JP3721593B2 - 自動演奏装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、自動演奏データを記録し、再生する自動演奏装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動演奏装置に操作子イベント等の自動演奏データをリアルタイム入力するときには、ユーザが自動演奏装置を記録状態にしてスタートの指示を行うと、自動演奏装置は、所定期間(例えば、1または2小節間)のカウントを行った後に、自動演奏データの記録を開始する。そして、ユーザが自動演奏装置に対して停止の指示を行うと、自動演奏データの記録を停止する。
【0003】
また、ユーザが行った鍵盤等の操作に同期して記録を開始するように構成された自動演奏装置もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の自動演奏装置では、自動演奏データを記録する前および後で所定の操作を行う必要があり、ユーザは演奏(記録)に集中できないという問題が生じた。また、自動演奏データの記録を意識するあまり、演奏がぎこちなくなってしまうこともあった。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、自動演奏データを記録するときに、ユーザが演奏に集中できるとともに、自動演奏データの記録を意識せずに行うことが可能な自動演奏装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明は、自動演奏データを記録し、再生する自動演奏装置において、操作子イベントを記録するための自動演奏データ記憶手段と、前記操作子イベントの記録開始からの経過時間を計測する時間計測手段と、該計測された経過時間が設定された所定時間を超えた場合には、前記自動演奏データ記憶手段に記録された前記所定時間のデータを、該所定時間より短い所定単位時間毎のブロックデータに分割して得られた複数のブロックデータの内、古いものから当該ブロック単位で消去して、該自動演奏データ記憶手段には前記所定時間内のデータを記録するように制御する制御手段とを有し、前記制御手段は、前記所定単位時間毎に、該時点のパネル設定データを前記自動演奏データ記憶手段に記録することを特徴とする。
【0008】
また、好ましくは、前記自動演奏データ記憶手段は、パネル設定データを一時的に記憶するパネル設定データ記憶領域を有し、前記制御手段は、前記古いデータを消去するときに、該消去されるデータに含まれ、パネル設定データに関連する操作子イベントで、前記記憶されたパネル設定データを更新することを特徴とする。
【0009】
さらに、好ましくは、前記自動演奏データ記憶手段に記録したデータのうち、ユーザが指示した一部のデータを切り取り、記録媒体にセーブするセーブ手段を有することを特徴とする。
【0010】
また、前記自動演奏データ記憶手段の所望の位置にマークを埋め込むマーク埋め込み手段と、該埋め込まれたマークを再生時に検出するマーク検出手段とを有し、前記マーク検出手段によってマークが検出されたときには、前記制御手段は、該検出されたマークの次の自動演奏データを読み出すことを特徴とし、または、前記自動演奏データ記憶手段中の所定時間以上の空白を検出する空白検出手段を有し、前記空白検出手段によって前記所定時間以上の空白が検出されたときには、前記制御手段は、該検出された空白の次の自動演奏データを読み出すことを特徴とし、または、前記自動演奏データ記憶手段に記録した操作子イベントのうち、リズムスタートイベントを検出するリズムスタートイベント検出手段を有することを特徴とする。
【0011】
さらに、パネル設定データを記憶するパネル設定データ記憶手段と、前記記録したパネル設定データを前記パネル設定データ記憶手段にセーブするパネル設定データセーブ手段とを有することを特徴とする。
【0012】
また、好ましくは、ユーザが前記設定された所定時間を変更するための記録時間変更手段を有することを特徴とする。
【0013】
さらに、好ましくは、前記自動演奏データ記憶手段へのデータの記録を終了し、次の記録を開始する場合に、前のデータを記録媒体にセーブしていないときには、該データのセーブを行うか否かをユーザに確認するための確認手段を有することを特徴とし、または、前記記憶媒体中の、自動演奏データがセーブされているファイルを読み出し、前記自動演奏データ記憶手段にロードするロード手段を有し、前記確認手段は、該ロード手段により自動演奏データをロードするときに、前記自動演奏データ記憶手段にデータが記録されている場合には、その記録されているデータをセーブするか否かをユーザに確認することを特徴とする。
また、好ましくは、前記制御手段は、古いブロックデータが消去された後に残った自動演奏データの先頭にスタートイベントを書き込むことを特徴とする。
【0014】
【作用】
本発明の構成に依れば、時間計測手段により計測された経過時間が設定された所定時間を超えた場合には、自動演奏データ記憶手段に記録された前記所定時間のデータを、該所定時間より短い所定単位時間毎のブロックデータに分割して得られた複数のブロックデータの内、古いものから当該ブロック単位で消去され、自動演奏データ記憶手段には前記所定時間内のデータが記録される。
【0015】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施例に係る自動演奏装置の概略構成を示すブロック図である。
【0017】
同図に示すように、本実施例の自動演奏装置は、音高情報を入力するための鍵盤1と、各種情報を入力するためのスイッチ群2と、鍵盤1の押鍵状態を検出する押鍵検出回路3と、スイッチ群2の各スイッチの押下状態を検出するスイッチ検出回路4と、装置全体の制御を司るCPU5と、該CPU5が実行する制御プログラムやテーブルデータ等を記憶するROM6と、自動演奏データ、各種入力情報および演算結果等を一時的に記憶するRAM7と、タイマ割り込み処理における割り込み時間や各種時間を計時するタイマ8と、自動演奏データや各種情報等を表示する表示回路9と、外部からのMIDI(Musical Instrument Digital Interface)信号を入力したり、MIDI信号として外部に出力したりするMIDIインターフェース(I/F)10と、記憶媒体であるフロッピディスク(FD)をドライブするフロッピディスクドライブ(FDD)11と、鍵盤1からの演奏データや自動演奏データ等を楽音信号に変換する音源回路12と、該音源回路12からの楽音信号に各種効果を付与するための効果回路13と、該効果回路からの楽音信号を音響に変換する、例えばスピーカ等のサウンドシステム14とにより構成されている。
【0018】
上記構成要素3〜13は、バス15を介して相互に接続され、CPU5にはタイマ8が接続され、音源回路12には効果回路13が接続され、効果回路13にはサウンドシステム14が接続されている。
【0019】
なお、本実施例では、記憶媒体としてフロッピディスクを用いているが、これに限らず、ハードディスクやMO(Magneto Optical disk)等であってもよい。
【0020】
図2は、前記スイッチ群2が配設されているパネル面を示す図である。
【0021】
