JP3724047B2 - プリント配線板用積層板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐湿耐熱性、信頼性等に優れるプリント配線板用積層板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の種類は、拡大の一途を辿っており、コンピューター関連ばかりでなく、自動制御機器、測定機器、通信機器、事務用機器なども、小型、軽量化が望まれている。これらの機器に用いられるプリント配線板は、4〜10層からなる多層プリント配線板が主流であり、高密度実装に対応するため、ファインパターン化とともに、板厚の薄形化が図られている。
【0003】
このプリント配線板に要求される特性には、耐湿耐熱性、信頼性が挙げられる。従って、プリント配線板用積層板に用いられる樹脂にも、高Tg、高耐熱性、低吸水性、高機械強度が必要である。この要求に対応するため、エポキシ樹脂の改良や、ポリイミド樹脂、イソシアネート樹脂、トリアジン環を有する樹脂などが使用されている。
【0004】
一般にプリント配線板用積層板は、紙、ガラス布、ガラス不織布、合成繊維の織布、不織布等の繊維質基材に熱硬化性樹脂ワニスを含浸し乾燥したプリプレグを所要枚数、銅箔等の金属箔とともに重ね合わせて、プレスにて熱圧成形されて製造される。
【0005】
プリント配線板用積層板の性能、特に耐湿耐熱性、信頼性を向上させるためには、使用する熱硬化性樹脂の性能を向上させなければならない。しかしながら、ポリイミド樹脂等の樹脂は、高性能であるが価格が高いため、使用できる範囲に限界がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高Tg、高耐湿耐熱性、高信頼性のプリント配線板用積層板を低コストで提供することを目的とする。
【0007】
本発明者らは、プリント配線板用樹脂として、低コストでありながら、高Tg、高耐熱性、低吸水性、高機械強度を有する樹脂としてジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂に着目して種々、研究開発を進めた。その結果、特定の構造を有するジヒドロベンゾオキサジン環を有する樹脂が電気特性、耐湿耐熱性、機械強度に優れ、プリント配線板用樹脂として有望であることを見出した。
【0008】
しかしながら、ジヒドロベンゾオキサジン環を有する樹脂は、難燃性、接着性がやや乏しく、プリント配線板用樹脂として十分であるとはいえない。また、硬化反応が比較的遅く、生産性が悪いといった問題点がある。
【0009】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、繊維質基材に熱硬化性樹脂を含有する熱硬化性樹脂組成物ワニスを含浸硬化してなる層と回路用金属層からなるプリント配線板用積層板において、熱硬化性樹脂組成物が(a)ジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂と(b)ハロゲン化化合物と(c)主鎖の構造単位の一部が構造単位同志で架橋した架橋エラストマーを含有する樹脂組成物であることを特徴とするプリント配線板用積層板を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の熱硬化性樹脂組成物に用いられるジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂としては、ジヒドロベンゾオキサジン環を有し、ジヒドロベンゾオキサジン環の開環重合反応により硬化する樹脂であれば特に限定されない。具体的には多価フェノール、ヒドロキシル基のオルト位の少なくとも一つが水素であるヒドロキシフェニル基又はヒドロキシフェニレン基を1分子中に合わせて2以上有する化合物(以下、多官能フェノール化合物という。)と、1級アミンとの混合物を、70℃以上に加熱したホルマリン等のホルムアルデヒド類中に添加して、70〜110℃、好ましくは、90〜100℃で、20分〜2時間反応させ、その後、120℃以下の温度で減圧乾燥することによって得られる。
【0012】
多官能フェノール化合物としては、カテコール、ヒドロキノン、レゾルシノール、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、p,p′−イソプロピリデンビフェノール、2,2−ビス[4−(4′−ヒドロキシフェノキシ)フェニル]プロパン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラック樹脂、レゾール樹脂、フェノール変性キシレン樹脂、アルキルフェノール樹脂、メラミンフェノール樹脂、フェノール変性ポリブタジエン等が挙げられる。これらは特に限定するものではないが架橋点となるヒドロキシル基のオルト位が無置換であるものが硬化特性の点で望ましく、そのため例えばフェノールノボラック樹脂の場合は、オルト率が小さく、比較的分子量の小さいいわゆるランダムノボラックを用いることが好ましい。
