JP3722114B2 - エンジンのシリンダヘッド構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエンジンのシリンダヘッド構造に関し、エンジン本体の上部構造の改良の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車等の車両に搭載されるエンジンの本体上部は、主としてシリンダヘッドにより構成され、該シリンダヘッドには、吸気弁及び排気弁を開閉駆動させる動弁装置が備えられる。そして、該動弁装置として、吸気弁及び排気弁をタペットを介して駆動するタペット駆動式のものが知られている(特許文献1及び2参照)。
【0003】
特許文献1には、吸気弁及び排気弁をそれぞれシリンダ軸線に対して傾斜配置し、該吸気弁及び排気弁を、該弁上方に配置した吸気カムシャフト及び排気カムシャフトによりそれぞれ独立に駆動するDOHCエンジンが開示されている。吸気弁及び排気弁の各ステムエンドにタペットが当接し、カムシャフトが回転すると、上記タペットがカムで押し下げられて、吸気弁及び排気弁をリフトして開かせる。タペットは、シリンダヘッドに形成されたタペットホールに、上下に摺動自在に収容されている。タペットホールを構成する、該ホールの周囲の壁部は、タペットホール壁である。
【0004】
ここで上記エンジンは油冷式である。そのため、シリンダヘッドには、該シリンダヘッドに設けられたオイルチャンバー内に冷却用オイルを供給する冷却オイルギャラリが形成されている。また、シリンダヘッドには、上記動弁装置(より詳しくは、カムシャフトのジャーナル部を回転自在に支持するカムジャーナル支持部)を潤滑する潤滑オイルギャラリも形成されている。いずれのオイルギャラリも相互に平行に気筒列方向に延びる。特に、冷却オイルギャラリは、吸気弁と排気弁とのバルブ挟み角内にあるタペットホール壁の部分(換言すれば、タペットホール壁のうち、シリンダヘッド幅方向の中央側に位置する部分)において、気筒列方向に穿設されている。一方、潤滑オイルギャラリは、シリンダヘッド幅方向の側部側に位置するタペットホール壁の部分において、同じく気筒列方向に穿設されている。
【0005】
また、特許文献2にも、シリンダ軸線に対して傾斜配置した吸気弁及び排気弁を、該弁上方のカムシャフトによりタペットを介して駆動するタペット駆動式動弁装置を備えたエンジンが開示されている。このエンジンのタペットには、油圧作動式の可変動弁機構が組み込まれている。すなわち、タペットは、カムシャフトに設けられた小リフト量の低速カム及び大リフト量の高速カムにそれぞれ対応する低速タペットと高速タペットとに分割され、これらの分割タペットをエンジンの運転状態に応じて係合離脱させることにより、弁動作特性が低速時の小リフト特性と高速時の大リフト特性とに切り換えられる。
【0006】
そのため、シリンダヘッドには、上記可変動弁機構(より詳しくは、タペットホール内のタペット)へ作動油を供給するオイルギャラリが吸気側と排気側とに2本形成されている。これらのオイルギャラリも相互に平行に気筒列方向に延び、いずれも吸気弁と排気弁とのバルブ挟み角内にあるタペットホール壁の部分(シリンダヘッド幅方向の中央側に位置する部分)において、気筒列方向に穿設されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平7−139326号公報(図2、図4)
【特許文献2】
特開2002−54413号公報(図2〜図5)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、タペットがカムシャフトの軸心を中心に回転するカムによって下方に押し下げられる際、該カム(特にそのリフト部)と接触するタペットの頂面には、該カムの回転方向にタペットを引き摺ろうとする応力(摺動応力)が周期的に作用する。この応力は、タペットをシリンダヘッド幅方向に振動させる起振力となる。このとき、上記タペットを収容するタペットホール壁の剛性(特に、振動方向に一致するシリンダヘッド幅方向に位置する部分の剛性)が高いと、タペットの振動が該タペットホール壁からシリンダヘッドの側壁によく伝達され、該シリンダヘッド側壁が大きく膜振動し、最終的に、車体の振動や騒音となって車室内の乗員に少なからず伝わってしまう。
【0009】
この点、上記特許文献1に記載のシリンダヘッド構造では、冷却オイルギャラリも潤滑オイルギャラリも、いずれもタペットホールを挟んで、シリンダヘッド幅方向の中央側と側部側とに配置されているため、基本的に、シリンダヘッド幅方向におけるタペットホール壁の剛性が高くなる傾向がある。しかも、潤滑オイルギャラリが、タペットホール壁の上部に配置されているため、シリンダヘッド幅方向におけるタペットホール壁の上部の剛性が高くなる傾向がある。つまり、カムとタペット頂面との接触部に近く、タペットをシリンダヘッド幅方向に振動させようとする起振力の作用点に近い部位において、タペットホール壁の剛性が高くなっているのである。その結果、タペットホール壁がタペットの振動を吸収・減衰せずにそのままシリンダヘッド側壁によく伝達してしまうという不具合が免れない。
【0010】
