32と同様に、揺動部材3の左右方向の揺動だけでなく、前後方向の揺動をも可能にすることになり、したがって、いわゆる直交する方向に配在されている制振構造におけるブレース1に枢着の揺動部材3が前後方向に倒れることを許容して、この揺動部材3およびブレース1の変形を阻止し得るこになる。
【0057】
そして、揺動部材3は、ピン32によって前後方向の揺動も許容されるように形成されているから、平常時は左右方向のみの揺動を許容するように形成されているのが好ましく、そのためには、ブレース1との間でいわゆるガイドを設けることが肝要となる。
【0058】
このガイドは、結果として、揺動部材3の平常時の左右方向の揺動を許容し、必要なときに、揺動部材3の前後方向の揺動を許容するように形成されていれば足りるが、図示する実施の形態では、図6に示すように形成されてなるとしている。
【0059】
すなわち、このガイドは、揺動部材3に開穿された透孔(符示せず)にいわゆる両方向からセットされる一対のガイドピン41と、この各ガイドピン41を背後から附勢する一対のばね42と、この各ばね42の後端を係止する一対のキャップ43と、各ばね42の後端を挿通させると共に各キャップ43を連設させる一対のガイドプレート44とを有してなる。
【0060】
そして、一対のガイドプレート44は、図3に示すように、ダンパ2に干渉せずして揺動部材3の上端側をいわゆる間に介在させることになる態様に配在されてブレース1に連設されている。
【0061】
ちなみに、詳しくは図示しないが、ダンパ2と揺動部材3の上端との接続部およびダンパ2とブレース1を形成するブレース部材12との接続部は、いわゆる球面構造下に接続されるとしている。
【0062】
それゆえ、このダンパ2と揺動部材3およびブレース部材12との間にあっては、揺動部材3が左右方向に揺動することになってもダンパ2の所定の伸縮作動が可能とされるのはもちろんのこと、たとえば、揺動部材が3が前後方向に揺動することになっても、このダンパ2がそれを妨げる傾向に作用しないことにもなる。
【0063】
なお、ダンパ2は、前述したように、その伸縮時に所定の大きさの減衰力を発生するように設定されていれば足り、したがって、その構成については、自由に設定されて良い。
【0064】
【発明の効果】
以上のように、この発明にあっては、地震動などで建築物において上下の横架材が位相する左右方向たる横方向に振動する場合に、下方の横架材の横方向の水平振動に呼応して、揺動部材の上端が同じ横方向に水平振動すると共に、このときに、揺動部材が下方の横架材における水平振動の振幅を拡大して上端に接続のダンパに伝播することになるから、ダンパは、下方の横架材における水平振動の振幅より大きい振幅となるストロークで伸縮されて所定の大きい減衰力を発生することになる。
【0065】
その結果、地震動などに起因する微幅の水平振動が下方の横架材に作用する場合には、その微幅の水平振動がダンパで減衰されることになり、建築物など内の居住者などに不快感を与えたり、家具などの置物が微振動したりすることを阻止し得ることになる。
【0066】
また、下方の横架材に作用する水平振動の振幅が大きい場合には、ダンパの伸縮ストロークが最大になり、したがって、ダンパが最伸縮されて言わば棒状になり、その結果、この制振構造が一対のブレース材からなる単なるブレースを有するのみと同様になり、この限りにおいて、下方の横架材に作用する水平振動に対して建築物自体が耐震性を具有することになる。
【0067】
そして、この発明にあっては、揺動部材の左右方向への揺動だけでなく、前後方向への揺動も可能なように構成されるから、制振構造が本来の水平振動の減衰作用をしないときでも、外力作用で揺動部材やブレースが変形などすることを防止し得ることになる。
【0068】
そして、この発明の実施の形態による場合には、制振構造を構成するブレースを細幅に設定し得るから、制振構造自体をコンパクトに形成でき、したがって、この制振構造が壁面に配在される場合でも、いたずらな面積の占有がなく、壁面に、たとえば、出入り口や窓などの開口部を形成する場合の妨げになる可能性が少なくなる利点がある。
【0069】
また、ブレースを細幅に形成する場合には、各ブレース材における絶対長さが従来例の場合より短くなり、したがって、重量やコストの低減が可能になる点で有利となる。
【0070】
さらに、ブレースを適宜に補強する場合には、各ブレース材を特注品でなく、JIS規格品などの汎用の型鋼を利用して形成することが可能になり、その限りにおいては、この制振構造における生産性の向上を期待でき、また、全体コストの低減を図れる利点がある。
【0071】
その結果、この発明によれば、建築物などが地震動などに起因する微幅の水平振動の影響を受けないようにするのはもちろんのこと、その汎用性の向上を期待するのに最適となる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態による制振構造を原理的に示す正面図である。
【図2】図1に示す制振構造が複数階の建築物の壁面に配在されている状態を示す概略図である。
【図3】図1に示す制振構造における下半側を具体化した一実施の形態を示す部分正面図である。
【図4】図3における下端部分を拡大して示す部分正面である。
【図5】図4中のY−Y線で示す縦断面図である。
【図6】揺動部材に対するガイドを示す部分縦断面図である。
【図7】従来の制振構造を図1と同様に示す図である。
【符号の説明】
1 ブレース
2 ダンパ
3 揺動部材
11,12 ブレース部材
16 球面構造を構成する枢着ピン
32 球面構造を構成する連結ピン
A1,A2 柱
B1,B2 横架材
S 枢着部

Claims (2)

  1. 一対のブレース部材で正面形状をほぼV字状とするように形成されて左右に配在の柱と上下に配在の横架材とで形成される四角面に配在されると共に適宜の相関距離を有する一対のブレース部材の上端が上方の横架材に連設されるのに対して収斂する下端が下方の横架材に近隣されるブレースと、このブレースに一端が接続されて上下の横架材の位相する左右方向たる横方向の振動を減衰するダンパとを有してなる制振構造において、下端が下方の横架材に連結されると共に上端が上方に延在される状態でブレースの下端に枢着部が枢着されてこの枢着部を中心にして上端の左右方向たる横方向への揺動が可能とされる揺動部材を有してなり、ダンパの一端が揺動部材の上端に接続されると共にダンパの他端がブレースを形成する一方のブレース部材に接続されてなり、かつ、揺動部材のブレースに対する枢着部とダンパの一端に対する接続部との距離が上記の枢着部と下方の横架材に対する連結部との距離より大きくなるように設定されてなることを特徴とする制振構造
  2. 揺動部材の下端がこの揺動部材の前後方向の揺動を許容する球面構造下に下方の横架材に連結されてなると共に、揺動部材における枢着部がこの揺動部材の前後方向の揺動を許容する球面構造に設定されてなる請求項1の制振構造
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