JP3721977B2 - 単結晶引き上げ方法 - Google Patents
単結晶引き上げ方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3721977B2 JP3721977B2 JP2000326336A JP2000326336A JP3721977B2 JP 3721977 B2 JP3721977 B2 JP 3721977B2 JP 2000326336 A JP2000326336 A JP 2000326336A JP 2000326336 A JP2000326336 A JP 2000326336A JP 3721977 B2 JP3721977 B2 JP 3721977B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- seed crystal
- single crystal
- crystal
- pulling
- melt
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は単結晶引き上げ方法に関し、より詳細にはチョクラルスキ法(以下、CZ法と記す)に代表される引き上げ方法により、シリコン等からなる単結晶を引き上げる単結晶引き上げ方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、LSI(大規模集積回路)等の回路素子形成用基板の製造に使用されているシリコン単結晶(以下、単に単結晶と記す)の大部分は、CZ法により引き上げられている。図4は、このCZ法に用いられる従来の単結晶引き上げ装置を模式的に示した断面図であり、図中21は坩堝を示している。
【0003】
この坩堝21は、有底円筒形状をした石英製坩堝21aと、この石英製坩堝21aの外側に嵌合された、同じく有底円筒形状をした黒鉛製坩堝21bとから構成されており、坩堝21は、図中の矢印A方向に所定の速度で回転する支持軸28に支持されている。この坩堝21の外側には、抵抗加熱式のヒータ22、ヒータ22の外側には保温筒27が同心円状に配置されており、坩堝21内には、このヒータ22により溶融させた結晶用原料の溶融液23が充填されている。又、坩堝21の中心軸上には、引き上げ棒あるいはワイヤー等からなる引き上げ軸24が吊設されており、この引き上げ軸24の先には、保持具24aを介して種結晶35が取り付けられている。又、これら部材は、圧力の制御が可能な水冷式のチャンバ29内に納められている。
【0004】
上記した単結晶引き上げ装置を用いて単結晶36を引き上げる方法を、図4及び図5に基づいて説明する。図5(a)〜(d)は、単結晶を引き上げる各工程のうちの一部の工程における、種結晶の近傍を模式的に示した部分拡大正面図である。
【0005】
図5には示していないが、まずチャンバ29内を減圧した後、不活性ガスを導入してチャンバ29内を減圧の不活性ガス雰囲気とし、その後ヒータ22により結晶用原料を溶融させ、しばらく放置して溶融液23中のガスを十分に放出させる。
【0006】
次に、支持軸28と同一軸心で逆方向に所定の速度で引き上げ軸24を回転させながら、保持具24aに取り付けられた種結晶35を降下させて溶融液23に着液させ、種結晶35の先端部35aを溶融液23に馴染ませた後、単結晶36の引き上げを開始する(シーディング工程)(図5(a))。
【0007】
次に、種結晶35の先端部35aに結晶を成長させてゆくが、このとき後述するメインボディ36cの形成速度よりも早い速度で引き上げ軸24を引き上げ、所定径になるまで結晶を細く絞り、ネック36aを形成する(ネッキング工程)(図5(b))。
【0008】
次に、引き上げ軸24の引き上げ速度(以下、単に引き上げ速度とも記す)を落してネック36aを所定の径まで成長させ、ショルダー36bを形成する(ショルダー形成工程)(図5(c))。
【0009】
次に、一定の速度で引き上げ軸24を引き上げることにより、一定の径、所定長さのメインボディ36cを形成する(メインボディ形成工程)(図5(d))。
【0010】
さらに、図5には示していないが、最後に急激な温度変化により単結晶36に高密度の転位が導入されないよう、単結晶36の直径を徐々に絞って単結晶36全体の温度を徐々に降下させ、終端コーンを形成した後、単結晶36を溶融液23から切り離す。前記工程の後冷却し、系外において工具によりネック36a部分を切断すると、種結晶35が切り離されて単結晶36の引き上げが完了する。
【0011】
単結晶36の引き上げにおける重要な工程として、前記ネッキング工程があり、該ネッキング工程を行う目的を以下に説明する。