また、上記特許文献2に記載のシリンダヘッド構造では、可変動弁機構へのオイルギャラリが、タペットホールよりも、シリンダヘッド幅方向の中央側に配置されているため、やはり基本的に、シリンダヘッド幅方向におけるタペットホール壁の剛性が高くなる傾向がある。しかも、上記オイルギャラリが、タペットホール壁の上部に配置されているため、特許文献1の場合と同様、シリンダヘッド幅方向におけるタペットホール壁の上部の剛性が高くなる傾向があり、やはりタペットホール壁がタペットの振動を吸収・減衰せずにそのままシリンダヘッド側壁によく伝達してしまうという不具合が免れない。
【0011】
そこで、本発明は、タペット駆動式の動弁装置を備えたエンジンのシリンダヘッド構造において、カムがタペット頂面を摺動することに起因する上記の振動の問題を抑制することを課題とする。以下、その他の課題を含め、本発明を詳しく説明する。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は次のように構成したことを特徴とする。
【0013】
まず、本願の請求項1に記載の発明は、シリンダ軸線に対して傾斜配置した吸気弁及び排気弁を、該弁上方に配置した吸気カムシャフト及び排気カムシャフトによりそれぞれタペットを介して駆動するタペット駆動式動弁装置を備えたエンジンのシリンダヘッドの構造であって、上記シリンダヘッドは、上記タペットを摺動自在に収容する複数のタペットホールと、これらのタペットホールのシリンダヘッド幅方向の中央側で気筒列方向に穿設された第1オイルギャラリと、これらのタペットホールのシリンダヘッド幅方向の側部側で同じく気筒列方向に穿設された第2オイルギャラリとを有すると共に、上記タペットホールを構成するタペットホール壁は、上部が、シリンダヘッド側壁が起立するシリンダヘッド上面より上方に突出し、該タペットホール壁とシリンダヘッド側壁との間に空隙が形成されており、かつ、上記第1、第2オイルギャラリは、タペットホールの下部において、タペットホール壁と一体に設けられ、カムとタペット頂面との接触部に潤滑油を供給するオイルジェット孔を、カムの回転方向に依存して定まる、該カムとタペット頂面との接触点の移動方向に対向する側から潤滑油を供給するように、上記第1又は第2オイルギャラリに連通して設けたことを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、タペット駆動式の動弁装置を備えたエンジンのシリンダヘッド構造において、タペットホール壁の上部がシリンダヘッド側壁が起立するシリンダヘッド上面より上方に突出することによって、タペットホール壁とシリンダヘッド側壁との間に空隙が形成される。そして、タペットホールを挟んでシリンダヘッド幅方向の中央側と側部側とに配置した第1オイルギャラリ及び第2オイルギャラリを、いずれもタペットホール壁の下部に配置したので、シリンダヘッド幅方向におけるタペットホール壁の上部の剛性が高くなる傾向が低減され、その結果、タペットホール壁がタペットの振動を吸収・減衰せずにそのままシリンダヘッド側壁によく伝達してしまうという不具合が抑制される。しかも、タペットホール壁とシリンダヘッド側壁との間の空隙によってタペットホール壁の上部は、タペットの振動を受けて、カムの回転方向(摺動方向)に撓み、これにより、タペットの振動は、タペットホール壁に吸収・減衰されて、シリンダヘッド側壁の大きな膜振動、ひいては車体の大きな振動や騒音の問題が抑制される。
【0015】
加えて、逆に、シリンダヘッド幅方向におけるタペットホール壁の下部の剛性が増すことになるから、タペットホール内を下降したタペットの横振れが抑制され、これにより、吸気弁及び排気弁のリフトが正確に行われる。
【0016】
さらに、この発明によれば、第1オイルギャラリ又は第2オイルギャラリを利用して、カムとタペット頂面との接触部(摺動接触部)を潤滑するオイルジェット孔を設けたから、上記潤滑を行うための専用のオイルギャラリを新たに設ける必要がなくなり、コスト削減が図られる。
【0017】
そして、カムとタペット頂面の摺動接触部が良好に潤滑される。すなわち、本発明者らの実験によると、カムのリフト部とタペット頂面の当り始めの位置が一番両者間の油膜が薄いことが見出される。そこで、第1又は第2オイルギャラリを利用して、カムとタペット頂面との接触部(摺動接触部)を強制潤滑するオイルジェット孔を設けるが、このとき、カムのリフト部がタペット頂面を摺動する方向と同じ方向側から潤滑油を供給してもカムに遮られて、上記当り始めの位置に十分な油膜は形成されない。そこで、カムのリフト部がタペット頂面を摺動する方向に対向する側から潤滑油を供給することによってカムとタペット頂面の摺動接触部が良好に潤滑される。
【0018】
次に、請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、オイルジェット孔は、吸気側及び排気側のうち、タペットの傾斜に依存して定まる、カムとタペット頂面との接触点が該タペット頂面上を下方から上方に移動する側にのみ設けたことを特徴とする。
【0019】
本発明に係るエンジンでは、吸気弁及び排気弁がシリンダ軸線に対して傾斜配置しているから、吸気カム及び排気カムとも同じ方向に回転していると、一方のカムでは、その回転方向において、オイルジェット孔側のタペット頂面が上方に位置し、他方のカムでは、逆に、下方に位置することになる。前者では、カムとタペット頂面との接触部(摺動接触点)が、該タペットの頂面上を、下方から上方に移動し、後者では、逆に、上方から下方に移動する。ここで、前者のオイルジェット孔はタペットよりも高い位置にある。該オイルジェット孔から噴射すると、これからカムとタペット頂面との接触点が移動しようとする側のタペット頂面の上部が潤滑される。よってこの高い位置にあるオイルジェット孔から上記摺動接触部全体に上方から良く行き渡り、該摺動接触部を良好に潤滑することが可能となる。
