JP4178605B2 - カラオケ装置およびカラオケ装置の操作再現システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はカラオケ装置およびカラオケ装置の操作再現システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
カラオケ装置は、幅広い需要者層によって利用されている。このため、カラオケ装置に対し、誤った操作が行われることも多々ある。カラオケ装置の開発においては、このような誤操作を各種想定し、どのような操作が行われてもシステムダウン等の障害に至らぬよう配慮がなされるのが一般的である。しかしながら、あらゆる誤操作を想定するのは不可能であるため、カラオケ装置の新製品を開発してから一定の期間、初期的なソフトウェア上の障害が発生することがある。
【0003】
特に、近年のカラオケ装置の機能の複雑化に伴い、この種のソフトウェア上の障害発生件数が増加している。そして、一部のカラオケ装置において発生したこれらの障害は、同機種の他のカラオケ装置においても発生する恐れがあるため、これを防ぐためにも迅速かつ確実な対策を講じることが必要である。
【0004】
従来のカラオケ装置においては、障害の原因を調査するために、楽曲演奏の異常停止等のあらかじめ想定される障害に関する履歴をカラオケ装置中の記憶装置の所定のアドレスに記憶するエラーログファイル等が設けられていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したエラーログファイルは、あらかじめ想定された障害のみを記録するものであるため、それ以外の障害がカラオケ装置に発生した場合には記録されず、かかる場合には、障害の原因を特定することができなかった。
【0006】
一方、ソフトウェア上の障害は、利用者による何らかの操作が原因となって発生する場合が多い。従って、障害の原因となった操作を再現することができれば、その障害の原因を特定し、対策を講じるために役立つこととなる。そこで、障害の原因となった操作を再現するために、当該操作を行った利用者にその操作の詳細を尋ねることも考えられる。
【0007】
しかしながら、利用者は、自分がどのような操作を行ったかを覚えていない場合がほとんどであり、覚えていても正確でない場合が多く、障害の原因となった操作を再現することは困難であった。
【0008】
本発明はこのような背景の下になされたもので、利用者による操作の内容を逐一記憶し、この記憶した情報に従って当該カラオケ装置に対して過去に行われた操作を再現することができ、これにより、障害発生の原因調査を確実かつ速やかに行うことができるカラオケ装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、請求項1に記載のカラオケ装置は、ユーザによって操作される操作手段と、記憶手段と、前記操作手段に対して行われた操作に対応する操作コードを生成し、該操作コード及び当該操作が行われた時刻を示す時刻情報を含む操作ログファイルを前記記憶手段に記録する操作ログファイル記録手段と、前記記憶手段に記録された前記操作ログファイルを読み出す読出手段と、前記読出手段によって読み出された前記操作ログファイルをもとに、ある操作が行われてから次の操作が行われるまでの時間間隔を算出し、各々の該操作に対応する前記操作コードと、算出した前記時間間隔とからなるシーケンスデータを作成するシーケンスデータ作成手段と、操作再現指示が与えられると、前記シーケンスデータ作成手段によって作成されたシーケンスデータに含まれる前記時間間隔を所定のクロックによってカウントし、カウントした時間間隔に従って、該シーケンスデータに含まれる操作コードを供給する操作コード供給手段と、前記操作コード供給手段によって供給された操作コードに従って、カラオケ装置の動作の再現を行う操作再現手段とを具備することを特徴としている。
【0010】
また、請求項2に記載のカラオケ装置は、請求項1に記載の構成において、前記操作コード供給手段は、カラオケ装置の動作の再現速度を高速化する場合には、前記シーケンスデータに含まれる前記時間間隔を所定の割合で小さくして供給し、カラオケ装置の動作の再現速度を低速化する場合には、前記シーケンスデータに含まれる前記時間間隔を一定の比率で大きくして供給することを特徴としている。