前記シーディング工程を行う前に、まず、種結晶35の先端部35aをある程度予熱しておくが、この予熱温度(約1300℃程度以下)と種結晶35の融点(約1410℃)との間には、通常100℃以上の温度差が存在する。従って、種結晶35の溶融液23への浸漬時に、種結晶35は急激に温度が上昇し、種結晶35の先端部35aには、熱応力による転位が導入される。該転位は、単結晶化を阻害するものであるため、前記転位を排除してから単結晶36を成長させる必要がある。一般に、前記転位は単結晶36の成長界面に対して垂直方向に成長する傾向があることから、前記ネッキング工程により前記成長界面(ネック36aの先端面)の形状を下に凸の形状とし、前記転位を排除してゆく。
【0012】
又、前記ネッキング工程においては、引き上げ速度を速くするほど、ネック36aの径を細くすることができ、前記成長界面の形状をより下に凸の形状として前記転位の伝播を抑制することができ、前記転位を効率良く排除することができる。
【0013】
ところで、上記した従来の単結晶引き上げ方法においては、直径が約6インチ、重量が80kg程度の単結晶36を引き上げるために、直径12mm以上の種結晶35を用いるのが一般的であった。その際、単結晶36を安全に支持するためには、ネック36aの径はできるだけ大きい方がよく、他方、転位を効率的に排除するためには、ネック36aの径はできるだけ小さくした方がよい。これら相反する両者の要求を満たすネック36aの直径として、従来は3mm程度が選択されていた。しかしながら、近年の半導体デバイスの高集積化、低コスト化及び生産性の効率化に対応して、ウェーハも大口径化が要求されてきており、最近では例えば直径約12インチ(300mm)、重量が300kg程度の単結晶36の製造が望まれている。この場合、従来のネック36aの直径(通常3mm程度)では、ネック36aが引き上げられる単結晶36の重さに耐えられずに破損し、単結晶36が落下してしまうという問題があった。
【0014】
すなわち、大重量の単結晶36を育成するにあたり、単結晶36の落下等の事故の発生を未然に防ぎ、安全性を確保するためには、シリコン強度(約16kgf/mm2 )から算出すれば、ネック36aの直径を約6mm以上とする必要がある。しかしながら、ネック36aの直径を6mm以上にすると、種結晶35の溶融液23への浸漬時に導入される転位を十分に排除することができなくなる。
【0015】
この問題に対処するため、特開平9−235186号公報(以下、単に公報Aと記す)では、胴体部が円柱形状で、先端部が円錐形状をした種結晶を使用し、この種結晶の先端部を溶融液に接触させる時に前記先端部の温度が前記溶融液の温度と等しくなるようにして転位の導入を阻止し、前記先端部の一部を溶かし込んだ後、ネックを形成することなく単結晶を引き上げる単結晶の育成方法が提案されている。
【0016】
又、特開平9−249492号公報(以下、単に公報Bと記す)では、高濃度の不純物を含有させて転位の移動が生じにくい種結晶を使用し、この種結晶の先端部を溶融液に接触させ、この種結晶の先端部をさらに溶かし込んで溶融液との接触時に転位が導入された部分を溶融させることにより転位を除去した後、ネックを形成することなく単結晶を引き上げる単結晶の育成方法が提案されている。
【0017】
これら公報A、B記載の方法によれば、従来必要とされていたネッキング工程が不要になり、単結晶の吊り下げ部の径を細く絞ることがないため、大重量の単結晶の保持が可能になる。又、ネッキング工程が不要なため、工数の削減が可能であり、従来は1時間から2時間近く必要とされていた無転位化工程に関する時間を10分から数10分程度に短縮することが可能になった。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
上記図4、図5に示した従来の単結晶引き上げ方法においては、上述したように、直径が約300mm、重量が300kg以上の単結晶36の場合、ネック36aが破損し易く、単結晶36を引き上げることが難しい。一方、ネック36aの直径を約6mm以上にすると単結晶36の引き上げは可能となるが、転位を十分に排除することができなくなるという課題があった。
【0019】
又、上記した公報A、B記載の単結晶引き上げ方法においては、胴体部が円柱形状で、先端部が円錐形状の種結晶、あるいは高濃度の不純物を含有させて転位の移動が生じにくい種結晶を用意しなければならず、このような特殊な種結晶は高価なものとなり易い。
【0020】
又、上記した公報A、B記載の単結晶引き上げ方法においては、いずれも種結晶の下端部側より直ちにショルダーを形成させており、例え種結晶の無転位化が図られたとしても、1個の種結晶を用いて複数回単結晶を引き上げ、その都度種結晶のショルダー近傍部分において単結晶より切り離すと、次第に種結晶の長さが短くなり、種結晶を新しいものに取り換えねばならないという課題があった。