同図において、スイッチ群2は、前記RAM7に確保された自動演奏データ格納領域に鍵盤1やスイッチ群2の操作データ(以下、「自動演奏データ」と呼ぶ)をエンドレス記録するためのエンドレス記録スイッチ21と、記録された自動演奏データを再生するための再生スイッチ22と、再生を一時的に停止するための再生一時停止スイッチ23と、記録および再生を停止するための停止スイッチ24と、再生時に早送りするための早送りスイッチ25と、早戻しするための早戻しスイッチ26と、リズム演奏の開始/停止を指示し、記録時にリズムスタート(RST)/ストップイベントを書き込むためのリズムスタート/ストップスイッチ27と、記録時にマークイベントを書き込むためのマークスイッチ28と、リズムスタートイベントが書き込まれた位置を検索するためのRSTスイッチ29と、自動演奏データ格納領域中の所定時間以上の空白部分を検索するための空白スイッチ30と、記録した自動演奏データのうち所望の部分をフロッピディスクにセーブするときに、その開始点Aの位置を決定するためのA点スイッチ31と、その終了点Bを決定するためのB点スイッチ32と、開始点Aと終了点Bの間の自動演奏データをセーブするためのAB間セーブスイッチ33と、RAM7の所定領域に確保されたレジストレーションデータ記録領域にパネル設定データをセーブするためのパネル設定セーブスイッチ34と、自動演奏データ格納領域に格納された自動演奏データ等をファイルとしてフロッピディスクにセーブするためのセーブスイッチ35と、フロッピディスクに記録されている自動演奏データ等のファイルを読み出して自動演奏データ格納領域にロードするためのロードスイッチ36とにより構成されている。
【0022】
また、エンドレス記録スイッチ21、再生スイッチ22および再生一時停止スイッチ23の各近傍には、それぞれLED41〜43が配設され、各スイッチ21〜23の操作状態が分かるようになっている。
【0023】
なお、実際には、パネル面に配設されるスイッチは、上記スイッチ21〜36以外のものもあるが、本発明の特徴を説明する上で不可欠なものでないため、その図示および説明を省略する。
【0024】
図3は、自動演奏データを自動演奏データ格納領域71に記録するときのフォーマットおよびその自動演奏データをフロッピディスクにセーブするときのフォーマットを示す図である。図中、(a)は、自動演奏データ格納領域71に記録された自動演奏データの一例を示し、(b)は、設定した記録時間が経過したときの自動演奏データ格納領域71の状態の一例を示し、(c)は、記録された自動演奏データをフロッピディスクにセーブするときのファイルのフォーマットを示している。
【0025】
(a)に示すように、自動演奏データの記録を開始すると、CPU5は、自動演奏データ格納領域71に、まず、記録開始を示すスタートイベント51を書き込み、次に、自動演奏データ間の時間間隔を示すデルタタイム52を書き込み、現在設定されているパネル設定情報、即ち、音色、音量、効果、リズム等の情報から成るパネル設定イベント53を書き込み、該イベント53と次のイベント55とのデルタタイム54を書き込み、ユーザが操作した操作子のイベント、例えば、ノートイベント、その他の演奏イベント、マーカ等の操作子イベント55を書き込む。同様にして、デルタタイムおよびイベントの順に自動演奏データを書き込み、所定の時間、例えば10sec経過すると、その時間経過を示す10secイベント56を書き込む。以上のようにして、自動演奏データ格納領域71に順次、自動演奏データを書き込んで行く。
【0026】
なお、本実施例では、10sec毎に区切りイベント(10secイベント56)を記録するように構成したが、これに限らず、10sec以外の時間で区切るようにしてもよいし、また、このような区切りイベントを記録しなくてもよい。
【0027】
本実施例では、ユーザが自動演奏データを記録したい時間を設定することができ、この設定された記録時間が経過すると、(b)に示すように、(a)のスタートイベント51から最初の10secイベント56までの自動演奏データを消去し、スタートイベント51を、消去されていない自動演奏データの最初のデルタタイム57の前に書き込む。なお、自動演奏データ格納領域71の容量は、ユーザが設定した時間にもとづいて決定され、該時間分の演奏データが十分格納できるように余裕ををもって確保されている。その後10秒が経過する度に、先頭(スタートイベント)から最初の10secイベントまでの領域を消去する。即ち、自動演奏データ格納領域71を10sec毎のブロックに分割し、その分割したブロックを1単位として古いデータの消去が行われる。
【0028】
なお、前述したように、区切りイベント(本実施例では、10secイベント56)を自動演奏データ格納領域71に記録しない場合には、デルタタイム54,…に基づいて消去すべき領域を算出し、その領域を順次消去するようにすればよい。
【0029】
そして記録が進み、確保されている自動演奏データ格納領域71が一杯になると、領域の先頭(前述のように先頭のデータは既に消去されており、領域の先頭部分は空き領域となっている)から、新しく入力された自動演奏データを順次書き込んで行く。
【0030】
以上のようにユーザが設定した時間分の自動演奏データが自動演奏データ格納領域71に記録されていく。
【0031】
このようにして記録した自動演奏データをフロッピディスクにセーブするときには、(c)に示すように、記録した自動演奏データの先頭に、ファイル名、記録日時、および、設定されたテンポ等の情報を含むヘッダデータ58を付与し、その最後には自動演奏データの終わりを示すエンドデータ59を付与し、ファイル形式にしてセーブする。
【0032】
なお、本実施例では、自動演奏データは、各種イベントおよびそのイベント間のデルタタイムというデータフォーマットにより構成したが、これに限らず、各種イベントおよび絶対時間というデータフォーマット等でもよい。
【0033】
また、本実施例では、自動演奏データ格納領域71として、連続したメモリ空間に自動演奏データを順次記録するように構成したが、これに限らず、不連続なメモリ空間を所定のブロックに分割し、1つのブロックを使い切ると、空いているブロックを探し、そのブロックに続きの自動演奏データを記録するとともに、設定した時間が経過したときには、最初に記録したブロックに記録されている自動演奏データを前述と同様消去していくようにしてもよい。各ブロックの連結状態を管理しておけば、連続したメモリに記録していくのと同じことになるからである。
【0034】
以上のように構成された自動演奏装置のCPU5が実行する制御処理を、以下、図4〜29のフローチャートに基づいて説明する。
【0035】
図4は、ユーザが入力した自動演奏データを自動演奏データ格納領域71にエンドレス記録する記録処理の手順を示すフローチャートである。本処理は、タイマ割り込み処理中で行われるものであり、このタイマ割り込みは、設定テンポに応じた時間により発生する。具体的には、ユーザがテンポを設定すると、そのテンポに応じた時間がタイマ8の所定のレジスタに設定され、タイマ8は、その時間を一定時間毎にダウンカウントして“0”になると、タイマ割り込み信号をCPU5に送信し、この割り込み信号に応じてCPU5は、本記録処理に制御を移す。
【0036】
図4において、まず、前記RAM7の所定領域に確保され、自動演奏データのエンドレス記録中を示すフラグRECの状態を判別し、記録中(フラグREC=1)のときにはステップS2に進み、一方、記録中でない(フラグREC=0)ときには本記録処理を終了する。
【0037】
ステップS2では、RAM7の所定領域に確保され、各種イベントデータを一時的に格納するイベントバッファ(図示せず)をチェックし、ステップS3では、イベントバッファ中にイベントデータが格納されているか否かを判別する。