【0011】
また、請求項3に記載のカラオケ装置の操作再現システムは、複数のカラオケ装置と、センタに設置されて前記カラオケ装置と通信回線を介して接続された操作再現制御部と、操作再現用カラオケ装置とを備え、前記カラオケ装置は、ユーザによって操作される操作手段と、記憶手段と、前記操作手段に対して行われた操作に対応する操作コードを生成し、該操作コード及び当該操作が行われた時刻を示す時刻情報を含む操作ログファイルを前記記憶手段に記録する操作ログファイル記録手段と、前記記憶手段に記録された操作ログファイルを読み出し、読み出した操作ログファイルを、前記通信回線を介して前記操作再現制御部にアップロードするアップロード手段とを有し、前記操作再現制御部は、前記カラオケ装置の前記アップロード手段によってアップロードされた該操作ログファイルをもとに、ある操作が行われてから次の操作が行われるまでの時間間隔を算出し、該操作に対応する操作コードと、算出した前記時間間隔とからなるシーケンスデータを作成するシーケンスデータ作成手段と、操作再現指示が与えられると、前記シーケンスデータ作成手段によって作成されたシーケンスデータに含まれる前記時間間隔を所定のクロックによってカウントし、カウントした時間間隔に従って、該シーケンスデータに含まれる操作コードを前記操作再現用カラオケ装置に供給する操作コード供給手段と、前記操作再現用カラオケ装置は、前記操作再現制御部から供給された操作コードに従って、前記カラオケ装置の動作の再現を行うことを特徴としている。
【0012】
また、請求項4に記載のカラオケ装置の操作再現システムは、請求項3に記載の構成において、前記操作コード供給手段は、カラオケ装置の動作の再現速度を高速化する場合には、前記シーケンスデータに含まれる前記時間間隔を所定の割合で小さくして供給し、カラオケ装置の動作の再現速度を低速化する場合には、前記シーケンスデータに含まれる前記時間間隔を一定の比率で大きくして供給することを特徴としている。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。かかる実施の形態は、本発明の一形態を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の範囲で任意に変更可能である。
【0021】
A:第1の実施形態
図1は本発明の第1の実施形態であるカラオケ装置の全体の構成を示すブロック図である。図1に示すように、カラオケ装置1はカラオケボックス40内に設置されている。また、センタ50には、ホストコンピュータ2、操作再現制御部3および操作再現用カラオケ装置4が設置されている。そして、カラオケ装置1と、センタ50内のホストコンピュータ2および操作再現制御部3とは、通信回線(ISDN回線または公衆通信回線等)5によって接続されている。
【0022】
以下、図2を参照して、カラオケ装置1の詳細な構成を説明する。図2に示すカラオケ装置1は、CPU(中央処理装置)11、ROM(読み出し専用メモリ)12、RAM(読み書き可能メモリ)13、リモートコントローラ(以下、「リモコン」という)14、受信部15、操作部16、音源17、マイクロフォン(以下、「マイク」という)18、ミキサ19、アンプ20、スピーカ21、LD(レーザ・ディスク)再生装置22、歌詞表示処理部23、画像合成装置24、ディスプレイ装置(CRT)25、通信制御部26およびハードディスク装置(HDD)27により構成されている。ここで、CPU11、ROM12、RAM13、受信部15、操作部16、音源17、LD再生装置22、歌詞表示処理部23、通信制御部26およびハードディスク装置27は、共通のバスBUSに接続されている。
【0023】
ROM12には当該カラオケ装置を起動するために必要なイニシャルプログラムが記憶されている。カラオケ装置の電源が投入されると、このイニシャルプログラムに従ってハードディスク装置27に記憶されたシステムプログラムおよびアプリケーションプログラムがRAM13にロードされる。このRAM3は、ロードしたシステムプログラムやアプリケーションプログラムを記憶する記憶エリアの他、カラオケ演奏のための楽曲データを記憶する記憶エリアを有している。
【0024】