【0021】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、ネックが不要で大重量の単結晶であっても安全に引き上げることができると同時に、一般的な通常の種結晶を使用して、種結晶を交換することなく半永久的に何回も再使用することができ、コストの削減を図ることができる単結晶引き上げ方法を提供することを目的としている。
【0022】
【課題を解決するための手段及びその効果】
本発明者等は無転位の種結晶をニッパ等の工具を用いて切断した場合、前記種結晶の切断部近傍に転位は殆ど発生しないことを知見し、又、転位が発生していても該転位を除去する手段を案出し、本発明を完成した。
【0023】
上記目的を達成するために、本発明に係る単結晶引き上げ方法(1)は、坩堝内の溶融液に種結晶を浸漬した後、該種結晶を引き上げることにより単結晶を成長させる単結晶引き上げ方法において、補助加熱手段を用いて前記種結晶と前記溶融液との界面近傍を加熱しながら前記種結晶を前記溶融液に漬け込み、前記種結晶と略同様の断面形状でかつ前記漬け込み深さ以上の長さを有する直胴部を、前記補助加熱手段を用いて前記直胴部近傍を引き続き加熱しながら引き上げた後、拡径して単結晶を引き上げることを特徴としている。
【0024】
上記した単結晶引き上げ方法(1)によれば、補助加熱手段を用いて前記種結晶と前記溶融液との界面近傍を加熱しながら前記種結晶を前記溶融液に漬け込んでおり、前記種結晶中の温度分布が均一化されて前記結晶の界面近傍に発生する熱応力が著しく低減され、前記種結晶の先端部に若干の転位が存在していたとしても、この転位の増殖、伸展が著しく抑制される。そして転位を固定したまま該転位を含む種結晶部分を溶融させることが可能なため、転位除去能力が高くなり、前記種結晶を容易に無転位化することができる。又、単結晶吊り下げ部の最小径部は種結晶であり、従来のネッキングプロセスに比較して太い径で単結晶を吊ることができるため、従来よりも大重量の単結晶を十分に支持することができる。さらに、前記種結晶と略同様の断面形状でかつ前記漬け込み深さ以上の長さを有する直胴部を、前記補助加熱手段を用いて前記直胴部近傍を引き続き加熱しながら引き上げた後、拡径して単結晶を引き上げているので、前記直胴部により実質的に種結晶の長さが長くなり、前記直胴部の下部をニッパ等の工具により切断することにより種結晶の長さを常時所定長さに維持し得るため、種結晶を交換することなく半永久的に何回も再使用することができ、コストの削減を図ることができる。
また、万一前記種結晶の漬け込み、溶融によって完全に無転位化できない場合があったとしても、前記直胴部を引き上げる際に、前記補助加熱手段を用いて前記直胴部近傍を引き続き加熱するので、該直胴部の熱応力が低減されて該直胴部内における転位の発展を阻止し、該直胴部の形成中に無転位化することができ、この結果、該直胴部下部より成長させる前記単結晶を確実に無転位化することができる。
【0025】
又、本発明に係る単結晶引き上げ方法(2)は、上記単結晶引き上げ方法(1)において、前記溶融液に漬け込む前記種結晶の長さを該種結晶の径の2倍以上の長さとすることを特徴としている。
【0026】
上記した単結晶引き上げ方法(2)によれば、前記溶融液に漬け込む前記種結晶の長さを該種結晶の径の2倍以上の長さとするので、前記種結晶を前記溶融液に着液させる際に、熱ショックにより若干の転位の増殖、進展があったり、あるいは新たな転位の導入がなされたとしても、その転位の増殖、伸展、導入があった部分を併せて前記溶融液に溶かし込むことができるため、溶融終了後の前記種結晶における転位の存在を確実になくすことができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る単結晶引き上げ方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。従来例と同一機能を有する構成部品には同一の符号を付すこととする。
実施の形態に係る単結晶引き上げ方法は、12インチ以上の大口径、大重量の単結晶の引き上げを前提としている。
【0030】
図1は、実施の形態に係る単結晶引き上げ方法に用いる装置を模式的に示した断面図であり、図2(a)、(b)はこの装置における発熱部の形態を模式的に示した斜視図及び平面図である。図1に示した単結晶引き上げ装置は補助加熱手段15を備えており、補助加熱手段15は、図2(a)、(b)に示すように、種結晶35の水平方向に関する外周長さの半分以上を取り囲むと共に種結晶35から退避するための開口部15bを有し、溶融液23の直上に位置した状態の種結晶35を取り囲むように位置させ得る発熱部15aと、発熱部15aを単結晶36の通過領域より退避させるための移動機構(図示せず)とを含んで構成されている。尚、発熱部15aにおける発熱領域を図中ハッチで示している。