【0013】
1級アミンとしては具体的にはメチルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン、トルイジン、アニシジンなどの置換アニリン等が挙げられる。脂肪族アミンであると、得られた熱硬化性樹脂は硬化は速いが耐熱性に劣る。アニリンのような芳香族アミンであると、得られた熱硬化性樹脂を硬化させた硬化物の耐熱性はよいが硬化が遅くなる。
【0014】
ジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂のうちで、好ましくは、1分子中に下記式(A)で表される構造単位(A)及び下記式(B)で表される構造単位(B)を有し、各構造単位は直接に又は有機の基を介して結合しており、(A)/(B)のモル比が1/0.25〜1/9であり、1分子中の構造単位(A)の数をm、構造単位(B)の数をnとするとき、m≧1、n≧1かつ10≧m+n≧2である熱硬化性樹脂が用いられる。
【0015】
【化2】
(式中のR1はメチル基、シクロヘキシル基、フェニル基又は少なくとも1つの炭素数1〜3のアルキル基若しくはアルコキシル基で置換されたフェニル基であり、(A)及び(B)の芳香環の水素は(A)のヒドロキシル基のオルト位の一つを除き、炭素数1〜3のアルキル基若しくはアルコキシル基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。)
m、nが前記の範囲内にあり、構造単位(A)、(B)間があらかじめ適切な鎖長の基を介して安定な結合によって結合されていると硬化物の特性が良好となる。
【0016】
構造単位(A)と構造単位(B)とは直接に又は有機の基を介して結合している。有機の基としてはアルキレン基、2価の芳香族基が挙げられる。アルキレン基の例としては、炭素数5以上の長鎖のアルキレン基、−CR2H−(式中、R2は水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、フェニル基又は置換フェニル基である。)で表されるアルキリデン基が挙げられる。置換フェニル基の置換基としてはメチル基、メトキシ基、カルボキシル基が挙げられる。また、2価の芳香族基としてはフェニレン基、キシリレン基、トリレン基が挙げられる。上記の有機の基は各構造単位の間に2つ以上挿入されていてもよい。
【0017】
上記熱硬化性樹脂は、(A)/(B)のモル比が好ましくは、1/0.25〜1/9、更に好ましくは1/0.67〜1/9である。この範囲外であると、硬化性、機械強度、耐熱性が低下することがある。
【0018】
上記のジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂は、ヒドロキシル基のオルト位の少なくとも1つが水素であるヒドキシフェニレン基を1分子中に2以上有する化合物(以下、反応し得るヒドロキシフェニレン基を有する化合物という。)と、1級アミンとの混合物を、70℃以上に加熱したホルマリン等のホルムアルデヒド類中に添加して、70〜110℃、好ましくは、90〜100℃で、20分〜2時間反応させ、その後、120℃以下の温度で減圧乾燥することによって得られる。この反応においては、反応し得るヒドロキシフェニレン基を有する化合物のヒドロキシル基1モルに対し、1級アミンを0.2〜0.9モル及びホルムアルデヒド類を1級アミンの2倍モル以上用いることが肝要である。
【0019】
反応し得るヒドロキシフェニレン基を有する化合物としては、部分的にフェノール核を有する種々の化合物を用いることができる。具体的にはフェノールノボラック樹脂、レゾール樹脂、フェノール変性キシレン樹脂、キシリレン変性フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、メラミンフェノール樹脂、フェノール変性ポリブタジエン等が挙げられる。
【0020】
このジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂は、150℃以上、望ましくは170〜220℃に加熱することにより、触媒や硬化剤を用いないで、副生成物を生じることなく硬化する。
【0021】
本発明に用いられるジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂は2種類以上を組み合わせて用いることもできる。またこれらの熱硬化性樹脂を予め80〜180℃、好ましくは120〜160℃で処理することにより、その一部を予備重合させ成形時の硬化速度や溶融粘度を調節することもできる。
【0022】