【0020】
特に、シリンダヘッドにオイル溜まりを備えている場合において、オイルジェット孔側のタペット頂面が上方に位置する側のカムに対して、上方のオイルジェット孔からの強制潤滑は重要度が高い。つまり、このタペット頂面の上部は、カムに遮られて、オイル溜まりに溜められたオイルが届かない。よって、そのように、オイル溜まりに溜められたオイルによる潤滑があまり期待できないタペット頂面の上部を上方のオイルジェット孔から強制潤滑することは、これから到来するカムとタペット頂面との接触点に、予め、油膜を形成することになり、潤滑効果が大となって重要度が高いのである。
【0021】
それゆえ、この発明では、カムとタペット頂面との接触点が該タペット頂面上を下方から上方に移動する側の第1又は第2オイルギャラリのみにオイルジェット孔を設け、上方からの強制潤滑を行うようにした。
【0022】
次に、請求項3に記載の発明は、上記請求項1または請求項2に記載の発明において、第1オイルギャラリを構成する第1オイルギャラリ壁は、シリンダヘッドにおける各気筒の中央部上方に立設された点火栓ホール壁又はインジェクタホール壁と、シリンダヘッドの端部及び各気筒間部に設けられたカムシャフト支持壁とを連結しながら気筒列方向に延び、第2オイルギャラリを構成する第2オイルギャラリ壁は、シリンダヘッド側壁と、各タペットホール壁のシリンダヘッド側壁側の部分とを連結しながら気筒列方向に延び、かつ、第2オイルギャラリの上方で、シリンダヘッド側壁と、各タペットホール壁との間にオイル溜まりが形成されていることを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、シリンダヘッド全体の剛性が高められる。すなわち、気筒列方向に延びる中空状の柱で形成する第1オイルギャラリ壁と、上下方向に立設し、シリンダヘッドの端部及び各気筒間部に並ぶ複数の点火栓ホール壁又はインジェクタホール壁と、シリンダヘッド幅方向に延び、気筒列方向に並ぶ複数のカムシャフト支持壁とが、相互に連結するから、それぞれ単独で剛性の高い部位同士が格子状につながることになる。
【0024】
また、気筒列方向に延びる中空状の柱で形成する第2オイルギャラリ壁と、上下方向に立設し、気筒列方向に延びるシリンダヘッド側壁と、上下方向に延び、気筒列方向に並ぶ複数のタペットホール壁とが、相互に連結するから、これによっても、それぞれ単独で剛性の高い部位同士が格子状につながることになる。したがって、シリンダヘッド全体に、剛性の高い部位同士をむすぶ格子構造が、縦・横・高さ方向に3次元的に形成されて、該シリンダヘッド全体の剛性が総合的に高められる。
【0025】
加えて、第2オイルギャラリ壁がタペットホール壁下部の剛性を増すので、第2オイルギャラリの上方で、上記シリンダヘッド側壁とタペットホール壁との間にオイルを溜めるための窪みを形成することができる。しかも、上記窪みを形成したことにより、タペットホール壁の上部において上方に突出する部分が多くなり、その結果、肉厚の薄い部分がタペットホール壁の上部において多くなり、これにより、シリンダヘッド幅方向におけるタペットホール壁の上部の剛性が低下して、請求項1に記載の発明の作用効果に加えて、車体の振動や騒音の問題がより一層抑制される。
【0026】
次に、請求項4に記載の発明は、上記請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明において、タペットは複数に分割され、該タペットに各分割タペットを運転状態に応じて係合離脱させる油圧作動式の可変動弁機構が組み込まれていると共に、第1オイルギャラリは、上記可変動弁機構への油圧供給路であり、第2オイルギャラリは、カムシャフトのジャーナル部を支持するカムジャーナル支持部への潤滑用油路であることを特徴とする。
【0027】
前述したように、油圧作動式可変動弁機構は、油圧が供給又は排出されることにより、例えばタペットに内蔵されたロックピンが進退移動して、分割タペット同士を連結(係合)又は解放(離脱)させるものである。この発明によれば、第1オイルギャラリ及び第2オイルギャラリの用途が特定され、第1オイルギャラリは、上記油圧作動式可変動弁機構に対する油圧(作動油)の供給路として用いられ、第2オイルギャラリは、カムジャーナル支持部を潤滑する潤滑油の供給路として用いられることになる。
【0028】
次に、請求項5に記載の発明は、上記請求項4に記載の発明において、分割タペットは、カムシャフトに設けられた小リフト量の低速カムに対応する低速タペットと、大リフト量の高速カムに対応する高速タペットとを含み、可変動弁機構は、上記低速タペットが作動する低速時の小リフト特性と、上記高速タペットが作動する高速時の大リフト特性とに切り換え可能であることを特徴とする。
【0029】
上記のような油圧作動式可変動弁機構において、分割タペットとして、大リフト量の高速カムに対応する高速タペットが含まれていると、該大リフト量の高速カムで該高速タペットの頂面が摺動されたときには、例えば通常リフト量のカムや低リフト量のカムで摺動された場合等に比べて、弁のリフト量が大きい分、弁をカムシャフト側に付勢するリターンスプリングの反力等が増大し、タペットに作用するカムの摺動応力がより大きくなり、結果的に、カムがタペット頂面を摺動することに起因する振動の問題がより深刻となる。よって、この発明では、そのようにカムがタペット頂面を摺動することに起因する振動の問題がより深刻となる場合に、該タペットの振動がタペットホール壁に吸収・減衰されて該振動が抑制されるという本発明の基本的な作用効果が特に有効に働くことになる。以下、実施の形態を通して、本発明をさらに詳しく説明する。