リモコン14はテンキー等を備え、利用者の操作に応じた赤外線信号を送信する。受信部15はリモコン14によって送信された赤外線信号を受信し、電気信号(操作コード)に変換して出力する。操作部16は利用者がカラオケ装置を操作するためのキー、摘み等を備えている。受信部15および操作部16はカラオケ装置本体の前面等に設けられている。利用者は、リモコン14または操作部16を操作することにより、曲番号の入力、音量の調節およびキーコントロール等の各種操作を行う。ここで、リモコン14または操作部16に対して操作が行われた際には、当該操作に対応した操作コードがCPU11に供給される。CPU11はこの操作コードに従ってカラオケ装置の動作を制御する。
【0025】
また、カラオケ演奏時、CPU1は、楽曲データ中の楽音信号の生成を指示する情報を音源17に出力する。この音源17は、CPU11から供給される情報に従って伴奏音等の楽音信号を生成し、出力する。マイク18は、歌唱者が発するボーカル音を音声信号に変換してミキサ19に出力する。ミキサ19は音源17から供給される楽音信号と、マイク18から供給される音声信号を混合して出力する。なお、このミキサ19には、マイク18から供給される音声信号にエコー効果等を付与するためのエコー装置等が必要に応じて設けられる。アンプ20はミキサ19から供給される信号を増幅し、スピーカ21はアンプ20によって増幅された信号を出力する。
【0026】
また、LD再生装置22には5枚程度のレーザディスクが内蔵されており、約120シーンの背景映像を再生することが可能である。カラオケ演奏開始時、LD再生装置22は、演奏される楽曲に対応する背景映像を選択して再生する。
【0027】
また、歌詞表示処理部23は、CPU11から供給される情報に従って歌詞等の文字情報を生成し、画像合成装置24に供給する。画像合成装置24は、歌詞表示処理部23から供給される文字情報をLD再生装置22から供給される映像信号(背景映像)にスーパーインポーズさせて、その合成画像信号をディスプレイ装置25に供給する。ディスプレイ装置25は画像合成装置24から供給された合成画像信号を表示する。
【0028】
また、通信制御部26は、通信回線5を介してセンタに設けられたホストコンピュータ2から楽曲データ等をダウンロードし、内部のDMAコントローラによって受信した楽曲データをCPU11を介することなく直接ハードディスク装置27に書き込む。また、通信制御部26は、後述するハードディスク装置27中の操作ログファイルをセンタにアップロードするための制御を行う。
【0029】
次に、図3を参照して、ハードディスク装置27の記憶内容について説明する。図3に示すように、ハードディスク装置27には、楽曲データファイル、プログラムファイルおよびログファイルが記憶されている。
【0030】
楽曲データファイルには、約1万曲分の楽曲データが格納されている。これらの楽曲データは、カラオケ演奏開始時にハードディスク装置27から読み出され、RAM3にロードされる。この楽曲データは、ヘッダと、これに続く楽音トラック、歌詞トラックおよび音声トラック等の、カラオケ演奏および歌詞表示に関する情報が含まれている。ここで、ヘッダには、当該楽曲に関する種々の情報、すなわち、当該楽曲の曲名およびジャンルなどの情報が書き込まれている。また、プログラムファイルには、上述したシステムプログラム等が格納されている。
【0031】
また、ログファイルには、CPU1により、過去における当該カラオケ装置の履歴、すなわち、当該カラオケ装置において演奏された楽曲、発生したエラーおよび利用者によって行われた操作に関する情報が書き込まれる。ここで、図4を参照して、このログファイルの詳細な構成について説明する。図4に示すように、ログファイルは、演奏ログファイル、エラーログファイルおよび操作ログファイルにより構成されている。
【0032】
カラオケ装置において楽曲の演奏が開始される際に、CPU1は当該楽曲の曲番号を演奏ログファイルとしてハードディスク装置27内の所定の記憶領域に書き込む。また、当該カラオケ装置に何らかのエラーが発生したとCPU1が判断した場合には、当該エラーの内容および時刻を、エラーログファイルとして所定の記憶領域に書き込む。上記エラーとしては、例えば楽曲の異常終了等である。この演奏ログファイルおよびエラーログファイルは、カラオケ装置内のタイマ(図示略)の計時が終了する度に通信制御部26の制御によってセンタ50にアップロードされる。このアップロードが行われた後、再びタイマによる計時が開始される。このようにしてアップロードされた演奏ログファイルおよびエラーログファイルは、演奏頻度の調査および発生したエラーの頻度、種類等の調査などに供される。