本発明の熱硬化性樹脂組成物において(a)成分の熱硬化性樹脂に配合される(b)成分のハロゲン化化合物としては、難燃性を有するものであれば特に限定されないが、ジヒドロベンゾオキサジン環又はジヒドロベンゾオキサジン環が開環して生成するフェノール性水酸基と反応するエポキシ基などの官能基を有するものが好ましい。ハロゲンとしては臭素、塩素が好ましく用いられる。
【0023】
このハロゲン化化合物としては、デカブロモビフェニルオキサイド、テトラブロモビスフェノールA(TBA)、TBAエポキシオリゴマー、TBAポリカーボネートオリゴマー、パークロロシクロペンタデカン、クロレンド酸、塩素化パラフィン、臭素化エポキシ樹脂等がある。この中で、臭素化エポキシ樹脂、なかでもビスフェノールA型臭素化エポキシ樹脂が好ましい。これらのハロゲン化化合物は組成物総量中のハロゲン含有量が1〜30重量%となるように配合することが好ましい。
【0024】
臭素化エポキシ樹脂としては、エポキシ当量が好ましくは180〜5000、更に好ましくは200〜500で、臭素含有量が20〜60重量%、更に好ましくは40〜60重量%のものが好ましく用いられ、臭素含有量が組成物総量中、2〜20重量%となるように配合することが好ましい。
【0025】
このようなハロゲン化化合物を配合することにより、プリント配線板用樹脂組成物としての特性を維持しながら難燃性を確保することができる。
【0026】
ジヒドロベンゾオキサジン環を有する樹脂を用いたプリプレグは、プリプレグのBステージからの硬化反応に時間を要し、生産性に制約が生じ、また、溶融粘度が高いため、多層成形時に回路埋め込み性に不都合が発生する。そこで、ジヒドロベンゾオキサジン環又はジヒドロベンゾオキサジン環が開環して生成するフェノール性水酸基と反応し、粘度が低い化合物、例えばエポキシ樹脂等を配合することにより溶融粘度が低下し、硬化反応時間が短縮される。
【0027】
本発明において前記熱硬化性樹脂に配合される(c)成分である架橋エラストマーとしては、主鎖の構造単位の一部が構造単位同志で架橋した架橋エラストマーが用いられる。エラストマーの主鎖の構造単位同志を架橋する方法としては、主鎖の構造単位の一部に反応し得る官能基を導入したエラストマー同志をラジカル重合、イオン重合、縮合、重付加、付加縮合などにより架橋する各種の方法がある。
【0028】
黒化処理された銅箔面への接着強度には樹脂硬化物の靭性が重要な要素であり、十分な接着強度を得るためには、樹脂硬化物には極限強さとともに靭性が要求される。熱硬化性樹脂組成物に上記のような架橋エラストマーを配合することにより、樹脂組成物の硬化物物性を維持しながら、靭性を向上させ、黒化処理された銅箔面への接着強度を向上させることができる。
【0029】
架橋されるエラストマーの種類としては、アクリロニトリル−ポリブタジエン、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、酢酸ビニル系等のエラストマーが挙げられる。これらのエラストマーとしては、1種類のモノマーからなる単独重合体、2種類以上のモノマーからなるブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体及びこれらの混合物が挙げられる。これらのエラストマーのうち、特に好ましくは、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体エラストマーが用いられる。これらのエラストマーを上記のようにして架橋することにより架橋エラストマーが得られる。架橋エラストマーの粒子系は10nm〜0.2mmが好ましい。これら架橋構造を有するエラストマーはジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂と混合、硬化した際、粒子の凝集が起こらない限り、選択した粒子径をそのまま維持した海島型分散構造を容易に得ることができる。
【0030】
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体エラストマーについては、エラストマー主鎖にカルボキシル基等を導入し、縮合等により架橋したものが用いられる。
【0031】
架橋エラストマーの配合割合は、熱硬化性樹脂全体に対して、好ましくは0.1〜50重量%、更に好ましくは0.5〜5重量%である。0.1重量%未満では靭性を向上させることが難しくなり、50重量%を超えると機械特性が大幅に低下することがある。
【0032】
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、また、必要に応じてカップリング剤を配合することができる。ジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂は、銅箔ピール強度、特に多層化積層板での黒化処理された銅箔面への接着強度が低いという欠点があるが、樹脂ワニス中にカップリング剤を配合することにより樹脂特性を維持しながら、銅箔ピール強度を向上させることができる。カップリング剤としては、シランカップリング剤が好ましく、特に尿素シラン、フェニルアミノシランが良好である。配合量は樹脂組成物中、好ましくは0.1〜2重量%、更に好ましくは0.1〜0.5重量%である。