【0031】
【発明の実施の形態】
図1は、本実施の形態に係るエンジン1の本体上部の要部断面図である。図中、「IN」とあるのは吸気側を示し、「EX」とあるのは排気側を示す。このエンジン1の本体1aは、シリンダブロック2、シリンダヘッド3、及びヘッドカバー4によって全体形状が構成されている。このエンジン1はDOHCエンジンであり、タペット5…5駆動式の動弁装置6を備えている。すなわち、シリンダ2a軸線に対して傾斜配置された吸気弁7及び排気弁8は、該弁7,8上方に配置された吸気カムシャフト9及び排気カムシャフト10によって、タペット5,5を介して開閉駆動される。吸気カムシャフト9及び排気カムシャフト10は、シリンダブロック2下方に配置したクランクシャフト(図示せず)と連動してα方向に回転する。吸気弁7及び排気弁8の各ステムエンド11,11にタペット5,5が当接し、カムシャフト9,10が回転すると、上記タペット5,5が吸気カム12及び排気カム13で押し下げられて、吸気弁7及び排気弁8をリフトして開かせる。タペット5,5は、シリンダヘッド3に形成されたタペットホール14,14に、上下に摺動自在に収容されている。ここでタペットホール14を構成する該ホール14の周囲の壁部をタペットホール壁30(例えば図4参照)という。
【0032】
次に、上記タペット5の構成を図1及び図2を参照して説明する。図2は、図1の矢視アに沿う拡大断面図である。ここでは吸気側を例に取り説明するが、排気側も同様である。まず、カムシャフト9には、1つの弁7に対して、3枚のカム20,21,22が軸方向に並設されている(図2参照)。ここで「吸気カム12」や「排気カム13」という呼称は、これら3枚のカム20,21,22の総称とする。これらのカム20〜22のうち、両端のカム20,22同士はプロフィルが同一に設定され、中央のカム21はこれらとプロフィルが異なって設定されている。特に両端のカム20,22はリフト量が小さく、中央のカム21はリフト量が大きく設定されている。そして、タペット5は、上記2つの小リフト量のカム20,22と当接する当接面23,24をそれぞれ有する2つの低速タペット25,26と、上記大リフト量のカム21と当接する当接面27を有する1つの高速タペット28とに分割されている。ここで「タペット5」という呼称は、これら3つに分割されたタペット25,26,28の総称とする。
【0033】
低速タペット25,26の外周面及び高速タペット28の外周面はそれぞれタペットホール壁30の内周面に摺接し、タペット5の下部に吸気弁7のステムエンド11が当接している。ステムエンド11には、シリンダヘッド基部31(図1参照)との間に介装されたバルブスプリング32を受けるスプリング受け33や、該スプリング受け33とステムエンド11との連結を図るバルブコッタ34等の部材が備えられている。低速タペット25,26は、基本的には、タペットホール壁30に対接する円柱状の部材であるが、上面がタペット5の円筒中心軸を含んで径方向に切り欠かれて、径のほぼ3分の1の幅の溝部35が形成されている。これにより、低速タペット25,26の上面は、上記溝部35を挟んで概ね半円形状の二つの領域に分割され、それぞれタペット5の両端に位置して、各小リフト量カム20,22と当接する当接面23,24を提供する(この2つの低速タペット25,26同士の連結体を、便宜上、タペット本体36と称する)。
【0034】
この低速タペット25,26に対し、高速タペット28は、タペット5の往復運動方向に相対移動自在に設けられている。すなわち、高速タペット28は、タペット5の径方向に延びる細長い形状で、タペット本体36の溝部35に、しっくりと、かつ上下方向に摺動自在に嵌合されている。高速タペット28は、タペット本体36との間に介装されたスプリング37によって、常時、上方に付勢されている。高速タペット28の上面は、低速タペット25,26の二つの当接面23,24で挟まれてタペット5の径方向に延び、タペット5の中央に位置して、大リフト量カム21と当接する当接面27を提供する。高速タペット28は、図示しない規制部(例えば段部)により、該高速タペット28の当接面27の高さが低速タペット25,26の当接面23,24の高さを超えて上方に位置することが規制されている。
【0035】
次に、上記分割タペット25,26,28を運転状態に応じて係合離脱させて弁動作特性を変更する油圧作動式可変動弁機構40について説明する。この可変動弁機構40は、タペット5に内蔵されたロックピン41,42を有し、油圧が供給又は排出されることにより、該ロックピン41,42が進退移動して、低速タペット25,26及び高速タペット28同士を連結(係合)又は解放(離脱)させる機構である。
【0036】