【0033】
また、リモコン14および操作部16に対して操作が行われ、当該操作に対応する操作コードがCPU1に供給された場合には、CPU1は、当該操作コードおよび当該操作が行われた時刻を操作ログファイルとしてハードディスク装置27内の所定の記憶領域に書き込む。なお、上記時刻は、カラオケ装置に設けられた時計(図示略)により特定される。この操作ログはファイル、当該カラオケ装置の動作のシミュレーションを行うために用いられる。
【0034】
ここで、操作ログファイルは、例えば1週間分程度の情報が格納できるようにハードディスク装置27中の記憶領域を確保しておく。そして、操作ログファイルの情報量が増え、空き領域がなくなった場合には操作ログファイルに書き込まれた各情報のうち古いものから順次削除する。これにより、障害発生から1週間以内であれば、操作ログファイルに書き込まれた情報を利用することができる。
【0035】
ここで、再び図1を参照して、本実施形態であるカラオケ装置の構成の説明を進める。センタ50内のホストコンピュータ2は、カラオケ装置1からの要求に応じ、通信回線5を介して楽曲データを供給するものである。操作再現制御部3はカラオケ装置1から通信回線5を介してアップロードされた操作ログファイルを解析し、操作再現用カラオケ装置4に供給する。この操作再現用カラオケ装置4は、操作再現制御部3から供給される情報に従って、カラオケ装置の動作をシミュレーションするためのものである。なお、操作再現制御部3および操作再現用カラオケ装置4の具体的な動作については後述する。また、操作再現用カラオケ装置4は、図2に示したカラオケ装置1と同様の構成となっている。
【0036】
次に、本実施形態であるカラオケ装置の動作について説明する。
【0037】
図1に示した構成において、カラオケ装置1に何らかの障害が発生し、店員、係員またはユーザによって、操作ログファイル送信の指示(特許請求の範囲における「読出指示」に相当)が通信制御部26に与えられると、通信制御部26は、操作ログファイルをセンタ50にアップロードする。なお、このアップロードされる情報には、必要に応じて、障害が発生したカラオケ装置1のシリアル番号等も含まれることとなる。障害が発生したカラオケ装置を特定するためである。
【0038】
このアップロードされた操作ログファイルは、通信回線5を介してセンタ50内の操作再現制御部3に供給される。操作再現制御部3は、この操作ログファイル中の操作コードおよび時刻を示す情報に従って、操作再現用カラオケ装置4の制御を行う。以下、図5(a)および(b)を参照して、操作再現制御部3の具体的な動作を説明する。
【0039】
a.図5(a)に示すように、操作再現制御部3に供給される操作ログファイルには、操作が行われた時刻と、当該操作に対応する操作コードが書き込まれている。操作再現制御部3は、これらの情報をもとに、まず、ある操作が行われてから次の操作が行われるまでの時間間隔Δtnを算出する。すなわち、図5(a)に示す例においては、操作Aが行われてから操作Bが行われるまでの時間間隔Δt1、操作Bが行われてから操作Cが行われるまでの時間間隔Δt2、…、をそれぞれ算出する。操作再現制御部3は、この処理を送信された操作ログファイルの全ての範囲について行う。そして、図5(b)に示すように、操作ログファイルに書き込まれた操作コードと、ある操作が行われてから次の操作が行われるまでの時間間隔Δtnからなるシーケンスデータ(以下、「操作シーケンスデータ」という)を作成し、この操作シーケンスデータを操作再現制御部3内の記憶装置(図示略)に書き込む。
【0040】
b.センタの係員等によって、操作再現の指示が操作再現制御部3に与えられると、操作再現制御部3は、上記記憶装置に書き込まれた操作シーケンスデータのうち、最初に書き込まれた操作コード(図5(b)においては操作A)を読み出し、この操作コードを操作再現用カラオケ装置4中のCPU(図示略)に出力する。
【0041】