【0038】
ステップS3の判別で、イベントデータが格納されているときには、自動演奏データ格納領域(メモリ)71のアドレスを進め、RAM7の所定領域に確保され、前記デルタタイム52,54を生成するためのカウンタTIMEの値を当該アドレスに書き込み(ステップS4)、自動演奏データ格納領域71のアドレスを進め、イベントバッファに格納されているイベントデータの1つを当該アドレスに書き込み(ステップS5)、カウンタTIMEをクリア(“0”を格納)し(ステップS6)、イベントバッファの続きをチェックする(ステップS7)。
【0039】
続くステップS8では、イベントバッファに格納されているイベントデータがあるか否かを判別し、まだ残っているときには前記ステップS4に戻って上述の処理を繰り返し、一方、全てのイベントデータを自動演奏データ格納領域71に書き込んだときにはステップS9に進み、イベントバッファをクリアする。
【0040】
一方、ステップS3の判別で、イベントバッファにイベントデータが格納されていないときには、前記ステップS4〜S9をスキップして、ステップS10に進む。
【0041】
ステップS10では、カウンタTIMEの値を“1”だけインクリメントする。
【0042】
続くステップS11では、RAM7の所定領域に確保されたフラグDELETEの状態を判別する。ここで、フラグDELETEは、前記図3(b)で説明したように、ユーザが設定した記録時間が経過したときに、記録されている自動演奏データの先頭から10秒分の自動演奏データを消去する指示を行うフラグである。
【0043】
ステップS11の判別で、消去する指示がなされているとき(フラグDELETE=1)には、自動演奏データ格納領域71のスタートイベントの次から最初の10secイベントまでの自動演奏データ(すなわち10秒分の自動演奏データ)を消去し(ステップS12)、フラグDELETEをクリア(“0”)した(ステップS13)後に、本記録処理を終了する。一方、ステップS11の判別で、消去する指示がなされていないとき(フラグDELETE=0)には、ステップS12,S13をスキップして本記録処理を終了する。
【0044】
図5は、10sec毎の処理の手順を示すフローチャートであり、本処理は、タイマ8が10sec毎に発生するタイマ割り込み信号に応じて、行われるものである。
【0045】
同図において、まず、前記イベントバッファに10secイベントを書き込み(ステップS21)、イベントバッファに現在のパネル設定状態を示すパネル設定イベントを書き込み(ステップS22)、RAM7の所定領域に確保され、自動演奏データの記録を開始してからの経過時間をカウントするためのソフトカウンタPASTIMEを“1”だけインクリメントする(ステップS23)。
【0046】
すなわち10秒経過する毎にパネル設定データが自動演奏データ中に記録されていく。
【0047】
次に、RAM7の所定領域に確保され、前記ユーザが設定した自動演奏データの記録時間を記憶する領域RECTIMEの値(以下、この値を全記録時間RECTIMEという)とカウンタPASTIMEの値(以下、この値を経過時間PASTIMEという)とを比較し、経過時間PASTIMEが全記録時間RECTIMEより大きいとき、即ち、記録を開始してから、ユーザが設定した記録時間が経過しているときには、前記フラグDELETEをセット(“1”)し(ステップS25)、経過時間PASTIMEを全記録時間RECTIMEにより更新する(ステップS26)。一方、ステップS24の比較で、経過時間PASTIMEが全記録時間RECTIME以下であるとき、即ち、設定した記録時間がまだ経過していないときには、ステップS25,S26をスキップしてステップ27に進む。
【0048】
ステップS27では、経過時間PASTIMEに基づいて経過時間を前記表示回路9に表示した後に、本処理を終了する。
【0049】
図6は、記録時間設定処理の手順を示すフローチャートであり、図示しないメインルーチン中で行われるものである。記録時間設定スイッチ(図示せず)が押されたり、記録時間設定モードに移行したりすることにより、この処理が呼び出される。
【0050】
同図において、ユーザがテンキー(図示せず)等によって記録時間を入力すると、RAM7のワークエリア等に一時的に記憶した(ステップS31)後に、その時間を前記領域RECTIMEに格納する(ステップS32)。ここで、ステップS31の記録時間の入力は、例えば、10secを1単位として、6から360、即ち、1分から60分までの値を設定するが、記録時間の入力方法や設定時間は、これに限らないことは云うまでもない。
【0051】
本処理により、入力された時間に応じて、自動演奏データ格納領域71の大きさが決定される。すなわち入力された時間分の平均的な自動演奏データ量よりも十分に大きな容量の格納領域が確保される。
【0052】
図7は、前記エンドレス記録スイッチ21が押されたときに行われるエンドレス記録スイッチ処理の手順を示すフローチャートであり、エンドレス記録中にエンドレス記録スイッチが押下されるとエンドレス記録を終了し、エンドレス記録を行っていないときにエンドレス記録スイッチが押下されるとエンドレス記録を開始する。なお、本処理も、前記メインルーチン中で行われる。
【0053】
同図において、まず、前記フラグRECの状態を判別し(ステップS41)、記録中(フラグREC=1)のときには、エンドレス記録を停止するためにフラグRECをリセット(“0”)し(ステップS42)、この時点にイベントバッファに格納されているイベントデータを前記自動演奏データ格納領域71に格納する(ステップS43〜S50)。このステップS43〜S50の処理は、前記図4のステップS2〜S9の処理と同じであるので、各ステップの説明を省略する。
【0054】
続くステップ51では、前記図3(c)で説明した自動演奏データの終了を示すエンドデータ59を自動演奏データの最後に書き込み、本エンドレス記録スイッチ処理を終了する。
【0055】
一方、前記ステップS41の判別で、記録中でない(フラグREC=0)ときには、自動演奏データ格納領域71に自動演奏データが格納されており、その自動演奏データがまだフロッピディスクへセーブされていないか否かを判別し(ステップS52)、セーブされていないときには、ユーザに対してセーブする必要があるか否かを確認する表示を行い(ステップS53)、セーブする必要があるときには後述するセーブ処理サブルーチンを実行する(ステップS54)。一方、ステップS52またはS53の判別で、その答えが“NO”のとき、即ち、自動演奏データ格納領域71に自動演奏データが格納されていないとき、または、自動演奏データが格納されていてもフロッピディスクにセーブする必要のないときには、ステップS54のセーブ処理サブルーチンをスキップしてステップS55に進む。
【0056】
ステップS55では、前記カウンタTIMEをリセット(“0”)し、ステップS56では、イベントバッファにスタートイベントおよび現在設定されているパネル設定イベントを書き込み、ステップS57では、フラグRECをセットしてエンドレス記録の指示を行い、ステップS58では、経過時間PASTIMEを“0”にした後に、本エンドレス記録スイッチ処理を終了する。
【0057】
図8は、前記セーブ処理サブルーチンの詳細な手順を示すフローチャートである。
【0058】