【0033】
また、本発明で用いられる熱硬化性樹脂組成物には、硬化反応をは早めるために、硬化剤、硬化促進剤を配合することができる。硬化剤、硬化促進剤は、少ない配合量で硬化時間を短縮し、硬化物の物性に影響を与えず、なおかつ、シェルフライフが長く維持できるものが用いられる。
【0034】
硬化剤としては、好ましくはノボラック樹脂、更に好ましくはフェノールノボラック樹脂が挙げられる。また、ジシアンジアミドも好ましく用いられる。硬化剤の配合量は樹脂組成物中、好ましくは0.1〜30重量%、更に好ましくは0.5〜15重量%である。
【0035】
硬化促進剤としては、好ましくはイミダゾール類、アミン類が挙げられる。配合量は樹脂組成物中、好ましくは0.1〜2重量%、更に好ましくは0.1〜0.5重量%である。
【0036】
また、上記組成物には必要に応じて、充填材、強化繊維、離型剤、着色剤、接着剤、相溶化剤等を添加することもできる。
【0037】
本発明の熱硬化性樹脂組成物を用いてプリプレグを製造するには、まず、樹脂組成物をメチルエチルケトン、2−エトキシエタノール、DMF、あるいはこれらの混合物等の溶媒に溶解させて熱硬化性樹脂組成物ワニスとする。この熱硬化性樹脂組成物ワニスを紙、ガラス布、ガラス不織布、合成繊維の織布、不織布等の繊維質基材に含浸し乾燥するとプリプレグが得られる。
【0038】
本発明のプリント配線板用積層板は、一般のプリント配線板用積層板と同様に上記のプリプレグと金属箔を所要枚数重ね、鏡板で挟み多段プレスにて熱圧成形することにより得られる。成形圧力は、10〜80kgf/cm2(0.1〜7.8MPa)で、温度は120〜250℃で行われ、好ましくは減圧下で行われる。
【0039】
【実施例】
以下、本発明の実施例及びその比較例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0040】
実施例1
(1)フェノールノボラック樹脂の合成
フェノール1.9kg、ホルマリン(37%水溶液)1.0kg、しゅう酸4gを5リットルフラスコに仕込み、還流温度で6時間反応させた。引き続き、内部を6666.1Pa以下に減圧して未反応のフェノール及び水を除去した。得られた樹脂は軟化点84℃(環球法)、3〜多核体/2核体比82/18(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるピーク面積比)であった。
【0041】
(2)ジヒドロベンゾオキサジン環の導入
上記により合成したフェノールノボラック樹脂1.70kg(ヒドロキシル基16mol相当)をアニリン0.93kg(10mol相当)と混合し80℃で5時間撹拌し、均一な混合溶液を調製した。5リットルフラスコ中に、ホルマリン1.62kgを仕込み90℃に加熱し、ここへノボラック/アニリン混合溶液を30分間かけて少しずつ添加した。添加終了後30分間、還流温度に保ち、然る後に100℃で2時間6666.1Pa以下に減圧して縮合水を除去し、反応し得るヒドロキシル基の71%がジヒドロベンゾオキサジン化された熱硬化性樹脂を得た(m=3、n=7)。
【0042】
なお、反応し得るヒドロキシル基量は下記のようにして算出したものである。
【0043】
上記(1)により合成したフェノールノボラック樹脂1.70kg(ヒドロキシル基16mol相当)をアニリン1.4kg(16mol相当)、ホルマリン2.59kgと同様に反応させ、反応し得るヒドロキシル基の全てにジヒドロベンゾオキサジン環が導入された熱硬化性樹脂を合成した。過剰のアニリンやホルマリンは乾燥中に除かれ、この熱硬化性樹脂の収量は3.34kgであった。これは、フェノールノボラック樹脂のヒドロキシル基のうち14molが反応し、ジヒドロベンゾオキサジン化したことを示している。
【0044】
このことから、上記(2)において得られた熱硬化性樹脂は、反応し得るヒドロキシル基の14molのうち10mol(=71%)がジヒドロベンゾオキサジン化したものであると推定される。
【0045】
(3)プリント配線板用基板の製造
上記合成した熱硬化性樹脂に対し、ビスフェノールA型臭素化エポキシ樹脂(エポキシ当量40、臭素含有量48重量%)、硬化剤としてジシアンジアミド、カップリング剤としてフェニルアミノシラン、架橋エラストマーとして、二重結合の一部を架橋させた、粒子径70nmのアクリロニトリル−ブタジエン共重合体(日本合成ゴム株式会社製商品名XER−91、アクリロニトリル含量20重量%)を表1に示す配合で、MEK、2−エトキシエタノール、DMFの混合溶媒(混合比6:2:2)で希釈したワニスを、厚み100μm、200μmのガラスクロスに含浸し、乾燥機にて溶媒を揮発させ、それぞれ樹脂分56重量%、42重量%のプリプレグを得た。
【0046】