c.所定のクロックによってΔtnをカウントし、カウントを終了したとき、これに続く操作コードを操作再現用カラオケ装置4中のCPUに供給する。以後、この動作を繰り返す。
【0042】
操作再現制御部3によって、所定のタイミングで操作コードを供給された操作再現用カラオケ装置4中のCPUは、受信部または操作部から操作コードが供給された場合と全く同様に、操作再現用カラオケ装置4の各部を制御する。これにより、カラオケ装置1の動作を再現することができる。センタの係員は、このようにして再現された障害発生状況を調査し、障害の原因を探索することとなる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態によれば、障害が発生した際のカラオケ装置1の動作をシミュレーションすることができるので、障害発生時のカラオケ装置の状況を確認することができ、これにより障害の原因を確実かつ速やかに把握することができる。
【0044】
B:第2の実施形態
図5は本発明の第2の実施形態であるカラオケ装置の構成を示すブロック図である。なお、図5に示す装置の各部で、前述した図2に示すカラオケ装置と共通する部分については、同一の符号を付けてその説明を省略する。
【0045】
上記第1の実施形態においては、カラオケ装置のハードディスク装置27中の操作ログファイルを、通信回線5を介してセンタにアップロードし、センタ内の操作再現用カラオケ装置4において、障害が発生したカラオケ装置1に対して行われた操作を再現する構成とした。これに対し、本実施形態においては、カラオケ装置自体が操作を再現する機能を有する構成となっている。
【0046】
本実施形態であるカラオケ装置は、図2に示すカラオケ装置の構成と比較して、操作再現制御部30のみが異なる。この操作再現制御部30は、カラオケ装置の過去の動作をシミュレーションするための制御を行うものであり、第1の実施形態における操作再現制御部3に相当するものである。すなわち、操作再現制御部30は、係員等によって操作再現の指示が与えられると、操作ログファイルをハードディスク装置27から読み出し、当該操作ログファイル中の操作コードと、ある操作が行われてから次の操作が行われるまでの時間間隔Δtnからなる操作シーケンスデータを作成し、この操作シーケンスデータを当該カラオケ装置中のRAM13に書き込む。そして、上記第1の実施形態と同様に、この操作シーケンスデータ中のΔtnにより指定されるタイミングで操作コードを読み出し、当該操作コードをカラオケ装置1のCPU11に供給する。以下の動作は上記第1の実施形態と同様なので、説明を省略する。
【0047】
本実施形態においても、上記第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0048】
C:第3の実施形態
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
上記第1および第2の実施形態においては、カラオケ装置に対して行われた操作の履歴を表す操作ログファイルをハードディスク装置27中の所定の記憶領域に書き込んだ。本実施形態においては、これに加えて、カラオケ装置本体の制御パラメータ(音量、キーコントロール等)並びにLD再生装置およびディスプレイ装置など、カラオケ装置本体に接続された周辺機器の制御パラメータ(以下、単に「制御パラメータ」という)を一定期間ごとに採取し、これらの制御パラメータおよびその採取時刻からなる制御パラメータログファイルをハードディスク装置27の所定の記憶領域に書き込む。本実施形態によれば、このようにして記録される制御パラメータログファイルを利用することにより、上記第1の実施形態よりも正確にカラオケ装置の動作のシミュレーションを行うことができる。すなわち、次の通りである。
【0049】
まず、上記第1の実施形態であるカラオケ装置においては、カラオケボックスの店員、係員またはユーザ等によって操作ログファイル送信の指示(特許請求の範囲における「読出指示」に相当)が与えられると、通信制御部26は、操作ログファイルとともに、上記制御パラメータログファイルをセンタ内の操作再現制御部3にアップロードする。
【0050】
ここで、操作再現制御部3は、当該操作ログファイルから操作シーケンスデータを作成するとともに、操作ログファイルに書き込まれた操作コードのうち最初にあるものに対応する時刻を抽出する。そして、操作再現制御部3は、当該時刻の直前に書き込まれた制御パラメータを制御パラメータログファイルの中から読み出す。