同図において、まず、ユーザがファイル名を設定すると、そのファイル名を前記RAM7のワークエリアに一時的に記憶し(ステップS61)、次に、そのファイル名、CPU5が管理している現在の日時および前記図4で説明した設定テンポ等のデータをヘッダ情報として、前記格納された自動演奏データの最初に付加し(ステップS62)、記録媒体であるフロッピディスクにファイルを作成し、この自動演奏データをセーブする(ステップS63)。
【0059】
図9は、前記鍵盤1が押鍵または離鍵されたときに行われる鍵盤処理の手順を示すフローチャートであり、本処理も、メインルーチン中で行われる。
【0060】
同図において、まず、押鍵されたか否かを判別し(ステップS71)、押鍵されたときにはその鍵に応じた発音処理を行い(ステップS72)、一方、離鍵されたときにはその鍵に応じた消音処理を行う(ステップS73)。ここで、発音処理および消音処理は、ともに周知の方法によって行うので、その詳細な説明を省略する。
【0061】
次に、フラグRECの状態を判別し(ステップS74)、記録中(フラグREC=1)のときには、イベントバッファに押鍵されたキーまたは離鍵されたキーに対応するキーイベントを書き込み(ステップS75)、本処理を終了する。この結果図4のステップS5あるいは図7のステップS46にて、キーイベントが自動演奏データ格納領域71に書き込まれる。一方、ステップS74の判別で、記録中でない(フラグREC=0)ときにはステップS75をスキップして本処理を終了する。
【0062】
図10は、前記マークスイッチ28が押下されたときに行われるマークスイッチ処理の手順を示すフローチャートであり、本処理も、メインルーチン中で行われる。マークスイッチ28は、記録した自動演奏データを再生するときに、再生を開始したい位置を迅速に検索するためのマークイベントを自動演奏データ格納領域71中に埋め込むためのスイッチであり、本実施例では、このスイッチ28は自動演奏データのエンドレス記録時のみに有効である。なお、再生時にもマークイベントを埋め込むことができるようにしてもよい。
【0063】
図10において、フラグRECの状態を判別し(ステップS81)、記録中のときにはイベントバッファにマークイベントを書き込む(ステップS82)。この結果、図4のステップS5あるいは図7のステップS46にてマークイベントが自動演奏データ格納領域71に書き込まれる。一方、記録中でないときには何もせずに本処理を終了する。
【0064】
図11は、パネル設定操作子が押下されたときに行われる処理の手順を示すフローチャートであり、本処理も、メインルーチン中で行われる。
【0065】
同図において、まず、パネル設定操作子を構成する複数の操作子(例えば音色スイッチ、効果スイッチ;図示せず)のうち、ユーザが操作した操作子に応じた処理を行う(ステップS91)。
【0066】
次に、フラグRECの状態を判別し(ステップS92)、録音中のときには、操作した操作子が記録すべきものであるか否かを判別し(ステップS93)、記録すべき操作子であるときには、イベントバッファに当該操作子に対応するパネル設定イベントを書き込む(ステップS94)。この結果、図4のステップS5あるいは図7のステップS46にてパネル設定操作子イベントが自動演奏データ格納領域71に書き込まれる。
【0067】
一方、ステップS92またはS93の判別で、その答えが“NO”のとき、即ち、記録中でないとき、または、記録中であっても操作した操作子が記録すべきものでないときには、ステップS94の処理をスキップして本パネル設定スイッチ処理を終了する。なお、記録すべきでない操作子は予め決められている、あるいはユーザが設定するもので、例えばマスターボリュームの操作などは記録しないようにする。
【0068】
図12は、前記リズムスタート/ストップスイッチ27が押されたときに行われる処理の手順を示すフローチャートであり、本処理も、メインルーチン中で行われる。前述したように、リズムスタート/ストップスイッチ27は、リズム演奏の開始/停止を指示するためのスイッチであり、リズム演奏をしているときにリズムスタート/ストップスイッチ27が押下されるとリズム演奏を停止し、リズム演奏をしていないときにリズムスタート/ストップスイッチ27が押下されるとリズム演奏を開始する。
【0069】
同図において、まず、リズム演奏中か否かを判別する(ステップS101)。ここで、この判別は、例えばリズム演奏フラグを設けること等によって行うようにすればよい。
【0070】
ステップS101の判別で、リズム演奏中のときにはリズム演奏を停止し(ステップS102)、一方、リズム演奏中でないときにはリズム演奏を開始する(ステップS103)。
【0071】
次に、エンドレス記録中か否かをフラグRECの状態により判別し(ステップS104)、記録中のときにはイベントバッファにリズムスタート/ストップイベントを書き込み(ステップS105)、記録中でないときにはステップS105をスキップして本処理を終了する。この結果、図4のステップS5あるいは図7のステップS46にて、リズムスタート/ストップイベントが自動演奏データ格納領域71に書き込まれる。
【0072】
図13は、前記セーブスイッチ35が押されたときに行われるセーブスイッチ処理の手順を示すフローチャートであり、本処理も、メインルーチン中で行われる。前述したように、セーブスイッチ35は、記録した自動演奏データをファイルとしてフロッピディスクにセーブするためのものである。
【0073】
同図において、まず、エンドレス記録中でなく、かつ、自動演奏データの再生中でないか否かを判別する(ステップS111)。ここで、自動演奏データを再生中か否かは、RAM7の所定領域に確保され、自動演奏データの再生中を示すフラグRUNの状態により判別する。即ち、フラグRUNの値が“1”のときには自動演奏データを再生している状態であり、フラグRUNの値が“0”のときには自動演奏データを再生していない状態である。
【0074】
ステップS111の判別で、記録および再生のどちらも行っていないときには、自動演奏データ格納領域71に自動演奏データが格納されており、その自動演奏データがまだフロッピディスクへセーブされていないか否かを判別し(ステップS112)、セーブされていないときには、ユーザに対してセーブする必要があるか否かを確認する表示を行い(ステップS113)、セーブする必要があるときには、前記セーブ処理サブルーチンを実行する(ステップS114)。
【0075】
一方、ステップS111〜113のうち、1つでもその答えが“NO”のときには、何もせずに本処理を終了する。
【0076】
なお、本実施例では、ユーザがセーブスイッチ35を押すと自動演奏データ格納領域71に記録された自動演奏データをフロッピディスクへセーブするように構成したが、これに限らず、前記図4の記録処理を終了したときに、自動的にセーブするようにしてもよい。
【0077】
図14は、前記ロードスイッチ36を押したときに行われるロードスイッチ処理の手順を示すフローチャートであり、本処理も、メインルーチン中で行われる。前述したように、ロードスイッチ36は、フロッピディスクに記憶されている自動演奏データのファイルを自動演奏データ格納領域71にロードするためのものである。
【0078】
同図において、まず、ステップS121〜S123で、前記図7のステップS52〜S54と同様にして、自動演奏データ格納領域71に自動演奏データが格納されている場合のセーブ処理を行う。
【0079】