すなわち、低速タペット25,26及び高速タペット28に、相互に軸心が一致するように横穴43,44,45が設けられ、該横穴44,45に、それぞれロックピン41,42が摺動自在に収容されている。低速タペット26の横穴45には、油口46及び油室47が形成され、該油口46を介して油室47に油圧が供給されると、該油圧により、低速タペット26のロックピン42が高速タペット28の横穴44に突入し、低速タペット26と高速タペット28とが係合する。同時に、高速タペット28のロックピン41が低速タペット26のロックピン42で押されて、もう一方の低速タペット25の横穴43に突入し、ここでも低速タペット25と高速タペット28とが係合する。このように、タペット5の軸心を挟んで、両側で、低速タペット25,26と高速タペット28との係合部が形成されることにより、2つの低速タペット25,26と1つの高速タペット28とがバランスよく一体化する。
【0037】
一方、上記油口46を介して油室47から油圧が排出されると、リターンスプリング48の付勢力により、両ロックピン41,42は、それぞれ高速タペット28の横穴44及び低速タペット26の横穴45に後退し、これにより、低速タペット25,26と高速タペット28とが分離し、別体となる。この状態では、高速タペット28が大リフト量カム21で押圧されても、その押圧力はスプリング37に吸収されるのみで、低速タペット25,26、つまりタペット本体36に伝達されない。したがって、タペット5及び弁7の動きは常に低速タペット25,26を押圧する小リフト量カム20,22によって支配される。
【0038】
一方、ロックピン41,42が低速タペット25,26と高速タペット28とを跨いで位置して、両者25,26及び28を一体に連結している状態では、高速タペット28が大リフト量カム21で押圧されたときには、その押圧力はロックピン41,42を介して低速タペット25,26、つまりタペット本体36に伝達される。このとき、低速タペット25,26を押圧する小リフト量カム20,22は、低速タペット25,26の当接面23,24から浮き上がる。したがって、タペット5及び弁7の動きは、高速タペット28を押圧する大リフト量カム21によって支配される。このようにして、この可変動弁機構40は、油圧の給排により、低速タペット25,26が作動する低速時の小リフト特性と、高速タペット28が作動する高速時の大リフト特性とが切換可能に構成されている。
【0039】
なお、後述するように、上記油口46は、タペットホール壁30に設けられた分岐油路76(図1参照)を介して、第1オイルギャラリ70に連通している。その場合に、図4に示したように、上下動するタペット5の上記油口46にいつでも油圧を供給できるように、上記油口46と常に接続し、分岐油路76が開口する長溝46aが、タペットホール壁30の内周面に上下に延びて形成されている。また、図2に示したように、タペット5の軸心周りの回転を規制する目的で、タペット5の外周面からボール部材49が突出し、またタペットホール壁30の内周面に該ボール部材49が嵌合する縦凹溝50が形成されている。
【0040】
次に、シリンダヘッド3の構成について図3〜図5を参照して説明する。本実施の形態のエンジン1は、1気筒あたり、2つの吸気ポートPin,Pin及び吸気弁7,7、並びに2つの排気ポートPex,Pex及び排気弁8,8が設けられた、4弁式の、4気筒16バルブエンジンである。シリンダヘッド3は、基部31と、該基部31のほぼ全周縁部から立設されて相互に連続する側壁部60(排気側の側壁部),61(吸気側の側壁部),62(背面側の側壁部)とを有する。
【0041】
シリンダヘッド3の幅方向の中央部に、複数の(図例では4つの)、点火栓ホール壁63…63が、各気筒に対応して、気筒列方向に並んで、立設されている。また、シリンダヘッド3の端部及び各気筒間部に複数の(図例では吸気側及び排気側にそれぞれ4つの)カムシャフト支持壁64…64が、シリンダヘッド3幅方向に延びて、気筒列方向に並んで、形成されている。ただし、このシリンダヘッド3は、カムシャフト9,10のジャーナル部65(図5参照)の下半分を回転自在に支持するカムジャーナル支持部材66…66が別体とされているので、上記カムシャフト支持壁64には、該カムジャーナル支持部材66の組付けに使用されるボルト穴67,67のみが形成されている。よって、カムシャフト支持壁64…64の高さは、このシリンダヘッド3単体の段階では、シリンダヘッド側壁部60,61,62の上端面と一致して、相対的に低いものである。
【0042】
また、このシリンダヘッド3には、シリンダヘッド3幅方向において、上記点火栓ホール壁63…63と側壁部60,61との間に位置し、かつ、気筒列方向において、上記カムシャフト支持壁64…64間に位置する、複数の(図例では吸気側及び排気側にそれぞれ8つの)、タペットホール14…14が、気筒列方向に並んで、形成されている。タペットホール14…14は、上記タペット5…5を摺動自在に収容して案内する。さらに、シリンダヘッド3は、タペットホール壁30…30と側壁部60,61との間に形成された空隙に凹成されたオイル溜まり68…68を有し、また、気筒列方向に延びるように穿設された複数のオイルギャラリ70,70,71,71を備える。
【0043】
シリンダヘッド3は、基部31を貫通してシリンダブロック2に突入するヘッドボルト72…72によりシリンダブロック2に組み付けられている(図5参照)。その場合に、ヘッドボルト72…72は、気筒の爆発応力を均等に受けてシリンダヘッド3をシリンダブロック2に安定に固定するために、各気筒の左側方又は右側方であって相隣接する気筒の略中間位置に配置されている。なお、このシリンダヘッド3では、上記ヘッドボルト72…72の位置と、上記カムジャーナル支持部材66…66の位置とが、上下に重なり合っているので、上記ヘッドボルト72…72の締め付け作業の容易のために、上記カムシャフト支持壁64…64には空所73…73が設けられている。それゆえ、カムジャーナル支持部材66…66は、上記空所73…73を跨いで、シリンダヘッド3(カムシャフト支持壁64…64)に組み付けられる(図5参照)。