【0051】
センタの係員等によって、操作再現開始の指示が操作再現制御部3に与えられると、操作再現制御部3は、まず、上記制御パラメータを操作再現用カラオケ装置4内のCPUに供給する。操作再現用カラオケ装置4内のCPU1は、この供給された制御パラメータを当該操作再現用カラオケ装置4における該当する部分(例えば、制御パラメータが音量制御に係るものである場合は音量制御回路)に設定する。以上の処理の後、操作ログファイルに含まれる操作コードを操作再現用カラオケ装置4内のCPU1に供給することにより、カラオケ装置1に対して行われた操作に対応する動作を再現する。
【0052】
なお、上記第2の実施形態に上記制御パラメータログファイルを適用する場合にも同様の処理が行われ、当該カラオケ装置に対し、再現される操作が行われる直前の制御パラメータが設定される。
【0053】
本実施形態によれば、障害が発生した状況をより正確に再現することができるから、上記第1および第2の実施形態よりもさらに詳細な障害原因の調査を行うことができる。
【0054】
D:その他の実施形態
(1)上記第1および第2の実施形態においては、操作ログファイルに書き込まれた全ての操作コードを用いてカラオケ装置1の操作を再現する構成としたが、操作ログファイルのうちの所定の範囲に書き込まれた操作コードのみを用いてカラオケ装置に対する操作を再現する構成としてもよい。すなわち、この実施形態では、操作再現を指示する係員等が所定の操作を行うことにより、操作再現制御部3または30に対して所望の開始時刻と終了時刻を指定できる構成とする。そして、操作再現制御部3および30は、操作ログファイルのうちから、指定された開始時刻と終了時刻との間の範囲に属する操作コードおよび当該操作が行われ時刻を抽出し、図5(b)に示した操作シーケンスデータを作成するようにする。この後の動作は上記第1および第2の実施形態に示したものと同様である。なお、開始時刻のみを指定させ、この開始時刻以降現在に至るまでの操作コードから操作シーケンスデータを作成するようにしてもよい。
【0055】
(2)上記(1)の機能を上記第3の実施形態に追加してもよい。すなわち、操作再現の指示に伴って開始時刻が指定された場合には、操作再現制御部3または30が、制御パラメータログファイル中の時刻を示す情報を参照して、当該開始時刻の直前に書き込まれた制御パラメータを制御パラメータログファイルの中から読み出し、操作再現用カラオケ装置に対して設定するようにする。
【0056】
このように構成することにより、例えば、障害が発生した時刻を特定できる場合には、その障害が発生した時点の前後一定期間を指定して操作再現指示を与え、その期間におけるカラオケ装置の動作を正確に再現することができる。
【0057】
(3)操作コードの読み出しを早送りすることができる構成としてもよい。すなわち、例えば、上記第1および第2の実施形態において、操作再現制御部によって操作シーケンスデータが作成された後、この操作シーケンスデータ中の全てのデュレーションデータΔtnを所定の割合で短縮した後に、上記操作コード読み出しのための処理を行う構成としてもよい。
【0058】
なお、シーケンスデータ中のデュレーションデータΔtnを小さくしてカラオケ装置の動作の再現速度を高速化したが、デュレーションデータΔtnを一定の比率で大きくして再現速度を低速化するようにしてもよい。また、動作の再現中に再現速度を任意に調整するようにしてもよい。
【0059】
上記(1)〜(3)に示した実施形態によれば、上記第1および第2の実施形態よりも効率的に操作の再現を行うことができ、さらに迅速に障害の原因を調査することができる。
【0060】
(4)上記第1の実施形態においては、ハードディスク装置27中の操作ログファイルを通信回線5を介してセンタ内の操作再現制御部3にアップロードする構成としたが、カラオケ装置1中の操作ログファイルをフロッピーディスク等に記録させ、このフロッピーディスク等に書き込まれた操作ログファイルをセンタ50内の操作再現制御部3に読み込ませる構成としてもよい。
【0061】