次に、ユーザの指示に応じて、記録媒体であるフロッピディスクからロードしたいファイルを選択し(ステップS124)、選択されたファイルをRAM7の自動演奏データ格納領域71にロードし(ステップS125)、ロードしたファイルからヘッダのデータを読み出して、そのヘッダデータから表示すべき情報等を前記表示回路9等に設定する(ステップS126)。
【0080】
図15は、前記再生スイッチ22が押されたときに行われる再生スイッチ処理の手順を示すフローチャートであり、本処理も、メインルーチン中で行われる。前述したように、再生スイッチ22は、自動演奏データ格納領域71に記録された自動演奏データを再生するためのものである。
【0081】
同図において、自動演奏データ格納領域71に自動演奏データが格納されているか否かを判別し(ステップS131)、格納されているときには自動演奏データの最初のデルタタイム、例えば、図3(a)のデルタタイム52を読み出し、その値を前記カウンタTIMEに格納する(ステップS132)とともに、前記フラグRUNをセットして再生の指示を行う。
【0082】
一方、ステップS131の判別で、自動演奏データ格納領域71に自動演奏データが格納されていないときには、何もせずに本処理を終了する。
【0083】
図16は、ユーザが再生スイッチ22により自動演奏データの再生を指示したときに行われる再生処理の手順を示すフローチャートであり、本処理は、前記図4の記録処理と同様のタイマ割り込み処理、即ち、設定テンポに応じた周期で発生するタイマ割り込み処理中で行われるものである。ここで、設定テンポは、前記図14のステップS126で読み出したヘッダ情報に記録されているものを使用すればよい。
【0084】
図16において、まず、フラグRUNの状態を判別し(ステップS141)、再生の指示がなされている(フラグRUN=1)ときには、カウンタTIMEが“0”か否か、即ち、次の自動演奏データを読み出す時点にあるか否かを判別する(ステップS142)。
【0085】
ステップS142の判別で、次の自動演奏データを読み出す時点である(カウンタTIME=0)ときには、自動演奏データ格納領域71のアドレスを進め、そのアドレスに格納されている自動演奏データを読み出し(ステップS143)、このデータがデルタタイムであるか否かを判別する(ステップS144)。
【0086】
ステップS144の判別で、読み出したデータがデルタタイムでないとき、即ち、パネル設定イベントデータまたは操作子イベントデータであるときには、当該イベントに対応した処理を実行した(ステップS145)後に、前記ステップS143に戻り、上述の処理を繰り返す。
【0087】
一方、ステップS144の判別で、読み出したデータがデルタタイムであるときには、そのデルタタイムの値をカウンタTIMEに格納し(ステップS146)、カウンタTIMEの値が“0”であるか否かを判別する(ステップS147)。
【0088】
ステップS147の判別で、カウンタTIMEの値が“0”であるときには、前記ステップS143に戻って上述の処理を繰り返し、一方、カウンタTIMEの値が“0”でないときには、カウンタTIMEの値を“1”だけデクリメントした後に、本再生処理を終了する。
【0089】
一方、前記ステップS142の判別で、カウンタTIMEの値が“0”でないときにはステップS148に進み、カウンタTIMEのデクリメントを行う。
【0090】
ここでは、カウンタTIMEを、記録された自動演奏データ中のデルタタイムをダウンカウントして、操作子イベント等のデータを前記音源回路12等に送出するタイミングを決定するために用いており、前記図4の記録処理中で説明したデルタタイムを生成するためには用いていない。本実施例では、記録処理と再生処理が同時に行われることはないので、同じカウンタTIMEを用いている。
【0091】
図17は、前記停止スイッチ24により行われる停止スイッチ処理の手順を示すフローチャートであり、本処理は、前記メインルーチン中で行われる。
【0092】
同図において、フラグRUNの状態を判別し(ステップS151)、再生中でない(フラグRUN=0)ときには本処理を終了し、一方、再生中(フラグRUN=1)のときには、フラグRUNをクリアし(ステップS152)、現在発音中の楽音を消音する(ステップS153)。
【0093】
図18は、前記早送りスイッチ25または早戻しスイッチ26の単独操作により行われる早送り/早戻しスイッチの単独操作処理の手順を示すフローチャートであり、本処理も、メインルーチン中で行われる。なお、本フローチャートには、両スイッチ25,26による処理が同時に記載され、「または」のあるステップにおいて、「または」の前の処理が早送りスイッチ25による処理に対応し、後の処理が早戻しスイッチ26による処理に対応する。
【0094】
同図において、まず、早送りスイッチ25または早戻しスイッチ26の操作に応じて、1つ前または後の「10sec」イベントをサーチする(ステップS161)。
【0095】
次に、「10sec」イベントをサーチしたか否かを判別し(ステップS162)、サーチしたときには、サーチした「10sec」イベントの次のアドレスに記憶されているデルタタイムを読み出して、その値をカウンタTIMEに格納し(ステップS163)、一方、サーチしないときには、操作したスイッチ25,26に応じて、「前または後に10sec以上のデータなし」という表示を前記表示回路9に表示させる。
【0096】
図19は、早送りスイッチ25または早戻しスイッチ26と他のスイッチとの同時押しによりなされる同時押し処理の手順を示すフローチャートである。
【0097】
同図において、フラグRUNの状態を判別し(ステップS171)、再生中でない(フラグRUN=0)ときには本処理を終了し、一方、再生中(フラグRUN=1)のときには、同時に操作されているスイッチに応じた処理を実行する(ステップS172)。
【0098】
図20は、上記ステップS172の処理のうち、前記マークスイッチ28が同時に押されているときの処理の手順を示すフローチャートである。
【0099】
同図において、まず、マークスイッチ28と同時に押される早送りスイッチ25または早戻しスイッチ26とに応じて、1つ前または後の「マーク」イベントをサーチする(ステップS181)。
【0100】
次に、「マーク」イベントをサーチしたか否かを判別し(ステップS182)、サーチしたときには、「マーク」イベントの次のアドレスに記憶されているデルタタイムを読み出して、その値をカウンタTIMEに格納し(ステップS183)、一方、サーチしないときには、「前または後にマークなし」という表示を表示回路9に表示する。
【0101】
図21は、前記ステップS172の処理のうち、前記リズムスタート(RST)スイッチ29が同時に押されているときの処理の手順を示すフローチャートである。
【0102】
同図において、まず、RSTスイッチ29と同時に押される早送りスイッチ25または早戻しスイッチ26とに応じて、1つ前または後の「リズムスタート」イベントをサーチする(ステップS191)。
【0103】
次に、「リズムスタート」イベントをサーチしたか否かを判別し(ステップS192)、サーチしたときには、「リズムスタート」イベントの次のアドレスに記憶されているデルタタイムを読み出して、その値をカウンタTIMEに格納し(ステップS193)、一方、サーチしないときには、「前または後にリズムスタートなし」という表示を表示回路9に表示する。
【0104】
図22は、前記ステップS172の処理のうち、前記空白スイッチ30が同時に押されているときの処理の手順を示すフローチャートである。