【0031】
図2(c)は別の実施の形態に係る発熱部を模式的に示した平面図であり、発熱部15aは開口部15bを有する平面視U字形状の1個の曲面的部材から構成されており、図2(a)、(b)に示したものより、種結晶35の周囲を一層取り囲めるようになっている。又、図2(d)はさらに別の実施の形態に係る発熱部を模式的に示した平面図であり、発熱部15aが複数の移動可能な発熱部15aから構成され、種結晶35の水平方向に関する外周長さの略全周を取り囲めるようになっており、かかる分割構造の全周形発熱部15aが、種結晶35の均一加熱といった観点からは好ましい。
【0032】
又、補助加熱手段15の少なくとも発熱部15aは、炭素材及び炭素材の表面にコ−ティングされた炭化珪素材から形成されており、移動機構も炭素材及び炭素材の表面にコ−ティングされた炭化珪素材から形成されていることがより望ましく、このように補助加熱手段15を炭素材及び炭素材の表面にコ−ティングされた炭化珪素材から形成することにより、発熱部15aが高温になっても、発熱部15aから不純物が発生して引き上げられる単結晶36に悪影響を与えるといった事態の発生を阻止することができる。
【0033】
又、図1に示した単結晶引き上げ装置は、溶融液23への漬け込み時における種結晶35の径の変動を監視し得る画像処理装置12と、種結晶径制御手段16とを備えており、種結晶径制御手段16は、画像処理装置12により検出された種結晶35の径の変動を、補助加熱手段15への電力供給制御手段13、及び種結晶35の下降速度制御手段14にフィ−ドバックし、種結晶35の径が一定の値に維持されるように自動制御している。
【0034】
次に、上記した単結晶引き上げ装置を用いた単結晶の引き上げ方法について説明する。
図3(a)〜(e)は、実施の形態に係る単結晶36の引き上げ方法の各工程のうちの、一部の工程を実施する際の、種結晶35の近傍を模式的に示した部分拡大正面図である。
以下に説明する工程以前の工程は、「従来の技術」の項で説明した方法と同様の方法で行う。
【0035】
支持軸28(図4)と同一軸心で逆方向に所定の速度で引き上げ軸24(図4)を回転させながら、保持具24a(図4)に取り付けられた種結晶35を溶融液23の直上まで降下させ、種結晶35の予熱を行う(図3(a))。
種結晶35の直径Dは5〜10mmの範囲で設定することが好ましい。種結晶35の直径Dが5mm未満であると、12インチ程度の直径で300kgを超える重量の単結晶36を支持するのが難しくなり、他方、種結晶35の直径Dが10mmを超えると、単結晶36を支持するのには十分であるが、種結晶35が大きすぎて補助加熱手段15を用いての均一加熱が困難となり、種結晶35に発生する熱応力が増大して転位を除去することが困難になる。
【0036】
前記予熱時間を5〜60分程度とることにより、種結晶35の先端部35aの温度が上昇し、1200〜1300℃程度の温度となる。このときの溶融液23と種結晶35の最先端との距離Hは、1〜30mmの範囲で設定することが好ましい。前記予熱の後、さらに種結晶35の先端部35aを補助加熱手段15を用いて加熱し、先端部35aの温度を1380〜1420℃まで上昇させておくことが望ましい。種結晶35の先端部35aの温度が1380℃以上であれば、種結晶35を降下させて先端部35aを溶融液23に接触させる過程において、熱応力に起因する転位の発生を著しく抑制することができる。但し、種結晶35の先端部35aの温度が1420℃を超えると、種結晶35が補助加熱手段15に近い部分から溶融し始めるが、種結晶35を降下させて先端部35aを溶融液23に接触させる過程において、溶融液23の温度が予想よりも高い場合や、溶融液23の表面の温度変動が大きい場合に、溶断してしまう可能性が高くなる。
【0037】
次に、種結晶35を降下させ、種結晶35の先端部35aを溶融液23に浸漬する(図3(b))。この着液時において、種結晶35の先端部35aは、溶融液23との温度差が小さくなっているので、温度差に起因して種結晶35中に発生する熱応力は小さい。そのため種結晶35として無転位のものを使用した場合には転位が導入されることはほとんどない。同様に、一度使用した種結晶35を再使用する場合、前回使用後の種結晶を切断した際に転位が僅かに導入されていたとしても、着液時にこの転位が増殖、進展することはほとんどない。
【0038】