(5)上記第1および第2の実施形態においては、操作の行われた時刻および当該操作の内容を直接ハードディスク装置27に書き込む構成としたが、操作が行われた時刻および当該操作の内容をRAM13に一時的にバッファリングし、ある程度の情報をまとめてハードディスク装置27に書き込む構成としてもよい。すなわち、例えば、カラオケ装置の電源が投入された時点から、操作部14またはリモコン15に対して操作が行われた時刻およびこの操作に対応する操作コードをRAM13の所定のアドレスに書き込んでおき、カラオケ装置1の電源を切断する指示が与えられたときにRAM13に書き込まれたこれらの情報をハードディスク装置27に書き込む構成としてもよい。
【0062】
(6)上記第1および第2の実施形態においては、操作ログファイルを格納するための空き容量がなくなった場合には、操作ログファイル内の情報のうち古いものから順次消去し、または古い情報に新しい情報を上書きする構成としたが、通信制御部27の制御により、操作ログファイル中の古い情報を一定期間ごとにセンタにアップロードし、アップロードされた情報はカラオケ装置のハードディスク装置27から消去する構成としてもよい。これにより、過去採取されたすべての操作コードをカラオケ装置の動作のシミュレーションのために活用することができる。
【0063】
(7)上記第2の実施形態においては、ハードディスク装置27に書き込まれた情報を障害の調査のためだけに用いる構成としたが、操作再現制御部30の制御により、操作ログファイルに書き込まれた操作時刻および操作内容に従ってカラオケ装置を動作させることによって、カラオケ装置を自動運転させる構成としてもよい。すなわち、これにより、利用者が行った操作を、例えばカラオケ装置のデモンストレーション用に用いることができる。
【0064】
(8)カラオケ装置には、操作部14またはリモコン15に設けられたスイッチのうちのいくつかを組み合わせて操作した場合に、オーナーモードに移行するものがある。ここで、オーナーモードとは、店員や係員等のカラオケ装置を管理するものがカラオケ装置の設定を変更するためのモードである。
【0065】
従来のカラオケ装置においては、上記オーナーモードに移行するためには、カラオケ装置の操作部またはリモコンに設けられた所定のスイッチを押さなければならなかった。そこで、この実施形態では、このオーナーモードに移行するための操作に対応する操作コードを、ハードディスク装置27内の操作ログファイルにあらかじめ書き込んでおく。なお、このオーナーモードに移行するための操作コードは、新たな情報によって上書き若しくは削除されない構成となっている。
【0066】
そして、通信回線5を介し、センタ50内のホストコンピュータ2からカラオケ装置1に対してオーナーモード移行の指示が与えられると、カラオケ装置1内のCPU1は操作ログファイル中のオーナーモードに移行するための操作コードを読み出す。これにより、当該カラオケ装置は、オーナーモードに移行することとなる。このオーナーモードにおいて、カラオケ装置のCPU1はセンタ50内のホストコンピュータ2からの指示に従い、カラオケ装置の各部を制御する。
【0067】
このように、本実施形態によれば、センタからの遠隔操作によって各カラオケ装置の設定を管理することができる。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、利用者が行った操作を逐一記憶することができ、これにより障害が発生する原因となった操作が行われた際のカラオケ装置の動作を再現することができるので、障害が発生した状況を再現することができる。従って、障害の原因調査を効率的に進行することができ、迅速な対策を講じることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態であるカラオケ装置の全体の構成を示すブロック図である。
【図2】 本発明の第1の実施形態であるカラオケ装置において用いられるカラオケ装置の構成を示すブロック図である。
【図3】 本発明の第1の実施形態であるカラオケ装置におけるカラオケ装置のハードディスク装置の構成を示す図である。
【図4】 本発明の第1の実施形態であるカラオケ装置におけるカラオケ装置のハードディスク装置中のログファイルの構成を示す図である。
【図5】 本発明の第1の実施形態であるカラオケ装置における操作シーケンスデータの詳細について説明するための図である。