【0105】
同図において、まず、空白スイッチ30と同時に押される早送りスイッチ25または早戻しスイッチ26とに応じて、1つ前または後の所定時間以上の「空白(10secイベントおよびそれにつづくパネル設定イベントを除く他のイベントが全く無い状態)」をサーチする(ステップS201)。
【0106】
次に、所定時間の「空白」をサーチしたか否かを判別し(ステップS202)、サーチしたときには、所定時間以上の「空白」の次のデルタタイムを読み出して、その値をカウンタTIMEに格納し(ステップS203)、一方、サーチしないときには、「前または後に所定時間以上の空白なし」という表示を表示回路9に表示する。
【0107】
図23は、前記A点スイッチ31が押されたときに行われるA点スイッチ処理の手順を示すフローチャートである。
【0108】
同図において、フラグRUNの状態を判別し(ステップS211)、再生中でない(フラグRUN=0)ときには本処理を終了し、一方、再生中(フラグRUN=1)のときには、現在のパネル設定データをRAM7のワークエリアに一時的に記憶し(ステップS212)、現在の読み出しアドレスおよびカウンタTIMEの値をRAM7のワークエリアに一時的に記憶する(ステップS213)。
【0109】
図24は、前記B点スイッチ32が押されたときに行われるB点スイッチ処理の手順を示すフローチャートである。
【0110】
同図において、フラグRUNの状態を判別し(ステップS221)、再生中(フラグRUN=1)のときには、A点スイッチ31により既にA点を設定しているか否かを判別し(ステップS222)、設定しているときには現在の読み出しアドレスおよびカウンタTIMEの値をRAM7のワークエリアに一時的に記憶する(ステップS223)。
【0111】
一方、前記ステップS221で再生中でない(フラグRUN=0)とき、または、前記ステップS222で再生中であってもまだA点を設定していないときには、本処理を終了する。
【0112】
図25は、前記AB間セーブスイッチ33が押されたときに行われるAB間セーブスイッチ処理の手順を示すフローチャートである。
【0113】
まず、A点スイッチ31およびB点スイッチ32により、A点およびB点の設定が完了しているか否かを判別し(ステップS231)、まだ設定を完了していないときには本処理を終了し、一方、設定を完了しているときにはステップS232に進む。
【0114】
ステップS232では、前記図23のステップS213でワークエリアに記憶したA点のアドレスと前記図24のステップS223でワークエリアに記憶したB点のアドレスとの間の自動演奏データを、RAM7のワークエリアの別の領域にコピーする。
【0115】
次に、前記ステップS212でワークエリアに記憶したA点のパネル設定データをコピーした自動演奏データの先頭に付加し(ステップS233)、先頭のデルタタイムを前記ステップS213で記憶したカウンタTIMEの値、即ちA点のカウンタTIMEの値に変更し(ステップS234)、最後のデルタタイムを前記ステップS223で記憶したカウンタTIMEの値、即ちB点のカウンタTIMEの値に変更し(ステップS235)、このようにして作成された自動演奏データにエンドデータを付加し(ステップS236)、さらに、この自動演奏データにユーザが設定したファイル名を付加し(ステップS237)、記録媒体であるフロッピディスクにファイルを作成し、以上のようにして生成された自動演奏データをセーブする(ステップS238)。
【0116】
なお、本実施例では、A点およびB点をそれぞれ別のスイッチ31,32により設定するように構成したが、これに限らず、例えばA/Bスイッチを設け、最初に押したときにはA点を指定でき、次に押したときにはB点を指定できるように構成してもよい。
【0117】
また、AB間セーブスイッチ処理により記録した自動演奏データの一部を切り取ってセーブする場合に、表示回路9に記録したデータを表示し、ユーザは、表示されたデータを見ながら切り取る部分(A点およびB点)を指定するようにしてもよい。この一部をセーブするときに、自動演奏データの記録先トラック(チャンネル)を指定できるようにしてもよい。さらに、切り取ったデータを後で編集できるようにしてもよい。この編集機能を用いて、自動演奏データを切り取る前にデータを修正するようにしてもよい。
【0118】
図26は、前記パネル設定セーブスイッチ34が押されたときに行われるパネル設定セーブスイッチ処理の手順を示すフローチャートである。
【0119】
同図において、フラグRUNの状態を判別し(ステップS241)、再生中でない(フラグRUN=0)ときには本処理を終了し、一方、再生中(フラグRUN=1)のときには、ユーザが図示しないスイッチ等により指定したセーブ先のレジストレーションデータ記憶領域(例えば、RAM7に確保された所定レジスタ)の番号をRAM7のワークエリアに一時的に記憶し(ステップS242)、この番号に対応するレジストレーションデータ記録領域(エリア)に現在のパネル設定状態をセーブする(ステップS243)。
【0120】
図27は、前記再生一時停止スイッチ23が押されたときに行われる再生一時停止スイッチ処理の手順を示すフローチャートであり、再生時にこのスイッチ23が押下されると再生を一時停止し、一時停止時にこのスイッチ23が押下されると再生を開始する。
【0121】
同図において、まず、フラグRUNの状態を判別し(ステップS251)、再生中(フラグRUN=1)のときには、フラグRUNをリセットして再生の停止を指示し(ステップS252)、再生の一時停止を指示するためのフラグPAUSEをセットし(ステップS253)、発音中の楽音を消音して(ステップS254)、本処理を終了する。
【0122】
一方、ステップS251の判別で、再生中でないときには、フラグPAUSEの状態から再生の一時停止状態であるか否かを判別し(ステップS255)、一時停止状態であるときには、フラグRUNをセットして再生の開始を指示し(ステップS256)、フラグPAUSEをリセットして、本処理を終了する。
【0123】
以上説明したように、本実施例に依れば、自動演奏データを常に所定時間記録し続けることができるので、演奏の前後にスタートやストップの指示をする必要がなく、ユーザは演奏に集中することができる。そして、記録後に、前記AB間セーブスイッチ33により必要な部分を切り出せばよい。
【0124】
また、演奏を失敗してもそのまま演奏を続ければよいので、あまり演奏の記録を意識せずに、気楽に演奏することができる。そして、記録を終了した後に、同様にして、前記AB間セーブスイッチ33によりうまく演奏できた部分を切り出せばよい。
【0125】
さらに、所定時間経過した後に、記録した自動演奏データを先頭から消去して行っても、パネル設定データは一定時間毎に記録されているために、パネル設定データが消去されることにより生ずる不都合を解消することができる。また、このパネル設定データを、前記パネル設定セーブスイッチ34により自動演奏データと別にセーブすることができるため、過去に設定したパネル状態をレジストレーションデータとして記憶させることが可能となる。
【0126】
なお、自動演奏データを記録するときに、設定したテンポに応じて小節線データを記録するようにしてもよい。この小節線データの記録は、自動リズムが動作している間のみ行うようにしてもよい。拍子は4/4拍子に固定してもよいが、ユーザが他の拍子を選択できるようにしてもよい。
【0127】