次に、補助加熱手段15によって種結晶35と溶融液23との界面を加熱しながら、種結晶35をさらに降下させ、種結晶35の所定位置35b(所定深さL1 )まで溶融液23に漬け込む(図3(c))。補助加熱手段15によって種結晶35と溶融液23との界面を加熱することにより、種結晶35中の熱応力は著しく低減しており、種結晶35の先端部35aを溶融液23へ漬け込む際においても、種結晶35の先端部35aに導入された転位が増殖、伸展することがない。
【0039】
尚、種結晶35の先端部35aに少々の転位があったとしても、その転位の増殖、伸展、導入があった部分を併せて溶融液23に溶かし込んで、溶融終了後の種結晶35における転位の存在を確実になくし得るため、種結晶35の漬け込み深さL1 は種結晶35の径Dの2倍以上の範囲が望ましい。
【0040】
次に、所定の引き上げ速度で種結晶35を引き上げ、この種結晶35下部にこれと略同様の直径Dで、長さがL2(L2は漬け込み深さL1以上)の直胴部37を形成する(図3(d))。この直胴部37の長さL2は漬け込み深さL1より少なくとも切断代程長ければよい。万一種結晶35の漬け込み、溶融により完全に無転位化を図ることができずに転位が僅かに残った場合でも、直胴部37の熱応力が低減されて直胴部37の形成中に転位が除去され、直胴部37下部より成長させる単結晶36が確実に無転位化されるため、直胴部37を引き上げる際には、補助加熱手段15を用いて直胴部37近傍を引き続き加熱する。
【0041】
次に、補助加熱手段15への電力供給を停止し、発熱部15aを直胴部37の周囲から退避させた後、ネックを形成することなく、単結晶36を所定の径(12インチ程度)まで成長させて、ショルダー36bを形成する。この後、所定の引き上げ速度で単結晶36を引き上げて、メインボディ36cを形成する(図3(e))。
【0042】
その後は、「従来の技術」の項で説明した方法と略同様の方法により単結晶36を引き上げ、溶融液23から切り離して冷却する。次に系外において、ニッパ等の工具により直胴部37の下端部37b近傍を切断すると、単結晶36が種結晶35及び直胴部37から切り離されて単結晶36の引き上げが完了する。
【0043】
この種結晶35及び直胴部37は次回の単結晶を引き上げる際の種結晶として使用する。この種結晶では、直胴部37により実質的に種結晶の長さが長くなり、直胴部37の下部をニッパ等の工具により切断しても、種結晶の長さを常時所定長さに維持し得るため、種結晶を取り換えることなく半永久的に何回も再使用することができ、コストの削減を図ることができる。
【0044】
尚、上記実施の形態では、種結晶35の加熱手段として炭素材(黒鉛)からなる補助加熱手段15を用いた場合について説明したが、本発明に係る補助加熱手段は何らこれに限定されるものではなく、例えば、特開平10−310485号公報に開示されているような、整流治具と溶融液面との間隔を広くしておき、ヒ−タからの輻射によって種結晶を加熱し、種結晶の漬け込み終了後には前記整流治具と前記溶融液面との間隔を狭めて輻射量を低減し、もって種結晶の加熱を停止する補助加熱手段であっても同様の効果を得ることができる。
【0045】
又、上記実施の形態では、CZ法に本発明を適用した場合について説明したが、本発明は何らCZ法への適用に限定されるものではなく、例えば磁場を印加するMCZ法にも同様に適用可能である。
【0046】
又、上記実施の形態では、種結晶35が直径Dの略円柱形状である場合について説明したが、別の実施の形態では種結晶が多角柱形状であっても良く、この際の直胴部も断面積が種結晶と略同様であれば良い。
【0047】
【実施例及び比較例】
以下、実施例及び比較例に係る単結晶引き上げ方法を説明する。以下、その条件を記載する。
<実施例及び比較例に共通する条件>
引き上げる単結晶36の形状
直径:約300mm(12インチ)、長さ:約1100mm
重量:215kg
結晶用原料の仕込み量:240kg
坩堝21の内径:30インチ
チャンバ29内の雰囲気:Ar雰囲気
Arの流量:100リットル/分
圧力:1.33×103 Pa
引き上げ軸24の回転速度:6rpm
坩堝21の回転速度:5rpm
種結晶35の形状
直径D:8mm、長さ:300mm
保持具24a(図4)より下側の種結晶35の長さ:250mm
【0048】
<実施例に共通する条件>
溶融液23に種結晶35を所定位置35b(L1 =30mm)まで漬け込んだ後、直胴部37(L2 =50mm)を形成し、引き続いて単結晶36を引き上げる。その後、直胴部37の下端部37bで単結晶36を切り離し、この直胴部37及び残存種結晶を次回引き上げ用種結晶として使用して単結晶36を引き上げることを5回繰り返し行った。直胴部37を引き上げ中、補助加熱手段15により加熱を行った。
【0049】
<比較例に共通する条件>
溶融液23に種結晶35を所定位置35b(L1 =30mm)まで漬け込み、直胴部を形成することなく直ちに単結晶を引き上げる。その後、所定位置35bで単結晶を切り離し、この残存種結晶を次回引き上げ用種結晶として使用して単結晶を引き上げることを5回繰り返し行った。