【0044】
なお、ヘッドカバー4は、シリンダヘッド3の側壁部60,61,62の上端面、及び点火栓ホール壁63…63の上端面において、シリンダヘッド3に接し、組み付けられている(図1参照)。
【0045】
次に、オイルギャラリ70,70,71,71について詳しく説明する。シリンダヘッド3には、上記油圧作動式可変動弁機構40に油圧を供給する第1オイルギャラリ70,70(図例では吸気側及び排気側にそれぞれ1本づつ計2本)と、カムシャフト9,10のジャーナル部65,65を支持するカムジャーナル支持部74,74(図5参照)に潤滑油を供給する第2オイルギャラリ71,71(同じく吸気側及び排気側にそれぞれ1本づつ計2本)とが備えられている。図3において、シリンダヘッド3の左端の壁部に、シリンダヘッド3の外部の図示しない油圧源に接続される供給油路75が、シリンダヘッド3の幅方向に延びるように穿設されている(図4参照)。この供給油路75は、第2オイルギャラリ71,71と連通している。第2オイルギャラリ71,71の、図3における右端部は、閉ざされている。一方、第1オイルギャラリ70,70は、図3におけるシリンダヘッド3の左端の壁部において、そのまま開口し、シリンダヘッド3の外部の図示しない油圧源に接続されている。第1オイルギャラリ70,70の、図3における右端部もまた、閉ざされている。
【0046】
図4によく表れているように、第1オイルギャラリ70,70は、タペットホール14…14の下部において、これらのタペットホール14…14のシリンダヘッド3幅方向の中央側で、タペットホール壁30…30と一体に、気筒列方向に穿設されている。また、第1オイルギャラリ70,70は、各気筒の中央上方に立設された点火栓ホール壁63…63と、シリンダヘッド3の端部及び各気筒間部に設けられたカムシャフト支持壁64…64とを連結しながら、気筒列方向に延びている。そして、第1オイルギャラリ70,70には、前述した油圧作動式可変動弁機構40への分岐油路76,76が設けられている。さらに、図1、図3、図4、及び図6に示したように、吸気側の第1オイルギャラリ70,70の上方には、吸気カム9とタペット5の頂面との接触部(摺動接触部)を潤滑するための、ノズル77が立設されており、該ノズル77のオイルジェット孔78と第1オイルギャラリ70,70とを連絡するオイルジェット用の分岐油路79が形成されている。
【0047】
一方、第2オイルギャラリ71,71も、同じくタペットホール14…14の下部において、シリンダヘッド3の幅方向側部側に、タペットホール壁30…30と一体に、気筒列方向に穿設されている。また、第2オイルギャラリ71,71壁は、シリンダヘッド側壁部60,61と、各タペットホール壁30…30のシリンダヘッド側壁側の部分とを連結しながら、気筒列方向に延びている。そして、図5によく表れているように、第2オイルギャラリ71,71は、上記カムシャフト支持壁64…64の位置で、上方に分岐し、開口する、潤滑用の分岐油路80,80が形成されている。この分岐油路80,80は、カムシャフト支持壁64,64に組み付けられるカムジャーナル支持部材66,66に穿設された内部油路81,81に接続し、この内部油路81,81を介して、第2オイルギャラリ71,71から、カムジャーナル支持部74,74に、潤滑油が供給される。なお、上記オイル溜まり68,68は、第2オイルギャラリ71,71の上方に形成されている(図4参照)。
【0048】
図5に鎖線で示したように、各カムシャフト支持壁64,64には、前述したように、カムジャーナル支持部材66,66がそれぞれ締結される。そして、各カムジャーナル支持部材66,66には、カムキャップ82,82が組み付けられて、これにより、カムシャフト9,10を、そのジャーナル部65,65において回転自在に支持するカムジャーナル支持部74,74が構成される。
【0049】
次に、本実施の形態の作用について説明する。まず、タペット駆動式の動弁装置6を備えたこのエンジン1のシリンダヘッド3において、タペットホール壁30…30の上部がシリンダヘッド3側壁が起立するシリンダヘッド3上面より上方に突出することによって、タペットホール壁30…30とシリンダヘッド3側壁との間に空隙が形成される。タペットホール14…14を挟んでシリンダヘッド3幅方向の中央側と側部側とに配置した第1オイルギャラリ70,70及び第2オイルギャラリ71,71を、いずれもタペットホール壁30…30の下部に配置したので、シリンダヘッド3幅方向におけるタペットホール壁30…30の上部の剛性が高くなる傾向が低減され、その結果、タペットホール壁30…30がタペット5…5の振動を吸収・減衰せずに、そのままシリンダヘッド3側壁によく伝達してしまうという不具合が抑制される。しかも、タペットホール壁30…30とシリンダヘッド3側壁との間の空隙によって、タペットホール壁30…30の上部は、タペット5…5の振動を受けて、カム12,13の回転方向(摺動方向)に撓み、これにより、タペット5…5の振動は、タペットホール壁30…30に吸収・減衰されて、シリンダヘッド側壁60,61,62の大きな膜振動、ひいては車体の大きな振動や騒音の問題が抑制される。