また、本実施例では、自動演奏データを、RAM7の自動演奏データ格納領域71に記録した後に、記録されたデータをフロッピディスクに保存するように構成したが、これに限らず、はじめからRAM7に記録せずに直接フロッピディスクやハードディスク等の記録媒体に記録するようにしてもよい。
【0128】
さらに、本実施例では、図3(a)で説明したように、各10sec間の自動演奏データ中には、必ず「パネル設定イベント」を記録するように構成したが、該各自動演奏データ中に必ず「パネル設定イベント」を記録するようにしなくてもよい。例えば、前記RAM7の所定領域にパネル設定イベント格納領域(レジスタ)を設け、そのレジスタに、最初に1度だけ自動演奏データの記録開始時の「パネル設定イベント」を格納し、前記設定した記録時間が経過して、自動演奏データ格納領域71を消去しなければならないときには、その消去領域に含まれる操作子イベントからパネル設定関連のデータを抽出して、このデータに対応するレジスタのデータを上書きにより更新し、エンドレス記録終了後に「パネル設定イベント」を自動演奏データの先頭に付加すれば、前記各10sec間の自動演奏データ中に必ず「パネル設定イベント」を記録しなくてもよい。
【0129】
図28は、このようなデータフォーマットを用いたときの記録処理の手順を示すフローチャートであり、前記図4に対応するものである。図28中、図4と同様の処理を行うステップには同一ステップ番号を付し、その説明を省略する。
【0130】
ステップS11の判別で、フラグDELETEが“1”のとき、即ち、設定した記録時間が経過しており、最も古く格納されたデータを消去しなければならないときには、スタートイベントの次の操作子イベントから、次の「10secイベント」の前までの操作子イベントに含まれるパネル設定関連のデータを抽出し(ステップS261)、この抽出したパネル設定関連のデータで、既に記録されている元のパネル設定関連データのうち、対応するデータを変更した(ステップS262)後に、スタートイベントの次から、次の「10secイベント」までの自動演奏データを消去し(ステップS263)、フラグDELETEをリセットする(ステップS264)。
【0131】
図29は、上記データフォーマットを用いたときのセーブ処理の手順を示すフローチャートであり、前記図8に対応するものである。図29中、図8と同様の処理を行うステップには同一ステップ番号を付し、その説明を省略する。
【0132】
ステップS271では、前記パネル設定イベントレジスタに記録しておいたパネル設定関連データをヘッダデータの後(自動演奏データの前)に付加し、ステップS63では、そのデータをフロッピディスクに作成されたファイルにセーブする。
【0133】
このように記録データを構成することにより、自動演奏データを格納するメモリのメモリ容量を減少させることができ、製造コストを削減することが可能になる。
【0134】
また、パネル設定イベントを自動演奏データ中に記録しない他のデータフォーマットとして、パネル設定イベントを自動演奏データの先頭部分の1箇所のみに記録し、自動演奏データを消去するときには、その消去部分に含まれる操作子イベントのパネル設定関連のデータと前記先頭部分に記録されたパネル設定イベントから消去されない部分のパネル設定イベントを生成し、その消去されない部分の先頭に、生成されたパネル設定イベントを付加するようにしてもよい。
【0135】
なお、本実施例では、自動演奏データ格納領域71に記録する自動演奏データは、ユーザが操作した操作子に関連するイベントであったが、これに限らず、再生されている自動リズムや自動伴奏および自動演奏により発生したイベントを記録するようにしてもよい。
【0136】
また、外部装置から入力されたデータ、例えば、前記MIDIインターフェース10に外部装置を接続して、この外部装置が出力したMIDI信号(コード)を自動演奏データとして記録してもよい。
【0137】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に依れば、時間計測手段により計測された経過時間が設定された所定時間を超えた場合には、自動演奏データ記憶手段に記録された前記所定時間のデータを、該所定時間より短い所定単位時間毎のブロックデータに分割して得られた複数のブロックデータの内、古いものから当該ブロック単位で消去され、自動演奏データ記憶手段には前記所定時間内のデータが記録されるので、自動演奏データを記録するときに、ユーザが演奏に集中できるとともに、自動演奏データの記録を意識せずに行うことが可能となる効果を奏する。
【0138】
また、前記制御手段は、前記所単位時間毎に、該時点のパネル設定データを前記自動演奏データ記憶手段に記録するので、記録した自動演奏データを先頭から消去して行っても、パネル設定データは記録され、パネル設定データが消去されることにより生ずる不都合を解消することができる。
【0139】
また、前記自動演奏データ記憶手段は、パネル設定データを一時的に記憶するパネル設定データ記憶領域を有し、前記制御手段は、前記古いデータを消去するときに、該消去されるデータに含まれ、パネル設定データに関連する操作子イベントで、前記記憶されたパネル設定データを更新するので、自動演奏データ記憶手段の記憶容量を削減し、これにより製造コストを低減させることができる。
【0140】
前記自動演奏データ記憶手段に記録したデータのうち、ユーザが指示した一部のデータを切り取り、記録媒体にセーブするセーブ手段を有するので、必要な部分およびうまく演奏できた部分を取り出すことができ、これにより、ユーザはさらに演奏に集中できるとともに気軽に演奏を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る自動演奏装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1のスイッチ群が配設されているパネル面を示す図である。
【図3】自動演奏データを図1のRAMの自動演奏データ格納領域に記録するときのフォーマットおよびその自動演奏データをフロッピディスクにセーブするときのフォーマットを示す図である。
【図4】自動演奏データを自動演奏データ格納領域に記録する記録処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】10sec毎の処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】記録時間設定処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】図2のエンドレス記録スイッチが押されたときに行われるエンドレス記録スイッチ処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】図7のステップS54のセーブ処理サブルーチンの詳細な手順を示すフローチャートである。
【図9】図1の鍵盤が押鍵または離鍵されたときに行われる鍵盤処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】図2のマークスイッチが押されたときに行われるマークスイッチ処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】パネル設定操作子が押されたときに行われる処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】図2のリズムスタート/ストップスイッチが押されたときに行われる処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】図2のセーブスイッチが押されたときに行われるセーブスイッチ処理の手順を示すフローチャートである。