【0050】
<実施例及び比較例の結果>
実施例の場合、1回目に単結晶36を切り離した際、種結晶の長さが元の種結晶35より約15mmほど長くなったので、2回目からは所定位置35bまで浸漬した後、直胴部37を形成することとした。5回繰り返し使用したところ、種結晶の長さはいずれも短くはならなかった。又引き上げた単結晶36にはいずれも転位が発生していなかった。
一方、比較例の場合、1回の引き上げにより種結晶が略34mmずつ短くなり、5回使用したところでそれ以上使用が不可能となった。又5回引き上げの内1回、単結晶に転位が発生した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る単結晶引き上げ方法に用いる装置を模式的に示した断面図である。
【図2】(a)、(b)は実施の形態に係る発熱部を模式的に示した斜視図及び平面図、(c)は別の実施の形態に係る発熱部を模式的に示した平面図、(d)はさらに別の実施の形態に係る発熱部を模式的に示した平面図である。
【図3】(a)〜(e)は、実施の形態に係る単結晶引き上げ方法の工程の一部を行う際の、種結晶の近傍を模式的に示した部分拡大正面図である。
【図4】CZ法において使用される従来の単結晶引き上げ装置を模式的に示した断面図である。
【図5】(a)〜(d)は、従来の単結晶引き上げ方法の工程の一部を行う際の種結晶の近傍を模式的に示した部分拡大断面図である。
【符号の説明】
15 補助加熱手段
21 坩堝
23 溶融液
35 種結晶
36 単結晶
36b ショルダー
37 直胴部
Claims (2)
- 坩堝内の溶融液に種結晶を浸漬した後、該種結晶を引き上げることにより単結晶を成長させる単結晶引き上げ方法において、補助加熱手段を用いて前記種結晶と前記溶融液との界面近傍を加熱しながら前記種結晶を前記溶融液に漬け込み、前記種結晶と略同様の断面形状でかつ前記漬け込み深さ以上の長さを有する直胴部を、前記補助加熱手段を用いて前記直胴部近傍を引き続き加熱しながら引き上げた後、拡径して単結晶を引き上げることを特徴とする単結晶引き上げ方法。
- 前記溶融液に漬け込む前記種結晶の長さを該種結晶の径の2倍以上の長さとすることを特徴とする請求項1記載の単結晶引き上げ方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000326336A JP3721977B2 (ja) | 2000-10-26 | 2000-10-26 | 単結晶引き上げ方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000326336A JP3721977B2 (ja) | 2000-10-26 | 2000-10-26 | 単結晶引き上げ方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002137986A JP2002137986A (ja) | 2002-05-14 |
JP3721977B2 true JP3721977B2 (ja) | 2005-11-30 |
Family
ID=18803543
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000326336A Expired - Fee Related JP3721977B2 (ja) | 2000-10-26 | 2000-10-26 | 単結晶引き上げ方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3721977B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7417501B2 (ja) * | 2020-09-18 | 2024-01-18 | 信越化学工業株式会社 | 酸化物単結晶ウエハの製造方法 |
-
2000
- 2000-10-26 JP JP2000326336A patent/JP3721977B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2002137986A (ja) | 2002-05-14 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4919343B2 (ja) | 単結晶引上装置 | |
JP3065076B1 (ja) | 単結晶引き上げ方法及び単結晶引き上げ装置 | |