【図6】 本発明の第2の実施形態であるカラオケ装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
1……カラオケ装置、2……ホストコンピュータ、3……操作再現制御部
4……操作再現用カラオケ装置、5……通信回線
11……CPU(操作ログファイル記録手段)、12……ROM
13……RAM、14……リモコン、15……受信部、16……操作部
17……音源、18……マイク、19……ミキサ、20……アンプ
21……スピーカ、22……LD再生装置
23……歌詞表示処理部、24……画像合成装置、25……ディスプレイ装置
26……通信制御部、27……ハードディスク装置(記憶手段)
30……操作再現制御部、40……カラオケボックス、50……センタ
Claims (4)
- ユーザによって操作される操作手段と、
記憶手段と、
前記操作手段に対して行われた操作に対応する操作コードを生成し、該操作コード及び当該操作が行われた時刻を示す時刻情報を含む操作ログファイルを前記記憶手段に記録する操作ログファイル記録手段と、
前記記憶手段に記録された前記操作ログファイルを読み出す読出手段と、
前記読出手段によって読み出された前記操作ログファイルをもとに、ある操作が行われてから次の操作が行われるまでの時間間隔を算出し、各々の該操作に対応する前記操作コードと、算出した前記時間間隔とからなるシーケンスデータを作成するシーケンスデータ作成手段と、
操作再現指示が与えられると、前記シーケンスデータ作成手段によって作成されたシーケンスデータに含まれる前記時間間隔を所定のクロックによってカウントし、カウントした時間間隔に従って、該シーケンスデータに含まれる操作コードを供給する操作コード供給手段と、
前記操作コード供給手段によって供給された操作コードに従って、カラオケ装置の動作の再現を行う操作再現手段と
を具備することを特徴とするカラオケ装置。 - 前記操作コード供給手段は、
カラオケ装置の動作の再現速度を高速化する場合には、前記シーケンスデータに含まれる前記時間間隔を所定の割合で小さくして供給し、
カラオケ装置の動作の再現速度を低速化する場合には、前記シーケンスデータに含まれる前記時間間隔を一定の比率で大きくして供給する
ことを特徴とする請求項1に記載のカラオケ装置。 - 複数のカラオケ装置と、センタに設置されて前記カラオケ装置と通信回線を介して接続された操作再現制御部と、操作再現用カラオケ装置とを備え、
前記カラオケ装置は、
ユーザによって操作される操作手段と、
記憶手段と、
前記操作手段に対して行われた操作に対応する操作コードを生成し、該操作コード及び当該操作が行われた時刻を示す時刻情報を含む操作ログファイルを前記記憶手段に記録する操作ログファイル記録手段と、
前記記憶手段に記録された操作ログファイルを読み出し、読み出した操作ログファイルを、前記通信回線を介して前記操作再現制御部にアップロードするアップロード手段とを有し、
前記操作再現制御部は、
前記カラオケ装置の前記アップロード手段によってアップロードされた該操作ログファイルをもとに、ある操作が行われてから次の操作が行われるまでの時間間隔を算出し、該操作に対応する操作コードと、算出した前記時間間隔とからなるシーケンスデータを作成するシーケンスデータ作成手段と、
操作再現指示が与えられると、前記シーケンスデータ作成手段によって作成されたシーケンスデータに含まれる前記時間間隔を所定のクロックによってカウントし、カウントした時間間隔に従って、該シーケンスデータに含まれる操作コードを前記操作再現用カラオケ装置に供給する操作コード供給手段と、
前記操作再現用カラオケ装置は、前記操作再現制御部から供給された操作コードに従って、前記カラオケ装置の動作の再現を行う
ことを特徴とするカラオケ装置の操作再現システム。 - 前記操作コード供給手段は、
カラオケ装置の動作の再現速度を高速化する場合には、前記シーケンスデータに含まれる前記時間間隔を所定の割合で小さくして供給し、
カラオケ装置の動作の再現速度を低速化する場合には、前記シーケンスデータに含まれる前記時間間隔を一定の比率で大きくして供給する
ことを特徴とする請求項3に記載のカラオケ装置の操作再現システム。
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