【0050】
加えて、逆に、シリンダヘッド3幅方向におけるタペットホール壁30の下部の剛性が増すことになるから、タペットホール14内を下降したタペット5の横振れが抑制され、これにより、吸気弁7及び排気弁8のリフトが正確に行われる。
【0051】
次に、気筒列方向に延びる中空上の柱で形成する第1オイルギャラリ70,70と、上下方向に立設し、気筒列方向に並ぶ複数の点火栓ホール壁63…63と、シリンダヘッド3幅方向に延び、シリンダヘッド3の端部及び各気筒間部に設けられたカムシャフト支持壁64…64とが、相互に連結するから、それぞれ単独で剛性の高い部位同士が格子状につながることになる。また、気筒列方向に延びる中空状の柱で形成する第2オイルギャラリ71,71と、上下方向に立設し、気筒列方向に延びるシリンダヘッド側壁60,61と、上下方向に延び、気筒列方向に並ぶ複数のタペットホール壁30…30とが、相互に連結するから、これによっても、それぞれ単独で剛性の高い部位同士が格子状につながることになる。したがって、シリンダヘッド3全体に、剛性の高い部位同士をむすぶ格子構造が形成されて、該シリンダヘッド3全体の剛性が高められる。
【0052】
加えて、第2オイルギャラリ71,71の上方で、上記シリンダヘッド側壁60,61とタペットホール壁30との間にオイルを溜めるための窪み68…68を形成したから、タペットホール壁30…30の上部において上方に突出する部分が多くなり、その結果、肉厚の薄い部分がタペットホール壁30…30の上部において多くなり、これにより、シリンダヘッド3幅方向におけるタペットホール壁30…30の上部の剛性が低下して、車体の振動や騒音の問題がより一層抑制される。
【0053】
また、上記油圧作動式可変動弁機構40において、分割タペット5として、大リフト量の高速カム21に対応する高速タペット28が含まれているので、該大リフト量の高速カム21で該高速タペット28の頂面が摺動されたときには、小リフト量の低速カム20,22で低速タペット25,26の頂面が摺動された場合に比べて、弁7,8のリフト量が大きい分、弁7,8をカムシャフト9,10側に付勢するリターンスプリング32の反力が増大し、タペット5に作用するカム12の摺動応力がより大きくなり、結果的に、カム12がタペット5頂面を摺動することに起因する振動の問題がより深刻となる。よって、そのようにカム12がタペット5頂面を摺動することに起因する振動の問題がより深刻となる場合に、該タペット5の振動がタペットホール壁30に吸収・減衰されて該振動が抑制されるという作用効果が特に有効に働く。
【0054】
さらに、第1オイルギャラリ70を利用して、カム12とタペット5頂面との接触部23,24,27(摺動接触部)を潤滑するオイルジェット孔78を設けたから、上記潤滑を行うための専用のオイルギャラリを新たに設ける必要がなくなり、コスト削減が図られる。
【0055】
加えて、カム12,13とタペット5頂面の摺動接触部23,24,27が良好に潤滑される。すなわち、本発明者らの実験によると、カム12,13のリフト部とタペット5頂面の当り始めの位置が一番両者間の油膜が薄いことが見出される。そこで、第1又は第2オイルギャラリ70,70,71,71を利用して、カム12,13とタペット頂面との接触部(摺動接触部)23,24,27を強制潤滑するオイルジェット孔78を設けるが、このとき、カム12,13のリフト部がタペット5頂面を摺動する方向と同じ方向側から潤滑油を供給してもカム12,13に遮られて、上記当り始めの位置に十分な油膜は形成されない。そこで、カム12,13のリフト部がタペット5頂面を摺動する方向に対向する側から潤滑油を供給することによってカム12,13とタペット5頂面の摺動接触部23,24,27が良好に潤滑される。
【0056】
また、本発明に係るエンジン1では、吸気弁7及び排気弁8がシリンダ軸線に対して傾斜配置しているから、吸気カム12及び排気カム13とも同じ方向に回転していると、一方のカム12では、その回転方向において、オイルジェット孔78側のタペット頂面が上方に位置し、他方のカム13では、逆に、下方に位置することになる。前者では、カム12とタペット5頂面との接触部(摺動接触点)23,24,27が、該タペット5の頂面上を、下方から上方に移動し、後者では、逆に、上方から下方に移動する。ここで、前者のオイルジェット孔78はタペット5よりも高い位置にある。該オイルジェット孔78から噴射すると、これからカム12とタペット5頂面との接触点23,24,27が移動しようとする側のタペット5頂面の上部が潤滑される。よってこの高い位置にあるオイルジェット孔78から上記摺動接触部23,24,27全体に上方から良く行き渡り、該摺動接触部23,24,27を良好に潤滑することが可能となる。
【0057】
特に、シリンダヘッド3にオイル溜まり68…68が設けられている場合において、オイルジェット孔78側のタペット5頂面が上方に位置する側のカム12に対して、上方のオイルジェット孔78からの強制潤滑は重要度が高い。つまり、このタペット5頂面の上部は、カム12に遮られて、オイル溜まり68…68に溜められたオイルが届かない。よって、そのように、オイル溜まり68…68に溜められたオイルによる潤滑があまり期待できないタペット5頂面の上部を上方のオイルジェット孔78から強制潤滑することは、これから到来するカム12とタペット5頂面との接触点23,24,27に、予め、油膜を形成することになり、潤滑効果が大となって重要度が高いのである。