この200μmのガラスクロスのプリプレグを4枚重ね、その外層に35μmの電解銅箔を積層し、ステンレス鏡板を用い、175℃、30kgf/cm2の条件で90分加熱加圧し、0.8mmの銅張積層板を得た。この銅張積層板に回路化加工(黒化処理)を行い、100μmのガラスクロスのプリプレグを上下に配置し、その外層に35μmの電解銅箔を積層し、ステンレス鏡板を用い、175℃、30kgf/cm2の条件で90分加熱加圧し、4層板を得た。この積層板の特性を他の実施例とともに表2に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
*1 120℃−水蒸気圧1.2気圧下で10時間処理後
*2 UL−94に準じる
*3 120℃−水蒸気圧1.2気圧下で処理し、260℃のはんだ槽に20秒浸漬したとき、異常を示さない処理時間
*4 穴径0.4mm、壁間0.3mmのスルーホール間に印加電圧50Vを加え、温度85℃、湿度85%の雰囲気下で処理し、絶縁抵抗値が108Ω以下となるまでの時間
*5 90度方向引き剥し
実施例2
(1)フェノールノボラック樹脂の合成
フェノール1.90kg、ホルマリン(37%水溶液)1.15kg、しゅう酸4gを5リットルフラスコに仕込み、実施例1と同様にしてフェノールノボラック樹脂を合成した。得られた樹脂は軟化点89℃(還球法)、3〜多核体/2核体比89/11(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるピーク面積比)であった。
【0049】
(2)ジヒドロベンゾオキサジン環の導入
以下実施例1と同様にしてジヒドロベンゾオキサジン環を導入した。得られた熱硬化性樹脂は、フェノールノボラック樹脂の反応し得るヒドロキシル基75%にジヒドロベンゾオキサジン環が導入されたものであった。
【0050】
(3)プリント配線板用基板の製造
実施例1と同様に銅張積層板を製造した。特性を表2に示す。
【0051】
実施例3
キシリレン変性フェノール樹脂(三井東圧化学株式会社製商品名ミレックスXL−225−3L)1.70kg(ヒドロキシル基10mol相当)、アニリン0.52kg(5.6mol)、ホルマリン0.91kgの配合で、実施例1と同様に、ジヒドロベンゾオキサジン環が導入された熱硬化性樹脂を合成した。
【0052】
更に、実施例1と同様に銅張積層板を製造した。特性を表2に示す。
【0053】
実施例4
アニリンに代えて、アニリン0.70kgとトルイジン0.27kgの混合物を用い、以下実施例1と同様にして、ジヒドロベンゾオキサジン環が導入された熱硬化性樹脂を得た。得られた熱硬化性樹脂は、フェノールノボラック樹脂の反応し得るヒドロキシル基の71%にジヒドロベンゾオキサジン環が導入されたものであった。
【0054】
更に、実施例1と同様に銅張積層板を製造した。特性を表2に示す。
【0055】
比較例1
実施例1と同様な熱硬化性樹脂に、エラストマーを添加せず、実施例1と同様な構成で銅張積層板を製造した。特性を表2に示す。
【0056】
比較例2
実施例1と同様な熱硬化性樹脂に、ビスフェノールA型臭素化エポキシ樹脂を添加せず、実施例1と同様な構成で銅張積層板を製造した。特性を表2に示す。
【0057】
【発明の効果】
本発明のプリント配線板用積層板は、難燃性を有し、高Tg、高耐湿耐熱性、高信頼性、高接着強度と優れた特性を有し、その工業的価値は極めて大である。
Claims (4)
- 繊維質基材に熱硬化性樹脂を含有する熱硬化性樹脂組成物ワニスを含浸硬化してなる層と回路用金属層からなるプリント配線板用積層板において、熱硬化性樹脂組成物が(a)ジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂と(b)ハロゲン化化合物と(c)主鎖の構造単位の一部が構造単位同志で架橋した架橋エラストマーを含有する樹脂組成物であることを特徴とするプリント配線板用積層板。
- 熱硬化性樹脂組成物に更に硬化促進剤及びカップリング剤が含有されている請求項1記載のプリント配線板用積層板。
- ジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂が1分子中に下記式(A)で表される構造単位(A)及び下記式(B)で表される構造単位(B)を有し、各構造単位は直接に又は有機の基を介して結合しており、(A)/(B)のモル比が1/0.25〜1/9であり、1分子中の構造単位(A)の数をm、構造単位(B)の数をnとするとき、m≧1、n≧1かつ10≧m+n≧2である熱硬化性樹脂である請求項1又は2記載のプリント配線板用積層板。
- 請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物のワニスを繊維基材に含浸してなるプリプレグ。
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