【図14】図2のロードスイッチが押されたときに行われるロードスイッチ処理の手順を示すフローチャートである。
【図15】図2の再生スイッチが押されたときに行われる再生スイッチ処理の手順を示すフローチャートである。
【図16】ユーザが図2の再生スイッチにより自動演奏データの再生を指示したときに行われる再生処理の手順を示すフローチャートである。
【図17】図2の停止スイッチが押されたときに行われる停止スイッチ処理の手順を示すフローチャートである。
【図18】図2の早送りスイッチまたは早戻しスイッチの単独操作により行われる早送り/早戻しスイッチの単独操作処理の手順を示すフローチャートである。
【図19】図2の早送りスイッチまたは早戻しスイッチと他のスイッチとの同時押しによりなされる同時押し処理の手順を示すフローチャートである。
【図20】図19のステップS172の処理のうち、図2のマークスイッチが同時に押されているときの処理の手順を示すフローチャートである。
【図21】図19のステップS172の処理のうち、図2のリズムスタートスイッチが同時に押されているときの処理の手順を示すフローチャートである。
【図22】図19のステップS172の処理のうち、図2の空白スイッチが同時に押されているときの処理の手順を示すフローチャートである。
【図23】図2のA点スイッチが押されたときに行われるA点スイッチ処理の手順を示すフローチャートである。
【図24】図2のB点スイッチが押されたときに行われるB点スイッチ処理の手順を示すフローチャートである。
【図25】図2のAB間セーブスイッチが押されたときに行われるAB間セーブスイッチ処理の手順を示すフローチャートである。
【図26】図2のパネル設定セーブスイッチが押されたときに行われるパネル設定セーブスイッチ処理の手順を示すフローチャートである。
【図27】図2の再生一時停止スイッチが押されたときに行われる再生一時停止スイッチ処理の手順を示すフローチャートである。
【図28】本実施例の他のデータフォーマットを用いたときの記録処理の手順を示すフローチャートである。
【図29】本実施例の他のデータフォーマットを用いたときのセーブ処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
5 CPU(制御手段、パネル設定データセーブ手段、記録時間変更手段、確認手段)
7 RAM(自動演奏データ記憶手段、パネル設定データ記憶手段)
8 タイマ(時間計測手段)
9 表示回路(確認手段)
11 FDD(セーブ手段、ロード手段)
25 早送りスイッチ(マーク検出手段、リズムスタートイベント検出手段、空白検出手段)
26 早戻しスイッチ(マーク検出手段、リズムスタートイベント検出手段、空白検出手段)
28 マークスイッチ(マーク検出手段、マーク埋め込み手段)
29 RSTスイッチ(リズムスタートイベント検出手段)
30 空白スイッチ(空白検出手段)

Claims (11)

  1. 自動演奏データを記録し、再生する自動演奏装置において、
    操作子イベントを記録するための自動演奏データ記憶手段と、
    前記操作子イベントの記録開始からの経過時間を計測する時間計測手段と、
    該計測された経過時間が設定された所定時間を超えた場合には、前記自動演奏データ記憶手段に記録された前記所定時間のデータを、該所定時間より短い所定単位時間毎のブロックデータに分割して得られた複数のブロックデータの内、古いものから当該ブロック単位で消去して、該自動演奏データ記憶手段には前記所定時間内のデータを記録するように制御する制御手段と
    を有し、
    前記制御手段は、前記所定単位時間毎に、該時点のパネル設定データを前記自動演奏データ記憶手段に記録することを特徴とする自動演奏装置。
  2. 前記自動演奏データ記憶手段は、パネル設定データを一時的に記憶するパネル設定データ記憶領域を有し、
    前記制御手段は、前記古いデータを消去するときに、該消去されるデータに含まれ、パネル設定データに関連する操作子イベントで、前記記憶されたパネル設定データを更新することを特徴とする請求項1記載の自動演奏装置。
  3. 前記自動演奏データ記憶手段に記録したデータのうち、ユーザが指示した一部のデータを切り取り、記録媒体にセーブするセーブ手段を有することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の自動演奏装置。
  4. 前記自動演奏データ記憶手段の所望の位置にマークを埋め込むマーク埋め込み手段と、
    該埋め込まれたマークを再生時に検出するマーク検出手段と
    を有し、
    前記マーク検出手段によってマークが検出されたときには、前記制御手段は、該検出されたマークの次の自動演奏データを読み出すことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の自動演奏装置。
  5. 前記自動演奏データ記憶手段中の所定時間以上の空白を検出する空白検出手段を有し、
    前記空白検出手段によって前記所定時間以上の空白が検出されたときには、前記制御手段は、該検出された空白の次の自動演奏データを読み出すことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の自動演奏装置。
  6. 前記自動演奏データ記憶手段に記録した操作子イベントのうち、リズムスタートイベントを検出するリズムスタートイベント検出手段を有することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の自動演奏装置。
  7. パネル設定データを記憶するパネル設定データ記憶手段と、
    前記記録したパネル設定データを前記パネル設定データ記憶手段にセーブするパネル設定データセーブ手段と
    を有することを特徴とする請求項乃至に記載の自動演奏装置。
  8. ユーザが前記設定された所定時間を変更するための記録時間変更手段を有することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の自動演奏装置。
  9. 前記自動演奏データ記憶手段へのデータの記録を終了し、次の記録を開始する場合に、前のデータを記録媒体にセーブしていないときには、該データのセーブを行うか否かをユーザに確認するための確認手段を有することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の自動演奏装置。
  10. 前記記憶媒体中の、自動演奏データがセーブされているファイルを読み出し、前記自動演奏データ記憶手段にロードするロード手段を有し、
    前記確認手段は、該ロード手段により自動演奏データをロードするときに、前記自動演奏データ記憶手段にデータが記録されている場合には、その記録されているデータをセーブするか否かをユーザに確認することを特徴とする請求項記載の自動演奏装置。
  11. 前記制御手段は、古いブロックデータが消去された後に残った自動演奏データの先頭にスタートイベントを書き込むことを特徴とする請求項1記載の自動演奏装置。
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