【0058】
それゆえ、このエンジン1では、カム12とタペット5頂面との接触点23,24,27が該タペット5頂面上を下方から上方に移動する側の第1オイルギャラリ70のみにオイルジェット孔78(ノズル77)を設け、上方からの強制潤滑を行うようにしたのである。
【0059】
なお、上記実施形態における点火栓ホール及び同ホール壁63…63に代えて、燃焼室に直接燃料を噴射するインジェクタ(燃料噴射弁)を組み付けるためのインジェクタホール及び同ホール壁であってもよい(例えば自己着火式のディーゼルエンジン等の場合)。
【0060】
【発明の効果】
以上、最善の実施形態を挙げて詳しく説明したように、本発明によれば、タペット駆動式の動弁装置を備えたエンジンのシリンダヘッド構造において、カムがタペット頂面を摺動することに起因する振動の問題を抑制することができる。本発明は、自動車等の車両に搭載されるエンジン一般に用いて好適であり、エンジンに関する技術分野において幅広い産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係るエンジンのシリンダヘッドの要部断面図である。
【図2】 油圧作動式可変動弁機構を内蔵したタペットの気筒列方向に沿う拡大縦断面図であって、図1の矢視アに沿うものである。
【図3】 シリンダヘッドの平面図である。
【図4】 図3のA−A線による縦断面図である。
【図5】 同じくB−B線による縦断面図である。
【図6】 オイルジェット孔によるカムとタペット頂面との接触点の強制潤滑の様子を表す部分拡大図である。
【符号の説明】
1 エンジン
3 シリンダヘッド
5 タペット
7 吸気弁
8 排気弁
9 吸気カムシャフト
10 排気カムシャフト
12 吸気カム
13 排気カム
20,22 低速カム
21 高速カム
14 タペットホール
23,24,27 接触部(接触点)
30 タペットホール壁
40 油圧作動式可変動弁機構
60,61,62 シリンダヘッド側壁
70 第1オイルギャラリ
71 第2オイルギャラリ
76 ジャーナル支持部
78 オイルジェット孔

Claims (5)

  1. シリンダ軸線に対して傾斜配置した吸気弁及び排気弁を、該弁上方に配置した吸気カムシャフト及び排気カムシャフトによりそれぞれタペットを介して駆動するタペット駆動式動弁装置を備えたエンジンのシリンダヘッドの構造であって、上記シリンダヘッドは、上記タペットを摺動自在に収容する複数のタペットホールと、これらのタペットホールのシリンダヘッド幅方向の中央側で気筒列方向に穿設された第1オイルギャラリと、これらのタペットホールのシリンダヘッド幅方向の側部側で同じく気筒列方向に穿設された第2オイルギャラリとを有すると共に、上記タペットホールを構成するタペットホール壁は、上部が、シリンダヘッド側壁が起立するシリンダヘッド上面より上方に突出し、該タペットホール壁とシリンダヘッド側壁との間に空隙が形成されており、かつ、上記第1、第2オイルギャラリは、タペットホールの下部において、タペットホール壁と一体に設けられ、カムとタペット頂面との接触部に潤滑油を供給するオイルジェット孔を、カムの回転方向に依存して定まる、該カムとタペット頂面との接触点の移動方向に対向する側から潤滑油を供給するように、上記第1又は第2オイルギャラリに連通して設けたことを特徴とするエンジンのシリンダヘッド構造。
  2. オイルジェット孔は、吸気側及び排気側のうち、タペットの傾斜に依存して定まる、カムとタペット頂面との接触点が該タペット頂面上を下方から上方に移動する側にのみ設けたことを特徴とする請求項1に記載のエンジンのシリンダヘッド構造。
  3. 第1オイルギャラリを構成する第1オイルギャラリ壁は、シリンダヘッドにおける各気筒の中央部上方に立設された点火栓ホール壁又はインジェクタホール壁と、シリンダヘッドの端部及び各気筒間部に設けられたカムシャフト支持壁とを連結しながら気筒列方向に延び、第2オイルギャラリを構成する第2オイルギャラリ壁は、シリンダヘッド側壁と、各タペットホール壁のシリンダヘッド側壁側の部分とを連結しながら気筒列方向に延び、かつ、第2オイルギャラリの上方で、シリンダヘッド側壁と、各タペットホール壁との間にオイル溜まりが形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエンジンのシリンダヘッド構造。
  4. タペットは複数に分割され、該タペットに各分割タペットを運転状態に応じて係合離脱させる油圧作動式の可変動弁機構が組み込まれていると共に、第1オイルギャラリは、上記可変動弁機構への油圧供給路であり、第2オイルギャラリは、カムシャフトのジャーナル部を支持するカムジャーナル支持部への潤滑用油路であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のエンジンのシリンダヘッド構造。
  5. 分割タペットは、カムシャフトに設けられた小リフト量の低速カムに対応する低速タペットと、大リフト量の高速カムに対応する高速タペットとを含み、可変動弁機構は、上記低速タペットが作動する低速時の小リフト特性と、上記高速タペットが作動する高速時の大リフト特性とに切り換え可能であることを特徴とする請求項4に記載のエンジンのシリンダヘッド構造。
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