US20030047130A1 (en) | Process for eliminating neck dislocations during czochralski crystal growth | |
JP3267225B2 (ja) | 単結晶引き上げ方法、及び単結晶引き上げ装置 | |
JP2937115B2 (ja) | 単結晶引き上げ方法 | |
JP2973917B2 (ja) | 単結晶引き上げ方法 | |
US6755910B2 (en) | Method for pulling single crystal | |
JP3016126B2 (ja) | 単結晶の引き上げ方法 | |
JP3050120B2 (ja) | 単結晶引き上げ用種結晶及び該種結晶を用いた単結晶引き上げ方法 | |
JP3721977B2 (ja) | 単結晶引き上げ方法 | |
JP4224906B2 (ja) | シリコン単結晶の引上げ方法 | |
JP4640796B2 (ja) | シリコン単結晶の製造方法 | |
JP3129187B2 (ja) | 単結晶製造装置および単結晶製造方法 | |
JP2009292662A (ja) | シリコン単結晶育成における肩形成方法 | |
JP5805527B2 (ja) | シリコン単結晶の製造方法 | |
JP4341379B2 (ja) | 単結晶の製造方法 | |
JP3690680B2 (ja) | シリコン単結晶の製造方法 | |
JP4273820B2 (ja) | 単結晶引き上げ方法 | |
JP4389465B2 (ja) | 単結晶引き上げ方法 | |
JP4055351B2 (ja) | 結晶成長方法 | |
WO2021162046A1 (ja) | シリコン単結晶の製造方法 | |
JPH09249489A (ja) | 種結晶保持具及び該種結晶保持具を用いた単結晶の引き上げ方法 | |
JPH11335197A (ja) | 無転位シリコン単結晶の製造方法および無転位シリコン単結晶インゴット | |
JPH0733584A (ja) | 半導体単結晶引き上げにおけるリチャージ方法 | |
JP2000211991A (ja) | 単結晶成長方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20041019 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050315 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050516 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20050823 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20050905 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Ref document number: 3721977 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080922 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090922 Year of fee payment: 4 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090922 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100922 Year of fee payment: 5 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100922 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110922 Year of fee payment: 6 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110922 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120922 Year of fee payment: 7 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120922 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130922 Year of fee payment: 8 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |